人狼物語 三日月国


45 【R18】雲を泳ぐラッコ

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[……ただ、互いの想いが
 真にひとつだと言うならば

 もっと自然に笑ってくれても、いいと思う。

 どこか表情は硬く、違和感がある。
 訊ねるべきだろうか。]
 

 
[しかし、時差ボケと
 負傷による体力の磨耗で
 色々と限界だった。

 彼のこと
 僕を傷つけるだけの存在ではないと
 認識したから、気が抜けたのもあり]



   ……、……うん、……ずっと、だよ……



[重たくなった目蓋を必死に持ち上げながら
 釘を刺すことで、今は精一杯だった。
 言質はとった。
 やっぱりずっとはダメなんて、言わせない――…]
 

 
[知っている。
 貴方の家、綺麗な子、たっくさんいるんだ。

 余所見は、出来たらしないで欲しいよ。

 だから、貴方の家じゃなくて
 僕の家に来て欲しい……こととか

 貴方のこと
 貴方がどんな風に生きてきたのか
 知りたい……ってこととか

 話したいこと、山程あるんだけれど]
 

 


   ……、ごめん、……眠くて……
    ちょっとだけ、……眠らせて……



[断りを入れてから目を閉じようとする。

 許可が得られたなら間もなく、
 ……得られなければ少し抗った末に、
 金の睫毛に縁取られた目蓋が
 蒼い瞳を隠してしまう。

 無防備な姿を晒して、
 小さな寝息を立て始めるだろう。]
 

 
[起きたら醒める夢ではないことを祈って。**]
 

【人】 二年生 小林 友

[気がついた時には暮れなずむ図書館に
 一人っきりで机に突っ伏していた。

 暖かな影は、もう何処にもなくて
 冷たい秋の風がふんわり、頬を撫でていく。
 幸せな夢から醒めたら、
 色褪せた現実が横たわっている。

 ……今ならマッチ売りの少女の気持ちが分かる。
 何度も何度も、マッチを擦っては
 同じ夢を見たがるの。

 残された本と、ボロボロの便箋。
 便箋には、菜月からのメッセージが
 しっかり残されていた。]*
(27) 2020/10/04(Sun) 18:25:07


[だから、何度でも俺は菜月に逢いに行く。]

 

[「大事にね。」の文字が掠れた。
 黒や赤より使わないから、と選んだ青いインクが
 もうすぐ無くなりそうになっている。

 別に違う色のインクを使っても
 菜月は何も言わないだろうけれど
 ─────何となく。]

【人】 二年生 小林 友



  「……ともちゃん、変わったね」


[ある日、図書館に行こうとした俺に
 青柳はそう言った。
 振り向くと、青柳はその端正な顔をそっと
 あらぬ方向へ向けて、笑う。]


  「なんか、彼女出来たのかなって。
   ……それは喜ばしいことだけど
   ともちゃん、なんか消えそうで、怖い」


[それぞれが部活や委員会に向かおうとする
 騒がしい教室内に、消え入りそうな声を出す。
 俺は青柳のそんな顔、初めて見た。
 もっと明るく何も考えない奴だと思ってた。
 “陽キャ”ってそんな生き物だって。

 俺はそんな青柳にそっと笑いかけて
 肩を叩いて、言った。]
(28) 2020/10/04(Sun) 18:36:15

【人】 二年生 小林 友



  ……なんだよ、それ。
  別な世界に飛んでいきそうって?
  そんな方法、どこにも無いよ。


[何処にもない。
 影に触れて、体温を分かつ方法も。
 俺は知らない。

 そう笑うと、俺は踵を返して
 図書館へと向かうだろう。
 大好きなあの子に逢いに行くために。]*
(29) 2020/10/04(Sun) 18:39:17

【人】 志隈

[此方は比較的に夢を見るのは少ない方だ。>>17
見たとしても忘れている、がより正しいだろうか。
見解を聞いても理解が及ばない顔をした。
自分は同一ではあるが、アジダルには異変があるらしい。]

あの口の悪いのは、やっぱりあんただったのか。
記憶も年齢に合わせて変化した?

