情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 エピローグ 終了 / 最新
[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11] [12] [13] [14] [15] [16] [17] [18] [19] [20] [21] [22] [23] [メモ 匿名メモ/メモ履歴] / 発言欄へ
【秘】 月桂樹の花 ニコロ → 幕の中で イレネオ「犯罪者はお前だろ、イレネオ。 一体何人をそうやって問い詰めて来た。」 靴底の鳴る音が聞こえる。 「お前らが正しく尋問していれば 何度も説明する事なんてないんだよ。一度で済むかもな。」 ああ、苛立っている。 「一理はあるが、正論とはとても言えねえよ。 自白剤や拷問で引き出した言葉なんて、それこそ嘘だ。」 違うか?と笑う。 此方も、貴方の様子を伺っていた。 警察に属する以上、最低限の体術は身に着けている。 主に護身用ではあるけれど。 足首を狙った蹴りは 数歩後ろへ下がる事で位置をずらして避けるだろう。 これ以上貴方が手を出すならば、反撃の構えをしながら。 「拷問に付き合う趣味はねえよ。 話す事もねえけどな。」 (-125) 2023/09/28(Thu) 22:38:42 |
【秘】 favorire アリーチェ → オネエ ヴィットーレ「え、へへ……実はまだ腕とかはちょっと痣が残ってるけど、 でも訓練の時とさほど変わりないくらいの痛さなんだ。 痛くないとは言わないけど、大丈夫!って言える程度の 怪我なのは本当だよ。ほら、元気元気」 温かい。昔から変わらないはずのお兄ちゃんの姿に、 何故か頬が熱くなるのを抑えきれずに、 元気をアピールしたもののすぐに気まずげに俯いてしまう。 「守ってくれたおかげだよ」と、よろけた貴方を支えようとした手を下ろしながら、労わるように貴方の傷付いた片腕の怪我のない部分をそっと撫でた。 「わたし、牢にいるだけでもあんなに億劫だったのに、 あんな環境で拷問まで受けて、ずっと耐えてくれて、 だから逮捕理由も、貴方の関係で逮捕されたわけじゃないの。 ちゃんと守り切ってくれてた。……わたしのお兄……」 お兄ちゃん。今まで自然に呼べていたその呼び名。 なのに喉の奥に引っかかって取れないように詰まるから、 少し不自然な間の後、名前で呼び直した。 「……ヴィットーレは、やっぱり凄いよ!」▽ (-126) 2023/09/28(Thu) 22:40:23 |
【秘】 favorire アリーチェ → オネエ ヴィットーレ「わ、わかって……ううん、こればかりは、 入ってる人にしか本当の過酷さはわからないだろう、けど。 でもね、人が死ぬのは今の警察でもそう。 それに、マフィアじゃなくても貴方に助けられていなかったら、あの時酷い目にあっていたかもしれないし、 酷い仕事も、今回わたしは選ばれなかったけど…… A.C.Aに着任していたら、それこそヴィットーレ、 貴方に酷い事をする命令を受けてたのは、 ……わたし、だったかもしれないから」 強引すぎるとも言える逮捕を実行していた警察組織の名。今回の件で多くのマフィア、警察問わず多くの人間から恨みを買った事だろう。後の報復も視野に入れておかなければならないこの組織に、入らないで済むなんて保証はなかったはずだ。 「勿論大半の警察官は善良な人たちではあるでしょう。それでも警察は安全な組織である保証もなくて、それなら。 この人は大丈夫って心から思える人の傍に居たい。 同じ組織なら、貴方に銃口を向けろと命じられる事もないし、……マフィアじゃないとわからない悩みがあるなら、私、なって支えたいって、そう思ったの」 「……でも、本気でヴィットーレの負担になるのなら、マフィアには入らないわ。支えたいのと押し付けたいのは違うから」 (-127) 2023/09/28(Thu) 22:41:54 |
