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【人】 灯守り 立春─ 会合の前日 ─ [遥か純白の綿帽子を被った連峰を望む麓。 薄く氷の張った湖のほとりで、 白鳥たちが思い思いに羽を休めている。 彩り鮮やかに壁を塗られた家々が ぽつんぽつんと建っている平地も、 通路や橋まで満遍なく白銀の雪に覆われている。 けれど、よく観察するとところどころに 小さな花や緑といった生命が芽吹いている。 凍風が吹きつける一方で、暖かな陽射しが降り注ぐ。 寒さに負けじと雪玉を投げ合い駆け回る、 子どもたちのはしゃぎ声がこだましている。 そんなのどかで牧歌的な風景の中を、 時々立ち止まりながら歩いている女性が一人。 『立春さま〜!! ねえねえ、見て見て!! お〜〜っきな雪だるま!! ぼくが作ったんだよ! すごいでしょ!!』 などと東から呼ぶ子どもの声が聴こえたかと思えば、 『おや立春様、こんにちは。今日もご苦労さん。 蕪がいい具合に漬かったんだが、持ってくかい?』 などと西から気さくに声を掛ける老夫婦も居る。] (125) 2022/01/16(Sun) 20:17:37 |
【人】 灯守り 立春[ここは " 立春 " 統治域。華やかな春の訪れを告げる季節を拝命したこの土地は、 冬の匂いを随所に色濃く残しながらも はじまりを予感させる生命と希望に溢れている。 統治域の半分ほどは雪原と針葉樹林に覆われ、 小さな村や集落が点在している。 中央域に程近い街は特に活気に満ちていて、 多種多様な商店や飲食店が立ち並び、人通りも多い。 両隣の"大寒"・"雨水"統治域との交易も盛んだ。 雪解けを待つ寒冷な気候にあっても豊かな生命が育まれ、 その生命を糧にまた他の生命が命を灯す。 生まれ育った"芒種"の統治域に比べれば 随分と寒いはずのこの地の背筋の伸びるような空気が、 故郷より肌に馴染むようになったのはいつからだっただろう。 私がまだ師匠の、先代立春の弟子だった頃は。 『東風解凍』と呼ばれていた頃は、 まだつめたい風にもう少し凍える日もあったと思う。 広場を抜け、路地を過ぎ、雪解け水の流れる小川を渡った先。 よく手入れされた黄梅の梅林をまっすぐに進んでいくと 突き当たりの高台に、この統治域を見守るように 天高く聳え立つ大きな樹が一本ある。それが "入口"。 大樹の前で白い吐息をひとつ吐き出すと、 呑み込まれるように樹の中へと沈み込んだ。] (127) 2022/01/16(Sun) 20:21:55 |
【人】 灯守り 立春─ "立春" 領域内 ─ [地平線近くに顔を出してぴたりと止まったままの太陽。 夜と朝の境界の色をいつまでも保ち続ける空。 防雪林に守られるように囲われて一軒、 横に長い木造二階建ての家が建っている。 夜明けの光を反射して桃色に染まる雪原によく映える、 明るい空色に塗り込まれた外壁。 二本の柱に支えられた玄関庇の日陰には雪だるまが置かれ、 扉にはドライフラワーのリースが掛けられている。 見上げれば、二階の出窓の奥から 大量のぬいぐるみが顔を覗かせている。 緩く傾斜の付けられた屋根からは 時折雪のかたまりが落ち、 身を切るような冷たい北風が ちらちらと舞う風花を巻き込みながら格子窓を叩く。 吹雪くことは滅多にないけれど、 積もっている雪が融けることも決してない。 それでも家の周辺には、 春の訪れを感じさせる雪の雫のような花が 訪れる者を迎えるように一面に芽吹いている。 裏手に備え付けられたサンルームには、 床はもちろん天井まで所狭しと多種多様な植木鉢が並ぶ。 特に蛍との仕事場でもある広間のテーブルの花瓶には大体年中、 門出を祝う立派な花が活けられている。] (128) 2022/01/16(Sun) 20:31:28 |
