79 【身内】初めてを溟渤の片隅に【R18】
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視点:人 狼 墓 恋 少 霊 九 全 管
村人:1名、共鳴者:2名、人狼:1名、童子龍:2名
|
甘くても ちょっと苦くても、
たいせつな 想い出 ──────
(0) 2021/06/20(Sun) 0:00:00 |
| あ、起きた。 寝ちゃうなんて、やっぱり疲れてたんじゃ…? [ ゆっくりしてて、って言ったから 寝てたならそれはそれでいいことだし 何より私も同じこと前にしたし。 でも、何となく無防備に寝てた潤さんが 珍しい気がしてしまって。 疲れがたまってたのかな、なんて心配しつつ。 ケチャップは?なんて聞かれて >>0:82 それを催促に近い意味で受け取ってしまった私は はっとして潤さんが見ている方へ目を向けた。 確かに作ったオムライスには何もかけてない。 ] (1) 2021/06/20(Sun) 0:28:38 |
| あっ……、ケチャップ…… そ っか、普通かけます、よね。 [ くしゃっと少し顔が歪んでいたかも。 気が利かないな、私は って 思ってしまったから。 慌ててケチャップを持ってきて、 かけたほうがいいかなとか迷ったけど。 自分はかけずに食べるから どれくらいかけたらいいのかよくわからなくて それなら自分でかけてもらおうと差し出した。 ]* (2) 2021/06/20(Sun) 0:30:32 |
[ がつがつと余裕なく貪り口付ければ、
鼻から抜ける吐息混じりの。
声は低く、甘く。
鼓膜から脳髄を溶かすように響く。
呼吸ごと奪うように弄っていた舌が吸われ、食まれ、
ぞくりと欲が迫り上がる。
混ざり合った唾液を飲み込む彼の喉の動きにさえ
どくんと心臓が激しく鳴いた。
噛みつきたい衝動を、レンジの電子音のせいにして
どうにか押さえて。 ]
[ 余裕なんてあるわけない。
余裕あるフリすら出来ない。
二日すらモたない、お前の空気を吸わないと
息ができない、なんて。
見透かされているように撓む目元に負けた気がして
眉間に皺を寄せてちょっと睨む。
熱と欲を携えた瞳では、きっと迫力など
ないだろうけれど。 ]
[ 腰に触れていた手がするりと滑らかに動いて
後頭部を包む。
傾げられた首、浮かぶ笑み。
余裕の無い自分を嗤うような表情で囁く熱っぽい声、
おいそれはずるいだろ─── ]
─── ん、 ッ……
[ 忘れる筈のない、あの日と同じような
頸動脈にじんと重い圧迫感。
引き寄せる力の強さ。
荒い吐息と、あられのない水音。
飲み込むタイミングを失った唾液は唇から顎へ
伝うだろうか。
それでも離してもらえそうにないなら、
こちらからも整った綺麗な歯列、
裏側から口蓋をも丹念に探る。 ]
[ あの日と違うのは、自由を得た己の右手が、
同じように彼の頸に触れること。
柔らかな髪が、指の間を擽ること、
名前を呼ばれると甘い痺れが脊髄から
脳へ駆け上がって、
自分のものじゃないような声が漏れること。
押し付けられ布地越しに感じるお互いの兆し。
酸欠でくらくらしそうなほど繰り返し贈られる
口付けが、ようやく少しずつ落ち着きを取り戻し、
後頭部の掌の力が緩んだ。 ]
……ッ、は、───
[ 肩で息をしながら唾液を飲み込む。
ゆっくり瞼を開いて見つめればその瞳は
興奮の灯を灯したまま、潤んで、微笑んで。
力の入らない手を彼の頸からそっと動かして、
その唇を親指で拭う。
そのまま自分の唇も拭った。 ]
っ、 なっ……
[ ごちそうさま、とどこか楽しそうに
語尾の上がる言葉に思わず絶句して。
それでも、わずかに離れた身体が惜しくて。]
─── わかってるくせに
Two winsのベーシストは意地が悪りぃ。
[憎まれ口をひとつ。
己の口はぎこちなく動く。]
[ 意地っ張りで素直になれないはずの自分が、
珍しく曝け出す本心。
寝不足のまま空きっ腹に煽った鎮痛剤のせいか
下半身で主張する欲望のせいか、
どうにも溢れて止められない想いのせいだろうか。]
ずっと、先に進みたくて、
……前から聞こうと思ってた。
けど、お前、どうしたい?
……その、あー……
[ 言葉に詰まって彼の髪をぐしゃ、と掴んだ。
大事なタイミングでまたピーピーレンジが鳴って、
うるせぇな!と八つ当たりを投げた。]**
| ………疲れというよりは、 美鶴さんが何か作ってくれてるのが 心地よかったんやと思う。 ええ匂いしてたし、な? [ ケチャップを言った後で 急に彼女の表情が硬くなって、 それまでの緩やかな雰囲気が消えそうに。 彼としてはかけないの?のニュアンスだったが 寝起きのせいもあってきつい言い方に なってしまったかもしれない。 彼女からケチャップを受け取れば、 彼女に少し目を閉じて、とお願いをする。 ]
(3) 2021/06/20(Sun) 10:51:43 |
| 別にケチャップかかってなくても 全く問題なかったんやけどな? ………よし、開けてええよ。 [ 彼女が目を瞑ってくれていたなら、 そういって、彼女にプレートを返す。 不恰好なオムライスの上に、 彼がのせたのは「ありがとう」の5文字。 loveにするか、すきにするか、悩んで 結局それにしたのだった。 もし、ケチャップが上に乗っているのが 苦手と彼女が言えば、交換できるように 自分のものには何もつけずにいたけれど。 ]*
(4) 2021/06/20(Sun) 10:52:03 |
| え…?? ……でも、言うってことは 欲しかったんじゃ…… [ 目を閉じて、と言われて困惑したけれど 言われたとおりに目を閉じた。 いいよ、と言われて目を開ければ 「ありがとう」とかかれたオムライス。 ……あ、もしかしてこういうこと 潤さんもしてほしかった…? それとも気を遣わせちゃった……? てか、器用だな!!! 私じゃこうはいかないんですけど…… 何度か瞬きをして、潤さんのほうを見た。 ] (5) 2021/06/20(Sun) 13:10:30 |
|
あ、その、ありがとうございます… あれ?そうじゃなくてどういたしまして…?
