人狼物語 三日月国


150 【R18G】偽曲『主よ、人の望みの喜びよ』【身内】

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『間に合って……ないかも?
ごめんな、ずっと寝ちゃってて』

『簡単に言うと、呼び出されて腹刺されて頭半分溶かされた。
水が入った普通のペットボトルで殴られたと思ったら、気が付いたらペットボトルも溶けて頭も溶けちゃってた』

先ほどの情報から追加で得られることといえば、何の変哲もない水だったものがある瞬間から変化をして襲いかかってきた、ということだろうか。
まあ色々あって今は……元気だけど。元気ではないかもしれない。

『抵抗する時に、俺が……あの人の頭の中ぐちゃぐちゃにした。
その影響も、あるのかも』



『あ゛ーーーー────……………』

助かるけど聞きたくはなかった、
とでも言いたげな間伸びした心の声。

よく今生きてるな。それで。偉いよ。
オレが生きてられるかはまた別の話だ。生きなければ。

>>篝屋

ずる、ずると棒切れのような足を引きずって。
歩く。歩く。歩く。

拾えた気配のある場所は、もう少し遠く。
生き損ないの、死に損ないは、ただ一つの意思だけを杖にして歩く。

「…………ぁ?」

ぽつり呟いて。
その人が地に伏せているのを目にした。

「……篝屋、さん?」


「……。
 あの時、会話したのは、俺と同じだったからですか?俺と同じで死んでいたからですか?」

肉の焼けるような臭いを気にも留めず歩を進め。
近くに寄って確認するよりも早く反射的にその力を呼び起こす。
ただ一つの意思だけで骸を動かしているその何かの力はあまりに不安定な物だったけど。

彼の呼吸を聞いた。
彼の生きる音を聞いた。
それでも彼は動いていない。何をも溶かす海の中に身を沈めているだけ。

「……」


「ねぇ」

「なんでくたばっているんですか?」

地に伏せるその人をその場で見下ろしている。

【人】 トラジコメディ フカワ


後退りをする。

「ひ、そ、それにつきましてはその」

一匹どっかから此処に誘導するのに、
どれだけ手間掛かってると思ってんだクソッタレ。
そう毒吐いてもとても聞き届けてくれそうにない。

愚痴ったら親身に聞いてくれそうだった彼は、
もうどこを探しても見当たらない。

指示なく異変を嗅ぎつけ、ちょろちょろとやってきていた二匹の小動物を見遣る。
片方は地面の液体を避けようともせず突っ込んでとろけた物体たちの仲間入りを果たし、もう片方は駆けることままならず、のろのろ空を引っ掻くだけ。

それをぽんと脚で蹴り飛ばす。
何かに気を取られてくれればいいのに。

『ひ、あ、後、無さすぎ、だろ……』


どれだけ怯えても、絶対に転んだりとかしないように。
背負ってるのはもう自分一人の安全じゃないんだ。
(18) 2022/06/07(Tue) 13:25:06
フカワは、後退りをする。
(a23) 2022/06/07(Tue) 13:25:13

【人】 トラジコメディ フカワ


篝屋さんを引き合いに出されて、
一瞬、ほんの一瞬だけ硬直した。

何故かといえば、もしかしたら会社の後輩になってくれそうだった相手の安否に関わることだったから。
何故一瞬だったかといえば──

「排除──奇、遇ですねェ、
 オレもそう……オレも頭痛いんですよ」

「その原因。安全を脅かすものを、
 排除すれば解決すると思ってて」

自分は害意だけにはどうしても敏感だったから。
それも“排除”ときた。『彼』と似つつも決定的に違う、
加害者としての、実に傲慢なそれを聞き逃すはずはない。

「な、何もオレが行く必要ありませんし?
 だから、そう……こっちはもう」
(19) 2022/06/07(Tue) 13:30:50

【人】 トラジコメディ フカワ




『後に引く気はねェんだよッ!』



寧ろ自分のごとそっちの頭も割れろ、とばかりに力強く吠える。
鼓膜を介さない、脳を貫き揺さぶる純然たる音の暴力。

施設に蔓延る獣たちに対する呼び声で、
急いで駆けつけようと奔る仲間への導で、
明確な意志でもって攻撃せんとする、初めての害意の形。

血の気がバカみたいに引いていく。
言ってしまったこと以上に、力に身体が侵される感覚。
こんなもん二度三度やれるようなもんじゃないということを、
嫌ってほど思い知らされる。
(20) 2022/06/07(Tue) 13:36:07
フカワは、後退りしようとした一歩で、力強く地面を踏み締める。
(a24) 2022/06/07(Tue) 13:36:42

