45 【R18】雲を泳ぐラッコ
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[だから「忘れると思ってた」なんていわれても、
目を伏せて笑うだけで終わらせた。
本当は断られるのが怖くて仕方ない。
穏やかで薄い、中庭の住人を続ける方が楽だっただろう。
でも、それじゃないって蹴ったのは私なんだ。
戻れなくても仕方がないけど、怖いよ。
リフル 助けて]
―― 休日の屋敷前 ――
[民族衣装をまとって、髪は三つ編みして垂らして
訪問者の前に立つ。
表から出ようとすると近衛兵がおまけについて来るので、
いつかと同じ裏口で待ち合わせた。
教会で見る牧師さんのなかでも飾り気のない祭服は、
以前、髪をまとめてリボンで結っていたリフルと印象が違う。
ヒールを履いた私が身長を追い越したか、
お姫様に合わせて歩く歩幅のせいか。
ずいぶん大人しくなったように見える。
モノクルと祭服で知的にすら見えて。
以前の彼が知的でなかったというわけではなく……うん
彼の左側の特等席にルミさまが見えたので、
小さく手を振った。
ドレスじゃないけど私だとわかってもらえるかしら]
[お出かけの前に怖い顔した
……それでも前よりは柔らかい表情のリフルから答えを聞いた]
……。
悪い子……。振ってくれもしないんだ。
でも許したのは私だものね。
今日は一緒にいてね?
[顔を伏せればルミさまと目があった。
にこりと微笑みかけて、しゃがんで彼の視線から逃げた]
……さ、行きましょう。
今日はルミさまと街を回るんですよね。
お供に選んでいただき光栄です、ルミさま。
クッキーはなにがお好きかしら。
この季節なら私はジンジャークッキーが好きです。
少しスパイスが入っているけど、温まりますよ。
[ミルクと食べるのがおいしいです、と彼女に笑って、
そのままの笑顔でルミさまの反対側のリフルの隣に並んだ。
ほら、リフルは場所知ってるでしょう?
大きくなったけど看板はそのままだから間違わないよ
[義手の方をつついて
クッキー屋までのエスコートは丸投げした。
その後は私が引き受けますからいいでしょう?
ガラスの髪飾りのお店なんて、リフル知らないでしょう。
収穫祭が近いから民族衣装を飾っているお店も出ている。
リボンと小さなグロスでお化粧して、ディアンドルを着たら
妖精みたいで可愛らしいに違いない。
ちょっと張り切って、ルミさまをおもてなししよう。
リフルが止めるかは彼の教育方針に寄るんだろう。
後から彼女が贅沢になったとか怒られても、
私そんなの聞いてないもん]
[その日はルミさまがいるから
日が沈む前に別れるのだろう。
すこしぼうっと夕焼けを見ていた]
また来たいね
[本音のなかに本音を隠した。
リフルとルミさまと、穏やかな時間が楽しい。
六年前と違って、平和にすごせた時間が嬉しい。
お姫様の邪魔をしないように、義手の手に触れた。
秋の空気で冷たい、リフルの手]
触るのいや?
