人狼物語 三日月国


105 身内村

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一日目

村人:1名、囁き狂人:2名、黙狼:1名

【人】 とある書物

そしてそのつづきの物語。
(0) 2021/11/01(Mon) 7:00:00

【人】 春野 清華


 たしかに。
見たことない。あんな大きなもやしは。
彼の言葉にうんうんと頷いて「確かに」とこぼした。
その好奇心に、新しいものに触れてみたいという
気持ちに、なにひとつ否定する要素などなくて。


 「ん、わかった」


と微笑みかけてまた、頷いた。




 
(1) 2021/11/01(Mon) 18:39:55

【人】 春野 清華


 流れる風景を見ていた。
それは、ありきたりなはずだけれど、
普段は触れない、田舎の道だった。
穏やかで、和やかな空気。どこか、都会のそれとは
ちがって、澄んでいるようにもかんじた。
きっと一歩外に出れば、早朝のような
きりりとした冷たい空気が耳殻を
かすめていくのだろう。

 彼の見せてくれたガイドブックによると、
例のもやしのあるところには、あまり何も
ないようだったから、まずは弘前駅の周辺を
観光して回るということに異論はなかった。


 「そうだね、リンゴのイメージが強いな。」


はじめはたしか、マグカップを買いに行く、
という話だったはずなのに、私の提案で
随分と遠いお買い物になったな、と思う。
それでも、彼と過ごせる時間は多い方がいい。
重ねた思い出の数が、いつの日か「彼」と
同じだけになった時、私たちの関係は
変わっているような気がしたから。

 
(2) 2021/11/01(Mon) 18:40:10

【人】 春野 清華



少しだけ、よそよそしい雰囲気。
触れるのに、口付けをするのに、それに、
ためらいなどないのに。どうしてだろう。
こんな時に、手指を絡めて握ることの方が
よほど難しくかんじた。


 「外に出たら、甘い匂いとかしないかな」


なんて、笑ってみせて、また過ぎゆく景色に
目を向けてから、揺れる車体にそっと目を閉じた。


 
(3) 2021/11/01(Mon) 18:40:23

【人】 春野 清華




瞼に映る光が途切れる。
何もうつさなくなった真っ暗闇。
触れない。息遣いも、聞こえなかった。
たった一人、取り残されたみたいな、
そんなわけないのに、きっとそれを口に出したら
彼を傷つけるとわかっている。
でも、隣にいるのは彼であって欲しかったし
彼以外には考えられない。

手探りで進んでいる、みたいな心地だ。
見つけられない、着地点。
この気持ちを言い表すこともできないまま。

(4) 2021/11/01(Mon) 18:41:04

【人】 春野 清華


ゆっくり息を吸って、吐いた、そのとき、
視界が明るくなって、隣から聞こえた
明るい声にゆっくりと目をひらいた。

一瞬ちか、と目端を煌めきが抜ける。
白からじわりと滲むように映ったその景色は、
色を、与えて、開ける。


 「わ、 ほんとだ」


とくん、と心臓がひとつ、鳴った。
背もたれから体を離すように背筋を伸ばす。
がたん、と車体が揺れた。バランスが崩れて、
手が、彼のそれと重なる。

 
(5) 2021/11/01(Mon) 18:41:24

【人】 春野 清華



 「、 っ」


 短く、息が詰まる。
反射的に彼の方を見て、離してしまう。
───目は、合っただろうか。
もし、車窓からこちらに振り向くのならば、
ぱちぱちとまぶたを瞬かせてから、
唇を結んで、ほんの少し恥ずかしそうに頬を染める
顔を、見られてしまうのだろう。

けれど───


 「あ、ごめん、わざと、じゃ、なくて」


でも、それでも。

 
(6) 2021/11/01(Mon) 18:41:40

【人】 春野 清華




 「あ、の、嫌じゃなかったら、繋いでも、いい?」


小さくぼそぼそと尋ねた言葉。
年甲斐もないお願いだけれど、きっと、
彼ならきっと、笑顔で頷いてくれる気がして。
そうしたらきっと、外の寒さだって、
気にならないような、そんな気がして。*
 
 
(7) 2021/11/01(Mon) 18:42:02

【人】 ろぼ先生 夏越 清正

[かたん、と電車が揺れた途端、
 所在なく投げ出されていた男の手に
 確かに、温もりが重なった。

 窓の外に広がる景色にはしゃいでいた男は
 思わぬ偶然にはたと清華と視線を交し
 それからまたふにゃりと顔を綻ばせた。]


  え、あ、いや、全然、気にしないで。


[違う、そういうのじゃなくて。
 手を握るのも、触れるのも、嫌じゃないから
 もう少し、手を重ねていたいのだ、と。
 引き止め損なった手をわきわきさせながら
 男はもごもごと口ごもる。

 言っても、嫌じゃないかな。
 怯えたりされないかな。
 少し迷っていたら、清華の方から
 男へと小さな「お願い」が向けられた。]


  やじゃ、ない!


