【人】 坊っちゃん バラニ…さて、そろそろお姫様たちも家に帰ったほうがいい。 『えーやだー』 『お祭りなんだしいいじゃんかー』 だーめーでーすーぅ。 僕では君たちを送っていくには力不足なんだから 陽が出てるうちに帰りなさい。 お話はまた今度、お休みのときに沢山聞かせてあげるからさ。 『じゃあ、そのときは王子様の話もね』 …わかったよ。 あとほら、これも渡しておくから。ね? [むすーとなっている子供たちに、駄賃代わりに小さな紙を握らせる。 支払先に僕の名前を記入したパイ屋の引換え券だ。 こういうとき、下手に人前でお金を渡すと子供たちが危ない目に合うかもしれないから] (58) 2021/12/10(Fri) 21:37:51 |
【人】 坊っちゃん バラニ……は? いやポル、なんでこれ……? [自分の頬が湯沸かしの魔法さながらに赤くなっていくのを感じる] ……、なんでポルがこんなの持ってるんだよ……。 [誤魔化すように片手で顔を覆うものの、 旬の林檎さながらに染まった耳まではとてもじゃないが隠し切れない。 ……悪かったな、この程度で赤くなる童貞で。 ついでにこんな情けない男でも、 街一番の大店の一人息子ってだけで確かに縁談は来るよ。 なんのかんのと言い訳をしてのらりくらり躱してはいるけど、 それもいずれ時間の問題だろう。] ……。 (60) 2021/12/10(Fri) 21:45:58 |
【人】 坊っちゃん バラニ[正直今も実感がわかないけれど、 僕もポルもカストルも、今年でもう成人だ。 いつまでも子供のままでいられないことくらい、 頭では、わかってる。 ――商家の跡取りとして、いつまでもほら吹きだなんて 周りから笑われるような奴ではいられないことも。 たとえ周りの男たちと比べて腕力で劣っていても、 意気地のない臆病者でも、…それをどんなに情けなく感じていても。 それでも、少しでも前に進まなければいけないと] (61) 2021/12/10(Fri) 21:50:14 |
【人】 坊っちゃん バラニ[……それでも] ポルは、さ。 もし、行商人になる以外の道があったとしたら。 なりたいものになれるとしたら、何になりたい? [思えば三年前、彼が行商人になると 家族の下を飛び出していったときは少なからず驚いた。 物心ついて、家の外で遊ぶようになってから ずっと傍にいることが当たり前だった彼。 いつの間にか彼のことをなんでも知っているような そんなつもりでいた癖に。 実際は、彼が考えていること、思っていることの半分も 自分は知らなかった] (62) 2021/12/10(Fri) 21:52:59 |
【秘】 坊っちゃん バラニ → 行商人見習い ポルクス[――勇者になりたかったと、 子供の頃の僕はよく彼に話していた。 他愛もない、子供同士のごっこ遊びではあったけれど、 あの頃の僕は真剣に、遠い日の憧憬に縋っていた。 勇者への想いは、今もきっと一言では言い表せない。 遠い日の『俺』にとっての勇者は、 かけがえのない仲間で、気の置けない親友で、 いつだって傍にいるのが当たり前で。 ……そして、気がつけば同じ女を好きになった、 恋敵と呼ばれるような、そんな間柄だった。 最初から、叶うはずもない恋だったのに。 ……かつての僕はどうしようもなく、愚かな夢を見て。 そして、それに縋った。 その後先なんて、碌に考えもしないで] (-39) 2021/12/10(Fri) 22:07:47 |
【秘】 坊っちゃん バラニ → 行商人見習い ポルクス[でも、あの幼い日、 傍らにいた幼馴染に感じたのは恨みでも憎しみでもない。 向けられた言葉と笑顔に感じたのは、 夕日のような眩しいほどの優しさと、 ――泣きたくなるような胸の温かさだった。 嘗ての自分にがんじがらめに縛られた僕の中で、 それでも僕を僕たらしめてくれている、 そんな、かけがえのない記憶]* (-41) 2021/12/10(Fri) 22:14:04 |
【秘】 坊っちゃん バラニ → 行商人見習い ポルクス[目の前の彼はずっと、僕にとっては『幼馴染』だった。 男女の差なんて考えもしなかった、 そんな幼い頃からずっと傍にいた『彼』を。 男とか、女とか、そういうふうに意識したことがなかったから。 異性として誰かのことを意識して、自分自身の因果に巻き込んでしまうことが恐ろしかったから。 だからこそ、それを意識せずにすむ『幼馴染』の彼の傍にいることは居心地がよかったのかもしれない] (-61) 2021/12/10(Fri) 23:19:19 |