少しだけ、こうしててもいいかな……。
[手を繋ぐことも指を絡ませることもせず、
手の甲同士を合わせて、冷やされた息を吐いた。
「また来たい」とは言ったけど次はあるのだろうか。
赤く染まる雲ばかりを見て、リフルの顔は見れなかった。
空でくるくる回るラッコが3人を見下ろしていたけど、
そんな不思議に気が付きもしなかった**]
[彼女の屋敷へ招かれた夜、
彼女は貴族らしくこちらの処遇を述べる。
もてるもののなんとか……だったか。
こういうのはきっと考えたって理解できないと思っていたけれど、教会で働いて、弱き者たちに手を差し伸べて来た今なら少しわかる。多分、持っているものの量が桁違いだろうから、己が理解しているのは一部なのだろうけれど。
彼女が仮面を被った事はわかったけれど……
それを観察する事すら出来ずに、
各々の夢の中へ歩いて行ったのだった]
[そんな記憶もまだ新しい休日。
屋敷の裏口へ赴けば、
そこには少女の様なお嬢様が立っていた。
六年前のあの日より可愛らしい格好だったから、
若返った様な印象だった。
けれどルミは「あー!」とすぐに気付いて手を振った。
彼女のすぐ傍迄行って、変わらない気持ちを吐露すれば、
お互いに苦い思いをした]
……お嬢様のお心の広さに感謝します。
もちろん。
[おどけた様な、それでいて真に謝意を含む声色で頭を下げた後、ぱっと顔を上げて頷いたけれど、逆に彼女はルミの方へしゃがんで微笑み合っていた。
逃げられたというのに、悪い気がしなかった。
この光景が………、]
「ルミはチョコのが好き!
ちちはチョコ少ないチョコのクッキーが
好きって言う」
[にこにこしながらルミはクッキーの話に花を咲かせる。
お嬢様の話にもきちんと耳と傾け、
ジンジャー?あったまる??と首を傾げたり、
ミルクと食べるとおいしい?と目を輝かせたりする様は、
気のせいか、己と居る時よりはつらつとしている様な……]
あぁ、はいはい。
[彼女につつかれ、彼女を真似したルミにつつかれ、
こそばゆい様な気持ちでクッキー屋へ歩き出す。
自分はよほど締まらない顔をしていたのか、
少しばかり変化があるだろう街並みに目を遣ったりしていたら、通行人がじっと己の顔を見ている。
気恥ずかしくなって、目線を彼女やルミへ向ける。
話していればマシだろうと、
向こうの筋にあった店の話を振ったり、
彼女からガラスの髪飾りの店の話を聞いたりした]
[クッキー屋に着けば
三人で好きなクッキーを選んで袋に詰めてもらう。
ルミが試食のマーブルのクッキーをおいしいおいしいとほっぺたが落ちる様な仕草で絶賛すれば、二枚おまけしてくれたりした。
あれ、二枚って多分ルミとお嬢様の分だよな、と、少し仲間外れにされた様な気分も、悪くなかった。
民族衣装を扱う店に寄れば、
彼女自らルミをコーディネートしてくれた。
ルミには贅沢はさせてやれなかったから、こういうのも良いか、何より可愛いし、と思って微笑ましく見ていたが、服飾諸々の値札を見て首を振った。
ルミは満足そうに鏡の前で踊っている。
ルミの後ろで、ちょっとお嬢様!と小声で抗議したが、素知らぬ顔をされた。更に、]
「このまえのドレスも着たいなー」
[と、お嬢様をじーっと見て呟く始末。
お嬢様みたいなドレスは子供用でもすんごい高いんだぞと宥めるが、「でもかわいいでしょ?これも!」と小首を傾げてくる]
………あぁ、
可愛いよ。
ありがとう、おじょうさ……おっと
………、
[ルミを可愛くドレスアップしてくれてありがとう、とお嬢様を振り向いて、そう呼んではいけないと口を噤む。
何だっけ、変装用につけた名前。……あぁ、確か…
思い出すのに時間を要して、既に改めて呼ぶ空気ではなくなっていた。
誤魔化す様にふっと笑って、行きましょうかと店を出るだろう]
[楽しい時間はあっという間で、
既に街を照らす光が色を変えていた。
世界にとろりと滲む様なオレンジの世界を、
彼女とルミは見ていた。
オレはそんな二人をこっそりと盗み見ながら、
彼女の「また来たい」に、はいともいいえとも返さなかった。
それでも、拒む様な空気は纏っていなかっただろう]
いやじゃないですよ。
[ルミが無邪気にぎゅーっと握っている方の右手と違い、
彼女の触れる左手は、本当にただ触れているだけ。
いやな筈がない。
即答したけれど……
したのち、急にあの肌寒さを思い出した。
自分は、何を考えているんだろうか。
……手の甲を裏返そうと、して、]
………
「ちちー、メグさぁん、お空見てー」
[ルミが空を指差した。そこには不思議な光景が浮かんでいたのだけれど、それよりルミが口にした名前にぎょっとした]
あ、ええと……
[お嬢様も空ではなく、ルミを見ていただろうか。
どう言い訳をしたものか……目を泳がせたのち……
ルミにシャーリエの話をしていた事を話す。
発音が難しかったらしく、短い「メグ」の名前でルミに紹介していたら、そちらで覚えてしまったらしい。
バツが悪そうにぽりぽりと頬を掻いてから、
お嬢様の仮面の下に呼び掛けた]
なぁ。
オレも、メグって呼んでもいいか?
