情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 エピローグ 終了 / 最新
【秘】 よろず屋 シラサワ → 呪術師 リェン「はぁ……は……。」 狂い人の男は『神狼の祠』を歩く。 奥へ、奥へ向かって、最早戻れぬだろう地獄への道を。 首に縄をかけるように刻まれた印が、 呼吸を狭めるように、身体を苛んでいく。 ゆらゆらと、それでも一歩ずつ、獣の胎を、奥へ、奥へ。 最早狂い人としてこの場の狂気に抗う術もない。 己は最後の贄、己は最後の食事。 …これで良いんだよ。 様々な失敗を繰り返し、傷を負い、出身を追われ、 それでもこんな身体にまだ使い道があった。 死に場所を見つけたとばかりに、シラサワは征く。 獣の胎の奥から伸びて来るは無数の手。 神狼派であり、この場の爛れにあてられた人間達。 贄を奪われ、二体分の贄を要求し、 出てきたのはこの傷んだ贄の男ただ一人。 神狼はお怒りだ。 最早巫女だけでは鎮まらぬ。 (-0) 2021/07/28(Wed) 9:40:23 |
【秘】 よろず屋 シラサワ → 呪術師 リェン「ん、ぐ………ッぅ!!!」 数多の手が男の身体を引き倒し、 壁へと勢いよく叩きつけ、地へと伏せさせる。 衝撃で男が元々持っていた傷が開き、 服にじわりと 血 痛みが、呼吸が、意識が朦朧とする。 ずるずると引き摺られていく。 首に手が掛けられる。 喰わぬよりはマシだとばかり、男が贄にされていく。 「ハ、ァ……ガ……ッぁ˝、……ッ」 首を絞める手に無意識に両手をやったとて、 傷付いた獣である男に振りほどける力は無く。 首に縄をかけるように。 さぁ、裏切り者の狂人を吊るし殺そうじゃないか。 澄んだ 海 の瞳の光が、徐々に濁っていく──。 (-1) 2021/07/28(Wed) 9:44:02 |
【秘】 よろず屋 シラサワ → 呪術師 リェン本来男が引き受けて足止めするはずだった島民が、 己の死骸を喰わせておくはずだった相手が、 一瞬にして消え去ってしまった。 「ハ、ッヵハ、──ゲホケホッ…!!」 最早酸素が通ることは無いだろうと 思っていた気道に急に空気が入りこみ、咳き込む。 視界が揺れ、意識が揺れ、 生理的な涙に濡れた海眼が、 聞き覚えのある声にゆらゆらと。 狐が払ったのは、人間に支払えるはずの無い対価。 この傷だらけの獣には、 その十分の一すら払えるのか怪しい。 「……は、……ハ……ェ、ン……?」 最早潰えるだけとなっていたはずの道化。 真意の全てを封じ、僅かな欠片だけを残し、 記憶を持って消えるはずだった。 首には縄の痕。 傷む身体と印の熱に浮かされるように、 リェンの名を呼ぶ。 (-5) 2021/07/28(Wed) 11:20:40 |
【秘】 よろず屋 シラサワ → 呪術師 リェンシラサワという男は、ただの、ただの人間だ。 何の特別な能力も持たず、 己の人生に翻弄され、無知で傷を負い、 こんな辺境の島で、慣習に抗えずに 最後の贄となるはずの、人間の男だった。 「リェ…ン………。」 身体の痛みが、此処がまだ 涅槃ではないと教えてくれる。 掠れ弱々しくも熱のある声が、鈴の音のような相手の名を呼ぶ。 この島に来た時に、身体の傷を最初に知られた相手。 過去を知っているかは分からない。 ただ、痛み止めの薬を処方して貰っていた。 リェンの薬を徐々に、その身に宿してきた。 「ン、ぅ、ゥァ………ッ」 ぬるりと舌の感触を感じれば、 男の身体を侵す神狼の印が、他者の肌を求めさせる。 この男に刻まれた印は、二つ分。 それも、本来ならば狼に対して刻む印が、酷く身体を苛んでいる。 人間の身体には、身に余る渇きと飢え。 足先が擦るように地をのたうち、 優しい刺激に酔うように、傷付いた獣が啼く。 (-8) 2021/07/28(Wed) 17:39:16 |
