人狼物語 三日月国


87 【身内】時数えの田舎村【R18G】

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視点:


竹村茜! 今日がお前の命日だ!

青嵐は自宅には帰らなかった。

どこにも見当たらない。

今日も神社で足を揺らしている。

 
 あまり手の入っていない、雑木林の中を分け入って少し。
 今はもう、誰も参る事の無い、寂れた神社。

 その高欄に腰掛けて、一人ふらふらと足を揺らしていた。

 何かが欠けているような、輪郭の不明瞭な感覚。

「……ああ、そっか」

「あの人は来てくれなかったんだ。」

 ぽつりと零して、それでもいいと思い直した。

 今は来なかった。けれどいつかは来るのだから。

「それに、キミが来てくれたんだものね?」

 欠けているものがそれだけのはずがないのに。

 

「……あれ?」

気づけば境内で立ちすくんでいた。
昨日は……海に行って…。
遊んで…、そうだ。遊んで。
その後、家に……

………?

「帰ったんだっけ?俺。」

…まぁいいか。兎に角昨日は凄く楽しかった。
このままずっと楽しいのが、続けばいいのに。

少女は、望む者の意志を覆して。

現実を放り出して、夢に浸る。


ここには、皆がいるんでしょ?
皆も、婆ちゃんもいてくれるんだ。

一緒にいよう。ずっと、ずっと―――

神社にいる事を疑問にも思わなかった。会いたい人達がいるのを知っていたから。

「本当、しょうがない人たち」

現実の未来地図も、夢の揺蕩いも、
どちらも抱えている青年/少女は、
これからのことを考える。

田舎のことは話をかけて一層大好きになった。
叶うなら、ずっとここにいたいと本気で思っている。

だけど、『田舎が大好きなこと』と『田舎から帰った後を想像すること』は両立するから。

みんなとの停滞も、
みんなとの未来も、
等しく大切なものに違いないから。

やることを、いくつか考えて。

「帰りたくないなあ」

それでも、
帰らなくちゃならなくなったときは、仕方がない。

自分はただ、四角形の思い出にみんなを詰め込みたいだけだから。

 
「誰だって、楽しい時間はずうっと続いてほしいはず」

「でもねきっと、それってみんなで居るから楽しいんだ」

「ねえ、みんな!」

みんなは誰と遊びたい?


「アタシ達、きっとみんなが連れて来てほしい人を連れて来るよ」

「一番に遊びたい人を呼んで、それからいろんな事をして遊ぼう」

「──いつまでも!」
 

/*
という事で本日の墓下のお二人に襲撃先のアンケートなのじゃ!

とは言っても妾、黙狼どのの襲撃先は自由にしてほしいと思っておるからの
だから絶対に連れて来る事ができるとは言えないのじゃけど、
妾一人で決めてしまうのも勿体無いから是非お聞かせ願いたいのじゃ!

あくまでも参考にしたい程度のものじゃから
ロール的にはこの人が居てくれたら嬉しいな、くらいで
あまり気負わず答えてくれると嬉しいなのじゃ!
妾、このままみなを連れて来れるかの〜!?

「俺は、あなたの作る四角形に、
 収まり続ける気はどうしてもないんだ」

矛盾するものをいくつも抱えている。
田舎は好きだけど、そこに導くものは気に入らなくて。
都会は息苦しいけど、その先の未来は掴み取りたくて。
そんな危うい上に、卯波の思考は立っている。

「時任の姉さんは。決闘相手
≪きみ≫
は今の俺を、今の皆を愛してるって言ってたけど。
 今の『いま』はまだ……正しくない形だからさ」

胸に手をかざす。

『ずっと男らしくなったけれど、それでもまだ追いつくに足りなかった青年』か、『男らしい先輩たちに近づこうと、性差は覆せないのに、女の身であることを見ぬ振りした少女』か。正直俺にはどっちでもいい。

あの頃の少年の面影は、ここにあってはならないだけだ。

時任のきょうだいや、自分をここに連れてきたあの人も歪だ。歪だらけで、矛盾だらけだ。

小さな写真家は、その綻びたちをずっと見つめている。

何かに気がついたようにふと振り返った。

大好きな田舎にしがみつき、愛し、それでいて心の奥で否定している。

メモを貼った。

「……?」

誰かの返事が聞こえたような気がして、振り返る。
振り返っても、誰もいない。
サワサワと木々が擦れる音が辺りに響いている。
気のせいか。…気のせい、なんだろうけど。
…そうでなければいいな、と思った。

「今日は何すっかね。
まぁどうせ今日もどっかでなんかやってるだろ。」

呟いて歩き出した青年の口元は、僅かに綻んでいた。

【人】 学生 涼風

 季節外れの雪を纏う。

 艶めく白に、金の流水文様を走らせて。水辺に咲くのは紫苑の花。引き締まる黒の帯には蝶々が舞い、涼しげなガラスの帯留めが腹部を飾る。

 御端折りを出すのに苦労したけれど、工夫さえすれば着丈が合わない着物も着れるものだ。
 姿見に映る自分の姿。着物を崩さぬよう身を寄せて、鏡の向こうの己に触れる。

 にこり。
 紅を乗せた唇の端をほんの少し持ち上げて。
 さらり。
 髪に差した簪を揺らすように小首を傾げる。

 一枚隔てたガラスの向こうで、母親が優しく微笑みかける。……微笑みかける真似をする。
 病に倒れ、母と自分を混同するようになってしまった父の為に真似していたから母の真似事をするのは得意だった。

 けれど、今この時は父の為ではなく。
 父が母の為に仕立ててくれた、誕生日の贈り物。それを着る前に亡くなってしまった、母の為に。

(1) 2021/08/14(Sat) 22:52:04

【人】 学生 涼風

「日舞なんて、本当に久々だから。間違っていても許してね、母さん」

 目が覚めるほどの紅色を差した唇から溢れる柔らかで涼しげなそれ。いくら見た目が性別の垣根を塗りつぶしてしまうものだったとしても、はっきりと男のものだとわかる声だった。

 四日目。まだ気温が上がる前の清廉な朝の空気が静寂と共に辺りを包む頃。
 母親の仏壇がある部屋の真ん中で、恭しく一礼をして母から習った舞を踊り始める。

 きっと、これは誰かがくれたきっかけなのかもしれない。やさしいやさしいゆめなのかもしれない。

 だって、そうじゃないと説明がつかないのだ。
 どうして、この着物がここにある?

 ──この着物は、母が亡くなった時に父が処分してしまったのに。
(2) 2021/08/14(Sat) 22:53:22
「夏祭りか…皆と行きたいな。
 かき氷食べて金魚掬って…ふふ、楽しみ〜♪」

にこにこ、これから待っている楽しみに思いを馳せて家に戻っていく。
女の子には、用意したいものが沢山あるのだ。

【人】 学生 涼風

【四日目 早朝】

 線香とい草の匂いに包まれた部屋に、ぱさりと乾いた音がする。
 纏っていた着物の下から現れたのは真白の肢体。肉付きは薄く、されど女のようなしなやかな曲線を描いている訳ではない。陶器製の人形めいたその体は、確かに男の形をしていた。

 母への手向けの舞を踊った後。着物を畳み、手早く洋服を身につけて。仏壇の前に正座する。

「……こうして母さんの実家できちんと話ができるとは思わなかった。
 そもそも、私はずっと勉強ばかりしていたから、拝む事さえきちんとしなかった親不孝者として怒られてしまうかな」

 語りかける写真には自分と同じ顔がある。けれど慈しむようなその微笑みは、自分と似て非なるもの。
 視界が狭くなっていた自分では、こんな笑い方できるわけがない。

「母さん。私は元気でやっているよ。少し話をしようか。あのね……」

……
……
……

(4) 2021/08/15(Sun) 3:07:18

【人】 学生 涼風

>>4

 滔々と語る言葉に相槌を打つ者などいない。けれど、少年は決して報告を止めるつもりなどなかった。
 失われていた家族との時間がたまらなく愛おしかった。例えそれが相手が既に死んでいたとしても、今ここにいる場所が夢幻のようなところであっても。

「……」

 身の回りに起きたことを少しずつ話して、途中ではたと気付く。
 道を選ぶのが嫌で、夢と向き合うのが嫌で、甘く優しい思いしかないこの場所にずっといたかった。

 でも。それでも。
 この永遠にいてしまったら、夏の思い出に浸り続けてしまったら。

 成長を喜んでくれた母に、今なお共に生きている父に、報告するものが無くなってしまう。

「それは…………寂しいな」
(5) 2021/08/15(Sun) 3:08:59
 
 歪だらけで矛盾だらけ。

 今居る『アタシ』はこの村を愛していたあの人の
 その面影を滅茶苦茶に継いで接いで作った張りぼてだ。
 自分も嘗てはそうだったけど、もうそんなふうには居られない
 そう言って捨ててしまったものを、もう一度拾い集めて。

 自分に自信が無いから取り繕う。
 自分はこの場所がそんなに好きではないのかもしれないと
 そんな不安を塗り潰す為に人の殻を借りる。
 借り物だらけで不格好、そんな一人ぼっちの王様だ。
 

 
 それの何が悪いというのだろう?