敬してるお嬢様の名前でなくて、
メグって呼んで……
それなら少し、
違う気持ちも持てるかもしれない……
[かもしれないのたとえ話で彼女を期待させて、
また傷付ける可能性だってなくはない。でも、
ルミに優しくしてくれる彼女を見て、今日彼女と話して、彼女と並んで……彼女を守れた時とは違った幸せを感じたんだ。
己の代わりに寝る時にルミの頭を撫でてくれる人が居ればいいと思った。
それはつまり、ルミの母親で、自分の伴侶なんだけれども……]
[小さな確信と小さな衝動を経て、
恋と呼ぶには程遠い気持ちが芽吹いたかもしれない。
程遠いから、彼女から握られたら手を逃がしてしまうが、
この場所からはもう逃げない]
……また、来ましょうね。
[ふっと柔らかく笑んだ瞳には、
赤く染まる銀髪の女性だけが映った。
彼女を屋敷へ送り届ける時は、
彼女を真ん中に迎えた三人だっただろう。
今はルミだけが彼女と手を繋いでいるけれど、
いつか、
三人で手を繋いで仲良く歩く日も、来るのかもしれない。**]
[六年前に焦がれていた姿とは違う、
今のリフルが屋敷に迎えに来てくれた
。
……使用人のシャツとパンツに
髪をまとめたリボンがワンポイントの
動きやすくまとめた身軽な姿から
ローブに義手の大部分を隠しているのに、
落ち着いた黒とそこだけ光る片メガネの
色々あって落ち着いたような姿……]
あ、こっちのがかっこいいかも……
[呆気なく次の恋に燃料をくべそうになって、
私の中で私が喧嘩する]
「もうしんどいから諦めるんじゃなかったの!?」
なにを聞き分けいい子してるんです?
諦められないからやり直したんですぅ〜。
一緒にいて嬉しいんでしょう?
「ぶりっ子に死を!」
[皆さん頭の中で天使と悪魔の声がすると仰いますが、
私は阿呆と莫迦の声が聞こえます。
この恋もだめかもしれないというのに、
なにを楽しんでいるんだか。
……まあいいや放っておこう。
ルミさまに移さないように深く深くに埋めておこう]
うん。うん……
あら、リフルはチョコが少ない方がいいの。
ルミさまがチョコ多いの食べられるわね?
