人狼物語 三日月国


224 【R18G】海辺のフチラータ2【身内】

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「カクテルって度数強いからさぁ、油断してると来るし……」
「いーだろ。払いたいってんなら割り勘でも」

小突かれたら小突き返す。いつものやりとりだ。
ドアを開けて店内に入れば、薄暗い空間に雰囲気の良いBGMが流れていた。
それに混じって聞こえるのは先客の談笑、シェーカーのフラれる音、グラスが置かれる固い音。

「場違いなもんかよ。あんたちゃんとしたカッコしてんだから」
「どうせならカウンター座るべ〜」

こちらはそんな空気に気圧される様子はない。
むしろ慣れた様子で裾を握られたままカウンター席を指さし歩き出した。

「マスターどーもぉ。チーズ貰える?」

先につまみの注文も。カクテルは二人で選ぼうと思って。

【人】 Chiavica テオドロ

>>95 ヴィンセンツィオ 0日目

「他人に身を切れと強いる手間を考えると、自分が切った方が早いですから……どうしても。好きでやってるわけではありません。
 必要に迫られることがなければいいくらいは思っています」

茶目っ気が伝わったからか、此方も気兼ねなく拗ねたような物言いで。地位、年季、それらの差が縮むことはなく、対等でこそないが、対等でないなりに肩の力を抜いて居られている。

「……問題なければ、特には。
 拘りらしいものはありませんし、他の皆に迷惑が掛からなければそれでいいんです。命じられればプライベートでもある程度気を付けようと思うだけ」

「俺は何にも理想を抱いたりはしませんが、
 そこ行く市民や、同じ警察の人間はどうか分かりませんから」

一人鯱張ったところで、それこそたいして世の趨勢は変わりはしないのだろうけど。それ一つで誰かの溜飲が下がるなら吝かではないとも思う。

「俺は多少の骨身くらいは惜しまないんですが、
 周りの方々はどうも便宜を図ってくれるというか、お優しい人ばかりで。
 ……皮肉ではなく。言った通り、楽にしていても構わないならその厚意を喜んで甘受します」

言葉面こそ素直ではないが、やはり必要を越して抑圧する必要がないのは助かってはいる。不器用ながらもそう伝えたい様子だった。

#街中
(102) 2023/09/13(Wed) 11:37:47

【人】 Chiavica テオドロ

>>74 ダニエラ

「ふむ。あなたがいるということは、
 このジェラテリアは中々上等そうですね」

ピスタッキオの色もナチュラルに見えます、と呟く。
後方から緩く覗き込むように見ていた男は素敵なオフタイムを邪魔しに来たわけではなく、気まぐれに甘味を摂りにきただけ。

「私はミルクの花fior di latteにでもしましょうか……」

特に気後れすることもなく頼むあたり、
食の楽しみは万人共通、といったところだ。
(104) 2023/09/13(Wed) 12:33:21
じゃあ割り勘!と元気な返事を返したりしていた店前。
その快活さは店内に入ってすぐ、ひととき鳴りを潜めていて。

「え、え〜でもぉ……あっ、待って、待って」

店を教えてくれた辺り貴方はこういう場に慣れているのだろう。
さすがだな、なんて内心感心しきる前に歩き出してしまう。
それで指先を離すということはなく、ちゃんと着いていけば隣り合ってカウンター席に座ることになるのだろう。
すぐにつまみの注文をしている辺りも"慣れ"を感じて、今度こそ素直に感心しながら。

「こんにちは〜……こんばんはか。
 えっとドリンクメニューはこれで……」

テーブルに備え付けられていたメニューを開けば、視線を落として文字を追う。
文字を……追う……お洒落な響きがたくさん……並んで……。

「………………」

「……なっ、名前だけじゃ何がなんだかわかんね〜んだけど……!?」


どうしたら……!?みたいな顔で貴方を見上げた。適当に選んで博打するのかなって思ってる。

エナメルを剥がし終えた手を保湿する。
そうして漸く視線が上がった。鮮やかなミントブルー。

「…倒れませんよお。」
「そんな暇、ありませんしい?」

声に、多少の笑みが乗る。
お金のためであったとしても、その言葉は少し嬉しかった。
それでもその笑みに寂寥が乗ったのはきっと、続いたボヤきを聞いたからだ。
瞬きとともにその寂寥も、塗り潰して消えてしまったけれど。