……、食べましょう!冷めちゃうし!!
[ どこまでもスマートな潤さんに対して 混乱気味の返答を返せば、 はやく食べよう、と促した。
いただきます、と言ってから一口食べれば やっぱり味は悪くないかな、と思ったけれど。 潤さんはどう思うか分からないから 反応を見たくてつい、 手は止まって彼の方をちらっと見てしまった。 ]*
(6) 2021/06/20(Sun) 13:11:14 |
[唇から溢れて、落ちて、伝う、互いの唾液が
白い首筋に見えて、ぞくぞくする。
余裕なんて、ない。
本当ならこのまま、全てを味わいたい
そんな欲を抑えて、笑んだ。
飯を食うと先に言ったのは、彼だから。
食う気ないだろ、といいたくなるほど、
熱っぽく応えてくれたことは、まあ、さておいて。
だって、その親指が唇に触れるだけで。
拭ったそれで、彼の唇が拭われるだけで
どきどきして、下腹部に血が集まるのがわかる。
だけど、理性をなくしたいわけじゃない。
だから、その身体を離したのだ。
ごちそうさま、と弾んだ声をなげれば
不服そうに、憎まれ口が飛んでくる。
それすらも愛しくて、破顔した。]
ふは、 そう?優しくしてるつもりだけど
[そう、目を細めるのに。
ぎこちなく続けられる言葉に、簡単に心臓は打って
目が開いて、一瞬揺れて。
伸ばした手が、彼の髪に触れて、梳く。]
───…うん
[珍しく曝け出された彼の欲に、
茶化すという選択肢がなかったわけでは
なかったのだけれど。でも、それは、
素直に嬉しくて。愛おしい、から。
言葉の続きを促すようにじっと見つめると、
半ばしどろもどろになりながら、羞恥を微かに浮かべ
ゆっくりと選ぶように紡がれる言の葉。
迷うように、なんていったらいいのかわからない、と
それだけはあからさまに。
最後の最後、八つ当たりするみたいに電子レンジに
怒鳴って締め括る彼に、また、笑んで。]
…おれは、触れられるなら、それで。
どっちでも。雨宮の好きにしていいよ。
こんな図体のでかい俺ですけど。
[少しだけ離れた身体をそっとまた寄せて、
両手を彼の腰に回し、そのまま組む。
背中を曲げて、窺うように、見上げれば。]
| あったら嬉しかったなって。 でも一生懸命作ってくれたから これで100点満点の出来だよ。 [ 本当はクマとかなんとか描けたら 1番良かったけれど、 パッと思い浮かばなかったので 文面にすることに。 彼女の瞬きから、驚いたことは 察しがついたけれど、 器用だな、と思われているとまでは 察することは出来ず、 促されるままに一口ぱくり。 ]
(7) 2021/06/20(Sun) 15:28:54 |
| (8) 2021/06/20(Sun) 15:29:45 |
| [ 彼女の止まった手を軽く握って。 食事の手を止めてしまったことに 気がついたのですぐに離したけれど 視線が合ったのなら、 真剣な表情でお願いをした。 食べてしまえば全て一緒。 だから、写真映えするよりも 大切に作ってもらえたことの方が 彼は嬉しいのである。 ]
(9) 2021/06/20(Sun) 15:31:02 |
| あかん、なくなってしもた… 美味しかったからやなぁ…… ごちそうさまでした。 食後にお酒少し飲む? それとも、シャワー浴びてからにする? [ 今日も今日とて、あんず酒をストックしてある。 彼女に気に入ってもらえた甘いそれは 少しでも彼女との距離を縮めるための一手。 彼女が気にしそうな、 洗い物はしておくから、と どちらの選択にも答えるのだけれども。 ]*
(10) 2021/06/20(Sun) 15:31:25 |
[ 細く、柔く、撓む目元。
太い四弦と共にある指が、毛足のぱさついた
己の髪を梳く。
楽器を奏でるような優しい手つきが妙に心地良くて
目を伏せて凭れかかり、そっと頭の重みを預けた。
茶化されるかな、と内心思っていたけれど。
そんなことはなくて、伏せた瞼を持ち上げれば
静かに頷いてこちらを見つめる瞳が、
ほんのすぐ近くで、
やっぱり、綺麗で。 ]
[ やり場のない感情を八つ当たりで電子音に
ぶつければ、また穏やかな笑みが降る。
好きにしていい、
なんて。
懸命に紡いだ言葉に、あっさりとそう返されて、
顔が熱くなるのが自分でもわかる。]
……優しくは、ねぇな。
[ むぅ、と唇をへの字に結んでそう言えば
またひとつ、距離が近くなった。
背に回された両手が組まれて
己とてさほど小さくはないはずだけれど、
不思議にすっぽりと収まってしまう。
包まれた腕の中、心臓が跳ね回って、痛い。]
[ 長い身体を折るように曲げて
下から見上げてくるのは、
広い海のように穏やかな双眸。
瞬きもせずに見下ろし見つめ返せば
出会ったころから変わらない、煌めき。
ガキ臭い己のアップダウンを受け止めてくれる、
いつだって荒んだ心が凪いでいく。
そしてそのたびに、甘えているなぁと思う。
己は彼に、なにを返せているのだろうか、と。
]
……っ、───!