 人はいつか絶対に、誰もが見て納得するような
 きれいな形に収まらなければならないのだろうか?
 きれいな形になれない人は、決して存在してはならないのか?
 ああ都会では確かにそうだった、でもここではそうではない。

 どんなに不安定で不格好でも、今こうして
 ここに立つ事ができているのだからいいじゃないか。

 この場所で、こうして変わらずに在り続ければ
 きっと、何も憂鬱に思う必要なんて無いはずだ。

 それを正しくないと切り捨ててしまえるのは、
 歪で正しくないその支え無しでも立てるから。
 欠けた四角形、正しい形を失った自分達は─
 

「………あれ?」

 雑木林の中、ふっと現実に引き戻された、ような錯覚。

 失ったものなんて、無いはずだ。
 思い出の中そのままの村があって、
 成長こそすれど、その優しさは何も変わらない皆が居て。

 皆の中の、自分の知らない一面が顔を覗かせるのは
 彼らが何処か遠くへ行ってしまったようで怖かった。
 それでも変わらない一面もあって、だからそれで良かった。

 自分にだって、変わった所が無いとは言わない。
 けれど、歪な支えに頼らなければ立って居られないほど
 何にも代えがたいものを捨て去ってしまった覚えなんて無い。

 その上で今、


 自分の傍に無いものと言えば 
姉の存在
くらい で、

 
そんなはずがないんだ

 

【人】 学生 涼風

 四日目。早朝、母親と会話をした後の時間。

 今日はお祭りがあるらしい。百千鳥とは浴衣を着て一緒に行く約束をしてある。折角再会したのだから、自由行動の時間にでもなったらあとでふらりと髪置の家に行って声をかけにいくのもいいだろう。
 でもその前にやる事をやらないと。遊んだら没頭してしまうから、先に友人への葉書を完成させなければ。

「葉書、おばあちゃんに出してもらったはいいけれど。書きたいものが多すぎるな……」

 百千鳥の姉に伝える内容をしばらく考えてみたものの、なかなかまとまらない。
 帰省する前に取った連絡では何を話していただろう。遊ぶ事、百千鳥の面倒を見る事、夏祭りの事、将来の事……よく話題に挙げていたものを中心に書けば彼女も満足するだろうか。

(7) 2021/08/15(Sun) 4:11:45

【人】 学生 涼風

 ペンを持つ手が止まる。

「…………」

 そこだけ記憶が抜け落ちたかのように、或いは初めからなかったように。

 帰省する前に取った連絡の内容が思い出せない。

「……どうして」

 鞄の中からスマートフォンを取り出して恐る恐るあちこちを探る。
 普段よりも遥かに画面を叩く勢いが強いことにも気付かない。たんたんたんと音を鳴らし、いくつものアプリを起動する。立ち上がる前の準備時間さえももどかしかった。

「…………無い」

 無い、無い、無い。

 メールも、電話も、その他の記録にも。
 どこにも"都々良 呼子鳥"の痕跡が見当たらないのだ。
 そんな筈はない。だって、自分は確かに彼女と話を──。

「ほら、行くよ!いつまでもそんな所でぼーっとしてないの!」


 ほら、思い出せた。彼女の声が聞こえてくる。
 ああ、でも、どうして?

──どうして今のものではなく、昔の声しか思い出せないの?
(8) 2021/08/15(Sun) 4:15:32
写真を見ている。

世界の果てみたくハッとするような澄んだ空気の中、
田舎の皆で集まって撮った、何より大切な集合写真。
様々な表情で、様々な姿勢で切り取られた四角形の。

『  』

慈姑婆ちゃんも、時任の さんも、呼子姉も、
この中にはみんないる。何一つ欠けていない。
誰もがあの頃の美しさのまま、そこに写って。

彼が、あの子が作ろうとしている枠の中とは、
決しても似ても似つかない。哀しそうに笑う。
今それをどうしようもなく愛してしまうのは、
やはり矛盾した心の、不自然な気持ちの動き。

「ずるいよ。俺にはないもの。
 俺だって、みんなをここに閉じ込めて、誰も前に進まない場所で、背中に追いつきたかった」

警察の兄さんたち。ひとつ年上の人たち。
目を離せば、随分遠くを行く彼らだって、
ここに止まれば等しく『田舎の人間』だ。



「俺は田舎が大好きで──でも、
 それと同じくらい、前に進む皆が好きだから。
 
 ここにみんなでずっと残っていたいし、
 ここから出て様々な道を行く皆を見たい。

 酷いよ、ほんとに。この先どうなっても、
 俺は叶わなかった願いに心を痛めることになる」

十年前の写真。
ここで撮った写真。

それと──十年経つ中で、
己の人生をいくつも切り取った、
晶兄の名を借りたカメラが映し出した写真。

息苦しかったり、嫌なことがあったりの日々から、
美しく、甘く、優しいものだけを切り出したもの。

ここにあるのは人生の歩みだ。
並べて、ただひたすらに並べたら、
一ノ瀬卯波という人間の楽しく思う部分が全部詰まっている。

ここから先はもっとみんなを撮りたいから。
夢に浸りたいと願う人にも、現実に帰りたいと願うにも。俺は逃げたりしない。

誰でもない、一ノ瀬卯波の人生を、誰よりも美しく思っている。

「じーちゃんばーちゃんいってきま〜す!」

紺色の浴衣の上からカーディガンを羽織り、
上機嫌で家屋から、下駄をころころと慣らして出てくる。
首には勿論、大事なインスタントカメラを引っ提げて。

「男前になった?ふふ、お世辞を言っても何もでないよ、おじさん。屋台は……あっちですね?ありがとうございます!」

手持ち花火セットを受け取って、
いざ祭りへ。みんなもう居るかな、と逸る気持ちは、そのまま急ぎ足の歩幅に映っている。

ずっと遊んでばかりだからか、
一日一日過ぎるのが早い気がする。

時を数えるのも、忘れてしまったみたいだ。

夕凪は、声をかけました。

「青嵐くん、お祭りにいったら今日は何食べたい?
 お腹壊さないようにするんだよ」

話を早く区切って、誰かの元へ。

「茜ちゃん浴衣は着る?
 着付けして欲しかったら夕凪に任せてね」

せわしなく、何かに焦っているようにまつりを楽しみにしている。

「……卯波、あのね。
 夕凪たちの写真もっと撮って欲しくて、あれ?」

ずっと続くと、楽しいと思っていた世界にひびが入ってしまったような気がして不安で仕方が無い。
だから、できる限りのことをしようと思った。

「……大きくなってる?
 う…うん? ……前よりも、ずっと。
 お世辞じゃないよ、素敵だと思う……」

ここにみんなでいたいという祈りは、間違っているのかな。
夕凪たちは、閉じ込めたいとでも、おもっているのかな。
だんだんと変わっていく皆の心に、亀裂は溝を深めていった。


「時任の さん、どうかした?」

最初に境内に訪れた時と比べて、
ほんの少し背が伸びて、髪も伸びて。
こころなしか、体格もしっかりしている。

卯波は確かに、田舎でみんなで居られたらどんなにいいことだろうと思っている。
だけどそれはまるで、もっと外へと飛び出そうとする、子どもの、眩しい成長のような──

「勿論、写真は沢山撮りますよ!
 フィルムはいっくらでもあるから、寧ろみんな俺が撮りすぎてイヤになったりしないか不安だな。
 ……ふふ、皆の着物や浴衣、今から凄く楽しみ」

そう笑う顔には、他でもなく卯波少年の面影を色濃く残していていた。

行く道で編笠にも「晶兄〜!」だの声をかけた。

「そっか今日夏祭りか」

並ぶ屋台を見て一言。
生憎水着も持ってこない男だから
浴衣なんてあるわけないのでTシャツで失礼。
夏祭りならみんな来るんだろうな。と期待に胸を膨らます。

「なーおじさんもうやってる?たこ焼き食べたいんだけど」

みんなを待ちながらたこ焼きを食べている。

涼風は、笑いながら立ち上がる。傍にいたおばあちゃんはころころ笑っている。
(a3) 2021/08/15(Sun) 17:36:32

【人】 学生 涼風

>>12 髪置くん!

