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![]() | 【秘】 8435 黒塚 彰人 → 4432 貴戸 高志「話が早いな」 身を離し、一つ頷く。助かるよ。そう言って歩みを進める。 明確に、目的地があるようだった。 階を下り、奥まった一室の前へ辿り着く。施錠された扉。 チャリ、と金属音を手の内に鳴らしながら錠に鍵を差し込み――開く。 中は殺風景な部屋だった。中央付近にベッドとサイドテーブルの置かれた、さほど広くもない部屋だ。 ベッド脇、明らかに撮影用と思しきビデオカメラが三脚によって設置されているのが、異質といえば異質だった。 この状況下では、よくあることなのかもしれないけども。 (-1) 2021/09/23(Thu) 21:18:00 |
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黒塚 彰人は、ベッドに腰掛け、手招いた。 (a0) 2021/09/23(Thu) 21:20:05 |
![]() | 【秘】 8435 黒塚 彰人 → 3839 南波 靖史 額への口づけを受け入れる。受け入れるというよりは、拒まないといった方が恐らく正しい。身じろぎ一つ、無かった。 「好きだよ。気持ちがいいことは」 どこか生真面目さすら醸す表情とは裏腹、あっさりと淫蕩を口にして。自身の制服の胸ポケットに指を差し込み、プラスチックを爪の先で摘まむ。 そうしながら反対の手で、指輪の嵌った指の股、自身のそれを絡ませて。金属を僅かに肌から浮かす。 「お前はどうなんだ、靖史。……快楽は」 近づいた青緑に漆黒を映り込ませる。好きか。囁くように問いを返した。 (-7) 2021/09/23(Thu) 22:48:26 |
![]() | 【秘】 8435 黒塚 彰人 → 3839 南波 靖史「そうか。……臆病な奴が多いんだろう。それにしても――」 胸ポケットから錠剤のシートを取り出す。 ぱき。既にふたつ、空いている。凹んだプラスチックの音。ぺき。催淫剤の類。 素直に、快楽は好きだ。けれども他人との触れ合いでまともに得られるかは、また別の話だった。 「『人間』ですらないような物言いをするんだな」 するりと片方、抜き去った指輪を放り投げる。 小さな輪っかは、滑らかな白いシーツの上へ音も無く着地した。 「考えてみろ。……お前が、怖がりでないなら」 告げると、少年の前髪を抑え、額へ口づけを落とした。 ……画角の外、ぱき、とまた音が鳴る。 (-58) 2021/09/24(Fri) 17:52:44 |
![]() | 【秘】 8435 黒塚 彰人 → 4432 貴戸 高志 腕を取る。辿り、節の目立つ武骨な指で、すらりと長い少年の指を絡めとる。指の股を割り開いて、深く、手を繋ぐ。 「……慣れているといえば、慣れている。 『父親』に教わったからな……ああ、」 繋がれた手を軸に、腰を浮かす。締まった腰に腕を回す。折り目正しく纏われた制服の上着に、皺が生まれた。 力を籠め、ぐいと引き寄せる。 「リードはしてやるが――」 くるりとターン。男の胸元、銀色が揺れて――――どさり、倒れ込む。 揺れた藤色が広がり、シーツに散らばる。 いくら所作が軽やかであっても、現実、平均身長はゆうに超えている男が二人だ。スプリングが軋み、跳ねる。 ……二人の間、揺れる金属の向こう。見下ろす瞳に、欲の色は無い。 バージン 「――初めてか、お嬢さん?」 (-73) 2021/09/24(Fri) 22:31:56 |
黒塚 彰人は、室内へ意識を傾ける。そのニュースと彼らの話を、冷めた顔で聞いていた。 (a11) 2021/09/24(Fri) 23:02:15 |