【独】 摘まれた花 ダニエラ>>-109 ひらり、ぱさりと冷たい床に白い紙。 身体は痛いし指先に力は入らないしで散々だ。散々だけれど、今は全く最悪なんかじゃなかった。 「…うー。だいじょ、…」 大丈夫じゃないけど。 「だいじょおぶう……」 今は、大丈夫。 落ちる涙の隙間からそれだけをいう。 空気が触れるだけで痛み続ける指先だったけれど、単純にもその唇が触れたあとには少し痛みが引いたような錯覚さえした。 「…ん ん 。」頷いた眼前。茶色の髪の下に咲くようなライムグリーンが映る。 約束のあかしがなくなっても、今はそれだけでよかった。 こうして本当に、傍にいてくれているんだから。 自分の手で拭えない涙をあなたが拭う。 そんな中、冷静になるのは状況の割に早かったように思う。 少しずつ、自分が本当に 警察のお姉さん でなくなったのだという自覚も湧き始めていた。「…ええ、と、」 追いついてくる。現実に。 まだまだ、それくらいじゃ追いつけていないことなど今の女が知る由もない。 「…護送、ですかあ。」 「わかりましたあ、よろしくお願いしますう」 そう笑う。本当の笑顔に、作り物の笑顔をかぶせて。 (-128) 2023/09/28(Thu) 22:44:26 |
【秘】 アリソンに捧ぐ鐘 黒眼鏡 → 幕の中で イレネオ何度も殴りつけられながら、哄笑がやむことはない。 いや、殴りつけられれば途切れ咳き込むが、 それが収まるたびにまた吹き上がる。 押さえても抑えても溢れる泉のように、 沸騰し沸き立つ泡のように、 ぼこぼこと音を立てて。 「やっぱお前、マフィア向きだな」 「うまくやってけるぜ、なあ」 ──にぃ、と笑い。 「ただ、お前の爺さんはダメだな」 「あの抗争で死んでねぇし、 ノッテに迎えいれられてもねえんだろ?」 そりゃあどういうことだ、と。 「じゃあ、そのジジイは 最後まで戦わなかった んだな。そしてその後戦うこともせず、 ノッテの陰口を孫に吹き込み、家族と自慰するしかなかった、 お前のジジイは情けねえ落ちこぼれだな!! お前が見返してやれよ、なあ!」 (-129) 2023/09/28(Thu) 22:48:52 |
【秘】 favorire アリーチェ → 口に金貨を ルチアーノ「え」 ぱちぱち、大袈裟に瞬きをして、 「貴方が噂のルーカスさん!……あ。 ……って、友人が言ってて……し、失礼しました……ルチアーノさん……」 初対面の人にいきなりあだ名呼びとは、 うっかりとは言えあまりの失礼さに目を思い切り逸らし。 「ニコとテオの妹分?……ふふ、そうなるのかな。 私としては幼馴染は幼馴染ってジャンルなんですけど…… ニコに言われたの。情報で困った時はルチアーノって 男を頼れって。だから余程凄腕の諜報員なのねって。 ずっとお会いしたかったけれど、私もこんな所で 会う事になる事になるとは思わなかったわ」 この女は幼馴染二人に絶対の信頼を置いている。 それだけにそこの共通の友人なら、警戒をすることもないだろうとむしろ憧憬の眼差しで見つめている。 はずなのだが、その上でなお、一瞬話していいのかと悩む素振りを見せて、暫し悩んだ末にその名前を答える。 「……ん、いえ、私一人でも…… ……でも、そう、ね。 ……ヴィットーレを、探してて 」「私が会いに行った数日前で既に拷問を受けてたの。 今はもっと酷い事になってるかもしれなくて、だから ……手助けをお願い、出来ますか」 (-130) 2023/09/28(Thu) 23:06:22 |
