165 【R-18】シュガートースト、はちみつミルクを添えて
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……じゃあ帰るなよぉ……
ずっと一緒にいろよぉ……
もう、一人、やだ……
[
伸ばされた腕の中に収まると、更に感情があふれて止まらなくなる。
独りになったあの時からずっと、隠した本当が止まない。
困らせると分かっていても、どうする事もできない。]
迷惑なんて言うなぁ……おま、お前のせい、お前、の…………
[子供みたいにみっともなく泣きじゃくった。
こんなに、こんな風になるだなんて思ってもなかったのに。]**
あー……もう……
泣くなっつーのに……
[泣きじゃくる彼女を抱き締めて、優しく髪を撫でた。
どう考えても、離れたほうが
彼女はまともな暮らしができそうなのだが]
じゃあ俺たちについてくるか?
俺の女になるか。
お前の飴、高く買ってくれそうな奴を
数人知ってる……。
[彼女が少年だったなら売り飛ばそうとした相手とか、
珍しいものなら盗品でも買う人とか。
ジャヤートには商売相手がそれなりにいた。
盗品売りより多少マシな生活になるかもしれない]**
[元々、母はここの出身ではない。「遠くから来たの」としか教えてもらえなかった。
単に、行く場所がどこにも無かったから。
それがずっと住んでいた理由である。
「絵」を描けなくなるのは嫌なので、売り飛ばされるのは御免被りたかったが。
「絵」を描いて、暮らしていけるのなら。極論どんな場所でだって生きていける。
この先がどうなるかなんて、分からないけれど。それでも迷うことなど無かった。]**
[即答で返事をするのを聞くと、
嬉しいよりも、少し戸惑ってしまった。
そんなに簡単に今までの生活を捨てられるのかと]
……独りで暮らすって、そんな辛いものなのか。
なら、ユゼ。
これからずっと一緒だ。
[彼女と離れずに済んだことに安堵が湧いて、
一度彼女を強く抱き締めた。
仲間が増えるきっかけなんて、いつも些細なものだった]**
うん。
嘘、だったら、許さねぇぞ……
[ 『ずっと一緒』
その言葉がひび割れていた心を埋めていく。
呼応するように、強くつよく、抱き締めかえした。]
こんな嘘つくもんか。
[彼女の髪を優しく撫でて、そっと顎に手を当てた。
誓いの印になればと、静かに唇を近づける。
彼女が応じてくれるなら、触れるだけの、
少し長めのキスをするだろう]*
[何も言わずに頷いた。
優しく触れる手が心地よくて、そっと目を閉じる。
了承の意だと、伝わるだろうか。]*
[彼女が目を閉じるのを見て、
静かに唇を重ねる。
触れるだけだけれど、
感触を確かめ合う時間をゆっくりと過ごして。
離れた後にはもう一度、
彼女を両腕でしっかりと抱き締めた]**
| [その後、同胞に話を通した。
仲間が増えるきっかけはいつも些細で、 いろんなところに転がっている。
だから同胞たちはそう驚いた風でなかった。 そんなこともあるか、と自然に受け入れてくれた。
彼女の性格もあって、打ち解けるのも早かった。 子どもたちの中には『絵』を教えてほしいと願う者もいた。
そうしてジャヤートたちの拠点で新生活が始まった。 拠点としている場所は、狭苦しいが部屋数はそこそこ。 二人で過ごせる個室も一応あった] (21) 2022/08/07(Sun) 21:39:05 |
| 今日は駅をお偉いさんが通るって噂。 目に留まれば買ってもらえるかもな。 周りの連中だけにでもさ。 [問いかけに答えて、今日の予定を伝える。 >>19 ジャヤートたちの商材はそれまで盗品が多かったが、 盗品に拘っていたわけではない。 ユゼが糖画を売って稼げるのを把握してからすぐに、 どこでなら効率よく売れそうかの情報収集が始まった] (22) 2022/08/07(Sun) 21:39:42 |
| んで、明日は例のお得意様の屋敷。 金持ちだし、吹っ掛けていいぞ。 [例のお得意様とは、ユゼが少年だったなら 売り飛ばされていただろう先のひとつである。 >>1:37 囲った美少年の人数分買ってくれるかもしれない。 上手くいけばの話だが。 そんなふうにユゼを頼りに商売をすることになったが、 盗品や人身を売買するよりは遥かに良い暮らしである。 そのうち、地元での評判もマシになっていくだろう]** (23) 2022/08/07(Sun) 21:40:14 |
| [拠点に連れ帰ってきてからというもの、 ユゼは日増しに楽しそうに暮らすようになった。 >>24 それまでの彼女の姿に、そう詳しいわけではないが。 接客中の笑顔はまさしく作り笑いだったというのは 記憶していた。 >>0:27 それに、孤独に強く飢える様子だったことも。 今は孤独など感じる暇もなさそうにしている。 仲間が増えた後、いつもそれを見るのが楽しいのだ。 それまでとの落差を感じる姿を] (27) 2022/08/07(Sun) 22:34:24 |
| 俺の好きな花……? [ >>26唐突な問いかけに目を瞬いた。 そういえば花瓶を大切にしていたなと、 個室に置いたのを思い出す] (28) 2022/08/07(Sun) 22:34:40 |
|
んー。あれかな。 牡丹一華……。
この辺じゃ自生してるのはあんま見ねぇけど。
[以前、どこかで花瓶に活けられているのを見て、 その花の可愛らしさに興味を持ったのだ。
その後に花言葉を知って、ますます気に入った。 そんな花である。