「そお。あたしたちの可愛い後輩クン。」

さすが、名前くらいは知ってるんだねえと。
続いたその声は、少し明るい。

「新人だから、御しやすいとかあ。」
「同じことを署長代理お上も思ってるかもしれないとかあ。」

「…いろいろあるけど、1番は」
「ちょっと、個人的な事情。って、ことでえ。」

それに巻き込まれるあの子は本当に不憫だ。
だけど、煙が立つ前に日は消さねばならなかった。

【人】 Chiavica テオドロ

>>109 ダニエラ

「そのどちらでもあなたには関係ないことでしょう?」

だる絡みの気配を察知し、反射に任せて突き放しに入る。
とはいえそういう対応を取るのはどちらかといえば、仕事モードらしい、休憩中にありがちな挙動ではあった。

「……」
「……図らずとも、良い店が知れたのは収穫ですね」

届いたコーン付きジェラートを一口含んでからの一言。
頭脳労働後の身体に沁みる。どうやらお気に召した様子。

「早々……何度も足を運ぶことはないでしょうが。
 覚えておいて損はない程度で……」
(112) 2023/09/13(Wed) 18:32:38
並んでカウンター席に座れば、マスターの向こうのボトルや道具なんかが良く見える。
探せばキープボトルに付けられたタグに見知った名前があるかもしれないが、まあ、それはそれとして。

貴方が開いたメニューを覗き見る。
何にしようかね、と並ぶ名前に指を滑らせ──、

「……フ」
「アハハ!や、そーだよな。わかるよ、オレも初めて来た時そうなったから……えーと?」

その反応に声を弾ませて笑った。
それもそうだ。ここはファミリーレストランじゃないのだから、ご親切に全てのメニューに写真が付いている訳じゃない。
ましてやどんな酒で何が入っているかなんて説明が書かれていることの方が少ないし。

「何が気になる?わかる範囲なら教えるよ。
 オレもわかんなかったら……一緒に飲むべ」
「ラムコークとかホワイトルシアンとかもいいぞ。あれ殆どコーラと生クリームコーヒーだから」

【人】 Chiavica テオドロ

>>114 ダニエラ

「仕事中にも用意してあげましょうか、美味しい物。
 なけなしの元気がどちらに傾くか見ものです」
「俺も別に、美味しい物が好きでないって訳ではありませんけどね。あなたのように食い意地が張ってないだけなので」

嫌味を交えながらも苦笑半分で、どことなく軟化した態度を見せる。しょうもねえという自嘲を得てしまった時点で形勢不利だ。

「ましてや好きだから同じ店に通い詰める、というほど、
 強いこだわりがあるわけでもありませんしね。
 気が向いたら来る程度が丁度いいです、俺にとっては」

「……そう言うあなたは行きつけのお店とか多そうですが。
 飽きないんでしょうねえ、色々な場所の常連だと」

到底真似できる気がしないな、と印象に過ぎない話で勝手なことを言っている。男なりのちょっかいだ。
(118) 2023/09/13(Wed) 20:41:02
まだ緊張の抜けきっていない男はボトルをまじまじと眺めるほどの余裕を生み出せていなかった。
ので、キープボトルのタグには気が付かないまま、そもキープボトルの概念も知らない初心者だが…
笑われると少し恥ずかしそうに一瞬頬を膨らませたが、それこそ子供っぽいのですぐにやめて。

「えっと……えっと」

何が気になるかと言われると、全部気になる。分からなさ過ぎて。
強いて言うならを探そうとする前、貴方からの例示を受けたのでぱっと顔を上げた。

「オレ、コーヒーは好き!
 生クリームコーヒーってうまそ〜……!
 最初それにしようかな、ええっと、ホワイトルシアン?」

「ロメオさんはいつも何頼むの?どんなのが好き?」

おいしそうを思えば単純なので瞳の輝きが戻ってくる。
その勢いのままに貴方の好きなものも知りたくなって元気に尋ねていた。

/*襲撃まわりの描写について、いかがいたしましょうか。
 アリソンからは初回は特にありません。
 運営ちゃんさんには、寄付者の名前としてアリソン・カンパネッロ女史を伝えてあります。お二方から描写などありましたら投げて頂きましたら!

