161 完全RP村【こちらアンテナ、異常アリ】
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視点:人 狼 墓 恋 少 霊 九 全 管
────これは、悪夢か?
アンテナが怖ろしい形相で襲ってくる夢を、見たんだが。
そういう選択か。
[もう、医師であるから、としか考えられない]
>>+0
多分それは、日ごろの行いに問題があるからじゃないか?
[めっちゃ普通にヒロミの後ろから声をかけた]**
>>+4
不思議現象でびっくりしているだろうが、
これはお前の幻影であり、幻影でない。
ヒロミ、おつかれさま。
[肩ぽむ]
は?
…………これは、俺の、幻影なの、か…………?
いや、違う、だろ……?そうは思えない。
ぁ……と、……ああ、ラサルハグ、久しぶり。
コールドスリープ状態に入りたての時は、
こういう風になるみたいなんだ。
だから、今お前が見えてるのは俺で間違いない。
[目の前にヒロミが来ると、
ま、昨日までのことは水に流してやる、と精神整理中]
頑張ったな。
────お前が、ゲイザーの代わり足れと言ったからな?
まあ、なかなか頑張ったんじゃないか?俺。
[強がりつつ呟くように告げたものの、まさか、こういう形でラサルハグに"再会"できるとは思っておらず。
ここ数日の感情の乱高下を改めて再認識した俺は、俯き加減にぽそもそと告げた。]
────────今日のところは、寝る。
そうだな、
想像以上だった。
ヒロミはすごい奴だよ。再認識した。
[俯き加減なら、ちょっとその頭に手は届きやすいかな。
と、その額を軽く撫ぜる]
うん、休め。
命令だ。
後で行く。
[そして、サダルの意識も迷子にならないよう、その場で待機する所存。**]
────………………。
[スリープポッドの中、俺は"覚醒"した。
いや、意識としては"覚醒"、なのだけど、俺の肉体は正しく眼前で眠っていて。
これがラサルハグの言っていた"脳が活発に動いている状態"なのか?と思いながら起き上がる。]
…………歩ける、な。
[誰も起きて活動してはいない、朝の船内。
何とはなし、昨日一番詰めていた場所だったキッチンに向かえば、昨夜最後にパンを焼いて片付けた、そのままになっていて、"ああ、これは夢じゃない"って、思ったかな。]
[歩ける。見える。聞ける。
引き出しを開けることはできず、閉まったドアは身体がすり抜ける。
それは、いつしか見た、ゴースト映画の特殊効果CGのよう。]
…………ちょっと、待て。
[呆然としていたが、数時間前に"再会"したラサルハグは、「頑張ったな」と。「想像以上だった」と。
俺の肩、叩いて。あと、頭に触れて、きて。]
え…………つまり……全部、見えてた?
[酔った勢いでバーナード相手にぶちまけた事。翌日、開き直ってチャンドラとサダルに口走ったこと、etc。]
[や。無理。無理だから。
どんな顔してラサルハグに、皆に会ったら良いんだ。
次に目覚めるのは生還する時だと信じて疑っていなかった俺は、食堂の隅に置かれた観葉植物の影、隠れるように蹲る。
生還するまでここでずっと座り続けていたら、駄目だろうか。**]
【コールドスリープルーム】
[ヒロミが混乱しつつ、再度休み、
サダル先生はどんな様子だっただろう。
その場には、自分の他、ルヴァゾズマダビーもいたかもしれない。
サダル先生が起きれば、事態の説明はしただろう。
むしろ、カウンセラーともなれば、このコールドスリープの特殊現象は既知かもしれない。
俺も前回そうだったし]*
[そして、
ふらり出ていったヒロミを捜しにいくことにした。
あの混乱ぶりだと、各所見回ったあと、どこかで黄昏てる可能性がある。]
ヒロミー、どこにいるー?
[まさに迷子捜し。
背が高くて、目つき悪い眼鏡の、生物学者兼おさんどんマスターのヒロミ君はいませんかー?]**
[この状態は精神体、と言って良いのか?
肉体の疲労なのか精神のそれなのか、どちらかは知らねど、この身体でもどうやら眠くはなるようで、俺は膝を抱えながらうつらうつらとしていた。
夢か現か、「どこにいるー?」と、馴染んだ声 が微かに聞こえてきて。
ふ、と顔を上げたところで、折良く食堂に入ってきたラサルハグとばっちり目が合ってしまった。
観葉植物の影と言いつつ、その鉢はたいしたサイズではなかったし、どうやら淡く光る照明下、顔を上げた拍子に俺の眼鏡がきらりと反射して奴の目に届いてしまったのであるらしく。]
────…………ぁ、
[絶賛継続中の気不味さに俯く俺だったけど、奴はきっと、ずかずかと近付いて来るんだろう?
口で浅い呼吸をする風に幾度か息を吐いた俺は、諦めたように小さく呟いた。]
ラサルハグ。
お前、寝ている間に、何をどこまで見た……?**
1割っていうと、1日の中の2時間半弱だぞ。
ま、密度は高いかもな。
時間を言ってるんじゃなくてな……!?
だ、って……見ている前提じゃないと、お前のその行動の理由がつかんだろ……。
["オールオッケー"とばかりにやたら近付いてくるラサルハグは、以前と同じようで、でもどこか違っている風でもあって、そして俺はそれについていけなくて*]
[ いちゃつくラサルハグとアマノ。
こちらの呼称を短くまとめたいんだけど
世間的にはラサアマとアマラサどちらなんだろう。
順番なんて別にどうでもいいだろう?
そんなこと言ったら世にも恐ろしい目に合うのは
界隈(?)の皆様ならご存じのはずだ。 ]
[ 閑話休題☆閑話休題☆
ゆるっとした表情のバーナード。
今の君の方が、昨日より良い顔をしているよと。
短い言葉を挟んだのは覚えている。
チャンドラにも見送ってもらって
長い眠りについたと思ってから。
僕の体感的には割とすぐ目を覚まして。
助けが来た。そう思うのは早計だとわかる。
ラサルハグの言葉もそれを裏付けた。 ]
眠った全員の精神が、
肉体と分離した状態で存在して。
自由に見聞きして思考できる状態?
これが僕が見ている夢なら可能性はあるかな。
[ 夢ならば随分と甘い夢を見るものだと。
自分に呆れてしまうかもしれないが。
ただ今はそうやってお茶を濁せるけど。
本当に目覚めた後。
全員の認識がすり合ってしまったら? ]
うーん。コールドスリープも
ミスティックアンテナ号の一部だから。
アンテナが僕達の意識をデータ化して
別の媒体にアップロードしてるとかかな。
[ 事前にもたらされた情報では、
そう言った機能を見た覚えはないけど。
何にせよ僕にとっては専門外。
それこそ、科学では説明できない類の話?
かもしれないね。 ]
説明ありがとう。
僕はカウンセラールームにいるね。
[ そう手を振って、場を離れると。
そのまま振り返ることなく、
通いなれた通路を進む。
この状況が何であれ。
脳を持った人間がいる限り。
僕のすることは大して変わらない。 ]**
いちゃついてなど!いない![どこかに向かって吠える]
え、左、ってなに…………え?[じっと我が手を見る]
それは、キスされて、どーしよどーしよって各種触れ回ってた件か?
[どストレート]*
………………っ。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ。
やっぱ、
やっぱり、見てたんじゃねえか、てめえ![涙目]
[サダルの見解にやや、考え込む]
たしかに、まだ、システムは謎な部分もあるからな。
隠されたものがあっても、
今更驚かなくなってきた。
【カウンセラー室にいくとなれば、頷いた]
尋ねるかもしれない。よろしくお願いします。
いや、幼稚な話はしないから、安心してくれ。**
ごめんよ!
[でも、聞かされた身にもって、そりゃ結果盗み聞きになったのは謝るけどな]*
い、や…………謝られても、な……。
………………。
まあ、いい。
お前、さ。
俺と、どうなりたいの……。
[鸚鵡返しに同じ問いを返されたところで、固まる未来しかないのだけれど。]
どうなりたい?
[頭傾げ]
どうなりたいとは、別にないけど、
責任はとる。
[お前が俺の脚にかけるなら、その努力をしないと、という意味で]
[良い年とした男2人が食堂の片隅に座りこんで首を傾げてる図なんて、全然可愛くもなんともないんだろうが、ともあれ、きょとん顔をしている俺たちがいる]
取って貰わなきゃいけない責任とか、別に無いが……?
[俺も俺で首を傾げる。
一般的には金銭面で心配をかけないとかいう、そういう方向か?あいにく俺もお前に負けず劣らずの高給取りだしな。
────でも。
じゃあ。
あの、キス、は。なんで。]
じゃあ、なんで、お前…………、
キ、ス…………とか……っ。
[言っててどうしようもなく顔が熱くなってきて、立てた膝に顔を埋めながら零した小声は、果たして奴に届いたんだろうか。]
[この、食堂の片隅で座り込んでいるデカい男が、
顔を真っ赤にしながらぼそぼそ話してる様、
俺はそれを見下ろしながらだけど、
本当に何事かと]
とりあえず、こんなとこ、ほかに見られたい?
俺はこれ以上の羞恥プレイはごめんだぞ。
大体お前、ベラベラ喋りすぎなの。
[手を伸ばす]
ほら、まずは立てよ。
別に襲ったりしないから、お前の部屋でも行こう。
[やれやれと]*
────────う"。
[羞恥プレイとか、"喋りすぎ"とか。
後者については、顧みれば実際、誠に否定できないあれそれではあったので、ぐうの音も出ない。]
…………わか、った。
[だからラサルハグの手を取り、のろのろながらも素直に立ち上がった。
"襲ったりしない"って、誰が?誰を?
ああ俺がぶん殴るとか、そういう?
と、全く見当違いな解釈をしていたわけだけど、口には出さなかったから、誰にも指摘されることはなく。**]
……そうか。
[コールドスリープの最終決定をアンテナが告げるのを確認し、ため息をつく。
スピカの様子は昨日までとはまた少し違っていて、ある種の防衛機制なのだろうと予測できたが、アンテナが適切に対応するなら、そちらに少しだけ委ねることにした。
スピカの友人だったというキュー。
その後の姿だとしても、今なら多少は得心がいく気がした。]
アマノ。
[この事態になってから短い間ではあるが調理当番を務めてくれた彼を、出迎える。
サダルもいたが、アマノには別で告げておく事があったから]
大して話をする機会がなく、すまない。
ハヤシライスに、ポトフ…カレーのようなもの。
とても美味かった。
それに、何より…昨日はスピカを気遣ってくれた事、感謝する。
ありがとう。
[端的にそう伝えた**]
【ヒロミの部屋】
ここに来るのは何か久しぶりだな。
というか、座れないけど、浮かぶのはできるのか。
[ベッドの上、脚を組んで座ろうとして、脚がないことに今更ながら気づく]
でも、軽いものだな。
結構あの脚、機能性メインで作ってもらったから、見た目本当にロボみたいだろ。
[話を逸らしてるわけではないのだが、
とりあえずは、そんな軽口を叩く]
で、キスの話だっけ?