【秘】 よろず屋 シラサワ → 呪術師 リェン「ンぁ、は……ッ…」 印に突き動かされる。触れられる肌が、 怪我をしていない腕の方が、誰でも良いと相手に縋る、はずだった。 ああ、違ったのだ。相手は、人ではない。 「ァ、うァ、ァ……ッ!!!」 リェンの指が男の剥き出しの場所から、 入る、入っていく、 シラサワがシラサワたる魂へ触れる。 "印"から、脳へと響く快楽ではない。 これは、己の存在そのものを愛撫されている。 悶えたとて、身を捩ったとて逃げられない。 「りぇ、ンぁ、っあ、ヒ、ぃぁ、……ァッあっ!!」 男の普段からは想像できないような嬌声が零れる。 思考など出来ようはずもない。 自身へ手が伸びると、背が仰け反る。 「ゃ、ぁっ、ァ、あぁ、ッあン、ァッ」 強すぎる快楽が、海からぼろぼろと涙を零し、 閉じられない口から涎が、 自身からは濁った液が、だらしなく零れる。 脚を閉じる力すら、奪われていく。 (-17) 2021/07/28(Wed) 23:08:12 |
【秘】 よろず屋 シラサワ → 呪術師 リェン地獄を見て来た。かつての祭で狼にも成ったことがある。 神狼派という事ではないが、 従わざるを得なかったからだ。 この海の魂に触れるなら、読み取る事も出来るだろうか? シラサワにも、確かに他の人間と同じよう、 祭の事柄や先程の死に直面する 痛み も恐怖 も、嫌だ という想いも、助けて欲しい という心もあった。けれど、それを全て言葉と笑みで隠して来た。 隠したまま、逝くつもりだったのだ。 ──それはリェンも含め、数少ない島の味方が救いだったからだ。 これは、決して本人の口からは語られぬモノ。 魂に触れたリェンにしか、知れぬモノ。 (-19) 2021/07/29(Thu) 0:17:33 |
【秘】 よろず屋 シラサワ → 呪術師 リェン「は、ぁっあ、ァッんん、ひぁッ りェ、りぇん、……ッぁ、あッ…!」 かつての狼に成った時の後遺症が、 首に刻まれた二種の印が魂の端に絡み、 この爛れた獣の胎の空気と相まって、 存在そのものを犯されていて尚、男は生きている。 それは、狂気の中で立ち続けていた、" 狂人 "故でもあった。全てを隠すようにしていた長丈服を剥がされ、 押し倒され、血を流す傷口は、"魂への入口"は、 左肩 、右脇腹 、左腿 の三か所が見える。告げられる言葉を思考出来る余裕など残っていない。 「ァ、アぁアああッ!!」 準備無く、もしくは液体に何か効果はあるだろうか。 熱を身体に受け入れ、背を仰け反らせ、 これまでの尋常ではない快楽から破裂するように、 白濁が獣の胎へと吐き出される。 片腕では己を支えられず、接合部をリェンに突き出す形で、 獣同士の交尾のような繋がりとなる。 時折労るような手つきに、縋るように。 傷だらけの獣は、リェンの下に。 (-20) 2021/07/29(Thu) 0:24:00 |
【秘】 よろず屋 シラサワ → 呪術師 リェン貫かれた衝撃に、びくびくと身体が痙攣している。 「ぁ、ふぁ……は…ッんあンッ」 男の低くもはしたない声を抑えられない。 傷口から魂に触れられる度、無為に首を振るのだが、 魂に拒絶の意志は決してなく、快楽に甘い声が上がる。 そこに緩やかな出入りがあれば、もう堪らない。 準備こそ無かったが、そうしてリェン自身が男を解していく。 「あ、ひァ、っァ、や、りぇん、ッんン、ふぁ…ッ!」 後ろを向かせられ、人で無きモノと口付けを交わす。 己の白濁が互いの舌の上で絡み、 不快は最早感じる事が出来ず、 求めるままに相手に舌を差し出していた。 それもやがて離れ、言葉と共に、 ずるりと熱が抜けていく、それは予感が。 「ンぁァ……っひ、ぁああっ!!」 相手を根元まで飲み込み、 仰け反って強く強く、締め付ける。 蕩けた全てのまま、本能の求めるまま、 彼のどこへなりを掴む。愛撫される魂が訴える。 正面から彼と接合することを無意識が望む。 この獣の胎を掻くのではなく、相手に縋りたくて。 (-24) 2021/07/29(Thu) 1:58:47 |
