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【妖】 三年 堀江豊久「なんで、怖いわけないやん」 平気ではない。 平気ではないけれど、言動のおかしさをそう見られているとしたら本意でなかった。 自分が恐れているのはあなたじゃない。それを示すために腕を伸ばし、柔らかく手を取る。 それから、『大丈夫』を言って聞かせようと、座ったままあなたを見上げてみて。 いつもどおりの筈の貌からつい先程の色香が滲んでいるように思えて、ふと意識が奪われた。 「…………」 「あ、うん、まあ、せやから……一緒に寝よか」 普段ならその選択に大した躊躇もなかっただろう。 不用意に近付くことに不安はあったが、よそよそしさで傷つけてしまうことはしたくない。 そう言い訳を作った。 ($0) 2021/08/16(Mon) 9:18:41 |
【妖】 三年 堀江豊久「うん、ほんまに」 嘘はついていない。 そして、それが卑しい正当化だと自覚している。 「怖ないよ」 「キヨくんのことは」 すぐそばに在るあなたが、必死に隠している異様な熱を引きずり出す。 握った手がいとおしくて、もっと触れたくて、心のうちに立ち入りたくて、 「ちゃうねん、自分が、」 「自分がこわい」 「キヨくんが優しいからって」 「もっとひどいことしてまいそうで」 訥々と白状した言葉はひどく散らかっていた。 「……や……その」 口元を押さえて目を逸らす。 「ごめん、変なこと言うて」 ($2) 2021/08/16(Mon) 12:28:57 |
【妖】 三年 堀江豊久甘い甘い許容の言葉を聞く。 とろりと弛緩した表情を見る。 掌に当たる頬の体温を感じる。 そのどれもが堪らなく切なくて、熱を持て余している深奥がもっと強い知覚を求める。 「なんで」 ぽつりとつぶやいた。 「なんでそんなに」 ▼ ($4) 2021/08/16(Mon) 15:48:47 |
【妖】 三年 堀江豊久腰を上げる。 ぎし、とスプリングが軋み、深く沈み込んだ。 あなたの両脚を挟むよう、ベッドの縁へ膝立ちになって向かい合う。 「俺のしたいこと」 空いている片手を、あなたの首筋にかける。 髪をはらって指を絡め、親指で顎の下をさする。 シーリングライトのつくる影の下であなたを見つめる視線は淀んでいた。 「知りたい」 「中身まで土足で踏み込んで」 「心も体も好き勝手さわって」 「キヨくんが隠したいと思っても、泣いても喚いても無理やりこじ開けて」 いちばん許容され得ないところを選んでぶつけた。 薄暗い気持ちがあるのは嘘じゃない。 けれども、あなたのことが好きだから、傷ついてほしくなどないから、実際は絶対にしたくないことだった。 「そういう、ことやねん」 「ひどいやろ」 「こんな」 つとめて起伏のないように。 そう思って発した声は、少し震えていた。 ($5) 2021/08/16(Mon) 16:03:18 |
【妖】 三年 堀江豊久振り翳せる限りの刃もやさしく取り上げられる。 どれだけ伝わっているかなんて分からないのに、再び虚勢を張ろうにも攻撃的な感情など最早奮い立てられない。 頭を撫でられるとすっかり毒気を抜かれてしまって、あとは抵抗もできず隣へ転がされるままだった。 苦悶と安堵が綯い交ぜになったような表情が部屋の灯りに照らされて、 ぐったりとしたまま、触れるだけの口づけを施される。 「……なんで……そんな優しくしてくれるん、キヨくん……」 再三の問が、再び唇から零れた。 ($8) 2021/08/16(Mon) 19:17:42 |
【妖】 三年 堀江豊久数秒の沈黙があって。 「一緒に」 独り言のように復唱してから、徐にあなたの胸元へ顔を埋めた。 上になったほうの腕をあなたの背中へ回して抱きつく。 「ううん、駄目やない」 「そうか」 「……」 「ありがと」 布越しの胸に額を寄せて、くぐもった声がぽつり、ぽつり。 声色には幾分か安堵が漂っていた。 ($10) 2021/08/16(Mon) 23:18:40 |
【妖】 三年 堀江豊久「……したいこと……な」 「嘘やないけど、ほんまはそれだけやなくて」 「俺も……キヨくんにやさしくしたい。大事にしたい」 「キヨくんが嫌なことは、したない」 そこまで言うと、顔を上げてあなたの表情を伺う。 「……でも、そうやないことは…… そうやないことが、たぶん、俺のいちばん『したいこと』」 背中を抱いていた手がするりと位置をさげて、 物欲しげに腰を緩くさすった。 「な」 「キヨくんが許してくれたこと、欲しがってくれたこと」 「俺、ほんまに……信じてもええん」 ($11) 2021/08/16(Mon) 23:21:58 |