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![]() | 【秘】 8435 黒塚 彰人 → 3839 南波 靖史「……抱くのなら、その相手は感じている方が良いだろう」 思考を巡らし、答えを探る間があって。 教科書があったとするならば、例題と解答に載っているのだろう、判で押したような正答。 レンズ越しの監視の目、それがあるうちは――意識するうちは、黒塚は多くにとってのただしさを選び取る。 好きでも、嫌いでもなく。 そうしてふと、「お前、選べるのか」と漸くの疑問を浮かべた。 己のように服薬をしているのだろうか。 それにしては嫌に断定的な物言いをする。もっと明確に、自在に操れるかのような―― ……さて、これの異能は何だったかと、記憶の底を浚う。 その程度の関心で、侮りとも言えた。▼ (-87) 2021/09/25(Sat) 1:56:17 |
![]() | 【秘】 8435 黒塚 彰人 → 3839 南波 靖史 一度は離した手を、再び左手へと伸ばす。 嵌められた輪の無くなった、心臓に最も近いとされるその一本を摘み。軽く持ち上げる。 ……左胸からこの末端まで、血が巡る身体をしていながら。 人間ではないと称するのなら――これは、何なのだろう。 そんなふうに、興味の片鱗を掴んで。 僅か、口の端がゆるりと吊り上がっている。笑っていた。 (-88) 2021/09/25(Sat) 2:01:15 |
![]() | 【秘】 8435 黒塚 彰人 → 3839 南波 靖史 ――犯罪でも何でもない個性。 それに、黒塚は返答を寄越さなかった。 黒塚は所謂、虞犯少年だ。近しいものが犯罪に走り、その影響を受け、 ▼自身もまた罪を犯す――そんな可能性を危惧された存在。 故に、ただしく在らねばならなかった。 黒塚が『ただしくない』個性を持ったとして。それは殆ど、罪にも等しい。 (-98) 2021/09/25(Sat) 3:22:25 |
![]() | 【秘】 8435 黒塚 彰人 → 3839 南波 靖史 ぴり。薄いアルミを破り、口に含んだのは一錠。 それから、引き寄せられるがままに任せる。 その頃には、いつもの仏頂面が再び貼りついていた。 目は瞑らない。漆黒は隠されない。色の違う前髪が、高さの異なる鼻先が触れ合う、 そうして―――― 、、、、、、、 ふたつは、重ならなかった。 ▼ (-99) 2021/09/25(Sat) 3:28:04 |
![]() | 【秘】 8435 黒塚 彰人 → 3839 南波 靖史 少年が感じたのは、柔らかい弾力を押し返す、かさついた感触だけだろう。 人差し指と中指、その指先。 薄くひらいた隙間を更にこじ開け、咥内へと差し込まれる。 「……飲めるな?」 ぬるり。舌の上、錠剤を一つ、滑らせる。数度、刷り込むように擦りつけた。 (-100) 2021/09/25(Sat) 3:29:07 |
8435 黒塚 彰人は、メモを貼った。 ![]() (a18) 2021/09/25(Sat) 22:30:55 |
![]() | 【秘】 8435 黒塚 彰人 → 4432 貴戸 高志見下ろす先、眉間に寄った皺が視界に入り。 けれど、何も言われないのであれば、わざわざ言及することはなかった。 よい感情を持たれはしなかったのだろうと察しはついたが、 今更それを不快に思うこともなかった。 面倒ではないよ、と返しながら、散らばる長い髪をひと掬い。 さらりと指の隙間に零し、形ばかりの問いかけを落とす。 「俺こそ、謝るべきか?」 吐息は笑んでいた。揶揄いといえば聞こえがいいだろうか。 「お前、好いた奴がいるんだろう」 (-168) 2021/09/25(Sat) 23:06:14 |
![]() | 【秘】 8435 黒塚 彰人 → 3839 南波 靖史 それは、男にとって予想外の抵抗だった。 ぴたりと動きを止め、小生意気な瞳を見下ろし押し黙る。 男の口内、少年に含ませたのと同じ薬が、舌の上でじわじわと溶けはじめている。 「――……」 口を噤んだまま、指を動かす。 押し込む動きとは真逆、錠剤を取り残したまま一度引き抜いて。 上顎を擦り、舌を摘まみ。形の良い口の中を犯すように、甘やかに掻きまわす。 ――『飲めるよな?』 繰り返しの問いかけを視線に乗せる。 瞳には、苛立ちと愉悦が僅かずつ、かすかに滲んでいるのだろう。 (-169) 2021/09/25(Sat) 23:57:32 |
