【人】 『ただの子供』 ソフィア*** 動物の鳴き声が止んだことにも>>42 空気の流れが変わったことにも気づかないで。 俯いた顔を不安そうに歪ませて 私はぐるぐると一人考えていた。 道なんて覚えてないほど闇雲に歩いた。 ここに来る、とは友達には伝えても 大人には伝えなかった。 探しに来てくれるのかもわからない。 「 ううう…… 」 もう少ししたら泣いてしまいそうで。 一層身体を縮こまらせて、世界に脅えて。 (111) 2021/06/16(Wed) 10:24:01 |
【人】 『ただの子供』 ソフィアそんな時に響いたのは、 どこか恐怖を感じさせるような、重々しい声>>44 顔を上げて探すように辺りを見回したのは ただの反射行為だったけれど。 姿の見えない相手に、藁にも縋る思いで 喉を震わせ声をかける。 「 あなたは誰? 私は神様を探しに来たの。 ねぇ、神様の住んでる場所か、 村への帰り道、わからないかな。」 子供ゆえの無鉄砲さと、ほんの少しの勇気。 そこから出した言葉は、相手にどう響いただろう。 村へ帰ることだけを考えないのは まだ当初の目的を諦めていないから。 神様なら一日お泊まりさせてくれないかなとか そんなことも思ってる。* (112) 2021/06/16(Wed) 10:24:31 |
【人】 『ただの子供』 ソフィア姿も見えない相手が驚いていることなんて>>126 今の私にはわからないもの。 ましてや、知らない誰かと重ねて見られているなんて 思ってさえもいやしない>>127 「 怪物……? 」 神ではなく怪物がいると嘯く相手に 私は言葉を繰り返し、疑問を表した。 怖気が走るような心地になる声。 気がつけば震える手を、 ぎゅうと胸の前で握りしめて。 (144) 2021/06/16(Wed) 20:10:19 |
【人】 『ただの子供』 ソフィアかさり、と葉の擦れる音が聞こえただろうか。 そちらに目を向ければ、そこにいたのは ─── 燃えるような赤い髪を持つ男 >>128「 あ……っ、 」 ひゅう、と息を飲む音をさせて 私は目を見開き、その男を見つめた。 自分とは違う、大きな存在。 心で感じたことをそのままに、 身体をガクガクと震わせる。 (145) 2021/06/16(Wed) 20:14:35 |
【人】 『ただの子供』 ソフィアそんな姿をどう思ったか。 彼は足音を鳴らしながらこちらに近づいてきた。 響く音はこの場では異質なようにも思えて 自分を守るかのように身を縮ませる。 覗き込んでくる瞳は何色と形容したらいいのか 子供の自分ではわからない。 ただ、その水のような目に射抜かれれば ……どうしてか、心の中になにか 恐怖とは違うものが湧き出たような気がした。 (146) 2021/06/16(Wed) 20:15:42 |
【人】 『ただの子供』 ソフィア「 え? 」 神様が、子供を攫う? 悪魔?>>128 考えてもいなかったことに意表を突かれて 間の抜けた声が場に響く。 自分の村で子供が居なくなったことは 知っている限りない>>41 なら、と違う村の子かとも思ったけれど この近くに村は自分のところだけだと認識している。 (147) 2021/06/16(Wed) 20:16:04 |
【人】 『ただの子供』 ソフィアこの人は嘘を吐いている。 でも、それはどうして? 恐怖よりも上がってきた疑問が気になり 先程までと顔色を変えて彼のことをじっと見た。 怖い人。嘘を吐く人。 でも、もしかしたら、 (148) 2021/06/16(Wed) 20:16:41 |
【人】 『ただの子供』 ソフィア「 私のため? 」 思考の間を伝えることもせずに吐き出したから 彼にはなんのことだかわからないかもしれない。 けれど、相手を慮れる程大人ではない。 まだ、幼い少女なのだから。* (149) 2021/06/16(Wed) 20:17:20 |
【人】 『ただの子供』 ソフィア問いかけに肯定が返ってきても>>172 私は、神様と彼が言っている怪物が 同じだと、すぐには考えつかなかった。 恐怖で思考が上手く紡げず、 頭の中は絡まったよう。 言葉少なに説明されても、 なかなか理解は及ばない。 でも、きちんと説明してくれたなら>>128 やっと頭の中の糸の絡まりが解れる。 そうして、彼の言いたいことがわかった気になって 答え合わせをするために、言葉を投げかけた>>149 (233) 2021/06/17(Thu) 14:59:00 |
【人】 『ただの子供』 ソフィアこの人は神様を悪魔と称し、自身を獣だと言う。 はて、これは一体どういうことなんだろう 問われた言葉とは別のことに思考をやる辺り 少しは緊張感が解れたのかもしれない。 「 えと、……見えるかはわからないけれど。 それ以外に、意味はあるのかな? 」 自分の思考の間を上手く補完してくれたことに 子供の私は気が付かないまま。 話がそのまま続くのなら 吐かれた嘘の理由が他にあるのだろうかと 頭を悩ませるように首を捻った。 (234) 2021/06/17(Thu) 14:59:37 |
