69 【R18RP】乾いた風の向こうへ
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……もう来てはならないと
申し上げましたのに。
[ 溜息にも満たない吐息を溢しながら、
横目でちらりとみやった先の、揺れるドレスの裾。
当たり前のように、以前会った時とは
異なる布地に、彼女が大切にされていることが
改めて分かると思った。]
そうですか?
変わらないと思いますが。
[ 一度会っただけの己に、痩せている、と
指摘する言葉になんでもない、と返す。
目立つくらいには肉は落ちたのだろうと
自嘲気味な含み笑いが浮かんだ。 ]
お気遣いなく。
そのようなことが誰かの目に止まれば、
宜しくないでしょうから。
お気持ち、嬉しく思っています。
[ 食べ物を持ってくる、と言う彼女は、
いつかの時と変わらず穏やかに笑んでいて。
こちらはやんわりと否定する。
やれやれ、と竦めた肩が、
続けられた彼女の言葉に一瞬、
ぴたりと止まった。
己の忠告は彼女に届いただろうか。
もしかしたら、気にせず厨房へ向かって
足を動かしていたかも知れないが。]
─── 猫、……
[ そうして彼女の腕に優しく抱かれた猫を
目にすることがあったのなら、
己はその猫に大変申し訳ない気持ちで、
くつくつと笑ってしまうだろう。 ]
……あなたのその美しい猫の名は、
ルシアン、と言うのですか。
[ 無遠慮にけらけらと笑いながら告げる。]
この国の言葉ではありませんから
良いと思いますが、
その方は嫌がりませんかねぇ。
[ すう、と顔に浮かんだ笑みを引いて、
ちらりと猫に目を向けた。
主と同じように美しく、
艶やかな毛皮を纏っている。
口を開けば、冷たい空気が喉に張り付いて。]
……変えてやってもいいかもしれません。
─── le chien、は、俺の祖国の言葉で
犬
、と言う意味ですから。
[ 感情を削ぎ落とした顔で、けらけらと笑った。
乾いた笑いが、この国の乾いた風に靡いて
部屋を漂って、いつしか混じりそして消えた。]**
[ 身形姿と、情勢に甘えた問を彼は快く請け負ってくれる。
許されているのだからと腕を取る。彼は何時だって優しく、それが自分だけに向けられた特別なものだと、夢のような自惚れを抱かせる程だ。自惚れではと自戒するだけの分別はある。物語にある恋の病のようだと他人事染みて独り言ちる自分がいる。
文筆の傍ら、行き交う旅人が語る余聞が得難いとの方便で、簡易な宿を開いている。巣に招いているのだ。ひとの記憶を糧としてひとかけらを得る代償に、快適な寝台と温かな食事を差し出す。長くそうした生活を続けて、そこに彼は訪れた。
行き交い過ぎ去る旅人を見送るだけの自分が、初めて手元に留めたいと願った。
限られた彼の命の時間の、今を過ごせるだけで僥倖の筈が、過去に焦がれて未来までを欲しがった。
記憶を糧とする食性であること知っているだろうに、何故彼が、あんなにも美しい初恋の思い出を自分に与えたのかわからない。もう二度と自分に与えられることはない過去の記憶に自分は羨望さえ覚え、口にしたいと涙した。]
なに?
