人狼物語 三日月国


224 【R18G】海辺のフチラータ2【身内】

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【赤】 リヴィオ

ダニエラ! 今日がお前の命日だ!
2023/09/26(Tue) 21:00:00

【秘】 リヴィオ → 幕の中で イレネオ



珍しく舌打ちを鳴らしかけたのは多分、体調のせいだ。
代わりに深いため息を零し、首を緩く傾ける。

「……
していない
ことを認めろと?」

それは、子供に伝えるようにハッキリとした物言いだ。
ない事実を吐くことなど、
当たり前ながら出来るはずもない。

「…何も始まらないさ、イレネオ後輩くん
 やはり君は、少し、休暇を取るべきだ」

そして俺にも休暇を届けるべきだね。
あの固くて冷たい場所でも構わないから寝かせておくれ。
柔らかいブランケットを届けてくれても構わないよ?

また笑みを浮かべて、
君を真似るように自由な指先で己の膝を軽く叩いた。
(-6) 2023/09/27(Wed) 1:24:11

【秘】 幕の中で イレネオ → リヴィオ

変わらない態度。
あまりにも変わらない態度に、男は姿勢を崩した・・・
それは生真面目な男には珍しいことだ。決して姿勢の良いわけでもない男は、それでも大抵、おそらく自分にできる精一杯で背筋を伸ばしていた。
緩慢に背もたれにもたれる。顎を上げて視線だけ投げ寄越す。そうして息を吐いて、もう一度身体を起こす。
億劫そうに一度逸れた瞳は、再び貴方のかんばせに戻った。

「耳がついていないのか?」

「それは犯罪者の戯言・・だ。」
「証拠は挙がっている・・・・・・。」
「無駄な言い逃れ・・・・はよせ。」

決めつけ。決めつけ。決めつけ。
男の口から出るのはそれだ。
尋問とはそういうもの。男の仕事とはそういうものだった。
貴方で、六人目だ。
(-18) 2023/09/27(Wed) 16:21:15

【秘】 リヴィオ → 暗雲の陰に ニーノ

伸ばすまでで、触れる勇気のなかった左手は、
君の手が迎えてくれたからその熱を感じて。
そして君にもまた、男の異様に熱い温度が伝わる。

ふっと緩まる表情はきっと、君だけが見れたもの。
その熱に安堵したのだ、君という陽だまりのぬくもりに。

だから、男の心はここでまた少し
晴れた
のだろう。
雨と曇り空ばかりで陰り続けていた心は、
あと少しをもっと、確かに、頑張れそうだ。

だから俺はきっと、
大丈夫
だ。

まだ握り返し、その指先を撫でるには怖くて堪らないが、
君がくれるぬくもりから決して、逃げることはなかった。

「…うん、とても素敵な提案だね。
 是非、その散歩にご一緒させてくれ」

同じ向きに小首を傾け、更に表情を緩めて笑う。
未来を語る事もまた、逃げ出したくなる心はあるが、
それでも君を見る翠眼は揺れることなく、真っ直ぐに。

「……あぁ、待っていてくれ。
 俺に出来ることは、彼と少し異なるが………」

「──俺に出来ることを、頑張ってくるよ」
(-21) 2023/09/27(Wed) 17:19:08
リヴィオは、この『未来の話』が君と俺の希望になるよう願った。
(a8) 2023/09/27(Wed) 17:19:27

【秘】 リヴィオ → 幕の中で イレネオ



変える訳がない。
変えてやる
訳がない。
腐っても俺は先輩で、君は後輩だ。
その分、経験として培ったものは多くある。
仮面は剥いだ、あとは己がままに向き合うだけだ。

「いいや、戯言なんかじゃあない」
「証拠なんてものはない」
「無駄な言い逃れでもない」

否定する。否定する。否定する。
その決めつけ全てを、真っ直ぐに否定する。

「これは全て
事実
だよ、俺の可愛い後輩君」

「そして俺は、これから何をされたところで、
 その
曲がった
事実を
認めてやらない


決してここを曲げてはならない。
己と真っ直ぐに向き合う彼らのためにも。
尋問とはそういうものだとされるなら、
そんな無価値な仕事はさっさと
やめてしまえ


「……だから、後輩──いや、イレネオ。
 君に俺は曲げられない、残念だったね」
(-26) 2023/09/27(Wed) 17:51:55
リヴィオは、"いつも通り"だ。
(a9) 2023/09/27(Wed) 17:53:21

