情報 プロローグ 1日目 2日目 エピローグ 終了 / 最新
【人】 雨宮 瀬里「 会社を? 」 そんな蓮司から飛び出したのは 私にとっては意外な言葉だった。 恋天使には縁を結ぶ手助けをしている人も多いと聞く 縁結びの神社の巫女だったり、結婚相談所だったり 占い師だったり、白羽トラベルのような業界だったり。 当然恋が叶うカクテルを出すバーテンダーも然り。 自分の力を持て余している私にとっては 恋の手助けをするという夢を持った蓮司が、 素直に輝いてさえ見えた。 (16) 2022/06/01(Wed) 10:59:23 |
【人】 雨宮 瀬里「 素敵ね。いいと思うの。 恋天使にしかできないことを うまく生かして仕事にできたら最高ね 」 ビジネスをどう成り立たせるかは きっとこれからなのかもしれないけれど。 それでも恥ずかしそうに話してくれた蓮司に 私はにこりと微笑んだの。 「 私も、何か蓮司を支えられたらいいけど… 半人前の陶芸家の出番は…ないかな? 何か私にできること、してもらいたいこと、 あったら、何でも言ってね 」 そんなふうに、笑って。 (17) 2022/06/01(Wed) 10:59:37 |
【人】 雨宮 瀬里きっと蓮司のビジネスにかかわることでは 役に立てないと思うけど。 私ではあの人の役に立てないから ── 恋をする前、かつての私はそう言った だけど本当は何か、貴方の役に立ちたい 話を聞いてあげることくらいは、 きっと、私でもできるから。 ううん、きっと、 私にしかできないことが今はあるから。 だから。何でも言ってね、って。 * (18) 2022/06/01(Wed) 11:00:22 |
【人】 宮々 蓮司役に立ちたいと言ってくれる瀬里に、俺は小さく頷く。 陶芸家の雨宮瀬里はきっと要らない。 お人形のような可愛らしい雨宮瀬里も。 あんな瀬里も、こんな瀬里もきっと要らない 「 ただ、そばにいて欲しい。 お前がいてくれるから、 俺は自分に自信を持てるんだ。」 どんな瀬里≠熾K要ない。 ただ、何者でもない瀬里≠ェそばに居てくれればいい。 役に立つなんて必要はない。 役に立っても立たなくても、俺には瀬里が必要だから。 (19) 2022/06/01(Wed) 15:11:24 |
【人】 宮々 蓮司賑やかな街角で手を繋いで二人。 俺の左隣には瀬里がいて、瀬里の右隣には俺がいる。 「 ではお姫様、 どこへ参りましょうか? 」 指輪は決めた。 さて、今日のデートはどこへ行こうか。* (20) 2022/06/01(Wed) 15:11:52 |
【人】 雨宮 瀬里ただそばに居てほしい。 そんな言葉に、私は「えー、それだけ?」なんて 口を尖らせてみせるけれど、 だけど、本当はその言葉が一番うれしかった ありのままの私でいい。 私が選んだ、私でいい。 ありのままの私でも、貴方が喜んでくれるなら。 「 そうね、じゃあ素敵なカフェでも行きましょうか ねえ、王子さま? 」 従者のように見えるのかも、なんて 貴方はまた考えるのかもしれないけれど 私にとっては、唯一無二の、王子さまだから。 (21) 2022/06/01(Wed) 18:22:38 |
【人】 雨宮 瀬里* * * それからふたりで一緒に暮らし始めるまで、 あまり時間はかからなかったのかもしれない。 私は都会までは出られなかったから 貴方の仕事の都合がつけば、 家はほんのすこしだけ陶房寄りの場所を選んだ。 週末デートはなくなったけど、そのかわり、 朝起きれば貴方の顔が傍にあって、 眠るときも貴方とずっと一緒だった 家の中には貴方のものと私のものが半分ずつ。 お揃いの歯ブラシ、お揃いのマグカップ。 なにげない当たり前が増えていく日常が、 こんなにも、幸せに思えるなんて。 (22) 2022/06/01(Wed) 18:22:56 |