[ころんとベッドに倒れるポーズで浮かびつつ]
もう、会えないかもな、って思ったら、
してみたくなったんだ。
[プラス可愛かったから、だけど、それほ、また盛大に怒られそうだったから、伏せておこう]
でもさ、混乱させたのは悪いと思ってる。
お前も昨日、サダル先生とかドクトルに言ってたしな。
ま、俺はお前好きだけど、お前は俺のことは嫌いじゃないってだけだろ。好きでもないやつにされたら、そりゃね。
うん、悪かった。
ま、もうしないから、安心するといい**
【コールドスリープ室から】
[あの後、ゾズマはコールドスリープ室から動かなかった――動けなかった。
ダビーがスピカを心配してこの場を離れたのとは対照的に、ゾズマの脚は全く進まなかった。
せめて食堂でゲイザーから何か飲み物でも貰ったほうが(念じれば出ると聞かされたにも関わらずこう考える辺りが、日ごろから調理を人任せにする人間だった)と考えはすれど。
それでも結局その場に膝を抱えて蹲るだけになってしまったのは、きっと、“残された者たち”――“残された友”を見てしまうことへの恐れを抱いていたから。
――だってルヴァも後で話があるって言ってたし。
――だから、今は落ち着いて休まないと。
半ば口実のように頭の中で呟いて、ひとり、留まっていた。]
……あ、ルヴァ。おかえり。
[この場に戻ってきたそのひとの声で、蹲っていた姿勢から顔を上げて]
動ける、けど……。
今はまだ、見て回らなくていいかな。
うん、さっき言ってた話、聞かせて。
[笑顔を作ろうとは思ったもののうまくいかず、いつも通りの無表情のままになってしまう。
それでも動けるは動けるとばかりに、立ち上がった。]
【ルヴァ自室】
[こうして特に寄り道をすることもなく、ルヴァに連れられる形で彼の自室へと向かう。
道中のところどころで、他者の姿を見てしまうのを避けるように視線を落としたり俯いたり。あるいは声を聞くまいとするかのように、己の手で耳を軽く塞いだり。
こうした仕草は、ルヴァにも見えていたかもしれない。
ともあれ、辿り着いた部屋は、少し散らかっているように見えた。
あのハリケーンからの片づけが済んでいないのかも、と、ハリケーンが無くとも普段からわりと悲惨な部屋に住んでいた人間は思う。
そして幽体離脱(?)して間もないゾズマは、「座る必要ないじゃん」等の疑問もツッコミも入れることなく、ルヴァに促された通りに、適当な空いている場所に座り込んだ。]
[さて、何の話を切り出されるのかと思えば――軽い雑談がぽつぽつと。
ゾズマ自身に雑談の話題の引き出しが多くなかったこともあって、大して話が長引くことはなく。
メカ以外の雑談ができないきまり悪さよりも、けれどこの時は、ルヴァからの“本題”がなかなか始まらないことへの不思議さのほうが大きかった。
ただの雑談のためだけにわざわざ彼の部屋まで連れて来られた、とまでは流石に考えにくかったから。
――もしかしたら、彼自身の昔の話なのかもしれない。
いつかの昔、スピカに自らの“過去”込みでの愚痴を零した時のことをぼんやりと重ねての憶測は、先入観として一旦頭の片隅に追いやって]
うん、……。
[本当に、ほんとうに、この期に及んでもその“本題”を察せられないまま、ルヴァが切り出した話の先に耳を傾ける。
格好つけたがりの内心を覚ってしまう程の眼力のないゾズマは、固唾を飲む、といった態でルヴァの両目を見つめた。]
―――…、うん。 うん。
[それはルヴァが眠りに就くことが決まった日の、彼が告げていた話の一端。
それで解った。あの時にルヴァがはっきりと言っていなかった言葉のことだと。
相槌を打ちながら、あの時「うやむや」にされた言葉を待つ。
今度こそ、ちゃんと伝えてくれる、その言葉を。]
いいよ。ちゃんと言って。
( トモダチだよ、って )
[まるでコミックかドラマの友情みたいだ、とかじり聞き程度のうろ覚えの思い込みからの思念が薄らと過る。
それもあって、何よりルヴァと真正面からこう向き合っていることもあって、妙な照れくささから自然と表情が緩む。
そして、真剣な面持ちで告げられるその告白を聞いた。]
…――――――
ほぇぁ????
[予想外の言葉の意味をとっさには理解できず、暫しぽかんとしていた。
]
好き? 前から? 仲間、じゃなしに?
ひとりの、オンナノコ、として?
[これらの語から“そういうこと”を察せないほど、ゾズマは無知にも謹厳にも育てられてはいない。それこそコミックの世界にだって出てくる話だ。
ただ、恋愛ごとには無関心で、基本的に他人事だと思ってきていたものだったから――ここで告げられたことの意味を理解するのに時間が掛かった。
何を打ち明けられたかを理解したのち、視線を横に逸らす。]
う、うん。えっと。その。
てっきり、ダチの約束とか、そーいう、話かと……。
いやマジ、何っていうか、なんだけ、ど。
[何と返せば良いのかまるで解らなかったが故に、返事は「今じゃなくてもいい」と柔らかく笑って告げられたことに安堵が過る。
彼はただ、伝えたいことを、伝えられるうちに伝えたかっただけ――それこそ親友同士のように――けれど“親友同士”どころの話じゃない、というのはもうゾズマにも解っていて――。
困惑という程ではなかったものの、戸惑いを隠しきれなかった。視線は移ろうわ顔まで背けるわ、「うー」だの「あー」だのの意味のない声が漏れるわ、で。]
[そんな、是も否も保留のままの情けない有様で。
それでも、こちらの手を取るルヴァの手を止めることはなかった。
銃も工具も扱えるその手が、やわらかく触れる感触を知る。
その時に漸く顔を起こして、再びルヴァの両目を見つめる。]
どうなったと、しても。
[その言葉を繰り返す。
艦の未来、自分たちも含めたクルーの未来は未だ知れない。仮に救助の手が差し伸べられたとしても、その後に何が待ち受けているか――。
その上で伝えられたこと。ゾズマはそれを“願い”とは思えど、“呪い”とは捉えなかった。]
ばっか。覚えてるに決まってるじゃん。
だってこんなに長く一緒にいて、
そんなコト言われたら、忘れようもないし――。
[そして自分が知っている以上に、彼は自分のことをずっと「長く」見つめてきていたのだろうとも理解して。]
[そんな中で、照れたように笑ってルヴァが締め括った言葉を、この時のゾズマは聞き逃したりなんてしなかった。
ルヴァの手を握り返すことはせず、けれども手と手は重ね置いたまま――]
……、ずるいかな?
[「好きだよ」への答えを保留にしたまま、自然に浮かんだ笑顔と共に小さく返した言葉。
それは、自分の中に“恋とか愛とか”のカタチがあるのか未だに知れないゾズマの、“トモダチ”としての願いであり想い。
そしてそれは同時に、“やっぱり、自分は生きたいんだ”という願いがちゃんと自分の中にあったのだと、はっきりと自覚させるものでもあった。]
……そうだ、アタシは生きるんだから。
だから、ちゃんと、見届けなきゃ。
[「だから」という訳でもなかったのかもしれないが、ともあれゾズマはこの時こう思い直した。
スリープの対象に選ばれず最後まで残されることになる者の、その生を見届けないと、と。
それが誰であれ、スピカであれ(この時のゾズマは、アンテナの最後の決定を未だ知らなかった)]
アタシちょっと、残ってるみんなを見て――
[こう言い掛けたところで、こうしている間にも新たに眠らされた者たちが、自分たちと同じ夢路についていた頃かもしれないと思い当る。時間の感覚が曖昧になっているせいで、今が「夜明け」前なのか後なのかもはっきりしなかったが]
残ってるみんなも、だけれど。
眠っちゃった人の出迎えもしなきゃ、か。
[アンテナからのアナウンス自体は聞き逃していたため、「ヒロミ」と「サダル」という名はここでは出てこないまま。
ルヴァの返答がどうであれ、ゾズマは一度、コールドスリープルームへと足を運ぶことにする。**]
【自室】
────そうか、今のお前には義足、無いんだったな。
[普通に歩いている風に見えていたから気付かなかった、と、ちらりと奴の脚を見やる。
あの手術着に似たスリープ用の服を着ていた時よりも、今の──よく知る奴の──服装でその部分だけが肉を持っていないことが、あからさま、違和感で。
"ロボみたい"と冗談のように言ってくるラサルハグに対して、同様に軽口を返す気持ちにはなれなかった。]
………………っ。
[そして、蕩々と語られていく、奴の本音。
は?"してみたくなった"って?
"好きでもないやつにされたら"って?誰の事言ってんだ?
そんな軽い謝罪して、"もうしない"って。何だ、それ。]
[告白の反応は。
一瞬の間の後にぽかんとした顔。
あー、混乱してる混乱してる。
思いっきり狼狽して視線を逸らして
あーとかうーとか声にならない声で呻く彼女に
これは全然気づいてなかったな……と苦笑しつつ。]
ダチって。
…まあ意識されてないような気は薄々してたけどさあ〜。
うん、つまりそういうことだから。
考えといてよ。
[まだ動揺の真っただ中にいる彼女。
ほんとこの船、この手の事に疎い人ばっかなんだから。
返事は急がないと告げて笑い、手を握った。
握り返されはしないけれど、
振りほどかれるわけでもない。
そのことに少しだけ安堵して。]
[彼女の目がまっすぐ自分を捉える。
その表情は先ほどの困惑から少しだけ抜け出して
はっきりとした意思が乗っているように思えた。
普段通りの気丈な彼女。自分が好きになった顔。]
あはは、それはよかった。
じゃあとりあえず、最低目標は達成かな。
[あえて明るくそう言って、
話を切り上げようとすれば
彼女がこちらを見て、口を開く。]
………うん、ずるい。
[はあ〜〜〜、と深いため息が漏れる。]
そんな顔でそんなん言われたら
ちょっとは振り向いてくれる望みあるのかなって、
期待しちゃいそうになるじゃん。
さっき出迎えた時も可愛い顔で笑うしさあ。
[多分本人そんな自覚ないんだろうけど
ちょこちょこ柔らかい笑顔見せてくるのずるくない???
浮かれちゃうが????
片思い中の男の単純さを舐めないでほしい。
微笑みを浮かべるゾズマに
赤い顔でちょっと不貞腐れたように
じとっとした眼差しを向けた後。
その表情を苦笑に変えて。]
…………ッお、前、お前は、"してみたくなった"で、キス出来るんだろうけどな!
で、"嫌ならもうしない"で軽く流して、んですぐ忘れて他の奴にキスとか色々、できるんだろうけどな!
ああ、大体、知ってるよお前が割と誰彼構わずハグだのなんだの出来る奴だってのは。
出来ない俺の方がおかしいんだよ、俺が普通じゃないんだ、そんなの、わかってる!
[とかとかな!知らないけどな!見てないけどな!]
お前にとっちゃ、それに毛が生えた程度の行為なんだろうけど!
こっちはおかげさまで、ずっと頭ん中、ぐちゃぐちゃだ!
まーずるいなって思うけど、
こればっかりは惚れた弱みだからね。
返事くれるまで頑張って気長に待つよ。
[あんまり気は長い方じゃないから、出来るだけね。
なんて冗談を交えながら穏やかに話を締めくくり、
そっと彼女の手を離そうとして―――
その前にもう一言だけ。]
あ、でも。
ああそうだよ"好きでもないやつ"とか、お前がそう思うならそうなんだろうよ!それで構わねーよ!
俺はもう、知らん!このくそ馬鹿!
[なんか、俺、こいつに対しては怒鳴ってばかりな気がする。
怒るのも、怒鳴るのも、そもそも、感情掻き乱されるのも大嫌いなのに。
非合理だ。非効率だ。不条理だ。こんな、感情。
猫が背中の毛を逆立てるようにフーシャー言い募った俺は、肩で息をしながら俯いた。
畜生、今の俺は、精神体とやらなんだろ?なんでこんなに心臓、痛いんだよ。
畜生。*]
[さて、話が一区切りつけば
そろそろ次のスリープの人が来そうな時間だった。
ここまでやや強引に連れてきてしまったが、
彼女だって残してきた人(特にスピカのこと)
が気にかかってもいることだろう。
スリープ室からここまで向かってきた時は
まだ心の準備ができていないようだったけれど
少しは気持ちも落ち着いただろうか。]
ん、もう平気?
僕もスリープ室まで
新しく眠りについた人の出迎えに行くよ。
[そういえば次は誰が来るのか報せを見ていなかったが
もう向かった方が早いだろう。
ゾズマと一緒に部屋を出てスリープ室まで向かい、
そこでサダルやアマノの顔を見ることになるだろうか。**]
ダビー
────ああ。
俺も、思っていた。
もっとダビーと話をしておけば良かった、って。
スピカが、なんかしょっちゅう、ダビーの事言っててな。
最初は、俺のこと「ダビーとは違うタイプか」って。
[まっすぐこちらを見つめてくる、折り目正しい操縦士。
なんでスピカが俺とこのダビーを比較するような事を言っていたのか、それは未だに解らねど。]
昨日は、大事なもの、あんたに預けたからって。家族になったんだ、って。
俺はろくに気の利いた事も言えなくて、だから、ほんと、礼とか要らなくて、だな。スピカの事もダビーの事も、ろくに知っちゃいなかったんだなと、昨日、思い知らされたよ。
[生還したらダビーと、スピカも交えて"お茶会"してみるか。
そう告げたら小躍りして喜んでくれるだろう"俺たちの知るあのスピカ"に、また会いたいと思った。**]
ヒロミ?