【独】 歌い続ける カンターミネ>>-128 「……後でたっぷり泣いてもらうぞ、その口も素直に してやる。カンターミネ式尋問術、ピヨピヨ口の刑だ」 おどけて笑う。 わかってるから。 「正直言って、外はっていうか全部の状況がかなーりヤバい。 が、今説明するのはエリーの心などがもっとヤバいから、 後で手当しながら言う。いいな?よし、行こうぜ」 こほんと咳ばらいをひとつ、書類を改めて拾い上げ。 「……結構。常にそう従順であってもらいたいものだ」 今度は気取って、小柄なケーサツが先導する。やがて辿り着いた駐車場では、改造車が未だ喧しくアラームだのクラクションだのを響かせ続けて、その対応に追われる者が殆どだった。 おかげで記帳係を見つけるのに少し手間取ったが、 ともあれ護送車を一台手配して、あなたを護送席に、自身を運転席に。 「さて。ドライバーの所までちょっと我慢してくれよ!」 ちなみにケーサツの方は運転があまり得意ではない。 車は揺れに揺れたし、敷地から出る際門柱に車体を擦ったが、 丁度その辺りで運転手らしき男がやってきた。 「御苦労マリオ。悪いね、運転は苦手で。交代だ。 俺は後ろで見張るから、一先ず西ルートで走ってくれ」 (1/2) (-131) 2023/09/28(Thu) 23:09:43 |
【独】 歌い続ける カンターミネ>>-128 >>-131 「場合によっては後で車を変えるが、とりあえず 手当から……つっても湿布と軟膏、 あと俺製の鎮痛剤くらいしかないけど。 爪は……まあ持ってる訳ないよな、 普通に被覆材使って応急手当にしとくか……」 そんな感じで、あなたの隣に寄り添って。 いそいそ、せかせかと傷を見ていく。 勿論運転手が覗けないように事前にカーテンはした。 頬にはアイシング。痛みが酷ければ鎮痛剤。 肩はどうしたもんかと思いながらも、 軟膏タイプの麻酔で一時的に痛みを引かせるだろうか。 「さて、改めて。 おかえり、エリー。 待たせてごめん。そんでごめんついでに、もう一個ごめんがある。 この後色々やる事がある。多分エリーにも来てもらう。 質問と泣きごとと愛とかまあその他なんでも聞くし、 疲れてるなら寝てもいい。数時間は余裕あるはずだし」 とりあえず一旦落ち着ける状況にはなったようだ。 聞ける限り聞いてもいいし、抱き着けるだけ抱き着いてもいいし、心配させやがってとパンチの一発をいれてもいい。 カンターミネは、傍に居る。 (2/2) (-132) 2023/09/28(Thu) 23:19:59 |
【秘】 favorire アリーチェ → 花浅葱 エルヴィーノ「ふふ。声に出してない言葉、聞こえちゃったから」 少し機嫌よさげに笑って、そっか、やっぱりいるのね。 なんて、何も言われていないのに一人話を進める。 「もう、褒めてもお土産しか出ないわよ。 ……それは、どうかしら……支えたい人ができたからって 書類仕事が急にできるようになる訳でもないし…… ……まだまだみんなにはお願いするかもしれないわね……」 言いながら封の空いた小さな紙袋を貴方に差し出して。 中に入っているのはテントウムシのキーホルダー。 男の人が持っているには少々可愛らしすぎる、といったデザインだ。 「お守り代わりにでも、と思って」 「フルーツと悩んだけど、エルヴィーノまだ余り食べられないでしょ?腐らせちゃうのもまずいなって」 「そうだ、退屈していない? あれなら本でも適当に買ってくるけど。 ……でも、エルヴィーノならお願いできる人沢山いるかな」 (-133) 2023/09/28(Thu) 23:21:00 |
【秘】 Il Ritorno di Ulisse ペネロペ → Commedia ダヴィード『お祭り』の日の夜が明けて。 きっと日もとっぷりと傾きかけた頃。 そこまであなたが寝過ごしていたって、誰も咎めるものは居ない。 寝転がったまま、ぼんやりとしていても。 隠れ家は静かなものだった。 「ダヴィードー、ダヴィード起きてっかあ〜?」 「飯行くぞ飯!ずっと家に籠もってんじゃカビ生えるわ 後の事は一旦全部後回しだ」 一応の家主がいつも通りにやって来るまでは。 端末が床に落ちていてもお構いなし、 あなたを叩き起こしてでも連れて行くだろう。 何せきっと、昨日の夜からろくに食べていないだろうので。 (-134) 2023/09/28(Thu) 23:22:22 |