【人】 宮々 蓮司朝、起きた時に瀬里の顔が最初に視界に入る。 夜、瀬里を腕に抱いて眠りにつく。 週末デート≠ヘなくなったけど、 時間が合えばデートもするし、 二人でただのんびりと時間を過ごす日もある。 新しい住まいは段々と二人のものが増えていく。 お揃いのもの、お互いだけのもの、それぞれの日常が重なり合う。 それが何よりも幸せだと感じる。 (23) 2022/06/01(Wed) 19:49:58 |
【人】 雨宮 瀬里恋の叶うBARを貸し切りにして、 あの時の恋天使仲間をみんな呼んで同窓会をしたいな。 BARがふたつある?集まりやすいほうでいいけれど バーテンダーがふたりいるから、 いろんな味のお酒が楽しめそうじゃない? お願いしたら歌姫には歌ってもらえるかな。 ほら、私たちなんかよりも早く結婚したふたりもいるから みんなを祝福するような恋の歌を。 美味しいお野菜は農家の彼に任せよう。 その時には私、自分で作った大皿、持っていくね。 トマトととうもろこし、それからきゅうりも忘れずに。 あとは手先が器用なふたりには 私からこっそりお願いをするの。 ひとつは手作りのリングケース もしできるならあの子に作ってもらいたいなって そしてもうひとつは、お揃いのアクセサリー これは婚約指輪のお返しに。 私と貴方でお揃いの何かを作るなら やっぱりあの子にお願いしたいな、って。 私の夢が、どこまで叶ったのかは………どうかな。 (25) 2022/06/02(Thu) 9:14:59 |
【人】 宮々 瀬里天使が降りてきたかのような美しいステンドグラス いつもは観光客でにぎわうその場所も その日は数時間だけ私と貴方の貸し切り。 厳かな雰囲気の中、 ウェディングドレスに身を包んだ私と タキシードに身を包んだ貴方は あの日と同じ、大聖堂の入り口に立っている あの日と違うのは、 あの日は黒、今日は白。 私を包む色くらいだったかも。 (27) 2022/06/02(Thu) 9:17:03 |
【人】 宮々 瀬里結婚式を挙げない夫婦や 結婚したい恋人同士のための、 花の都での、記念撮影。 ……それを企画したのはもしかしたら 恋を後押ししたい≠ニ願った どこかの新規事業だったかもしれないけれど (28) 2022/06/02(Thu) 9:17:26 |
【人】 宮々 瀬里「 入口から舞台まで手を繋いで入場して、 この場所で愛を誓ったカップルは、 生涯ともに在るそうよ? 」 あの日は知らなかった大聖堂のジンクス 今日はばっちり知っている。 そんなジンクス、きっと私たちには必要ないけど だけど私は、貴方としっかり手を繋ぐ。 指を絡めて、決して離れないように。 (29) 2022/06/02(Thu) 9:17:51 |
【人】 宮々 瀬里 あの日、貴方に今までで一番幸せかって そう聞いたら、貴方は首を横に振ったね 『 一番幸せだと思えるその日まで 私と、一緒にいてくれますか 』 …これはいつかの声。 あの日から、何度、私たちに 一番幸せだと思える日が訪れたかわからない だけど、私と貴方はこれからも ずっとふたり、離れずにいるの (30) 2022/06/02(Thu) 9:18:44 |
【人】 宮々 瀬里……なんて考え事をしていたら、 カメラマンさんに舞台のほうまで歩くようにと 促されたから、私は貴方を見上げて微笑む。 貸し切りといえど、 ちゃんと私たちを切り取ってくれる誰かは居たから いつまでも浸っているわけにもいかなくて。 「 蓮司、行こっか 」 大聖堂、舞台のほうに足を進めようかって 私は、蓮司を促した。 もちろん、数多くの恋人同士のように、 手はきちんと繋がれたままで。 * (31) 2022/06/02(Thu) 9:19:02 |
【人】 宮々 蓮司それが全部叶えられたからわからない。 だけど、瀬里の語る夢を俺はひとつひとつ実現していく。 あの時、お見合いに集った面々の一人一人に連絡を入れて。 一人一人の都合を合わせて。 もちろん、来られない人は仕方がないけど。 叶えられるものは、全て叶える。 叶えてみせる。 (33) 2022/06/02(Thu) 17:31:55 |