[ 小さく、低く、
色と艶と、甘さと毒と。
いろんなものを含んだ声が、脳を直接嬲る。
ぞく、と背中を震えと汗が伝った。
彼のニーズや欲求を、何より優先したいと思う。
他の人には感じたことのないそんな気持ちが
彼にだけは湧いて溢れて、ブレーキが効かない。
なのにあっさり選択権が手渡されて、息が止まった。]
……ず、っりぃな、ぁ───
[ 絞り出した言葉に呼応するように身体中が熱い。
きっと赤に染まってしまった顔も耳も、
隠すように彼の胸に押し付けて、伏せた。
窓から、明るい陽が差し込んでいる。
きちんと整えられたベッドを、ちらりと目で追った。]
| [ あったら嬉しかったって言われて やっぱりほしかったんだなって 少し落胆してしまった。
でも、おいしそうに食べてくれて。 上手だねと褒められて自然と笑みが浮かぶ。 失敗したとはいえ褒められるのは嬉しい。 ]
上手じゃ、ないですけど……
(11) 2021/06/20(Sun) 17:59:21 |
| [ 手を握られてえっ?と言わんばかりに 潤さんのほうを見れば、視線が交わる。
こくっと頷いて、彼の期待に応えられるように もっと料理上手になりたい、と思った。
食べ終わったのは同じくらいの タイミングだったかな。 ]
(12) 2021/06/20(Sun) 18:02:23 |
| 気に入ってもらえてよかった。 口に合わなかったらどうしようって…
お酒…あんず酒あるんですか?飲みたい!
[ お酒に強いわけでもないけれど 潤さんと飲むとよりおいしいし、 それこそ信頼しているから 酔っても大丈夫って思ってるのもあったり。
洗い物は潤さんがしてくれるみたい。 私もって言おうとしたけど 譲ってくれなさそうだし任せることにした。 ]* (13) 2021/06/20(Sun) 18:03:13 |
――――――――
ふふ、やっぱり美味しい、ですね
[ 潤さんが洗い物を終わらせて
二人でグラスを傾けていると幸せだなあって
そんな気持ちが溢れてくる。
すり寄るようにぴったり横にくっついて ]
潤さん、
大好きです
[ ふわっと笑って言えば
いつの間にかグラスは空になっていた。 ]**
[弦よりもずっと細くて、柔らかな髪。
そのぱさつきさえも、肌を撫でると
くすぐったくて、心地いい。
かかった重みに彼の熱を感じて、愛おしさは増す。
じっと見つめながら、本心として、
答えを告げれば、その唇がへの字に曲がるから
かわいらしくて、触れるだけの口づけを。
そのまま背を折って見上げれば、
瞬き一つせず、じっと見つめ返してくる瞳。]
[もしも、その思考が読めたならば、
返すものなど、必要ないと告げただろう。
己とて、彼に与えられてばかりだと、
そう思っているのに。
あの日、彼と共に奏でられた音楽。
同時に知ることができた、己の気持ちと
今こうして、共に歩んでくれること。
何もかも、全て、彼がいたから。
いまだって、この幸せは、己の人生における幸せは
雨宮、お前がいてこそなんだ、と。]
[低く、甘く、問いかけた言葉に、
彼の息が詰まって、それから、WずるいWと
紡がれるから、目を細めた。
そう、俺はずるい。
ずるくてもいい。ただ、雨宮の欲しいものが
与えられたら、それがいい。
もっと依存して、もっと、俺に落ちて。
離れるなんて、考えられないくらい。
触れる形なんてどうだっていい。
彼を、この腕の中に閉じ込められるなら。]
[真っ赤になった耳の淵を撫でようと腕を
ほどきかけたそのとき、彼の喉が震える。
胸に押しつけられる額。
半ば懇願するように響いたそれに、
どく、と心臓が一つ打った。
微かに、付け足された言葉が空気を震わせる。]
───わかった
[萎えるわけない、と言ったところで、
信じてもらえるか定かではない。
間違いなく、萎えることはない。
そんなこと、わかりきっている。
そうじゃなければ、欲情もしない。
けれど、続いたそれに、こくりと唾を飲む。]
───俺は、
雨宮に触れられるなら、
どんな形だってうれしいよ。
ただそれは、雨宮が望んでくれる形がいい。
…それは、わがままかな。
[そう、あくまで優しく、問いかけて。]
[ ずるい、と、駄々っ子のように責めても、
変わらず穏やかに細められる瞳。
焦れて焼けつくほどに、愛しい。
ライブできゃーきゃー言われていることにも
嫉妬してしまうほどに、とっくに堕ちて、
求めているのに。
本当にずるいのは、きっと自分のほう。 ]
[ わかった、と言う声と、ほんの少し緩んだ手の隙間。
身体を捩る。
右腕を動かして、己の左肩を掴んだ。
自身を抱いて、まるで肌を隠すように。
極力人目に晒さないようにして過ごしてきた。
傷も、心も。
そういや林間学校で風呂に入ったなと思い出すけれど、
今あの頃より彼はずっと近くて、
だからこそ、怖い。
]
[ 乙女かよ、頭の中で嘲る声に、
わがままかな、と優しく問いかける声が重なった。
目を見開いて小さく、首を振る。 ]
……目が、覚めたら、
大事なもんが、急になくなってんだ。
俺は、それが怖い、
お前もいつか、
居なくなるんじゃないか、って
求めて、萎えられたら、ってびびってる。
……ずるいのは、俺だな。