【独】 corposant ロメオその時ロメオは、曇天の空模様を窓越しに眺めつつ 適当な店で時間を潰していた途中だった。 窓際のカウンター席で足を組みながら アイスティーを飲んでいた頃、手元の携帯端末にコール音。 発信先の名前を見て、「あれ」と一言呟き電話を取った。 「はい、もしもし。オレですけど」 「はあい。あい。久しぶりすねそういうの」 「んじゃそこまで……」 「……もう切れたわ」 すぐに切れた電話には、もう驚きもしない。 通話時間の表示された画面を消してすぐに席を立った。 以前であれば、今度は何用かと疑問が勝っていた所だが。 車を取りに歩きながら考える。 こういう時の心配って当たるんだよな、と。 #ReFantasma (-135) 2023/09/28(Thu) 23:25:47 |
【秘】 暗雲の陰に ニーノ → リヴィオ──それは天気予報が当たった数日後の夜半。 その足は在るべきとされた場所から遠ざかり、人気のない路地を辿っていただろうか。 何時ぞやと違い空を覆う厚い雲はなく、星は瞬き月もまた同様に光を注ぐ。 それでも届く光がまばらな路地は暗く、黒く。 だからその色に溶け込み壁際でしゃがみ込む人影にもすぐ気づかないかもしれない。 だとして、「みゃぁ」、不意に猫の鳴き声がして。 「なぁに」、落ちた声は貴方にも聞き慣れたもの。 深く被った黒いフードの奥、翠眼は貴方の姿を捉えた。 驚いたように瞬きを繰り返したのもきっと見えなかっただろうが。 男は立ち上がり、手を伸ばした。 「──リヴィオせんぱい」 つんつん。 つついた腕は三角巾をしていない側だ。 貴方が視線を向けるのなら、パーカーのフード下には見慣れた後輩の顔があるだろうし。 「……そのカッコで散歩にしては、遅くない?」 ついでに割とすぐ下に白い子猫の姿もあった。 服の中に入れられて顔だけ出てる。 (-136) 2023/09/28(Thu) 23:27:46 |
【秘】 corposant ロメオ → 口に金貨を ルチアーノ>>-120 ブレーキランプがまだ乾いている地面を照らす。 まだ新しい黒の車を指定された場所の付近に止めた後、 やや急ぎ気味に降り貴方の姿を探すために周囲を見た。 ちゃり、と鍵に付いた鈴の音。 「ルチアーノさん?」 自分を呼びつけた依頼主の名前を呼ぶ。 貴方は声の届く所にいるだろうか。 #ReFantasma (-137) 2023/09/28(Thu) 23:29:04 |
【秘】 花浅葱 エルヴィーノ → favorire アリーチェ>>-133 「お土産?」 話を逸らすように聞き返せば、差し出されたのはテントウムシ。……の、キーホルダー。 聖母マリアの使い。幸運を呼び込み、病や災いごとなどの不幸を運び去ってくれるそれは、愛らしいデザインで確かに男性向けのものではない。 それでも、そこから伝わってくるのは気遣いと祈りが込められてるのがわかるから悪い気はしなかった。 「ありがとう。ごめん、もう少しこっち来て」 右手が動かないから、左手をそちらに伸ばして受け取った。 逆手では届かなくて、あなたにこっちに来て貰う形になっただろう。 「可愛いね、これ。 あぁ……今はまだ殆たべられないからね……本は助かるな。 毎日寝てるだけだと暇だし……ページがめくれるようになったら読みたいな。 推理小説が好きなんだけど……、……ブックスタンドも欲しいかもしれない」 両手が使えぬと本も読めなかった。 (-138) 2023/09/28(Thu) 23:53:55 |