【秘】 幕の中で イレネオ → リヴィオ

「曲がられちゃ困る。」
「俺が聞きたいのは真っ当な真実だからな。」

言葉は平行線。
それを男もそろそろ気づき始める。
では言葉でどうにもならないのならどうすればいいのか。
それも、男は既に知っていた。
間違った解答だ。


自然な仕草で立ち上がる。これから起こすことに対する緊張も高揚もそこには存在しない。
そのまま貴方の頭部に手を伸ばす滑らかさ。逆らわれるなどと、まるで考えていない動作。
けれど。
そこから先はそうはいかない。髪をぐいと引き掴み、しっかりと動かぬように固定する。

かち。

それは。
いつの間にか手にしていたナイフの、刃を剥き出しにする音。
鈍い色は白い室内灯を弾いて光った。光ばかりが清潔だった。
貴方が抵抗しないのならばそのまま貴方の側頭に添うだろう。
酷く冷淡に、残酷に。少し動けば切り込みが入る、その位置で。

「もう一度聞く。」
「マフィアと内通していたのか。」
「渡した情報は何だ。」
(-49) 2023/09/27(Wed) 23:02:31

【秘】 暗雲の陰に ニーノ → リヴィオ

異様に熱い熱は己にも覚えがあるそれだった。
言いたいことが他にも増えそうになったけれど。
だとして成し遂げたい何かが其処にあるのだろう。

緩む表情が安堵したのを見る。
貴方の心を少し、暖めることができただろうか。
ならば今は抱く心配は抑え、伝えるべきは別のもの。

「…………うれしい」

こわくなんてない、大丈夫。
幾度でもそう伝えるように、同じ言を重ねて笑う。
指先が離れなかったことも、提案を受け入れてくれたことも。
今、この瞳を真っ直ぐに見つめてくれることも。
その全てがうれしくて堪らないんだ、だから。

するりと肌を撫でた指先は直に離れることだろう。
頑張って、大丈夫、せんぱいなら。
ひとつひとつ浮き上がる気持ちを最後、選んだ一言に載せる。
見せた笑みはこの牢獄の中で浮かべた、何よりも一番のもの。


「──いってらっしゃい、リヴィオせんぱい!」


たったひとつに込める願い。
どうか、どうか。
天気予報が、当たりますように。
(-50) 2023/09/27(Wed) 23:12:03

【秘】 リヴィオ → 幕の中で イレネオ

>>-49

「あぁ、そうだろうね。だから、
無駄
なんだ。
 そこに真実がないのに何──」

何を認めると言うんだ。そう口にしようとした言葉は、
君が立ち上がる動作とともに静かに消えていく。
代わりに響くのはこちらへと近づく冷たい靴音。

伸びてくる腕を、手を、避けようとする動きはない。
しかし滲む汗は、男の警戒の色を表すように額を伝う。

「……っ、………おいおい、乱暴だな」

そう長くもない髪を掴まれたことで頭皮は刺激され、
何本かはブチブチと音を立てて
君の指先へと絡まり、はらはらと床へ落ちていく。

耳元で鳴る音は早々に聞き覚えがないものだが、
触れる冷たい感覚が何であるかを凡そ理解させる。
僅かでも動けばその冷たさは己の肉を裂くのだろう。
思わず吐き捨てるような笑みが零れ出た。

「君は一体エルから、エルヴィーノから何を教わったんだ。
 この方法は間違っている。善良な警官の俺が否定しよう。
 …あぁ、いや。エルがこうしたことを教えるわけがないんだ。
 これは、こんな馬鹿げたことに目を瞑るあの
が悪いな」

(-52) 2023/09/28(Thu) 0:01:42

【秘】 リヴィオ → 幕の中で イレネオ

>>-49 >>-52

「……もう一度言うが俺は、内通者なんかじゃあない。
 繋がりもないんだ、渡す情報も何もない──以上だ」

実際、こう語る人間の"嘘"を見たことがある。
痛みは何よりも相手を自白させるにいい手段かもしれない。
だがしかし、男の語るこれは"本当"で、変えようがない。
ただ真っ直ぐに訴えかけること以外に何かをしようがなかった。