[ 俯いたまま、訥々と口を動かして紡ぐ本心。
応えるようにとん、とん、と背中に軽い振動。
あくまで優しい声は、形が見えるほど
凄艶でさえあった。 ]
─── 俺も、おんなじ。
けど、いまは、
[ すう、と息を吸い込んだ。
首元のシャツのボタンを、ひとつ、外して
ゆっくり、顔を上げる。 ]
[
だ、い、て、く、れ、
と、
唇だけを動かした。
笑ったつもりだったけど、
きっととても情けなく崩れた表情で。]**
[嫉妬の話がでれば、そんなものキリがない、と
いくつだって挙げることができる。
林間学校の時のキスだって───
ああもう、あれはなんか、あのあと
小っ恥ずかしいからやめよう。
彼の手が触れる、その左肩に、腕に、
残る傷をきちんと直視したことはない。
きっと、あまり見られたくないだろうと
勝手に思っていたし。
体育の授業の更衣室なんかでも、
目を逸らしていた。
ただ、今は、今からは───]
[腕の中の彼が、小さく首を横に振る。
続いていく言葉は、ただ黙って聞いて。
「ずるいのは俺だな」と一度締められたそれに、
開きかけた唇はなにも言葉にすることなく、
そのまま、背中をとんとんと叩いた。
ずるいのは、俺だよ。
だって、どうしたって聞きたい。
心の中では決まってるくせに。
どっちでもいいって言いながら、本当は
雨宮のこと、思いっきり抱いて、俺のものに
してしまいたいっておもってるくせに。
それを、隠して、それでもなお問いかけるのは、
彼が選んだと自覚して欲しいから。
逃げることの、できないように。
こんな欲を彼が知ったら引かれてしまうかも。
怖がられてしまうかもしれない。
だから、口には出さないで。
あくまで、優しいふりをしてる。
ほんとに、ずるい。]
[だまって、待っているのだ。
獲物が自らこの腕の中に入ってきてくれるのを。
いなくならないで?いなくなるわけない。
離すつもりなど毛頭ない。
促すように、あやすように、優しく叩く背中。
ゆっくりと開く唇の動きひとつ、見逃さぬよう。
取りこぼさないよう、見つめて。
晒される首筋に、こくりと唾を飲んだ。
まだだ、まだ、もうすこし。]
っ………
[示されたそれに、息をつめて、
思い切りその首筋に顔を埋めて、口付けて、
噛み付いてしまいたいのを抑える。
少しばかり不安を帯びたようなその視線に
返すのは、優しさを滲ませたそれのはずなのに
隠しきれていない獰猛さが、熱が、
瞳の奥から伝わってしまっただろう。
ぐ、と腰を寄せる。]
………好きだよ、雨宮
[そう告げて、掬い取るように口づけを。
優しく、遠慮がちに触れたそれ。
腰に回していた手を解いて、
まだ彼自身の身体を抱くその腕を取る。]
ここじゃなくて、俺に、縋ってよ
[そういって、彼の手を己の首に回させ]
ベッド、行っていい?
[と断りをいれて、できるならば、そのまま
抱えるように膝下に手を差し入れ、持ち上げよう。]
あ、思ったより重いかも、
[苦笑して、それでも決して落とさないように
ベッドの方へと向かって、皺一つないそこに
そっとその身体を下ろせばそのまま、
己も覆い被さる。
彼の視界が、全て満たされるように。
額をつけて覗き込み。]
……
[黙って見つめた後、ゆっくりと瞼を伏せ、
近づけていく。けして、閉じてしまわぬよう。
さっきの口づけをもう一度思い起こさせるように
優しく触れたあと、その下唇を食み、
柔く噛んで、引っ張って、離した。
じっと、見つめて。]
───優しくできるよう、努力するな
[そう告げて微笑めば、貪るような、口づけを。]*
| [ もし文字が彼のプレートに書いてあったなら 彼は死んでいたことだろう。 物理的ではなく、精神的に。 詳しく言えば、嬉しくて、悶えて、死ぬ。 だから、してくれていたなら喜ぶけれど してくれなくても安堵しかない。 彼女の次回作がどうなるのか、 ハラハラドキドキになるのが目に見えてきた。 ]
(14) 2021/06/21(Mon) 13:33:29 |
| ちょっと待っててね。 [ そう告げた彼は、冷蔵庫にいくついでに 食べ終わったお皿をシンクに持っていき、 冷蔵庫から炭酸水、あんず酒を取り出し さらに、グラスをふたつ持って 彼女が待っている場所に戻った。 軽めの一杯を作って乾杯をしたのち、 彼は先に洗い物をしにいくのだった。 ]
(15) 2021/06/21(Mon) 13:34:05 |
──────
ホント、美味しいな……
美鶴さんの顔を見ながら、
飲んでるからだろうね。
[ ふっと笑って、彼も少し彼女に近づき
体を密着させてみた。
ガリガリではなかったので、
程よくふんわりとしていたような気がする。
そんなときに、聞こえた彼女の告白。
流石に、不意打ちが過ぎたのか
彼も少しだけ顔を赤くした。 ]
なんや、美鶴さんから言ってもらえると…
心があったまる感じがあるわぁ……
[ そんなことを言って、
中身のないグラスをテーブルに置き、
彼は彼女の唇に軽く自分のそれを重ねた。
彼女の反応を見るために、
何度か、瞳を交わらせてはゆっくりと。
彼女が嫌がらなければ、
彼女のグラスをテーブルに置いて
もっと体を密着させようとした。 ]*
潤さんと一緒だからですね!