【秘】 口に金貨を ルチアーノ → corposant ロメオ>>-137 野次馬が集まり始めたその通りは賑わっていて。 どうやら発砲事件があったらしい。 しかしそこには怪我人も銃を持った人間もいなかったのだとか。 何処かで見たような事件の話、明日の記事に小さく乗って忘れられるような物だ。 「――ロメオ」 そんな路地の裏から話しかけてきたのは貴方を呼び出した男だ。 声色はいつも通りに思われたが、腹部および右手に赤い血痕がべったりと付着しており何事かしか起こっていない。 追加で滴っている様子がないことから観察していれば返り血であるのがわかるだろうか。 「……あー。アジト以外ならどこでもいい」 そう、ただ此処でもいいわけでもない、と。 今回の貴方への要望は何処かに連れて行って欲しいらしい。 #ReFantasma (-139) 2023/09/28(Thu) 23:58:09 |
【独】 摘まれた花 ダニエラ>>-131 >>-132 痛む身体を引き摺り、足取り重く。 それでも可能な限りしっかりと歩いた。 少し小柄な茶髪の後ろ姿にライムグリーンを重ねる。 それで、一瞬揺らいだ心を落ち着ける。 エリーの心などがもっと? 警察に潜入して2年。 あなたに会うのは殆どがあのモーテルだった。 だからではないが、多分女は知らなかったのだと思う。 乗り込んだ車。あなたの運転技術。 文字通りの痛い思いをした。…いやまあ、ちょっと響いたくらい。 「おー…。」なんて間の抜けた声も上がったと思う。別に怖くないわけではなかったはずだが。 「…ありがとお。」 運転手が変わり、一頻りの手当が終わるとだいぶ楽になった。 そうしてやっとへにゃと笑って、「ただいまあ。」って。 ともすればあなたの言葉を聞き終わるまでもなくやおらにその身体へとしなだれかかったかもしれない。 …決して聞いていないわけではないのだ。 ただそうしながら聞かないとまた不安な心地がしてしまっただけで。 (-140) 2023/09/29(Fri) 0:17:42 |
【秘】 摘まれた花 ダニエラ → 歌い続ける カンターミネ>>-131 >>-132 >>-140 何度か相槌をうち、一区切りのついた頃。 少し揺れる目が甘えるようにあなたを映した。 身体をゆっくり反転させると、首筋へときゅうと抱き着いた。 手探りの右手で、茶色のウィッグを一度むしり取る。 「……。」 少し身体が震えていた。回す腕からそれは簡単に伝わっただろう。 あの夜から先、ずっと我慢をしていたのだ。 そうやって我慢するのは得意だけれど、そこにあなたがいるのに我慢する理由が今どこにもない。 「あの…ねえ。」 そう口を開くのにも少しばかり時間をかけた。 「 やっぱり、もお、置いてったら、やだあ…… 」子どもが大人の顔して背伸びして呑み込んだ、…そのはずのものを吐き出して。 身体と一緒で震えた声がそう紡ぐ。 そうやって今はすり減った分を取り戻さねばならなかった。 その先にある不安に、きっと備えようとしていたのだ。 (-141) 2023/09/29(Fri) 0:18:30 |
【秘】 Commedia ダヴィード → Il Ritorno di Ulisse ペネロペ>>-134 はたして男は、昨日の夜からブランケットを被ったままカウチの上から動けずにいた。 気を失うように眠りに落ちて、目を覚ましてからも隠れ家の窓から入る光が色を変えていくのをただ見ていた。 おきてます、と答える声もどこか掠れている。 「めし……」 思い出したかのようにぐぅ、と腹が鳴る。 のろのろとブランケットをはぐって立ち上がり、靴を履く。 昨日は一仕事を終えてからそのまま隠れ家に来たので、服装は問題ないだろう。 腹が減るのも、今この時にそんなことを気にしている自分がいることも、なんだか冗談のよう感じられた。 「どこ、いきます? 腹にやさしいのがいいな」 ついぞ隠れ家を出るまで、端末の方は見なかった。 見ないようにした。 (-142) 2023/09/29(Fri) 0:38:07 |
