人狼物語 三日月国


209 賢い狼さんと生意気な子猫の小旅行

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[アルが首を傾ければ、覗き込まれるような形になって。
 俯いて伏せた表情が見えてしまう。

 問いかけるような視線に、
 薄く唇を開いて。息を呑んで。] 


  …………、 どんな風に?


[湯気でしっとりと湿った唇を動かして、
 零れた吐息は、温泉に安堵したものとは違う色が乗っていた。**]  

[口で答えるよりも態度で伝えるが早い。
言葉で嘘を吐いたり、誤魔化したりが多い人狼だが
こと行動に関しては素直であるばかりだったから。]


 ……、
 そうだな。こんな風に?


[湿った唇に唇を重ねて触れる。
それは重ねるだけで、深いものではない。
だが、がめつくような噛み付くキスではない
それの意味合いは彼ならば十分知っている事だろう。]**

[小さな波がまた、起こる。
 近づいた距離が彼が動くことで更に近づいて、
 目の前に影ができる。

 湯に濡らされた唇に同じ柔らかさが、ふに、と触れて。]


  
……ン、



[目を眇め、小さく吐息のような音が零れる。
 ただ触れるだけの優しいキス。離れていけば視線が追いかける。]



  
……優しいだけ?



[唇が触れる距離を保ったまま、小さく呟く。
 暗に、物足りない、と訴えるように。
 こちらからも、ちゅ、と音を立ててキスを送る。*]   

[唇に触れる濡れた感覚の次は、音を立てながら。
触るだけ、優しくするだけである筈がないよねと
問いかけてくる言葉には彼の望みが十分込められていた。]


 …ははっ、まさか


[そんな訳があるまい。否定を意味する言葉を返し、
唇を覆う口付けを被せてみせた。
片腕はツァカリの真隣に、もう一方は頭後頭部に、
そうやって向かい合う形で重ねるキスの体勢は此方が
若干疲れるところだったが、水の中にいる分容易い。]

 ん、…っ……
 

[離さないように、たっぷりと食いついて。
取り溢さないように、しっかりと密着して。
引き寄せるかのように、腕に力がこもる。]


 ……は、っ…
 何処で焦らされたい?


[暫く甘い唇を奪い、息が我慢できなくなった頃合いで
赤く熟れた舌を奪い、耐え切れない表情が見えたなら
思考もまた奪い攫えただろうかと眼を覗き込んだ。]


 温泉の中で向き合ってもいいし、
 縁に寄りかかってバックでもいい

 …それとも、

[彼の横についていた腕がツァカリの竿に手が伸びて。
するりと、裏側から擦り上げた。]

 シて欲しいコト、ある?

**

[触れ合わせるだけ、でも、良かった。
 共に楽しみにしていたことも、旅行に恋人以上の意味を
 含んでいたことも知れたから心は満たされてはいた。

 だけど、触れた柔らかな唇を。
 交わした視線の奥に仄かに灯った熱を見つけたなら。
 名残惜しいと思ってしまうのは事実。

 まさか、と笑い飛ばし再び覆われる唇は食らうように。
 逃すまいというように片手が後頭部に添えられて。]


  ……っ、ン、……


[首を逸らして、唇を受け入れていく。
 重ね合うように押し付けて、数度。
 圧力に唇が平たくなって、は、と酸素を求めれば。
 舌先を招き入れるみたいに、唇の合間に隙間ができる。]

[焦らされるのが好きじゃないことは知っている癖に。
 意地の悪いことを言うから、迎え入れた舌を甘く食んで、
 不満を訴えるようにしたら、逆に舌を吸い上げられて。]


  ……ぁッ、……


[じゅる、と音を立てて唾液を吸われ、ぞくと身体が震える。
 少し、隙間を作るみたいに唇が離れていけば、
 探るような瞳に覗かれて、投げかけられる問いが思考を巡る。