三十三

名前を呼ばれた。
かくん、と首が傾いて。体の向きを半分変えて、視線をぐるり。
貴方を見ているようで、でもどこか遠くを見ているような。そんな眼差しを注ぎながら青年の形をした何かはわらう。

「……あぁ!三十三さん!よかったぁ、生きてたんですね!貴方は貴方だ!にんげんだ!えへ、うふふ。嬉しいなぁ。どうして此方に?」

時折何が面白いのかも分からないような笑い声をあげているが、確かに青年は二本の足で立ち、貴方と向き合って会話を行なっている。
身体中に無数の傷を纏い、無邪気な子供のわらいごえを響かせるたびに口から、腹から、ぽたぽたと血を落としながら。

貴方が確認した遺体の様子を、そのまま抱えながら。

/*
めっちゃ"いいやつ"のロールの途中ですごいアレなんですけど
喫煙所(概念)で話してて凶狼気付いちゃったにゃんけど
今日人間二人屠っても明日の朝に焔狼お嬢様がおくたばりあそばせられるので
つまり3:3にならずこれまだ決着しませんわね???

つまり人が何人か……ガチ死なさりますのね?おそらくは?

/*
なんということ?
おれが焔を宿しているばっかりに……
生きたいと思ってしまったばっかりに……?

/*
強く生きてほしいにゃん。死ぬけどにゃん。
必要なら介錯はするにゃん……こっちができる状態だったら……

三十三

「…………ぅ゛え」

死んでいたはずで。
その言葉を耳にして再び頭の中で色んな音が響き続ける。腹の奥が酷く痛むような感覚がした。
吐き気が込み上げてくる喉を無理やり手で押さえ、落ち着くのを待ってから。

「俺は死にましたよ」

「おなか、こんなぐちゃぐちゃになって。生きていられる筈がありません。
 触ってみますか?何も反応がないんです。ハンバーグを作っている途中のこねた挽肉に手を入れた感じみたい」

異常は、まるで正常であるかのような挙動のまま貴方にわらう。
吐き気と血を口からこぼしながら返事をして、貴方から視線と体の向きを外した。

白衣を脱いで、貴方がいる方へと投げつける。
そのまま、酸の海に沈む青年の元へ。


三十三

「貴方の言う通りです」

「生きているなら治療しないと。
 篝屋さんは生きている。生きている音を拾いました」

「生者の分際で、動かないなんてゆるせない。ぁは、そうですよ。停滞なんて、許せない。進まなきゃ、前に。まえに、すすまないと、ねぇ?」

強い酸が足裏を焼く。じゅ、と靴の底を蝕んでいく。

「……ぇへ、うふふ。で、なんだっけ。

 あー……詳しい話をするのは後ほど。運ぶの、手伝って貰えませんか?
 ひとまずこの……これ、強酸でしょうか。此処から引き上げますから。その後、二人で運びましょう。
 その白衣は何か長めの棒が2本もあれば担架に出来ましたけど、無さそうかな。手や体を酸で焼きたくないとか、何か適当に使ってください」

まるで生きていた時のように、饒舌に喋っている。
けれどその青年は足を焼かれたり、篝屋青年を目にするたびに「ゆるせないなあ」「なんで?どうして?」とけらけら子供のように笑い声をあげている。

この青年は確かに、壊れてしまった後だった。

【人】 トラジコメディ フカワ


──聞き覚えのある絶叫と、破裂音。

「いっ、」

緊張の糸がぷつんと切れて、
アンテナを取り落とし、尻餅をついて。
目の前から倒れ込む異形を認識しては、
心の底から錯乱して、観劇から現実へと引き戻された。

『やった?やってないまだやってない、やらなきゃ
 とりかえし、つかなくなるとるかえすつくように』


嗚咽なのか悲鳴なのかわからない音が喉から漏れ続ける。
わなわなと頭に手を当てて、何事か叫ぼうと思った時には、
(31) 2022/06/07(Tue) 22:48:11
三十三

