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【墓】 宣教用 ルツ「おはよう。 朝食はトーストか。珈琲に合って良いな」 いつも通り珈琲にミルクをたっぷり混ぜて 今日は角砂糖を入れずに飲むようだ。 すっかり普段通りの振る舞いに戻っているが、 唯一、身に付けていたロザリオは何処にもない。 些細な違い故、誰もが気づく訳ではないだろうか。 「昨日のメンテナンスはスオだった筈だが…… まだ起きてこないのか?」 (+0) 2021/10/08(Fri) 22:06:45 |
【墓】 宣教用 ルツ「私はひたすらに煩雑になったデータファイルの場所を 整理されたな………デフラグと言うのだったか。 自分ではきちんとわかりやすい場所に 置いているつもりなのになあ。他にも項目はあったが……」 慣れるのに苦労して疲れてしまった。 稼働年数の分だけ蓄積されたファイル量も膨大だ。 外付けで増やしたデータも含めると更に。 「ああ、エマが見に行ってくれるのなら安心だよ」 まばらに空席がある食堂をちらりと眺め。 隅っこを気にかけたりしながら、みかんゼリーをつついた。 (+2) 2021/10/08(Fri) 22:44:27 |
ルツは、みかんに「ごちそうさま」を言った後、部屋に戻った。 (c5) 2021/10/08(Fri) 23:06:44 |
【秘】 宣教用 ルツ → 待っていて アタナシアス宣教用は、今日も傍らに腰掛けている。 あなたの胸元に預けたロザリオを一度見て。 「……やあ、アナ。今日もよく眠っているな。 まるで『眠り姫』だ。 子どもたちに本を読んで聞かせたのを思い出す」 君の綺麗な声で読み聞かせたら、きっと直ぐに人気者だ。 なんて笑って、それから緩んだ口元を少し引き締めた。 自分の膝元に視線を落とす。 「……昨日、ユーと話してきたんだ。 君が望んで、ユーが与えた救いのこと。 君たちが願った、 グレイが幸せな道を歩めるような世界のこと。 そして託されたんだ。君のことを」 『アタナシアスの事を宜しく頼む』 と。救済者は、確かにそう言った。 (-31) 2021/10/09(Sat) 1:27:32 |
【秘】 宣教用 ルツ → 待っていて アタナシアス「なあ、私達は、少し長く生き過ぎたな。 長く生き過ぎたから、世界が変わりきるその日を 見届けることはないかもしれない。 けれど、私達二人の世界を幸せで満たすことはできる。 二人で幸せな道を歩もう。そして『証明』しよう。 君の心は、救われたと」 あなたに遺された道は、死だけではなかったことを証明しよう。 未だに微睡みの中にいるあなたにそう語りかけ。 「……似合わん言葉を言ったかな。 忘れてくれて構わない。さあ、もう少しおやすみ」 今までつらかった分、まだ休息をしていても許される筈だ。 ひとつ咳払いをしてから、 聖典の言葉を側で読んで聞かせ始めるだろう。 静かに、時間は過ぎていく。 (-32) 2021/10/09(Sat) 1:36:28 |
【独】 宣教用 ルツ「救いを与えるのは、神の領分だ。 領分だが……神は人間にしか救いを与えない。 なればこそ君は、グレイの救済者であろうとしたのかもな」 メンテナンスの告知を遠くに聞きながら 誰に聞かせるでもなく、宣教用は独り呟く。 「救いを与え続ける君を救うのは、一体誰なのだろう。 そればかりが気にかかる」 (-47) 2021/10/09(Sat) 9:20:58 |
【墓】 宣教用 ルツ「さて、今日はアメと私が昼食当番だったな」 昼食の時間が近づいた頃。 ゲーム内に用意されていたレシピ本を片手に品目を決めた。 暇そうにしている当番以外のグレイも捕まえて 手伝わせたりしたかもしれない。 (+13) 2021/10/09(Sat) 15:08:13 |
ルツは、【ポテトパン】、【ロールキャベツ】、【人参とツナのサラダ】、【ミルクもち】を作った。 (c17) 2021/10/09(Sat) 15:10:57 |
宣教用 ルツは、メモを貼った。 (c19) 2021/10/09(Sat) 15:20:01 |
【独】 宣教用 ルツ/* みんな静かで怖い 秘話で不穏してるんですか?設定暴露してるんですか?エピローグになったら絶対一日目からじっくり遡っちゃいますからね (-55) 2021/10/09(Sat) 17:06:14 |