同じこと考えてたの嬉しいなあ……
[ 程よくアルコールが回って
酔っ払いというほどじゃないけど、
なんとなくいい気分で。
密着すれば温かい気持ちになる。 ]
……?潤さん顔赤い…
あ、もう酔っちゃったんですかー?
[ 嬉しそうにしてる潤さんを見てると
私まで嬉しくなって、
でも、顔が赤くなっている理由まで分からなくて
酔ったのかな?なんて。
呑気に聞いていると軽く唇が重ねられて
一瞬、潤さんと目が合う。
恥ずかしくてぎゅうっと目を閉じて
それを受け入れていた。
空になったグラスはいつの間にか
潤さんがテーブルに置いてくれた。 ]
[ くっつくのは好きだから
潤さんの意図が分かれば、彼の膝に乗って
抱きついた。重くないかな、
と一瞬心配したけれど、彼はどう思ったのかな。 ]
特等席、ですね……?
*
[ 幼な子をあやすような、とん、とん、と
優しい刺激が一定のリズムで背中に続く。
万が一、伸ばした手を拒絶された時の
恐怖にびびって、
心を守るための防御壁が欲しくて、
彼に選ばせようとした。
気持ちなんて、とっくに決まってて、
惚れてるって自覚したときから、
そうだよ、己はこんなにも臆病で。
]
[ だから、ほんとはぜんぶ、
実はお前の思惑通りで、
己が自分で選び取るように、
言い訳出来ないように、
後戻りする逃げ道を作らないように、
そう、仕向けたって言うなら。
その胸の内が、聞けたなら。
俺は、心の底から笑って、
礼を言うんだ。 ]
[ だいてくれ、と、
無音の声は、届いたみたいで
矢川が息を詰めたのがわかった。
おずおずと窺い見た己が捉えた彼の瞳は、
いつもと変わらない優しさを湛えているように
思えたけれど。 ]
─── ……、
[ 見逃すわけない。
そこにぎらりと一瞬、走った熱の塊を。
獲物を狩る、獣の如き鋭い眼光を。]
[ ぐ、と寄せられる腰。
聞こえるんじゃないかと思うほど激しく打つ鼓動。
頭と顔と、下腹部は焼けるみたいに熱くて、
手足の末端は冷たくて。
嗚呼、喰われる。
─── や、違う。
[ 好きだよ、と告げてくれる唇がまた、触れる。
掬い上げるように優しく遠慮がちな口付けに、
ほんの少し、笑んだ。 ]
[ 肩に爪を立てていた腕がゆるり解かれて、
導かれた先は彼の首。]
聞かなくていい、って……
[ 母親が整えてくれたベッドに、多少の罪悪感を
感じながら答えれば、ふわと浮く己の身体。]
ッ、う、おい、待っ───
[ 所謂お姫様抱っこ、で抱え上げられて焦って、
抵抗しようとしたけれど。
長い腕。
あたたかい胸。
一層強くなる彼の匂いに、くらりと脳が揺れた。]
……当たり前だよ、誰と比べてんの。
[ 思ったより重い、と苦笑する声に。
恥ずかしいやらいたたまれないやらで、
胸元に埋めた頭をぐりぐりと押し付けた。
広くもない部屋、長い足でほんの数歩。
なんの衝撃もなく、大切なものを扱うような手つきで
ベッドに下される。
覆い被さる彼の額が、己のそれと合わさって。
視界の全てが、矢川で埋まる。
逸らすこともできない。 ]
…… 、ん、ッう、───
[ 下唇が食まれて、歯が立てられて、
びく、と背中が僅かに跳ねた。 ]
[ 優しくする、と微笑みのあと、
貪るような口付けが降る。
いつも穏やかな彼の、どこにこんな情熱が
隠れていたのだろうかと思うほど、
熱くて、激しくて、堪らない。
息ができなくて、頭がくらくらする。
求められるまま、舌を絡めて、なぞって、
吸って、口内を愛でて。]
[ 自由が利く手を動かして、彼の髪から
耳、頬、首筋と、縋るように撫で下ろしていく。
数ミリの布でさえ焦ったくて邪魔で
脱がそうとするけれど、
片手だから上手くいくだろうか。
口内を弄る舌に嬲られて、
吐息混じりの声と、飲み込めない唾液を溢れさせながら
肩、背中、脇腹と熱っぽく触れて、
拒まれないなら、その下。
布地越しの熱に触れたくて手を伸ばす。 ]
[なんだって、聞きたくなってしまう。
いちいちの反応が愛おしくて。
もっと、自覚して欲しくて。
触れているのは俺で、これから、もっと深く、
互いを愛し合うってことを。
皺一つないベッドはきっと、彼の母が
カレーを置いていったと同時に洗濯して、
綺麗に整えたのだろうとわかっている。
それを、今から彼を抱いて、汚す。
背徳感と罪悪感があって
それでいて、どうしようもなく興奮した。]
───想像の中の雨宮かな?