「はーあーいーっ!」


 どたばた。どたばた。からん。ころん。
 忙しなく廊下を走る音。その数秒後、下駄が鳴る。歌うように軽やかに。

 柔らかな象牙色の浴衣に黒の兵児帯。朝に着た母の着物と色合いは少し似ているが、こちらはれっきとした男物の浴衣だ。
 長い髪を編み込んで髪を短く見せた少年は満面の笑みで飛び出した。

「ふふっ。来てくれるって信じてた。それじゃあ行こっか。
 モモには先に行っててって言ってあるし、他の人もきっとお祭りに行ってると思う。きっと賑やかだよ」

 そう言って当然のように自転車の後ろに座った。今日はお祭り、無礼講。警察に籍を置く皆さんが帰省しているが、バレたらその時謝ればいい。涼しげな顔で、悪どいことを考えながら。
(13) 2021/08/15(Sun) 17:36:54
 編笠

「え〜、折角久しぶりのお祭りなのに。
 楽しみなのはそりゃ当然として、
 さらにテンションあげてきましょうよ」

先輩ら二人が普段着なのは何となく予想がついていた。瞬兄は良くも悪くも変わってないし、晶兄もまわりに流されたりするタイプじゃないように見えたから。

「これじゃあまるで俺だけが望んで……違うな、楽しそうみたいじゃないですか。普通逆ですよ、俺は撮る側」

ほら、とインスタントカメラを掲げてみる。
今なら、空気のなかで弾けるような、賑やかでどこか寂しい笛や太鼓の音までも切り取れそうな気がする。気がするだけだけど。

 
「………みんなを連れてこないと」

「みんなを連れて来ればきっと、」

「きっと、みんなとここで待っていれば」

呼子お姉も来てくれるはずだから

 

フラッシュを閃かせた。

メモを貼った。

メモを貼った。

メモを貼った。

夕凪姉に着付けを手伝ってもらって。
薄い水の色に白の葉が踊る浴衣を身に纏った少女は祭りに繰り出した。

少女に合うサイズの浴衣が用意されているなんて有り得ないのに。


ちょこんと頭の後ろに括られた髪が、走るたびに揺れる。

「シュンー!アキラー!うーなーみー!遊ぼーっ!」

そして、一目散に幼馴染の元へ駆けて行くのだ。

傾いた日の、光が当たる地面に立ち、
ほんの少しだけ首を傾げて。

あなたを木陰に残して、

一歩、二歩と早足で歩き、
振り返ると、微笑んでみせる。

「あるよ」

誰かにも見せた。今まで誰にも見せなかった、
恋焦がれるような、悪戯を思いついたような、
ほんのちょっぴりだけ蠱惑さを煮詰めた笑み。

「お祭りが終わった後の日々は、
 切なくて、つまらないことばかりだもの。
 帰りたくないなって何度思ったことか」

それは変わらないあなたの表情と対照的だ。
違和感は違和感だけでは終わらず、
確かに、何かの変化を齎そうとしている。



編笠

「でもね。楽しいからこそ切なくなるんです。
 お祭りも、その先の味気ない日常も、
 俺は全部ひっくるめて好きで居たい。

 ずっと同じ風景ばかりの写真じゃ──飽きるでしょ?」

俺に勝負を吹っかけた晶兄だから分かるでしょうけど、と続けて──また、昨日のように手を伸ばす。

遠くから聞こえてくる彼女の声も、また同じようなシチュエーション。きっと、映るものも似たような四角い枠の中だ。

「ね、はやくいこ?
 俺、今日は沢山みんなを撮って、遊んで、楽しむんですから」

夕焼けが後ろ髪に透けて、縁に淡い光を含む。
陰の差す顔の表情は、それでも晴れやかで、あなたを見ている。

編笠

「繋いでくれてもよかったのに」

小さく笑い声を溢して、
無邪気な声の聞こえてきた方向へ向く。

俺は帰ればまた抑圧される。
その性別らしく振る舞うことを要求される。
でもそれは、田舎の思い出を抱えたからだ。

それが嫌だと思ったことは一度もない。

「うん、楽しんでくださいね、晶兄。
 対抗心はあるし、思うところもあるけど。

 それでも、あなたには明るい顔でいてほしいから。写真のためだけじゃないですよ?心からの言葉です」

屋台をみんなと回っている。金魚掬いはあまり上手にできなかった。

目を丸くして──

満足げに、あどけない笑みを浮かべた。

祭りを回りながら、編笠のズボンのポケットにメモを突っ込んだ。



「……写真も絵も、いつまでも残るからいいよね。
 夕凪もお祭りを楽しみにしてる」

卯波の背や、髪をじっくりと見た。
嬉しいようで悲しかった。
記憶のあのままだったあなたが変わって、はっきりと気づいたような気がした。
きっと、秘密基地にいつまでもいられないのだ。
記録を残し続けたいことが、未来をしっかりと見ているようで閉じこもってる自分を自覚してしまった。

「 、お祭りに終わって欲しくないなって思っているんだ。
 卯波は、どう? また来年も、こうして遊びたいって思っている?」

見送る前、そんな言葉を投げかけていた。

浴衣を着て境内に訪れた。髪は結わずに、手にはヨーヨーを持っている。

【人】 学生 涼風

>>19 髪置くん

 見慣れた風景が後ろに流れていく。
 自転車なんて殆ど乗らなかったから、同じ景色でもなんだか不思議と見たことないもののように思えた。

「……ふふっ」

 一人であっても気にせず朗らかに駆け回っていた君。君はこんな景色を見ていたのかな。
 幼い頃よく眺めていた、窓の向こうにいる君と同じ景色を見ているような気がして、ちょっとだけ胸が弾んだ。たまらず、前に座る貴方の背中にごちん、と額を戯れにぶつけてみせた。

 二人を乗せた自転車はお祭りへ。
(26) 2021/08/15(Sun) 19:18:16
涼風は、思った。りんご飴やいちご飴は上位存在があるのかと。りんロク、いちシチ、りんジュウ、いちジュウとか…
(a10) 2021/08/15(Sun) 19:22:04

 凪

「ずっとお祭り……ふふ、素敵ですね。
 ほんと、そうならどれだけよかったか」

今だって夢見ている。
ひしひしと感じている、迫る現実が全部嘘で、何もかもが嘘になって、夢のままでいられたら、なんて。

夢は、叶わないこそ夢だって、思い知ったのはつい最近のことだ。

「俺は……来年も再来年も、
 十年なんて時間を待たず、みんなと遊びたいと思ってますよ。おじさんおばさんになるまでずっと遊んで、撮って。

 そうなればいい。そうなるために、これからを」

晶兄の方に向かっていき、
その途中で顔を向け、歯を見せて笑う。

「歩んでいくんです」

【人】 学生 涼風

>>c15 夕凪

「あ、夕凪姉ちゃん」

 一緒にやって来た黒髪の少年と一旦解散するか何かしたのだろう、自由行動中ですといった様子でふらふら一人歩いていた少年は貴方の姿を見つけて声をかける。

「夕凪姉ちゃんも来ていたんだ。ふふ、浴衣姿も綺麗だね。よく似合ってるよ」

 片手に持っているヨーヨーを目で追いかけて、どこか子供らしい光景にほんの少しだけはにかんだ。
(30) 2021/08/15(Sun) 19:42:02
「お。
よーうアカネ。
アキラと卯波も一緒じゃん。おっす。」

食べ終わったたこ焼きの空はゴミ箱へ。
着飾った友人を頭のてっぺんから足の先までまじまじと観察して一言。

「馬子にも衣装?
あ、卯波はにあってんね。
でもカーディガンは暑くね?卯波寒がりだっけ。」


「夜は冷えるかなーって思ってね。
 流石にまだ暑いけど、きっと役立つはず!