[腰を叩く姿に何をしているのかと見て、
ガンホルダーを見て現実ではなさそうだと再確認。
不思議と此方は何かを作り出せる気はしなかったが。

アジダルの頭で作られたかどうかの否定要素は満たない。
自己認識は普段の自分でしかないと言うだけで、
言ってみてよと問われれば眉を顰め。
知らないことは沢山あるだろうが、
昔話をする程の時間もなく。]

さっき、寝た時、
物音がすぐにすれば起きるくらいには警戒して目を閉じた。
だから、あの部屋からは出てないだろうと考える。
…“練習”にならなかったな。

[自己申告の是非を図る手段があるとは思えなかったが、
状況の補足ついでに言う。

理由は寝る前に言った通りだから、
警戒して寝ていたと気付いたなら、
知らない事にはならなかったか。]
(30) 2020/10/04(Sun) 19:47:38

【人】 志隈

[薄暗闇に歩くのも慣れていて足取りは確りとしている。
迷っても逸れても目が覚めれば元通りだろうと、疑ってもなく。
そんな話をしながら、暫くは探索。
近づいた扉は閉まっていた。]

情が深い方に見えるし、大事なものであれば、
あんたは躊躇なく、助けたんじゃないか。

[まるでそうならなかった様な物言いには疑問を持ったが、
誰かが不特定多数であり、続く言葉には数瞬考え込み。]

目の前で倒れていれば手を差し伸べたいと思う人もいるだろうな。
戦争は自分の国を守る為に、他国と戦うし、
俺は正義のヒーローに憧れた事が無いから、
在り方はわからないが、
…あんたに助けられてる人間も多そうだ。

[今、正義の味方になりたいようには見えてなかったが、
そんなに外れた事もしてなさそうだとは言っておく。
全部を救う事は土台無理な話だ。
傷付ける事がいけない事だとは言わない。
幼き頃、異国を受け入れられなかった親戚達に
怒りを覚えた事は一度もない。


声に応ずる様に薄く開く扉に視線を向け。
背中から止める言葉が無いのなら踏み入れた。]
(31) 2020/10/04(Sun) 19:47:46

【人】 志隈

[踏み入れれば明るい路地裏に行き渡る。
少し先に人の姿が見える。
髪の色も同じだし男もアジダルなのだろうかと、
後ろに気配が無いのを確認して、
青い青年より更に若くなったか年を取ったか、
確かめようと男へと近づく。

先程地面を染めたのは乾ききってない鮮血に見えた。
今はこびりついているだけで、まだ平和に見える。


一歩、二歩、近付いていくと、男が振り返る。
1度目と照らし合わせれば面影のある顔だ。
目が合えば、何かを止められて、手を引かれた。>>22
口を開こうとすれば、指を立てる仕草。

大人しく沈黙する事にしたのは、
見たことのない様な顔をしていたから。
高揚を讃えた笑みは、先程の表情より余程普段から遠く。

高そうなスーツを着るのは昔からなのか、と服を見て、
点々と並べられた物を見て。

明るい青年の待つものを、此方も待ち。]
(32) 2020/10/04(Sun) 19:47:54

【人】 志隈

 
……可愛い?

[吐き出した声は思うより低い。
地面に落ちてる物を拾わなければ生きていけない事、
施しを有り難く思う小さな子供は理解出来たが、
可愛いと称した男は無性に気味悪く思えた。

警戒して持っていくのは奪われる事や、
盗んだと疑われて叩かれるのを恐れるからだろうか。

子供が笑っている方がいいのも
食物を施す事も間違ってはいない、
悪気もないのだろう。]

あの様子だと家もろくな所じゃないだろうな。
そのお高い時計を売って、養ってやったらどうだ?

[腕を指差して、提案をする。
何度かあの子供に渡してるのなら、
あの子供だけ特別なのだろうか。
他にも与えてるからそんな事出来ないって回答でもいい。

ただ、ほんの少し意地の悪い質問をしたくなった。]*
(33) 2020/10/04(Sun) 19:48:02
志隈は、メモを貼った。
(a10) 2020/10/04(Sun) 19:51:41

[がたがた揺れる馬車の中でがたがた震えながら、
リフルが探してくれてると疑いもしなかった。
見つけてくれるかはわからないし、
間に合うかもわからないけど、私の希望は彼だった。

屋敷に救援を出してくれる。
そしたらお父様がどうにかしてくれる。
馬車から落ちて奴らと離れられたんだから、
見つからないように池に隠れていればいい。

寒さで震えた頭はマトモなことを吐き出さない
]

[池の底は苔に覆われていて
立とうとしたら頭まで水に沈んだ。
片方しかない靴よりも、裸足の方が石の凹凸を掴めるか、と
水の底に靴を捨てた。

素足で触れる苔はぬるぬる滑って安定させてくれない。
水面をばしゃばしゃさせてなんとか岩影の水から抜け出せば、
「お嬢様」と聞き慣れた呼び名を叫ばれた]


 リフルっ !

