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【秘】 路地の花 フィオレ → 幕の中で イレネオ「っ、!」 口内を堪能するような時間は与えられず、女の細い首はその手に捕えられて。再びこの地に縫い付けられる。 ギリ、と締め上げられて。首に回していた腕で、あなたの片腕を握って離させようとする。 女の腕力だ、敵いっこない。 この口付けは、咄嗟に思い付いたものだ。 故に、何かを仕込む余裕などなかったのだが。あなたを疑心暗鬼にさせたならそれで十分仕事を果たせたと言える。 打って変わって、あなたの下の彼女は苦しげに顔を歪ませている。 結局のところは引き剥がせなかったわけだから、形勢逆転とまではいかなかった。 (-81) 2023/09/28(Thu) 11:21:47 |
【秘】 幕の中で イレネオ → リヴィオその名前にも男が揺れることはない。 信じている。警察を、正義を、善性を、彼のマフィアへの嫌悪を信じている。 信じているのだ。純粋に。この行為が真実正しいものであると信じている。 だから止まらない。止まらなかった。 刃の冷たさを内側に感じたはずだ。 ついで熱の感覚に近い痛みが襲う。 それは男が貴方に与えるもののはずだった。 緊張した身体に油断していた。緊張しているからこそ、抵抗はぎこちなくなるものだと思い込んでいたのだ。 ▽ (-82) 2023/09/28(Thu) 11:22:20 |
【秘】 幕の中で イレネオ → リヴィオどん。 衝撃を感じたのはこちら。反射的に視線をやればかち合った。きっと貴方の瞳は激しく反抗に燃えて、それを裏付けるように歯を剥き出しにする。それで怯んだとは言いたくないが、見た事のない表情に一瞬動きが止まった。 がち。 骨と歯がぶつかる音。昨日も聞いた音。まずい、と思ったのはそれも反射だ。 髪を掴んだ左手を引き倒すように横に振った。 薬を飲んでいるとはいえ負荷がかかる。親指の軋む痛みに顔を顰めたが構わない。右まで奪われるのはまずい。 そうしてその抵抗が叶うなら。 貴方は男ごと床に倒れ込むことになるはず。急激に揺らされた頭はくらりと遠のくはず。隙ができるならばそのまま、動きを封じるように腕を固めようとするが。 (-83) 2023/09/28(Thu) 11:22:29 |
【神】 アリソンに捧ぐ鐘 黒眼鏡──ノッテ・ファミリーのアジトは、当然ながら街中にある。 周囲の人間もそこがマフィアの根城であることは知っているから、壁によりかかったり周囲で騒ぐやつはそうそういない。 それでもそこは市中であり、人通りもあれば車や荷物が往来することも珍しくはなかった。 そんな中。アジトの一角にひっそりと置かれたその「荷物」──何の変哲もない黒いスーツケースは、ファミリーの一員である若者が置いていったこと、そして取締法失効に伴う混乱によって、見分されることもなかった。 だから、それが原因であると気が付くものはいないままで。 ──パパパパパパパ パァン !!けたたましい破裂音と共にそれが「爆発」した時。 すわ襲撃かと銃を手に駆け付けた構成員たちが見たのは、内側から真っ二つに焼け焦げ吹き飛んだスーツケースの残骸に過ぎなかった。 「っンだこれ」 「……な、なんだ? テロ?」 「いや、これ…花火じゃねえか」 「イタズラ〜?」 「ウチ相手にそれやるのはバカかジェームズ・ボンドだけだろ」 「じゃあCIAだ」 「CIAがうちに何の用だよ」 構成員たちは、訝し気に顔を見合わせる。 そんな混乱と焦燥が、彼らの判断を僅かなりと鈍らせていたといえる。 …だから、気が付かなかったのだ。 「よう」 アレッサンドロ・ルカーニアが、ぽん、と肩を叩くような距離に近づいてくるまで。 #AlisonCampanello (G0) 2023/09/28(Thu) 11:29:12 |