 ……あと、あんまり身体のラインが出るのちょっと恥ずかしいなあって思って……でも褒めてもらえて嬉しいです」

ユニセックスな浴衣にぶかっとしたカーディガン。一見厚着のようだが、風通しが良いので汗一つかいてないぞ。

「流石卯波。用意がいい。
かき氷食いすぎて寒くなったら卯波に借りよ。

…なるほど?じゃあカーディガン取り上げるのは酷か
かき氷の食い過ぎには気をつけるかぁ」

多分関係なくそれは最初から気をつけて欲しいとか言われそうだが
俺は小さい頃から後先考えたことがない。
変わってないらしいのできっとお墨付きだ。

「分かられてんなー、俺。
気を使われたんだかヘイトを俺だけに集めたのか分からんがサンキュー」

普段通りの親友の格好に、アキラはいつもと同じなんだな
とか言いながら、それでも私服仲間がいた事に安堵した。

「お、花火健在なのか。
いやー、ホントにな。こんな田舎の村に花火打ち上げる費用どっから捻出してんだろうな。
昔は気にしたことなかったけど成長と共に謎に疑問湧いてくんのなんかウケるな」

「馬子にも衣裳って言った!?
 素直に褒められないわけ〜!?」

心外!とぷりぷり怒っている。
本気ではなく、その後すぐに笑い始めてしまうのだが。

「あーあ、皆とたこ焼き分けっこしようと思ってたのに。
 卯波とだけにしよっかな〜〜」

 涼風

「……涼風、くん。
 もちろん、とってもお祭り楽しみにしていたんだよ。
 もっとたくさん、いろんな景色この瞳にうつしたくて。

 浴衣姿みんなに褒めてもらえて、嬉しいな〜」

一人ではしゃいでいるのが気恥ずかしいのかはにかむ。
少しの間あなたを見つめたあと、ぽよんとヨーヨーをはねさせ、視線を玉に向けて呟いた。

「―――楽しんでる? 夕凪は、今とっても楽しいよ」

「え?たこ焼き?しまった、焼きそばにしときゃよかった。
アカネやべー超かわいー(棒)」

待ってる間にたこ焼きを食べてしまったことを弱後悔
でもたこ焼きは美味しいので何個でもいける。

「アキラ老けるの早くね?
孫って言ったりあの頃は…とかいうのかなりジジイだぞ。
もはやジジイ。俺らなんて世間で見ればまだ若者なのに。
まぁ知識が増えると気になることが増えるのは当たり前か。
はぁー、また成長を感じちまったぜ…」

【人】 学生 涼風

>>+23 夕凪

「ふふ、分かるなその気持ち。沢山の景色見たいもの。
 だから夕凪姉ちゃんの浴衣姿を見れたのも嬉しいんだ。こうして再会できること自体かなり幸運だと思っていたのに」

 追いかけるようにぽよぽよ跳ねるヨーヨーへと視線を落としたまま返答する。軽やかに、涼やかに。

「勿論。私も、今とっても楽しい。ずっと勉強して塞ぎ込んでいたから尚更、ね」
(39) 2021/08/15(Sun) 21:03:54
「うなみ〜〜〜〜」

えーん。泣きついている。
それはそれとして、たこ焼きを全部食べるにはちょっと多いので4人で分けた。慈悲の心がある。

「花火技師の人がいるって聞いた気がする。
 地元の為に毎年手作業で頑張ってるんだってさ。

 だから費用は抑えられてるんじゃない?おじいちゃんたちが若い子に喜んでほしいからって星とかハートの花火作ってるの可愛いよね〜」

「寒いんだったら勿論貸すよ。流石にかき氷の食べ過ぎで鳴るのはやめてほしいですけど」

変わってないなあなどとこぼして、
大方の予想通りの台詞が出てきた。

「やった、茜ちゃんと二人でたこ焼き分けっこだ、なんて。似合ってるよ、馬子だなんてとんでもないよ。

 子どもの頃が純粋に色々楽しめたってのはあるかもですね……少しくらいは酸いも甘いも噛み分けられるようになったってところでしょうか」

たこ焼きは熱かったのでふーふーしながらたべた。

涼風は、はしゃぎながら髪置とお祭りへと向かったそうな。その無邪気さは、10年前と寸分違わず。
(a13) 2021/08/15(Sun) 21:25:43

涼風は、途中で髪置に約束通り飴をご馳走した。(7)1d10 (3)1d10 飴みたいなの。
(a14) 2021/08/15(Sun) 21:28:19

「え、そんな職人いたんだ。
花火作るの大変なんだろうに、すげぇな。
ありがとう職人の人たち。」

田舎の暖かさを感じたしたこ焼きも暖かかった。
ありがとう慈悲の心。ありがとう聖母様マリア様アカネ様。

「なんでそんな後ろ向きな所にスポット当ててんだよ
もっとあるだろ、駄菓子屋で酢イカをPOT容器ごと買えるようになったとか。
子どもの頃なら届かなかった木に届くようになって
ミヤマクワガタ捕まえられるようになったとかさぁ。」

まぁミヤマクワガタは捕まえたことないのだが。

「そうだな。
…ずっとこうして一緒にいられたらいいのにな。」

つられて夜空を見上げながらポツリと呟く

 涼風

「……会えることが幸運、そうだね。そうだった。
 見せたかったのは、夕凪も一緒だったよ」

他人ごとのように呟いて。

「勉強するのも大変だよね、これが何のためになるんだって反抗したくなって。親は将来のためになるっていうの。
 ……傍にずっといるのも、出て行くのも選択だよね。
 どっちがとりたいって考えたことはある?」

「もっと色々あるでしょ大人って……
 子供の頃は足がつかなかったプールよりも、もっと深いプールに入れるとか。
 好きな服を自分で買えるとかさ〜」

どっこいである。

「……そうだね。
 ずっと一緒がいいな。

 でも、さ。
皆いつか都会に戻って…結婚してバラバラになっちゃったりするのかな

胸が痛んだ。

【人】 学生 涼風

>>+28 夕凪

 かすかな違和感に思わず笑みがふとかき消えたものの、瞬きを繰り返すうちにまた元に戻る。
 彼女はこんなに他人事のような反応をする人だっただろうか。

「ふふ、そうそう。よく大人はあの時勉強すればよかったって言うから、きっとそういう気持ちから言ってくれているんだろうけど。まだいまいちピンとこないんだよね。

 ……考えたことあるよ。傍にいたいってずっと思ってた。好きなもの、好きな人、お気に入りに囲まれたところに、ずっといたいって思っていた。もう何もかも、考えたく無いことはみんな忘れて」
(44) 2021/08/15(Sun) 22:00:05
「…悪い、しんみりしちゃったな。
花火が上がるとさ、もう祭りも終わりかーって感じがして。
まだ、夏は終わってないし、
アキラもアカネと卯波とだってずっと友達だし、
ずっと一緒だよな。」

大きな音がして、花火が夜空を彩った。
その刹那―――

……?