【人】 『ただの子供』 ソフィア悩みに対する答えは出たか、得られたか。 未だに体は本能からか萎縮しているけれど 心は先程までより縮こまっていない。 人は未知を怖がるもの。 なら、知れば恐怖が薄れるは道理。 先までの声より柔らかなものがかけられれば 顔を上げて彼の水のような瞳を見た。 「 私の名前? 」 この大きな存在が私のような小さなものを 意識しようとするのは、なんとなく不思議で。 きょとりと子供らしい大きな裏葉色の目を瞬く。 じっと見つめても、真意は見えないだろうか。 私は、目線を逸らさないまま小さな唇を開いて。 (235) 2021/06/17(Thu) 15:00:28 |
【人】 『ただの子供』 ソフィア「 ソフィア。 私はソフィアよ。 ……あなたの名前はなんて言うの? 」 神様が悪魔、は方便だとして。 自分が獣というのは、一体どういうことなのか。 疑問を晴らす機会を伺いながら 問いかけを返すように名を尋ねる。* (236) 2021/06/17(Thu) 15:00:36 |
【人】 『ただの子供』 ソフィア叡智の素質だとか>>174聡明だとか>>254 そう評されていることなんて その表情から読み取れもしなければ 察することも出来やしない。 『Sophia』の名を冠すると言っても『ただの子供』 相手にどう思われているかを考えながら 振る舞うような知能は未だ持ち合わせていない。 (297) 2021/06/18(Fri) 8:50:40 |
【人】 『ただの子供』 ソフィア「面倒」>>254とはどういう意味なのか。 それに対する答えは、少ししてわかる>>255 「 ラサルハグ……え、神様!? 」 『Rasalhague』の意味を知らないから へびつかい座のことだとはわからず>>19 ただ、名前を覚えるように言葉を繰り返した。 少し覚えづらい名前だと思ったのが率直。 けれど、次に述べられた言葉に驚いて 目をまんまるとさせれば、ぽけ、と口を開いた。 (298) 2021/06/18(Fri) 8:51:01 |
【人】 『ただの子供』 ソフィアこの存在感の大きさは神だと言われれば なるほど、納得出来るものだと思う。 だから、『ただの子供』は疑う気持ちを持つことなく 『 大蛇 』を『神様』だと認識する。 「 あ、えっと、 」 本当に神様がいるのなら、聞きたいことは山ほどあった。 なのに、言いたいことがまとまらなくて舌が縺れる。 焦ったようにもごもごと口を動かして なんとか言葉を出そうとするけれど、上手くいかない。 そんな私に彼は、今までのような声を静め 穏やかな声で語りかけてくれる>>256 伸ばされた手に体は震えを走らせるけれど 拒む気持ちにはならなかったから すぅ、と息を吸い込んで、彼の手を受け入れた。 (299) 2021/06/18(Fri) 8:51:22 |
【人】 『ただの子供』 ソフィア少女らしい小さく、でもふっくりとした頬に 彼の手が触れる。 その温度は蛇の如くひんやりとしているだろうか。 感じる気持ちよさに思わず目を細めて。 まるで落ち着いていいというような手に 一度目を閉じれば、深く呼吸をする。 どくどくと動く心臓を抑える気持ちで 胸元で握っている手にぎゅうと力を込めると、 裏葉色の目を開いて相手の顔を見上げた。 (300) 2021/06/18(Fri) 8:52:19 |
【人】 『ただの子供』 ソフィア「 ……毎年、神様の所へおよめ? に 村の人が行ってると思うんだけど。 村へ帰ってくることはないの? 」 大人が言うには、 「神様の手伝いをしに行っている」そう。 でも、手伝いならたまには帰ってこられないのかな そうずっと疑問だったのだ。 なにか事情があるのだろうか。 それとも、神様が厳しくて帰ってこられないのか。 伺うような目で相手を見つめる。 (301) 2021/06/18(Fri) 8:52:38 |
【人】 『ただの子供』 ソフィアそろそろ夜も更けてくる頃>>256 子供から話を聞いた大人は>>111 森の入口まで探しに来ている。 森深くまでは、神の逆鱗を恐れて入りはしないから もし探しあてることが出来なければ、 大人しく引き返していくことだろう。 月明かりが木々の隙間から 『ただの子供』と『 大蛇 』を照らす。 動物の鳴き声もせず、静まった森の中。 二人だけの世界のように、視線を絡ませあって。* (302) 2021/06/18(Fri) 8:52:49 |
『ただの子供』 ソフィアは、メモを貼った。 (a26) 2021/06/18(Fri) 8:56:07 |