【神】 アリソンに捧ぐ鐘 黒眼鏡>>G0 「ぅお」 「キャ」「ギャア」「ひ!」「マジでビビる!」 「くそばか眼鏡」 「やめてくださいよアレ!」 「……って、おいおい、お前ら、おい…」 驚いたように飛び跳ねたり文句を言ったり、めいめいの反応を見せる構成員たち。 ──だが数名は警戒して距離を取り、手に持った銃を遠慮がちに向ける。 「どうした」 にやにやとしたいつの笑みに、向けられた銃口が下がる。 訝し気な顔と困惑した視線が絡みあって、緊迫した糸がぷつり、と切れた。 「い、い、いや、だって、あれ、取締法」 「裏切ったって…」 「いやそんな」「旦那がさぁ、そんな」「ね、だよね」「お前らさぁ」 「ハハハ、まあ待て、お前ら、落ち着け」 まあまあ、なんて手つきでその場を押さえる。 カポ・レジームとしてのその仕草に、構成員たちは思わずぽかん、と立ち止まって。 #AlisonCampanello (G1) 2023/09/28(Thu) 11:31:18 |
【神】 アリソンに捧ぐ鐘 黒眼鏡>>G1 「怪しいと思ったら」 バ バ ガン 。「ぐ」「ギャ」「っ、あ」「っづ」 「先に拘束」 背後に隠していたソードオフ・ショットガンから一度に二発。 立てつづけに放たれた鳥撃ち用の散弾が、至近距離で密集していた構成員たちを襲った。 室内にいたことで肌の露出している服を着ていた若者たちが、あちこちに被弾してうずくまる。 直径0.2inch以下の鉛の雨が手足や顔、首の皮膚を突き破り、発砲炎に照らされた赤い飛沫が花束のように咲き乱れた。 「う…」「ってぇ、く、…ッ」 「コラ」 被弾の少なかったソルジャーが痛みと衝撃に顔をしかめながら、 突きつけるよう向けた拳銃がバギン、と真横に弾かれる。 身を低くし、スーツの裾を翻しながら距離を詰めたアレッサンドロが、踏み込みと同時に跳ね上げた足刀。その横殴りの爪先が、中途半端に前にだされた銃身をとらえたのだ。 さらに振り抜いた足が振り下ろされて、若いその男の掌をばきばきと踏み砕く。 「、っ、あああああっ!!」 「アキッレーオ、ピストルを構える時腕伸ばしすぎ。前も言ったろ? 室内戦なら引いて体につけんだよ。おめ〜は前からかっこつけて、銃をこう…横に構えるからさぁ、やめろってマジ」 #AlisonCampanello (G2) 2023/09/28(Thu) 11:33:28 |
【神】 アリソンに捧ぐ鐘 黒眼鏡>>G2 くるり、と回したショットガンに弾丸が装填され、つきつけるようにもう一発。 散弾に吹き飛ばされて床に転がっていた女性のアソシエーテの右膝が、至近距離からまとめて叩き込まれた散弾でずたずたに引き裂かれる。 「ぎ、ぁッ! あ、ぁああッ!」 「ビアンカ、彼氏とうまくいってるか? 優しそうなガキだったよな、あれだ、面倒見てもらえよ。 そんくらいやるって、やんなかったらこえ〜ぞ、うちのルチアーノがっていっとけ」 奇襲によって乱れた集団は、既に抵抗する能力を失っていた。 アレッサンドロは彼らに無造作に近づいては、次々と追撃を咥えていく。 這って逃げようとした男の頭をがつんと蹴り、銃身をこん棒のように振るってタックルをかけてきたもう一人を殴り倒す。 散弾を最も多く浴び呻いていたメイドマンの胸倉を掴んで引き起こし、その指をごきりとへし折る。 「カミッロ、親父さんの借金は払っとくから。入院代は心配するなよ」 「エルネスト、俺がやった万年筆どうした? …お、持ってんじゃん。高いから大事にしろよ」 「フェリーチェ、お前料理屋やったほうがいいって。 俺がやった車売れよ、ちゃんと値段調べたか?」 ──最初の発砲から20秒とたたないうち、五人の構成員たちが床に転がり呻く。 アレッサンドロはまるで酒の席のように、ひとりひとり言葉をかけた。 そしてその返答を聞く様子もなくショットガンを肩に担ぎ、 サテ次は、とアジトの奥に進もうとして。 「……お」 どかどかという足音。ぶつかりあう硬質な音は力強く、だが統率が取れている。 その動きを聞いた途端、アレッサンドロは足を止め──にんまりと、口元に笑みを浮かべた。 #AlisonCampanello (G3) 2023/09/28(Thu) 11:34:51 |