【人】 灯守り 立春[前任から引き継いでまだ二年にも満たない灯守り。 立春の灯守りとして初めて『鍵』を引き継いだ去年は、 緊張のあまり大寒さんと会話がまったく成立しなかったり 普段の仕事にさえ不慣れでやるべき仕事が3つ4つすっ飛び 最終的に、芒種の統治域を守っているお姉ちゃんと 仲の良い友人の霜降ちゃんに泣きついたりした。 そんな危なっかしい新米を支えてくれているのは 先代の頃からお世話になり続けている蛍の二人だ。 卒なく何でも熟してくれる頼れる蛍さん達に支えられて、 私はどうにか立春を務められている。 けれど、いつまでも甘えてはいられない。 今年の私は去年の私とは一味ちがうのだ。 去年と同じ轍を踏むわけにはいかない。] (129) 2022/01/16(Sun) 20:32:34 |
【人】 灯守り 立春──はい。 黄鶯さんは私と会合に同行を、 氷魚さんは私達の留守中 お祭りの準備が順調に運んでいるかどうかの 確認と調整をお願いします。 今日も一日お疲れ様でした。 明日もどうぞ、よろしくお願いしますね。 [──そう。同じ轍を踏むわけにはいかないのだ。 黄鶯さんと氷魚さんを見送ってすぐに、 家主は二階へと続く階段を駆け上がった。 書斎の扉を勢いよく開いて 一目散に向かうは部屋の奥、執務机。] (130) 2022/01/16(Sun) 20:33:01 |
【人】 灯守り 立春どうしよ、どうしよ…… あの書類どこやったっけ!!? ていうか明日何着て行こう……!??!? [ヒンメリの揺れる光が柔らかく照らす室内に、 床が見えないほど無造作に積み上げられた本と書類の山。 本来筆記を行なう為にあるはずの机も物で埋まり、 部屋主でさえ必要な書類の場所がすぐにはわからない。 隣の寝室へと移動すればこちらも、 今にも雪崩を起こしそうな脱ぎ捨てた衣類の山。 ベッドの上には辛うじて寝床を確保できる程度に 大小様々な動物のぬいぐるみが眠っている。 壁には街で人気の絵描きの描いた絵葉書や 統治域を描いた風景画が飾られ、 年季の入った調度品には中にも上にも隙間なく 古今東西のありとあらゆる可愛らしいものが詰め込まれている。 一見雑多な趣味と見せかけて 不思議な調和を醸し出しているそれらは、 この家の家主が幼い頃から少しずつ集めてきたり 周囲の人々から譲り受けたり贈られたりしてきたものだ。 この灯守り、片付けが出来ない。 その傾向は灯守りとなってから拍車が掛かった。] (131) 2022/01/16(Sun) 20:36:23 |
【人】 灯守り 立春[──まるで小動物の巣箱のような部屋の中で それが一際目を惹くのは、 その周辺だけが唯一 整然と片付けられているせいもあるのかもしれない。 暖炉の上に安置された、丸い砂時計のような物体。 薄氷のようなガラスの器の上部に、 黄色に近いオレンジ色の 灯り が揺らめいている。]わあああああん!! お姉ちゃん〜〜〜〜〜〜!!! [騒がしくも悲痛な叫びは雪に吸い込まれていく。 砂時計の中の灯りが、ぱちんと爆ぜた。]* (132) 2022/01/16(Sun) 20:39:21 |
【人】 灯守り 立春─ かくして迎えた当日 ─ [服装はぎりぎりまで悩んで、 以前お姉ちゃんに意見を尋ねて購入を決めた お気に入りのワンピースを着ることにした。 淡いオレンジ色のシアー生地を重ねたスカートに、 白い小さな花が幾つも縫い付けられている。 手触りの良いふさふさもこもこのボレロがあったかい。 少なくない友人知人に実姉まで居るこの会場で 必要以上に身構えて緊張しきっている自分は 実は少数派なのではないか……と気付くのはもう少し後の話] あっ、あの……! お疲れ様です。お出迎えありがとうございます。 本日はよろしくお願いします! [念の為にと着いてきてくれた黄鶯さんと一緒に、 順番に人を捕まえては挨拶を始めた。 大丈夫、大丈夫。くれぐれも粗相のないように…… 初めてじゃないし。初めてじゃないし!]** (133) 2022/01/16(Sun) 20:41:22 |
灯守り 立春は、メモを貼った。 (a34) 2022/01/16(Sun) 21:28:07 |
