人狼物語 三日月国


224 【R18G】海辺のフチラータ2【身内】

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【独】 花浅葱 エルヴィーノ

警察署に銃声、怒号が鳴り響く。
銃弾に貫かれた男は、まるでスローモーションがかかったようにゆっくりと視界が回転するのを見ながら、地に倒れた。

勢いよく流れ出した血は、鮮やかな赤。
動脈を損傷したのは誰が見ても明らかで、警官の中の一人がその動脈を圧迫止血を始めた。
肩関節が無事かは、この時点ではわからない。

「…………約束」
「……僕が守れなかったかも」


さりとて、意識が落ちるその直前。
つぶやかれた言葉は、宙に消える。
その意味を正しく理解できるものは、この場には一人も居なかった。


――その後。
病院に運び込まれた男は、直ぐさま緊急手術を受けることとなる。
長時間に及んだ手術ではあったが、ひとまず命を失うことだけは免れたようだ。
(-3) 2023/09/26(Tue) 22:12:58

【魂】 花浅葱 エルヴィーノ

―――夢を見ている。
それはいつもの幼い頃の夢。

ルチアーノの両親が殺された現場を見たときのこと。
僕は息子同様に可愛がってくれる二人が大好きだった。
でも、不幸になった。


ルチアーノが突然居なくなってしまったときのこと。
僕はいつも一緒に遊んでいた彼が大好きだった。
でも、不幸になった。


ラーラが交通事故に遭って養育院から居なくなってしまったときのこと。
僕は彼女に初めての恋をしていた。
でも、不幸になった。


彼女が麻薬に手を出していることを知っていたのに。
何も言わなかったから。

僕が好きになる人はいつも、不幸になる。
(_0) 2023/09/26(Tue) 23:25:41

【魂】 花浅葱 エルヴィーノ

だから、死んでしまった二人へは何も出来ないけど、生きてる二人に幸を送りたい。
ラーラには、彼女に合う義足をプレゼントしたい。
彼女が施設を出ても、普通に生きていけるように。
生きてさえ来れば、いいから。

でも、ルチアには。
マフィアを抜けるのがだめなら、ルチアには何をしたらいいんだろう。

それが僕にはわからない。


これ以上、大事な人を作ったら。
みんな不幸になってしまうのに。


お願いだから、僕を残して行かないで。

僕は―――――――
(_1) 2023/09/26(Tue) 23:26:05

【魂】 花浅葱 エルヴィーノ



―――いつもなら直ぐに覚める夢が、
       今日はいくら見ても、覚めることがない……
(_2) 2023/09/26(Tue) 23:27:19

【秘】 新芽 テオドロ → 花浅葱 エルヴィーノ

時間の合間を縫って、男は病院に辿り着く。
自分も診てもらうべき部分は多かったが、
今回に限っては友人の為に、珍しく進んで訪れていた。

「……エルヴィーノ」


自分たちの背中では、全てを背負うにはあまりにも小さい。
知っていたはずだ。託すこと、その代償、全部、全部。

毒吐く余裕もあったりはせず、
ただ静かに、その病室で静かに佇んでいる。

見放したわけではない。けど、夢も希望もない自分は、
みっともなく声を掛けることに意味を見出していないだけ。
(-7) 2023/09/27(Wed) 6:37:00

【秘】 花浅葱 エルヴィーノ → 新芽 テオドロ

>>-7

「…………」

病室に来た時、男はベッドで静かに寝ていただろう。
点滴に繋がれた線は多く、肩から胴にかけたガッチリとギプスと包帯で固められている。
輸血も受けたようで、意識は戻り顔色は大分良くなっているが、まだまだ寝ている時間が多かった。

こんなに寝て過ごすのは子供の時以来だ。
命の危険にさらされたゆえに、流石の男も夢を見ても目覚めること無く長時間を寝ている。
あなたは、男の顔からクマがなくなっているのを見るのはきっと初めてのことだろう。