【神】 アリソンに捧ぐ鐘 黒眼鏡>>G3 「もうか! いやあ、うちのソルジャーも捨てたもんじゃないな!」 我が子の成長を喜ぶ父親のように、誇らしげで嬉しそうに声を弾ませると、懐から取り出した使い捨て携帯電話をぱちんと開く。 ボタンを指で押し込んで、ピ、という電子音が一瞬鳴った――直後。 ――爆音が、五つ。 アジトの各所、計五か所。 アレッサンドロがあらかじめ協力者たちによって配置させていた爆薬が、一斉に封入された爆発力を解き放った。 建物全体が僅かに軋み、置かれていた観葉植物の鉢が斜め上に跳ねて砕け散る。 窓ガラスのほとんどが白い雨のように割れ砕け、甲高い音を立てて路上の上で跳ね返った。 「………、ハ、ハ」 天井からぱらぱらと落ちた建材の破片が、ばふんと顔に落ちてくる。 ぺろりと唇を舌で拭い、牙をむきだすように笑ったアレッサンドロはしかし、そこで――くるり、と踵を返した。 #AlisonCampanello (G4) 2023/09/28(Thu) 11:36:41 |
【神】 アリソンに捧ぐ鐘 黒眼鏡>>G4 本来の『プラン』では、ここで死ぬまでカチ込むはずだったが。 そうはいかない事情があった。 喧嘩のケリをつけなければいけない相手が、もう一人残っている。 がしゃあん。 僅かに残った窓ガラスを内側から蹴り砕いて、アレッサンドロは路上に飛び出した。 「あっちだ!」 「あんクソ元ボケ上司…ッ」 「撃て、マジ殺せ!!」 上階の窓から身を乗り出したソルジャーたちが、その背に向かって発砲を繰り返す。 だがアレッサンドロはそのまま迷う様子もなく、開けっ放しにされていた近くのマンホールに身を躍らせた。 #AlisonCampanello (G5) 2023/09/28(Thu) 11:37:36 |
【神】 アリソンに捧ぐ鐘 黒眼鏡>>G5 ──カポ・レジームであるアレッサンドロ・"黒眼鏡"・ルカーニアによる、『カチコミ』は、僅か3分の出来事だった。 設置された誘導用の花火、および爆薬によるけが人はなし。 だがアジトの設備や建物には少なくはない損害が出た他、 「奇襲」してきたアレッサンドロの手が5名の構成員が重軽傷を負う。 命に別状こそないものの、足や手に障害を受け今後ファミリーを続けることが難しいものもいた。 被害者の中には、アレッサンドロの配下である者も含まれている。 さらに彼が取締法への献金により、マフィアの勢力に打撃を与えようとした疑いも残ったままだ。 つまりこれは、彼本人による裏切り。 …曲がりなりにもカポ・レジームにまで上り詰めた男によって、ノッテ・ファミリーは少なくはない打撃を受けたのだ。 さらにこの上、アレッサンドロに然るべき「報復」を与えられないとなれば、 マフィアとして――暴力組織としての面子が立たないだろう。 こうして、アレッサンドロによる『プラン』は一定の成功を見る。 ノッテ・ファミリーに「一発かました」男は、下水道に逃げ込んだあと見事にその姿を晦ませた。 結果的に彼は、10年かけて用意した人脈、準備、調査、全てを駆使し、この一石だけを成功させたのである。 #AlisonCampanello (G6) 2023/09/28(Thu) 11:39:12 |
黒眼鏡は、行方を晦ませた。 #AlisonCampanello (a13) 2023/09/28(Thu) 11:39:29 |