さて、これらの言葉で君が止まるのならばいいが、
慣れているその手つきが違う未来を物語る。

もしもその刃を食い込ませていくというのなら、
力強く君の身に己の身をぶつけ、
僅かでも怯めば、ナイフを持つ手に噛み付こうとする。
培った危機的状況に対する反射というやつだ。
それにより切れ込みが激しくなろうが、
髪が更に数十本抜けようが、それ自体がなくなるよりはマシだ。
本当は何かをやり返すつもりなどなかったが、
それはダメだと、自分の中での警鐘が鳴り響いた。

刃が食いこんだその瞬間、
悪夢に現れる女の声が耳元で聞こえた──気がして。
(-53) 2023/09/28(Thu) 0:04:12
リヴィオは、痛みには慣れている。本当に恐ろしいのは──。
(a12) 2023/09/28(Thu) 0:08:50

【独】 リヴィオ

終幕へと向かう頃、収容所内は人が減り、
残されているのは怪我人やそれに付き添う者達。
ここで怪我人がいるというのもおかしな話だが、
許されてしまっていたというのがここの真実。

しかし、それも今日で終わりだ。

これ以上、ここに雨は降らない。雲は太陽を隠さない。
晴れやかとは言い難いことも多く、多く起こるが、
それでも、空の明るさはこの街を照らしていくのだろう。

男もまた、そんな街の様子を翠眼に映し、
光差す空を眺めるはず──だった。

(-61) 2023/09/28(Thu) 3:12:10

【独】 リヴィオ

痛みが体を支配する。
体が熱くて、
寒くて、
息をすることが苦しい。
目を覚ましているのなら、そう感じていたはずだ。

目を、覚ましていたのなら。

夢を見る。何年もずっと、ずっと、俺に付き纏う夢。
ここ最近は頻度が増して、満足に眠れない夜を過ごした。
だから今日も、同じように起きてしまえたなら。
それなら、その方がきっとまだマシだったのかもしれない。

『要らない』『要らない』『あんたなんか要らない』
『死ね』『死んじゃえ』『産まなきゃ良かった』


どこか怯えるように体を丸めたのは、
きっと誰も、その場には誰も見ているはずもなくて。
精神的にも肉体的にも疲れ果てていた男は、
小さく苦痛の声を漏らし、震えるように熱い吐息を零す。

『…本当に必要とされていると思ってる?』
『そんなの嘘』『全部嘘』
『誰があんたを肯定するの?』『嘘に縋って馬鹿みたい』
『さっさと死んで』『幸せになるなんて許さない』


これはきっと、俺の心で。否定するばかりの、俺の心で。
分かっているのに足掻けなくて、止まらなくて。
逃げたい死にたいひとりは怖いここに居たくない苦しい痛い恐い怖い


(-62) 2023/09/28(Thu) 3:13:53

【独】 リヴィオ

爪のない右手が、床を掻く。
白に滲む赤はやがて床を汚し、線を残す。

それでもまだ、目を覚まさない。覚ませない。
起き方を忘れてしまったかのように、
夢の中に囚われている。囚われ続けている。

しかし、男にとって幸福だと言えるのは、
この場に、男に手を伸ばすものがいないことだった。

そのはず、だった。

誰かに迷惑心配はかけたくないんだ。
…俺なんかの為に、その心を割いて欲しくない。
やっぱり心は簡単に変えられない。変えられるはずがない。

だけど。


「   」

誰かに求めた救いが、音にならずに消えていく。
それでもこれはきっと、確かに救いを求める"声"で。
…もう一度、指先が床を掻く。
零れる吐息は、苦痛の入り混じるものだ。

きっと、そんな自分を表に出すのは今回限りで。
誰にも見せたくない見せられないリヴィオひとりの人間の姿だった。

…夢を見る。この悪夢から抜け出すにはきっと。
自分自身ひとりの力では、到底難しい話だった。
(-63) 2023/09/28(Thu) 3:14:20

【秘】 口に金貨を ルチアーノ → リヴィオ



もう一度、貴方の指先が床を掻いた時。
触れた熱は少し暖かく、柔らかい物であった。

その夢に入り込むのは――眠る猫の姿。
誰にも触れられずただ無防備に、静かに眠っている。


「――呼んだか? リヴィオ」


貴方がその重たい瞼を開ければ、横になっている一人の男が世界に映りこむ。
男は幾回にも渡り残された赤い線も気にせず横たわり、眠そうな顔で似通った海の色を見つめていた。
血のにじむ手の下にも違う形の片手が滑り込まされていて、再度の床への傷は掠れるものとなっただろうか。

