113 【身内】頽廃のヨルムガンド【R18G】
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「だとしても、だ。
吊るし上げられる前に定石くらいは学ばせてくれよ。
あんた達のやり方、『お作法』は教えてもらわなきゃ困る。
生憎育ちが悪くてね、前に倣うしか能も無いと来た」
「まあ、そういうわけだ。
宜しく頼むよ、野良猫とやら」
聞こえぬ声も、聞こえる声も。
静かに耳を傾けていた―――は口を開く。
「……波長が合う方がいらっしゃるようで。
さて、なんとお呼びすればよいでしょう?
先程の衛兵がなにかと言っていたように、どうにも人の話に耳をそばだてる者が多くなりそうですから。
気にされないなら、私も合わせましょう」
| 随分と視線を集めてしまった事に、 心の内で、しまった、なんて思っても。 過ぎた事を悔いても仕方ない。なら今は食い下がるしかない。
役者は演技をしないまま、眼前に立つ男を鋭く見据えている。
(6)(1)2d6+3 (35) 2021/12/08(Wed) 0:12:15 |
| >>34 エアハート 胸ぐらを掴もうとはしないし、剣に手を掛ける事も無い。 私怨や喧嘩というよりは、ただ。 「………、」 「はじめましてだと?悪ふざけも大概にしろ、エアハート。 それとも芝居を打つ必要があるような事でも仕出かしたか? 自覚があるなら結構だ。フランドル・スキアー、お前を…」 言い掛けて、舌打ちを一つ。 込み入った話をするには少々耳目が多すぎる場だ。 「…顔を貸せ、どうせ今戻った所なんだろう」 (39) 2021/12/08(Wed) 0:27:19 |
| フランドルは、その意図が掴めない。わかっていれば、今頃。 (a17) 2021/12/08(Wed) 0:29:46 |
「………………………それは、命令か?」
聞こえるのは聞き覚えはあれど、馴染みのないそれだ。
「なんと呼べ、それはおれが決めて良いものか?
すきに呼んでほしいといったら、貴方は困るだろうか
それならば、考えなければならない。時間を要する」
「貴方は、なんと呼べばいい?」
命令が、欲しい。
「その方が良いのであれば肯定しましょう。
私は困りません。貴方にこれだという名があるのならばそれを口にすればいい。
特にないのならば、こちらで貴方が気に入るものが出るまで出しても構いません。ただし、センスは保証しませんよ」
少し間を置く。
「では、ヘルとお呼びください。
呼べと言い切った方が貴方は楽でしょうか?」
不慣れな様子だが、命令らしきものを口にした。
「…………センス。センスはあったほうがよいのか?
おれにはわからない。どちらでも構わない」
一拍、二拍、考えるような間があった。
「ヘル。その名に由来はあるか? ならば近い名でもいい」
困らないのならばと、その言葉に甘える。
「無いよりはあった方がよくないですか?」
ポチやタマと呼んでも返事しそうな予感がしたため、掘り下げはしなかった。
「ヘルは冥府の主の名です。私としては馴染みが深いものでしたので。
そうですね……ガルムはいかがでしょう?ヘルの住まう館の、番犬の名です」
そう言って、貴方の反応を伺う。
| >>44 エアハート 「だからこそ、悪ふざけにしか見えないと言っているんだ」 この場で槍を振り下ろせばどうなるかなどわかっているだろう。 だから得物に掛けた手は意に介さず、そちらへ背を向けて。 そのまま一人、役者はまた独白を零す。 「『冒険者同士の諍い』なんていつもの事だろう。 いつ起きようが、大したことじゃない。 …ついて来い。似合いの場所で話そうじゃないか」 互いにこの場は『そういった筋書き』で収める事にした。 なら、敢えて逃げ出そうとするほど愚かではないだろう。 だから引き摺って行くような真似はしない。 短く台詞を吐いて、先導するように歩き出すだけ。 そのまま役者は青年を伴って、酒場の外へと去っていった。 (51) 2021/12/08(Wed) 1:52:03 |
センスは無いよりあったほうがいい。
そう言われればそうかもしれないと、ひとつ賢くなった。
おそらくなんと呼ばれても返事をするだろうという貴方の予感は間違いない。
「……承知した。今からここでの呼び名はガルムだ」
頭を垂れる。
「ここでの声が聞こえるということは、ガルムはヘルの味方なのだろう。ならば、おれはできうる限り、貴方に尽くそう」
「私が尽くされる立場になろうとは、人生なにが起こるかわからないものです。
ですが、尽くして頂けるのならば私も応えられるよう努力しましょう。
貴方は私の味方。私は貴方の味方です。
よろしくお願いしますね、ガルム」
軽く頭を下げ返す。
命令を下す者としての態度ではないだろう。しかし、無理に振る舞いを変えた方が互いに困るだろうと考えた。
「さて。ガルムも他人の隠している事がわかると認識しています。
どなたか探りたい方はいらっしゃいますか?