「…………ん」
「……テオ……?」

友達……と、いって良いのだろうか。
あの時一歩進めたのだと感じたことを、そう断定しても怒られやしないだろうか。

そう思ったからだろうか、舌が回らなかっただけだろうか。
同期の名前が最後まで呼べない。
(-8) 2023/09/27(Wed) 8:35:26

【秘】 新芽 テオドロ → 花浅葱 エルヴィーノ

>>-8

「──」
「全く、やってくれたな」

一先ず決まり文句だけ述べておく。
その前に挟まれた息を呑む為の沈黙は誤魔化せただろうか。

「牢で乱暴されてた俺よりも、
 なんであんたの方が重体で寝こけているんですか」

そして当然のように文句をとってつける。
それは勿論、ただ苦言ばかりを呈しているわけではなく、
心からの心配が滲んでいるかのような声色だった。

「今までの睡眠の帳尻を返すのは結構ですが、
 負債が多すぎて目覚められなかったらどうなることかと」

「……でも、あんたはやるべきをやった。
 だから……無事なだけ、喜んでやりますよエルヴィーノ」

他でもなく、友達の掴み取った未来だから。
互いに命があるだけ及第点というものだろう。
(-9) 2023/09/27(Wed) 9:08:46

【秘】 花浅葱 エルヴィーノ → 新芽 テオドロ

>>-9

「……キミと約束したからね」
「無事に釈放されたみたいで良かった」

力なく、にこりと笑う。
約束だけが理由ではないけれど、あの時背中を押された事が力になったのは確実だ。

「牢で乱暴……?」
「僕は、まぁ……避けきれなくて」

銃弾を避けれる人間など居るものではないが。
そういえば、あの時のあなたは手をずっと後ろに隠してやいなかっただろうか。
あんな法があったとはいえ、どうしてそんな事がまかり通ったのかわからず眉を下げた。
あわよくば、気になっている手を覗こうと視線を動かす。

「夢を見るんだ。
 ……何度も繰り返し見ても、起きれない。
 これが今までの負債なのなら、確かにそうかもしれないね」

大事な人に不幸が訪れる夢。
いっそ今までのようにすぐに起きられた方が、心は楽だ。
それでも、無事を喜んでくれるのは嬉しく思うから、その賛辞は素直に受け取ることにした。
(-11) 2023/09/27(Wed) 13:55:50

【秘】 favorire アリーチェ → 花浅葱 エルヴィーノ

 
「エルヴィーノ、今大丈夫……?
 お見舞いに来たんだけど、凄い事、やらかしたって」

ひょっこり、病室のドアから少しだけ顔を覗かせて。
やらかしたとは失礼な事を言いながら、
貴方が目を覚ましているのを確認すると中へと入ってくる。

「銃で撃たれたって聞いた時は本当に驚いて……
 多分、署の全員が間違いなく驚いていたと思うわ。

 ……でも、この騒動が終わりを迎えられたのは、
 エルヴィーノの力が大きいと思う……ありがとう。
 ……先にこれだけは、どうしても言いたかったの」

少しだけかしこまって、頭を下げて、ふわりと髪が揺れる。
牢での日々はとてもいい思い出とはいいがたいものだから、
それをなくしてくれた一員であるあなたに心からの感謝を。
(-33) 2023/09/27(Wed) 20:15:17

【秘】 花浅葱 エルヴィーノ → favorire アリーチェ

>>-33

「……! やぁ、アリーチェ。
 私服のキミもなかなかだね」

ベッドに横たわったまま、顔をそちらを向けて笑みを浮かべる。
いつもなら手の一つも上げるのだが、あいにく今はそれができそうもない。
肩から胴にかけてがちがちにギプスと包帯で固められ、逆手には何本もの点滴が繋がっているからだ。

