人狼物語 三日月国


246 幾星霜のメモワール

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視点:


【秘】 白昼夢 ファリエ → 聖女 リッカ

「あ………………こんなとこまで来るんだ」


ルフトから離れる意味はあまり無かったようだ。
音もない気配に
気づいてしまう

一人きりで感覚を遮断しているような今でも。
言葉に詰まる。咄嗟に動いたのは手でうなじの光を覆うように手を回す。
不自然な格好で歪に笑顔を作ろうとした。
(-75) 2024/02/07(Wed) 0:28:13

【秘】 白昼夢 ファリエ → 聖女 リッカ

「こんばんは。ご機嫌だね。
 お祭りを一緒に回ったの楽しかったから?」

あのデートは終始はしゃぎ回るあなたを連れ立って、絶対一人では行かないような出店や催しを梯子した。
聖女にまつわる物や話は、あなたの言った通り偽物も多かったようだけれど。
そんな裏話も楽しくて。
何よりあなたが楽しそうにしているのは見ていて悪い気はしなかった。あの時は、まだ。

「それとももっといい事があった?」

会話らしい言葉を吐く。
あなたに混ぜ返される空気は、抑えていた胸中の揺らぎを乱す。
聖女様。聖女様。あの声が耳に残っている。
ぐるぐる。頭の中を回って目が回りそう。
だから、あなたが押しとどめた何かを察する余裕もなかった。
(-76) 2024/02/07(Wed) 0:29:45

【秘】 薄荷 アンジュ → 白昼夢 ファリエ

「薬以外に売るものを急いで作ろうとした物なので、お安いし、割引しますので」

薬に関しては品質をわざとバラけさせることで熟練から初心者まで幅広く対応するものを売っているが、こうしたアクセは加減もまだ分からないのでお試し価格で統一されている。記念品価格にするのも忍びないということもあり。
祭りに浮かれている人々と違って、きっと常通りの自然な姿なのかもしれない。それ自体は己もそう変わらないけど。跳ね上がるのは価格だけで、心構えは常通り。

「防腐処理もしているので……お部屋のインテリアにも使えるので」

苦笑しながら、そうですね……と一つ間を置いてから。

「気にさわったらごめんなさい。
 えっとですね、痣が光るあとと前で変化が訪れる……一種の病気なんじゃないかというお話を耳にしまして。
 そのあとのメンタルや体調のケアができればと思っていたんですが……体に作用するものなら、不活性化するものを作れば予防できるのではないかと思いまして。
 自分でも飲んでみたんですが、特に活性化する様子は今のところなくて……ほかの被験者のデータがあると嬉しいな、と思いまして」

荷物からまた別の、厳重な箱に入ったそれを慎重に取り出す。
配合したてなのか、白い粉薬らしき包みをそっと、他の人たちから隠すように見せる。

「お祭りで聖女様を信仰する立場の多い中で疑る真似をしたくはありませんが……よければ手伝ってほしいのです。なにか救われるものがあるかも、しれないので」
(-84) 2024/02/07(Wed) 10:09:04

【秘】 白昼夢 ファリエ → 薄荷 アンジュ

「ふふっ。なんだか盛りだくさんですね。
 じゃあ子供達が喜びそうだったら買いますよ。
 それだったら私のポケットマネーじゃなくて孤児院のお金も使えるから、色々手が届くようになるかもしれません」

さすが店を構えるだけあって謳い文句はひと揃い。
そこまで言われたら前向きに検討をし始める。そういう性格。
どこかしら女も祭りの空気にあてられて気が緩んでいるのも一押ししていた。

「はあ……」

世間話はさておき。
説明を聞いて、受け取った粉をてのひらに包んで、それから首を傾げた。
正直きちんと理解できた気がしない。

「……この痣が病気かもしれないって話は本当だったんですか?
 これがその病気に効く、かもしれない薬?」

整理するように聞き返す。
今のところ確かに大きな不安はあったものの、特別変わったことは自覚していない。
そのための薬、と言われてもピンとこないのは仕方なく。
しかしこれが
祝福の証
ではないという説にはどこか信じたくなる気持ちがあるのも事実だった。