私は……今は、同業者の二人がどちら側なのか気になっている程度です」
踵の高い靴が、感情が抜け落ちたように冷淡で、
一定間隔に無機質そうな音を響かせて。
「攪乱させると言うなら、
適当に丁寧に話しておけばいいだろうに」
あなた方の目の前に現れたその人物も、
音と何ら変わりのない顔をしていた。
「この酒場、及び周域の担当に任命された、ホドだ。
今回の作戦は啓蒙活動も含まれている。
誤魔化すよりは聞かせてやるつもりで行くといい」
何を、誰が居ても当然の様な顔で、面々に目をやる。
恐らくは他の面子が誰であっても同じ様な顔をしていた。
そう断言できそうなくらい──表情は無しかなかった。
「やりだした頃には止まらにゃい、なんてにゃん。
にゃーは、余計なリスクを背負わないだけ。
あんたらにゃ分かるでしょう?この猫がどれだけのリスクを背負って、この辺りに顔を出しているのかってことを。
丁寧な言葉位じゃ思い当たられるにゃん。だから、念には念を入れているだけ、にゃ。馬鹿みたいに見えるだろうけど」
対する、ふざけた口調でいる者は、
ころころと表情を変えて、けれどくだらなさそうに。
言ってることもどれだけが本気かは掴ませない。
「……よくもみゃあこんな面子がそろったもんだこと。
んまあ、にゃーはいつも通りの『仕事』をするだけにゃ。
一粒一粒虫を潰すように、着実と準備を整えてきた……尻尾が掴まれかけたのは計算外だったが、ここの衛兵なら多少は持たせてくれるでしょうにゃ。
こういう時の為にお金を溜めてたといっても、過言ではないからにゃー」
「こちらとしては楽だがな。
それほど冴える、或いは勘のいい人間なら。
さっさと【対象】にしてしまえばいい」
首のあたりに指を這わせる。
政府が何をするか、何をしているか、その暗喩。
最もそれはこの野良猫の言うように、
この猫を危険に晒す行為だ。
無論、今の発言は本心ではないが、冗談でもない。
「それで?候補者に目途が付いている奴は?」
一定の基準を満たせば何の感慨もなく動く機械のように、
この人間は顔色一つ変えず、情の有無は判断を左右せず
それを行う事が容易に見て取れるだろう。
「ホドは大層頭が固いように見える。
んにゃあ、怪しい動きを見せてきたらそれでもいいだろうけど、もしかしたら協力、も、できるかもしれないにゃ?