「そう。ぁは、ふふ。三十三さんは、篝屋さんが大切なんですねー……」

笑った形のまま、そう返した。笑ってはいるけれど、その実貴方達二人の仲にまるで興味など無いと言うように。そんな、ちょうど己の体のような温度の声色で。

危害は加えない。貴方にも、貴方の先輩にも。
ただ前に進む手助けをするだけだ。
それは善意からなどではない。そんなもの、とうに昔の何処かに置き忘れてしまった。

今青年を動かすのは、ただ一つだけの強い意思のみ。

…………
……

廊下は厄介なものと鉢合わせする可能性がある。
恐らくはすぐ近くの部屋に運んだことだろう。

「治療、どこから手をつけたらいいのやら。ひとまずは止血?少なくとも、血管が傷ついた場所や剥き出しの部分は布を巻くくらいしておかないと。
布……あぁ、伊縫さん……。

 生きているのなら、生きてもらわないと困ります。そうじゃなきゃおれはゆるせませんから」

【人】 トラジコメディ フカワ


『叶さん───!!』


それは他愛無い、
無意識のうちの脳の呟きに変換される。

透明な針の山が異形ごと貴方を貫いたのを見れば、
自分の胸まで何かに刺し貫かれたような痛みの錯覚を。

(───どうして?何故?なんで?)

疑問ばかりが頭で膨らんでいくものの、
それは── きっと、全てが終わっても分からないものだ。
仰向けから身を捩らせて、肘を突き、
手を伸ばしてもがいてはみるけれど、
決してどうにもできない目の前の光景を、
(32) 2022/06/07(Tue) 22:59:20
三十三

生への執着を知る。
生かすための決意を聞く。
生きるための覚悟を見る。

「…………」

ずっと、考えていた。
人を人たらしめるものは何なのかと。
進化を続ける理由は何だろうと。


目を細め、貴方の姿を焼き付けるように視線を注いだ。

「制服。そんなのもあったなぁ。そこまで時間が経っていないのに、ああ、ああ、なんだか遠く。ふふ、ふふー。
あの人は、あの時から、あの時に?ふふ。

 ええと……はい、ええ、人前に出る際に酷い怪我を隠したい時とか、きっと役に立つかと。
よかった、無駄ではなかったんだなぁ。


生前なら内に留めておけただろう余計な思考も垂れ流しながら、貴方にお願いを託す。

「……誰もが。血で手が汚れている人でも?」

貴方が一度部屋を出る直前辺りだろうか。
こてんと首を傾けながら、無邪気にそう言葉を投げかけただろう。

【人】 トラジコメディ フカワ


「叶、さん……」

頭痛と吐き気が身体を苛みつつも、
どうにか貴方を救う手立てを考え続けて。
しかしぽろぽろと涙が流れ落ちるばかりで、
それ以外には何も出てこない。

手遅れだということを認めたくないのに、
悪癖となった諦観が身を包んで離してはくれない。

「なんで……オレで、よかったの、に……
 全部……持って行かないでくれよ……!
 ひ、二人の……二人で抱えるもの、だったでしょうが」

這う這うで近づいて行って、
投げ出された掌を両の手で握ると、
急速に失われていく体温が痛いほどに伝わってきた。
(38) 2022/06/08(Wed) 0:44:30