【秘】 幕の中で イレネオ → アリソンに捧ぐ鐘 黒眼鏡「違う」 何が? 以前もこうなった。 「違う!」 ならば否定しなければならない。 堂々と。理路整然と、正しく。これは正義なのだから。 「如何なる手段を持ってしても聞き出せと命令だ」 吠える。 自分の頭で考えた、わけではない。 「したくてしているわけじゃない」 吠える。その嘲笑を掻き消したい。 どうあれ事実は事実であるのに。 「大体」「お前たちが」 「お前たちが何もしなければ」 「こんなことにはならなかった!」 吠える犬は噛まない。ならこの男は犬以下である。 貴方の口に手が伸びた。せせら笑う舌に向かって。閉じないなら引き掴んでやると。 他責の正義。 調和でも融和でもない排除の正義。 白と黒の黒を徹底的に焼き尽くす愚直な暴力。 男の手の中にあるのはどこまで行ってもそれだけだ。 (-84) 2023/09/28(Thu) 11:59:27 |
【秘】 アリソンに捧ぐ鐘 黒眼鏡 → 幕の中で イレネオ「どんな命令があったって 誰の命令だって "いかなる手段も"合法になるわけねェだろ! 法律ってのはそういうもんじゃねエんだよ、 それが通るならマフィアだって必要悪とか言えちゃうだろ。 そういうバカな言い訳を封じるためのモンが法律だろうが」 げらげらとした笑い声はますます大きく、 煽るように高鳴るばかり。 「何をしてどうなったかちゃんと言えよおめェ! ほんとにわかってやって──」 伸びた手を避けることも無く、ぐにり、と筋肉の束をひっつかまれて。 「……へ、へ、へ。」 舌を掴まれても笑えるぞ、と。 口の端をぐにい、とゆがめた。 (-85) 2023/09/28(Thu) 12:08:51 |
【秘】 月桂樹の花 ニコロ → 口に金貨を ルチアーノ猛威と理不尽を振るった法が失効して 多くの囚人が日の下へと送られる中。 ニコロ・カナールは未だに牢の中に居た。 というのも、拷問で負った怪我のせいで、動けないのだった。 右腕、右足の骨折に肋骨も何本か。 顔や身体には打撲痕もある。 そして何より、拷問時に薬を2種類同時服用したことで 体が怠さと熱っぽさの不調を訴えているのだった。 それでも、意識だけはきちんとあるのだけれど。 薬そのものの効果がきちんと調整されていて 且つ量も大して飲まされることが無かったのは幸いだった。 もし調整されていないものであれば 意識すらも危うかっただろうから。 そんな訳で。 どうしたものかなぁ、なんて考えながら 動く気にもなれず、ぼんやりと時を過ごしているのだった。 (-86) 2023/09/28(Thu) 13:22:38 |
【秘】 月桂樹の花 ニコロ → リヴィオ法が失効してから。 貴方もまた、牢から解放されて 病院送りになったろうか、それとも自宅療養だったろうか。 ともあれ、動ける程度になった頃合いに 運命共同体を謡っていた狼を探してみれば どうも病院に放り込まれたという話が聞こえてきた。 ちょっとでも様子を見てやるか、と思ったのか 話したい事があったのか。 貴方は彼の病室を訪れる事を決めたのだろう。 ニコロ・カナールの病室は個室になっていて それもそこそこ怪我の程度が重い人向けの病床だ。 重体、とまではいかないけれど、重傷なのは伺えるかも。 けれど実際訪れてみれば、当人は無事ではある様子で。 腕と足を吊った状態でベッドに横になって 点滴の管に繋がれている以外は、意識もあって元気そうだ。 (-87) 2023/09/28(Thu) 13:28:33 |
【秘】 幕の中で イレネオ → 月桂樹の花 ニコロぐらん、と。 貴方の頭が傾ぐのが見えた。見えただけ。 避けるに間に合わぬ近い距離。ごん、鈍い音と共に脳が揺れる。 「ッ────」 勢いはそうなかったはずだが頭骨は硬い。それは怯ませるには、かつ貴方の反撃の意志を伝えるには充分なものだった。 次いで蹴飛ばす足も入る。ずぐ、と男の硬い肉を、貴方は膝か脛かに感じたはずだ。しかしだからこそわかるだろう。 命中したわけではない。 男は目が良かった。 外している時の方が良いのだ。だから、反応が遅れることもなかった。完全な一撃として食らう直前、距離を取って避ける。 チ、と舌打ちが聞こえた。 一転、表情に不機嫌の影が差す。 (-88) 2023/09/28(Thu) 13:40:14 |