こんな状況。仲間は多いに越したことはないにゃん」
なんて。それこそ本心かどうか怪しいもの。
「猫的に言うなら、どこぞの鼠が気になるというか。
勿論洒落じゃないにゃ。ただ、そう。
どうやら何かを嗅ぎつけた≠轤オい。恐らく大したことではないだろうが……むやみに引っ掻き回されるのも困る。それはにゃーの仕事だからにゃあ」
ま、手始めにしたらちょうどいいんじゃないかにゃ、
と、けらけら笑って見せた。
「…………」
「おれは"命令"がなければうごけないような野良犬と言われ育ってきた」
「──貴方が、此方の味方ある必要はない。だが、そうであるのなら、それは」
言葉に詰まったのは、己の知りうる言葉で表現することができなかったからだ。
「では、二人いるのならば、その片方を探ろう」
けれど、ひとつ気になることがある。
「……貴方は、どちら側だろうか?」
これを聞いたところで意味があるのかはわからないが
どちらであろうとも、番犬は貴方の味方であることは決めていた。
"盗み聞き"が懸念であれば"内緒話"でも構わない。
最後の一人に視線を遣れば、
注意していなければ聞こえない程度の声でそう呟いて。
「ああいう手合いは取るに足らない事だって
無闇矢鱈と誇張して騒ぎ立てるもの。
虚言であれ真言であれ放っておいても百害あって一利無し、
さっさと黙らせておくのが賢明だ。それに…
口の軽い奴がこれから先どうなるか。
見せしめとしては、ちょうどいいだろう」
それもつかの間、"蝙蝠"は淀みなく賛同を示す。
手始めに吊るし上げられるのは、地を這う鼠になりそうだ。
「ホドとやらに異議が無いなら、それで決まりだ。誰がやる?」
「無論、人員が補強できるならそれに越した事はない。
勧誘できそうな人間がいるなら当然行う。ただ、」
「一つ返事で寝返る奴は、
他に声を掛けられても同じ事をしやすい。
そうさせないよう先手で【対話】しておくのも手だ」
この対話が、文字通りの意味ではないのは。
何もない表情を見るに、この場の人間なら一目瞭然。
音声に乗っただけのものはどう聞こえるかは知らない。
いずれにせよ、この男がそう主張しているだけであり、
貴方達がどんな人間を勧誘するかには口出ししない。
「そうか。2人共そう言うなら私に異論はない。
私が行っても問題ないが──なあ【新入り】
野良猫も、新入りの実力を見定めたくはないか?」
| 「やあ諸君、いつぞやは騒がせてすまなかったね! ああいやなに、放浪の身ともなれば 誰しも何処ぞで拵えた因縁程度はあるものさ。尤も…」
一時の騒動を演じた役者は、暫くの後に戻って来て。 いつも通り、芝居がかった調子で台本通りを並べ立てる。 まるで何事も無かったように、平然と。 その途中"共演者"の方を見遣り、肩を竦めて見せた後。
「向こうは覚えていなかったようだけどね。 ──なんて、よくある悲劇だ。 そういう事にしておこうじゃないか。」
次はしっかり公演の許可を取るからさ、レディ。 だからお目溢しを頂けないかな、なんて眉を下げて。 女主人に許しを請いにカウンターの方へと向かって行った。 (70) 2021/12/08(Wed) 18:46:29 |
「はあ、面倒にゃ」
微かな呟きが聞こえたのかいないのか、
嘆息を一つ会話の合間に挟んで。
「にゃあは異論ない。新入りの腕を疑ってるわけでもないけど、もししくじったとしてもホドなら大丈夫だろうからにゃ。
本音を言うなら誰でもいいにゃ、この程度のこと」
| 「やはりこの程度の騒ぎはよくある事なんじゃないか? 私ももう少し羽目を外しても…… ああ冗談、冗談だともレディ。 そんな目で見ないでおくれ。よそ者は大人しくしているさ」
慌ただしく舞台へと上がり、そしてまた舞台袖へ消えていく。 そんな哀れなごろつきの辿った顛末を涼しげに見送って、 口を滑らせればもう一度肩を竦めて見せた。
「何分手酷く振られたばっかりでね。 傷心中というわけだ。だから今は飲んで忘れたい気分」
グリューワインを一杯、香辛料はキツいくらいがいい。 少し額を上乗せした代金と共に、そんな景気付けの注文を一つ。 (74) 2021/12/08(Wed) 20:18:43 |
「その通り、"鼠捕り"程度、誰がやろうと同じ事だ。
であれば尚の事、
下っ端の仕事に相応しいというものだろうな。」
「故に"鼠"の相手は"蝙蝠"が引き受けよう。
実力を測るにせよ、信頼に足るものかを見定めるにせよ。
あんた達の好きなようにすればいい。その分…」
「同じように、俺も好きにさせてもらうとしよう。
文句は無いな、先輩方?」
言葉の詰まった貴方を、じっと見つめる。
「そうでしたか。
しかし、私は番犬の名を貴方へ渡しました。
私、名付けたものにはきちんと責任を持ちますよ。少なくとも自分から離れようとするまではね。
故に、私は貴方の味方となりましょう。
そう努力しましょう。
それが私の義務でもあります」
納得しづらかったらこれも命令だと認識して構いませんと、添えた。
「誰が我々を縛れるものか。
そうさせない為に、我々はいるのだから…にゃ」
返事は無い。それが答えだろう。
最も、普段のこの人間なら、
『それすら出来ない人がいるから──』
そう何らかの返答なり口煩い心配や警告なりしたものだ。
少なくとも、無言を肯定とする気質ではなかった。
──なかった、はずだ。
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