【妖】 三年 堀江豊久全身で示される淫らな期待が、行き場なく疼き続けていた情念を導く。 求めあっている事実に疑いを差し挟む余地はない。 上になった側の脚をあなたの脚へ絡めかける。 腰がぴったりと密着するように。 あなたのものと触れた本能もまた、あなたを欲しがって既に滾っている。 そうして下衣越しに、膨らんだ熱と熱を、確かめるようにゆっくり擦り合わせた。 「すき、……キヨくん、」 間接的な甘くもどかしい感覚に息が詰まる。 もっと知覚したくて、腰に添えた手に力が篭もる。 「すき」 ($14) 2021/08/17(Tue) 6:41:09 |
【妖】 三年 堀江豊久「っ、ん」 生温い舌先に喉仏を舐めあげられて小さく息を漏らした。 注いだだけ返ってくる『すき』に愛しさが込み上げ、下敷きになったほうの腕を引っ張り出してあなたの癖毛を緩く掻き乱す。 溶け合いそうなくらいの熱量を感じているのに、隔てるものが邪魔だった。 「もっと」 さわりたい。 ゆっくりとのしかかるようにして――ちょうど先程の動きを逆にしたように――あなたを仰向けに倒して、その上へと再び覆いかぶさった。 圧し潰さないよう膝と片肘で体を支えると、自然、触れ合わせていたふたつは離れる。 かわりに、ズボンのウエストへ指をかけて、 「直にさわらして」 耳のすぐそばでそう囁くと、あなたのピアスに唇が触れた。 ($17) 2021/08/17(Tue) 16:00:22 |
【妖】 三年 堀江豊久「……ん……」 手の動きに合わせて甘ったるく啼く姿を言葉もなく眺め続けていたが、切れ切れに紡がれた言葉ではっとしたように瞬きをして、それから頷く。 鈴口のかたちを覚え込むように擦っていた掌がいっとき離れた。 自分のベルトに手をやると雑に前へぐいと引っ張って、片手でバックルを外す。 フロントボタンも外してしまえば、あとは腰にかかったあなたの手で下腹を顕にされる。 前を寛げて楽にされたそれは、素朴な好意から狂った執着まで一緒くたの熱を宿して、痛いくらい屹立していた。 「俺も、よくしてくれるん」 鼻先で微笑む。 様相だけは正気に近く見えたとしても、薄目を開けた薄茶色の瞳からは情欲と甘えでぐずぐずの心が漏れ出ていた。 ($20) 2021/08/17(Tue) 23:16:04 |
【妖】 三年 堀江豊久あなたが何を強請ったのかはすぐに理解できた。 ほんの一瞬だけ、逡巡が過ぎる。 けれどもあなたが吐いた赦しの言葉は毒のように全身に回って、迷いはみっともなく溶かされてしまって。 『それ』をしたらどうなるんだろう―― そんな、あなたへの剥き出しの興味を止められるほどの正気は、この場に残っていなかった。 「……」 「このままはしんどいやろ、キヨくん」 「いっぺんおきよ」 上体を起こしてあなたの腕を引く。 一度助け起こしたら、あとはきっとあなたの楽なようにさせるのだろう。 ($22) 2021/08/18(Wed) 0:34:48 |
【妖】 三年 堀江豊久なまあたたかい口内を、身体の一番敏感な部分で知覚した。 平時からおよそ想像もつかない淫らな貌。 いじらしい奉仕の感触。 知らない部分を見ていることに歪んだ欲求が満ちて、また下腹の熱が上がる。 「っく、」 生殺しの心地よさに小さく呻き声を漏らした。 慣れない愛撫も高まりきった欲動の前では甘い痺れとなって背筋を走る。 でも、 あと少し…… ものたりない。 夢中で奉仕するあなたの頭上に手をのばす。 あと少しだけ深く咥えこんでくれたら。 そうしたら恐らく、もっとよくなることができる。 もしいまこの欲に任せて、逃げられなくして奥まで突いてしまったら、あなたは一体どんな顔を見せて ($24) 2021/08/18(Wed) 2:20:10 |
【妖】 三年 堀江豊久茹だった思考からあらわれた妄想に小さく首を振る。 殆ど無意識にあなたの後頭部へ這わせかけていた手は、そのままねぎらうように頭を撫でることに使われた。 「ええよ、キヨくん。大変やろ、 ッ…… 」「気持ちよかった……ありがと、」 空いた片手で口許を押さえる。 やましいことがあるときの癖だったが、気持ちよかったという言葉にも嘘はなかった。 ($25) 2021/08/18(Wed) 2:21:38 |
【独】 三年 堀江豊久/* 私の遅筆のせいで残り時間がやばいため、このまま通過でいける感じにしておいたつもり 1レスに6時間かけたやつおるらしいですけど…………(GEZA) (-12) 2021/08/18(Wed) 7:24:57 |
【妖】 三年 堀江豊久柔らかな茶髪の感触を楽しむ。 薄暗い衝動をぶつけてしまわなかったことに、それを受け入れさせてしまわなかったことに、依然情欲に濁る意識の中でも確かに安堵した。 「ぁ、ん……っ」 切ない声が鼻から抜ける。 健気な口淫に育てられた期待を今度は優しく弄られて、這い上がる好い感覚で腰が引けそうになる。 凭れてきた頭を片腕のなかへ抱え込んだのは、受け止めるというよりはしがみついているような気分だった。 「キヨく、」 同じようにされるのは嬉しい。 さっきあなたがどうやって蕩けていたのか、教えてもらえているようで。 ($27) 2021/08/18(Wed) 16:49:24 |