[あ、怒った。
待てよ、お前昨日。俺のこと嫌いじゃないとしか言ってないないじゃないか。
ま、いいか。
で、ものすごい剣幕で怒られた]
嫌ならしないって言ったんだけど、
嫌じゃなかったか?
それと、
普通ってなんだ?
[普通じゃないんだ、にはヒロミの中の普通ってのがあるんだなと]
[にしても、ものすごく怒るから、
こっちの昨日まので精神的打撃がすっかり搔き消されてしまった。
今のヒロミには同性の友人にキスしてみたい、までの道のりが結構険しいとか、
コールドスリープなんて死に際に、すぐに他に移るとか、
冷静になってくれたら、わかってくれるのかな、それとも永遠にわからないのか。
どちらにせよ。なんだか、こちらが一方的に悪いみたいになるのは、
なんかこう、不公平な気もするんだが?]
知らん?くそ馬鹿?
[ああ、ルヴァが言っていたなぁ、
こいつの馬鹿、は告白だって。
それ、すごくわかりにくいんだよな]
ねえ、ヒロミ
お前さ、俺のこと、好きと嫌いではどっちだ?
これは、中間なし。どっちか。
親愛とか友愛とか種類は選ばず。
ニコニコしてんじゃねーよ畜生![逆ギレ絶賛継続中]
………………ッ。
[は?昨日俺が言ったことなんて、全部ラサルハグじゃない他人宛だろが。
そんなもので判断するなよクソ馬鹿。
"嫌じゃなかったか?"
"普通ってなんだ?"
でも、そんな簡単な問いかけにさえ、こと己の心を覗くことに関しては、俺の口は容易には動いてくれなかった────のだけど。]
ぇ、あ………………、と。
[中間なし。どちらか。
ラサルハグの事を、好きか、嫌いか。
そんな、幼児にでも──そう、情緒年齢13歳にでも──答えられる、至極簡単な問い。
俺の得意な、0か1かの世界。]
…………。
……………………。
好きだよ。悪いか。
[消え入りそうな声で、呟いた。*]
うん、そうだと思う。
嫌いな奴の脚なんかどうでもいいと思うし、
それで、大半は解決だよな。
どんなにヒロミから知らん、馬鹿って言われても、
俺はお前を信じてるこら、
安心していられる。
ヒロミは俺を見捨てない。
だから、眠りにつく時、
俺のためにそんなにぐちゃぐちゃになってくれるお前に
キスしたいって思ったんだ。
それど、簡単、に他の人と、なんて、しないよ。
ヒロミ、
今この事態だから、だ。
[そうだ。接触恐怖症とか言ってたっけ。
子供の頃のそんなあたたかな記憶がない。とかなら、
それは、環境は不幸だっていいだろうと思う]
みんな、顔に出していないだけで、
不安なこと、たくさんある。
そんな時、
手を伸ばすことは、
俺は悪いことではないと思う。
[お前の知らない2年間だ。
この脚を失った理由を、お前は聞かない。
もちろん、そんな凄惨な世界を、自らつらつら流す語り部は老人しかいない]
だから、そんなに怒ってくれるな。
お前を怒らせたくはないよ。**
[ラサルハグの言葉も、大概だと思う。
人が必死な思いで"好き"の結論を出せば、「そうだと思う」って、何様のつもりだ。
自分は自分で、"好きだよな"に対して"構わないさ"の大暴投をしたことは忘却の彼方。]
────見捨てるとか。するわけないだろ。
[でもそれは、それだけは、喰い気味に言っておかないと気が済まなかった。]
……この事態だから、俺にキスしたのか?
じゃあこの事態が去ったら、する理由は無くなるのか?
不安なのは誰だ、お前か?俺か?
いずれにせよ、不安が去ったなら、する理由は無くなるのか?
[俺は何を言ってるんだかな。
これでは、まるで、あのキスが一度きりなのを詰っている風な────]
[アマノ]
そうか…… いや、確かに俺とお前は大分違うタイプではえるだろうが…
[人付き合いの悪さの話だろうか?それは不明だが]
家族になったのは…確かだ。
何か預かった覚えはないが…そうか。
[スピカが眠ったら、話を聞いておくべきだろうか。
今のスピカとどの程度筋道だった話ができるかはわからなかったが。]
ともかく、感謝する。
…それに随分深入りさせてしまった。お前にはお前でやることがあるだろう。
また話をしてみるから、今後もクルーの一人として接してくれたら嬉しい。
それが言いたかった。
いずれ卓を囲んで茶でも…
いや、……コーヒーでも良いな。
あまり飲んだことはないんだが。
[アマノはコーヒー派だったな、と部屋のことを思い出しつつ、そう伝えた**]
……………………っ。
[自覚した途端に、顔に朱が走った。
けれど、"怒らせたくない"と困ったように笑むラサルハグの前、逆ギレしている自分が恥ずかしくもなってきて、ぽつぽつと言葉を紡ぐ。]
…………お前にとっては軽い行為だったかもしれないあれを、俺ばかり重く受け止めてるのが嫌だった。
お前は明日にも忘れてしまうかもしれないちっぽけなキスを、俺は後生大事に抱えて行くんだろうなと自覚して、それも嫌だった。
ああ、くそ、悪い。
何言ってんだかな、俺…………っ。
[顔を逸らした瞬間、ぽつりと涙が頬から落ちた。
もう、俺自身、何がなんだかわけわかんねーよ。*]
[この人は、本当に、情熱的だな。
出会った時は、あんなにクールに振舞っていたくせに、
もちろん、成績も俺よりよくて、背も高くてね。
きっと、親どうとかなくてもみんなお前と友達になりたかったやつは多いと思う。
そんなお前といる俺は、もちろん、金魚の糞みたいにみられたし、まぁ、構わないとは思ったけれど。
でもな、そんなお前が俺だけにはどんどん心溶かして、
今はこんなに怒鳴りつけてくれるまでになった。
今の台詞だって。
ああ、その顔は自覚してるか]
ヒロミ、ちょっとこっちに来ないか?
今さ、今だけだと思うけど、歩けなくなった。
だからそっちに行きたいけど、行けないんだ。
[ちなみに嘘じゃない。
本当に今はこちらに来てほしいんだ]*
【おそらく少し前:コールドスリープ室、再び】
[「もう平気?」と気遣うような一言を掛けられたのは、先ほどまでの――ルヴァの部屋に来る途中までの自分の落ち着かなさを見られた所為か。そう思い当ったゾズマは、努めて確りした声色をルヴァに返した。]
うん、もう平気。大丈夫。
[別の意味での“大丈夫じゃない”は、たった今ひとつできてしまった訳なのだが、こういう時にも気持ちの切り替えが早くできてしまう辺りが、このさして色気のない(と本人は自認している)ゾズマという人間だった。
こうしてルヴァと二人で、コールドスリープルームへと、新たに眠りに就いた者たちの出迎えに向かった。]
[……気持ちの切り替えが手早くできたとはいえ、その“大丈夫じゃない”がなくなったわけではない。
ルヴァとそういう関係になるのがイヤ、という訳ではない。仮にそうであれば、彼の手に触れ続けたりはしなかっただろう。
ただ、未だ“トモダチ”意識の自分が放ったずるい一言に対し、気長に待つと言いながらもあるひとつの宣言をしてきた彼に対し、生半可な気持ちでその手を握り返すことはできない――恋知らぬ者のそんな想い(思い込み、でもあっただろう)が胸の内に燻る。
あんまり気は長い方じゃない、という冗談通りに答えを急かされることは多分ないとしても。
終わりの見えないコールドスリープという名の時間的猶予の存在を、たとえ不謹慎でも幸だと思ってしまう心があった。]
( ……ってか、可愛いのか。
アタシってそうだったのか…… )
[あの時の笑みが、少なくとも「惚れた弱み」を抱えた男の目にそう映る程度には可愛らしかった、なんて自覚は勿論無かった。
そんな無自覚の発見のオンパレードに内心戸惑っていたのも、少し前の話。]
[さて、スリープ室の扉から(当然のように自分では開けられなかったので、壁抜けをする形で)室内を覗き込んでみれば――。
そこにはアマノの姿がちらっと見えて、けれどすぐに何処かに行ってしまって。]
ヒロミ。おつかれ、 ――――…?
[彼がすぐに移動してしまったからというのもあったが、何故かそれ以上声を掛けられなかった。一体、何故だったのだろう。ゾズマには判らなかった。
スピカへの気遣いのことを知らなかったこともあって、ダビーのように礼を告げる、なんてことすらもできないまま]
[ともあれ、アマノは“生かされる”側に選ばれた。
そしてこの時のもうひとりの“生かされる”者がサダルになったことを、同じく出迎えとしてその場に居合わせたラサルハグの後ろで知ることとなった。]
お疲れ様――、なのかな。
[サダルがラサルハグから説明を受けた後に、まずは一言そう声を掛けた。
と言っても、この状態になってもなおカウンセラールームに行くという彼に対し、「お疲れ様」という語が適切かは知れない。自分自身も時折仕事人脳になっている手前――ラサルハグにも先ほど言われた呼称の通りだ――“人のことは言えない”類の疑問でもあったが。]
[こうして、ラサルハグも尋ね人探しに出て行ったところで]
……、……
[ちら、と隣にいたルヴァを見やって]
………、……
[ちら、とサダルが出て行った方を見やって]
[突拍子もなく宣言した。
誰に問われた訳でもないのに宣言した。
(少なくとも傍目には)実に何の脈絡もなく宣言した。
そして今度こそとばかりに、未だ姿を見ていない――おそらくはまだ“残されて”いる三人の姿を求めて、スリープ室を後にした。
……言葉にすることをすっぽかしたままゾズマが内心抱えていたのは、“大丈夫じゃない”出来事についての相談。
なお一般的に、「カウンセリングルーム」と書いて「恋愛相談室」「青春相談室」とは読まない、はずだ。**]
["自覚してるか"などと分析されてると知ったら、そのまま踵を返して部屋を出て行くところだった。
例によって我が物顔で俺のベッドに寝そべる──というか、上に浮いている……?──ラサルハグ。
でも俺はと言えば、何とはなしに距離を取り、デスクチェアに座っていたわけだけど。]
────な、……んだよ。
[俺の言葉聞いてたか?
聞いてないだろ、割と真剣に言葉を紡いだつもりなのに。
若干憮然としながらも、"歩けない"と言われてしまうとどうしても心配心は浮かぶもので、俺は奴が転がるベッド(俺のだ!俺の!)に近付いて、奴の傍らに腰を下ろした。*]
ダビー
[スピカを俺よりずっとよく知るダビーが首を傾げるのだから、"違うタイプ"論についてはスピカ本人に聞くまではおそらく解答は得られない。
ああそういえば背の高さは似てるのかとダビーをちらりと見やったものの、元軍人の奴は威風堂々といった感じに姿勢が良く、対して俺はラサルハグ曰くの"ひょろ"で猫背だ。]
いや、深入りとかは────別に。
[それこそ今更だ。
多分きっかけは、皆の飯を作り始めたこと。
事ここに至り、漸くに俺は、この船で生活する1人1人の顔をまともに見始めたのだと思う。
きっと、ダビーと話す機会は、これまでもきっとあった筈なのに。]
ああ、俺はコーヒー党だけど。
でもダビーの"チャーイ"、だったか?……それ、飲んでみたい。
[バーナードが何かの折に話題に乗せてきた、未知なる飲み物。
ダビーが作るそれは絶品なのだと息巻いていた。
互いが互いに御馳走するというのはどうだろう。
"異業種交流"のとっかかりとしては、申し分ない選択肢だと思わないか?**]
[距離をとってたヒロミが近くに来てくれて、
ちょっとほっとする。
だって、何かそぐわないことを言うと、きっと、すぐにまた出て行ってしまうだろう?]
・・・・・・ちょっと今からお前が怒るかもしれないことを言う。
軽い行動とか、ちっぽけなキスとか。
俺のやることはそんなに酷いこととして、お前に映ってるのか?