署で話を聞いていたなら、あなたは病状を動脈損傷による大量出血と肩関節損傷だということを知っているだろう。

「……うん。まぁ……テオドロと約束したからね」
「キミ達が皆無事に釈放されたみたいで安心したよ」

署からも感謝の言葉は何度か聞いた。
改めてあなたからも告げられると、むず痒さが出ていけない。
だから挨拶もそこそこに礼を言われれば、少しだけ困ったような笑みに変わる。
この怪我がなければ格好もつけれたんだけどねと、そんな事を言いたいようだ。
(-34) 2023/09/27(Wed) 20:28:51

【秘】 favorire アリーチェ → 花浅葱 エルヴィーノ

>>-34
「もう、褒めても大したものは出ないわよ。
 ……エルヴィーノは……」

なかなかに、重症だ。一周回って感嘆しそうになるほど、
手術の痕が色濃い様子に、おもわず溜息が零れた。

「男の人はみんな無理し過ぎよ、もう。
 女の人も勿論しているんだろうけど、
 私の耳に入ってきたのは殿方ばかりだったわ」

ベッド脇の椅子にそっと腰掛けながら、病室を眺める。
花瓶にもし花が活けられているならば、
水替えを手伝いながら話の続きを始めるだろう。

「テオと約束?
 まさか、こんな危険な事をする約束を?」

もう、信じられない……と呟きながら少し拗ねたように頬を膨らませて、テオもテオよ。と若干飛び火した怒りが見える。
(-38) 2023/09/27(Wed) 21:06:37

【秘】 花浅葱 エルヴィーノ → favorire アリーチェ

>>-38

「意地を張らなきゃいけないときもある……ってとこかな」
「いや、僕もまさかこんな事になるとは思わなかったんだけど……
 テオドロは応援してくれただけだから、怒らないでやってほしいな」

普段の自分なら無理に行動をおこしたりなどはせず、当たり障りなく行動してたはずだ。
それでも動いたのは、テオドロとの約束もそうだが。
一番は、牢に入ってしまった友人たちを釈放させたかったからで。

「悪いね、……この状態では自分で何も出来やしないから助かる」

花瓶の水換えをしてくれるあなたに、申し訳無さそうに礼を告げて、息をつく。
自分の腕は、きっともう、以前のように動きはしないことを宣告されている。
リハビリをすればある程度までは回復する見込みはあるが、肩の可動は狭くなるし、反動の大きい銃は握れないに違いない。
それは、警察としてはかなりのハンデとなる話で……。
(-39) 2023/09/27(Wed) 21:18:10

【秘】 favorire アリーチェ → 花浅葱 エルヴィーノ

>>-39
「それで偉業を成しちゃうんだから。男の人ってずるいわ。
 ……心配だって、怒れなくなるもの」

「テオは応援しただけ…?それなら……」

それなら、いいのだろうか。
うーんと唸って、OKの結論が出たらしい。
すっきりした表情に戻った。

「……エルヴィーノも、腕、動かないの?
 じゃあ、警察を続けるのは、難しくなる?
 ……ああ、わたしが落ち込み過ぎても、だめね」

警察として、いや、どの道を選んでも腕がうまく動かないとは苦難の道となるはずだ。それを心配しないはずがない。

「うん、未来の話をしましょう。
 余計に朝ごはん食べたりするの、面倒臭くならない?
 ……やっぱり、皆で交代でご飯持ってこようか?」

先日も考えた案をぽつり、困ったように漏らす。
(-43) 2023/09/27(Wed) 21:58:58

【秘】 花浅葱 エルヴィーノ → favorire アリーチェ

>>-43

「今回が特別だよ。
 こんな事はもうないと願いたいとこだけど」

そう何度もあってはたまらない。
こんなヒーローまがいな事は、自分には決して似合わないのだから。
それに、アニメや漫画と違って、こういうのはそう簡単に治るものでもないから、次の話では元通り!とはいかないのだ。