黒塚 彰人は、欠伸をした。 (a29) 2021/09/26(Sun) 0:11:12 |
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![]() | 【秘】 8435 黒塚 彰人 → 4432 貴戸 高志「そうか」 返す言葉は素っ気ないものだった。元より謝るつもりなど一ミリも無かったのだろう。そう覗える――誘いに乗ったのはお前だものな、と。語調、眼差し。纏う気配で告げるふてぶてしさ。 瞬く。暗い色が隠れて、ふたたび露わになり。揺れる睫毛が爪の先を掠める。 「“勉強”。……生真面目は変わらないな、高志」 後ろ手に脱いだ上着を、ベッドの下へ落とす。 これ以上の言葉はいらないだろう。そう思いつつも、独りごちた音を拾いあげてしまった。 目元を撫ぜるその手を取り、指先に口づけ。そうして独り言を落とす。 「俺と、似ているとでも?」 (-211) 2021/09/26(Sun) 18:48:20 |
![]() | 【秘】 8435 黒塚 彰人 → 4432 貴戸 高志 答えは待たなかった。 ネクタイを解き、ボタンを外す。腰のベルトを緩め、露わにした少年の肌へ手を這わせる。男の体温は低かった。 作り物の欲と、用意された巣。情と見紛う丁寧さでもってその身体を拓く。 最中、彼の身体にとっては初めての事ではないと気づくのかもしれないが。 それを指摘することはないだろう。面倒を避けたのか、 ……生真面目なこの少年がつまらない嘘を吐くとは思い難かったからか。 (-212) 2021/09/26(Sun) 18:50:09 |
黒塚 彰人は、組み敷く彼の背に、ぽたり。汗が落ちる。 (a40) 2021/09/26(Sun) 18:58:28 |
黒塚 彰人は、――――………… (a41) 2021/09/26(Sun) 18:58:35 |
黒塚 彰人は、ずるり。薄膜を被せた自身を後孔から引き抜く。目を瞑って幾度か擦り、吐精した。 (a42) 2021/09/26(Sun) 18:58:44 |
黒塚 彰人は、ビデオカメラの前、一人の少年を抱いた。 (a43) 2021/09/26(Sun) 18:58:52 |
![]() | 【秘】 8435 黒塚 彰人 → 4432 貴戸 高志 身なりを軽く整え、濡れタオルを持ってベッドへ戻る。 滲む汗で湿るシャツが不快で、上着は床に落とされたまま。 「……動けるか」 ベッドに腰掛け、身を横たえる彼に、握るタオルを差し出す。 そのための力が戻っておらず、また、拒まれないのであれば、代わりに身体を拭ってやっただろう。 睦み合う恋人同士のそれと、 明確に異なるであろう点を挙げるならば、二つほど。 まず、黒塚は催淫剤の類を服用し、事に及んだ。 舌の上で錠剤を一つ溶かし、飲み込んだ。 問われれば支給されたものだとあっさり明かしたし、 組み敷かれる少年も必要とするのであれば、分け与えたことだろう。 さほど強くもない、気休めのような薬だった。 そして、もう一つ。 口づけが唇へと落とされることは一度たりとも、無かった。 (-215) 2021/09/26(Sun) 19:00:50 |
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![]() | 【人】 8435 黒塚 彰人>>16 普川 立ち止まり、一拍置いて相手の名を口にする。 今回は過たず、『年上』である彼を呼び捨てることはなかった。 「尚久さん。……はい、何でしょうか」 黒い頭を見下ろし、言葉を待つ。 一度合ってすぐに外された視線を惜しいとも、幸いだとも思った。 (17) 2021/09/26(Sun) 20:00:03 |
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黒塚 彰人は、普川の腹部を強く、拳で殴った。 (a47) 2021/09/26(Sun) 20:34:44 |