 互いの顔を見つめ合って、抱き合うのも。
 激しく後ろから突かれるのも、どちらも想像して。
 期待に、ほぅ、と甘く溜息を零しながら。]


 ああ、安心して
 ツァカリがどんなに淫らに声出しても
 ここまで来る人は居ないからな

[時間によっては人は来るかもしれないし、
此処は野外に程近い空間である。
温泉という空間で音が反響しやすい事もあり、
分かっていても、聞かれてしまうかもしれないねと
暗に囁いてみせた事だろう。]**

 
  ……ん、


[確認するような声にとろりと蕩けた表情を晒して、
 浅く頷きを返して、好き、を伝える。

 いつもなら照れを隠してはぐらかす言葉も、今は出ない。
 耳朶に吹き込まれる声に、ぞくぞくと肌が粟立っていく。]


  っ、ぁ……


[たったそれだけでスイッチが入ったみたいに。
 ひく、と喉が渇いたみたいに小さく音が鳴って。
 髪を撫ぜる手に甘え、耳朶を淡く挟まれて震えが走る。]

[弱い耳の箇所を、わざと音を立てるようにしながら
 可愛がられて、小さく首を竦めて逃げるように。
 「気持ちいい」を覚え込まされて、新たに開いた場所を
 念入りに身体の力を解くみたいに舐め上げられて。

 力の抜けた身体を引き寄せられ、
 彼の膝の上に跨るようにして座り込む頃には少し息が上がっていた。

 慣らさないままでも、感じ入ることはできる。
 けれど、甘い雰囲気を纏った今では、
 強がる素振りも見せずに、俯く視線に艶が残る。]

[腰を抱かれれば、柔らかな熱が重なって。
 仄かに反応を見せ始めた昂りが擦れ合う。]


  ぁッ、……ぅンッ……


[刀身同士が触れれば、キュンと触れられてもいない
 奥が疼くいてしまって、どうしようもないけれど。
 汗と湿気に濡れた睫毛を震わせて、
 自らもそっと手を伸ばして、体を抱き寄せるようにして。]

[人は来ない、はず。多分。
 それでも、竹林や覗き防止の高い柵の向こうは外になっているから声は響くだろう。
 既に、零れ始めた喘ぎに、ぶる、とまた身体が震えた。]


  ……声、は……抑える、から。


[というものの、どれだけ期待できるものか。
 快楽に弱い身体なのは既に知られている。
 溺れさせられてしまえば、きっとそんな余裕もなくなるけれど。*]

[気持ち良さそうに鳴く声には艶があった。
作った色仕掛けの高い声ではなくて、
身体の感覚が捉えた声の漏れる音だった。

普段ならやめて欲しいと割と早めに逃げられる事が多いが
今日は場所やお互いの気持ちもあって感じるのが
いつもよりも早い──いや、いつもより意識が向いたようだ。
敏感になった身体はどこもかしくも性感帯になったのか
耳を舐める動きに合わせて声が上擦っていた。

彼の腰を中心に震える動きは、きっと彼の無意識だろう。
膝の上に座った彼は口元から蕩ける息を零して、
僅かに触れた刺激にすら声が耐えられていなかった。]

 
 ん。
 …ほんとに抑えられる?


[反論を貰う前に自分の竿の先端ごとツァカリの熱の先端に
己の手のひらを添えてみせる。
手の甲で押し回すようにしてぐるりと刺激を加えれば、
ジクジクと奥から腰の浮きそうな感覚を抱くも、
何処か刺激は緩く、優しく、何処か物足りなさげだろう。]


 ……ン、っ…
 それとも、口、塞いじゃう?