「……アキラ?」

親友が何か呟いたような気がして、そちらを見た。
親友の瞳に、花火の光がキラキラと映り込んでいる。

何を言ったのかわからなかった。
でもそれはとても大切な事のような気がして。
なんだか今にも泣き出してしまいそうな雰囲気の親友の背中を叩いて励ましてやることくらいしか、今の俺には出来なかった。

この瞬間が、ずっと続けばいいと思った。

「……変なの。アキラこそノスタルジーにあてられてるんじゃないの」

へにゃ、と眉尻を下げながら。
困ったように笑って。

「いるよ。まだやりたいこといっぱいあるもん。
 変なこと言っちゃったけどさ、まだ駄菓子屋のお菓子制覇もしてないし!」

ずっとずっとこの時間が続いてほしいと思う。

 涼風

「思ってた、なんだ。 一緒だね」

 顔を上げて。伝える、今度は違う言葉で。

「やっぱり夕凪がいっちゃったこと、苦しめてたかな。
 自分のやりたいことい一生懸命蓋をしていたのに。
 理想と、手に届くものが違うって。

 喧嘩しちゃったんだ姉弟二人で。
 夕凪は一緒にいたいっていって。
 夜凪は一人で自立をしたいっていった。

 いつも夕凪はそうだった。
 一生懸命考えてた気持ち……考えないで。
 何言いたいんだろう、気にしすぎていないといいなって」

ずっとずっとこの時間が続いてほしいと思っていた。夢に背を向けて、一歩を踏み出した。

置いていかないように、手を差し出して待っている。

【人】 学生 涼風

>>+32 夕凪

「ううん。苦しんでいたのは、夕凪姉ちゃんのせいじゃないよ。
 今ここに帰省していてもしていなくても、私はずっと捨てきれない夢を抱え込んだまま苦しんでいたと思う」

貴方のせいじゃないよと伝えたくて、そっと優しく首を横に振る。

「むしろね、夕凪姉ちゃんの言葉には感謝しているんだ。
 捨てきれずに抱えているだけだった私に、諦めなくていいって背中を押してくれたから。道を捨てる必要はないと、教えてくれたから。
 苦しんでいるのだとしたら、それは私に勇気が無いせいだ」

これはきっと、己自身がどうにかしなきゃいけないこと。

【→】
(48) 2021/08/16(Mon) 0:06:37

【人】 学生 涼風

>>+32 夕凪

「喧嘩……」

 思い返す。常に一緒にいた二人のことを。
 二人で一つ、とでも言うかのように常に一緒にいた姉弟。別離による寂しさは、きっと自分では推し量ることなど出来ないほどに大きいのだろう。

「……後悔、してる?」

 跳ねた玩具から貴方へと視線を上げる。
 貴方の意思を、貴方の本音を、聞かせてほしいと少年の瞳は静かに語っている。
(49) 2021/08/16(Mon) 0:07:11

【人】 学生 涼風

>>髪置

 沢山沢山美味しいものを食べ。
 沢山沢山楽しいことで遊んで。

 熱を纏った空気に酔いしれ、ふわりふわりと浮き足だった様子で祭りを味わう。
 どれくらいそうしていたのだろう。再び貴方と合流して、少しひと息ついた時。

「ねえ、髪置くん。
……私ね、君に憧れていたんだ」

おもむろに少年は唇を震わせる。

「いつ見ても、何度見ても、君はとっても元気で無邪気で。一人でもどこまでも駆けていく姿が眩しかった。……まさか10年経った今も変わらないのにはびっくりしたけど。
 私は楽しかった思い出を沢山沢山忘れてしまっていたというのに」

 お囃子の音はいつのまにか溶けて消えていた。それから姿を見せた、何か不平不満を言う者の声を知っていても。

 それでも、自分は貴方に憧れていた。

【→】
(51) 2021/08/16(Mon) 0:38:45

【人】 学生 涼風

>>髪置 >>51

「どうしたら君みたいになれる?どうしたら君みたいに変わらず、元気に走ることができる?
 私も君みたいになれたなら、どれだけ躓いて転んでも、夢を抱え続けながら走ろうって思えるかな。
 …………なんて!こんな話をしたら君を困らせてしまうね。ごめんね」

 聞かなかったことにして、とおどけるように肩をすくめた。
 それから、深呼吸をひとつ。

 困らせる本音の代わりに、貴方に伝えたかった言葉はこちらだ。

「……髪置くん。
 もし、もしもなんだけどね。ここでの時間が終わって、またバラバラになってしまっても。
また連絡を取って話をして……また一緒に遊んでも、いい?」

 変わらない貴方を見ることができたなら。
 きっと私も、変わらずに走ることができると思うから。
(52) 2021/08/16(Mon) 0:40:42
  涼風

後悔は、してないよ。

 喧嘩したこと。意見が合わなかったこと。
 自分の夢を自分で決めて、離れようとしたこと、全部。

 だけど、仲直りをしてないことだけは気にしてる。
 伝えていなかったことをずっと、ずっと気にしている。
 ちゃんとしていない……ちゃんと話せていないんだ」

 おかしな事が起きてるといったら信じてくれる?
 夕凪がここにきて、みんなと笑い合っていたこと。
 夕凪がここで笑って、やりたいことをやっていたこと。
   が突然この身体で目を覚ましたこと。
 夕凪が話しかけて、  と話をしたこと。
 夕凪の声が聞こえなくなったこと。
 夕凪はここにこれるはずがないってこと。


「拾うのが夕凪なら、夜凪は捨てる選択肢を肯定しに来たのかも。
 だけど、答えは多分一緒だったかもしれないな。
 君のファンである夕凪たちはここにいて、いつまでも待ってる。
 夕凪たちは喧嘩をしたことを、悪くなかったと思ってる。
 すごく、離れている時間が寂しいだけ」

【人】 学生 涼風

>>+33 夕凪

 目の前の夕凪姉ちゃんの姿をした人は、本当に夕凪姉ちゃんだろうか。

 確証はない。
 ただ、滲み出る他人事のような節が気になって、そして自分もまたおかしな出来事を経験した身であるからなんとなく「そんなおかしな事があってもおかしくない」と若葉にも似た頼りない予想が芽生えただけ。
人をよく描いている貴方のスケッチブックを見れば、話は違ってくるだろうけど。
姉は景色を、弟は人を描くのが得意であることは知っている筈だ。互いに互いの作品を見せていたのだから。


 だから、相手が言わない限り少年は抱いた違和感を指摘しないだろう。
 だから、少年は言葉を綴る。姉と弟、二人に宛てた言葉を。

「……仲直りは、しないの?
 寂しいって思っているのなら会いに行こうよ。口実ならそこにある。『仲直りをしにきた』って」

 ゆっくりと貴方に手を伸ばす。そっと優しく貴方の手を包み込むように。
 二日目、夕凪がそうしてくれたように。

「待ってくれるのは嬉しいよ。大好きな二人にそうしてもらえるなんて、夢みたい。
 でも、さ。私と一緒に駆けてみたいって……思わない?」
(56) 2021/08/16(Mon) 1:47:45

【人】 学生 涼風

>>54 髪置……優くん!

 貴方と同じように、一度、二度、三度。
 ぱちぱちと忙しなく瞬きを繰り返して、それでも信じられないといった様子で。

 時間をかけてゆっくり貴方の言葉を飲み込んで、代わりにそっとはにかんだ。

「無理に変わらなくていいんだよ。だってそれが君の魅力で、私が惹かれた部分なんだから。
 君が君である限り、皆が何と言っても私は君を肯定するよ」

そこまで話し、少年は笑みを深める。陶器製の人形めいた顔立ち、けれどそこに乗る目尻や頬の赤みは確かに生きている事の証であり、貴方に紛れもない好意と信頼の形でもあった。

「うん。これからも、大人になっても!
ふふ、ありがとう髪置く……、……。

…………ううん。優くん!」
(57) 2021/08/16(Mon) 2:07:41
「だめだなあ、わかっていたのに」

「いられるなら、ずっとここにいたいのに」

「――夕凪はきっと嫌がるんだ」



夕凪はここに来たかった。
ずっとずっとみんなが楽しそうなところをみたくて。
笑っていたかった。

だから、きっとこの夢のような時間は夕凪のためにあるんだ。
夕凪が楽しむために使おう。
間違った、ことじゃない。いつまで。
本当にいつまで―――続くのだろう。


「――いるわけない。
 さみしがっているのに。
 呼べないよ、」


体育座りで石段に座り込んで花火が上がる空を見上げた。

 涼風

 夕凪は怒っていない、寂しいだけだ。
 夜凪は嫌っていない、ただ、変わっただけだ。

「会いに行けないよ、【話してくれない。】
 夜凪は夕凪を納得させる答えを持ってきていないから。
 どうして離れたがったの、なんて、言えっこない。
 一緒の夢を、涼風みたいに駆ける勇気が無い。

 涼風は、夕凪に出せる答えは見つかったの?