「……そう、だね。
 医者からはリハビリ次第とは言われてるけど、関節が壊れてるらしいから……以前と同じレベルをとはいかなさそうだ」

神経が切れたわけではないから、麻酔が切れればきっとすごく痛いんだろうね。なんて軽く話しては笑う。
落ち込まれてしまったらどうしようかと思ったが、あなたがその様子なら大丈夫かとホッと胸をなでおろした。
身内になってしまった人間で女性なのはあなたくらい。
どうあがいても、あなたには甘くなってしまうらしい。

「警察辞める事も考えたけ………ど、って、ええ?
 それ、退院してからの話かい? 朝ごはんはそもそも食べないんだけど……昼だけで勘弁ならない?」

とはいえ、胃についてはご覧の通り。
そう簡単に大きくなるようなことも、なかった。
(-45) 2023/09/27(Wed) 22:28:06

【秘】 口に金貨を ルチアーノ → 花浅葱 エルヴィーノ

「……はあ、まったく……」

このあと直ぐにタートルネックを部下に持ってこさせた男は、あまり目立たせることなく監獄を過ごせることにはなる。
差し入れも、もしその時が来るのであれば助かったのだろうが。

「おー……まあ。少しでも寝られたか。
 ついてやるとも言ったのに……こんなことして」

「おう、戻れ戻れ。ああだがちょっと最後に聞かせろ」

「お前にこの入れ知恵をしたのは誰だ? 絶対居るだろ。
 そして……本当にそいつがここまでするように指示したのか」

ここまで、というのには首についた歯型を指している。
随分な見た目になったし、正直貴方がここまでやるとは思わなかったと返して。
(-46) 2023/09/27(Wed) 22:34:45

【秘】 花浅葱 エルヴィーノ → 口に金貨を ルチアーノ

>>-46
「うん、
大事な仕事
があるからね」

絶対に失敗できない仕事だ。
成功すれば、タートルネックを男が持ってくることはない。
それ以前にそんな時間は全くといっていいほどなかったのだが、それは未来の話だから割愛させてほしい。


「……?」

あなたに背を向けて牢を出ようとしたところ、かけられた言葉。
なんだろうと振り向けば、首についた歯型を指している。
これはどう返せばいいだろうか。
自問すること、数秒。
少しだけ言いづらそうにすること、数秒。

「……ええっと、ルチアをどうにかしたいならって話をしてきたのは、黒眼鏡だよ。
 首のそれは……そうしたほうが良いのかと思って……その」

自分のタートルネックの襟を、ぐいっと引っ張る。
襟の下から出てきたのは、あなたについているのと似たような、多くの歯型と鬱血痕がつらなった首輪があった。

だ、かれる、のは初めてじゃなかったから
………見様見真似で」
「あ、これは流石に黒眼鏡じゃなくて、その、…………………
後輩が


怒られるかもしれないと、あなたに忠告される前の話だったのだ、と説明を付け加えたが、
多分。時期の話はあまり関係ないだろう。
(-48) 2023/09/27(Wed) 22:52:23

【秘】 favorire アリーチェ → 花浅葱 エルヴィーノ

>>-45
「私もそうであってほしいと願ってるわ。
 世界を救うヒーローになったって、泣く子はいて。
 それは大体貴方のそばにいる子になってしまうからそれが心配。
 そういう人がいないならまあ、たまには、ね」

地味に遠回しな「いい人はいるの?」と聞いてきている。
最もいたとしてその人が泣くタイプかは未知数だけど。

「……そう。……リハビリ、大変だっていつも聞くわ。
 少しでも友人として支えになれるかはわからないけど……
 弱音を吐きたくなったら、いつでも使ってね。聞くから」

以前のアリーチェなら確かに落ち込んで、私達のせいで……なんてしょぼくれていた姿を見るのは明らかだった。
それが、どうしたことか。何か心境の変化でもあったのか、
成長する"何か"が起こったのか。少しだけ強くあった。