【人】 宮々 蓮司厳かな聖堂。 タキシードを纏った俺は、花嫁と一緒。 ウェディングドレス姿の瀬里は綺麗≠ネんて言葉では足りなくて、いや、どんな言葉を尽くしても言い表せない。 淡いブロンドの髪と、白いドレス。 そこ眩しさに思わず目を細める。 もう左目は何でもないのに。 ─── ああ、俺の花嫁は世界一綺麗だ。 (34) 2022/06/02(Thu) 17:32:41 |
【人】 宮々 蓮司「 知ってる。」 素気ない返事。 でもその顔は幸せそうに微笑んでいる。 そんなジンクスは二人に必要ない。 それどころか、そのジンクスの裏付けを今から二人で行うのだ。 (35) 2022/06/02(Thu) 17:33:06 |
【人】 宮々 瀬里微笑み合って、手をつないで。 色とりどりのステンドグラスで彩られた舞台へ 一歩ずつ、一歩ずつ、ゆっくり歩いていく きっとね 明日からの毎日も、 今までで一番幸せだって言えると思う だって、貴方と一緒だから シャッター音が私たちの一瞬を切り取って それが少し面白くて蓮司に向かって微笑んで ほら目が合ったこの一瞬だって、 カシャリ、と後ろから音がした。 私たちが選んだ道。 あの時離れなくて本当に良かった。 ううん、離れていたとしても 記憶が戻ったら、また 貴方を探し求めていたかもしれないけれど (37) 2022/06/02(Thu) 19:15:55 |
【人】 宮々 瀬里神父さんがいるわけでもない舞台だけど 神様を特別信じていない私たちには これくらいがちょうどいいのかもしれない。 私たちは向かい合う その一瞬でさえ手が離れるのが惜しくて 指先はゆっくりと離れた そんな表情も、貴方に向かい合って照れた顔も 眩しそうに見上げる表情も。 全部、全部、カメラに収められていく。 「 誓います、とか言えばいい? 」 こういう時なんていうのが正しいんだろう。 結婚式ではないから、言葉に困って微笑んだ。 微笑んだのは…それだけじゃないけど。 私の花婿さんが、世界で一番素敵だったから (38) 2022/06/02(Thu) 19:17:10 |
【人】 宮々 蓮司お前が好きだと言ってくれたこの左眼。 今はお前しか写っていない。 この一瞬も、次の一瞬も、片時も逃さずにずっとお前を見つめている。 お前を選んだ。 二度、お前を選んだ。 自分で思っているよりも、遥かにお前を求めめいた。 それは今この瞬間も同じ。 だから、今が一番の幸せでも、 明日もまた今まで一番の幸せが訪れる。 お前が居て、俺が居るかぎり、ずっと。 (39) 2022/06/02(Thu) 20:22:36 |
【人】 宮々 瀬里朝、テーブルにはふたつのマグカップが並ぶ ひとつには、ブラックのままの珈琲 ひとつには、お砂糖とミルクをたっぷり入れて。 棚の上には大聖堂での写真と、 どこかのBARで集まったときの写真。 それから新婚旅行で現地の民族衣装に身を包んだ 私たちが微笑む写真が飾られている。 互いに忙しいから お昼は離れ離れかもしれないね。 今年の冬、個展を開けることになったの そんな嬉しい報告から暫くは、 私もアトリエに籠りきりになったりしたけれど それでも夕飯は必ず貴方と食べるのだって決めていた (41) 2022/06/02(Thu) 21:13:16 |
【人】 宮々 瀬里ほんの少し離れているだけでも、 いつだって貴方に会いたい、そう思う気持ちは 週末デートのころと、なんにもかわらない。 そうね。いつだって、毎日同じ感情を繰り返す。 だけどそれが、たまらなくうれしくて、 愛 おしい。 (42) 2022/06/02(Thu) 21:13:41 |
【人】 宮々 瀬里私は、毎日貴方に恋をしている。 「 会いたかった 」 貴方に会えて、第一声はいつだって同じ。 私の両の瞳は、貴方のふたつの綺麗な瞳を映して。 その距離が、一歩、近づいたなら ────── 、 (43) 2022/06/02(Thu) 21:14:11 |
情報 プロローグ 1日目 2日目 エピローグ 終了 / 最新