【秘】 口に金貨を ルチアーノ → 月桂樹の花 ニコロ>>-87 「Ciao,ニコロ」 快活な声色だが気だるげな態度で声をかけるのは首までしっかり着込んだ貴方の友人色男だ。 「……はあ。 なんでこうなってるんだ? 説明はするな、どうでもいい。大変だったなあ」 鍵が開けられた牢の中に入れば貴方の目の前に行ってしゃがみ込む。 目の前の男の傷は見ているだけで痛々しい、その上何か飲まされているらしく扱いが厄介だ。 俺が背負っていかなくちゃならんのかもしれない。それは怠い。 「――問いに答えてくれえ。 手は、貸してほしいか」 (-89) 2023/09/28(Thu) 14:02:28 |
【秘】 新芽 テオドロ → 路地の花 フィオレ『いいですよ』 『なんでもいいです』 音声入力なんかしたことないし、かといえ細かいニュアンスを記せるほど自由な指はないから、突き放すというかもはやただただそっけない文面になってしまった。 『一度家に来ますか』 『開けています』 ベランダに飾っている花たちのことも考えなくてはならないし。 そんな気分で、軽い気持ちで家に招くのだった。 (-90) 2023/09/28(Thu) 14:11:43 |
【秘】 路地の花 フィオレ → 新芽 テオドロ『はいはい、じゃあ適当に持ってくわ』 手の状態は知らずとも。 まだ万全ではないのかも、ということくらいはわかる。 『元々家で済ませるつもりだったから、出かける準備はしなくていいわよ』 『買い物が終わったら向かうわね』 サングリアやワイン、カクテル用のジュースパック。 それからスプーンやフォークを不要とするご飯やデザートの類をいくつか買っていく。 せっかくだし、遅れた退所祝いみたいなものにしてしまおう。そんな魂胆で。 買い物を終えたなら、あなたの家に向かっているだろう。 メッセージが来た日の夜、あなたの部屋の扉がノックののちに開かれた。 (-91) 2023/09/28(Thu) 14:21:23 |
【秘】 新芽 テオドロ → 花浅葱 エルヴィーノ>>-67 「どっちもです」 どっちもらしい。酷い怪我をした理由じゃないにしろ、 ちょっと無茶をしたときもそれなりに痣が出来た。嘘はついていない。 何より、これをした人間の名を上げたところで、 良いことがおきるとはこれっぽちも思っちゃいない。 罪はともかく、何か俺に対して悪いことをしたか≠ニ問われればそうとは言い切れない。己にも非があり、そしてきっと彼にも彼なりの報いがある。それに任せようと思うのだ。 「罰をある程度受け終わったら、 その時はまた張り切ってやっていきましょう。 こうして休んでる間にも溜まっていきますからね、仕事って」 それよりも、今は目の前のあなたに、 もう少し誠実であれるところを探したい。 「……へえ。これまでは度々冗談を言っていましたが、 今度こそ本当に寝かしつけてやりましょうか? 手仕事が出来なくて暇な時間は本当に暇なんですよ、こちとら」 やはり願うだけは性に合わない。 自ら率先して、今度は自分を使いつつも削らない全体の利益を求める。ありていに言えば───ちょっと図々しく成ろう。そう決めたのだ。 (-92) 2023/09/28(Thu) 14:31:15 |