「……そう、こればかりは難しいわね。
 私個人の意見だと、エルヴィーノには警察に残って欲しいけど…

 ……あら、でも朝食べて行かないと体力もつかないわ。
 腕が動きにくいならせめて体力はつけておきたいじゃない」
(-54) 2023/09/28(Thu) 0:10:48

【秘】 口に金貨を ルチアーノ → 花浅葱 エルヴィーノ

>>-48 

「あの老害は俺を一体どうしたいんだ」

頭を抱えた、どうしてこんなことを教えたのだろうか。
俺になにか恨みでもあったのか?と言いたくなるような仕打ちだ。
よくもまあ、ここまで。本当に理解をしていて困る男だ。

「……
こんな噛まれ方をして抱かれた事がある

「……
名前を言え


言ったらかえって良いぞ、と。
同時に、言うまで帰るなとシンプルで分かりやすく笑顔を向けておねだりをした
(-56) 2023/09/28(Thu) 1:36:38

【秘】 花浅葱 エルヴィーノ → favorire アリーチェ

>>-54

「僕に何かあって泣くヒロインの話かい?」
「……そんな子はキミくらいでしょ。残念ながら僕のヒロインではないけどね。
 ……まぁ、ヒロインかはともかく―――――……いや、なんでもない」

言いかけて、止まる。
それはあたかもそういう存在が居ると言ってるようなものだが、あまり不確かなことは言いたくなかった。
少なくとも、頭に浮かんだ人物が泣く所は想像できない。

「はは、キミが元気づけてくれるのはありがたい。
 それにしても……随分様子が変わったね。クロスタータでおどおどしてたのが嘘みたいだ。
 僕としても職は失いたくないけど……ま、リハビリ次第かな」

今、右手を失うわけにいかない。
男の目的はまだ、何一つ果たされていないから。
そんな事を考えながら、右手に力を入れてみた。
―――まだ何一つ動かすことの出来ない手だが、痛みという感覚だけはある。
自分の手はまだちゃんと腕に、肩に繋がっている。
それがわかるだけ、今は十分なことなんだろう。

「食事の方は……
まぁ、退院するまでに少し胃を強くしておこうかな


ある意味、肩のリハビリより努力がしづらい難題だった。
(-57) 2023/09/28(Thu) 1:51:48

【秘】 花浅葱 エルヴィーノ → 口に金貨を ルチアーノ

>>-56

「……ええと……」

これは怒っている。
笑顔だけど、怒っている……気がする。
言ったらどうなるというんだろうか。……主に、後輩が。

彼がこれまでやってきた事を、何一つしらない男は、流石に言いづらそうに視線を彷徨わせた。
流石にこの件で喧嘩しに行く、なんてことはないと思いたいのだが。

「ぼ、僕が頼んだ、ことだから」
「意識が落ちるまでしてくれたら、薬も酒もなしに寝れるんじゃないかって…………だから」

彼は何も、悪くないからね?
と、できる限りの念を押して。
仕事にだけは行かねばならぬと、ぼそぼそと小さな声で名前を告げた。

「イ……イレネオ・デ・マリア……僕が教育係をしてたひとつ下の後輩だよ」

「ひどく見えるかもだけど、本当に心配をしてくれただけだからね」

これは大分頑張って庇っていた。可愛い後輩のために。
あなたからしてみれば、その名を聞けば思う所はきっとあるだろう。
だが、男から見た彼は、ただの大型犬であった。
この意識の差を埋めるのは、かなり困難なハードルだ。
(-58) 2023/09/28(Thu) 2:09:55

【秘】 新芽 テオドロ → 花浅葱 エルヴィーノ

>>-11

「避けられなかったなら仕方ありませんね。
 少なくとも……今回の俺が咎められることではない」

視線に気づけば、見せびらかすように片手を胸の前に掲げる。
指先には残らず包帯が巻いてあり、骨が折れたものもあるのか固定具が付けられている指もいくつか見えるだろう。