もっとも、花言葉については、 問われても自分から言うことはないだろう]** (29) 2022/08/07(Sun) 22:34:58 |
| あぁ……なるほどな? 日々道楽して過ごしてる金持ちなら、 伝手があるかもしんねぇな……。 [彼女の発案に納得する。 >>30 屋敷には様々な花が生けられていた記憶もある。 牡丹一華をそこで見たかは記憶がはっきりしないが。 季節外れの花は富豪でも簡単に手に入らないだろうが、 それもまた、何度も訪ねる口実になる。 互いの知らないことは、いくつもある。 これから共に暮らす間に、少しずつ 知り合うことになるのだろう] (32) 2022/08/08(Mon) 8:19:33 |
| [いずれ話すことになるのだろう。 女性に手を出さないと決めていた理由も。
単に姉が自分を庇って殺されただけなのだが。 そのときの声が忘れられなくて、 女性の悲鳴が聞きたくない。 そんなありがちな話である。
ジャヤートが属する集団は、 似たような事情の者や、自分自身が女性の者、 特別な事情が無くとも同調する者。 そういった者たちの集まりであった] (33) 2022/08/08(Mon) 8:20:07 |
| [ >>31彼女が目下の稼ぎ頭なこともあって、 皆、熱心に彼女を手伝った。 荷車も交代で運べば移動が早く済むし、 現地に着けば客の呼び込みに駆け回るし。 休憩の時分には軽食を調達してくる者もいる。 その分、彼女も絵を描き続けることになるだろうが。 皆で揃って後ろ暗くない活動に精を出すのは これまでになかったことで、皆の笑顔は明るかった。 彼女がもたらしてくれた笑顔だった] (34) 2022/08/08(Mon) 8:20:41 |
| [その日の仕事が一段落する頃] なぁユゼ……、 カエル描ける? 小さいやつ。 [しばらく考えていた、彼女に描いてほしいもの。 >>18 それをやっと思いついて、頼んでみた。 ジャヤートが思い浮かべているのは、 アマガエルのような小さくて可愛らしいものである。 いざ描いてもらったところで、 それを食べられるかというと、少々悩ましいのだが]** (35) 2022/08/08(Mon) 8:21:15 |
| [「可愛いモノ」と言われて、また目を瞬いた >>38] カエルって可愛いのか……、 確かに想像してる奴は可愛いんだが……。 [解せない顔をしつつ、絵を描く姿を見守る。 出来上がったのは、リアル調とデフォルメ調の二つ] おぉ……。 似てるなこいつ……あの時のと。 [言いながら見つめたのは、リアル調のカエルの絵だ。 今にも動き出して雑草の陰に潜り込んでいきそうな、 飴でできたアマガエル] (39) 2022/08/08(Mon) 15:10:20 |
|
あ、そうだ。代金。 ユゼ、ありがとな。
[頼んだからには、と支払いをした。 といっても彼女が求める最低額だが。 それからしばらくリアル調の絵を眺めていたら、 幼い仲間に物欲しそうにされて、 デフォルメ調のほうは譲ることになった]** (40) 2022/08/08(Mon) 15:10:43 |
| ユゼはカエル可愛く見えるのな……。 [当然のように答えられて >>41、しみじみと返す。 小さく呟く声が聞こえても、その時は何も言えなかった] (43) 2022/08/08(Mon) 17:57:17 |
| [けれど改めて、気に入ったのかと問われて >>42] ん……昔、俺にまだ家族がいた頃に見たカエルが こんな感じの奴だったなーってさ……。 その頃のことをなんとなく思い出して、 ユゼに描いてもらったらどんなかと思ったんだ。 [それ以上を語ろうと思っても、今は難しかった。 親しみを感じてはいても、出会って数日の仲。 これから先の日々で、少しずつ話すことになるのだろう。 それが姉と歩いた最後の帰り道の話だと]* (44) 2022/08/08(Mon) 17:57:42 |
| おわっ……。 [突然に膝に乗ってこられて、 >>46 驚いて彼女の顔を見つめた。 落としかけた『絵』をしっかり持ち直し、 続く言葉を聞いて彼女を抱き締めた] ははっ、そうだな。 気長にやってきゃいいんだよな、 お前は『俺の女』なんだし。 [確認するように同じ言葉を返して、頬に口づける。 唇でないのはなぜかって? 周りに人がいるからだ] (48) 2022/08/08(Mon) 19:11:46 |
| [その後。 富豪の屋敷でもユゼの糖画の評判は上々だった。 牡丹一華を頼んでみたら、必ず手に入れると豪語してくれた。
少年趣味の富豪はユゼを大層気に入った様子だったが]
悪いがこいつは売り物じゃない。 俺の女なんで。
[そう断ったら、富豪は非常に残念そうであった] (49) 2022/08/08(Mon) 19:11:57 |
| [早咲きの牡丹一華を手に入れたと一報をもらうのは、 数ヶ月経ったころ。
想像以上の数の牡丹一華に迎えられ、 再び糖画を披露することになるだろう]** (50) 2022/08/08(Mon) 19:12:11 |
| [好きな花だとは言ったけれど、 理由は結局言わなかった。 >>29 その牡丹一華の花言葉が、 彼女との今までとこれからを彩る。 >>52 時計のベルが鳴ったとき、 >>53 目覚めを拒むように隣にいる彼女を抱き締めた。 ──これからもずっと、ずっと一緒だ]** (54) 2022/08/08(Mon) 20:25:27 |
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