【人】 警備員 ジュード── 昼:美術館にて ── [空気の落ち着くお昼の風は なんとも言えない心地の良い微睡を誘う。 それは勿論、この美術館でも例外ではない。 入口を入ってすぐの所に置かれたベンチでは 透かし窓越しに入る光の中、一人の利用者が うとうとと居眠りをしていた。 傍らに置かれた大きな鞄やイーゼルを見るに 朝からここで勉学に励んでいたのだろう。 見張りの合間にその光景に気づいた男は、 安らかな寝顔に今日も変わらぬ平穏を感じて、 少し、故郷のことなんかを思い出していた。] (82) 2022/11/06(Sun) 0:10:08 |
【人】 警備員 ジュード[多くの国では種族間の争いが絶えず、 同種間の争いさえ起こりうる時代の中、 ガライカは、おかしな程に平和であった。 清流が流れ、多くが実り、 温暖な気候に恵まれたその土地が 何故侵略されずに有り続けられたのか。 まとめてみれば、単純な話。 個人単位でさえ、触れれば身体を爛れさせる毒を溢し、 村規模の恐慌に陥れば、数多の命さえもを奪いかねない。 そんな毒を持つ民ばかりが住む土地に 他の種族が住むことは叶わなかったからだ。 だからと非道で強行的な手段をとれば、 彼らから流れた血が、毒が、恐怖が、 肥沃であった土地を、更には川沿いの広い地域を汚すだろう。 彼等を言いくるめて土地から追い出すにしても、 追い出した民をどの領土の土地に置き 「汚染された不毛の地」を作るのか。 落としどころは、容易に決まるものではない。] (83) 2022/11/06(Sun) 0:14:49 |
【人】 警備員 ジュード[結局、ガライカの土地を侵すものはなく。 いくつかの国と交易を行ってこそいたが、 意図的に、その土地には戦が持ち込まれず。 伴い、”文明”も持ち込まれるのにも ひどく、時間がかかった。 幼い頃の男とその兄は、 比較的、新しいものに興味をもっていたが。 それでも、今、キュラステルのベンチで眠る彼女のように 何時間も新たな文化の受容に時間をかけた記憶はなかった。 ……”より高み”を目指すには、 恐怖を遠ざけすぎた土地。 故にこそ、ガライカは酷く平穏な 袋小路の楽園だったのだ。] (84) 2022/11/06(Sun) 0:16:31 |
【人】 警備員 ジュード[── しかしある時。 村に、僅かな悪意が忍び込んだ。 そう、今思えば かの国にラング機関が普及し、 飛躍的に研究技術が向上した頃の事だ。 ……隣国からガライカへと 『研究協力者の募集』が送られてきたのは。] (85) 2022/11/06(Sun) 0:18:12 |
【人】 警備員 ジュード[……ごおん、ごおん、と。 微睡から人々を呼び戻すように 昼時を示す時計の鐘の音が館内に響き、 しばしの間考え事をしていた男も ベンチで居眠りをしていた人も、 その音で、思考を引き戻す。 もしかすると、お寺の方でも いつもの鐘が鳴らされていただろうか。] ……ん、そろそろ交代の時間ですかね! [ここの鐘がなったとなれば そろそろ見張りの交代の時間。 つまり、お昼ご飯の時間である。 男は、朝方に島民と話した 今日の仔狐亭のおすすめがずっと気になっていて、 早く交代の人が来ないものかと そわそわと外の方をみていたのだが、 そうして眺める庭園の中にふと、人影を見つける。>>80] (86) 2022/11/06(Sun) 0:25:28 |
【人】 警備員 ジュード……あっ!ヴェレスさん!こんにちはーっ! お写真撮ってるんですか〜? [迷子だろうか?とよく目をこらして見てみれば 視線の先に居たのは、時折此処の庭園に来ている 少年とも青年ともつかぬ彼だった。 男は研究などの高尚な趣味は持たなかったが、 保存施設に勤める以上、星学院の名は知っていたし いくつもの功績が収蔵されている事も知っていた。 そして、指導者たるアスター家の名も 何かの書面や噂話で知っていただろう。 しかし、過去に次男坊たる彼を迷子と見紛えて 「ご家族は?」なんて聞いた時の返事によっては、 彼を「不思議な写真機のひと」と認識した可能性がある程に、 その家庭の事情の殆どに対して、無知であった。] (87) 2022/11/06(Sun) 0:36:03 |