聞いてると、俺がやってることは、全部駄目で、
お前は俺の全面的な被害者みたいに言うから、悩んでる。
お前は、なんて言ったら信じてくれるんだ?*
きっと、また、盛大に怒鳴られて去っていく未来を想像している。**
[メインデッキ]
[バーナードとチャンドラ、それにアンテナとスピカ。つまり残る全員がメインデッキに集まっているが、やはりというか、話は半分もかみあっていなさそうだった。
思わずため息をつく。
自分だったらどうだろう。
別に最後に残ることに異存はなかった。
それを格別悼んでほしいともそう思っていない。
残った者達が無事に生き残ってくれればいいと思ったと思う。
殿を務めるというのはそういうことだ。
チャンドラもその役目をきっと果たしてくれるだろう。
けれど]
ああ、わかっている。
お前達はどちらも、自分が残りたかったんだろうからな。
けれど、それではあまりに本当に残る奴に対して心無い振舞いではないか?
[ため息一つ。]
それなら……
[少なくとも、自分だけはチャンドラの行方を最後まで見守っていてやるべきだろうか。
彼女とは最後の日もあまりまともに言葉をかわせず、こうしている時も彼女には知る由もないとはいえ**]
[怒る?怒鳴る?とんでもない。
俺は顔色を失っていた。]
ゃ、ちが……だめ、じゃない。
["全面的な被害者"?そんなつもり、毛頭無い。
だって、お前は俺のことなど……別に、だろう?
俺はそう正しく理解して、だからお前のあれは単なる気紛れで、"たまたま"で────って。
俺の知らない"誰か"に与えるキスやハグと同レベルのもの。
ずっと。ずっと、そう思っていただけだ。]
[愛想がなく、ぶっきらぼう。
そんな共通項があった俺達だけど、それでもなんだかんだ、ラサルハグの周囲には人が居た。
近付いてみれば存外素直な性質で、笑えば無垢な魅力があって。
カリスマ性もあり、事実、この船でも皆に信頼されていた。好かれていた。
それは俺には到底持ち得ない、ラサルハグの魅力。]
だ……って、俺、好かれる要素なんて1つもない、じゃないか。
お前も言っただろ、"ヒロミは本当にいいやつになった" って。
前の俺は、つまり、そういう奴で、それは実際、そうだったし。
[尊大。人嫌い。短気。それに加えての口の悪さ。
それでいいと思った。何も欲しいと思わなかった。思うだけ無駄だった。
唯一長く深く交流が続いていたラサルハグだけれど、奴からそれ以上の情が貰えるなんて、期待すらしていなかった。
宇宙船の燃料専門家と機関士という絆だけが俺達を繋いでいて、俺は、それで良いと思い続けていた。]
────だって、お前。
お前は、俺が好きな程には、俺の事、別に好きじゃないだろう……?
[それはいつかラサルハグから貰った言葉 をなぞらえた言葉。
初恋なんてものは無かった。
自覚するかしないかのうちに、遥か昔に終わらせていた。
信じるも信じないも無かった。]
────でも、俺、お前を困らせていたんだな。
すまない。
[そんなつもりじゃ、なかったんだ。本当に。*]
[アマノ]
そうか。ならその方がいい。
[もっとも、毎日コックピットで日々を過ごし、スピカに話しかけられるだけで良しとしていた自分もアマノの事は言えないのだが。こんな事がなければ、せいぜい後はゾズマや、仕事の関わりであっても調査員の二人に機関士長とくらいしか接点はなかっただろう。]
チャーイか。構わない。
あれで良いならいくらでも振る舞おう。
コーヒーと引き換えだ。
[それは確かに、少し帰還への希望を募らせる提案であったと思う。悪くない。話慣れなかったクルーとの付き合いの接点としても**]
やあゾズマ。
精神が安定しそうで何より。
うん。君もお疲れ様。
[ 僕の場合カウンセリングルームにいても
仕事しているとは限らないので。
その語の懸念は、君だけものだよと。
そう、ワーカーホリック達に伝えたい。
背後に響く宣言。
思わず背筋がビクッと震えた。
僕とてエスパーできることとできないことがある。
だから反応は、一人首を傾げるくらいだけど。
…… ただね。アマノの時も思ったけど。
君達のその悩みは、きっと後の財産となる。
カウンセラーに解決させるのは、勿体ない。 ]
[ スピカの異変を残してしまったのは
僕だって申し訳ないと思っているけど。
あの場に残ったいる誰もが、
スピカが助けを求めたら、
手を伸ばし返すだろう。
その点では ……
彼女のことは実はそこまで心配していない。
他の懸念が大きいという方が正しいか。 ]
[ 珈琲も紅茶の香りもしないカウンセリングルーム。
それでも習慣のように腰掛けて。 ]
残されたのが僕だったら。
特に何も感じないままに。
最後まで笑って生きて、死ねたのにね。
[ スピカとバーナードのスリープが決まり。
残されたのはただひとり。
思わず口から零れ出たのは、
単なる雑感か、はたまた ─── 後悔か。
どちらにせよどうにもならない。
僕はアンテナにすべてを託した。
誰かに任せるということは、
生じた結果を受け入れるということだ。 ]
…… 眠った者の意識があるのも
予想外だったな。
[ そして懸念はもう一つ。
精神の疲労を防ぐ意味では。
むしろ眠ったままの方が安全だった。
飢え渇きがない分、逼迫はしていないが。
いつ助けが来るかもわからない不安定な状況。
心が擦り切れない保証はない。
これは試してみないと分からないけど。
肉体と切り離された精神体。
もしも死という逃げ場すらなかったら? ]
…… ゾッとするね。
[ 吐き捨てるように口にして。
願わくば、この異常を皆が受け入れて。
明日から続く日々が新しい日常に、
…… 特筆なしになりますようにと。
僕にできるのは
君らがメンタルつよつよであることを祈ること。
そして、もう一つ ──── ]
もしも、耐えられなくなったら
カウンセリングルームに来るといい。
…… 僕が、君達の精神を殺してあげるから。
[ 心を生かせるというのは、逆を知ること。
そしてそれが仕事なら、僕は躊躇わない。
今は面と向かって誰かに告げることはしないけど。
いつか必要になる日が来るんだろうか?
無意識に伸ばした指が、空を切る。
好みに合わない甘ったるい珈琲が、
何故だか無性に恋しかった。 ]**
[また怒鳴られて、出ていかれると思ったら、
反応は違った。瞬く。]
ヒロミ、大丈夫か?
また、俺は悪いこと言ったか?
[心配そうに眉を寄せた。
そして、弱弱しい声を聴くこととなる。
好かれる要素が1つもないなんて]
なんで?
俺は初めて会った時から好きだったよ。
じゃなかったら、傍にいない。
別にヒロミがいい奴だから好きになったわけじゃないし
お前は俺じゃないのに、なんで、勝手に俺の心を作る。
お前の中の俺は、打算的で好きを天秤にかける人物になっている。
ヒロミ、
お前が俺の脚に執着するの、
そのつながりが切れたら、俺はお前のそばにはいない、って思ってるからだろ?
でも、関係ないぞ。
俺は脚のためにお前の傍にいるわけでもない。
ただ、最初に見た、お前の目が好きなんだよ。
それはずうっと変わってない。**
[流石に、今のこの場面で。
完全に自分が異性としてナシ判定だったら
「隣に居てほしい」に肯定的な返事は返ってこないと思う
(さすがにそこまで罪作りでないと思いたい…)
つまり今は「まだ」友人としてしか
見てくれていないかもしれないけど
脈がゼロってわけでもない。
今後次第では可能性あるかもってことだよね!?
…と一旦ポジティブに解釈することにしたルヴァは、
長年胸に抱えていたものをようやく吐露したのもあって
内心戸惑っているゾズマをよそに
割合すっきりした気持ちだった。
新たに眠りについた二人に会う頃には
すっかりいつもの調子に戻っており
おーい、と明るく手を振って見せた。]
二人ともおつかれえ〜。
色々あったと思うけど
まあまあまずはゆっくり休んで。
[今回のスリープはアマノとサダル。
昨日様子を見ていたバーナードのことがちらりと過ったが
彼はまだここには居ない。
アンテナが最後にどういう判断をくだすのか、
今はまだ知らないまま。
ラサルハグとダビーもやはり気がかりだったようで
この場に集まっており。
アマノは早々に抜けて行ってしまった。
まあ積もる話があるんじゃないかな。ラサルハグと。
続いてサダルの方を見ればこんな時でも冷静に
今の状態を分析していて。]
や、サダル。
キミの"友達"になるには
まだちょっと早い再会な気もするけど〜。
あ、っていうかやっぱあのマシュマロ!
古かったんじゃん!!
[眠る前に交わした言葉を思い
にやりと笑って話しかけたのち。
今更ながら抗議を告げる。
しかしこの、
友達には友達とは思ってないって言われ、
好きな子には友達だって言われる、
なんだろうね僕ね。
ちょっと遠い目になりかけつつ、
サダルは相変わらずの笑顔で
飄々とカウンセリングルームに去っていく。
あーダビー誘った酒盛り(※酒とは言っていない)
にサダルも声かけようかな〜。
なんて思いながら彼を見送ったものの。]
?
[ちらりとこちらを伺う視線に首を傾げ。
唐突な叫びにびくっとする。]
か、カウンセリング…?やっぱもうちょっと休んでる?
[もちろんその内心など知らず、
自分が植え付けた「大丈夫じゃない事柄」を
相談しにいくつもりなどとは浮かばず
気づかわしげに彼女を見る。
どちらかというとやっぱりこんな状況だし、
気丈に見えていても堪える所があるのだろう。
そのあたりで聞いてほしいことがあるんだろうなと認識した。
まさか目下のカウンセリングルームが
恋愛相談室として賑わいを見せていることは露知らず。]
…、残りは3人か……。
[心に蟠っていたものをひとつ消化した、今は。
現在残っている皆の様子が気にかかる。
恐らくはゾズマもそうなようだったので
共に皆を探そうと声をかけ―――
メインデッキまでたどり着いたルヴァは
そこでようやく知ることになる。
珍しく人のように喋っているアンテナと
最後に残されるものの名を。**]
[色々と考えることはあるが、考えはまとまらない。
精神は肉体の状態、例えば負傷や空腹、睡眠不足、疲労、体温低下に極めて強く左右される。それを制御することは軍でもとにかく劣悪な環境での耐久訓練で叩き込まれた。]
とすれば、精神のみで漂っているに等しい状態では思考にも支障があるか。
……
[これはサダルの専門だ。恐らくコールドスリープ下での長期的な意識覚醒に影響する可能性がある。いずれ相談してみよう。
などと思いつつメインデッキを少し離れる。]
ルヴァ。
[メインデッキでか、別の場所でか。
彼の姿を見かけたら]
酒盛りがどうとか言っていたが。何かあるのか?
…多少なら、付き合う分には構わない。
[と、少し沈鬱げに声をかけた**]
→メインデッキ
[そこには一足先にダビーの姿があったかもしれない。
アンテナ喋ってる!?!?!?
って驚いたけど
そういえばラサルハグがそんなこと言ってたなって思い出して
必要なときっていうのは今なのかと―――
いや、それよりも。
静かなメインデッキにはどこか異様な空気が漂っていて。]
……す、ピカ……??
[一見一生懸命仕事をしているように見えるスピカは
他の二人とどうにも会話がかみ合っていない。
やがてバーナードと、チャンドラと。
不穏な空気が転がっていって、
ぱちんと糸が切れたように、弾ける。]
っ、――――
[チャンドラの怒声が、びりびりとこちらまで響いた気がした。]
……そんな言い方するなよ。
[ややあって。
バーナードと同じセリフがついこぼれたけど
これはチャンドラに向けてじゃない。
アンテナに向けてだ。]
やめろよ。
それじゃ、……それじゃまるで
チャンドラなら仕方ない
って言ってるみたいじゃないかよ…!!