【独】 灯守り 立春/* おねいちゃん〜〜〜!!!!!ヾ(:3ノシヾ)ノシ ←これから目眩がするほど真っ直ぐすぎる不可解な好意と 胸焼けするくらいの愛情をぶつけようとしている人 こんなにしっかりした猫さんが居るなら 妹が世話焼きに行く隙ないのでは……?? でもおおおじさま・ちいおじさま・おじさまに怒鳴られたら 立春は涙目になってごめんなさいって繰り返すのが精一杯で それを見てふんぞりかえられるか、 泣けば済むと思ってこれだから女は、ってかえって激昂されるかどっちかな気がする。 めちゃくちゃ相性が悪そう…… 女帝さん達に護られて平穏なうちが異世界のようだ。 おじさまズが押しかけてきたとしても蛍さん達が追い返してくれそう。 それにしてもみんな凄すぎてやばいですね……(語彙力) (-73) 2022/01/17(Mon) 5:46:29 |
【人】 灯守り 立春ひえっ!? [何かが空から降ってきたみたいな、 大きな物音に思わず身を強張らせた。>>112 かと思えば、] あっ、あわわ…… [雨水さんが、何故だか蒼い顔をして テーブルの合間をちょろちょろと歩き回っている。>>229 どうされたんですか! 大丈夫ですか!? ひょっとして私の『生命』、出番ですか……!? 錚々たる顔ぶれと予測不可能な場内に軽く眩暈がする。 談笑の弾んでいる方々のお邪魔にはなりたくないな、と 右往左往していたらちょうど、 小雪さんがこちらに気付いてくれたのだった。>>135] こんにちは、小雪さん。ご無沙汰しております。 本日は色々と勉強させていただけましたら── ──そ、そうですね。やっぱりまだ、少し。 (251) 2022/01/17(Mon) 13:21:29 |
【人】 灯守り 立春[少し、じゃない。まだ全然慣れない。 この場に集まるような灯守りは皆さん、 師匠──先代立春と顔を合わせたこともあるはず。 いつも穏やかな笑みを湛えた、人に優しく自分に厳しい方で 素晴らしく仕事が出来たのはもちろん、人望も厚く 中央域から直々に叱られるなんてことは一切なかった。 対する自分はというと、灯守りになった直後に 灯宮へと送るべき灯りたちに感情移入しすぎて溜め込んだり 灯りを灯す命を偏らせてしまったり、 後先考えずに力を使ってしまったりでお咎めを受けている。 天乃さんの顔を見ると、心の中の私が反射的に悲鳴を上げる。 今だって内心、己の一挙一動に不安が付き纏う。] ……で、でも! 師匠には及ばずとも 立派な立春で居られるよう精進して参りますので!! 今後ともどうぞよろしくお願いいたしますっ! 今はどんなお話をなさっていたんですか……? 小雪さんも、小雪域もお変わりありませんか? [お忙しい様子なら、 ぺこりと頭を下げてすぐに離れただろうけれど。 余裕がありそうなら暫し、 他愛ない世間話を、おずおずと。]* (252) 2022/01/17(Mon) 13:22:37 |
灯守り 立春は、メモを貼った。 (a53) 2022/01/17(Mon) 13:34:03 |
【人】 灯守り 立春[──見覚えのある後姿>>272が 会場から出て行くのを見つけたのは、 小雪さんに小雪域の民間工芸品について 詳しくお話を伺っていたときだった。] ……お姉ちゃん? [きっちりと着付けられた帯。 柔らかくなびく色素の薄い髪。 幼い頃から慕い続けた姉の姿を、見間違えようもない。 でもどうして出て行ったんだろう。忘れ物かな? 心なしか、少し顔色が青かったような。 ……もしかして急に具合が悪くなった、とか……!? 一度気になりだしたら止まらなくなってしまって、 己の振る舞いに対する不安は姉の行方への不安に変わった。 もう少し、もう少しだけ、戻ってくるのを待ってみよう。 あんまり心配しすぎても お姉ちゃんを困らせてしまうかもしれないし、 でも。でも……、 戻ってくるのがあまりに遅かったら、探しに行こう。] (276) 2022/01/17(Mon) 17:49:44 |