[ちらりと「ちち」を確認する。
リフルうそつき。
お姫様に譲ってるんでしょう。
……知らないところで父親してるんだ。
嬉しそうにちちとクッキーの話をしてくれる彼女は、
これから行くクッキー屋にも興味をもってくれたようで、
2人でリフルを挟んで歩く道でもおいしい話に花が咲く。
ねえ、ってリフルに話を振れば、たまたま視線が重なって]
そう、ね。
ガラスだから光が入るときれいよ。
きっと気に入ってもらえると思うの。
[距離感に戸惑いながら、
久しぶりに萌黄の目を見つめた。
リフルの瞳みたいなイエローグリーンのガラス玉が欲しくて、
こっそり屋敷を抜け出したのは5年前だったかしら。
庭のパラソルに付けて、萌黄越しに見る庭もいいものですよ。
……と言いかけて、ちょっと口ごもった。
なんだかベタ惚れエピソードっぽいから黙っておこう。
先の恋はなかったことにしたんだ。
なにより、今日のリフルは父親の顔をしているんだから、
困らせることはやめておきましょう。]
[おいしいクッキーを堪能して、
どこかで習ったように食べ歩きをしようと思ったけれど、
試食の口が甘いままだし、と、
可愛いものを沢山そろえたお店にお姫様をお連れした。
クッキーのおまけは、後で親子で分けてもらえればいい。]
[くるくる回るルミさまのダンスに
まあすてき、ってハミングを乗せる。
作りかけの3拍子のメロディーを、
彼女の動きにあわせてリズムを変える。
つまづきそうになったらテンポを落として手を支え、
ステップが戻ればテンポも戻す。
なにやら抗議が飛んできたから
可愛いでしょう?って歌を止めた。
お姫様なら]
きっと『ドレスも』似合うのに
[一部ハモったルミさまと顔を見合わせて、ねーって言った]
リフルで遊ぶのも程々にしましょうね。
気に入ってもらえて良かった。
是非その衣装で収穫祭も楽しんでください。
[親子が秋のお祭りに出かける時間はあるのかしら。
リフルの方を伺ってみれば、ありがとう、と聞こえた。
慈愛がこもっていればルミさまのことだなって解ったから、
頷きだけを返した]
[オレンジ色の空の下で彼の冷たい温度に触れている。
これ以上踏み込めないのは、まだ怖いから。
前は手を繋ぐくらい思い切れたのにね。
思い切ったから、歩幅が合わなかったのだろうか]
「ちちー、メグさぁん、お空見てー」
[可愛く空の上を見ているお姫様が、
もうだれも呼ばなくなったあだ名を呼んだ。
まず心を読まれたかと思って彼女を見た。
そして、視線が私を避けているリフルを見た。
リフルなら私がメグなのを知っているけど、
どうしてルミさまに教えたんだろう。
答え合わせは困ったものを見つけられたような顔した
リフルがしてくれた。]
……っ
[メグ、と口にだされて足がすくむ。
騒いでいた阿呆と莫迦の私も縮こまった。
違う気持ちなんて、期待ばかり膨らんで断れない。
シャーリエじゃない私は、まだ居ていいんだろうか]
[メグって呼ばれて出てきた小さな頃の私だけが、
背の高かったお姉さまを見上げる気持ちのまま空を見た]
[ほら見て、って彼の方を向いて緩んだ心の隙間に、
もう長く聴いていない名前
が刺さる。
さんづけで呼ばれることなんてなかった。
ぎこちなく手を握られることなんてなかった。
この人は他の人とは違うんだって、うなずいてしまった。
はふ、と力が抜けたようにその場に座り込む。
離れてしまってもまだ冷たい右手で、
ルミさまを手招きする。]
リフルの好きなこと、教えて?