【秘】 よろず屋 シラサワ → 呪術師 リェンぬちくちと水音を立て、繋がりが浅くなり、リェンの上へと抱かれる。 はひ、と呼吸にすら、短い嬌声が混じった。 弱々しい獣の全身がリェンへと絡みつく。 腕も脚も、傷のせいで力は違えど、男に出来る精一杯で相手を包み、 その腹に濡れそぼった自身がぬるりと滑る。 その僅かな刺激ですら、幾度と果てた身体を痙攣させた。 「んンぃ……っは、リェん、りぇ、ん…ッ」 狼となった年でさえ、これほどに己が女となったことは無かった。 誰かを抱くにも抱かれるにも、まだどこか余地があった。 狼と狂い人用の強い二つの印による快楽への導きさえ、 今のリェンから齎される快楽には及ばない。 神狼に捧げる熱ではなくて、この空狐に無意識に魂ごと熱を捧げる。 常人を超えた快楽に溺れた海色の瞳は涙を零す。 同じ性別のヒトの姿をした化物の紅い瞳を見つめている。 何もかもが蕩けて深海から溢れ出している。 「は、ァッ、んんぅ、ふ……ッン、ンッ!!」 強く抱かれる。傷へと響く痛みすら、魂への快楽に。 唇を重ね、舌の交わりで酸素を奪われ、 激しい出入りが始まり、奥底を押し上げられるように、 抵抗のしようもなく上も下も全てが喰われていく。 気持ち良いと考える暇すら無い。 (-28) 2021/07/29(Thu) 15:28:20 |
【秘】 よろず屋 シラサワ → 呪術師 リェン「ァ、あぁッ、ぁ──ッ、りぇん、りぇんん…ッ」 口付けを交わし、舌を絡め、魂を愛撫される。 肩からは心臓 へ、腹からは内臓 へ、脚からは自身 へと、魂の快楽が直に届けられる。 突き上げられながら自身に手を伸ばされ、扱かれ、 気絶することすらままならない快楽に浸る。 何もかものしがらみをかなぐり捨てて、抱き着く。 「りぇ、ンぁぁあッ!!」 『果てる時に呼べ』と言われたのを 覚えていたのか定かでは無いが、 リェンの白濁で満たされながら絶頂し、 譫言のように相手の名前を何度も呼び続けた。 押し出されるように二人の間を白濁が濡らす。 リェンの生命が直接シラサワの身体に根を張る。 それは神狼の印を破壊し、リェンが新たに印を刻むような状態だ。 もしかすれば、新たに身体のどこかに印が出来るだろうか。 「んァッ、は………ぁ、ぅ…。」 熱がナカを擦り上げながら抜けるのに身体を跳ねさせ、 優しくその灰髪を撫でられながら、 余韻から思わず口付けを求めた。 (-30) 2021/07/30(Fri) 1:44:46 |
【秘】 よろず屋 シラサワ → 呪術師 リェン「はぁ、は………ん、は……。」 全ての要因が絡まり、気が触れる間際の交わりだった。 舌を絡め、熱が冷えていく。 早鐘を打ち、リェンにすら届いていた鼓動の音が落ち着いていく。 「ン………。」 新たな印を刻まれ、今一度リェンの身を弱く抱く。 喉元に、縄ではなく縁の"糸"が絡みつく。 それは印、それは所有印 この獣の胎の地獄へ伸ばされた一本の蜘蛛の糸。 例え男から傷痕が消え去る日が来ても、 "魂への入り口"は、この印に在り続けるだろう。 「──………"色んな意味"で死ぬかと…思うた…。」 熱が冷え、平静を取り戻し、身体が離して呟いた。 言葉の端が、普段のシラサワを取り戻す。 乱れた髪を手で乱雑に正し、 忘れようの無い人外の快楽を振り払うように頭を振る。 「…おおきにリェンはん…。 久しぶりに、なんもかも忘れたわ……。」 それでいてなお、リェンが彼を好くように、 真意を言葉で装い、笑って見せた。 "狂人"ではなく、彼は人間だった。 (-32) 2021/07/30(Fri) 14:27:39 |
【秘】 よろず屋 シラサワ → 書生 シキ二つ分の印はリェンによって上書きされた。 冥府の底から、獣の胎に 喰われるはずだった男の気配が濃くなった。 それは、忘れさせられたはずのシキの記憶に。 弱く傷付いた"獣"ではなく"人間"の存在を。 その曖昧に残った"心の痕"に、 海の波音 青年の手から何かの拍子に" 本 "が落ちる。地に投げ出され、 赤 い栞紐さぁ、そこには、誰が刻まれている? 与えられた、全ての熱と安堵は 与えられた、全ての恐怖と共にある。 君はそれを…臆せずに思い出すだろうか? 幻と消えるはずだった、それを。 (-33) 2021/07/30(Fri) 14:42:31 |