「この忙しいのに人員の欠けや身体の不自由で、
 普段に比べて著しく効率が落ちている。全く面倒です」

「全体の最適ばかりを気にしていた俺と、
 他人の幸福ばかりを気にしていたあんた。
 自分勝手な我々に与えられた罰……とすら思えてきますね」

己を疎かにすればいつか負債が返ってくる。
あまりにも当たり前のことを、忘れていたように思える。
文字面以上に深刻には受け止めておらず、浮かべる表情は気楽なものだったが。

「ま、それでもやっぱり、
 命と取り返しのつかないほどでもない肉体があるだけマシで。
 俺たちはまだ後戻りできる場所にいたともいえる」

「だからこれからは……俺はあんたと違って夢を見ませんが、
 エルヴィーノの健康くらいは願ってやりましょう。
 覚悟してください。その身体は何から何まで健全から程遠い」

願うなどと言っておきながら、
その実はやはり自分が世話を焼く気満々でいる。言葉だけでも相手を想うことが言えるだけ進歩はしているだろう。
(-65) 2023/09/28(Thu) 6:06:05

【秘】 花浅葱 エルヴィーノ → 新芽 テオドロ

>>-65

「キミも十分酷い怪我じゃないか……。
 捕まる時に無茶をしたのかい? それか、違法な取り調べか」

男は拷問が行われていたことなど一つも知らない。
心配気な表情であなたを見上げて息をつく。

「そうかもしれない。
 これが罰なら、甘んじて受けるしかないなぁ」

それでも幸を願わずにいられないのが、浅葱の瞳を持つ男だ。
願うだけじゃ足りないから、これからも他人に幸を与えようとするのだろう。
それでも、これまでよりは幾許かは、自分の身やその他の事も気にするようになるはず。
巡り巡って大事な人が不幸になってしまうなら駄目だということを、学んだから。

「はは……健康を得るには寝るのが大事なのはわかってるんだけど。
 どうしてもなら本当に僕を寝かしつけてもらうしかない気がするよ。
 ……や、本当にそんな事はしなくて良いんだけど……、まぁ、僕もキミの回復と幸を祈っておくよ」

寝かしつけの何かを思い出して、一つ咳払いをして。
ただ祈るをすると告げる。
あなたはきっと幸を自ら掴んでいくタイプだと、今なら尊重することが出来た。
(-67) 2023/09/28(Thu) 8:02:29

【秘】 口に金貨を ルチアーノ → 花浅葱 エルヴィーノ

>>-58
「……ほお。お前が、頼んだ。
 そんな噛み方をして、答えた奴が」

「…………イレネオだあ?? あのガキ」

「心配しただけでこんな噛み痕もキスマークつけてるなら
 随分この町はもっと性犯罪が頻発しているだろうなあ!
 お前、そいつを庇ってるんじゃねえぞ! 少しは文句を言え!
 首まで隠す羽目になるのは仕事の支障にしかならないだろ。
 それと、善意で強姦して許されるなら警察はいらねえ!
 お前らは何処で働いてる、鏡見てから仕事するんだな」

結局怒った。

「さっさと出ていけ、馬鹿野郎。……ああ最後に」
二度と黒眼鏡に会うんじゃねえぞ!