【秘】 花浅葱 エルヴィーノ → 口に金貨を ルチアーノ「え、ちょ、な……っ」 なんでキミがそんなに怒るんだよと、喉まででかかった言葉は出ぬまま、牢屋を追い出されてしまった。 この仕事をしていればマフィアに会わぬことなどできないというのに、無茶苦茶なことをいうと、ぶつぶつ何かを言っている。 あなたに大事にされていることくらい、周りから見ればすぐわかることだろうに、当の本人はそれに気づかない。 ただ、それでも。 たまにしでかす物事が、危なっかしいと心配をさせてしまっているのは確かな話。 これから行う仕事も、あなたには絶対にいえない話ではあったが、言えばきっと怒られてしまっていたのだろう。 事実、マフィアにただ会うよりも危険なことをして、 大きな負傷をもって病院に運ばれてしまったのだ。 あなたと次に会うのは病院か、それとも外になるか。 何にせよ怒られる案件をひとつ、増やしてしまったのは確かな話だった。 (-93) 2023/09/28(Thu) 14:33:05 |
【秘】 新芽 テオドロ → 路地の花 フィオレ「本当は次に備えて、 もう少し整理とか準備などしてようと思ってたんですが」 「あまりにも予定のブッキングが多かったですね」 以前来た時とまるで変わらない、 どことなく寂しいシンプルの過ぎる部屋を背に出迎える。 これ以上どこを整理できる場所があるというのだろうか。 「さ、適当に置いて行ってください。 俺が手伝えることは殆どないでしょうので、あんたの勝手に。 勿論狼藉を働いたら蹴り出しますが」 出迎えも漫ろに背を向けて歩いていく。 手袋の嵌められた腕先の動きは少々ぎこちなく、室内でつけているのはまあいいとして、この季節にしては暑苦しそうに見えただろうか。 (-94) 2023/09/28(Thu) 14:44:50 |
【秘】 法の下に イレネオ → 路地の花 フィオレくそ女、とは言わなかった。 それなりの自制、それなりの理性、それなりの当然の善性は、男にもあった。 この時は、まだ。 焦りで鼓動が逸る。それで思考が鈍くなり、貴方の首を押し付けるようにする力ばかり強くなる。はっと下を見れば酷く歪んだ顔があって、男はそれにも動揺した。動揺した自分に、それを催させた貴方にまた苛立ちが募った。 舌打ちがひとつ飛ぶ。ままならない思考とこの行為に対して。伴って男は貴方の上から退き、同時にその半身を蹴り飛ばした。 八つ当たりだ。 貴方の身体が再び砂利を擦って転がるだろう。壁にでもぶち当たればどこかしらが切れるかもしれない。しかしむしろそれを利用して、距離をとって立ち上がろうとすることは不可能ではない。かもしれない。 (-95) 2023/09/28(Thu) 14:48:28 |
【秘】 花浅葱 エルヴィーノ → 新芽 テオドロ>>-92 「どっちも」 それは軽く言うことだろうか。 まぁ、本人がそれほど気にしてない様子に見えたので、それ以上は聞かないことにする。 ――きっと、言えない事情もあるのだろうし。 なんていう事を考えてるのだから、結局身内に甘い男なのだ。 「考えたくないな……実際キミ達が居なくて僕と先輩の仕事量すごかったんだ」 それこそ、あの自分磨きが好きなリヴィオが、鏡を見る時間もないほどだったのだから、どれほど仕事がためられていったかは想像に難くないだろう。 仕事に真面目な人間というわけではないが、それでもその時のことを思うと、まだ起きることも難しい身体が少し恨めしくなってしまった。 珍しい話である。 「え”……、や。冗談のつもりで言ったんだけど。 ここでそれを頼んだら前の二の舞い……じゃなくて、後で僕がものすごく叱られることになるんだ」 ないとは思うが、ついでにキミも怒られることになるかもしれない。 事件の日の朝を思い出して、重い息をついた。 (-96) 2023/09/28(Thu) 15:08:41 |