[これからの作戦会議は素早く内密に。
リフルに起こされるよりも前に秘密を二言交わして、
急いで立ち上がった。
年頃の女子には急に立ちくらみがあるのよ、って顔で、
何でもないって笑うけど、
優しい笑顔で見つめられてしまっては、
顔が火照るのをどうしようもないんだ。
――私、またこの人のこと忘れられなくなるんだ。
奇跡の流れ星はまだ降っていたけれど、
視線は空を向かないまま、奇跡の日は暮れていった]
[それからずっと後の日。
2人をピアノの部屋に招いた。
譜面台には一枚の手書き譜が乗っている。
あまりにも恥ずかしい歌詞を書き作曲したのは
エリックという男性。
ということにした私なのは、気が付かれても認めない方針]
[外国語で書かれた詩は私にも歌いづらいが、
ルミさまにもわからない。と思っている。
外国を旅したリフルは聴いて理解してしまうんだろうか]
[修正のあとがおびただしい譜を開けば、
Je te veux《あなたがほしい》のタイトルが現れる。
息を吸い込んでペダルを踏み込み、
3拍子の甘い和音をピアノに歌わせて、歌をうたった]
|
[2度目のキスは、 ちゃんと、 触れ合った。]
(100) 2020/10/13(Tue) 6:48:41 |
| [図書室だけだったデートの範囲が、 広がっていく。 初めてのデートは本屋。 だけど私は熱心な読書家にはなれなくて、 友君の持つ本を横から覗き込んだり、 友君の睫毛を眺めたり。
喫茶店で頼むのは、 ピーチゼリーソーダと バナナのミルククレープ添え。 クレープは二つ、ストローもふたつ。 友くんがもにょもにょ言ったって、 ドリンクだけはひとつきり。 だって、美味しいドリンクを分け合うなんて、 影だけが相手じゃできないもん。
友くんと触れ合えるのが嬉しくて、 甘やかな声も、意外と豊かな表情も、 どんどん好きになっていく。
だけど──] (101) 2020/10/13(Tue) 6:49:40 |
| [ キス魔なのは、その、困る。 ちょっと、困る! 人前は一応避けてくれるものの、 二人きり、の瞬間を狙って 友くんはキスをしてくる。 そりゃ、嬉しいけど。うれしいけど! 見られやしないかヒヤヒヤするし、 私にも心の準備ってものがある。 それこそ、チアの子達に何を言われるか!] (102) 2020/10/13(Tue) 6:50:17 |
| 「ナツキ全然彼氏のこと喋らないね?」 「前はぺらぺら話してたくせにー」 [と、チアの子にはからかわれる。
笑いを取るのは好き。 自分がピエロになることで みんなに笑ってもらえるなら、 積極的に話に行くけど。
だけど、友くんと何を話して、 私が何を感じたかは、 誰にも言わない。 自慢したいけど自慢したくない。 そんな気持ち、初めて知って。
だから、初デートのおしゃれのため 部員達に泣きついて初めて 友君の存在が知れ渡ったのだ。
「ナツキつまんなーい」「吐けー」 良いんだ。笑顔にならチアでするから。] (103) 2020/10/13(Tue) 6:51:16 |
手入れ、ねえ。
[ 既に無くなった記憶を世話する必要があるのだろうか。 ……いや、彼は記憶を消す、と言うよりかは「封じる」と言っていたような気もする。それならばこれらは鍵の開けられない箱に閉じられているだけなのだろう。
そしてこの小さいのはこれらの管理人。あるいは記憶を大切に守っている存在なのだろう。本当の事ばかりを口にする深層意識とは違うようだし。
……つまり、どういうことなのだろうか。理解の及ばない悉くに口を引き結び、天を仰ぐように息を吐いた。SFじみた概念は触れこそしても得意ではないのだ。
正しい真実は取り上げたこれらに映る──……記憶、のみか。再び脳裏に浮かんだビジョンに小さく眉を顰める。
自分は叱咤した記憶の改竄行為に助けられたものも少なからずあったのだ。]
出来ちまうって言うのは、
何もできないよりかずっとよからぬものなのかね……?