[誰と、なんて憎まれ口に、当たり前のように
こたえれば、くすくす笑った。
生憎、こんな状況でのお姫様抱っこで、
比べる人などいないし、比べようもない。
優しくする、と言ったのに、結局こんなふうに
貪ってしまうのは、緩急をつけなければ
往なせないような気がしたから。]
[呼吸すらすべて飲み込むくらい、深く口付けたら
彼の手が髪に触れる。そのまま身体を滑り落ちて
行くのがくすぐったくて、心地よくて。
そのまま、ベルトのバックルへとかかるのが
わかる。触れられればぴく、と反応した。
薄く開いた瞼。まつ毛の隙間から覗けば、
ふ、と鼻から息を吐いて、わざと音を立てて
ぢゅ、と吸って離す。]
──脱がしてくれんの…?
[落とした声は、自分が思っていたよりずっと
湿って、熱っぽかった。
問いかけに、返ってくる言葉に、
こくりと喉を鳴らして唾を飲む。
ぐぐ、と猛りに血液が集まるのがわかる。
熱い。下腹部から痺れるみたいに、脳が揺れる。]
っ…煽んな、
[ふーっと吐いて、溢れてしまいそうになる欲を
なんとか止めて、額に触れるだけの口づけを。]
まじで、優しくできなくなるから。
…はじめてだからさ、優しくしたいんだって。
[な?と諭すように首を傾げて、
彼の手を潰してしまわぬよう、腰を上げたまま、
背を丸めてその首筋に唇を落とす。
ふう、と吐いた息がそこにかかれば、
ぺろりと舐めて、軽く噛む。
喉仏が上下するのが見えれば、そこも舐めて。]
[片手でシャツをはだけさせてしまおうと、
数個外れたボタンの続きを解いていく。
彼の手が雄に触れるたびに、硬さも、
衝動も増していく。
ぐ、とおもわずその手に擦るように腰を動かした。]
っ……ふ、
[眉根が寄る。だめだ、落ち着け。
すっかり晒された肌に、一度身体を起こせば、
見下ろして、息を吐く。
白くて綺麗な肌に、シャツの隙間から、
いまだ、生々しく残る傷跡が見える。]
………さわっていい?
[己の雄にかけられたままの彼の右手を
そっととって、合わせて絡め、
シーツに縫いとめて仕舞えば、
じっと見つめて。
許可が降りるならば、その肩にかかったままの
布をそっと、差し込んだ手のひらで
取っ払ってしまおう。
目の前にある、彼の過去。
それをじっと見つめて、彼が何か言う前に、
優しく、唇を落とした。]*
ばっ、───
[ ぎらついた欲を見せたかと思えば、
くすくす笑って聞いたこっちが
恥ずかしくなるようなことを言う。
何言ってんだ、と呻りながら、
完全に顔が赤に染まっていくのが止められない。
貧相な身体だと思われていたようなら
おあいにくさま、とでも嗤ってやりたいところ
だけれど、どうにも耳の端まで熱いので
さあ格好がつくかどうか。 ]
[ 昔からやることに追われるとどうしても
食事は疎かになるタチだし
痛みを抑える薬の量が増えれば食欲はなくなるし、
そもそも一人暮らしで料理はめんどくさい。
痩せたかと問われればきっとそうなのだ。
それでもどうにかちょっとでも身体を鍛えているのは
現実的にピアノを弾く体力は必要だから、
という理由ももちろんあるけれど。
隣に居る彼の、嫌味なほど整った、
むかつくそのスタイルに。
並べはしなくても見劣りしたくないという、
男のメンツとプライド。
ともあれそれを行っているのが
人気のジムではなくて病院のリハビリ室、
というのがいまいちしまらないところではある。]
[ そこに居ることを確かめるように、
身体の線を伝い撫で下ろした己の手が、
ベルトのバックルに触れた。
カチャ、と鳴る金属音に震えるほどの興奮を覚える。
ぢゅ、と淫らな水音とともに離れた唇から
落ちてきた矢川の声は熱を含んでしっとりと湿って、
ぞくぞくするほどえろいなと思った。 ]
……ん、脱がしてぇ、けど、
片手だと、焦ったい、な───
[ かくいう己も、自分の声とは思えないような
甘えた声が出てしまう。
なんつー声、と自分で照れた顔を隠すために
こくりと唾を飲み込んで動く彼の喉を、
噛み付くように唇で食んだ。
どうにかバックルを緩めることに成功したなら、
そっと触れた手の下。
増した質量が感じられて、に、と自然に
口角が上がってしまう。 ]
煽って、ねぇ……
[ 思いがけず焦ったような声と、
ふー、と大きく吐き出す息。
優しい、声。
欲を抑えこもうとしているのがわかる。
ああ、この顔、好きだな、と思って。
な、と傾げた首に、ふいと顔を背けた。 ]
優しく、されんのは、
……いろいろ、恥ずいんだよ、
察しろ……つかとりあえず電気……
[ のしかかることをしないで、空間を保ったままの
彼の気遣いが苦しいほど愛しい。
初心な乙女みたいなセリフを己が口にする日が
まさかくるとは、と内心呻きながら
電気を消してくれるよう頼んだけれど、
聞いてもらえただろうか。
……ダメな気はする、だって、
聴こえているはずなのに彼がすることといえば
首筋に唇をおとして、歯が立てたりするのだから。]
───ッ ンっ……
[ 今己がしたことを返されて、喉仏も舐められて、
下顎が震えた。
声が漏れる。 ]
[ 長い指が、シャツのボタンにかかる。