【独】 歌い続ける カンターミネ署内のどこかで『ケーサツ』の端末が震える。 取り出し見ればその場で仰け反るような文字が踊っていた。 「勘弁してよオッサン……なにしてんの……?」 思わず"素"が出た。こほん、と咳払いひとつ、 周囲に人影がないのを確認して高速で返事を飛ばす。 『他の連中には内密にして探し出せ』 《えっ?連携を取った方がいいのでは》 『殺すならそうだが、俺はまだ用があるんだよ。 指揮権も貰ってるし、港から最新の空撮ドローンを かっぱらってこい。熱源探知機能付いてる奴な。 それからチームルームに下水道の地図があったろ。 あの辺揃えてB4倉庫で開始しろ。 俺以外の誰にも知らせんなよ』 《しかし……》 『あ〜なんかうろ覚えだけど、確か港には 新型のグラボがどっかに運び込まれてた気がするなあ。 それはさておき、いい働きを見せた奴の手元には 幸運が転がり込むらしいって昔から言うんだよな〜』 《イエスマム》 『よろしい。他の連中に先を越されるな。 俺の直属情報チームの実力、見せてみろ』 そして端末を閉じる。 「始めよう」 警帽を深く被り直すと、『ケーサツ』は歩き始めた。早足に。 (-97) 2023/09/28(Thu) 17:14:53 |
【秘】 幕の中で イレネオ → アリソンに捧ぐ鐘 黒眼鏡「マフィアが必要悪なわけがあるか」 「お前たちが必要悪なわけがあるか」 へらへらと笑う表情が嫌いだ。 楽しげに全て奪ったお前たちが嫌いだ。 それは骨の髄に染み付いた偏見からくる嫌悪だ。 「────アルバを亡くしたのはお前たちだろうが!」 笑う度にかかる息が、挟んだ指の間で震える濡れた肉が、自分と同じ温度が、不快だ。 見縊って笑う横面に拳を叩き込みにかかる。憤怒の衝動にかまけた渾身の一撃。成功すれば貴方は音を立てて転がってくれるか。その体躯に対しこの力ではまだ足りないか。少なくとも舌を噛むくらいはするだろう。 「黄昏抗争で何人が死んだ」 「アルバからの提案がなければ更に何人殺した?」 「お前たちの切った舵で警察との関係は悪化した」 「そうじゃなきゃこんな法案が施行される必要もなかっただろうなあ!」 椅子を立ち上がって回り込むのすら面倒で押し除ける。ぎぎぃ、摩擦で軋むような音が鳴った。 ────イレネオ・デ・マリアは、 ノッテファミリー が嫌いだ。 (-98) 2023/09/28(Thu) 17:19:17 |
【秘】 アリソンに捧ぐ鐘 黒眼鏡 → 幕の中で イレネオがじゃあん、と派手な音をたてて椅子ごと床に転がり、倒れる。 ぺ、と吐き出した唾には赤いものが混じっていて、舌か何かを切ったようだ──だが。 「……げほ。……はぁ?」 そんな痛みや衝撃よりも、きょとん、とした顔。 「アルバってお前…ジジイの代の話だろ。 確かアルバの残党はノッテが吸収したらしいが、 知らんよそんなの」 「つうか、あれなの? アルバならよかったなんて、完全に『マフィアでもやってることによっちゃ必要悪』って話だろ。 それは」 「……当時のアルバとノッテのやってることの違い、分かってる? 時代背景との相関性とか〜……」 うーん、と考えるように転んだままで目をさ迷わせて。 「いや、そういうこっちゃないか。 黄昏抗争なんて今時、学校で習うのか? それともネット・サーフィンしてて見つけたのか。 お前あれだな。そんなに叩いていいモノが欲しかったんだなあ。そんなに殴っていいものが欲しかったのか。 それは昔から? ママにしつけられたからか? 学生時代は殴るモノがなくてベッドの中でシコるくらいしか暴力衝動を発散できなかったのか? じゃ〜〜お前、俺に感謝すべきじゃねえのか。 法案通してやった んだから」わはは、と。血が混じった声で、笑った。 (-99) 2023/09/28(Thu) 17:51:51 |