「協力するのは構いませんが、まだ試験段階ということでしたら……その副作用とか。
 その辺りは大丈夫なのでしょうか?」

薬なんて滅多に買うことがない女は分からないことそのものが懸念らしい。
(-97) 2024/02/07(Wed) 20:49:13

【墓】 白昼夢 ファリエ

>>17 エミール

「あなたでもやっぱり気にするんですね」

そこは同じ痣持ちということだろうか。
女は自分以外の事情は知らないから推測することしかできない。
ただ、あなたから聞いたように同じような反応をする者が居たのだとしたら共通点のひとつやふたつあって然るべきだ。
それが何なのかすぐには思いつかなくて、親近感と諦観の息を吐いた。

「……祭りの後、ですか。
 もしかして私をどこか、此処じゃない場所に連れ出してくれるんですか?
 どうしたんですか急に。買い出しの序でに食事をするのとは訳が違いますよ」

粗方吐き出して多少なりとも胸のつかえがとれてきたと感じて気を抜いていたから、あなたの提案にはっと顔をあげた。
きょとんと瞳をまあるくして、じっと見つめる。
あまりに突拍子が無くて思わず勘繰ってしまうのだ。

「旅行の供には面白みのない女ですが」
(+8) 2024/02/07(Wed) 21:04:49

【秘】 薄荷 アンジュ → 白昼夢 ファリエ

「ふへへ。子供のさじ加減となると難しいですが……女の子がいれば気に入って頂けるかと。
 こういうのを大事にしてくれそうな子であれば、せっせと編んで作った甲斐もありますから」

利点を見出し、付け入る隙を見つけて、妥協点を提示する。
商売人になってからこういう話をする機会はぐっと増えた。話しやすい相手、というのもあるけれど。

「本当かどうかはまだ分かりません。ですが一種の予防効果は期待できるものとして踏んでいます。
 痣が光る要因が祝福という名の病、ないしある種の呪いのようなものと仮定した場合、それらを阻害する方法で乗り切ることが出来ると考えています。
 対呪、対魔に効く効能の薬と、それに体に活力を与える数種の薬草を混ぜた上で調整しています。
 本来であれば光った後の予後処理さえ行えば手間はかからないのですが……こうして事前に予防策を練れば、皆さんが余計に辛い思いをしなくて済みますから」

そうして副作用とか、と口にされると。

「少し体温が上がったり、疲労感は出てくるかと。ただ一晩寝れば副作用は感じなくなるかと。
 ……お代はいりませんし、よければこの花冠も差し上げますので……。
 皆さんを救う手助けをしてくださいませんか」

あなたに花冠を差し出しながら、勢いよく頭を下げる。
(-98) 2024/02/07(Wed) 21:10:33

【秘】 白昼夢 ファリエ → 薄荷 アンジュ

「どうでしょう。やんちゃな子が多いから壊さないようにちゃんと言っておかないとですね」

当然商人とのやり取りなんて不慣れもいいところ。
それはもちろんこの薬についても同じで。

「ええと……うーん……」

花冠まで差し出されて頭まで下げられている。
どうしたらいいのか分からない。
何かを自分で選べることは数えるほどしか無かった。
だから選ぶのは苦手だ。
選べないことはある意味で身を任せるだけで済むという楽さがあるのを感じずにはいられない。

「あの、頭をあげてください。そこまでしてもらうような人間じゃありませんよ。
 でも……こんな私でもみんなの救いの手助けができるなら」

質問の回答を聞いてもやっぱり分からないままな部分の方が多いけれど。
女にとっては一つの結論を下せたようだ。

「分かりました。もしかしたらその為に選ばれたのかもしれませんし」

その為なら耐えられるものだと、判断した。
どうして一般人の取柄もない人間が祝福など受けようか。
あなたから与えられた分かりやすい餌はとても魅力的に映ったに違いない。