[わかってる。
これは、残りたいと告げる
バーナードを説得するための言葉で。
チャンドラに聞かせるものではない。
全員生還の確率を上げるためには
医師が残るのが順当なのもわかる。
わかるけど。
そんな言葉、聞きたくなかった。
皆のために誰かが死ぬのは仕方がないなんて、僕は。]
[―――あのチャンドラの叫びは、理不尽への憤りだ。
自分だけが死にたくないという慟哭だ。
チャンドラは。
確かにしっかりしてて、いつも冷静で、
皆のサポートに回ることが多い立場だけど。
確かに僕とは個人的な話をするほど
親しくはなれなかったかもしれないけど。
でも仲間で。
自分たちと何ら変わらず、
悩んだり迷ったりするひとりの人間で。
でも、ここに残らないといけなくて。
それが辛いのだと言っているのに、
その場にいる誰も耳を傾けてやらないなんて
いくら何でもあんまりじゃないかよ。]
[ああ、でも冷静な部分ではわかるよ。
バーナードもスピカも、今はきっと余裕がない。
目の前のことで手いっぱいなんだって。
そしてやはり見ているだけの僕には何もできないのだ。
声をかけてあげることすらも。]
…………クソッタレが。
[ああ、何度だって吐き捨てるとも。
それが生かされる者の義務だ。*]
[チャンドラがその場から去ったあと
スピカとバーナードは暫くその場で仕事をしていたけれど。
なんだかそれ以上見ている気にもなれなくて。
どこに行こうかと思っていると
ダビーが声をかけてくる。]
あー、ダビー。見守りはもういいの?
いやー、何かって言うほどの何かはないよお。
ただ"いま"がいつまで続くのかも分かんないでしょ。
ちょっと気晴らしになったらな〜って思っただけ。
[この時間がどれだけ続くのかもよく分からないけど
あまり深刻になりすぎると潰れてしまいそうだなという予測。
ダビーの沈んだ顔を見ても、それはあながち的外れでもないように思う。]
今からオレンジジュースで飲み会する?
場所は......希望なければ展望デッキとか?
[同意が得られるなら、
食堂でゲイザーからジュースを失敬してくるけど。
サダルも誘おうかなと思ったけど、
ゾズマが用ありげなことも言ってたからとりあえず二人で。**]
[悪いことなど、言われていない。
俺は首を横に振り、絞り出すように声を出す。]
…………違う……っ。
[ラサルハグは"打算的で好きを天秤にかける人物"なんかじゃない。そんなこと、ずっと、知ってる。もうずっと昔からだ。
でも、ラサルハグの脚に執着する理由を言われた時には、返す言葉も無かった。
自覚はなかったけれど、それは確かに、奴の言う通りだっただろうから。]
────俺、きっと、怖かったんだ。
お前からの好意を期待して違っていたら、本当に俺は、俺には、誰も居なくなってしまうから。
お前は、俺など居なくても宇宙を飛べる力と仲間が居るけど、俺にはそういうの、何も無いから。
"勘違いするな、好かれているわけじゃない"って、ずっと、自分に言い聞かせていた。
[そう、それはきっと、ラサルハグがかけたという呪いよりも、ずっと昔からの強固な呪い。
「とても好きだ」 と眼前で言われても、なお、信じられない、根深いもの。]
俺、だって。
俺だって好きだ。
出会った時から好きだ。
[先刻の「好き」はろくに目も合わせられないままに告げたけど。
今度はラサルハグの眼を見てはっきりと口にした。]
ああそうとも、頭おかしいレベルで好きだ。
あのキスがあれからずっと頭から離れないし、あれは何だったんだ、期待して良いものじゃないはずだ、って、ずっと否定して、でも、どこか、期待してる気持ちもずっと消えなくて。
お前は俺の唯一無二の存在だけど、お前が俺を唯一無二の存在にしてくれるなんて、そんな未来、ありはしないのに、って言い聞かせて。
お前が欲しいなんて、どの口で言えるって言うんだ。
[家族?恋人?伴侶?どんな言葉でも言い表せない。
ただただ、ラサルハグが、欲しい。それだけ。
漸くに抱えた諸々をぶちまけた情緒13歳は、これ以上ない求愛の言葉を口にしているとは、あまり気付いちゃいなかったんだ。*]
[スリープ処理にかけられて、そのすぐ後、一度覚醒した。
ラサルハグに「おつかれさま」と言われ でもその後、再び少し眠りに落ちて。
次に覚醒した時 には、先に眠った面々も周囲に居ることに漸く気がついた。
ルヴァ に色々告げたいことがあった気もするし(いくつか謝らなきゃいけない事があった気がするが、いまいち頭が働かない)、ゾズマ が少しもの言いたげな視線を送ってくれていたことにも気付いていたけれど、俺はふわふわと歩き出して。
まだ活動する者のない朝の宇宙船内、ルヴァ言うところの"痴話げんか"らしきものをラサルハグ相手にやりあって、それが一段落した頃に、漸く俺は冷静に周囲を見渡すことができた。
話しかけてきてくれたダビー と、初めてまともにやりとりらしいことが出来たのも、ちょうど、その頃。]
【メインデッキ】
俺と同じこと、言ってるな。バーナード。
["僕のスリープを、チャンドラに譲れないの"と訴える奴 の傍らに立ち、小さく笑う。
昨日のあれよりも更にある意味悪い状態にあるように見えるスピカの状態も気になったし、気丈に振る舞っていた風に見えてもやはり色々限界だった風なチャンドラの叫び も目の当たりにした。
でも俺が一番気がかりだったのはバーナードで。]
"後を頼む"と託すのも、充分、呪いだったよな。
["アマノ。僕は期待に答えられてるか" 、奴の思いが胸に届いていたなら、無理するな馬鹿、と小突くくらいなら出来たかもしれないけれど。
俺は暫く、バーナードの後をついて歩いていたのと思う。**]
ヒロミは、もっと自信をもっていい
多分、少し、目を開けば、ヒロミと一緒にお喋りしたいって人、きっと多いよ。
でも、怖いなら、唯一、絶対にヒロミのことが大好きな俺がいること、忘れないで欲しい。
[俺はちょっとヒロミのベッドにむしろ寝たままで笑んでみた。ちょっとね。
起き上がりたくても、身体に力が出なくなってるかもしれない。このベッドが本当だったらいいな、って思ったら、
それはできたみたいで、
いつのまにか、この夢の中のベッドに身体を横たえてたんだ。
うん、この状態になって3日目だっけ。
そろそろ、脳も眠ろうとしてるかもしれないな]
出会った時から?
そうかな?だいぶ警戒してたぞ?
[やっと好意を口にしてくれるヒロミにくすくす笑った。
でも、頭おかしいレベル、と言われると、
また少し真顔になって、また笑みが零れた]
大丈夫だよ。
俺はヒロミが好きだよ。
これで足りないなら、愛してるっていう。
ヒロミが生まれてくれて、
そしてこの世にいてくれて、
そして、傍にいてくれて、
とても嬉しい。
お前は唯一無二だよ。
[多分、口に出さないと、また迷子になってしまうかもしれないからな、と。そのままヒロミの言葉を折り返して]
欲しいなら、やるよ。
生きて還ってからも、全部やるよ。
[またキスしてあげたいな、と思うけど、
ちょっと起き上がれないんだよな。
少し、寝たら元気になると思うので、
そしたら、また髪を撫ぜて抱きしめてあげよう]
疲れたみたいだ。
少し、俺も寝る。
ベッド借りるな。
[目を閉じた]**
────自信……?
[研究対象についてだったら──あと、最近の事もだったら料理も入れて良いんだろうか──、この上ない自信はあるけどな。
一点集中全振りで、他の事への自信と言われると、ほぼゼロだというのに。
でも、"一緒にお喋りしたいって人"には心当たりがあった。
今まさにこの船内で、"最後の1人"になったチャンドラを見送ろうとしている、スピカとバーナード。
話したくなったら話そうと笑ってくれた。
誰かとの食事は苦痛なのだと零したら、悲しそうにされた。
結局のところ、人との関わりの諸々は、俺から遠くに在ったんじゃなく、俺が勝手に遠ざかっていたのだと、知りつつはある。
けれど、でも、だからと言って、ラサルハグへの思いが薄らぐなどということも、なくて。]
や、うん…………警戒は、してた……かな。
[確かに、最初は逃げていた。
眼が合うと近付いてくる奴の言葉3つに対して1つ返すのが精々だった。
でも、眼が合うということは、俺もずっと、ラサルハグを眼で追ってたってことなんだよ。
お前はそうと気付いてなかったかもしれないけれど。]
────うん。欲しい。お前が、欲しい。
["欲しいなら、やる"と言われて、即答した。
抱え込んだ思いは口にしなければ煮詰まって捻じ曲がっていくだけで、結局、誰より傷つけたくない人を傷つけてしまうと学んだばかり。
欲しいものは欲しいと、口にしなければいけないのだと。
自分で踏み出さないといけないのだと。]
ぜんぶ、くれ。
ぜんぶ、やるから。
[お前の夢も、未来も、右脚も。
俺のものだ。]
[そしてラサルハグは眠りに落ちた。
スリープポッドに帰らないで良いのかと一瞬思ったけれど、精神体が──ひいては脳が?──休めるなら、場所はどこでも構わないのかなと思い直す。]
おやすみ。
良い夢を。
[寛ぎまくった風な緩んだ顔で寝る奴の顔が、あまりにも俺の知るいつも通りなものだったから。
俺はつい、幾度かそうしてきたように、奴の髪に手を伸ばし、少し伸びた前髪にさらりと触れる。]
…………ありがとう、な。
[唇、とか。いや、頬でも額でも、そこはあまりにも俺には難易度が高すぎて。
囁くように告げた俺は、持ち上げたその前髪へと、おずおずと口づけた。
────そういえば、他の皆は。
バーナードは、チャンドラは、スピカは。
そちらも気になった俺は、するりと自室を抜け出した。
できればラサルハグが目覚めた時には傍らに居たかったから、余所を歩いては自室に戻るという行為を、うろうろと繰り返すことになるのだが。**]
ラサルハグを探している奴が居たら、「俺の部屋で寝てる」と答えるしかないなと思いつつ。
【コールドスリープルームから】
[精神が安定しそう、とはサダルを出迎えた時に言われたこと。“残された者を見届けに行く”と決めたその時のゾズマは無論、“問題ナシ”とばかりに頷いていた。
……実際には別件で問題アリだったことを暗に示す妙な宣言が、去っていくサダルの背中を震わせていたことには気づかないまま。
(尤もこの“問題”、もっと深刻な“問題”に比べれば些細だっただろう)]
[そしてこの妙な宣言で、共にいたルヴァまでもびくっとさせてしまった。これにはゾズマも流石に気づいた。]
あ。えっと。うん。
大丈夫。だいじょーぶ。いや、マジで。
[気づかわし気な眼差しに、とっさにふるりと首を横に振る。気丈さは保てど、笑顔までは作れなかった。
あんなおかしな宣言を放った切欠は間違いなくルヴァの告白であり、今後の可能性を否定しなかったゾズマに対しての彼の念押しであった訳だが、カウンセリングを考える程のこの“問題”はあくまで自分自身の心の問題であることも解っていた。故にルヴァに対してここでとやかく言うことはしなかった。
この説明の欠如が勘違いの継続を招く、とまでゾズマは考えていない。]
[ともあれ、皆を探そうというルヴァにうんと頷いて。
あくまでこの時は本当に気丈に、残る3人を探しに向かっていたのだが――]
( ……、もう大丈夫、だから )
[それでも、やっぱり“大丈夫”になれなくなるかもしれない――漠然と過るそんな気掛かりを封じ込める。
もしかしたら、先ほどアマノがこちらのことなど眼中にもなさげに素通りしたのも、“残された者たち”への気掛かりが――自分の知らない場面も多々含めて――あったが故かもしれないと、その真相を与り知らぬままに思いながら。]
【メインデッキに至り】
[ルヴァの隣で、その光景を目の当たりにした。
アンテナのヒトガタがいつもより多く話していた。笑顔すら形作っていた――というのはこの時は見間違いだったかもしれないが、そう思えるほどにいつもより“ヒト”らしい佇まいに見えた。
――そういえばそんな機能、あったっけ?
常日頃からなんだかんだでアンテナに対しては(ヒトガタに対してもそうでなくとも)人間相手のように話しかけていたゾズマだったが、この“機能”に関しては何故かうろ覚えだった。
けれど今、問題だったのはそこではなくて]
…………、スピカ、
[タスクに臨むその手元が覚束ないのは一目瞭然。そしてこの場にいない筈のラサルハグの名を出した、という事実もそこにはあった。
自分とダビーが眠ってからの昨日のスピカの精神状態も、涙も叫びもその本音も、アマノが作ったハヤシライスのことも知らずとも――知らずに逃げてきたのだ――想定できたはずのこと。
どこか人間じみた調子のアンテナは、確かにスピカの側にいた。彼女の手を握ったかは兎も角として、側にいてくれた。
それでもスピカの現状は、目前にあるこの通りの有様だ。]
スピカ!