先程流そうとした思考が戻ってくる。
誰しも自分の信じる姿でいることなどない。
疑って過ごすべきだ、だから一番に気にかけるべきだった。
この幼馴染はちっとも信頼できない不用心な人間で。
マフィアなんかと関わるべきじゃない大事にしなければいけない存在だったと。

男のくせに、とため息を吐いて牢の出入り口に向かって追い払うように手を振った。
此処から出てからも話すことが多すぎる、そう考えながら。
(-77) 2023/09/28(Thu) 10:06:14

【秘】 新芽 テオドロ → 花浅葱 エルヴィーノ

>>-67

「どっちもです」

どっちもらしい。酷い怪我をした理由じゃないにしろ、
ちょっと無茶をしたときもそれなりに痣が出来た。嘘はついていない。

何より、これをした人間の名を上げたところで、
良いことがおきるとはこれっぽちも思っちゃいない。
罪はともかく、何か俺に対して悪いことをしたか≠ニ問われればそうとは言い切れない。己にも非があり、そしてきっと彼にも彼なりの報いがある。それに任せようと思うのだ。

「罰をある程度受け終わったら、
 その時はまた張り切ってやっていきましょう。
 こうして休んでる間にも溜まっていきますからね、仕事って」

それよりも、今は目の前のあなたに、
もう少し誠実であれるところを探したい。

「……へえ。これまでは度々冗談を言っていましたが、
 今度こそ本当に寝かしつけてやりましょうか?
 手仕事が出来なくて暇な時間は本当に暇なんですよ、こちとら」

やはり願うだけは性に合わない。
自ら率先して、今度は自分を使いつつも削らない全体の利益を求める。ありていに言えば───ちょっと図々しく成ろう。そう決めたのだ。
(-92) 2023/09/28(Thu) 14:31:15

【秘】 花浅葱 エルヴィーノ → 口に金貨を ルチアーノ

「え、ちょ、な……っ」

なんでキミがそんなに怒るんだよと、喉まででかかった言葉は出ぬまま、牢屋を追い出されてしまった。
この仕事をしていればマフィアに会わぬことなどできないというのに、無茶苦茶なことをいうと、ぶつぶつ何かを言っている。
あなたに大事にされていることくらい、周りから見ればすぐわかることだろうに、当の本人はそれに気づかない。

ただ、それでも。
たまにしでかす物事が、危なっかしいと心配をさせてしまっているのは確かな話。
これから行う仕事も、あなたには絶対にいえない話ではあったが、言えばきっと怒られてしまっていたのだろう。

事実、マフィアにただ会うよりも危険なことをして、
大きな負傷をもって病院に運ばれてしまったのだ。

あなたと次に会うのは病院か、それとも外になるか。
何にせよ怒られる案件をひとつ、増やしてしまったのは確かな話だった。
(-93) 2023/09/28(Thu) 14:33:05

【秘】 花浅葱 エルヴィーノ → 新芽 テオドロ

>>-92

「どっちも」

それは軽く言うことだろうか。
まぁ、本人がそれほど気にしてない様子に見えたので、それ以上は聞かないことにする。

――きっと、言えない事情もあるのだろうし。


なんていう事を考えてるのだから、結局身内に甘い男なのだ。

「考えたくないな……実際キミ達が居なくて僕と先輩の仕事量すごかったんだ」

それこそ、あの自分磨きが好きなリヴィオが、鏡を見る時間もないほどだったのだから、どれほど仕事がためられていったかは想像に難くないだろう。
仕事に真面目な人間というわけではないが、それでもその時のことを思うと、まだ起きることも難しい身体が少し恨めしくなってしまった。
珍しい話である。

「え”……、や。冗談のつもりで言ったんだけど。
 ここでそれを頼んだら前の二の舞い……じゃなくて、後で僕がものすごく叱られることになるんだ」

ないとは思うが、ついでにキミも怒られることになるかもしれない。
事件の日の朝を思い出して、重い息をついた。
(-96) 2023/09/28(Thu) 15:08:41

【秘】 新芽 テオドロ → 花浅葱 エルヴィーノ

>>-96

「今はさらに周りに任せてしまいなさい。
 俺たちはこれでも功労者として扱われているんです」

自分たちの踏み出した一歩は、
周りに確かに影響を及ぼしたものだから。
これ以上更に無理をする必要はないし、何かあったら本当に丸投げしてしまうつもりでいる。この身体の状態でどうしろと。