【人】 灯守り 立春[自分が姉にとってできれば逢いたくない人物だとは、 妹は露ほども考えていない。 そして、姉の想像する通りに、否、きっと想像以上に 姉を見つけた瞬間に駆け寄るのが常な妹である。 物心付いて自分の足で歩けるようになった頃から 時を経て灯守りとして独り立った今まで、 それはずっと変わることはなかった。 駆け寄ることが出来なかったのは風邪で寝込んでいた時と、 蛍を志すきっかけになったあの事故で 生死の淵を彷徨っていたとき、だけ。 それこそ、もし姉の呼吸が浅いのに気付いたなら 帯を緩めようとするではなく、 反射的に『生命』の力を使おうとするだろう。 妹にとって姉は、それくらい大切な存在なのだ。]* (277) 2022/01/17(Mon) 17:49:53 |
【人】 灯守り 立春[会場から出て行った姉が心配で 居ても立っても居られなくなる少し前。 さっきまで苦しそうにしていた雨水さんが、 いつの間にかすっきり生き返ったかのような顔をして こちらへと視線を向けているのに気付いた。>>275 雨水さんの傍には夏至さんが立っていて、 どうやら私の出る幕はなかったらしいと知る。 事の次第は今ひとつ理解出来ていないけれど、 大事には至らなかったようでほっと胸を撫で下ろした。 ──と。目の合った雨水さんは、 どうやら自分へと頭を下げているらしい。 慌てて同じように頭をぺこりと下げ返した。 ただ心配しただけで、何か役に立てたわけじゃない。 それなのに頭を下げさせてしまって、なんだか申し訳ない。 でも大事なさそうで良かったです。本当に。 少し距離があっても伝わるように 安心しましたの気持ちを込めた笑顔を向けて、 生命にかかわるような事件事故は起こらないのが一番だけれど もしもの時にはお任せくださいね! と、 両拳を握って小さくやる気をアピールしてみせた。] (280) 2022/01/17(Mon) 18:52:32 |
【人】 灯守り 立春[統治域がお隣同士な雨水さんは、 何かと顔を合わせる機会が多い。 同じ春の統治域を持つ灯守り。 灯宮の鍵を渡す時にはもちろん顔を合わせるし、 灯守りの着任歴も歳も、おそらくはそう変わらず 回覧板の順番やこういった会合の席もお隣同士とあって、 勝手ながらひそかに親近感を覚えているのだ。 礼儀正しい方だなぁ、と思いながら顔を上げると 恥ずかしそうに俯いている姿が目に飛び込んできた。 その様子が微笑ましくて、つい頬が緩んでしまいました。 どうか、お許しください。]* (281) 2022/01/17(Mon) 18:54:13 |
灯守り 立春は、メモを貼った。 (a59) 2022/01/17(Mon) 19:10:04 |
【人】 灯守り 立春─ 小雪さんと>>283 ─ 恐縮です……! 皆様とお逢いできる貴重な機会なので……っ 立春の暦ももうすぐ、ですし 今年は立派にお役目を果たしたく。 [そうなのだ。 灯宮でお勤めを行なう期間が、すぐそこまで近付いている。 灯守りの一、一年のはじまりでもある 立春の祝いは特に盛大で、様々な催しが開かれる。 華やかな宴と人々の熱気に満ちて 立春域が一年で最も賑わう季節だけれど、 期間中は普段以上の精神的重圧が圧し掛かる。 目の前の女性をちらと見遣れば、 緊張など概念ごと忘れてしまったかのような顔をしている。 私ももしこの先何十年と立春を務めることが出来たなら、 いつかは落ち着いて任に就ける日が来るんだろうか。 ……私の灯りが尽きる方が早そうです。師匠。] (307) 2022/01/17(Mon) 21:16:49 |
【人】 灯守り 立春師匠は……先代は、本当に素晴らしい方でした。 先見の明があって、臨機応変な対応も出来て 厳しくも心優しくて、 いついかなるときにも笑みを絶やさなくて…… そのうち自然と、ですか? わ、私にもできるようになりますか? 私らしい立春…… は、はい! がんばります! [統治域の離れている私のことも気遣ってくださる。 その心遣いがあたたかくて、ありがたい。 有難うございます、と改めて頭を下げ] ワインに合う肴、ですか? チーズをたっぷり乗せたじゃがいものグラタンとか……あっ、 塩気をきかせたきのこのソテーもきっと合いますよ。 [とは、よく日中から雪を眺めながらワインを煽っている お酒の好きなとある村のおじさんの受け売り。] (308) 2022/01/17(Mon) 21:16:54 |