「ひゃ、108人も?美しさと愛くるしさを兼ね備えた存在……
 どうしたらそんなに殿方に意識して貰えるのかしら……
 美しさと言うからにはやはり、見た目が10割だったり…?」

自信満々な調子で放たれた言葉を疑う様子はない。
むしろ108人の男を魅了した蠱惑的な人物ペネロペ氏に、
その極意の一つでも伝授してもらおう、と言う姿勢だ。
こんな女でも一応は異性としての意識はされたいものらしい。

「そう。現実にそぐわない理想論だと叱られる事もあるから
 こうして静かに聞いて貰えるのって、嬉しい物なのね」

「夢なら、目覚めてもまたもう一度会って話がしたいな。
 案外近くに住んでいたり。出会う予知夢かもしれないわ」

花については然程興味がなさそうだから、相槌を打つだけで深く言及したりはしない。女性は花を愛でる人が多いからふわりと聞いただけで、アリーチェも花が好きだが詳しい訳でもなかったからだ。


「さあ?神話の類はスケールが大味だからな。
 108人もの男共を魅惑した所以はオデュッセイア…
 古代ギリシアの『ペネロペ』に学ぶこった」

「俺はまあ素材が良いんだわ、素材が」

やはり自分の外見が良いと言って憚らない。
とはいえそれ相応の努力もしてはいるのだろうが。

「あんたも見た目は悪かないと思うが……
 ここまで聞いた事を考えたら、
 男よりトラブルの方を引き寄せてそうだな」

或いはトラブルの一つでもある悪い男か。
話す傍らにモヒートを一口。あーこれだよこれ、と呟いた。

「予知夢ねえ。
 俺ぁオカルトは信じない質だが……
 ま、あったらあったで面白いかもしれねえな」

夢ならば、あなたが実在する人物かすら怪しいのに。
そう思うのは、こんな奇妙な夢だからかもしれない。

「そうする? んじゃそれにするか。
 カルーアミルクっつーほぼミルクコーヒーみたいなやつもあるんだけどさ。それよりも少し甘いのが、アイリッシュコーヒー……これは生クリームがホイップされて上に乗ってるしザラメも入ってる。しかも温かいカクテル」

コーヒーが好きと聞けば、
すらすらと他のコーヒーカクテルの名前を挙げる。
どれも一回は試し飲みしたものだ。酒は嫌いじゃない。
だからここにも、ここじゃないバーにも通っていたり。

「オレはフルーツ系が好きかなー……カンパリ・オレンジとか、
 スカーレットオハラ……クランベリーとライムのやつね。
 あとチョコっぽいのもおもしれーからたまに飲む。
 グラスホッパーとかほぼチョコミントだし」

メニューを点々と指差してすらすら答えている途中、
自分でも慣れてきたな……と思っていたり。

「お、おお……おお…………」

さらさらと貴方の唇から零れていくお酒の名前の数々。
ミルクコーヒーもおいしそうだし、温かいカクテルだって物珍しいし楽しそう。
そっか、ちゃんとフルーツ系もあるんだって納得しながら、そういうのもさっぱりしていていいんだろうなとか考えつつ。

「チョコミント……!?」


そんなのもあるの……!?の声色である。
瞳を輝かせながら口からハワワ…の声でも出てきそうなところ。

「……ど、どうしよ、ロメオさん。
 全部おいしそうに聞こえるんだけど」

「全部飲んだらオレ潰れる……?」

入るまではそんなに飲みません的なことを言っていたくせに、すぐに覚悟は瓦解した。あれもそれも、気になる。

「すごいよな。しかもちゃんと酒なんだぜ」

「…………」
「飲み方によるかなー……。全部15度以上あるだろうし」

全部か。腕を組んで少し考えた後、
ペース配分によるだろうとの結論を出した。

「一気にいっぱい飲んだら潰れるよ、多分。
 ……オレでも潰れるし。少し分けてやろうか。
 それかマスターなら小さめのグラスにでも
 出してくれんじゃねーかなあ」

なー、とマスターに促せば、マスターは微笑みを返すだろうか。

「とりあえずオレはー……ブルームーンで」

それから、少しの思考の間。
今までの例には挙げなかったカクテルを一つ頼む。

/*な、何も考えてなかった〜〜
初手の初手ですから、大して匂わせずしょっ引きたいところ。
所長代理殿のお顔立ても兼ねて

『直々に選抜された部隊が突撃して抜き打ち検挙した』

って形はどうでしょうか…
他案あれば練り込んだりも考え…考えます…

「ギリシャ神話……
 それなら相応しい名前を頂いたのね、ペネロペ。
 込められた想いの通りに生きられるって憧れるもの」

「……あは、は……
 見た目、はよくわからないんだけど、そうね……
 トラブルを起こしてしまいがちだからかしら、女と言うよりはその、妹として見られている気がしてならなくて……」