 将来の夢、まだまだ悩む時間がいっぱいでしょ。
 わからないって答えを、大人になって言うのは」


 
格好悪いじゃないか。


 夕凪はきっと格好悪いなんて気にしない。
 夜凪が気にしているだけ、全部そうだ。
 だけど、夕凪は、格好いい奴が好きだから。

 目の前の存在は会えないと思っている。
 物理的にも精神的にも、大きな亀裂が出来ている。
 勝手にあなたに置き換えて自分の事から逃げている。
 だけどベクトルが違えど似たような名前の悩みを、ずっと胸に燻らせて、寂しがっていた。

【人】 学生 涼風

>>+35 凪

 なんだか不思議な感じがして、八の字眉を下げて微笑んだ。二日前、勇気が無いと迷い子のようにしていたのはこちらだったのに。

「……うん。見つかったよ。夕凪姉ちゃんへの答え。ここに来て気づいたんだ」

 忘れていたものを思い出した。
 ずっとこの日々が続けばいいと、皆を誘う担い手か。
 何故かここに残らなければならないと声を聞く者か。

 違う、そんなものじゃない。そんなものを思い出す前に私は気づいてしまったんだ。

「私はね、ここでようやく亡くなった母さんにきちんと近況報告をすることができた。母さんは成長を喜んでくれる人だから、きっと楽しく聞いてくれたはず。きっとこれからも、望んでくれるはず。

 だからね、私は。
 ここにはいない、ここには来れなかった人たちに……

 沢山の思い出を、沢山の感情。
 生きてきた軌跡を綴って、報告してあげたい。

 それが私の……今を生きる人としての本当の役割だと思うから。


 だから立ち止まるなんて出来ない。私は、もう一度ペンを執るよ」

【→】
(61) 2021/08/16(Mon) 3:45:26

【人】 学生 涼風

>>+35 >>61 目の前の貴方

「ねえ、教えて」

 からん、ころん。
 下駄が鳴る。誘うように、手招くように。

「こんな私は、格好悪いかな?
 医者を目指して、物書きもして。両手にいっぱい抱えるから、私はきっと沢山転ぶ。
 そんな私は、格好悪いかな?」

 からん、ころん。
 夕凪よりも少しだけ高い目線からそっと優しく見下ろして。

「大人って、どういう人のことを言うの?」

 からん、ころん。
 出来る限り距離を詰めて。貴方と離れるのは嫌だと言うように。

「──ねえ、お願い。
 答えが出ないのなら、出るまで一緒に考えよう?勇気が無いのなら、出るまで一緒にいてあげる。

 会えないなんて、寂しいよ。大好きな夕凪姉ちゃんと夜凪兄ちゃんが苦しむのは、悲しいよ。

 私に出来ることはない?
 ねえ── ■凪さん」

 からん、ころん。

 貴方に寄り添う、夏の音。涼やかな囁き。
(62) 2021/08/16(Mon) 3:48:49
 目の前の君

「はは、……あははっ、格好良くなったね涼風は。
 素敵な夢で、夕凪たちの理想の君だ」

 勝手に話したあなたたちだ。
 ずっと会いたかったあなたたちの未来だ。
 
 たった数日で迷子の少年は夢をつかもうとしている。
 夕凪のおかげなのだろうか?
 もっともっと他の人の言葉もあって彼が出来たのだろう。

 それぞれが、それぞれを必要としている。
 夕凪たちは自分ではない片割れを、基準にしていたから、
 お互いを、みんなが必要にしていると思う単純な双子。

 だから最初から。
 最初から夕凪たちを求めてくれているあなた達がいるだけで。
 こんなにも嬉しいと思う単純な考えをしている。

  目の前の君

「夕凪たちにとっての大人は――20歳になったら。
 だけど理想は、立派に格好いいって自分に胸を張れるようなことができるようになったら」

 嬉しいと思うけど、頼るのはやっぱり恥ずかしいから。
 遠慮をしていたけれど、もういいよね。
 みんな本当に立派になって、頼りがいがあるのだもの。

「一緒に、いて、考えてくれる……?
 まだ、絵しか自慢できることがないけど。
 今は【夕凪に夏を楽しんで欲しい】って思うだけの僕だけど。
 お祭りが終わったら、全部話したい。

 そして――会いにいきたいな、あの子に。
 今一人で行く勇気がないから、みんなに会いに行って欲しいって考えるぐらい情けない気持ちなんだ」

 いつもの三人

竹村茜の、明るさに滲んだ寂寥や。
青嵐瞬の、優しさから覗く憧憬に、
編笠晶の、どこまでも不器用な夢。
誰もが田舎から離れがたいと思う。

そんな侘しい田舎の後ろのページを──
インスタントカメラで、自撮りでもするように撮った。

「ば〜か」

十年コレ使ってきたヤツ舐めんな!そんな気持ちで、
してやったりという笑い方で三人に言う。

卯波は、ずっとこの時間が続けばいいなと思ってるが、
未来に希望を失くしてしまったわけではないから。

「違うでしょ。そうなればいいな、じゃないでしょ。
 もしこの田舎にずっといられなかったとしても、
 都会に帰ることになったとしても、さ。

 俺達が揃って会うことって、
 そんなに難しいことなんですか?」

カメラから出て来た写真を、
花火の咲く空の下風に浴びせて、
鮮やかな光のなかで、踊るように。


この時間が終わってほしくないと思っている。

それでも、この田舎に執着するみんなの背中を、押してあげたい。

ようやく、その背中に追いつけた気がした。

 いつもの三人

「何だったら俺達で結婚でもする?
 ……なんてね。冗談半分だけど。

 でも俺はさ、鬼走の兄さん、添木兄さん清和の兄さんだって、十年経って大人になってもずっとつるんでるのを見て、そうありたいって思ってたんだ」

 彼らの関係を知ってか知らずか、
 田舎に帰ってきても仲の良かった彼らを思い浮かべて、

 それと比べて自分たちの繋がりはそんなにも、
 もろくて、弱くて、不安定なものなのか?と問う。

「寂しいよ、俺は。

 田舎から離れることだけじゃない。
 田舎から出たら、離れ離れになると思ってる、
 皆の考え方が寂しいんです!」

 瞬兄みたいな何事も率先して突っ込み、
 やりたいことなんだってやってる人が。
 茜ちゃんみたいな昔はずっと男勝りで、
 いつだって兄二人を振り回してた人が。
 晶兄みたいな、俺に無いもの全部持ち、
 絶対勝てないって思わされた様な人が。

 十年前の写真にはっきりと残る、
 俺を追いかけさせ続けたその背中なのに。



 「都会に行ったらさよならなんて、
    そんなの、おかしいと思わないの?」


    「会おうよ。何度だって」


「田舎でも都会でも、ずっと遊ぼう。
 どんなときも一緒にいられるわけじゃないけど、

 そうなろう!って思って行動してったら、
 絶対に、できないことじゃない。そう信じてます」


 そう、何度でも笑って見せた。

この田舎の村の歪みやヒビが嫌いだ。

もっと外の考えまで及ばない村の皆に、憤った。

ここにいる人たちと、田舎から出てもこんな時間があったらいいと、心の底から思っている。

【人】 学生 涼風

>>+36 >>+37 目の前の貴方、夜凪兄ちゃん

「じゃあきっとまだ大人じゃない。大丈夫。
 だから、まだわからないままでいいんだ。はっきりした夢が見つからなくてもいい。
 だから、君は格好悪くなんてないよ」

 それは単なる子供の屁理屈かもしれない。でも、それが当然であるかのように少年は涼しい顔で言ってのける。

「うん。勿論。
 全部聞かせて。私も全部話すから。
 そうして一緒に会いに行くんだ。皆で会いに行こう。きっと皆も会いたがってる。皆、二人を必要としてるもの」

 ここに来て夕凪が色んな人と助け、助けられをしていたのをこの目で見ている。
 貴方たち姉弟を、皆好いていることを知っている。

「約束だよ。──夜凪兄ちゃん」

 絵が得意な年上のお兄ちゃん。夏を楽しんでほしいと願う姉思いのお兄ちゃん。
 貴方は遠慮しているけれど、自分にとっては自慢の兄貴分なのだ。

 少年は笑って手を伸ばす。
 大丈夫だよと伝える為に、抱きしめる為に。
(65) 2021/08/16(Mon) 7:23:37
男らしくなりきれず、
かといって女らしくはいられず、
どっちつかずな一ノ瀬卯波でも。