[そっちを向いた私の目に映ったのは、知らない男の顔だった。
すごい速度で嫌悪感が肌を伝わっていく。
顔なんて見ていなかったけど分かってしまった。
私を捕らえたのと同じむっちりした手。
すぐ後ろで感じた、私を包んでしまう体格。
怒りと好色で目をギラつかせて、にたにた笑う髭の顔。
首に当てられたざらついた皮膚が、あの髭だったに違いない。
嫌悪があふれて喉が開かない。叫ぶこともできなくなってしまう。
その場にへたりこんでしまって、
なにがなんだか分からない涙が、濡れている頬に混じっていった。]

[私が後ろに向かって叫んだことで男は振り返る。
なにをされそうになったか思い出した体が逃げ出そうとするが、
男の目線の先に居るのは彼なんだ。
ようやく距離が詰まってなびく髪が見えて、
彼は何かをこっちに投げる。
男の頭に吸い込まれるように当たったのは……くつ?

音で聞くよりダメージがあったらしい男が怯んでいる間に、
私の目の前に頼もしい背中が現れた。]

[リフルだ。  来てくれたんだ。
もうそれだけで安心して泣いているのに、
事態は収まってはくれない。
彼に向かって横に薙がれる拳に悲鳴をあげてしまう。
リフルはしゃがんでかわしながらジャケットを掛けてくれて
隠れてて、ってどこかからナイフを取り出して構えた。]

[こわい。 こわい、こわい。
リフルが傷つくのが怖い、なにもできないのが怖い、
泣いたって後悔が消えないのが怖い。
ジャケットごと自分を落ち着けるように抱いて、
リフル!って叫んだのは彼の左腕に凶刃が食い込んだシーンだった

恵まれた体格から繰り出された奴の刃物は、
常人より遙かに丈夫なリフルの腕にぶつかって止まる。
奴と私の間にリフルがいたおかげで、私の視界からは奴の後ろが見えている。]


リフル…… リフルっ、 二人来てるっ!

[ひょろ長いのと小さいの、そしてリフルと組み合って離れた太いの。
馬車に乗れるのはこれだけだろう、とは思ったが、
ここは公共の場ではない。
この街で公共の場に麦は植えていない。
ここは誰かの庭で、呼ばないと助けは訪れないんだ。

三人に増えた奴らに圧倒されてしまいそうになる。
なのにリフルは私を庇ってくれる。
震えて縮こまっている私に、場違いに優しい声をかけてくれる]


 なんで、今いうの……
 どうしていつも、私の思い出になっちゃうの……


[泣いているだけではなにも役に立てない。
ジャケットを握った手を無理矢理開き、
転がっている片方の靴を掴んだ。
リフルの低い声が聞こえる
目の前で殺意を見たのは初めてだ。
こんな命のやりとりがあるなんて、知ってはいたけど解っていなかった。]

[ごめんね、リフル。
いやな役目させてるね。
でも離れたいと思えないの。
ごめんね。]

[三人の間を風になってリフルが走り抜ける
細いのは腿を、長いのは喉を、太いのは腹を。
鬼神のようになったリフルの前にあったのは三つの人だったものだけだった。
細いのは虫の息、太いのは叫び声も枯れてきた。
長いのはリフルに太刀を食らわせたところからぴくりとも動かない。
どれも残り短い命だろう。増援を考えなければいけない今、かまっている時間はない。]


[私は「衛兵を呼んで!」って腹から声を出して、持っていた靴をできるだけ遠くに投げた。
それから赤にまみれたリフルと向き合った。]

 りふる……
 ごめんね、ごめん……

[泣きはらしてうまくしゃべれない。
芝生の上に倒れていた彼と、麦の上に崩れた彼が重なって、
焦りと後悔が積み重なっていく。
隣に座って血を浴びた腕を指先で拭っていく。
そのうちに傷口に気づけば、そこから沸く血に涙を流した。

今日お酒飲みたいって言わなければこうならなかったかな。
胸元にあったリボンをほどいて、彼の右腕にまきつけるけれど、止血の役に立つのかは頼りなさすぎる。]


 痛いよね、ごめんね……

[麦畑の向こうで悲鳴が上がる。誰かが事態に気がついたらしい。
奴らの増援では出さない悲鳴に、山場を越えたことを感じて、また泣けてきた。]


[人混みをなだめながら寄ってきた衛兵の中には
シャーリエを見たことのある者もいるだろう。
結わいたお下げをほどき、ひとまとまりの長い髪にすれば、
シャーリエに近づけるだろうか。]

 さらわれそうになったところを彼が助けてくれました。
 輩の身元の確認と馬車の確保を。
 ……いえ、
彼の救護を!はやく!