[照れと嬉しさを顔の上に同居させて
 男は今度はしっかり頷くと、
 清華の手を絡めて男の膝の上に導いた。]
(8) 2021/11/01(Mon) 22:24:22

【人】 ろぼ先生 夏越 清正

[そんな甘い雰囲気の中、新幹線は
 目的の弘前駅へと滑り込む。

 電車から外に出た瞬間肌を切るような寒風に
 亀のように首をすくめながらも、
 すう、と息を吸ってから]


  りんごの匂いはしないね。


[ハワイは空港からココナッツぽい匂いがすると
 山梨で教え子だった健太は言ってたけれど。
 そう、男はくすくすと笑うと
 清華の手を繋いで、自分のコートの
 ポケットの中へと招き入れる。

 男には鼓動はないが、しっかりと体温はある。
 これでもう、繋いだ手だけは寒くない。]
(9) 2021/11/01(Mon) 22:24:52

【人】 ろぼ先生 夏越 清正

[さて、弘前駅に着いた頃にはもうそろそろお昼時。
 もやしを食べに行くのは夜でいいとして]


  色々面白そうなところはあるけれど
  ねぶた村、行ってみたい。


[駅から少し歩いたところに
 ねぶたを展示しているところがあるらしい。
 桜の盛の時期に美しい弘前城を横目に眺めつつ
 そちらにタクシーを走らせようか。]
(10) 2021/11/01(Mon) 22:38:24

【人】 ろぼ先生 夏越 清正

[男はねぶたに興味があるわけじゃない。
 青森というところはねぶたが有名、ということだけは
 しっかり頭に刻まれているのだが
 実物を見るのはこれが初めてなのだった。

 どこかの遊園地のパレードみたいなものかな、という
 朧気な記憶のまま施設に入ると、どどん、と
 蔵みたいな大きさの山車が出迎えてくれて
 男は思わず言葉を失う。]


  …………でっ…………っか、


[結局そんな小学生みたいな感想が出てしまい
 歴史教師らしからぬ言葉に、男は自分で照れくさくなる。
 こほん、と咳払いひとつ。]
(11) 2021/11/01(Mon) 22:46:59

【人】 ろぼ先生 夏越 清正



  元々、ねぶたは「眠た」が訛ったもの、
  睡魔を払うためのお祭りだった、っていうけれど
  これは本当に、目が覚めちゃうね。


[繋いだ手は、睡魔がみせた都合のいい幻覚じゃなく
 確かに、ポケットの中にある。
 それが嬉しくて、指の腹でそっと手の甲の輪郭を撫で
 巨大な山車を見上げているだろう清華へ視線を向けた。]


  七夕の日に厄災を払うための灯篭流しと
  気分転換のお祭りを兼ねて、って感じかな。


[ちょっと蘊蓄を垂れてみせたところで
 鼻先を何だか食堂のいい匂いがくすぐった。]


  先に食べてから行こうよ。


[なんて、展示の前に食堂へ誘う。
 歴史を感じさせる竈のご飯と地域食、
 中でも人魚のブラみたいな大ぶりのホタテがいを
 そのまま七輪で焼いて卵を落とし込む、
 海の幸豊富な北国の料理には目を丸くして。]
(12) 2021/11/01(Mon) 23:06:45

【人】 ろぼ先生 夏越 清正

[そうしてちゃんと展示が見れるお腹になったら
 清華にひとつお願いしよう。]


  ねね、清華が写真、撮って。


[山車の前で、くわっと目を見開いて
 あたかも山車に描かれた英雄を気取ってみせて。

 
そういえば、オリジナルの部屋には
 オリジナルが写った写真は少なかったなって。
 なんとなくそう思って。
(13) 2021/11/01(Mon) 23:10:28


  
別に、「僕」が撮りたいから撮るだけだったから。
  清華とふたりで写りたい、と思ったことも無くて
  もしそう思ったとしても、「僕」には彼女を
  どう誘う「べき」かなんて、正直分からなかったから。

  写真が無いのなんかは
  そんなに深刻な意味はなかったのだけど。



 

【人】 なごっち 夏越 清正

[でも、もしいいよ、と言ってくれるのなら
 しっかりしたカメラじゃなくたっていい、
 清華と二人で写真を撮りたい。
 そう密かに願っている。]*
(14) 2021/11/01(Mon) 23:15:58
 




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