十年越しに見えた背中は遠くても、
どこか子供らしいとこがあるのに気づいた。

身体はどれだけ大人になっても、
心まで大人になるかどうかは別の話だ、と。
誰が言うでもなく気付かされたきがする。

時任の さんが言ってたように、
俺はやはり自分から卯波を置いてっていた。
こんなにも努力家で、転んでも起き上がって。どこまでも変わっていく魅力的な被写体は、こんなすぐ傍にあったのに。


「バーカ。
  俺はずっと格好よかったんだっての!」



花火の下、言えなかったことばを、
そっと囁くように、夜空へ溶かした。

                    
(L12.5) 2021/08/16(Mon)

───時を戻して。

片手には綿あめ、りんご飴、(5)1d6(1)1d6飴を指に挟み、もう片手には金魚と水ヨーヨー。側頭部に狐面をつけた、フルアーマー装備の機体もかくやという状態になった卯波。

所かまわず撮った写真がカーディガンのポケットいっぱいに詰め込まれている。

「盆の最終日、そのお祭りの日。
 そんな時にする事と言えばひとつに決まってます」

盆の祭りは、生者と死者がもっとも密接な位置に近付く日。

慈姑婆ちゃんが出迎えてくれたのはそういうことだろうし、

だからもしかしたら呼子姉も着てるのかもね。


りんご飴を当社比大き目な口でかぶり付き、
祭囃子の音へと近づいていく。

世にも珍しいゴイチ飴を、器用に写真に撮った。

メモを貼った。

メモを貼った。


「今では、帰省した人たちの再会の場として、
 夏を楽しむお祭り行事にでもなっていますけど。

 盆踊りは、帰ってきた霊や、
 行き場を失くした魂を、
 安らかに踊り出すための舞、って言われてます」

十六夜の暮れ。提灯や覗く月灯り。
賑やかな人の流れ、喧騒に従って、
中心へとどんどん、距離を詰めていく。

近付くにつれ響きを増す、笛や太鼓の音。
飴を食べ切るまでは混じれないが、
それでもぽつぽつと人が踊りに集まって来る。


「貴方も寂しかったんですね、婆ちゃん」

 そう、祭囃子の端に佇んでいる
気がする

 皮肉気な笑みが素敵な彼女に声をかける。

 孫に情けない姿は見せられなくてね、
 なんて素直じゃないことばが聞こえた気がした。

メモを貼った。

彼らと花火を見終えたら、盆踊りに混ざりに行くだろう。

『青嵐って悩みなさそうだよな』

これは恐らく俺が最もよく言われる言葉。

初めて言われたのはいつだったか
もう覚えてはいないけど。
確かに特に深く悩んだこともないし
何かに悩まされたこともない。

だから去年部活で県大会で負けて全国行けなかったときに、
3年にとっては最後の試合だったからどうにか先輩を励ましてやりたくて冗談言って笑わそうとしたら
「悩みないやつはお気楽でいいよな」

って言われたことも全然悩んでないし、

俺に求められてたのは表面の賑やかしだけだったってこともすぐ悟ったし、それから人の悩みとかにも深く突っ込まないようにした。
俺って立場弁えてるからね。

「……今が楽しければ、なんでもいいよ、俺は。」

皆だって、それを求めてるんだから。

涼風は、相手の手を優しく握り返す。
(a25) 2021/08/16(Mon) 18:46:32

涼風は、ふらりゆらりと歩き出す。からん、ころん。下駄が鳴る。からん、ころん。それは遠くへ。
(a26) 2021/08/16(Mon) 18:47:36

涼風は、ただ寄り添う。寄り添って、二人でそっと抜け出して。
(a30) 2021/08/16(Mon) 19:00:10

涼風は、ようやくここが夢だと気づいた。それでも、何も言わずに貴方と並んで歩く。
(a31) 2021/08/16(Mon) 19:01:08


「いつかの未来。
 やがて今≠ノなる日。

 そこになって、楽しくなくなって、
 そこでやっと後悔したら遅いんですよ」

本当にそうだろうか?
編笠晶も、竹村茜も、一ノ瀬卯波も、
そうあることを望んでいるのだろうか。

聞こえてきた言葉に、
面と面を向かって言うでもなく、
遠くを見ながら、声を発している。

「俺は一度諦めた。でも後悔は絶対にしない。
 夢が叶わなくても、
 それは夢を持っちゃいけない理由になりませんから」

風を受けて色をつけた写真を覗き、
四人が枠に収まってることにうんと頷く。

何度も皆を撮りに行く。
そして、何度でもみんなと遊びたい。

「うかうかしてると、
 今度は俺が皆を置いていっちゃいますよ」

そう言って、花火のあがる方へ一歩踏み出し、
嬉しそうに振り返って、笑い続けるのだ。

時は先へ。

飴の食べ切った棒を捨て、
金魚とヨーヨーは暫く預かってもらい、

写真の詰まったカーディガンと、
祭りの淡い光で良く映える紺色の浴衣、
どこか怪し気な狐面を斜めに被って。

待ちに待った盆踊りへ、向かう。
十年前と何も変わらない懐かしい民謡が、
あまりにも懐かしすぎて笑ってしまったりして。

そういえば、失敗しないように、
こっそり練習したりもしたっけと思い出して。

首から揺れるカメラを片手で持ち、
その上から軽く手を叩いて、空へ向ける。
踊るのは久しぶりなのに、
身体が覚えているのもなんだかうれしかった。

「…置いてかれるのはやだなあ」

わかっている。
夢の中にいつまでもいられないこと。
これが現実逃避だということ。

竹村茜は知っていた。

「みんなで結婚出来たらいいね、ほんと。
 そうじゃなくっても、また違うところのお祭りとか…ううん、何もなくたって集まりたい」

 約束をした僕たち

「格好いいって言われたくて頑張ってきたのに。
 慰められちゃった、あーあ……」

ありがとう、小さな言葉で呟いて。
涼しげなあなたの髪にすり寄った。
まるで恋人のような仕草は青い夏の中では絆を確かめ合う行為だ。

「約束、しよう。涼風。
 夢も将来も、これから一緒に。
 ――あの頃みたいにいっぱい話そうね」

やっと会えたのだ、奇跡のようなこの時間。
夢を、やりたいことを後悔をしないように。
誰かが与えたチャンスだったんだ。
今だけは不思議な時間に浸りたい。
そんな気持ちで感じた温もりは、涙が出そうになるほどあったかくて。
独り立ちなんて、暫く出来そうにないって、答えを先に知ってしまった気分だった。

涼風。涼風くん。夕凪達とも遊んでよ。
射撃でもいいよ、それとも何か食べたいものでもある?
今度は三人で、ううん、もっと多いかも。
僕ら双子はみんなを連れ回しちゃうからね。
大勢誘って。また。
もっと笑える思い出を語り合おう。これからもずっと。

>>編笠

「さみ……しー……なー」

 大事な友達と再会できたのに。
 夕凪に楽しい夏を与えると決めたのに。
 やっぱり隣に誰かがいないと寂しいんだ。
 何故か心の何処かでもうすぐ終わってしまいそうな気がする。

 "あの狼の子"が寂しがっているのがわかる。
 自分と似たような感じがした、あの子。
 大事な誰かに隣に居て欲しかったあの子。

 突然傍にいなくなる寂しさや辛さを、
 思い出してしまったのが運のツキだ。
 夢ならば都合よくずっと夢のように過ごしていたかったな。

 なんだか心まで女の子になってしまうのかもしれない。
 だけど、いまこのままで聞きたいことがある。

 聞いておかないと。

「よっし。編笠を探そう」

 たとえ、この夢が終わったって。
 伝えたいことは変わらないけれど。
 動かなければ始まらないよね。

 編笠

「うん、探してた。どう? 浴衣似合っているかな。
 みんなに褒めてもらったから聞かなくても返事はわかってるけれど」

話しかけてくれたのは、暗い顔をした魚を見つけてくれたのはあなただったのに。
今の印象はなんだか黙ってばっかりの人だ。
本当にその口が開くのはいつなのか。
いつまでも待てる気分なのは確かだけれど。

「編笠くん、ここに来て、ここで話してくれたこと。
 ――何処まで本気にしていい?