「使い方はこれを飲むだけで良いんですか?」
(-99) 2024/02/07(Wed) 21:47:45

【墓】 白昼夢 ファリエ

>>19 エミール

「そんなことは……別に思ってませんよ。
 私に比べて随分と落ち着いているから、違うんじゃないかって思っただけです」

口をとがらせてそっぽを向いた。
ばつが悪そうに足元の小石を蹴り飛ばしてみたり。
まるで立場が逆転してしまったみたいでそれ以上強く出ることもできなかった。

ちょっ!
ちょっと!ねえ、揶揄ってますか!?
 さっきまで私、慰められてましたよね?」

意地の悪い顔だとぼやいている内に湿り気はどこかに攫われていったような気がした。

「風向きが変わったってこと?
 今までずっと田舎に引きこもってたくせに……説明不足ですよ。
 心境の変化にしてもやっぱり急ですって。
 ちゃんと教えてください。じゃないと私行きませんからね」
(+9) 2024/02/07(Wed) 22:30:55

【秘】 薄荷 アンジュ → 白昼夢 ファリエ

「あ、ありがとうございます……! これで皆さんを救うことができます!」

ぱっと顔を上げると、泣きそうな程の勢いで眼を潤ませていた。
――選択を迫る際、泣き落としや懇願、脅迫も含めて、事実上の選択肢を一つに絞らせる手法は数多くある。
「いいえ」と言われたらそれまでではあるものの、あなたは真摯に話を聞いてくれて、一笑したりはぐらかしもせず受け止めてくれた。
……なればこそ、あなた以外に適任はいない。

「いいえ、あなたはとても立派な人です。私を笑わず受け止めて下さったんですから。
 これもまたお導きなのでしょうか。本当にありがとうございます!」

同じくただの一般の人間で、こんな幼い自分がなぜ選ばれたのか。
こうして猛進し、薬を作るためだったのだと再認識する。それが認められたことが嬉しくて、縋るようにまた頭を垂れた。

「はい、この薬を飲むと効果が表れます。最初は熱っぽい感覚が来ると思いますけど……すぐに良くなりますから。お祭りの参加に支障は出ませんので」
(-100) 2024/02/07(Wed) 22:44:51

【秘】 聖女 リッカ → 白昼夢 ファリエ


ここが聖女の創った世界である限り、聖女はどこにだって現れる。
聖女がただルフトの守り神であったなら、その限りではなかったろうに。
でも、守り神なんかでは、なかったから。


うなじを覆うその姿を見て、聖女はゆるやかに目を細めた。
本当に、自然な笑みで。
その自然さは異質と受け取られても不自然ないのだが。
努めてそう振る舞う聖女はそんなことすら
わからない


(-135) 2024/02/08(Thu) 20:38:49

【秘】 聖女 リッカ → 白昼夢 ファリエ


「 ふふ、ごきげん! そう見えるかしら!
  だとしたら、ええ。
  "ファリエお姉ちゃん"の、おかげかしら? 」

静かで、ささやくようで。
それでもどこか子供みたいな声で笑う。
聖女にとってもあの日は本当に楽しい一日だった。
  これが最後でいいって、本当に思っていた。


「 本当に楽しかったのよ。
  だから―――」

(-136) 2024/02/08(Thu) 20:40:29

【秘】 聖女 リッカ → 白昼夢 ファリエ

だから、聖女は。
あなたもきっと楽しんでくれたと思ったから。
それを思い出してもらいたくて。……嫌なことを考えなくても、いいように。



「 
ないわ
! 」

「 もっといいこと、なんて! 」



そう、努めたのだ。
明るい笑顔で。そして、無邪気そうな子供のこえで。

(-137) 2024/02/08(Thu) 20:43:26