「お前まで子守唄が必要かね。
 ……俺もシエスタは好きだがなあ、そろそろ帰る時間だぞ」
(-76) 2023/09/28(Thu) 9:41:54

【秘】 幕の中で イレネオ → リヴィオ

その名前にも男が揺れることはない。
信じている。警察を、正義を、善性を、彼のマフィアへの嫌悪を信じている。

信じているのだ。純粋に。この行為が真実正しいものであると信じている。
だから止まらない。止まらなかった。

刃の冷たさを内側に感じたはずだ。
ついで熱の感覚に近い痛みが襲う。
それは男が貴方に与えるもののはずだった。
緊張した身体に油断していた。緊張しているからこそ、抵抗はぎこちなくなるものだと思い込んでいたのだ。

(-82) 2023/09/28(Thu) 11:22:20

【秘】 幕の中で イレネオ → リヴィオ

どん。
衝撃を感じたのはこちら。
反射的に視線をやればかち合った。きっと貴方の瞳は激しく反抗に燃えて、それを裏付けるように歯を剥き出しにする。それで怯んだとは言いたくないが、見た事のない表情に一瞬動きが止まった。
がち。
骨と歯がぶつかる音。昨日も聞いた音・・・・・・・
まずい、と思ったのはそれも反射だ。

髪を掴んだ左手を引き倒すように横に振った。
薬を飲んでいるとはいえ負荷がかかる。親指の軋む痛みに顔を顰めたが構わない。右まで奪われるのはまずい。
そうしてその抵抗が叶うなら。
貴方は男ごと床に倒れ込むことになるはず。急激に揺らされた頭はくらりと遠のくはず。隙ができるならばそのまま、動きを封じるように腕を固めようとするが。
(-83) 2023/09/28(Thu) 11:22:29

【秘】 月桂樹の花 ニコロ → リヴィオ

法が失効してから。
貴方もまた、牢から解放されて
病院送りになったろうか、それとも自宅療養だったろうか。

ともあれ、動ける程度になった頃合いに
運命共同体を謡っていた狼を探してみれば
どうも病院に放り込まれたという話が聞こえてきた。

ちょっとでも様子を見てやるか、と思ったのか
話したい事があったのか。
貴方は彼の病室を訪れる事を決めたのだろう。

ニコロ・カナールの病室は個室になっていて
それもそこそこ怪我の程度が重い人向けの病床だ。
重体、とまではいかないけれど、重傷なのは伺えるかも。

けれど実際訪れてみれば、当人は無事ではある様子で。
腕と足を吊った状態でベッドに横になって
点滴の管に繋がれている以外は、意識もあって元気そうだ。
(-87) 2023/09/28(Thu) 13:28:33

【秘】 リヴィオ → 口に金貨を ルチアーノ



普段なら、男はただその夢を眺めているだけで。
繰り返し唱えられる呪詛を身に受け、縛られていく。
もう何年も、逃れることの出来ない悪夢だった。

今度はもう、戻れないのかもしれない。
このまま暗く深いどこかへ、
落ちていくんだと思った──その時。

静かに眠る、無防備な猫の姿が見えた。
別に、猫が好きな訳じゃない。…………けど。
何となく、ただ、何となく、己の指先を
恐る恐る
伸ばす。

触れたその熱は、暖かくてとても──安心したんだ。

(-105) 2023/09/28(Thu) 20:13:13

【秘】 リヴィオ → 口に金貨を ルチアーノ



重い瞼を何度か緩慢な動作で繰り返し瞬かせ、
霞む視界の中徐々にピントを合わせていけば、
眠たげな、大きな猫友人の姿が視界いっぱいに映される。
何を言おうか。男の口が幾度か動かされて。