【秘】 歌い続ける カンターミネ → 摘まれた花 ダニエラ>>-140 >>-141 「うん、」「おかえり」 何度言ったって別にいいはずだ。この先何度だって言う訳だし。 そうしてしなだれかかる貴女を、当然のように受け止めて。 その背に手を回して、二度、三度軽く叩く。あやす様に。 ウィッグ、結構高いんだけどなあ、なんて考えは いつもなら口からからかうように出てたけど、今日はナシだ。 「……。」 温めるように、背中を擦る。昇った指を髪に沈めた。 尋問の形跡か、少しべとついたのを構わず、指で梳く。 「ん」 ほんのり上がる口角に、ばさりと揺れ落ちるライムグリーン。 解放された微かな汗のにおいが一瞬漂った。 髪から耳を、耳から頬を。腫れてない頬に指が流れる。 「……二度としない。だから、エリーも俺の傍から離れないでくれ」 囁く。真っ直ぐにミントグリーンを見つめ返す。 殆ど距離のない位置で、呼気を絡ませている。 ――王子様の瞳にも、今は波が立つのが見えるはずだ。 その多くは喜びで、幸せで。だが他が0とは、言えなかった。 それでもせめて、この子の前では、他の全ては塗り潰そう。 この先にある大きなものに対して、少しでも…… 約束通りに俺が支えて、約束通りに心を守る為に。 (-143) 2023/09/29(Fri) 0:44:54 |
【秘】 幕の中で イレネオ → リヴィオそこで止めるべきだった。 制圧したいだけならそれでいいはずだった。 貴方が知っているこの男はそういう男だったはずだ。 間接に負荷がかかる。可動域とは真逆に向けて体重をかけられる。当然苦痛の伴うそれは、貴方の喉から呻き声を漏らさせもするだろう。 めり。 なまじ真っ直ぐに硬い部位ではないがために一撃でとはいかず、逃げないのであれば貴方はそれなりの時間苦痛に呻くことになる。ゆっくり、ゆっくりと断裂していく感触が伝わったかもしれない。 めり。り。 男は声を発さない。ただまだ少し荒いままの息を繰り返して、煮えた瞳で貴方を見つめている。 貴方を屈服させることだけを一意に考えている。やはりこんな仕事には向いていないことが明らかだ。 めり。 めり、 めき。 それでも。 それでもなお抵抗しないなら、いつかその腕も自然な反発すらなくすはずだ。だらりと左腕が垂れ下がれば、男はようやく安心したように息を吐いた。 (-144) 2023/09/29(Fri) 0:47:24 |
【秘】 corposant ロメオ → 口に金貨を ルチアーノ>>-139 剣呑な賑わいを見せる通りを横目に通り抜けて、 貴方の所へ来ただろうか。 いつもの声が聞こえたのはそちらの方ではなく、 少し外れた路地裏の方で。 「あ」「あ?」 「いや」「………………」 顔を見て安心し、視線を下にずらしてすぐに驚愕したような様子になり。そのままゆっくりと目を細めて怪訝な顔をして、もう一度視線が貴方の顔に戻る頃には片眉を上げつつ苦虫を嚙み潰したような表情だった。器用な表情筋をしている。 「あんたねえ。いや…………」 「乗ってくださーい……」 「あんたの怪我が無いんならまあひとまずはいいです……」 車の方向を指し案内する。その途中にそう零して、 車まで辿り着けば「邪魔なものはないと思うんで好きなとこ乗ってください」と運転席へ乗り込んだ。 車内には物が少なく、精々後部座席の白いクッション程度だ。 カバーのかかっていない座席はそれでも清潔に使われていて物をこぼした形跡もない。足元のフロアマットにも砂や泥は少なく、こまめに掃除はされているのだろう。 シガーソケットにセットされたディフューザーからは、ウッディーノートの香りが仄かにした。 貴方が座れば濡れタオルをぽい、と投げよこす。 「これで手拭いて。服それどうすんすか、それも拭きます? 行き先どこでもいいなら気晴らしになるとこでも行きますか。海に嫌な思い出は? ある? ない?」 #ReFantasma (-145) 2023/09/29(Fri) 0:49:33 |