【人】 トラジコメディ フカワ


「オレは……貴方がいたから、
 立ち向かう勇気を貰えたんです。

 オレが頑張らなければ、
 いつか叶さんがそうなってしまうと、
 ───貴方が貴方を害してしまうことを、知っていた」

それを止めたかったのに。
あるいは、どうしても助からないというのなら、
オレも共に、そこへ連れて行ってほしかった。

何もかもが上手くいかないのは、
己がやはり弱者に過ぎないからなのか、
それとも、罪に対する罰がこの形になったのか。

「貴方の、せいで───
 貴方のせいで、無事になっちゃいました。
 
 許さないです。これから、ずっと」

至らなかった自分と、勝手な貴方を。
許したところで、貴方が助かるわけじゃない。
(39) 2022/06/08(Wed) 0:57:19

【人】 トラジコメディ フカワ


「どうして全部事後報告なんですか……貴方って」

思わず、溜息のようなそれが出た。
そういえば近頃は心中で呟くばかりで、
直接愚痴を吐いたりするようなことを忘れていた。

血の混じった裾で目元を拭えば、
頭がどんどん冷めていく。
リアリティに欠けた感覚が、胸の内を満たしていく。

「そうと知っていたら、
 貴方の力を借りようだなんて思わなかった。

 無理させようとか、そんなの御免ですし、
 ねえ、もっと別の方法を考えられたんです。
 オレ達はマジで、どうして……こうなるんですかね」

言った所で全部無駄なことはわかっている。
そもそも他に方法があったかさえ定かじゃない。

けど今は、ありったけの恨み言を言わなきゃ気が済まない。
(40) 2022/06/08(Wed) 1:05:30

【人】 トラジコメディ フカワ


「……頼まれて、あげますよ。
 他でもなく、誰にも頼らなかった貴方が、
 初めて俺に対してくれた、“頼み”ですからね」

本当に、どこまでもどうしようもない似た者同士だ。

「オレだって」

「オレだって、何もできなかったんです。
 だからオレも貴方の頼みを叶えてあげられなかったら、
 ちゃんと怒ってください。じゃないと不公平です」

置かれた環境からしてどうしようもなく絶望的で、
自分の力にしか頼れなくて、何かが狂ってしまった。
そうでもしなきゃ、生きていけなかっただけの。

身に過ぎた物を持たされてしまっただけの、人間だ。
(42) 2022/06/08(Wed) 1:19:08

【人】 トラジコメディ フカワ


『───だからいまは、ゆっくり休んでください。
 私も……もう一仕事してから、そちらに行きますから。

 叶さんは、もうひとりじゃないです』


もう音が届くか分からないから、
頭に直接話しかける。細胞レベルの仲間意識があるのだ、
いっそ音にするよりこっちのほうがよく伝わるだろう。

『ひとりじゃないなら───怖くないですよ』


はやがて西に沈むから。
それが今貴方に与えられる、一番の救いになればいい。
(43) 2022/06/08(Wed) 1:23:23
フカワは、些細な秘密と罪しか、この身に持ち合わせていない。
(a56) 2022/06/08(Wed) 1:26:27

フカワは、貴方と自分が死後行く場所があるとしたら、地獄に他ならないとは思っている。
(a57) 2022/06/08(Wed) 1:27:35

フカワは、それで満足だ。
(a58) 2022/06/08(Wed) 1:27:44

三十三

「そうですか。……」
「報われるとか、報われないとか。気持ちは分からないけれど。
 みんないきてほしいなってことは、わかるなあ」


短く返事をして、青年を見送った。

それは博愛などではない。殆どの行いは自分のため。
きっと貴方はこれからもそうであり続けるのだろうと、そんな印象を抱いて。
貴方の写真はブレることがなさそうだな、とも。残った知性はそう判断した。

「早くおきてくださいね。篝屋さん。貴方の死は礎になりません。
 三十三さんが頑張って生きるには、貴方も生きていないと。今は多分、きっと。
 はやくはやく。ねーぇ。ふふふ。
 おれはまだ、みていませんから。みたいですから。ゆるしません、ゆるせません」


近くに寄って、怪我の具合を時折検分しながら篝屋の顔を覗き込む。

再度此処に三十三が来るまで、未だ意識を失い続ける青年に意味を持たない笑い声を撒いていたのだった。

/*
というわけでわたくし本日吊られ吊られ凶狼ちゃん
システム的には襲撃空振っちゃうんだワン!!
ってなわけで智狼ちゃんちょっと襲撃先ナオアキさんに設定しておいてくださる!?(余韻ぶち壊し)

/*
もうしています。落ち着いて。

/*
偉(エラ)〜。

【人】 トラジコメディ フカワ


「───」

一先ず連絡を入れよう。
脅威は既に去って。実験動物は会議室には来ない。
もう、終わったのだと。
(47) 2022/06/08(Wed) 3:59:33
フカワは、端末へ事の顛末を送って。
(a65) 2022/06/08(Wed) 4:00:14

フカワは、しばらく、呆然とその場に座っていた。
(a66) 2022/06/08(Wed) 4:01:11

気配を探る。
何度も、何度も。

死にかけてひいひいと泣いている間も、
大怪我で地べたを這いずり回っている時も、
二つぽつんと星のようにあった気配の片割れが感じられない。

人に害なす獣であったものは遠く独り、守られた部屋で。
何にも出来ずに、星が堕ちるのを見ていた。

 




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