[ 好転した案件を見る。彼はその友人が幸福になったことを喜んだんだろうか? ]
[ 音もない世界の中、自分の背を見ている彼に声なく問う。
その真相がどうあれ、自分には彼が身を削って人に捧げているように見えていた。
無口で不愛想とはいえ理不尽でも傲慢でもない彼のことだ。心を許す人物がこれから増えないとも限らない。出会う人物が彼の力を望まないとも限らないのに。
球体に額を押し付けるようにして瞬きした。 ]
もっと自分の事も大切にしてやんなさいよ。
[ 言ったところで届かないのは知っている。同じことを言ってやるべき人がとうにいなくなったのを
……聞いていた。]
[ 彼もまた忘れていることは悲しいことだけであってほしかった。
苦しさを忘れれば真っすぐ歩けるわけではないが、理不尽に適応する素直さや、自分を守るために使われた理解力の高さなど、必要のないモノを捨てて欲しいと願うのは庇護欲や老婆心に近いのかもしれない。
彼だからこそ、か。それとも誰に対してもそう思うのか、判断しようとは考えたこともなかった。
けれど少なくとも、少なくとも……自分は彼に幸せになってほしいのだ。自分が間違えた分だけ、傷ついた分だけ。
……好意を寄せてくれた分だけでも。
だって、あれほど怒鳴りあって牙を剥きだしにして。お前は間違っていると示してくれたことが、
それほど嫌ではなかったのだから。]
自分を潰して得た強さとか、
そんなの寂しいもんなんだぜ。
[ ほら、お前にだって幸せになる権利はあった。
自分にだってあったはずだ。今はもう必要ないが。
誰かが笑ってくれれば、この痛みや苦しみにも意味があるような気がするから、だから……。 ]
あ。
[ ふと、瞬いた。瞬いて、呆れたように噴き出して、笑った。
そうか、そういうことか。]
僕は、あれか。そうだ。
僕の代わりにめいっぱい幸せになってほしかったんだぜ、シグマ。
……アキラ。
[ きっと彼の幸せな姿を見れば自分も幸せになれるのだろう。自分が直接幸せになることは許し難い。けれど他人が、よく知った他人が幸せそうに笑ってくれるならきっと。それが一番望ましいことなんだろう。
なんて傲慢だ、なんてエゴだ。悍ましくて馬鹿らしい。
救い難いEnablerが本質であるならばこれほど醜いものはないが。これを尤もらしく解説して納得してくれれば御の字だ。
……それが「お前の幸せが僕の幸せだ」なんて安っぽくて胡散臭いにも程がある言葉になることに、今は気づけない。
───。 ]
| 「GO! FIGHT! WIN!」
[自分の中にある熱が、 汗となり、声となり 発散されていく。
会場内は熱い。気温だけではない。 ここに集まっている人たちの 若さや、情熱や、希望や、愛情で、 とにかくあついのだ。
声がどこまでも広がって、 やがて自分の耳に戻ってくる。反響。 たっぷり体に染み渡るような、残響。
モーション。体の中の筋肉、 インナーマッスルで体を止める。 体を動かす時間をできるだけ短く、 モーションを決めている時間を できるだけ長く。 腹筋に力を込めて、 明確に体をストップさせる。
反響して戻ってきた声で、 シンバルのように鼓膜が揺れる。] (106) 2020/10/13(Tue) 6:53:18 |
いや馬鹿じゃねえの?
[ ついでに次のやつには気づきたくなかった。
見たい幸せと願いはこっちのだけでよかったんだけど!! ]
| [これは、と気づく。 高々とアキナを投げる。 重力が消える最高地点でトゥ・タッチ。 これは、反響しているんじゃない。 私たちの声の残響じゃない。 客席からの掛け声だ。 掛け声が返ってきている。
二分三十秒の演技が、終わる。 席に並ぶ一つ一つの顔、 その中によく知った顔立ちを見つけた。
二分三十秒の演技が、終わる。 鳴り止まない歓声の中、 客席に並ぶ笑顔の中の、 一番良く知る顔に向かって、 繋いだ手を高々と真上に突きあげる。
チアリーディングはスポーツだ。 グラウンドの外の花じゃない。 技を競う真剣勝負。 勝利の証は、会場に溢れる笑顔。 私たちは誰かを応援するために、 競い、高め合う。
だけど、私自身が折れてしまった時に 応援してくれたのは、 友君、あなたの言葉でした。]** (107) 2020/10/13(Tue) 6:54:37 |
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