[事件の大きさに驚いた衛兵が馬車ごと詰め所に連れて行ってくれて、衛生班に驚かれる。二人とも、処置の後に屋敷に戻された。
あまりに泣いたせいか、お小言は後回しに捜査がはじまったらしい。]

[そして今。
私は貴方と逢ったときと同じ部屋で
貴方と逢ったときと同じように、
寝かされた貴方を見ている。

濡れ鼠のまま看病するのは止められたので、
簡単なドレス姿に戻ってしまった。

前にリフルを見ていたときよりもずっと怖い。
リフルと過ごした時間がぜんぶ無くなってしまうようで、怖い。

ごめんね、と時々口にしてはリフルを見て、頬にふれる。
暖かいのを確認して、生きているって感じて、イスに戻る。

医療的なことは全て終わっているから、
看病とはいえないのだろうけど。
イスでうつらうつらしても、リフルが目を覚ますまで離れないつもりで部屋にこもっている*]

──鈍色の球体3──

[“故郷に帰った方がいいだろう。”
憔悴した女に施されたのはチケット1枚。 
厄介者であり、当人の希望もあって、チケットがもう1枚。

元より貧困が進み、
10年以上経てば小競り合いで地域の変動、
そこは女にとって知らない一面を見せていた。

怒鳴られ蔑まれる事が無くなったのは救いだが、
病弱な女が一人生きていくには過酷な環境。

付いてきた子供は、
食べ物を探し求めて一日中歩き回ったり、
少しずつ動作で言葉の代わりが出来れば、
彼女に力を貸して貰えるようにと周りを手伝い。
夜は泣き続ける女を見守り、寝てる時には撫で触れ。

簡単な言葉がわかるようになった頃、
女が『あの国の事を忘れたい』と嘆いてるのを初めて知った。

より細くなっていく身体、
泣き濡れた頬、何時限界を迎えてもおかしくない細い糸。
平和な国よりもっと大きく丸い月を見た時に気付いた自分の能力。]

[辛い事は忘れてしまえばいい。
向こうで暮らした事、嫁いだ事、
出会った事さえ苦しみでしかないのなら、
見なくていい。

あなたの望んだ事、唯一叶えられる事。]


──だから……笑って…ください、お母さん



[彼女をそう呼ぶのは、この夜が最後だと決めて。
十六夜かけて祈り続ける。]

[月の晩が終わり、朝日が昇る。

酷い頭の痛みに少年は固い床に頭を押し付け。
代わりに顔色がよく見えるあの人が目を覚ます。]

『…あら、あなたはだれ?』

[自分を映す目から翳りが消えていた。
成功を知るが、その先を考えておらず、
問いかけに咄嗟に口をついたのは名前。]

シグマ。…シグマだ。

[彼女は向こうの国の言語に不慣れだった。
夫が最初に名乗った苗字を、婚姻しても愛しげに呼んでいた。
──忘れて欲しくなかったのは、家でも自分でもなく、
彼女が男を愛した証。

弱い子供の顔をしたら思い出してしまうかもと、
言葉を変えて素っ気のない色を出す。
一番最初だけはこの名を示す相手の模倣。

貴女は具合の悪い所を助けてくれた恩人だと、
日常生活の協力を申し出ながら、
少年は青年へと変わっていき、離れていった。]*

【人】 Marguerite シャーリエ

―― 船をこぐ ――

 お姉さま お怪我ですか?

[花壇の前に立ったお姉さまが右腕を押さえている。
バラの手入れでトゲに割かれたのだろうか。
血の色はバラよりも赤く痛々しい。]


 <いたいのいたいの とんでいけ>

[昔お姉さまがしてくれたように、
傷に手をかざして撫でて、空に放つ。
子供じゃないんだからって笑われてもやめない。]

 いたいと悲しくなるでしょう。
 お茶も美味しくないもの。

 <いたいのいたいの とんでいけ>
 <かなしいのかなしいの とんでいけ>

[とんでけって見上げた空は作り物めいた真っ青な空。
とばした痛みや悲しみは空に浮かんで雲になる。
雲を見つけたラッコが寄ってきて、
気持ちよさそうに泳いでから、雲を両手に抱えて齧っていた*]
(34) 2020/10/04(Sun) 22:42:47
[ごめんねを山ほど聞かせて落ち着いてからも、
ベッドに寝かされている彼に話しかけている。]

 リフルに勲章を贈ることになったんですよ。
 騎士さま。

[名誉称号なので騎士になれというものではないし、
領主から贈られる感謝状のようなもの。]

 この国はあなたに感謝します。
 いつでも歓迎しますよ、
 私の騎士さま

 ……起きてよ
 

[止血が終わって
リボンの代わりに包帯が巻かれた腕に顔を近づけた。]

 <いたいのいたいの とんでいけ>

[傷に触れないよう、
あのとき指先で無事を確認した側面に口づける。
窓の外に向かってふうって息を送り出す]

 <いたいのいたいの とんでいけ>
 <かなしいのかなしいの とんでいけ>

[唇に血が付くことはなかったけれど、
包帯に吸われた鉄錆のようなにおいが口に満ちた。]


 おきてよ リフル

[ぽふんとベッドのすみっこに頭を乗せる]

 




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