「…………ル、チ……ルチ、アーノ…………………?
 …目を覚まして直ぐに、色男の顔が……見れる、なんて。
 俺は……、しあわせものってやつ……、かな」

名前を呼び、"いつものような"軽口を紡ぐ。
しかし、ただそれだけという訳ではなくて、
己に触れる熱を求めるように、
痛みを感じながらも
指先を動かし軽く、その手を掴んだ。

「……あー………すまない…、迷惑心配、かけたね。
 子守唄は、そうだな……もう一度眠って、いいのなら」

君の子守唄を聞けばよく眠れるかな?
浮かぶ台詞の代わり、小さな笑い声を零して、
幼子のようにへにゃりと笑った。

それは今まで生きてきて、誰にも見せなかった弱さだ。
見せたくなかった弱さだ。……けど。
異様に熱い体が、響くような頭の痛みが、
折れた左腕が、血のにじむ右手が──全てが限界で、

誰かに手を伸ばすことに臆病な男が、
弱さを見せるきっかけとなってしまった。
(-106) 2023/09/28(Thu) 20:14:41

【秘】 リヴィオ → 幕の中で イレネオ



別に、名を出したのは揺れることに期待した訳じゃあない。
ただ少し、思うことがあったからこそ告げただけ。
その意図が伝わらないなら結局、そこまでなんだ。

だから、
止まらないというのはまぁ──やはり予想通りの事だった。

刃の冷たさを内に感じた時、
僅かにも跳ねるように震えたのは嘘じゃない。

それもきっと、抵抗への油断を誘うもので。


(-112) 2023/09/28(Thu) 20:55:47

【秘】 リヴィオ → 幕の中で イレネオ



人間の歯というのはそれなりに武器になるらしい。
加減もなく噛み付けば、歯が骨にぶつかる音が脳に響く。

しかし、それもほんの一瞬のこと──にするはずだった。
何も噛み切ろうという訳ではないのだ、この男は。
ただ、今の行為を止められるならそれで、良かった。

次の思考をするよりも早く、脳がぐらりと揺らされる。
男のは小さな呻きとともに君の腕から離れ、
今度は抵抗もなく、抵抗する間もなく君ごと床に倒れ込む。

男は、脳が揺れた事は勿論、
倒れた衝撃で右手に走る痛みにまた僅かに呻きを零す。

それは明確な隙だ、
腕を固めることなど容易すぎる隙だった。

痛みには、慣れている。
我慢することなら、いくらだって出来る。

だとして、それが痛くはないという話にはならない。
苦痛に顔を歪める代わりに男が零したのは──。


「………………………ははッ」
 
(-113) 2023/09/28(Thu) 20:56:49
リヴィオは、笑っている。
(a14) 2023/09/28(Thu) 20:57:19

【秘】 リヴィオ → 月桂樹の花 ニコロ



何があっても入院はしたくない。
医者に怒鳴られながらもこの男ははっきりとそう告げた。
友人がもし付き添っていたならば、恐らく、
誰にとっても予想のしやすい表情を浮かべていたはずだ。

それから数日後、あるいは数十日後。
風の噂で君の入院を知った男は、その病室を訪れた。

ガッ。………ガラガラッ!


「……やぁ、
ニコロ
。随分と素敵な装いになっているね。
 君ってやつはあんな場所でも大暴れしていたのかな?」

片腕を吊り片手を包帯で巻かれている男は、
ついでに耳にもガーゼが当てられている。

自分のことは棚に上げ、若干おかしなボリュームで君を煽る。
そんな男の後ろでは、
勢いよく開けられた扉が緩やかに閉まっていくのだが…。

その扉が完全に閉まるよりも前に足を挟んで。

「……さて、満足した。帰ろうかな」

帰ろうとしている。

何をしに来たんだという話だが、
ただ大変そうな君を煽りに来ただけらしい。
これは嘘。…その様子を見に来た、というのが真実だ。
(-118) 2023/09/28(Thu) 21:51:33

【秘】 月桂樹の花 ニコロ → リヴィオ

「んっ!?リヴィ、来てくれたのk…いやいやいや。
お前も大概えらい事になってねえか!?!?


来てくれた貴方に目を瞬かせて。
嬉しそうにしたのだけれど、一瞬で心配する表情に変わる。
自分もそれなりの怪我だが、貴方も相当酷く見えたから。

「ちょ、待てって!
折角来たんだから話していったって良いだr…
うおっ!?