【秘】 坊っちゃん バラニ → 行商人見習い ポルクス[目の前の彼はずっと、僕にとっては『幼馴染』だった。 男女の差なんて考えもしなかった、 そんな幼い頃からずっと傍にいた『彼』を。 男とか、女とか、そういうふうに意識したことがなかったから。 異性として誰かのことを意識して、自分自身の因果に巻き込んでしまうことが恐ろしかったから。 だからこそ、それを意識せずにすむ『幼馴染』の彼の傍にいることは居心地がよかったのかもしれない] (-62) 2021/12/10(Fri) 23:19:22 |
【秘】 坊っちゃん バラニ → 行商人見習い ポルクス[目の前の彼はずっと、僕にとっては『幼馴染』だった。 男女の差なんて考えもしなかった、 そんな幼い頃からずっと傍にいた『彼』を。 男とか、女とか、そういうふうに意識したことがなかったから。 異性として誰かのことを意識して、自分自身の因果に巻き込んでしまうことが恐ろしかったから。 だからこそ、それを意識せずにすむ『幼馴染』の彼の傍にいることは居心地がよかったのかもしれない] (-63) 2021/12/10(Fri) 23:19:22 |
【人】 坊っちゃん バラニ……僕の、なりたいものはね。 [幼馴染をそっと此方に引き寄せて、囁いた言葉は きっと降り始めの雪と雑踏に掻き消されたことだろう]* (90) 2021/12/10(Fri) 23:25:36 |
【秘】 坊っちゃん バラニ → 行商人見習い ポルクス[幼馴染の項にそっと触れながら、その顔を此方へ寄せて] ――…王子様、なんていったら笑う? [もう片方の手をその背に回しながらそっと耳許で囁く。 ついでにその頬に軽く唇を寄せようか]* (-67) 2021/12/10(Fri) 23:29:08 |
坊っちゃん バラニは、メモを貼った。 (a28) 2021/12/10(Fri) 23:35:17 |
【人】 坊っちゃん バラニ――祝祭一日目―― [ふああぁ…とベッドに寝転がったまま大きく伸びをする。 ひさしぶりの朝寝坊。 こんな時間まで寝ていられたのは彼是数か月ぶりか。 今日明日は使用人たちの殆どが暇を貰っていることもあって 屋敷の中はいつもよりずっと静かだ。 ……と、いうことにしておこう。 使用人たちが使っている棟のほうから なんだか得体の知れない香が漂ってきたり、 艶のある声が男女ともにしているなんていうのは そっと目を瞑るのが、大人というものだ] ――さて、と。 [自分で身形を整えてから食堂で珈琲を一杯。 それで朝食をすませたことにして、屋敷を出て街へと繰り出すとしようか]* (96) 2021/12/10(Fri) 23:38:00 |
【人】 坊っちゃん バラニ――ある御伽噺―― [子供たちに物語を聞かせるとき、 特に饒舌になるのは、結婚式のときの話だ。 魔王を倒した勇者と、彼に救われた王国のお姫様が 生き残った仲間たちと国民に祝福される幸福な結末。 実をいうとそのときの僕は、もうこの世にはいない。 だからそのときの光景をさも見てきたように語るのは 僕のほら吹きとしての本領発揮というかなんというか。 きっと、素敵だったのだろうなと 目一杯脳裏に夢を描きながらその光景を語り聞かせる。 誰もが純粋に、恋人たちを祝福する世界。 恋に破れた王子なんていない、そんな美しい世界 子供たちのお気に入りの物語の後は、 いつもほんの少しだけ、胸に穴があいたような気持ちになる]* (99) 2021/12/11(Sat) 0:04:15 |
【秘】 坊っちゃん バラニ → 行商人見習い ポルクス……ばかだなぁ。 僕が王子様でいられるのは、君の前だけだよ。 [僕の言葉を信じてくれる、 そんな君の前でだけ、僕は僕でいられる。 商人の息子でもなく、街一番のほら吹きでもなく ましてや、恋に破れた物語の脇役でもない。 それが、僕のなりたい僕。] (-86) 2021/12/11(Sat) 1:00:56 |
【秘】 坊っちゃん バラニ → 行商人見習い ポルクス―――。 [唐突な提案に、どうにも話題を逸らされた感じがする。 (いや、実際にそうなんだろうが) 確かに、お土産を持ってきてもらえるのは嬉しいけど。 笑顔でマフラーを差し出そうとする君に、 ほんの少しだけ、む、とした表情をするものの。 手渡されたそれをふぁさ、と君の肩に掛けて] (-87) 2021/12/11(Sat) 1:02:18 |