覚悟は決めているし、信じてもいるけれど、
体には力が入ってしまう。
緩んだベルトの隙間に手を差し入れて、
下着の上から猛りに触れた。
擦り付けるように腰が動く。
その動きに合わせるように、根元から
柔らかく握り先端に向かって擦り上げれば、
矢川の吐息が漏れて耳に届く。
脳が痺れる。
もっと、と思うのに。
身体を起こした彼が、右手を絡め取ってしまう。
熱に浮かされた顔で不服そうに見上げれば、
じっと見つめ返されて。 ]
……いい、けど。
マジで、萎えんなよ。
[ 強がる声が、やっぱりかすかに揺れた。
母親が、いそいそと洗濯して替えていった
白いシーツに、己の手が縫い止められて。
露になった、上半身。
あちこち残る傷は、格闘家じゃあるまいし
勲章などではなくただのコンプレックス。
多感な時期に卑屈さを会得するのに充分な。]
[ 現実を携えてたしかに残る。
なんだかんだで人生に
不思議なアクセントをつける深く古い傷。
左腕の肘の上から、手首の近くまで
ミミズのように走る手術痕、引き攣れる皮膚。
そこに、唇が落とされて、声が出る。]
……ッは、っ……
[ 視界がぼやけた。
じんわりと滲んでいた汗が滴になって
顳顬を流れて落ちる。
焦燥感で、背中が撓った。 ]*
一緒のこと考えてたとか…
なんや、ええなぁそういうの。
[ 一緒のこと、と言われると
どうしてもそこを復唱してしまった彼。
ほろよいの彼女とゼロ距離になれば
そっと腰に手を回してみた。
やっぱり、細くて、女性だなと思わさられる。 ]
ん、いや……酔ってへんよ。
……でも、美鶴さんに酔い始めたかも。
[ 顔が赤くなったことは分からなかったけれど
体温が上がって気がしたので、
彼女をみて、頭の中が彼女だけになっていった。
そして好き、という告白。
だからこその、この体温上昇。
唇が重なって、離れていく。
ただそれだけのことなのに、
彼女とするとこんなにも血の巡りが
早くなっていくのは、もっと距離を縮めたいから? ]
かわええなぁ……もっと、触るよ?
[ 見つめていると、彼女がもっと近づいて
膝に乗ってきたのだが、
片腕で彼女の背中を支え、
宣言をすると、もう片方の手が
彼女の服の中へと入っていく。
腹部を優しく撫でながら、
徐々に胸部へと向かう手の感触に
彼女の反応はどんなものだっただろうか。
そして、密接して鼻に伝わる香りは
彼女がシャワーを浴びた後の香り。
だから、くんくんと首筋で
もっと香りを嗅いでしまった。 ]
美鶴さんだけの、特等席……
いらっしゃい、おひいさん。*
[ 改めて復唱されると
恥ずかしいこと言っちゃったな、と
元々ほろ酔いで赤くなっていた顔が
さらに赤くなっていく。
腰に手を回されて
少し寄りかかるような姿勢に。
好きな人に包み込まれてるみたいで、
なんだか気分が良かった。 ]
えっ…!?
[ 私に、なんて言われて驚きを隠せない。
確かに潤さんはそんなにお酒に弱くないから
簡単に酔わないのかもしれないけれど……
触れた場所から伝わってくる体温が
いつもより高い気がした。
こんなに近くに、好きな人がいて
もう十分近いな、なんて目の前の人とは
違うことを考えていたとは気づかない。 ]
かわいくはっ…!
ひゃっ……じゅん、さん……?
くすぐった、い…!
[ 膝に乗ると背中を支えてもらえて
心地よさに目を細めていたのもつかの間、
潤さんの手が服の中へ入っていく。
優しく撫でられていてもくすぐったくて
でもどこかそれとは違うような気もして声が止まらない。
胸の方へと手が伸びているのがわかれば、 ]
っあ、だめ、だめっ…!
はずかし、いからぁっ!
[ ほとんど膨らんでいない胸が
コンプレックスで恥ずかしくて仕方ないから
必死で潤さんの手をつかんで止めようとしたけれど。
間に合わないならびくっと反応してしまうことになる。
首筋を嗅がれて、首に伝わる吐息とか
微かな刺激も拾ってしまって、
恥ずかしくて仕方ない。
それでも聞こえてくる彼の言葉に少し首をかしげた。 ]
おひい、さん……?
*
[ 彼女が言った言葉を復唱すると
彼女の頬の赤らみが更に濃くなったような。
それは、りんごよりも赤くて
アメリカンチェリーのように
濃いもののようにも見えた。
噛み付いて食べてしまいたくなったけれど
彼女には優しくしてあげたいので
そっと唇をあてるだけにした。 ]
くすぐったい?
ふは、ほんと可愛い……
[ 腹部の方から手を這わせていると
可愛い反応が見られてしまって、
彼の血の巡りが良くなっていく。
恥ずかしがっている彼女のことは
少しだけ無視して、
緩やかな膨らみを隠している下着に
指を入れ込めば、頂を優しく撫で。
まだ未発達のその場所は未知の領域だったかも。 ]
もー少し、声抑えよかぁ……
……俺の、お姫様?
[ おひいさんという言葉に首を傾げる
可愛い彼女に、東京の言葉で
改めて囁いてあげる。
もし彼女が声を我慢できないと
いうのであれば、
服を脱がせてしまう前に
この場所から彼女を連れて
街の中へと出ていかなければいけない。 ]
美鶴さん、これから…
もっと触るけど、我慢できる?