【秘】 法の下に イレネオ → 路地の花 フィオレ再び踏みつけにしようとした足はそのまま地に降ろされ土を蹴った。それは子どもの癇癪じみた仕草だった。 二度もあんな気色の悪い声を聴かされるのはごめんだ。 けれど男は子どもではないから、続く動作には悪意が込められて遊びがない。 裏路地の砂ぼこりが巻き上げられてぱらぱらと貴方の顔やら身体に降り注いだろう。荒く息をした口にも僅かに入り込んだかもしれない。浅い青の瞳に触れそうで咄嗟に瞑ったかもしれない。 男はその隙を狙う。 ざり。体重の位置を僅かに変える音。そのすぐ後。 丸まった腹を目掛けて蹴りが飛んだ。上手くいけば薄い腹に深く入るはずで。 加えて再び弾かれた身体はまりのように弾むはず。 「盛ったか?」 「何か。」 この国じゃサッカーは人気のスポーツだ。 蹴飛ばす以外に同じところはなく、全く愉快にはなれなかった。 (-146) 2023/09/29(Fri) 1:10:45 |
【人】 口に金貨を ルチアーノ>>54 ニーノ 「お節介なところが誰かに似た。 なんだ甘えたいのか、どうした?」 視線を一瞬だけ他所にやって、また顔を見返した。 やはり大人だといっても心配されるような家に居るのだろう。 羨ましいような、そんな自分も想像もつかないというべきか。 「なんだそんなことか。 お安い御用だ、その言葉のチョイスの是非は置いといてな。 いったい誰に貰った教わったのやら」 「重要なのは言葉の意味じゃない、おまじないであることだ」 そう言いながら、貴方の頬に手を当て、こつんと額を合わせる。 「ニーノ、お前は"大丈夫だ"」 余計なことは添えずに男の目は正面から貴方を見つめている。 根拠もない言葉がどんな意味を持って貴方の中に生きるのか。 きっと多くに生かせる人間であると男は信じていた。 それだけに頼り切らないで歩いてくれると祈っていた。 だから、これだけでいい。 #BlackAndWhiteMovie (61) 2023/09/29(Fri) 1:23:25 |
【秘】 Il Ritorno di Ulisse ペネロペ → Commedia ダヴィード>>-142 どんな時であっても、腹は減るし明日は来る。 滑稽とも思えるほど当たり前に世界は回っていく。 「休みの連絡入れるついでにアマラントでも行くか。 どうせしょぼくれたり他所行ったりで 忙しくて行けてないだろ、お前」 これは根拠もない決め付けだ。 とはいえ慌ただしい数日だった事には間違いない。 一人で慣れない場所へ行く機を窺うには少し不自由な程度に。 「酒のあて以外に普通の飯もあるし…… シチュー、よく作ってたんだと。 腹にも優しいし傷にも沁みにくい、ちょうどいいだろ」 車は出さず、徒歩で向かう。ただ歩くだけでも、 何もせず助手席に座っているよりかは幾らかましだろう。 そのような考えがあってのことだった。 (-147) 2023/09/29(Fri) 1:26:19 |
【秘】 Il Ritorno di Ulisse ペネロペ → マスター エリカ『今日はお仕事はお休みします』 『お客さんとして行きたいので』 『知り合いも連れて行きますよ』 歩きながら、簡潔なメッセージを送信した。 (-148) 2023/09/29(Fri) 1:26:44 |
【人】 Il Ritorno di Ulisse ペネロペ>>-142 ダヴィード 表通りからは離れた路地の一角、隠れ家のような入り口。 石の階段を下ると、落ち着いた色の木の扉がそこにある。 下げられたプレートには『OPEN』の文字だけ。 カランカラン 扉を開けばドアベルの音が店内に響く。 暖色の控えめな明かりの下、 カウンター席に着けば、さっそく注文を。 「マスター、シチューとパンを二人分お願いしますっ。 あと、コンクラーベも!」 注文するのは、あなたが以前話していたものと。 比較的沁みにくいだろうノンアルコールカクテルがふたりぶん。 具沢山のシチューと、ライ麦100%の食事パン。 注文したものがカウンターに並べば、 猫被りは休日の一従業員の顔をして表情を綻ばせた。 「どうですか?美味しそうでしょう! マスターの作るシチュー、 私も一度食べてみたかったんですっ」 #バー:アマラント (62) 2023/09/29(Fri) 1:27:58 |