貴方が足を挟んで、帰るか、なんていうものだから。
止めようと反射的に身を乗り出して
ベッドから落ちそうになっているだろう。

ガタン!とベッドが揺れてけたたましい音が鳴る。
(-123) 2023/09/28(Thu) 22:20:27

【秘】 暗雲の陰に ニーノ → リヴィオ

──それは天気予報が当たった数日後の夜半。

その足は在るべきとされた場所から遠ざかり、人気のない路地を辿っていただろうか。
何時ぞやと違い空を覆う厚い雲はなく、星は瞬き月もまた同様に光を注ぐ。
それでも届く光がまばらな路地は暗く、黒く。
だからその色に溶け込み壁際でしゃがみ込む人影にもすぐ気づかないかもしれない。

だとして、「みゃぁ」、不意に猫の鳴き声がして。
「なぁに」、落ちた声は貴方にも聞き慣れたもの。

深く被った黒いフードの奥、翠眼は貴方の姿を捉えた。
驚いたように瞬きを繰り返したのもきっと見えなかっただろうが。
男は立ち上がり、手を伸ばした。

「──リヴィオせんぱい」

つんつん。
つついた腕は三角巾をしていない側だ。
貴方が視線を向けるのなら、パーカーのフード下には見慣れた後輩の顔があるだろうし。

「……そのカッコで散歩にしては、遅くない?」

ついでに割とすぐ下に白い子猫の姿もあった。
服の中に入れられて顔だけ出てる。
(-136) 2023/09/28(Thu) 23:27:46

【秘】 幕の中で イレネオ → リヴィオ

そこで止めるべきだった止めてもよかった
制圧したいだけならそれでいいはずだった。
貴方が知っているこの男はそういう男だったはずだ。

間接に負荷がかかる。可動域とは真逆に向けて体重をかけられる。当然苦痛の伴うそれは、貴方の喉から呻き声を漏らさせもするだろう。

めり。


なまじ真っ直ぐに硬い部位ではないがために一撃でとはいかず、逃げないのであれば貴方はそれなりの時間苦痛に呻くことになる。ゆっくり、ゆっくりと断裂していく感触が伝わったかもしれない。

めり。り。


男は声を発さない。ただまだ少し荒いままの息を繰り返して、煮えた瞳で貴方を見つめている。
貴方を屈服させることだけを一意に考えている。やはりこんな仕事には向いていないことが明らかだ。

めり。 めり、
めき。


それでも。
それでもなお抵抗しないなら、いつかその腕も自然な反発すらなくすはずだ。だらりと左腕が垂れ下がれば、男はようやく安心したように息を吐いた。
(-144) 2023/09/29(Fri) 0:47:24

【秘】 リヴィオ → 月桂樹の花 ニコロ

君は何を言っているんだ?

そう言いたげに傾く首はまるで、
自分は怪我をひとつも負っていないというような態度で。
しかしまぁそこに事実はあるしおかしな反応ではある。

「待たない。俺の目的は達成したん──」

だ、言い切るよりも前に足が動いて、
扉はぱたりと閉まり、代わりにその片足は
落ちかける君の支えとなるように差し出された。
その代償と言うのもなんだが、

「……………早く、ベッドに、戻ってくれないか??」

体重のかけられた足は一瞬でも体全体に響いて、
痛みに顔を顰める代わりに満面の笑みを君に見せる。

若干その笑顔が引き攣っている気がするのは気のせいだ。
…多分。
(-150) 2023/09/29(Fri) 1:37:31

【秘】 リヴィオ → 暗雲の陰に ニーノ



その日の夜、
男は友人の静止も聞かずいつもの徘徊を行っていた。

だって家にひとり、退屈は紛れない。
それなら晴れた外を歩く方が余程男の頭も冴えるというもの。
余計なことばかり考えてしまう時間は何より苦痛だ。

昼の活気を失い、落ち着いた夜の街を歩きながら、
ふと、足は人気のない路地へと迷い込むように曲がる。

暫く歩けば、猫の鳴き声。
ふ、と……海にも似た翠がそちらへと向かう。
向いたのは、猫の鳴き声がするからではない、けど。

「………おや、ニーノ。こんばんは」

右腕をつつかれながら笑みを浮かべて、
君と猫を交互に見やる。

「…いや、何。俺を呼ぶ可愛いの声がしてね。
 呼ばれてしまったならどんな格好でも出歩くしかない」

「……というのは勿論嘘で、こんな格好だからこそだよ。
 目立つだろう?両手が自由じゃないってのはさ」

だからといって出歩かない選択はないし、
医者に怒鳴られながらも入院は断固拒否した。
こういう所は強情だ、
な予感がするのだから仕方がない。
(-153) 2023/09/29(Fri) 1:54:33