【人】 『ただの子供』 ソフィア村を守る代わりに贄を差し出せと言われ 最初は男女ともに差し出していたが>>303 いつからかそれが女性だけになったのは、 神として崇められ始めたからか、 大蛇が従っていたという医学の神に準えたのか、 それとも……。 思惑はどうであれ、成人した女を一人>>304 毎年神へと嫁入りさせる習わしが村には出来ている。 決して多くない村人の数を補うために 遠くない親族同士で契りを交わす時もあるとか。 (322) 2021/06/18(Fri) 14:47:28 |
【人】 『ただの子供』 ソフィア*** 顔を顰める様子を見れば>>306 自分が怒られたかのように身体を震わせた。 「 えと、ごめんなさい……? でも、色んなことを村にしてくれる すごい人なんでしょう? 」 神様という言葉は人が呼ぶ敬称でしかない というのなら、自分から名乗っていないのは頷ける。 顰めた顔がどういう理由からのものか よくわからず、オロオロと眉根を下げる。 (323) 2021/06/18(Fri) 14:48:15 |
【人】 『ただの子供』 ソフィア神様だとは信じても、人ではないだとか 蛇だとかは、未だによくわかっていないもの>>307 触れた手の冷たさに内心びっくりしながら 先程までとは違うような、 どこか冷ややかに感じる顔を見上げる>>308 「 ……覚悟。 」 神の元へと手伝いをしに行くには 重い覚悟が必要なのだろうか。 一体なにの手伝いをしているのか、 それを聞いてもいいものだろうか。 『ただの子供』はただの子供でしかなく 深く疑うことを知らない。 聡明というには遠く、見える世界しか語れないのだ。 (324) 2021/06/18(Fri) 14:48:41 |
【人】 『ただの子供』 ソフィア (325) 2021/06/18(Fri) 14:49:03 |
【人】 『ただの子供』 ソフィア話が途切れ、静寂が辺りを包み込むと>>310 いつの間にか、手を当てている胸の鼓動が 落ち着いていることに気がついた。 今でも大きな存在として、重圧を感じるけれど、 話している間にすっかりと慣れてしまった ということだろうか。 彼の髪は燃えるように赤いのに 瞳は湖面のように静かで>>311 真逆な色合いを不思議そうに眺めていると 頬に当てられていた手が白縹の髪を撫ぜていく。 (326) 2021/06/18(Fri) 14:49:23 |
【人】 『ただの子供』 ソフィア「 え? 」 囁き声が一瞬理解できなくて>>312 聞き返すように声を上げれば すい、と彼の目線が私から離れた>>313 褒められたのかな、いや、気の所為かな。 流れ星のように通り過ぎて行った言葉を なんだか雰囲気の硬くなった彼に聞けないでいる。 (327) 2021/06/18(Fri) 14:49:38 |
【人】 『ただの子供』 ソフィアどうしよう、そう思っている間に視線がまた こちらに帰ってきたけれど>>314 その表情はどこか不機嫌そうに見えて やっぱり、聞く時ではないと感じた。 「 人が来たの? 探しに来てくれたんだ。 神様はそういうこともわかるのね すごい。 」 安心したように息を吐けば漸く笑みを浮かべる。 神様が優しい人だからといって、森の中で 知っているものがいない状態は、やはり心細かったのだ。 (328) 2021/06/18(Fri) 14:49:58 |
【人】 『ただの子供』 ソフィア「 いいの? ……ありがとう! 」 送ってくれると差し出してくれた手を そっと小さな手でとって。 すっかりと打ち解けた気持ちの神様と帰路へつく。 村で他の村人と顔を合わせたのなら こっぴどく怒られることだろう。* (329) 2021/06/18(Fri) 14:50:07 |
『ただの子供』 ソフィアは、メモを貼った。 (a27) 2021/06/18(Fri) 15:02:55 |
【人】 『ただの子供』 ソフィア神様にとって、昔とはどのくらい前の話なのだろう。 横道に逸れやすい思考は、言葉を聞いて そんなことを考えた>>330 「 そっか、……ありがとう。 」 謝らなくていいと、そう言ってくれるのは 優しさだと感じた。 だから返すのはお礼。気にかけてくれたことに。 問いに答えが返らないのは、 もしかして『神様』と、 呼ばれるのが嫌なのかなって思ったけれど。 名前で呼ぶのは敬っていないように感じて やっぱり私は神様と呼ぶことにした。 (362) 2021/06/18(Fri) 22:27:48 |
【人】 『ただの子供』 ソフィア “覚悟”という言葉の意味を>>331 彼が推測するように、私はまだ知らない。 あの村に住んでいるのなら負うべき責任を 負わずにのうのうと生きている。 それは私だけではなく、私以外の人たちも。 でも、他がそうだからって、 決して許されることではないのだろう。 (363) 2021/06/18(Fri) 22:28:27 |