[ 彼が何かを口にし言い詰まった。
あの日の出来事は麻疹熱に当てられたものだったろうか。彼の口にした、これきりにしないでとの言葉の響きも、今となっては熱に浮かされた自分の願望でしかなかったのではないかと思う。自分に取っては一時の熱ではない。
あれからも変わらぬ様子で彼は何度か自分の元を訪れた。
凪のように変わらぬまま今があり、こうして寄り添そう事で足り得ると思えればよいものを。
道の少し先、灯りの下教えられた店名を刻んだ看板が照らされているのが見えた。]
[ 日付の変わる頃宿の部屋に着いた。サンドウィッチの皿は片付けられ、昼に乱した寝台のシーツは綺麗に整えられていた。顔を洗おうと浴室に入ると、水気も綺麗に拭われ、新しいタオルが備えられている。
ワインとチーズの皿は窓際の卓にそのままだったので、アラックの酔いに乾いた喉をまた白ワインで潤した。]
眠い。
[ 思えば今日の1日は長く、この国に足留められたこと、朝市の後宿を探し、姿を変え、必要な身の回りの品を購い、雰囲気の良い酒場で食事をした。
昼に幾らか眠りはしたが、強い陽射しと姿形の変化、酔いも合わせて、こんな時間であるのに眠気を覚えた。寝台に腰掛け、編上げのサンダルの紐を解こうとするのも、気が急くほどに結び目を硬くする。
酒場への道すがら、ダンテが言い差した言葉は店の喧騒の中続きを語ることはあったのだろうか。もしくは帰路。宿までの間に沈黙を守っていたなら、問うてみたかもしれない。]**
お話をする相手がいるんだもの。
どうしても迷い込みたくなるわ。
[ 今日は少し彼女の体型に沿った形のワンピースで
薄いラベンダーカラーの珍しいものだったかも。
前回よりはふんわりとしていないけれど、
彼女が動けば床を裾がはらって動きが生まれる。
彼のため息のような吐息が耳に入れば
ふふっとゆったりとした笑みが彼女からは溢れた。
それほど、特に気にしていないようで
食事のほうが気になってしまった。 ]
わかったわ。ルシアン見つけてくるわね。
[ とは言ったものの、やっぱり気になって
彼女はルシアンを屋敷の中で見つけ出す
その中で厨房に行き、パンと飲み物を
こっそりと頂いてルシアンを見つけた。
本当は他にも何か、と思ったけれど
断食後はすぐになんでも食べられるわけではなく
彼を思ってそれだけをとってきた。
彼のところを出て少し経ってしまったような。 ]
よければ、これを食べて?
さ、ルシアンご挨拶を。
[ ようやく戻れば、
鉄格子の中へ飲み物が入った瓶と
布にくるんだ柔らかいパンを置いて
一緒についてきていた短毛のロシアンブルーを
抱き抱えると、にゃぁんっと鈴のような声が
その場所に響いたことだろう。
しかし、彼の言葉は彼女をまた驚かせるに
十分すぎる話で。
まさか、彼の名前の意味が犬だなんて、
おかしすぎる話では? ]
どうして、そんなお名前なの?
あなたのご両親は、
あなたを愛していないの…?
────あなたの、
本当の
お名前は?
[ 矢継ぎ早に質問をして、鉄格子に近づいたら
腕の中にいたルシアンが飛び降りて
あちらのほうへと隙間を見つけて入ってしまった。
どうしたものかしら、と思ったけれど
名前を変えたほうがいいのかしら、と
うぅん、と悩みつつ彼の返事を待った。 ]*
[ ホテルの部屋は自分がフロントで頼んでおいたように、空いた皿などは片付けをしてくれたようだ。ヴィがバスルームに消えて洗面台を使う物音がしたから、その間スーツケースにしまっておいた部屋着に着替えておいた。
一人なら下着でもなんでも適当に寝てしまうのだが、ヴィの前でそんな図々しいことはしたくない。
それから歯磨きをしたり、寝る準備をすませようとしていら、ヴィが眠たいと言うから再び驚いてしまったが、すぐに自分の至らなさにも気づく。]
…ごめんね、無理させてた
[ 言われて見れば、無理に計画を変更させられいつもなら眠る時間に歩いて宿を探したり、その上身体の変化はそれなりの体力を使うなんてことはは少し考えれば分かるはずなのに失念していた。
そんな中での数時間の移動や買い物は彼が疲れるには十分だっただろう。]
それなら、そばで眠ってくれる?
[ 絞り出すような一言になっていたような気がする。自分が長椅子に行くなんて言えばまたヴィのほうが気遣うだろうし、と言い訳でしかない。
店へ行く前に言おうとして言えなかった言葉も今なら言えるだろうか。**]
[ ラベンダー色のドレスが
前回とは違う揺れ方で風を纏う。
話をする相手というには、
自分はあまりにも立場が違うと思うのだが、
彼女はそんなこと意に介さないようで。
ふふと溢れ落ちる笑みは軽やか。
己の話も忠告も何処へやら、
同じように軽やかな足取りで歩き出した彼女は、
幾らもしないうちにまた舞い戻る。]
迷子はご卒業されたようですが。
[ 迷うこともなく此処に戻られた様子に
皮肉げに笑みを一つ。
鉄格子から躊躇いもなくすい、と腕が伸びて、
布に包まれたものと飲み物の瓶が
そっと置かれる。
いつだって仄暗いこの世界に、
細く白い腕がやけに鮮やかで艶かしく映って、
一瞬、目を奪われた。 ]
[ にゃぁん、という声に我に返り、
は、と慌てて視線を逸らす。
グレーの被毛、細身の身体はしなやかに伸びて。]
……君が、ルシアンかい?