愛には繋がるが、恋には繋がらない。
愛を得られているならそこで充分大事にされているのではないか、だからと言って恋に憧れを持たないわけではないのが、女の難しい性だ。

「もしオカルトが現実だったら。
 警察だからって邪険にせずまたこうして仲良くお話して。
 無視されたら、取り締まっちゃうんだから」

なんて、この弱気女では絶対にできないとわかり切った冗談を言って、目を瞬かせた。心なしか、ほんの少し視界が霧がかった気がして訝しむように何度も目を擦る。

夢が少しずつ覚める合図だと女は薄々気付きかけた。


「そういうあんたは……んん〜、
 確かそうだな……アリーチェ、『高貴な』って意味だったか?
 ま、いつかそんな日も来るんじゃねえの」

ずいぶん楽観的な事を言いながら、またモヒートをぐいと飲む。
見た目にも涼しいカクテルは、喉に通しても涼を運ぶ。

「個人間では分かり合える、だったか?
 それで一本筋を通して見せたら、
 今よりもっと魅力的な女になるかもしれねえし」

「そう、そう。そうやっておっかないお巡りさんで居てみろよ。
 そうでもないと俺ぁ捕まんねえぞ」

けらけらと笑って、冷たいカクテルを飲み乾した。
それとほとんど同時に、視界がぼやけ霞んでいく。
なんとはなしに、それが目覚めの予兆だとわかる。

「んじゃ、『また』があったらまたな。Buona giornataごきげんよう

/*それで大丈夫と思います!
お二人は現場にいくということでよいですよね?
(名前は出しませんが)
それで大丈夫そうなら運営ちゃんにいっておきます!

“いつか”はこない。
破られることがわかっている約束を交わす。
それに罪悪感を抱く必要なんてないはずで。
それでも一瞬、確かに良心と呼ばれるものがずきりと痛んだ。

「高貴さとはかけ離れている女だと思うけど……
 もう、そんな簡単に高貴さなんて得られないのよ」

楽観的な発言に少し異議を挟むように呟く。高貴さ、だなんて、下手にいい女になるよりも遥かに難しそうだと思わず力なく首を振った。

「一本筋……私、すぐどっちつかずになっちゃうの。
 ……そうね、だからこそ、いつかそれを貫き通せる何かが来たら、今よりはきっと、」

「きっ、と……」
「わ、わかりあえるかなぁ………」


気弱さが途端に顔を見せた。全く、自分に欠片も自信のない女は言葉にすら強い自信を持てないらしい。
それでも、冗談めいて伝えた言葉は意外と好評だったらしく、へへ……と締まりのない緩い笑顔を返し。

「ええ、『また』。Buona giornata」

/*大丈夫です〜お手数おかけします!
そのような形で此方はお願いします!

/*
お返事遅くなりました、申し訳ございません!
特に出された案で問題ないかと存じますので、
そちらにてよろしくお願いいたします…。

また現場に行くで大丈夫です。
ガイオはお任せし、残りの部下確保にあたります。

お手数お掛け致しますが、
運営ちゃんへのお声かけよろしくお願いいたします…!!

/*確認ありがとうございます!
それではそのように運営ちゃんに良い感じにしてもらいますね!

二日目以降もよろしくおねがいしますーーー!

「まあこの年の新人は大層可愛らしいだろうよ。
 ……囲うだけでもなく、個人的な事情、か」

「いいじゃないか、わかりやすくて」

自分がそうしたいからする、大いに結構。

「俺も身内を漁る躊躇がないわけでもなかったからなあ。
 お陰で美人に色のついた大金を払わせずに済みそうだ」

お金のやり取りがあるとはいえ身内を調べ上げることに躊躇がないわけではない、というような言い方をする。
その言葉と表情と声色は何処まで正直に身の内にある感情を伝えられただろうか。

しかし表面上以上に仲良くなろうにも、自分たちはまだ何かを起こす前。
今だけのビジネスパートナーとはいえ男女二人きりのホテルでお気楽にネイルを整えていることに注意をするのはお節介か?