【人】 警備員 ジュード[待ちわびた交代はなかなか来る気配を見せないが 流石にもうすぐ来るだろう……と思い、 男は持ち場を少し離れ、写真機>>78を持つ彼に近寄っていく。 そして、今日はどんな写真がとれましたか?なんて言って 出力された写真を見せてもらおうと様子を伺った。 そうする間に写真の撮影を頼まれたなら>>81 男は快諾しながらも、ずしりとした重みのある 繊細らしい機器を手にする緊張に、言葉を呟く。] ……こういう魔術器って、すっごく繊細っぽくって なんか、触るのどきどきしますね……! [もしこれが何度目かの撮影であっても 男は毎回似たような事を言っているだろう。 文明の遅れていた男には、ラング機関による写真機は まるで夢物語に出て来る賢者の持つ宝物のようだった。 そんな宝物を落さないように 男はしっかりと写真機を首にかけると、 今度は風景などを映し込むに足るだけの距離を取って、 こっちむいて〜!なんて声をかけつつ写真機を構えるだろう。 ただ、持っているのも少し緊張するのか 撮影が終わったら、写真機はすぐに返すかもしれないが。*] (88) 2022/11/06(Sun) 0:50:23 |
警備員 ジュードは、メモを貼った。 (a16) 2022/11/06(Sun) 0:57:12 |
【人】 警備員 ジュード── 午後:美術館にて ── [振り返る間際にも写真機を構えていたらしい姿に>>112 あっ!邪魔しちゃいましたか!?と謝りつつも、 男は問われた話に回答する。] ええ、でもなかなか次の方が来なくって……。 寝坊してるだけ!とかならいいんですが。 [その職員がどうしているかはわからないが あまり深刻には考えていないものだから、 こまっちゃいますね〜!なんて苦笑いを。 警告色の尻尾だって、今は呑気にゆれている。 その色を持つ者たちに関する研究の記録、 …“何等かから精製した毒物”を戦時利用した結果、 広範囲に枯れ果てた地を生み出した…なんて事実は 全てから秘匿するには、些か規模が大きいものだ。 ……かの国はその全てを秘匿しようとしただろうが、 そのいくらかは、機密ファイルにも収められているのだろう。 (139) 2022/11/06(Sun) 22:09:48 |
【人】 警備員 ジュード[……そのころ、噂されている件の職員は 美術館のすぐ近くにまで来ていたものの、 道に迷ったという 赤い布 で髪を纏めた老婆に捕まって、必死に水晶宮までの道程を説明していた。 ただ説明をするだけならすぐなのだが、 なるべく段差の無い道がいいねぇ……とか 人が多いと疲れちゃうから、静かな道がいいんだけど、とか 老婆でも歩くのに適した ……勿論、逃亡する事にも適した道を 細かく注文されるものだから。 まさか利用されているなんて思いもせずに、 善意から、必死に頭を捻っていたのだった。] (140) 2022/11/06(Sun) 22:10:54 |
【人】 警備員 ジュード[来るにはもう少し時間がかかりそうな職員は他所に。 男は写真を見せてもらうと、感嘆の声をあげる。>>114 今日の日差しの中、確かに近くに居るものたちが そっくり紙面に映されているだけでも凄いのに、 一瞬で、しかも少し違う姿で出力するというのは 魔法よりもさらに不思議な秘儀のようだ。] 今回も不思議に写ってますね! でも、庭がそっくり紙の中に入ったみたいに精密で…… やっぱり、学星院の発明って凄いですっ! あれ、でも…… [青い鳥に、四葉のシロツメクサ。 二つの象徴は、幸福を示すものだった筈。 男も、彼の母の訃報は聞いていたから しばし首を傾げていたのだが、 写真を撮ったあとに告げられた言葉>>116から、 それは感じているものではなく 求めているものなのだろうか、と推測した。] (141) 2022/11/06(Sun) 22:12:08 |