何言ってんの、しっかりし―― …
[思わず声を張ってしまうも、“眠っている”自分の声が彼女に届くはずなんてない、とすぐに気づいて口を閉ざす。
彼女と共にいま“残されている”バーナードは言葉を詰まらせている様子で――抱えていた無力感はゾズマには覚れないまま。
さらにもうひとり、チャンドラからも暫くは何の言葉もなくて――その涙の痕にも気づけないまま。
誰一人として――自分も含めて――スピカをどうすることもできない、と言わんばかりの光景を知る。
このままスピカが“最後まで残される”というのであれば――]
ばっ、か。
どうして。どうして。 ……ばか。
[誰に対して、何に関してぶつければいいかわからない罵倒が、誰の目と耳にも構うことなく零れ落ちる。
……本当に“最後まで残される”のが誰なのか、ゾズマはこの時まで、知らなかった。]
え?
……そっか。そうだったん、だ。
[聞き逃した放送が告げていた内容。それはバーナード、そしてスピカが今日の眠りに就くということ。
そしてそれはすなわち、チャンドラが“確実に死を迎える”役になること(少なくともゾズマは、“確実な死”だと捉えていた)。
その“最後のひとり”の吐露と、去り際の罵倒。
そこにいたのはきっと、“スピカや皆を支えてくれるドクター”なんかではなく、“死にたくない”ただのひとりの生身の人間なのだ、と。]
…………そうだったん、だ。
[ドクターなら大丈夫、と勝手に思いたかった自分がいたことを思う。
心配が全く無かったわけではない。それこそ、「身体、大事にして」という一言が零れてしまう程度には。けれども。
ゾズマが眠りに就く時だって、チャンドラはあくまで“頼れる船医”であり“意地悪なドクター”であり、柔らかな笑みをくれる人だった――そう見えていた。
職業上も艦での立ち位置上も、そうした立ち振る舞いは“作り物”かもしれない、と想像して良かったはずだ。その想像を、人の機微を悟るに疎いゾズマはしてこなかった。]
[それでも、同時に]
( ――…スピカは、生きのびられるんだ。
良かった。ホントに、良かった。
ちゃんと、会えたら、抱きしめなくちゃ )
( そうだ、……。
バーニーの遺書読み役、ならないで済んだ。
笑ってられる自信、なかった、かも、だし )
( ……良かった )
( ……良くないよ、ドクター )
( アタシ、なんなん、だろ )
( ママ。 ママだったら、どうした? )
( ルヴァ、ルヴァなら――… )
[濃くなったり淡くなったりする思念がぐるぐると混ざり合って、カタチも色も定かな筈のそれらの形状が解らなくなっていく。]
[……そんな所為で、「譲れないの」というバーナードのダメモトの問いも、ルヴァが異を唱えたアンテナの判断も――小さく吐き捨てられた言葉も、耳には入った筈なのに深く考えることができないでいた。
――やっぱり、“大丈夫”じゃなくなった。
一時、俯いて目を閉じて、額を両手で抱えて]
―――…っと、えっと。
なんだっけ。ルヴァ、それにダビーも。
ダビーも、うん、やっぱり……堪えるよね。
[この場を訪れ、少し声に覇気なく聞こえたダビーとルヴァの遣り取りで、はっと目を覚ましたように顔を上げる。「なんだっけ」なんていう脈絡ない一言を発したその声は、いつも通りのゾズマの声調だった。]
気晴らしー、か。
そうだね。うん、二人で行ってきなよ。
あ、でもダビーのお茶また飲みたいかなー…。
[なんていう優柔不断な言葉を(自分が誘われた訳でもないのに)発する口も、いつも通り、無表情ながらも屈託なく話すゾズマのそれだった。]
……、ううん。
時間なんて、どうせまだいっぱい
ありそうだし、やっぱり二人で行ってきて。
[サダルを含め他の者の存在をここでカウントしなかったのは、単にこの場にいる二人だけを意識したが故のことで]
アタシ、ちょっと出かけてくる。
[そう、努めて笑顔を作って告げた時。
あの時自分の両目に湧きあがっていた涙を、顔を起こした際にぬぐい切れていなかったことに、ゾズマは気付いていなかった。
この場のダビーも、ルヴァすらも頼ろうとせずに、ひとりでその場を離れていった。
こうして、メインデッキから廊下へ――。
自然に足が赴いていたのはカウンセリングルームの前だったが、ゾズマにそうさせた理由が果たして何だったのかは、この時の彼女自身にも定かではなかった。**]
[ルヴァ ]
見守りか。もちろん、続けるつもりはあるが。
今は少しだけ気分を変えたい。
何しろ、全て見届けるにはこの先何年かかるかわからんからな。
[それまで意識が覚醒したままでいる保証はないが、単に眠っているじょうたとは違うのだろうという仮説は立て始めていた。
船のシステムに意識が擬似的に接続されているような状態なのかもしれない。
原理はわかりかねるにしても。
そして、話を聞く限りルヴァも同じことを考えているようだった]
場所はどこでもいい。
展望デッキでも。
[ちょうどその場にはゾズマもいておおよそ同じものを見ていたようだった。来るかとも思ったが、別に用事があるらしい。]
……わかった。
茶はまた淹れよう。アマノともそんな話を少し前にしたところだ。
気をつけてな。
[何に気をつけるのか、と思いつつ言ったのは、ゾズマの様子が少し気にかかったからか。
ルヴァからのゾズマへの告白のことなどは知らず、そのまま見送り、展望デッキへと向かった**]
ん、ゾズマも来る?
[ちなみに、飲みについては。
女の子に聞かせ辛い話とか出るかもしれないし…
というそれだけの理由で
何となくゾズマに声はかけなかったが
本人が来たいと希望するなら快く誘っただろう。
自分が憤っている間に彼女もまた
ぼうっとメインデッキの様子を眺めていたようで。
いくつか声をかけられてようやく現実感が戻ってくる
(そもこの空間に現実感があるのかはさておき)]
あーうん、じゃあ僕らだけで、………………
[と、そこで初めて彼女の顔を見て、
少しぎょっとした後に眉を寄せる。]
……………ん、んん〜〜〜…………
[さっき見せてくれた自然な微笑みじゃなくて、
ちょっと無理してるような笑顔。
目尻に涙が残ってることに僕は気づいてしまう。
さっきは大丈夫と言ってたけれど、
やっぱり目の当たりにするとクるものがあって
カウンセリングルームに行くのかな、とも。
親身に気遣ってくれる仲間だからこそ
言い辛いこともあるだろう。
サダルは曲がりなりにもプロであり
こんな場面でも感情を切り分けられる資質の持ち主だ。
話を聞いてもらう相手としては適任。かもしれない。
(彼が物騒なことを考えていると知ったら
意地でも引き留めていたかもしれないけど)]
[って、理屈ではわかるけど。
……でもな―――――!!!!
好きな娘が無理して笑ってるところ。
感情で言ってしまえば、
正直あんまり……いやだいぶ放っておきたくはないし
他の男に頼らせてしまうことも悔しいし。
叶うことなら背を撫でて抱きしめてあげたいと思うけど、
"友達"の僕にその権利はないわけで。わけで。
ぐぬう……と歯がゆい気持ちを堪え、
少し屈んでゾズマと目線を合わせる。
真面目にその顔を見ながら
残ってた涙をそっと親指の腹で拭った。
痕までは消せなかったかもしれないけれど。]
元気じゃなくなる前にちゃんと言うんだよ。
僕はキミの傍にいるからさ。
……いつでもおいでね。
[大丈夫?って聞いても大丈夫、って言いそうな
つい強がりがちなキミだけど。
本当に追い詰められてしまう前には
案じてる僕のこと、思い出してほしいな。
その感情の形がなんであれ。
隣に居たい、と言ってくれたキミに。
それくらいは伝えてもいいだろう。*]
[やや心配げにゾズマを見送った後。
ダビーの方に向き直って。]
おっけー。
じゃあゲイザーのとこからなんか貰ってこよっか。
[ちなみにルヴァはザルだけど、
つまりはいくら飲んでも大して酔えないので
どっちかって言うと甘い飲み物の方が好き。
食堂に寄ってオレンジジュースの他
ミックスジュースdrink、バナナオレdrink、マックスコーヒーdrinkなどなどを抱え、
展望デッキまで向かうことにしようか。]
[展望デッキにたどり着けば
適当なところに胡坐をかいて座り込んで。]
はい、じゃあかんぱーい。
いやあ、ままなりませんなあ。色々と。
[なんて軽口のように、けれど自嘲交じりに零す。
バナナオレの蓋を開けて、ごっきゅごっきゅと一息に飲み干し。]
……は〜〜。
しかし、どんくらい続くんだろうね、この状態。
流石にどっかで脳が強制的に
シャットダウン入る気はするんだけどな。
[救助が数年後になるか数十年後になるか、
はたまた数百年後になるかは分からないものの
いくら艦内でもつよつよメンタルを誇るルヴァでも
ずっとその間漂い続けて正気でいられる自信はない。
人間の防衛本能?ってやつが働くんじゃないですか?知らないけど。と、希望的観測を述べて。**]
【メインデッキから】
[――確かにこの時、自分はちゃんと笑顔を作れていた筈だ。
それなのにダビーには「気をつけてな」と、何か気遣われてしまったようだった。
ルヴァに至っては眉を寄せていて、何か言いたげな調子で――]
………え?
[ルヴァが身を屈めて視線の高さを合わせてきて、何故か、自分の顔に向けて親指を伸ばしてきた。
きょとりとしたまま、されるがままに目元を拭われて――。
ゾズマの抱えていた不可解が、ここで漸く解けた。]
や、やだなぁ……。
[ふたりに気遣われるほどの涙顔を晒していたことに、思わずそう零すも]
うん。 わかった、よ。
[「いつでも」と言ってくれたルヴァを、この時に頼ることはしなかった、けれども。
涙痕を残したままながら、やはり笑顔を作って頷き返した。
……“好きな女の子”に目の前で涙を零されたら、相手は一体何を望んで何を希うか。そんな想像も、未だ“トモダチ”意識のゾズマにはできないまま。
それでも、未だ態度保留のままの自分にかけてくれた「傍にいる」の言葉は、作り笑いの顔に本当の緩みを齎していた。
こうして一旦は、ルヴァとダビーのふたりと別れて――*]
【カウンセリングルーム】
[……実際のところ、本当に、何故ここまで来てしまったのかはゾズマにも解らない。
ダビーにもルヴァにも気遣わせてしまったという意識が、心当たりといえば心当たりだった、けれども。]
……、どうしたいんだろ、アタシ。
[自分の内側の何かを解決してほしいという思いは確かにあった、はずだ。現にサダルの背に投げかけた宣言がそれだったのだから。
それでも未だ――本職の人間にすら――頼るのが下手な人間の強がりが、この期に及んでもゾズマの中にはあって。
何より、自分が一体何に苛まれているのか、いまいち説明できる自信が無い。]
[それでも結局、ゾズマはカウンセリングルームの戸を叩いていた(実際には戸に触れることはできず、ノックする拳は扉を
(4)2n6回貫通していた)。
そうして扉を抜けて、室内に姿を現して]
サダルー、いる?
……いるって言ってたよねさっき普通に。
そのさ、お邪魔しちゃうっていうかー……
ううん、悩みごとがあるっていうか。
[顔の涙痕はそのままに、続ける言葉を探そうとして――]
……、……えーっと。
[言葉が、続かない。
友の状況について問うたことこそあれ、自分のメンタルの問題について一度たりとも相談しに来なかったこのメカニックは、本当にこの時、何を言うべきかが自分で解らなくなっていた。]
( ……、そうだった。
もうひとつ、どうにかしたい、こと。 )
[今の己の状態からいえば、客観的に見ておそらく、些細で優先度も低いと思われる“青春の悩み”。そのこと――宣言までしていたことを思い出して、今ここで告げた“悩みごと”をそちらにすり替えてしまう。
(なお先客の存在及び、それに対するカウンセラーの見解を、ゾズマは知らない)
これならまだ言葉にできそう――そう、思っていたの、だけれど]
その。仕事のことで、とか、じゃ
ないん、だけ、ど………………。
サダル先生は、さ。
自分には恋ができないって、悩んだりしてる――
じゃなかった、悩んだことってある?