【人】 灯守り 立春こ、こちらも。今のところ特に問題はないです。 ……ないはずです。 [ある村ではなぜか三つ子が立て続けに生まれているとか、 領域で順番待ちしている灯りが少々多い、とか。 問題はなくはない、かもしれない。 しどろもどろに言葉を濁して、話題を別の方向へ向けた。 お姉ちゃんが会場を出て行くのに気付いた後も 暫くは談笑を続けていたけれど、流石お姉様。 どうしてもそわそわしてしまっているのが 伝わってしまったらしい。 促されたなら深々と頭を下げて、 どこかへ消えた姉を探しに駆け出したのだった。]* (309) 2022/01/17(Mon) 21:17:16 |
【人】 灯守り 立春─ 時は少し遡り ─ [右手と右足を同時に出しながら 会場に足を踏み入れた直後のこと。 聞き覚えのある声に名前を呼ばれて振り向いた。>>290] 葵ちゃん! 今日はお着物なんだね。素敵だぁ……! [太陽光を反射した雪原よりも眩しい輝く笑顔。 きっちりと切り揃えられた白銀と鮮やかな萩の髪。 普段とは一味違う華やかな和装で駆け寄ってきた友人に、 ほっとそれまでの緊張を解いて微笑み返す。 葵ちゃんも、少し先輩ではありながら年齢が近しく 蛍の任を経て灯守りに就任した経緯も相俟って、 出逢った当初から親近感を抱いていた子だった。 統治域は決して近くはないにも関わらず、 先代同士もどうやら仲が良かったらしい。 蛍として師匠の弟子だった頃は 会合に参加したことはなかったから、 葵ちゃんと出逢ったのは灯守りになってからだった。 まだ何もかもが手探りで、行き詰って途方に暮れて お姉ちゃんの顔を見に里帰りしたときのこと。 何十年も前から灯守りをしている方ばかりではなくて 同い年くらいの子も居るのだと聞き知ってはいたけれど、 実際に会って話すのは初めてだった。] (320) 2022/01/17(Mon) 22:26:15 |
【人】 灯守り 立春[お互いの師匠の話に統治域内の可愛いもの語り、 お菓子の話で盛り上がって意気投合したんだったっけ。 『霜降さん』時々『葵さん』呼びだったのが 『葵ちゃん』時々『霜降ちゃん』呼びに変わるのに、 そう時間はかからなかったと思う。 就任祝いにと彼女がプレゼントしてくれた 抱きしめて寝るのに最適な大きさのふわふわうさぎぬいは、 今では淋しくなった夜はもちろん淋しくない夜も 私の睡眠になくてはならない必須アイテムとなっている。 あれからもうすぐ二年間。 毎日褥をともにし時々はお風呂にも入れて ちょっと当初のふわふわ感を失ってしまったうさぎぬいは、 昨夜ももれなく私と一緒に寝てくれていた。] そ、そっか。葵ちゃんも緊張してるんだ。 全然そんな風には見えないけど……! そうだよね、今年こそは…… ありがとう! 今年こそは、立派にやり遂げてみせるよ! (321) 2022/01/17(Mon) 22:26:23 |
灯守り 立春は、メモを貼った。 (a68) 2022/01/17(Mon) 22:35:23 |
【人】 灯守り 立春─ 雨水さんと ─ [『いざという時は私めにおまかせください!』を 身振り手振りだけで伝えるのは流石に無理があったようだ。 雨水さんはこてんと小首を傾げながらも、 同じようにぐっ! と拳を返してくれた。>>291 あっ、これ、たぶんつたわってないやつだ。 つたわってないけど私に合わせてくれてるんだ。 なんていいひとなんだ……!! と、感動しながら 恥ずかしがる様子を微笑ましがっていたら、 むすっとされてしまった。>>293 ……もしかして拗ねてる? のかな?? 咄嗟に胸の前で両手を合わせて、 ごめんなさいのポーズをしてみせる。けれど、 雨水さんも拗ねることがあるんだなぁ、と思ったら ますます微笑ましく感じられてしまって ちょっぴり誠意に欠けたごめんなさいになってしまった。] (460) 2022/01/18(Tue) 18:58:00 |