【人】 『ただの子供』 ソフィア (364) 2021/06/18(Fri) 22:30:12 |
【人】 『ただの子供』 ソフィア「 違う村に住んでいるの? なら、そっちにまで行けば会えるのね。 」 どうして元の村に戻れないのかはわからないけれど お手伝いを終えた人は普通に生活しているらしい。 よかった、と安堵の息を吐きつつ。 疑問を口に出そうとしたら、先手を打つように 今はダメだと言われてしまった>>335 (365) 2021/06/18(Fri) 22:31:25 |
【人】 『ただの子供』 ソフィアなんで? そう思わないわけじゃなかった。 けれど、視線を合わせた水のような瞳が こちらを穏やかに見ているように感じたから。 意地悪を言っているんじゃなく、 本当に必要だからそう言っているんだろうって 私は素直に、彼のことを信じようと思ったんだ。 (366) 2021/06/18(Fri) 22:31:45 |
【人】 『ただの子供』 ソフィア*** 聞きたくないのに聞いてしまうというのは なるほど、確かに大変なことに思う>>336 安堵に緩んだ表情を神妙なものに変えて どう言おうか迷った結果、 「 じゃあ、出来るだけ、 うるさくしないようにする。 」 自分一人の努力でどうにかなるものではないと 子供の私に気づくことは出来ない。 (367) 2021/06/18(Fri) 22:32:08 |
【人】 『ただの子供』 ソフィアそうして、少しゴツゴツとした 大人の硬い手に引かれるまま歩き始めれば>>337 一人で闇雲に歩いていた時とは裏腹に 気分は上がり始め、機嫌良く 木々の隙間から空を見上げた。 見えるものは少ないけれど。 綺麗に見える星の数々。 もし『Rasalhague』の意味を知っていれば 探すなんてこともしていたかもしれない。 (368) 2021/06/18(Fri) 22:32:26 |
【人】 『ただの子供』 ソフィア夜の森、最初は怖かったけれど 今は楽しくて、好きになりそう。 上を見上げていれば転けてしまいそうに なったりもして。 その時は彼に迷惑をかけたかな。 「 あ、 あそこ! 」 森を抜けて村の入口が見えれば 思わず歓声を上げて喜んだ>>338 周りには運がいいのか大人の姿はなく 私たちの姿は見られていないみたい。 (369) 2021/06/18(Fri) 22:32:43 |
【人】 『ただの子供』 ソフィアするりと手が離れれば、もう この楽しい時間は終わりなのだろう。 名残惜しげな顔をしながら彼を見上げたけれど 月の光が邪魔をして、その表情は伺えない。 「 ……そっか、神様に会ったって言ったら みんな驚くものね。 」 「こんらん」の意味はわからなかったけれど 言いたいことはなんとなくわかる。 手伝いに行った人達がどうなったか 友達たちに言いたかったけれど、きっと言えば あまり良くないことが起こるのだろう。 (370) 2021/06/18(Fri) 22:33:03 |
【人】 『ただの子供』 ソフィア (371) 2021/06/18(Fri) 22:33:20 |
【人】 『ただの子供』 ソフィアだって、きちんとお礼を言えてなかった。 言いたかった。 貴方のおかげで助かったんだって。 私の気持ちは伝わっただろうか。 月の光はどちらの向きか。 あなたの表情は見えただろうか。 (373) 2021/06/18(Fri) 22:34:58 |
【人】 『ただの子供』 ソフィア村に帰れば、案の定とても怒られた。 友達には泣かれたし、 大人はなにを叫んでいたんだって 訝しげに見てきたり。 それでも、森で出会った彼のことは誰にも言ってない。 友達にも、両親にも、内緒の話。* (374) 2021/06/18(Fri) 22:35:12 |
【人】 『ただの子供』 ソフィア*** ─── あの日から数日後。 私は両親が仕事に行っている間に キッチンに立って料理をしていた。 そう、料理である。 パンの耳を切って(手が危うく切れそうになった) 具材を混ぜて(それっぽいものを) パンに挟んで(量の加減が難しい) 皿の上に出来上がったのは、見事なサンドイッチ。 少々形が不格好で、マヨネーズが多すぎて、 野菜が多かったり少なかったりするけれど。 これは立派な料理。 それらをバスケットに優しく入れたら、準備は完了。 持ち手に腕を通して家を出て、目指す場所は、勿論。 ── ▷ 森の入口 ── (375) 2021/06/18(Fri) 22:35:44 |
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