![]() | 【人】 8435 黒塚 彰人 (20) 2021/09/26(Sun) 22:02:31 |
黒塚 彰人は、欠伸をした。 (a51) 2021/09/26(Sun) 22:07:21 |
![]() | 【人】 8435 黒塚 彰人>>暴行現場 「ああ、……そうだな、部屋にいようか」 ここにいるのはそもそも、普川に呼び止められたからだ。 その彼がこれ以上、用が無いのなら留まる理由もないだろう。 「……すみませんが、力加減を誤りました。 何か食うのなら、手当てしてからにしてください」 己が殴った彼の方を向いて、そんな言葉を寄越して。 集まった少年らへと背を向け、立ち去った。その足取りは早くもなく、かといって遅くもなかった。 割り当てられている、数日前までは小さな少年と過ごしていた部屋へと戻るのだろう。 (22) 2021/09/26(Sun) 23:11:37 |
![]() | 【神】 8435 黒塚 彰人 そこでどうして俺になる? そんな気持ちを込めて、じろりと南波の方を見やった。睨むほどではない。たぶん。 「……俺ですか。期待に沿えるとは思いませんが」 特段、止めるほどの意志も権利もないので……といった感じ。お好きにしてくれ。 (G14) 2021/09/26(Sun) 23:42:41 |
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![]() | 【秘】 8435 黒塚 彰人 → 4432 貴戸 高志 高めていた熱が遠のき、しかし未だ余韻を残している。 腿へ置いた肘も組んだ指もぬるく、平素と違う温度は不快感を呼び覚ます。 スプリングを軋ませる腰のあたりが、最も。 自分のものではない温度に――――少年の身体と、近い。 じんわりと伝わる他人のそれが、どうしようもなく気持ち悪かった。 幾度も引っかかれていた、きっと赤くなっている首元へちらりと視線を遣った。 手当てが必要なほど傷ついているのなら、消毒液を探さなければならないし、この後そうするのだろう。 「望むものは決まっている。 ……与えられるかは、どうだろうな」 体の前、膝の間で重ねる指を組みなおして静かに答える。それ以上、自ら多くを語りはしなかった。 それから、少年の顔へ視線を上げ、問いかけを向ける。 「お前はどうなんだ、高志。欲しいものはあるのか」 口にしてから、数日前の似たような会話を思い出した。 思い出したからといって、どうという訳でもなかったけども。 (-249) 2021/09/27(Mon) 1:11:30 |
![]() | 【秘】 8435 黒塚 彰人 → 3839 南波 靖史 形を崩した錠剤を飲み込んで、舌を打つ。指に力が籠る。 自然、舌をぐ、と下顎に押し付け……不意に脱力し、引き抜く。銀糸が指先と唇を繋ぎ、ぷつんと切れた。 かくんと手首を曲げ、胸の高さ、中途半端な位置に置く。唾液を纏い、てらてらと光る指が緩く伸ばされている。そうして、溜息。 「……飲みたくないのなら、始めからそう言え」 呆れたような素振りで嗜める。 そうではないことを薄々分かっていながら、見当外れを口にした。 (-283) 2021/09/27(Mon) 4:21:11 |
![]() | 【秘】 8435 黒塚 彰人 → 4432 貴戸 高志――よかった、 何気なく口にしたのであろう、柔く紡がれたそれ。正面を向き、彼から目を逸らした。 膝を揺する。生まれた振動がベッドのスプリングへと伝播する。 「……認められないようなものなのか」 心中のざわめきを誤魔化すためだけに重ねた問いだった。恐らくは。 (-292) 2021/09/27(Mon) 12:53:24 |
![]() | 【赤】 8435 黒塚 彰人 (*2) 2021/09/27(Mon) 13:25:54 |
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