[自慰や相手に触って貰うのと少し何処か違う感覚だからか
自分の手だけだと一緒に擦り上げるのが難しい。

だから、耳元で「ツァカリも」って伝えて
此方側も「刺激を頂戴」とねだってみせただろう。
…普段なら口に食まわせたり、無理矢理納めさせる事が
多いだろう狼にしては珍しく誘っていた。]**

[気持ちが高ぶれば、身体が敏感になるのは自然の摂理。
 直接的なおねだりに機嫌良く応える声が、
 低く、鼓膜を震わせるように囁いて。
 身体の奥を突かれる想像をして、んっ、と思わず腰を逸らし、
 たっぷりと長い溜息を零した。

 背を撫でる手すらぞわぞわと肌を粟立たせていく。
 微かな期待を膨らませながら、やわやわと刀身に
 触れていた手が今度は明確に刺激を与えるように包み込む。]


  ……は、ぁッ、……ぁんッ……、


[ぴく、と身を捩って掌がイイ部分に当たるように身じろぎ、
 抑えられるかという声には、弱く首を振って。
 たった、これだけの刺激で吐息に音が交じる。]

[室内ではないが、思った以上に声が通るのが羞恥を煽る。
 対面座位のように向き合いながら、アルの身体を引き寄せ、
 ぎゅうと縋るように引き寄せれば、コツ、と額が触れ合う。

 口を、塞いでくれるのならその方が安心する。
 何より、声を塞ぐことをキスをする理由にもなるから。]


  ……ぅ、ンッ、……塞いで……ッ、



[至近距離で伏した目が、彼の瞳を覗く。
 ちろ、と舌先を伸ばして彼の唇の表面を投げ上げて。
 そのまま舌先を攫ってほしくて、隙間が開くのを待つ。]

[キスを受け入れられたなら、首を傾けて深くをねだり。
 口腔で互いに舌を絡めあって、音を飲み込んでもらって。
 代わりに、くちゅ、と唾液の絡み合う音が耳殻を刺激した。]


  ……ンッ、 ぁッ、……
、……ンぅッ


[口内に吹き込むようにくぐもった声が漏れる。
 彼の手が重なり合う二本の竿を刺激すれば、ぬる、と
 掌にお湯とは違う粘膜の感触が伝わるだろう。

 囁かれた声を、聞いていなかった訳じゃない。
 自らも竿を掌に擦り付けるように腰を揺らめかせ、
 片手を湯の中に沈め、彼の手の上から竿に触れる。
 
 足りない箇所を覆うように包み込んで、
 音のしない湯の中で蠢く分、波がぱしゃぱしゃと揺蕩う。]

[気持ち良い。気持ちがいい。
与えられる刺激に善がる様には期待の様子が見て取れて、
身じろぐ動きは身体をひとつに重ねた時に見せる
快感を露わにしていた。

腰を揺らしながら腿に後孔を擦り付く動きは、
きっと刺激が足りなくて、それでいて本当は
中も欲しくて欲しくて堪らないのだろうか。]


 …、…っん………ンぅ…


[吐息には熱が交じる。低く声が溢れる。
快感の訴えが止まらない口を塞いで欲しいと願う声と
差し出される舌には欲情しか感じられない。
撫で上げる舌を得る為に口を開けば、熱が内側へと
潜り込んできて、息も視線も感覚も全部奪われる。]

[唇の合間から幾度も濡れた声と吐息が零れ落ちていく。
 跨った膝の上で、焦れったいかのように腰を揺らして、
 温泉の中でどうしても鈍くなってしまう感覚がもどかしい。

 一度伏せた瞼を薄目を開くようにして、
 隙間から瞳を交わらせれば、細くした瞳が切なげに訴える。]


  ……ふ、……ぁ、ンッ、……ッ、


[酸素を求めるように隙間を作り、艶めかしい声をあげれば。
 引き寄せられた身体が一層近づいて、隙間が無くなる。
 先走りがぬめり、刺激に勃ち上がったものが、
 互いの腹の間に押し潰されて擦れ合い、快楽を誘う。]

[前を重なり合った手と腹筋で愛撫されて、
 はふ、と堪らずに熱い息を吐き出したかと思えば。]