【秘】 よろず屋 シラサワ → 書生 シキ「…花火、始まっとるんやろうな。」 ゆっくりと立ち上がる。 リェンの手当を受け、獣の胎から、外を目指す。 自らを愛することしか出来なかった水仙よ。 この人間は、君の鏡にほんの少しでも、映っただろうか。 笑顔で縄を首へかけて、傷付いた男が向かった先。 ただの人間は、舞台を降りるつもりだった。 根無し草と幻と消え、本から頁は燃え尽きる、はずだった。 ああ、けれども、器用で不器用な言葉が、笑みが、 傷だらけの腕を伸ばして、 弱々しくも君に、僅かな熱と安堵を与えた。 ……この頁は、未だ、燃えてはいない。 君は、この 赤 い栞紐が示す海を、目指すだろうか?行く先には、熱と安堵と恐怖が、待っている。 (-35) 2021/07/31(Sat) 6:57:38 |
【人】 よろず屋 シラサワ遠くで聞こえる。 左右の 舞手 彼岸華 成長した共鳴りの 弓音 島を囲む海に住む 水竜 祭りの花火に、 鬼神 表舞台の役者は揃い踏みだ。 ここからは舞台裏。 空狐 最後の贄を喰ってしまった。 器用で不器用な笑みの 人間 死に場所から、帰って来た。 自らを映した 鏡と本 青年は駆けて行けるのだろうか。 呼び水となった 語り手 この物語が記された"本"を、捲る。 神狼よ、■■■よ、誰もが予想せぬ物語を綴ろう。 今宵の三日月の元『人狼物語』を。 (3) 2021/07/31(Sat) 7:06:56 |
【人】 よろず屋 シラサワモクレンにはいつもの通りの祭のはずだった。 見知った顔、見知らぬ顔。 けれどもその誰もが、彼岸花の塵に惑わされている。 腕輪を付けたモノだけが、水竜の眼に留まる。 贄となるはずだった誰もが反旗を翻している。 最後の贄ですら、もう居ない。 神狼から、全ての贄が失われた。 ──今、神狼は、弱っている。 そんな中、今なら、隷属の痛みも弱く。 さぁモクレン、直に神狼に逢ったならば、 その場所が分かるのではないか? 今なら、島狼ごときに 島を囲む海の竜が使われないのでは? (5) 2021/07/31(Sat) 20:17:10 |
【秘】 よろず屋 シラサワ → 書生 シキそれは予想だにせぬ客人で、 獣の胎から出て来た海の瞳が、 名を呼ぶ青年に眼を丸くする。 「……来ちゃったのか。」 傍らのリェンを見上げる。笑う。 いやはや、二人して返してもらった訳で。 そして此処に、新たな縁の約束を。 人生に翻弄されながら『それでも』と足掻いた 男の足痕が、新たな"花火"となったのだ。 「……そうだねぇ、 俺はしばらくまともに動けそうにないや。」 リェンの命の欠片を貰ったとしても。 男はきっと最期の瞬間まで、人間であろうとするだろう。 人として潰えた後に、もしかすれば空狐の傍らに行くかもしれないが。 「…──本島に帰る気ぃ無いんやったら、 うちの店、手伝っていかへんか?」 その最後の刻まで、この花を愛でよう。 シラサワという男は、海を湛え、笑っている。 (-37) 2021/07/31(Sat) 20:38:40 |
【人】 よろず屋 シラサワ巣から狼を追い出すならば、今、今宵。 三日月の下、人狼たちの宴。 最上の贄だった右舞の持つは小さな毒で 血縁故に成すは左舞の持つ小さな幼牙で 竜によって巣から追い立てられたならば、 そこに居合わせるは魔を寄せ付けぬ弓の主と、 神狼にすら反逆せしめた皇の彼岸花。 全てが終わったその後に、 誰が島を治めるのかは今は分からない。 ああ、けれど、確かに今宵、 百年に一度の機会に集結せしめた者たちが、 神狼の喉笛に刃を突き立てる。 誰が欠けようと、成し得ぬこの人狼物語の結末を。 (7) 2021/07/31(Sat) 20:48:43 |
【人】 よろず屋 シラサワ「…皆ありがとうね。」 道化であり狂人は最後に人となった。 さぁ、吊られて得たは二つの縁。 彼らを抱き、生きよう。 この花火を眺めながら。 (8) 2021/07/31(Sat) 20:59:24 |
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 エピローグ 終了 / 最新