否、今すぐにでもこうるさく叱ってやりたいが考えることが多い。
すべての情報を自分一人で調べ切るような真似もしていない。
部下にも指示を出さねばならないし、と。

「………………イレネオ・デ・マリア」

しばらくして呟いたのは一人の男の名前だ。
近々調べる対象にするのだろう、一応貴方へのひとまずの報告であった。

【人】 Chiavica テオドロ

>>131 ダニエラ

「いつ緊急の要件があるか分からないから、
 腹を満たしておくのは強ち悪いことでもないとは思います」

何かしらそういった事態の経験があったのか、
空腹で現場に出る方がよっぽど危険だとは語る。

「ただ、そこに娯楽を交える必要はありませんね。
 美味しい、楽しいと思わなくても仕事はできるんですから、あなたのご厚意はとってもらって結構ですよ」

続く言葉は変わらず冷たいそれではあったが。相手がさして気にした様子がないからこそ、安心して嫌味を言っていられる側面もありつつ。

「すぐ近くかはさておいて、二度目はあるかもしれません。
 実際、このジェラートは格別ではありますから……」

そんなところで意地張ったってしょうがないので味の感想については素直に述べる。気遣われてるとは思わないが、こと最近は休息について問われることが多いものだ。

「他のお勧め位は聞いてあげますよ。
 いちいち店やメニューを選ぶ手間も省けますからね」

ジェラートのフレーバーも王道寄りのそれを選んだ辺り、
普段から何かを選ぶのに頭を悩ませていたりするのかも。
(147) 2023/09/14(Thu) 14:54:30
「でしょおー。」

へらりと口許が笑みを形づくる。
わかりやすい。確かにそうだ。
女もそう思ったからこそ、言わずともいいことまで口にした。
それこそ信頼関係云々の話もあるが、
話せないこと
に比べれば、それくらいは易いものだった。

「あたしも、良心的な情報屋さんに巡り会えて果報者ですよお。」
「…だから、その辺は安心してくださあい。」

少なくとも女の命令で、あなたが身内を調査対象にすることはないだろう。
…あなたから言い出した場合は、別だろうが。
しかしその場合女が色を乗せねばならない義務もない。

「…ふうーん」

保湿も終え、15mlのボトルの蓋をとる。
ベースコートを筆につけて反対の小指に滑らせた。
あなたの胸中など、当然女は知りもしない。

「イレネオさんかあ。」
「いいと思うー。」

呑気そうに首肯して。
依頼主としての、きっと最初の責務だろう。

「じゃー。前金は送っとくからあ」
「イレネオさんのこと、よろしくねえ。」

事実として、前金として不自然ないだけの金額が後日には送られているはずだ。

【人】 Chiavica テオドロ

>>141 ヴィンセンツィオ 0日目

「それが気軽であることは滅多にないですよ。大抵の人はコストを支払うという行動を嫌がる。一見問題無さそうに見えても、後から本当は嫌だったと掌を返すこともあります。

 俺はそれを厭わないことが確実だから、さっさと払ったら話が終わるんです」

実態はもう少し根深く、迷惑をかけることこそが酷く億劫なようで。聞きようによっては自分だけを信用している、と言っているかのような発言が帰ってくる。
理屈の前に、もっと単純なものがあるから、それで済ませてしまっている。

奉公とまではいかないだろうが、滅私の姿だ。
自分を切るより優れた、人々に幸福を招く解決法は無いと思い込んでいた。

「……そうして今、綿々と教えが続いているわけですか。

 その言い方の方が馴染みがありますね。無償の優しさではなく、感謝や労い、ある程度の打算。そういうのが混じっているなら理解しやすい。
 仕方のない人達、やはり出世するのも楽じゃありませんね」

ただ、少しは気を許せる人も増えているのか、
柔らかい態度といい、嫌味の少ない微笑みといい、
今でも良い影響を受けているのは間違いなさそうである。

「……その、ヴィンセンツィオさんも、
 買い物の用があったりするんですか?」

並んで歩く先に思い当たり、流石に気づく。
積もる話もあったものだから気を遣わせてしまったとまでは思わないものの、申し訳なさ程度はあった。

#街中
(153) 2023/09/14(Thu) 20:33:23
 


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