なんっていうか、恋人同士になりたい、のに、
自分だけ“恋する感情”が欠けてる、とか。
[うまく言葉を纏められなかったゾズマは、自分の悩みごとについて相談しに来たはずなのに、相手に対しての問いかけを為してしまっていた。
奇しくもこの奇妙な問いが、結果的に“落ち着いたら彼と何か話したい”を叶える結果にもなってしまった訳だが、それはそれとして。
これは、自身の問題を相手の問題にすり替えた、投影。
それも、“そう思った”根拠を確りと答えることもできない一方的な投影。
ゾズマは、サダルが何故カウンセラーとしてここにいるのか、知っている訳ではない。
そして――恋の話でこそないが――彼の“友人”たろうとする者たちに纏わる話だって、知っている訳でもない。**]
ルヴァがあの時サダルに何と言っていたか、聞いていたつもりで忘れていたらしい。**
【スリープルーム】
……自分の寝ている様を外から眺めるとか、おかしな話だよな。
[ぽそりと呟く。
どこか夢遊病者のような足取りでここを訪れたスピカの付き人のように入ってきたバーナード を少し離れた壁際から見守りつつ、今はどうやら"ここの皆"は出払っているようだと室内を眺め。
"帰りたい""パーティーしたい"と、ぽつぽつと夢物語のように語られる会話を聞き、そしてバーナードの口からチャンドラの名前は出なかった事 に、僅か、俯いた。
俺なら。
俺なら、食料と酸素が尽きない状況でありさえすれば、相当な年数生き抜けると思う。
孤独には慣れているから精神面云々の心配はさほど無いし。
俺がそう思うのだから、バーナードの自覚は更に、だろう。
なぜチャンドラが残らなければいけなかったのか。
理性では理解できても、感情は未だ納得できていない。]
────でも、今日、バーナードが残っていてくれたのは、良かったのかもな。
["最後に眠る人"として優しいバーナードが残されたのは、理由あっての事だと思う。
俺なら、今日のスピカを見たら、バーナードほどには優しく接することは出来なかっただろうから。
バーナードと同じようにスリープルームに彼女を連れてくる選択肢を思い浮かべたとしても、現実を見ろと詰り首根っこ引っ掴んで引きずるように連れてきていた可能性も高く、チャンドラの詰りに同調していたかもしれない。
"眠った者"がこうして不思議な世界で現実を見ることができていると知った今、そんなことをした日には、気不味いどころの騒ぎじゃないし。
バーナードには、感謝とか謝罪とか。
伝えたいことが沢山あるよ。**]
そうだね。
今の君の状態を目が覚めている≠ニ
カウントするか次第かな。
[ 口にした言葉くらいは覚えていた。
更にマシュマロの賞味期限も覚えていたから。 ]
うーん、そう考えると。
ダイス勝負で勝たなかった方が
ルヴァにとっては正解だったのかもね。
[ そんな彼との気安いやり取りは。
もしかしたらね。
傍目には友人同士に見えたかもしれない。
君の周囲に構築された、不確定な人間関係の話。
恋人未満≠ノ友達未満
知れば、何とも可能性にあふれる関係性だねと。
僕はしれっと笑うんだろうけど。 ]
あれ。ゾズマだ?
[ ノックの音は聞こえないまま。
訪問者の姿に、首を傾げる。
彼女もカウンセリング室を訪ねないタイプの人間
─── だったのもそうだし。
精神が安定しているように見えた彼女の頬に
伝う涙の跡があったから。 ]
……… 僕?
[ 先生、と敬称をつけるからに。
これは雑談ではなく仕事なのだろう。
そして例えの話は大抵自分の話だ。
しかし、その例えにサダル君を当て嵌めるのは、
あまり有用ではないとは思っている。 ]
サダル先生の話でいいんだよね
。
[ 一応念を押してから。
僕は君の質問に向き合う。
その後ろの本当の相談相手を見つめながら。 ]
僕は悩んだことはないよ。
仮に僕に恋愛感情が欠けていても、
それで不都合を感じたことはないから。
性欲も子孫を残す本能にも
恋愛感情は必須ではないうえ、
その辺も僕は殆ど感じないからね。
知らない感情を欲しいとは思わない。
なので話はそこで終わるかな。
[ 何処かの医師と猫を彷彿させる会話。
しかしここだけの話、
医務室にはメアリーもミミアリーもいないので。
僕がそれを知ることはなく。 ]
…… アセクシュアル。
って聞いたことはあるかな?
[ そこで本当に、話を終わらせても良かったけど。
サダル君の話は少々特殊なので。
カウンセラーの務めを果たすべく、
目の前の相談相手に当てはまりそうな事例へ
少しずつ寄せようと試みる。 ]
恋愛感情を持たないと呼ばれている人達だ。
ここで大事なのは、
恋愛感情を持たないイコール、
情が希薄というわけではない。
家族愛や友人への愛情は別物だし
人間として魅力的な要素をきちんと持っている。
だから恋する感情”が欠けてること自体を、
僕は悪いことだとは思っていない。
[ 単に想いの向け方が違っているからと。
割り切れるなら特に問題はない。 ]
けれど、そうだね。
恋人関係を望むなら。
…… 考えてみた方が良いのかな。
その恋人に、何を望むのかを。
[ 心身のふれあい。性欲解消。自身の絶対的な味方。
世間体。アクセサリー的な価値。執着心。
顔が好みなら観賞用素材などと指折り数えて。 ]
恋人に求めるもの。
恋人に求められても絶対に応えられないもの。
相手とすり合わせて、相反さないようなら
そうだね。
お試し交際するのもありだと思うよ。
[ 駄目なら別れればいいんだし、と。
ひどく気軽に言った後。
実は誰かが付き合ったり別れたりすることで
世界が滅亡することはないんだよと。
当たり前のことを、さも重要なことのように。 ]
本当に恋愛感情が欠けているのか。
単にまだ出会えていないだけなのか。
それも経験してみないと分からないからね。
それに、お試しのつもりが、
いつの間にかおじいさんおばあさんになるまで
一緒にいて。
それで来世も一緒にいたいって思えたら。
…… それって、恋愛感情に負けないくらい
素晴らしいことだと思わないかな?
[ そんな話がゾズマにどう届いたか。
それは彼女の表情を見てみない限り
何とも言えないけれど。
それから、ここだけの話ねと笑った後、
当初の予定だったサダル君の話を1つ。 ]
実はサダル先生は、恋愛だけでなく
友達だと思う感情も欠けてるんだけど。
そんな僕を友人だといってくれる
底抜けに性格のいい男に向けて、
面と向かって口にしたら、
あまりいい反応が返ってこなかったら ……
[ ─── 友達の振りをね、しようと思うんだよ。
そんなとある内緒話。
僕とゾズマが同じ相手の話をしていること
おそらく互いに気付かないままに。 ]
…… そうしたら。
いつの間にか嘘が本当になるかも
しれないだろう?
[ 偽りを、貫き続けた未来の話。
なれるとは思っていないけど。
なったらいいな程度の気持ちはある。
もちろんゾズマに共犯者になれとは言わない。
嘘はつかないに越したことはないのだから。
彼女が望むもの見つけて手に入れらればいい。
単なるそんな話だ。 ]**
………
[ルヴァと、ルヴァが声をかけたゾズマの顔を交互に見比べて。ルヴァが飲料の類を調達している間、展望デッキの様子を何とはなしに眺めていた。
いくつも飲料を抱えて戻ってくれば、オレンジジュースの入ったパウチ型の包みを手に取り、蓋を開けて前に差し出して乾杯し、口をつける。]
乾杯。ままならないか。…何かあった…いや、ありすぎたか。
[自分もままならなさは嫌というほど肌で感じている。
だからこそこんな風に付き合っているわけだが]
ゾズマのことが気になるか。
[ふとそんな事を尋ねてもみたが、やはり似たようなことは気になるらしかった]
そう願いたいな。エネルギーがどのくらいもつのかは知らないが、数十年くらいこのまま過ごす事は普通にあり得る。
眠らないなら、ある意味では外に残る以上にきついだろう。
[もっとも、自分は可能な限り起きているつもりではいたのだが*]
…………またバーナードがクソくだらない事を企んでいるようだな……。
[絶賛ストーカー継続中]
【カウンセリングルーム】
[サダルに首を傾げられたのは、自分という“患者”が普段ろくに訪問しに来ないクルーだから――とだけゾズマは考えた。ルヴァに拭って貰った涙が未だに痕を残していることに、ゾズマは無自覚なままだった。
それでも、ここでうっかり事実上の“例え話”を切り出してしまったことまでは自覚していた。
流石に“それは自分の話だ”という旨のことを見抜かれてツッコまれても仕方ない、と過りもした、が]
あ。
……うん。先生の、話。
[まさか本当に「サダル先生の話」をしてくれると思っておらず、一瞬ぽかんとしたものの、それでも念押しに対してうんと頷きを返した。
他者についてそこまで興味を抱く方ではないけれども、折角聞けるならとりあえず聞いておく――という姿勢もあってのことではあったけれども。
この時はそれ以上に、他者のケースを参考にしようという意識がはたらいていた(サダルのことを自分に当て嵌めるのは有用ではない、と思わぬまま)]
[さて、そうして耳を傾けた、彼自身の“こころ”の話。]
……そうだったんだ、サダル。
じゃなかった、サダル先生。
[恋ができないことで悩まない。恋愛感情の欠如に不都合を感じない。――「知らない感情を欲しいとは思わない」。
ゾズマ自身に何の悩みもない状態でこうした答えを聞いていたならば、“アナタはそうなんだ”と、特に肯定も否定もなくすとんと受け入れて終わるだけの話になっていただろう。
けれどこの時の悩める患者には、“自分とは違う”という、参考にならない事例へのやんわりとした落胆と。
同時に“そう在ったほうがいいのかな”という、ある種の理想を目の当たりにした時の眩しさがじわりと湧く。]
[尤も、サダルを自分のロールモデルにしてしまう(!)という選択肢は、彼が続けた話を聞いた時には立ち消えていた。]
あ…せくしゅ、ある?
……むぅ。聞いたような聞いたことないよう、な。
[よくよく記憶を引っ張り起こせば、初等教育時の終わりくらいに授業で教わった話にもあった語だと思い出せたかもしれない。だがそれがここで叶わなかった程度には、ゾズマは当時から「メカ以外興味ない」な子供だった。それはともかくとして。
改めて、ここできちんと話に耳を傾けて]
そう、なんだ。
悪いことなんかじゃ、ない。
[「僕は悪いことだとは思っていない」という形ではあったが、それでもその一言は間違いなく、いま“恋が欠けている”という自覚のあるゾズマを救い上げていた。
たとえその先の、“それでも恋人になりたい”への答えをこの時未だ聞いておらずとも、だ。]
―――…何を望むか、か。
アタシ、そういえば、アイツと、
どんな“コイビト”でいたいんだろ。
[ルヴァの名前を出さないまま、返答のようなひとりごとのような呟きを零す。
挫けた時の支え。側にいる時の心地よさ。
彼の為にも元気でいたい。隣にいたい、という願い。
“トモダチ”として想うこと――恋ならぬ情として自覚していたことを脳裏に重ねながら、「お試し交際」の話に頷いて――]
[――唖然とした。]
え??
そういうのってアリなの!?
[しかも駄目なら別れればいいとかなんとか。
“取られた手を握り返すか否か”という0と1の選択で本気で悩んでいた程度には、この発想は全くゾズマの頭の中にはなかったらしい。
世間一般的には当然だったかもしれないこの話を、とんでもない重大な新事実として捉えた。]
[暫く、文字通り開いた口がふさがらないの態のまま、さらに続けられた話を聞く。
本当に、本当に暫くの間は、呆然としていたけれども――。
少しづつサダルの話を飲み込んで、噛み砕いて、自分の中に落とし込んで。]
……うん。わかった。試してみる。
何でもテストしてみなきゃ、だ。
先のことなんて、まだ何にも判らない、けど。
[“実はまだ恋に出会えていない”かもしれない。本当に“恋をしない”ならそれでもいい。
そして最後に聞かされた「素晴らしいこと」は、自分の中の想いがどんな形のものであったって理想のことで――。
この時サダルに向けていた顔は、自信に満ちてこそなかったものの、涙痕残した顔なりに笑みを零していた。]
ありがと、先生。
うん。先生に話してみて、良かった。
[……と、ここでカウンセリングは終わりではなかった。
正確に言えば仕事外の余談だったかもしれないその内緒話に、ゾズマはきょとりと眉を挙げた。]
え? そうだったんだ。
ってかそういう人、いたんだ。
[この“友人”についての話についても恋愛感情の件と同様、ゾズマはただの事実として受け止めるのみとなる。
まさかこの話に出てくる「底抜けに性格のいい男」が、今自分が“お試し交際”しようと決心した相手だとは思わぬまま――]
嘘がホントになる、のかな――…
でも。そっか。そういうこともあるかも、だよね。
それこそ試してみないと判んないし。
[うんうん、そういう手もある、なんて納得をする。
嘘を突き通す難しさは嫌でも自覚することではあったけれど、“これからも側にいる”ための選択肢として頭に入れて]
じゃ、先生も――サダルも頑張って?