[ くつくつと笑いを噛み殺しながら
エメラルドグリーンの瞳を見つめる。
主が口にする疑問を聴きながら、
呆然、といった表情などどこ吹く風。
その腕の中からすとんと飛び降りて、
いとも簡単に鉄格子をすり抜けた猫は、
足を伸ばして座り込む己の元へ
怯える様子もなく近付いた。 ]
[ 差し出した指先に頭を押し付けるように、
不運な名前をつけられた美しい猫は
ゴロゴロと喉を鳴らす。 ]
良い子だね。
良い飼い主のもと良い子が育つ。
[ ふふ、と口元が綻ぶ。
指に残る生き物の温もりが、
じんわりと心に灯った。 ]
─── 本当の、名、ね。
[ 親指の腹でくりくりと猫の額を撫でながら。
視線は艶やかな毛皮に落としたまま。 ]
俺は、隣国の生まれです。
両親は死にました。
……愛してくれていたと思いますよ、
神話に登場する砂漠と異邦の神の名を
俺に授けてくれたのだから。
まぁ、砂漠を行く旅人の守護神とされながら、
嵐と悪意、戦争を司る神でもあるそうですから、
無償の愛とは少し違うのかも知れませんが。
[ 猫に向かって話すように、淡々と口にする。
告げることなどないと思っていたはずの名が、
エメラルドグリーンの瞳に吸い込まれるように
静かに流れて。 ]
俺の名は、セト。
ここにいる間は、ただの犬だけれど。
─── 君の名も、変えてもらうと良い。
[ つん、と指先で、猫の湿った鼻先にそっと触れ、
ようやく顔を上げて、彼女の瞳を見つめて。 ]*
ここを見つけ出すのに少し時間を要したから
やはり私は、迷子だと思うのだけれど……
[ 腕の中にまだ収まる愛猫を連れて戻った彼女に
かけられた言葉に、
まだまだ言い返すことはできるよう。
でも本当は全く迷っていないから、
彼の言葉は彼女の心にちくっと刺さっている。
迷子が大義名分なのは既に気づかれているだろうし
本来なら、ここにきていることが気づかれれば
2人とも何が起きるか分からない。
けれど、混乱のおかげで父親が家を空けているので
ここに彼女もいられるというもの。
迷子に、なりたくてなっている。 ]
あ、っ……!
良い飼い主なのかしら……
[ 腕の中から移動した愛猫は
彼女の代わりに、なのだろうか。
彼のそばに行って心地よさげに居座る。
愛猫が褒められると嬉しくなるが、
幾分不安は拭われることなく、
彼と愛猫の様子を腰を下ろし眺めた。
そして聞かされる彼の出生や名前の由来。
ふ、っと何かが彼女の心の中に沸いた。
彼の名前が耳に入れば、
その何かは彼女の中で弾けた。 ]
名前を、変えてもらう…
私にも名前をくださるの?
[ 愛猫に言った一言だろうが、
瞳が交わってしまったので彼女が誤解をした。
首を傾げながら、愛猫への名前がふたつ。
ひとつは、彼と同じセトという名前。
両親が彼の名前を知らなければ
その名前にしようと思うけれど、
どちらかがしっているのであれば、
ピヤール
-愛-
にしようと
彼に話をしてみて、反応を見たくなった。 ]
[ ピヤールという名前が浮かんだ理由は、
セトという人物のことから
目が離せなくなったが故。
彼女の中で弾けた何かに、
彼は深く関与してしまっているが
彼女は何もわかっていない。
知ることができる時はあるのか。
──────それはまだ分からなくて。 ]*
君のせいじゃないだろう?
[ 国に足留められたのは不可抗力であるし、宿を探すのもその後の買物も自分の為に必要なものだ。夜の食事は楽しかった。なにひとつダンテに振り回されたものなどない。
彼はまだ酔いが残っているのだろうか。掠れた声で傍で眠ってくれるかと言った。だから腕の届く場所より近くに寄り添う。
大人ならば三人はゆうに眠れそうな寝台で、傍にと言ったのはダンテなのだからと腕の中へと潜り込む。
沈黙は落ち、その唇が何かを言いたげに震えたなら、黙ったままに音が発されるのを待った。夜は思うより長いことを知っているので、彼の鼓動の音を聞いていればきっといつまでも待てる。]**
[ 自分があまりにヴィの事を貴重品のように扱うから、ヴィがその事を距離だと考えていることに気づけていない。自分もおそれているだけだ、厭わしいものと思われたくない。
本当なら抱きしめてしまいたいし、触れてしまいたい。物欲しげにしながら許されはしないかと様子を伺っている浅ましさだ。*]
そうなんだけど、いつもどおりに連れ回してしまったから。無理してなかった?