【妖】 三年 堀江豊久あなたの背中で遮られて下は見えないまま、さまよった指の腹が体の正中をなぞった。 へその窪みに緩く引っかかって、下へ下へとくだって、さいごに張り詰めたそれを探し当てる。 「キヨくん、」 「キヨくんも」 「最後まで、一緒に、しよ」 握り込んだ五指の中で熱く渦巻いているあなたの欲望を、解放へ導くためにゆっくりと上下に扱き始めた。 ($28) 2021/08/18(Wed) 16:50:36 |
【妖】 三年 堀江豊久あなたの視界の中で、冷蔵庫から取り出した水入りのペットボトルに口をつけ、ずるずると寝床まで体を引きずっていく。 それから、ぼふ、とあなたの隣へ勢いよく倒れ込んだ。 「……しんど……」 ぼんやりした蜂蜜色の目を覗き込む。 あれだけさわったのに手はまたもあなたのほうへ伸びて、湿った髪を撫でつける。 「キヨくん水飲んだ〜……?頭いたなるで、飲んどかな」 ($31) 2021/08/18(Wed) 22:11:37 |
【妖】 三年 堀江豊久「俺も無理かも。明日まで我慢でええかなあ」 ごろんと仰向けになる。 「あ」 「ちょお待ち。そういえばさっき……」 思いついたように声を上げて、上半身を起こした。 ベッドサイドのテーブルから何かを拾う。 「なあなあキヨくん、これは?」 あなたに向かって掲げたのは、ルームサービスのメニューだ。 ($33) 2021/08/18(Wed) 22:31:43 |
【妖】 三年 堀江豊久「どうしよ、キヨくんと同じやつがええな〜。わけっこさして」 膝に猫が乗ってきたみたいな感じでメニュー片手になでなで。 「ほな電話……あれ」 内線電話に手を伸ばしかけたとき、近くにあったあなたのスマホに目をやる。 確かズボンと一緒にぽいされてしまっていたが、諸々が落ち着いてから拾って置いたのかもしれない。 「キヨくん、だいぶ前にLIME来てるわ。代わりに返しといたろか?」 パスもかかっているだろうし、さすがに冗談だと思われる。 ($35) 2021/08/18(Wed) 22:57:04 |
【秘】 勢喜光樹 → 三年 堀江豊久(LIMEメッセージだ。) 『今日朝飯全員で食べる感じすかね 黒沢がたべたいって』 くまちゃんのスタンプつきだ。 (-13) 2021/08/18(Wed) 23:09:21 |
【妖】 三年 堀江豊久「マジで? ええよ」 答えながらぱぱっとパスを入れて解除した。 注文をおまかせしてLIMEの新着メッセージを見る。 「勢喜くん。『明日ってスケジュールどうなってましたっけ』やって」 ($37) 2021/08/18(Wed) 23:11:52 |
【妖】 三年 堀江豊久そんな会話をしたのとほぼ同時に、ポケットに入れていた自分のスマホからLIMEの通知音が鳴った。 引っ張り出して通知を見ると、ちょっと申し訳無さそうな顔で笑う。 「なはは……言うとったら俺のにも似たようなメッセージ来たわ。ごめんて勢喜くん」 あなたのLIMEから一緒に返事すればいいやと思って、自分のスマホは脇に置いた。 ($38) 2021/08/18(Wed) 23:16:27 |
【秘】 三年 堀江豊久 → 三年 井上清春人様のLIMEからぽちぽちと。 聞いた通りに集合時間などを記載してから、 『朝ご飯はみんなで食べるらしい』 『お寝坊注意』 と勢喜くんへ送った。 送ったので、勢喜くんへよろしくお願いします(?) (-16) 2021/08/18(Wed) 23:41:17 |
【妖】 三年 堀江豊久「ん〜ん〜。注文ありがと〜」 頭を撫でられると嬉しそうにニコニコと笑った。 それから人のスマホを持ったまま、あなたを捕まえて諸共ベッドに倒れ込もうとする。 できるだけいつも通りに、他意のないよう、勢いよく接触したことだろう。 ($40) 2021/08/18(Wed) 23:48:45 |
【妖】 三年 堀江豊久「ん〜? せやなあ、キヨくんに甘やかされるんは好き」 背中に感じるリズミカルな振動が心地よく、目を閉じて身を寄せた。 甘えるのは得意じゃなかったし、甘やかされるとどう応じればいいか分からなくて緊張する。 要するに苦手なのだが――いまはあなたの腕の中で幸せそうに落ち着いている。 「ん〜……キヨくんにもやったろ」 目を閉じたまま腕を回し、おなじように背中をとんとん。 手つきが怪しくならないよう細心の注意を払っているのは秘密だ。 ($42) 2021/08/19(Thu) 0:20:37 |
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