【人】 警備員 ジュード……そうなんですね…… この島では、全ては宝ともいいますのに 経験だって、大切な宝でしょうに お家の方針に外から口出しするのは難しいですけど こうして会えなくなるかもしれないのは かなしいです…… [男は明らかに落ち込んだ顔をするし 尻尾の先も、沈む感情を表すように少しうねる。 男は言葉のまま”彼が出られなくなる”と事態を受け取ったが、 それだって、何かの為に仕舞いこまれた経験の少ない身には とんでもない不自由であるように思えた。 彼のかつての説明>>113により、その血筋が 上流階級のものであるというのはわかっていたけれど… 地位のある身とは、想像以上に大変なものらしい。 いつもと同じに見える表情をする彼にだって、 思う所はあるのだろう。>>115 だからこそ、写真を撮る時に笑ってなんて言えなかったし、 嬉しいはずの『あなただけだ』>>117という 信頼さえ感じるような言葉へも、 今は、返す言葉を決めあぐねている。] (142) 2022/11/06(Sun) 22:13:57 |
【人】 警備員 ジュード[……男が正気を保つために呑む薬は、 『不安を打ち消し気を明るくする』一点のみに特化した 至って質素なものである。 ゆえに、他の高度な呪いや薬 例えば、魅了の呪いや欲望の呪い 風邪薬なんかでさえも、併用すると 大体の場合は強いものの効果に簡単に負けてしまう。 競合の程度にはムラも多いが、 もし薬の効果が推し負ければ、 男の心には、どうしようもない不安が湧き出すもので。 昼の薬の服用も遅れているなかで 魅了の血を継ぐ者>>53から信頼の言葉を受けた男は、 心を揺さぶられると同時に、その視線が少し恐ろしく。 僅かながら、背中に"嫌な汗"をかいていた。] (143) 2022/11/06(Sun) 22:14:52 |
【人】 警備員 ジュード[人知れず心配と不安を抱える中で、 明るく続けられる言葉は>>118助け船のようだった。] ……あっ、そう、お昼! 俺も誘おうと思ってたんですが 先を越されてしまいました……! でも、いいんですか? [今日が最後かもしれない人に奢らせるなんて どうにもおかしな気もしたけれど、善意を無下にするのも…… そう迷う内に男の頭にはある納得の行く答えが浮かび、 そうだっ!と手を合わせて口を開く。] ……じゃあ!”次”は俺が奢りますっ! 借りっぱなしはよくないですからっ! [いつか、彼の館を訪れる時には 島でおきた事の話とか、新しいお菓子とか 退屈しのぎになりそうなものを色々そろえて行こう。 そして、もしまた外で出会えたのなら……と、 そんな心算で、男はやや前のめりになりながら ヴェレスへと笑顔を向けた。] (144) 2022/11/06(Sun) 22:16:36 |
【人】 警備員 ジュード[……それから少し待って貰えるのなら、しばしの後。 ようやく施設について装備を終えた交代の人間は、 小走りで入口の方へ顔を出す。 男はその人へ少し不満を溢しかけるが、 ご老人に道案内をしていたと聞けば怒るに怒れず。 一度裏で勤怠処理をすませてから、 ヴェレスと共に食堂へと向かっただろうか。**] (146) 2022/11/06(Sun) 22:18:17 |
(a25) 2022/11/06(Sun) 22:30:22 |
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