まあ、今更なんだけど、寝る準備をしてきて、早く休もう。
[ 身体の変化が疲れる事に理解が及んでいたならもう少し労われたかもしれない。今更と言葉どおり反省しても無駄な問答になるからベッドに早くと招くような事をして。
自分は普通に眠る時間で、酒も入っていたから待ちながらも少しうつらうつらとしていただろうか。]
猫みたいだね
[ ベッドの端に微かに振動がして、その後自分のそばにヴィが移動してくるのがわかった。掛け物を浮かしてヴィが入りやすい様にしていたなら腕の中に寄りそう位置まで来てくれて胸が詰まりそうな思いがする。
そばで眠ってくれる?と自分が言った通りにしてくれたのだろう。]
[ 灯りを落とした室内は、窓から差し込む月明かりで青白く見える。自分のすぐそばに最愛の人が子猫みたいにそばにいて、腕に伝わる重みをもう一方の腕で閉じ込めてしまいたくなる。]
あの日のことがまだ、夢みたいに思えていて
[ 先送りにしていた言葉を考え考え口にするから酷くゆっくりになる。あの日と言うだけでヴィに伝わるかどうかもわからないのに。]
あれは、本当のことだったって
君にまた
[ これきりなんて嫌だと、あの時も懇願したのだったか。何度も何度も確認してしまうのは、ヴィに責任を預けるような卑怯さのような気もしてくる。]
だめだな
僕は君が好きなんだ
[ 触れても良いかと許可を取ろうとして、結局出てきたのはそんな言葉だった。]
君に触れたいっていつも思ってる
君は?
僕を好きだと思ってくれる?
[ 掠め取るようにして、以前のような幸運が舞い降りてきて、施しでも貰えれば良いなんてずるいことばかり考えていた。
ヴィの気持ちを何も確認しないままだった。怖くて。
そっと寄り添ってくれて、手を伸ばせばそれを取ってくれる。ヴィのその気持ちを自分は何と思って受け取っていたのか。
好意だと思っては図々しいような気がしていた。あまりに勿体無いことだと。だけど、逆ではないか?
これが特別なものでなくて何なのだろう。
自分だけが受け取れる貴重なものではないか?
そうだったら良い。確認させてほしい。
寄り添っている分きっと自分の鼓動はヴィに筒抜けだろう。ただでさえ五感が優れている彼なのだから。。**]
[どうしてやろうかと考えるのが
酷く楽しくて仕方が無い。
無数のチェス盤が
定跡ばかりで置かれていて、
決めた手を返すだけで欲しい物が
簡単に手に入る状態なのだから、と。]
昼間少し寝たから。
[ 日中活動できない訳ではないが、直接陽の当たるのはどうしても不得手で、朝方の早い時刻、もしくは夕方からの活動になりがちだ。
旅行先なら一番活動しやすいだろう時間に、同行者の動きを制限してしまう事に申し訳なさがある。
だからこそ彼も最初の旅行は、陽の短い季節に雪国へ行こうと誘ってくれたのだろう。旅の最中に、何がきっかけだったか海の話になった。北方の鈍色の海。物語にあるような青い海を見たことがないと言えば、次はそれを見に行こうと彼は言った。]
明け方起きられたら、お城に行って、それから何処かの店で朝食にしよう。
それから、もし僕が眠るようなら、ダンテは何処か見て回って貰ってもいいし……。
[ 寝台に膝で乗り上げると深く沈み、ほんの微かにだけ撥条が軋む音がした。ダンテが掛け布を開いて自分を招く素振りだが、既に眠そうで聴こえているかわからない。
今日一日の様子では、外を出歩くに危険がある程の殺伐とした世情でないようではあるが、引き続いて明日もそうであるかはわからない。彼を一人にすること、語尾は言い淀む。
寝台の軋みは体重を乗せた最初のひとつきり、後は音もなくシーツを渡って寄り添い腕に収まると、猫みたいだね、と彼が言った。起きている。
月明かりが思いがけぬほど冴え冴えと、部屋の中の陰を明瞭にする。
規則正しい筈の心音が時折跳ねるように響き、浅い長い呼吸の音が、隣の人が、横たわって暫くの後もまだ眠らずにいることを伝える。]
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