【秘】 月桂樹の花 ニコロ → リヴィオ

「お前…その顔は自分の両手を見てから言えよなぁ…」

どう見ても両手が無事じゃないし、なんなら耳もちょっぴり。
不思議そうな顔をしてもダメなのだ。

「おーう…悪い。ちょっと足と腕がこれなの忘れてた。
あと、俺の目的が達成されてないんでやっぱ待ってくれ。」

片手で何とか、戻ろうと藻掻いて。
体の大半をベッドに乗せる事に成功するだろう。

そしてベッドに戻るついでに
ちゃっかり貴方の袖を掴んで引っ張ろうとしている。
行かないで欲しい、とそちらを見るだろうか。
(-156) 2023/09/29(Fri) 2:05:02

【秘】 口に金貨を ルチアーノ → リヴィオ

>>-106

「おう、改めておはようさん幸せ者」

「悪いがゆっくりは寝れんのだ。
 目は瞑っていいが寝るな、しばらくしたら俺が運んでやる。
 ……それとリヴィオ、お前医者嫌いだろー、顔に描いてある」

どうするんだその怪我と、ため息を吐いて医者に出張してきてもらおうかだとかぶつぶつ聞こえてくる。
金の力でどうにかする算段を独り言で呟いていれば漸く貴方の方に意識を向けて。

「なあリヴィオ。今どんな夢見てたか覚えているか。
 ……話せるんなら話せ、体より口が今一番動かせるだろう」

改めて訪ねるということを、教えてくれと頼むことは自分にとっても久しぶりであった。
幼馴染にも、友人にも、上司にも。知りたいと言って調べることはしてきた。
だが、その場で教わりたいとちゃんと言うのはそれはそれで勇気もいる者で。
決して自分勝手に関わりたいわけじゃあない、貴方のその口から聞いてみたいことだってあるのだ。
(-159) 2023/09/29(Fri) 2:15:59

【秘】 リヴィオ → 幕の中で イレネオ



「………ぅ、ぐ………は…はは…………ッ」

止まることなく感じる負荷に、やはり笑いは途絶えない。
呻きもあれど、この取調室に響く声は
そちら
が多めだ。

「あは…、………は、ぁッ…………は、」

まずは、ずり、と床に顔を擦ろうが、
男は君に顔を見せぬよう煮えた瞳から視線を逸らす。

「な、ぁ……イレ…ネオ……………君、たのし……かぁ?」

そうして、声を発さぬ君とは反対に、問う。
問いかける。既に制圧は完了しているはずの人間に、
こう
することは楽しいのかと問うている。

「いや、…な、に………つい、口が滑って、な……ァ、」

痛みに藻掻くように指先を跳ねさせながらも語り続け、

「わる………か、…………ふ、……はぁ、はッ」

荒い呼吸で体を上下させながら、
抵抗もなく、その行いを
受け入れ続けた


(-160) 2023/09/29(Fri) 2:26:40

【秘】 リヴィオ → 幕の中で イレネオ



「…………
゛」


日常ではあまり聞かない音とともに漏れた声は、
より一層強く跳ねた指先とともに静かさを君に届けるが…。

それでも尚、「ふ、」と笑う声が聞こえるのだから
君は、この男がまだ落ちていないのだと理解出来る。

痛みには、慣れている。
だけどやっぱり、痛みがない訳ではない。

叫びそうになった声は口内に広がる血とともに飲み込んで、
長い苦痛で生理的に零れかけた涙は、
逸らした視線のまま目を閉じることでせき止めた。

だからきっと、安心するように
吐かれた息はより強く感じられたのだろう。
(-161) 2023/09/29(Fri) 2:30:47