【人】 灯守り 立春[雨水さんに初めて鍵を受け渡した日のことは、 もうじき季節がひと巡りしようかという今でも はっきりと昨日のことのように思い出せる。 私の場合は、会合に出席したことはなくとも 一応弟子として蛍の任を経ての就任だったうえに 一年に一度の大役を務めるまでには 夏、秋、それから冬と時間的には余裕があった。 にもかかわらず初めて迎えた立春の季節は あまりのめまぐるしさに右往左往していたから、 初仕事がいきなり雨水本番となれば 雨水さんの苦労は想像するに余りある。 ましてや直前が私だったのだ。 そう、あれは──立春の季節最終日、雨水の前日。 なんとか無事に立春を納められそうだという安心感と 度重なった睡眠不足と疲れでベッドに倒れ込んだ私は、 ほんの少し仮眠するつもりで ふわふわうさぎぬいに顔を埋めた。 あたたかなもこもこの腕に包みこまれる癒しのひととき…… そうして私は、お察しのとおり 健やかに爆睡した。 様子を見に来てくれた氷魚さんに揺り起こされて 目を覚ました時には約束の時間まであと僅かだった。 そのうえ、あろうことか眠っている間に寝床に埋もれて 肝心の鍵が行方不明になっていた。] (461) 2022/01/18(Tue) 19:00:04 |
【人】 灯守り 立春[雨水さんの緊張を和らげるていで 黄鶯さんがお茶とお菓子を振る舞い、雑談で誤魔化しながら 間をもたせてくれたらしいのは後で聞いた話。 家宅捜索の勢いで半泣きになりながら 探し回った鍵はベッドのすぐ下に落ちてました。 かくして、平謝りしながら鍵を受け渡すときには 疲れ果ててぐったりしていたと思う。 緊張した面持ちで鍵を受け取る雨水さんを見て、 己の不甲斐なさに泣きそうになったのだった。 そんなことがあったものだから雨水さんの困っているときには 何か力になりたいと思っているのだけれど、 雨水さんがしっかりしているので今のところ出番はない。 ただ、会合や統治域同士の交流で言葉を交わすごとに 少しずつ、打ち解けられているつもりでいる。]* (462) 2022/01/18(Tue) 19:03:06 |
【人】 灯守り 立春─ 小雪さんと ─ は、はい……っ。 立春のお祝いは、皆さんとても 楽しみにしてくださっているものでもあるので……! ……師匠にもよく、 肩に力が入りすぎだと言われて。 立派に、よりも無事にやり遂げられるようにと 肝に銘じてがんばります! [全然ちょっとどころの長さではない年月の隔たりが 小雪さんと私の間にあるのは知っている。 ますます恐縮してしまうけれど、同時に とても優しい方だと思う。 きっと本心から私を気遣って、 言葉を選んでくださっているんだろう。>>331 尊敬できる方だった、と聞けば>>332 自分のことのように少し誇らしげに微笑んで] 師匠……蘭花様も、小雪さんのことを とても信頼なさっていました。 [そうして私は、小雪さんが私を安心させようと 話し出してくださったお話に真剣に耳を傾けた。>>333] (491) 2022/01/18(Tue) 21:01:44 |
【人】 灯守り 立春[時折相槌を打ち、 破天荒な"とある統治域の灯守り"さんに ええ……? 本当ですか?? 誇張じゃなくて真実なんですか??? と 困惑したり驚いたりしながら、お話は進む。] ひえ……ひぇえっ………… そ、そんなことが……………… あるんですね……ひえっ……………… [ことばにならない。 もし自分がその立場だったら、と 考えただけで軽く眩暈がする。] (492) 2022/01/18(Tue) 21:01:54 |
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