 夕凪は、夜凪が居ないとすぐに落ち込む寂しがり屋さんで。
 夜凪は、夕凪のことになるとすぐに考え過ぎるお節介屋。

 まだ、夕凪たちのことが好きで。さ。
 代わりになってくれるっていってくれるかな。
 ううん、代わりとかじゃなくって。
 居て欲しいなって頼んだら、隣に来てくれる?」

「…誰も置いてきゃしないって。な。」

不安がるアカネにぽんぽんと頭に軽く手を置く。
こういうの、ガラじゃないって?
うっせー、ほっとけ(笑)

「…卯波には昨日言ったけどさ、今生の別れじゃないんだし
望めば会えるよ、俺は。まぁ受験やら大学で忙しくなるし、
アキラに至ってはどうなるかわからんけど…。」

でも、と続ける。

「俺は何処にも行かないし、俺たちはずっと友達だ。
8年くらいしか村には居なかったけど、
今の俺を作ってるのはその8年間だし
その中でお前たちと会えて良かったって思ってるよ。
…ありがとな。」

最後の花火が咲いて散る。
きっと俺はこの花火を忘れないのだろう。
例え、これが泡沫の夢だとしても。

あ、たまやーっていうの忘れた。

「ふふふ、みんながついてきてくれたら、
 置いてくこともないですかね〜?」

なんて、意地悪なことも言ってみたり。

「みんなが忙しかったら俺が会いに行きます。
 幸い、漸く進路が決まったところで、
 全然時間がありますからね。

 俺もみんなと会えてよかった。
 この田舎で生まれて本当に、よかった」

自分らしくあれるのは、
この田舎の人たちの前だから。
性別とか、そういうしがらみから離れられる。

最後に咲いた花火も、四角形のなかに切り取った。

涼風は、百千鳥の手を握った。
(a32) 2021/08/16(Mon) 20:55:32

盆の暮れに、盆踊りをする。

田舎を楽しむための行事が、田舎を終わらせることに繋がることに気付いている。

それでも、この田舎のことを愛していた。それだけだ。


  編笠

「そっか、……わかった。
 じゃあ、――いまは夕凪と編笠の夢で、一夏の思い出

 難しいことを考えないで」

あなたの思い出と、夢と、夕凪が重なる。
ゆっくりとその頬に手を触れて、優しく撫でた。

「答えられなかったのは、どうしてかなって考えていた。
 はじまりすら与えられなかったのはなんでかなって考えた。
 それは、――なにも物語が紡がれていないから。
 君も夕凪も、黙ったまんまだ――……ねえ、一つだけお願い」

 




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生存者 (6)

百千鳥
7回 残 たくさん

もういいよ

涼風
0回 残 たくさん

優くん

鬼走
0回 残 たくさん

いつだってそうだ

花守
1回 残 たくさん

しょうがないか

編笠
21回 残 たくさん

ワンワン。

髪置
0回 残 たくさん

薫くん

犠牲者 (5)

慈姑(2d)
0回 残 たくさん

 

卯波(3d)
2回 残 たくさん

はい、チーズ!

竹村茜(4d)
4回 残 たくさん

婆ちゃん、

御山洗(5d)
0回 残 たくさん

夢の終りが早く、

清和(6d)
0回 残 たくさん

これからも俺は、

処刑者 (4)

夕凪(3d)
4回 残 たくさん

どこにいるのかな

青嵐(4d)
0回 残 たくさん

またな

宵闇(5d)
1回 残 たくさん

訪れますように。

添木(6d)
0回 残 たくさん

コミット済

突然死者 (0)

舞台 (1)

夜長
7回 残 たくさん

もういいかい?

発言種別

通常発言
独り言
内緒話
囁き系
死者のうめき
舞台
置き手紙

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Schwarzwald(黒い森) by hagios
トロイカ TYPE:А / 哀愁のタタロチカ by かえるぴょこぴょこ/あさくら
ようちえんせんき かりんか / ハロリンカ / 凍れる水車 by かえるぴょこぴょこ/あさくら
霧雨降る街 / 少し大きな霧雨降る街 / 蒸気満ちる宴 by きりのれいん
メトロポリス / バビロン / ギルガメッシュ / Valhalla by すむろ水
ひなだん by hinaki
壱番街 / 壱番高校 by 壱猫[onecat]
外道大戦 by mtmt
都道府県キャラセット by kairi(企画代表)
繋<つなたま>魂 / 班帝家の一族 / H)SOCIUS(A by めいあ
もふぁんたじぃ / もふぉれすと by ほのゆる
Cathedral / 学園Cathedral / Grand Cathedral / 学園Grand Cathedral by Izuya
夜月町 by 夜月けい
南区 / 古今東西 by 南
IRO-COLORE(いろころる) by Izuya, 南
お茶会 / 演奏会 / 花見会 by ゆひろ
GNL / GNL+ by guiter-man
ジランドール / イルミネーション by may-co
シキメグリ by afinter
-汝人狼也-人物画 by 878, かんこ
closure / closure' by 閉
Emoricu / Cumorie / 黎明街 by milk_sugar
ワンダーズ言戯団 by pike
宝石箱《Jewel Box》 by 宝石箱制作委員会
文明開化 by sin
カティサーク by apricot with y_hyuga
月狼学園 / 人狼署 / 狼達の軍歌 by apricot
花一匁 / 桃酔郷 by さね
po!son / Girl's Talk by pure_g
madparty by シロクマ
rhizome by CH3COOH
曲芸会 / 曲芸会Hello! by otokasa
AtoZ by 築
瑞洋館 by ういろ
LastSunday / HeaVen by 志摩
かくりよ by plmi
桃色concerto by 桃昆布
狼兎 by クロマ
人狼ヶ谷学園の放課後 by 竜山明日佳
bAroQue / tradimento by souya
Bokuyume. by 卜部
FGOキャラセット by 有志一同
魔法少女は眠らない by 魔法少女チップ企画
Liberte by みぃな
噛志野医院 by manamiz
メギド人狼 by メギドチップ企画
absolventi by ぶんちゃん
歳時抄 by 小由流
文アルセット by 文アルセット企画
荘園パック by ARC(企画代表)
Friends by 真知
城下町の酒場 / 大神学園 by じっぷ
エッグ by 朧恩
ぐれすけ・ぷらす by 純
ニューホライズン by youden
バーバチカ / プトロレ by たべ
ユメツナギ by 天瀬春日
StarGazer / LittleStar by CONBE
御常紀学園 by HS_29
オハナシノクニ by オハナシノクニ制作委員会
Fragment of Jewels by 粉海月
花園女学院 / 他種族孤児院 by はこみ
xxxx組 by サイコ瓦
おりふし学園 by めんるい
Fairytale Syndrome by hTuT
Salute by むくっこ
Le parterre by イヌバラ
Troopers by 人類管理連合
お野菜キャラセット画像 by 無料素材倶楽部
Siuil a Run by 匈歌ハトリ
紫煙をくゆらせ by 空砂
RocketPencil by 山本羅刹
エトリエ / エトリエ・戦国 by とり
ボワボンボン by あとらそふと
古の迷宮 by とり夫
JEX Online by katarazu
煌夜の決闘 by ジュエルセイバーFREE
こだわりアイコン by fatcow
トランプ画像 by しろま空間
リンソン by moonpupa