*
は、ふぅ…だ、って……
ふぁあああっ! な、に……?
[ 恥ずかしくて、止めようとしている私には
お構いなしに胸を触られて、
未知の感覚に思わず大きく声をあげてしまった。
くすぐったい、じゃない…ぞくっとするような
感覚に体を震わせて、ささやかな抗議を。 ]
じゅんさん、が……
さわる、からっ!
[ お姫様、と言われてようやく意味を理解した。
そんなんじゃない、とふるふる首を振って
否定して、でもそう言われるのが嬉しいのも確かで
状況も相まって何を考えてるのか
自分でもよくわからなくなっていく。
自分の思考さえわからなくなっているのに
潤さんの問いかけの意図がわかるはずもなく。
その意図は掴めないまま、正直に答えるのみ。 ]
もっと……?
む、むり、です……
*
だって、なんかあった?
[ 可愛い抵抗に撫でる指を止められない。
少しずつ、硬さを帯びてきているのだが
彼女の声の方は収まることを知らない。
耳元で囁いていたら
もっと小さな抗議があったことだろう。
それも可愛くて弄る手が止まらなくなる。 ]
触られるのあかんかぁ……
[ 彼女の弁明が聞こえ、無理、という言葉まで
耳に入れば彼は手を止めた。
うーんと考えて、彼女のことを見つめる。 ]
よし、美鶴さんお出かけしよ。
[ とはいってもおめかしなんて必要なくて
荷物を持ってタクシーを呼んで乗り込んだ。
そして目指すは多分彼女が言ったことのない
愛し合うための宿場街の近く。
別に彼も慣れているとかではないけれど
彼女が声を我慢しなくていいような
スペースが欲しかった。 ]
──────
さーて…すごいなぁ。
[ 今回入った部屋は、
ベッドにレースのカーテンがあった。
彼女を寝かせてしまえば、
誰にも見られることはないけれど
カーテンを広げて外界の視覚的情報を
減らしてしまおうとした。
押し倒して、緊張しているであろう彼女に
何度か唇を重ね、ほぐせたら良いのだけれど。 ]
好きだよ、美鶴さん。
*
[ 潤さんは胸を触る手を止めてはくれなくて
しかもどこか楽しそう。
私はさっきから恥ずかしい声をあげて
潤さんの顔をまともに見れないくらいなのに。
ようやく手が止まって、
乱れた息を整えてようとすれば見つめられて。 ]
……どこ、に?
[ 返答を貰えても貰えなくても
潤さんに連れられるままついていけば
おのずと答えはわかるわけで、
何度も目をしばたたかせて、戸惑いを隠せない。
だって、こんなところ来たことないから。 ]
――――――
潤さん、私……
[ 潤さんを見上げるような体勢になって
眉を下げて不安げに声をかける。
カーテンのせいでより二人しかいないと
強く実感してしまって、
胸の鼓動がはやくなっていくのが分かった。
唇が重なっても簡単に緊張はとけてくれない。 ]
私、こういうこと、初めて、で……
嫌じゃないけど、全然知らなくて
こんな私じゃ……。
[ 小さい声で、それでも目を合わせることも
できなくて、顔を背けて。
相手が私が未経験だと察しているかもなんて
思いもせず、面倒だとか思われないかな、って
無知から来る不安も含めて彼にこぼせば、
きゅっと自分の手を握りしめた。 ]*
[ 彼女が彼の方を見てくれなくても
そんなに嫌でもなくて、寧ろ初々しさに
胸がときめきを覚えていた。
それは、多分彼が手慣れた女性たちと
付き合っていたせいかもしれないけれど
がめつい人よりも、こうやって
素直に反応してくれる人が愛くるしく
思えてしまったのである。 ]
俺のこと、もっと知ってもらう場所?
[ なんて言って、タクシーの中で
彼女と手を握り指を絡めていた。
これから、結婚まで視野に入れている人だから
彼としてももっと全部を知って欲しくて。
だから、到着して戸惑いを隠せない彼女が
ひどく可愛いなと思ってしまった。
大丈夫、と彼女に声をかけて
部屋まで行けば彼女は少しでも驚いてくれたか。 ]
──────
ん?………
[ 唇が離れてから聞こえる彼女の本音。
黙って聞いていたけれど、
死ぬほど可愛いなと襲いそうになった。
よく抑えた理性。
よく耐えたなお前、と褒めなければ。
彼は口元を押さえて、
うんうん、とニヤつきを隠すように
軽く頷きを見せた。 ]
かわええおひいさん。
初めてなら朝が来る前に、
ぐっすり眠れるように
沢山可愛がってあげる。
……だから、俺のことを見て?
[ よしよし、と口元を押さえていた手で
彼女の髪を撫でれば、了承を待ち
初めてならば下手なことをするまいと
服を脱ぐことをうながしてみようか。 ]*
[ タクシーの中で指を絡めるように
手を握ってもらって
温かさに少しだけ落ち着いた気がして。
部屋につけば、レースのカーテンがついた
ベッドが目に入ってきて、
目を丸くして、言葉を失っていたと思う。 ]
―――――
[ 潤さんは黙って聞いてくれた。
私はずっと横を向いて彼の方を見れずにいたから
どんな表情だったのかは知る由もないけれど。
髪を撫でられて、潤さんの方を見ても
やっぱり恥ずかしくて視線はどこか定まらない。 ]
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