【人】 X『教皇』 カルクドラ──回想:南の香り── [ アリアは五年前に洋館に来た。 思えばこの五年前は四人も新顔が増えていた。 クリスタベルとゼロにはろくに出来なかった分 アリアとヒナギクには、初めての後輩ということもあり 余計張り切って先輩面をしていただろう。] 僕も最初来た時は戸惑ったよ。 西地域には、留学で来たことがあったけど 人も物も建物も多過ぎて、田舎の南出身者には 目が回りっぱなしだったよ。 うん、賑やかでいろいろな人がいて退屈が無くて。 ……僕もそう思う。 [ 彼女が初めて訪れた際>>0:633入れた紅茶は 甘味とまろやかさに特化したバナナ味のミルクティー。 これが南地域の名産品のあることには気付いただろうか。 同郷であることが判明したならば、 故郷の話で盛り上がったかもしれない。] (360) 2022/12/15(Thu) 19:08:25 |
【人】 X『教皇』 カルクドラ[ 彼女自身は祈祷室にあまり訪れる方では無かったが 男の方も、ハーブや香草を貰う為 彼女の元を訪れることが多々あった。 眠れず悩んで来る子がいたり 急に体調不良者が発生した時の為 祈祷室にも薬は常備してあるが、 それらは大半、彼女に調合してもらったものだ。 より良い睡眠、リラックス、メンタル改善効果もある スペシャルブレンドの数々は、彼女に監修も受けていた。 売店で売り出せば小遣い稼ぎになるかもしれない、と 笑って話していたこともあっただろうか。*] (361) 2022/12/15(Thu) 19:08:55 |
【人】 X『教皇』 カルクドラ[ 人を好きになるのに理由は要らない、とは 使い古された良い人の言葉であるが なら、人を嫌いになるのに 理由は要るのだろうか? 何をした訳でも無い。された訳でも無い。 それでも、苛立ちを覚えてしまうのは 何の理由があるのだろうか。 相手の何が悪い訳でもないけれど、どこか苦手。 生理的に苦手。 そのような人が居ることは、珍しくないだろう。 ただ、表に出さないだけで。 少なくとも、今の僕は 君のことが“苦手”なのだと思う。 前世からの因果、なんて陳腐な理由を盾にして。 過去の行いを、認めたくなくて。 過去の『教皇』の行いに『僕』は関係ない。] ──なら、何故僕は今でも 君を避けようとしている?] (362) 2022/12/15(Thu) 19:12:54 |
【人】 X『教皇』 カルクドラ── 回想:君の僕の思い出の場所 ── [ 男が館に来た時、既に『死神』が居たことを知った。 『死神』の証持ちは誕生し難いはずだが 最初に感じた正直な感想は 「何故いる?」 だった。彼が男に会わないように注意したのと同じく 男も彼に会わないようにした。>>86 全員が集まる会合等では、なるべく離れた席に座り 目を合わせることもせずにいた。 まるで子供のような意地の張り合いを続けていた。 それは、七年経った今でも変わらぬまま。] (363) 2022/12/15(Thu) 19:21:30 |
【人】 X『教皇』 カルクドラ[ 当時のことを謝り、赦してもらえるのだろうか、 自分が彼にしたことを思えば 僕が彼の立場ならば、きっと赦さないだろう。 今の自分には関係ないから、少しずつ修復していきたい。 箱庭の『教皇』は僕ではない。 修復も何も、一からやり直せば良いのではないか。 だが、どの顔で彼に向き合える? それ以前に、彼を前にすると 魂がざわつき、否応無しに苦しくなるんだ。 その苦しさは、何の苦しさなのだろうな? ] (364) 2022/12/15(Thu) 19:22:18 |
【人】 X『教皇』 カルクドラ[ 倉庫──綺麗に改装されたばかりの祈祷室で 男は部屋の整理をしていた。 全体が水色ベースで空、もしくは海を思わせる雰囲気。 その時洋館に訪れていた女性── シャルレーヌだったかチェレスタだったか。 彼女に貰ったシオンの花を飾ろうとした頃、扉が開いた。 不在時以外は基本施錠していないので、 扉が急に開くことは珍しくない。 しかし、来客の姿が予想外過ぎて 花を思わずテーブルの上に落としてしまう。>>89。] …………。 [ 小さく狭い空間で 舞い落ちる花びらのみが揺れ動いていた。] (365) 2022/12/15(Thu) 19:22:45 |
【人】 X『教皇』 カルクドラ[ 声は出なかった。 何故君がいるんだ。 何の用? 肯定的な反応を必死に探しても出てこない。 存在しない訳では無い。 きっと、胸の奥の見えない奥深くに隠れてしまっている。 時間をかけて探し出せば見つかるはず。 なのに、なかなか出て来ない。] …………。 (366) 2022/12/15(Thu) 19:23:20 |
【人】 X『教皇』 カルクドラ[ たった一言を探し出し、発するまでに 数時間掛かったかと思うほどに、数秒の経過を長く感じた。 怒りの表情、声色は無く共に硬いまま。 他の人達に当たり前に見せている 普段の柔らな表情や声は窺えなかっただろう。 彼はその後どうしただろうか。 男からは「出て行け」と言った類の言葉は出なかったが 碌に目を合わせることは無かった──出来なかっただろう。*] (368) 2022/12/15(Thu) 19:24:38 |
X『教皇』 カルクドラは、メモを貼った。 (a58) 2022/12/15(Thu) 20:05:54 |
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