【秘】 坊っちゃん バラニ → 行商人見習い ポルクス[笑顔と共に首筋へ唇を寄せて、強く吸いつく。 逃すまいと背に回した腕に力が籠るのは、 どうか大目に見てほしい] もし、君が魔法使いだというのなら 僕の願いを叶えてほしい。 [唇を離せば、先程まで唇を寄せていた場所に 隠すようにマフラーをかける。 そのままこて、と額を合わせるように その紫の瞳を見つめながら] ……どうか、愛してほしい。 そして愛させてほしいんだ。 その対価は、勿論支払うとも。 [愛を得るために、 対価を支払うことを決意したのはこれが二回目]* (-88) 2021/12/11(Sat) 1:13:07 |
坊っちゃん バラニは、メモを貼った。 (a34) 2021/12/11(Sat) 1:29:56 |
【秘】 坊っちゃん バラニ → 行商人見習い ポルクス[王子様になるというより、 なれると言うほうが正しい気がする。 なんて思うのはやっぱり自分が捻くれているからか。 少なくとも昔の、君と出会う前の自分は もっと素直に自分を信じていた。 愛することを躊躇わなかったし、 自分の力で大切なものを守れると信じて疑わなかった …とそこまで考えたところでゆるく首を横に振って、浮かんだ考えを消し去った。 今、大切にしたいものは自分が覆せない過去ではなくて。 こうして目の前にいる、君のこと] (-108) 2021/12/11(Sat) 12:12:19 |
【秘】 坊っちゃん バラニ → 行商人見習い ポルクスじゃあ、君は僕のお姫様だ。 ……それとも、お嫁さんになってくれる? [少し意地悪く、冗談めかして囁けば。 返答を待つより早く身体を抱き寄せてその唇を塞いだ] (-109) 2021/12/11(Sat) 12:13:01 |
【秘】 坊っちゃん バラニ → 行商人見習い ポルクスん……。 [君について知らないこと、 どうやら他にもいろいろあったらしい。 たとえば君の吐息がかかるたび、 胸の奥が擽ったく、温かくなること。 抱きしめたその身体が、 思っていたよりも華奢で柔らかいこと。 そしてその唇が柔らかくて] ……綺麗だなぁ。 [名残惜しく唇を離したところで、 こうして間近に見る紫の潤んだ瞳がとても美しいことも。 全部、僕が知らなかったこと。] (-110) 2021/12/11(Sat) 12:15:34 |
【秘】 坊っちゃん バラニ → 行商人見習い ポルクス[ところで、忘れかけていたけれど ここは天下の往来だ] ……続きは、もう少し暗くなってからにしようか? [口の橋にかかった銀の橋を拭いながら場所を移そうと、言外に囁く。 そうして比較的人気のない路地を目線で示した] (-111) 2021/12/11(Sat) 12:16:36 |
【人】 坊っちゃん バラニ……。 [囁いた言葉に、彼の反応はどうだったろう。 にこ、と浮かべた笑みは先程の意趣返し。 に、なっているかはともかくとして] ほら、行こう? [彼に手を差し出して促してみせる]* (132) 2021/12/11(Sat) 12:17:50 |
【秘】 坊っちゃん バラニ → 行商人見習い ポルクス[歩く人混みのなか、 そっと人目から隠すようにしてその手を取れば。 恭しくその指先に口づけよう。 お姫様に、乞うように。 細かな理由なんて思い浮かばないくらい ]*今の僕は、ただ君に触れていたい (-112) 2021/12/11(Sat) 12:21:05 |
坊っちゃん バラニは、メモを貼った。 (a45) 2021/12/11(Sat) 12:23:12 |
【秘】 坊っちゃん バラニ → 行商人見習い ポルクス[君の返事を聞く前に、その唇を塞いだのは。 意地悪をしたいなんて気持ちもなくはないけれど。 でもそれよりも。 ……君がどちらを選んだとしても、 その片方だけなんて嫌だなって思ってしまったから。 僕にとっての昔の記憶は、確かにそう。 とても大事なもの。 憧れも、友情も愛も嫉妬も、涙も栄光も。 物心ついたときから傍にあった、誇らしく輝くものであり、 ――そしてそれと同じくらい、今の自分に負い目を齎すもの] (-180) 2021/12/11(Sat) 23:39:40 |
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