【人】 暗雲の陰に ニーノ>>52 ルチアーノ なぜ貴方が謝るのか分からなかった。 以前のようにその理由を問い質す余裕はなかったけれど。 それでも語り掛けてくれる言葉を拾い上げていれば頭の芯が徐々に冷えていく。 誰に、何を。 言葉にせず胸で繰り返した直後、最後の一言にははっと目を瞠り。 「…………ううん」 幾らか落ち着きを取り戻した表情で、首を横に振った。 目を塞がないと決めた、己を責めて泣くこともまた。 此処はもう何もできない牢の内ではないだろう。 ……誰に、何を。 もう一度、繰り返したところで解は不明瞭だ。 だが、そうなってしまう理由だけは明らかだったから。 [1/2] #BlackAndWhiteMovie (53) 2023/09/28(Thu) 18:09:30 |
【人】 暗雲の陰に ニーノ>>52 ルチアーノ 「ごめんなさい、情けないところ見せて……」 「……あはは、ルチアーノさんさ。 面倒見いいね、ほんとに。 あの、手助け……というか、また、甘えていい?」 「いま、ひとつだけ」 少し遠くで見慣れたひとが自分を探す姿が見えた。 家からの迎えで、ならどうしても帰らなくてはいけなかった。 その先でないと、どれほど貴方の手を借りたところで解は得られないと分かっている。 だから今は、ただ貴方を見上げて乞う。 強く在りたいと願う。 されど気を抜けば目を塞いでしまいそうになる。 その弱さを見抜いてくれた、貴方にだからこそ。 「───"大丈夫だ"、って言って」 「……今のオレ、全然そんな風に見えなくても。 それだけ、……言ってほしいんだ」 「おまじない、欲しくて」 「……だめかなあ」 [2/2] #BlackAndWhiteMovie (54) 2023/09/28(Thu) 18:11:27 |
【独】 摘まれた花 ダニエラ果てなどないと思えるほど長い長い尋問の時間が、終わり。 ようやく牢獄に戻された女は、著しく消耗していた。 殴打の痕目立つ腫れた頬。 きっと衣服の下、見えない部分にもいくらもの痕がある。 外れた肩も治療こそされたもののまだ鈍く痛んだ。 ただ横たわることすら苦痛の中、女の頭の中はひとつのことでいっぱいだ。 それでも、考えないようにしているつもりだったのに。 大切な、ふたりの約束の証。 「……ぅ…」 熱くなった目頭から零れるものを堪えようとしたがそう上手くはいかなかった。 ひとつふたつと目尻から流れ落ちて髪を濡らす。 だけど我が身可愛さにただ黙っていることだけはできなかった。 こんな腐った法案なんかさっさと壊れてしまえ。 …あの様子では、その一助にすらなれたかすら怪しいものだ。 しかしその尋問のさなかだったこともあり、法案の出資者とされる人物の正体を今の女が知らないことは、不幸中の幸いといえた。 もうひとつ幸いがあるとするなら、 1番守りたい情報たちだけは守り抜くことができたことだ。 あとは多少騒々しさのある署内の様子に、 『祭り』の成功を感じとることができたなら、それも。 それにしたってやっぱり気分は最悪で、 その中でも見つけられる小さな安心に縋っているだけだ。こんなのは。 (-100) 2023/09/28(Thu) 18:20:54 |
【秘】 新芽 テオドロ → 花浅葱 エルヴィーノ>>-96 「今はさらに周りに任せてしまいなさい。 俺たちはこれでも功労者として扱われているんです」 自分たちの踏み出した一歩は、 周りに確かに影響を及ぼしたものだから。 これ以上更に無理をする必要はないし、何かあったら本当に丸投げしてしまうつもりでいる。この身体の状態でどうしろと。 「俺以外にもものすごく叱る相手がいたんですね、あんたは」 いるだろうなあ。納得感は勿論ある。 罪作りな男だろうなと客観視していたから。 流石に叱責を丸投げしては名が廃るというものだが。 「じゃあ今回はその人に免じて、 寝しなにくどくど言うのは別の機会にしましょう。 あんたが叱られることに関して言えば、俺が止める理由も別にないんですからね」 悪戯な笑みで言ってのけた。 (-101) 2023/09/28(Thu) 18:47:24 |