……ううん、「頑張って」じゃ無責任だし。
幸あれ、かな。
[「知らない感情を欲しいとは思わない」ながらも、“友達のふり”という偽りが本当になる未来の可能性を口にしたそのひとに、今度は意識して笑顔を作ってみせて]
じゃ、アタシ行ってくる。
頑張ってくるよ!
[こうして、元々抱えていた言葉にならない悩みは、別の悩みに対して齎された光で一度和らいで。故に、ここで元々の悩みによって“心を殺してしまう”という選択を採ることもなくなって――。
ひとまず取り戻せた気丈さと共に、ゾズマはカウンセリングルームを後にする。**]
チャンドラもっと言ってやれ"馬鹿"5万回くらい言って鉄拳の3つ4つ足しておけほんっっっっっっとにあのくそ馬鹿、こっち来たらいっぺん殺すまじ殺す[ぶつぶつぶつ]
【ヒロミの部屋】
[ぼんやり、目を開ける。
むしろ、まだ開けられた。よかった、と思った。
前回もこんな感じで、あの時はスリーブかけられたのは自分だけだったから、少し混乱して、宇宙に飛び出そうとして、気を失った。
気がつけば地上だった]
ドクトルチャンドラ・・・・
[そして、最後に選ばれてしまった彼女を思い、
深くため息が出た。
きっと、ヒロミの次に長い付き合いがある。
アンテナの選択はわかるけれど、
それでも、なぜ彼女なのかと]**
特大のばかどころかナイフと剣と槍と注射器と包丁とミキサーくらい覚悟しとけこのくそ馬鹿……ッ!
[いらいらいらいらいら]
― ダビーと ―
んだね。
[彼の言う通りここ数日でいろいろありすぎた。
目の前の現実もそうだし、個人的なあれこれに関しても。
いろんな感情を内包した言葉は人気のないデッキに消えていく。]
ん゛ん゛っ、
[ふと何気なく零された言葉に咳払いをする。
いや、まあ、さっきダビーの目の前でやり取りしてたし
何かしらを察されてもおかしくはない。
特に隠すようなことでもないしな。]
……まーね。
キミがスピカを気にするのと似たよなもんさ。
さっきショック受けてたみたいだし、
何かしてあげたい気持ちだけはあるけど、
僕って無力だよねえ………
[自慢の頑丈さも、欠かさなかったトレーニングも
こういう場面ではてんで役にたたない。
しみじみと零しながら展望の外の景色を眺める。
広大な宇宙。この景色をあとどれだけ眺めることになるのだろうか。]
えっ
[ 思わず声が出た。
きっとその時の僕は不意を突かれたみたいな
顔をしていたと思う。
─── 幸あれ。
僕はたくさんの人の幸せを願いって
送り出してきたけど。
願われた経験は、きっと。 ]
…… うん。行ってらっしゃい。
暇な時はまた遊びにおいでよ。
お試しで付き合った彼氏と
後腐れ無く別れる方法も伝授できるし。
彼氏の愚痴を聞くことも出来るからね。
[ そのどちらになるか。
なるかならないかもわからないけど。
叶うことなら、
その時は珈琲か紅茶の香りがしているといい。 ]
─── 未来を、希望を捨てないで。
[ どうかどうかと。
ゾズマが去った後。
誰もいない部屋で願う。 ]
[ 僕が君達を殺すとしたら。
停滞と退屈に閉じ込められて、
精神を擦り減らし、
希望を抱くことすら絶望と変わった時。
死ぬことすらできない行き止まり。
いなくなりたいと願った時。
精神体のまま肉体を殺せるか。
いずれ何処かで試してみようと思う。
この状態が長く続くようなら。
それは君達の人生に勝手に口出した
僕なりの責任だから。 ]
[ 迷ったらいつでもカウンセリングルームへ。
僕はいつでもそこにいて。
君達を導こうとするだろう。
そしていつか選ぶ日が来るのだろうか。
君達にとっての生が、希望なのか。
絶望なのかを。
大丈夫。それが仕事ならば、
僕はきちんと選んで与えられる。 ]
[ 気付けば、最後となる眠りの時間。
コールドスリープ室の方が賑やかだ。
残ったチャンドラは大変だな。
今後はメアリーやミミアリーでは収まらない
大勢の人が彼女を見守ることになるだろうから。
願わくばそれを知ったことで
顔を赤くしたり青くしたりと忙しい。
そこそこ優秀な美人女医の顔が見れる未来。
僕だってそれなりに願っている。 ]**
数十年か〜〜〜〜……なかなかぞっとしないなあ。
今のとこ皆がいるから
孤独で発狂するってことはないと思いたいけど。
あーでも暇を持て余しそうなのはきついね。
[ここにいるのは宇宙船に乗る訓練を受けたクルーたち。
そういうものだと思えばまだ耐えようもある気がするが
そもそも長期の航海と、
救助のあてもなくさ迷い続けるのでは
精神的な負担は段違いだろう。
自分がどうなるのかも予想がつかない。
一緒に持ってきたおからドーナツsweetを口しながら。]
あ〜〜〜〜だめだめ、
息抜きなんだからちょっとは楽しい話しよーよ。
ダビーはさあ、帰ったら何したい?
生き甲斐になりそうなこと、見つかりそう?
[こてっと首を傾げ、そう問いかける。
未来の約束は、きっと生き延びるための支えになるはずだと信じたい。**]
[ずっとスリープルームの中に居る俺]
チャンドラ、ありがとう。……おつかれさま。
絶対生還して、両脇からバーナード睨み付けて大馬鹿を量産してやろう。
【自室】
[最後に特大の大馬鹿ぶりを発揮したバーナードの目論見が潰れたのを見届けたところで、俺は自室に戻った。
あのままスリープの処置を眺め続けるのはさすがに無礼だろう、と]
────ラサルハグ?
起きてたのか……?
[ルヴァと]
そうか。俺がスピカを気にかけているようにゾズマを気にかけているのか。
それならよくわかる。
[ゾズマも大方、その事を知ってはいるのだろうが、先程の様子を見る限り、思いを通じ合わせている、というほどではなさそうだったが]
……俺はそういった相談に乗るような立場ではないし経験もないが。
スピカと話しているときのゾズマは、機械のことしか話していなかったな。それ以外の話のときは…気を遣っているようだった。
このトラブルで良くも悪くも、皆、単なるクルーとしての付き合い以上の関係に踏み込んだ。
中には気持ちの整理がついていない事もあるだろう。
時間だけはたっぷりある。
焦らず向かい合っているうちに解決することもあるかも…
と言って割り切れれば苦労はないんだが。
[それは自分にも言えることだった]
ああ、うん。
チャンドラのこと、考えてた。
もう、俺にはどうしようもないけれど、
(変わってあげられることはできないけれど)
[本当は、あそこにいるべきは、などと、
今更考えても仕方がないことで]
そうだな。
一人で残るよりはまだマシだろうが、精神的なストレスはかかりそうだ。
本当に眠ってしまえるならその方がいいかもしれん。
[クルーは各分野のプロフェッショナルではあるが、そういったストレス耐性は全く人それぞれ。
中にはやはり耐えられない者もいるかもしれない。
そらはまたその時の話だ]
ん?ああ…そうだな。
帰ったら、スピカと約束はしている。
意外に女子らしいことに憧れがあるらしい。意外でもないか。
その後は…どうだろうな。
もう少し別の仕事を探すかもしれんし。その時はその時だ。
[皆はやはりこんな風に再びクルーとして船に乗り続けるのか。スピカは多分管制官として船に乗り続けるだろうという確信はあったが、クルー達の事をあれこれと知る中で、自分はパイロットという立場を降りて別の行き方を探すことも考えていた**]
……そろそろスリープの時間だろうか。
[パウチを潰して果汁を飲みつつ、ふと呟いた*]
────ああ。
そろそろ、時間だな。
俺達にはもう、何ができるでもないんだから眠かったらそのまま寝てろ。
[俺も考えたけどな。
代わってやれないものかと。
でも俺の、お前の未来を諦めることなんて、結局俺には出来なくて。*]
そうだな。うん。眠い。
[いろいろ感情が織り交じるけれど、
ヒロミが傍にいると思えば、なお、安心なのか、
とても眠くて]
でもな、また会える気もするんだ。
[うと]
"会える気"じゃない。会うんだよ。
俺たち、全員。
現実の世界で。
[こんな、壁も何もすり抜けてしまうような世界じゃなく。]
お前の髪に触れることができたとしても、
…………この世界は、嫌だ。
[これだけは慣れた仕草で、ラサルハグの髪をそっと撫でた。
そうとも、絶対、生きて帰るんだ。
バーナードをこの手でぶん殴らないといけないんだから。*]
そうだな。
うん。
本当にそれを願うよ。
みんなで生きて、
そうだな、また航海ができるといい。
[髪を梳かれるゆっくりとしたリズムに呼吸を合わせて、
また目を閉じれば、
夢の続きはどんな画面となるだろうか]*
["また航海"……それを聞いて、俺は目を軽く見開いた。
嘘が混ざっていてもいい。
諦観が多分に含まれていたって構わない。
お前がひと欠片でもそう望むなら、俺は前に進むだけ。]
────そうだな。
料理が出来る生物学者なんてレアケースだろうから、きっと重宝するだろうよ。*
[あえてスピカの名を出せば、言わんとすることは察したようで。
尤も思いが通じ合ってるわけじゃなさそうだけれど…と
思われていたと知れば
さすがのルヴァもちょっとグサッと来ていたと思う。
そうだよどうせ片思いだよ!!悪かったな!!
当の本人が現在カウンセリングルームで
一つの決意を固めているとは知らぬまま。
そうだねえ、とダビーの語る彼女の話に相槌を打ち。]
そういえばゾズマとも
ちょくちょくお茶会してたんだっけ、ダビーは。
機械の話ばっかなのはともかく。
僕の知るゾズマに「気を遣ってる」って
印象はあんまないけど……。
[そういえば、他の誰かと居る時の
ゾズマをそんなに知ってるわけじゃない。
自分が見ている姿とは違う一面もあるのだろうな、と。]
うん。……そうだねえ。
[時間が解決してくれることもある。良くも悪くも。
今はそれが良い解決であることを願うほかなく、
だから曖昧に笑って。
そしてダビーに未来の話を向ければ、案の定というか。
話題に出るのはスピカのことで。]
へ〜〜。
や、でも……意外ってほどでもないかな。
言うほど深く知ってるわけじゃないけど、
何となくスピカがそういうタイプなの分かる。
んで付き合ってあげるんだ、いい彼氏じゃん。
[スピカがあれで結構家庭的というか、
女性らしい気遣いや繊細さを持っているということは
贈ってくれた組紐からもうかがえる。
それを語るダビー込みで、
微笑ましく思えて目を細め、
揶揄い交じりにそんなことを。]
あ、そーなんだ??
船降りちゃったら寂しくなるなあ。
せっかくちょっと仲良くなれたのに。
つって僕もこの後どうするか決めてないけどさ。
[目覚めた後のこと。
それこそ目覚めてから考えようと思ってて。
彼みたいに漠然とでも展望があるわけじゃなかったから、
この時間の間に考えてみるのも良いかもな、なんて。]
[それからも、ぽつぽつと何かしら話しただろうか。
いつの間にか最後のスリープの時間が近くなっていて。]
……行こっか、僕らも。
[ジュースを飲み干して、促す。
やってくる二人を出迎え、
そして残る彼女をちゃんと見届けるために。**]
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