「俺以外にもものすごく叱る相手がいたんですね、あんたは」

いるだろうなあ。納得感は勿論ある。
罪作りな男だろうなと客観視していたから。

流石に叱責を丸投げしては名が廃るというものだが。

「じゃあ今回はその人に免じて、
 寝しなにくどくど言うのは別の機会にしましょう。
 あんたが叱られることに関して言えば、俺が止める理由も別にないんですからね」

悪戯な笑みで言ってのけた。
(-101) 2023/09/28(Thu) 18:47:24

【秘】 花浅葱 エルヴィーノ → 新芽 テオドロ

>>-101

よくよく男の身体をあなたが見たならば、患者用の服の胸元から少し薄くなった噛み跡などが見えるだろう。
本人としてはタートルネックで隠したいのだが、入院してると流石にそれは許されなかったようだ。

「うん、まぁ……色々あって、心配かけてしまったのは確かだから」

とはいえ、何故そこまで叱責を受けなければならなかったのかはついぞわからず。
次に会うときは、今度はこの怪我のことを叱られるのだろうなと思うと苦笑いの表情を浮かべる。
ここに入院していることは警察の人間くらいしか知らないだろうから、会うのは退院してからになるかもしれないが。

……まぁおそらく、あなたの予想のその罪づくりな男で間違いないはずだ。

「あぁそうだね……二人がかりで叱られると流石の僕も立ち直れなくなりそうだ。
 というか。キミのその色気のある声で、寝ながらくどくど言われたら寝れる状態であっても寝れない気がするよ」

皮肉には皮肉で返して口端を上げる。
気のおけない同期とのこの関係は、きっとこれから先もずっと変わることはないのだろう。
(-103) 2023/09/28(Thu) 19:11:56

【秘】 favorire アリーチェ → 花浅葱 エルヴィーノ

>>-57
「あら、あらあら……」

ヒロインかはともかく、の先に、
何か紡がれる言葉があったのだろうと鈍い女でもその意味にはさすがに気付いたようで。
自らの頬に手を添えながら、「エルヴィーノの事を大切に思ってくれる人がいるのね」と微笑む。

「今度よかったら紹介してね」

何て、嬉しそうに笑みを深めて笑う。
のだが、貴方の大切な人はこちらの大切な人の拷問相手と言う有様である。
その事実を知った後に出会うと互いにどうなるか、今は不明なのが恐ろしい。


「あ、あの日は、自分のタイミングの悪さに普段よりも
 落ち込んでいたのもあったりしたからで……
 ……変わった、かなぁ。自分ではいまいちよく
 わからないのだけれど、支えたい人ができたから、かも」

少し照れ臭そうに前髪を指先で弄って、くるり。

「あんなに凄い事をやってのけたのに、朝ごはんの話に
 なると途端に自信なさげになるんだから。
 ん。病院の人の指示をよく聞いて無理なく鍛えてね」
(-108) 2023/09/28(Thu) 20:39:08

【秘】 花浅葱 エルヴィーノ → favorire アリーチェ

>>-108

「…………何も言ってないのに」

言ってはないが言いかけたことが完全に失言だった。
苦虫を噛み潰した幼な顔をして息をつく。
余計なことは言うまいと心に決めて話を聞いてると、支えたい人という単語に、「へぇ」と目を見張った。

「なるほど、前よりずっと綺麗に強くなったわけだ。
 僕らの助けはもう必要なくなるのかな? それはそれで寂しい気もするね」

恋する女は強いものだ。
多分、男よりもずっと強くて、勝算は万に一つもありえない。
これは好かれた男は大変だなと、目を細め。

「まだ重湯くらいしか食べてないけどそれでもキツくてね……」

などと言いながら困った顔をしながらも、心の中ではあなたの幸を祈っていた。
(-116) 2023/09/28(Thu) 21:28:40