【秘】 幕の中で イレネオ → 月桂樹の花 ニコロよくよく素直な男だった。分かりやすい男だ。 犯罪者と声をかけられればあからさまに表情を変えたろう。顔を顰める。眉間に皺が寄る。 「拷問じゃない。」 「仕事です。」 詭弁だ。 物分かりが悪い人間の相手をしている。そういう億劫さでやれやれと首を振る。蹴りが避けられればまた口の端を引き攣らせた。たたん。落ちた靴底が音を鳴らす。 ガードが邪魔だ。 ならばそこを砕こうか。 次には左腕が貴方の腕を上から、同時に右膝は下から。上下方向からの勢いで骨に衝撃を食わせようと。 抵抗せずともこの暴力が止むことはなく、 抵抗すればなお止むことはない。 障害があれば人は乗り越えようとするもので、 男は殊更、そういう時に周りが見えなくなるたちだった。 目的がずれていく。 (-149) 2023/09/29(Fri) 1:29:08 |
【秘】 リヴィオ → 月桂樹の花 ニコロ君は何を言っているんだ? そう言いたげに傾く首はまるで、 自分は怪我をひとつも負っていないというような態度で。 しかしまぁそこに事実はあるしおかしな反応ではある。 「待たない。俺の目的は達成したん──」 だ、言い切るよりも前に足が動いて、 扉はぱたりと閉まり、代わりにその片足は 落ちかける君の支えとなるように差し出された。 その代償と言うのもなんだが、 「……………早く、ベッドに、戻ってくれないか??」 体重のかけられた足は一瞬でも体全体に響いて、 痛みに顔を顰める代わりに満面の笑みを君に見せる。 若干その笑顔が引き攣っている気がするのは気のせいだ。 …多分。 (-150) 2023/09/29(Fri) 1:37:31 |
【秘】 路地の花 フィオレ → アリソンに捧ぐ鐘 黒眼鏡「ふふ、ここから出られた時の楽しみに取っておきましょっ」 「アレならすぐにでも出てきちゃいそうだけど」 きっと、そう時間はかからないはずだ。 あなたのことを信頼している。本当に。微塵も、約束を疑わない。 「あは」 「嬉しい、ホントに。アレ、全然言ってくれないんだもの」 珍しく素直な言葉をいくつも聞けたからか、妹分の女は心底嬉しそうに頬をほころばせて。 こんなこと今後あるかもわからないから、噛み締めるように大好きかあ〜と口にしたり。 「もー、何年ここにいるつもりでいるのよ」 「お金だって足りてるって言ってるのに……過保護よ、過保護! …ま、いいけどね。うん、アレが安心できるようにちゃんと守ってみせるわ」 格子に置いていた手を離して、呆れたような顔ののち。仕方ないなあと緩めて。 体温代わりに投げられた気遣いを、大事に大事に受け取った。 「うん。フレッドにもアレが元気そうだったこと伝えておくから」 それと、と一度言葉を切って。背中を向けて少し歩いたかと思えば。 振り返って、にいと笑う。 「アレ、大好き。また会いにくるから!」 ばいばい、と手を振るのだろう。また会えると信じて。 次はもっとゆっくり話せればいいなんて、叶わない願いを胸に抱くのだ。 (-151) 2023/09/29(Fri) 1:49:11 |
【秘】 月桂樹の花 ニコロ → 幕の中で イレネオ「よく言うぜ。」 顔を顰めて それでも仕事だと言い切る貴方。 男は今度は避けなかった。 貴方の左腕と右膝が、利き腕である右腕を捉える。 ミシ、と嫌な音を立てたのに呻き声を漏らしながら けれどこの状態ならば、貴方は避けられまい。 「これのどこが、拷問じゃないって言うんだ?」 相手の腕をへし折ろうとするその行動。 どう見たって、尋問の仕事ではないだろう、と。 目を覚ませ、と言わんばかりに 貴方の頬へ、左手の拳を振るうだろう。 (-152) 2023/09/29(Fri) 1:53:13 |