 ……んぁッ、
……ぁ、ぁッ、……、



[身体を乗せた腿が振動を伝えるみたいに上下に揺れて、
 ひくつく後孔を柔らかく刺激して堪らずに身悶えた。

 気持ちいい。でも、物足りない。]


  
…ぁ、 ……そこッ、 ……イイッ……



[もっととねだるみたいに前後に腰を揺らして蕾を擦る。
 ふる、と小さく身体が震え、淡い絶頂への前兆が現れて。]

[声も息も腰付きも、何もかもがもどかしそうに
ゆらりゆらりと揺れていた。
何処か苦しそうに、何処か物足りなさそうに、
だからこそもっと欲しい、刺激が欲しいと望んでいる
その姿は切なさを兼ね備えながらも欲情的である。]


 …は、っ…ン……ッ、


[本当に気持ち良いのだろう。
艶のある声を漏らす身体は桃色に色付き、
深い青の瞳はとろりとブルーベリージャムの様な
甘い印象を与えていた。]

[そんな顔をする彼の身じろぐ動きに視線も腰付きも
感情も心も何もかもが夢中になるのは当然。
この甘く官能的な身体を貫いて隅々まで手に入れたい。

熱を感じたい。
中まで手に入れたい。
誰も手に入れられない所まで欲しい。

熱を感じさせたい。
中まで触れていたい。
誰かが手を出せない所まで欲しい。

だから、ツァカリが内側を迎え入れたそうに
快感を求めている姿を見るだけで脳が焼けていく。]


 ンッ…、っ…
 …は、……つあ…かり、…


[中に収めてしまいたくて仕方がない。
そう思わされ、舌を食む。食らう。
下が収まらない代わりに、上から、内側を犯そうと。]


 はぁ…ふ、ぅ…っ…
 …俺、夜まで待てないんだけど…

[自分もイッて、刺激を与える動きが緩まった。
欲を吐き出した事で全身が何処か重たくて、
だけど温かい湯の中であったから不思議と軽い。]

 ……まだ夕飯まで時間あるし、シたい

[息を整えてから腰を抱き寄せれば
お互いの熱が擦れ合って「んっ」と声が漏れた。]

 種を中に入れて、夜までじっくり着床するまてま
 収めてて欲しい…だめ?

[人狼は欲深そうに、そう耳に囁いた。]*

[彼の口腔内で喘ぎ声がくぐもって、濁る。
 まるで食べられるみたいに唇を覆われ、呼吸も攫われて。
 
 彼の唇からも苦しさに似た声が漏れて。
 互いに声を重ね合いながら達して。

 抱き寄せられたままの腰が余韻を残すようにひくんと跳ねる。]


  ……っふ、ぁ……ぁッ、


[一度達したのに、まだ残滓を浚うみたいに。
 まだ繋がっていない身体をまるで繋がっているみたいに、
 下からがくがくと揺さぶられ、離れた唇から甘い声が溢れ。]

[自身の掌にも彼の出した熱が残っていたけれど、
 すぐに隙間から入り込んでくる湯に混じっていく。
 達した名残で少し力の抜けた腕を持ち上げて、
 湯船の外に手に残った分だけでもと外に流した。

 欲望を吐き出した後も、離れるのが惜しくて。
 身体を寄せたまま、柔らかいキスだけを数度、送る。]


  ……ン、……待てないって、


[ねだるように擦り付けた後孔が、
 まだ先を望むようにひくひくとひくついている。

 考えることは、自身も同じではあるけれど。]

[再び、身体を引き寄せられる。
 達したばかりで敏感な部分が触れあえば、]


  ……ぁ、ッん……、


[もじと、身を捩り快感を逃がすように喘いで。
 煽られ、求められてしまえば、断れるはずもなく。

 アルの濡れた髪に湯で流した手を持ち上げて、
 髪を後ろに流して、こめかみに口づける。]

 




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