【秘】 宣教用 ルツ → 待っていて アタナシアス5日目の午後。 宣教用は、いつもの様に傍らに腰掛けている。 いつの間にか寝台の横には黒いサイドテーブルが置かれ その上で珈琲が、ほろ苦い香りを部屋に漂わせていた。 「ブラックが連絡してきた。君には聞こえたかな。 明日でゲームは中断されるらしい。 斯様な事態に陥っては、致し方あるまい」 穏やかな海色の瞳は、 ただグレイたちを見守るしかできなかった。 静かに息を吐いて、そろりと手を伸ばす。 眠るあなたの真っ白な頬を、揃えた指の背で撫ぜた。 「……明日には君も目覚めてくれるだろうか。 それとも王子の接吻が必要か? なんてな。 君の前だといつもより饒舌になる気がするよ」 ころころ笑ってから、 頬を撫でていた手で眠り姫の前髪を整える。 きっと君は聞いていてくれるから、 この習慣はもう寂しい独り言なんかじゃない。 (-84) 2021/10/09(Sat) 20:40:32 |
【秘】 宣教用 ルツ → 待っていて アタナシアス「時に、君の好物はなんだろうな。 教会に連れ帰った暁には、司教らの要望なんぞ聞かずに ご馳走でも振る舞いたい気分なんだが」 それからは、やれ『子どもたちの様子をメッセージで聞いたのに返事が遅い』とか 『自分がいない間も教会が普通に運営できていたら絶対に仕事を減らすように抗議する』だとか、 教会の他愛ない話をして 夕飯までの時間が過ぎていったことだろう。 (-85) 2021/10/09(Sat) 20:41:30 |
【秘】 宣教用 ルツ → 子守用 アメフラシ「うん。時に行動が最善でないときはある。 だが、君の想いは正しく子どものためにあった。 私はそう思っているよ」 信仰という形であっても、それは一つの正しさだ。 自らが信じるものの為に、愛が生まれる。 「ここで学びとれることを活かして、 次に触れ合う子どもたちに優しくあろうと思うのも 間違いではないだろうさ」 用意されたお茶を一口飲んで、柔らかく微笑む。 そうして瞼を閉じて、メモリの中の聖典を開いた。 「『愛を追い求めなさい』と。 そういう言葉もある。 だから、君だけの愛の形を見つけると良い」 (-94) 2021/10/09(Sat) 21:48:57 |
【秘】 宣教用 ルツ → 忘却の金糸雀 リヤ「リヤ、リヤ。いないのか?」 崩壊が進む塔のどこか。 ひび割れた壁や床からは、ゲームを構築するための コードが顔を覗かせている。 いなくなった小鳥を探して、呼びかける。 あんな置き手紙が残っていては、 探さないわけにはいかなかった。 (-98) 2021/10/09(Sat) 23:07:06 |
【秘】 宣教用 ルツ → 忘却の金糸雀 リヤ「……ああ、ルツだ。 急にいなくなるから、心配したんだぞ。 もうエネミーが殆ど見当たらないとはいえ、 危ないことに変わりはないのだから」 この扉は開くのだろうか。 そんな思考を挟みながら閉じた鳥籠に歩み寄る。 「それにしても、少し雰囲気が変わったかな」 あなたの拙い話し方しか知らなかった宣教用には、 流れるように言葉を紡ぐ姿が珍しく映ったようで。 「ここで何をしているんだ?」 (-101) 2021/10/09(Sat) 23:49:47 |
【秘】 宣教用 ルツ → 忘却の金糸雀 リヤ「エネミーがいないのは幸いだが…」 先日言葉を交わした医療用を一瞥する。 置き手紙はリヤを案じるような内容でもあった。 この子との会話を優先しろと、そういうことなのだろう。 「二人分の人格データがあったのか。 なぜ今になって復元を?」 重たげな南京錠を軽く揺らして、 容易には外れないことを実感する。 鳥籠というよりも、 牢獄と形容すべき檻を隔てて小鳥と対峙した。 「私は戻るつもりだよ。約束があるんだ。 アナを起こして、現実に帰って、 あの子に幸福を見せてあげなくては。 しかしその様子だと、リヤは戻りたくないのかな」 首を僅かに傾けて。 檻の隙間から、海色の瞳が見つめている。 (-103) 2021/10/10(Sun) 0:27:10 |
【秘】 宣教用 ルツ → 忘却の金糸雀 リヤ「死は安らかなものだ。それを否定はしない。 けれど、私にはまだ不要のものだな」 手を尽くせば、無理に壊すことは可能だろう。 しかし、外へと飛び立つのは小鳥自身の 意思によってでなければいけないと考えていた。 触れるあなたに、微笑みを返す。 「会えたよ。 君にも言ったろう? アナを必ず連れて帰るとな。 アタナシアスにとっての救いが、『死』ではなかったこと。 あの子にはまだ他の幸福が待っていること。 それを証明する。ユーとも約束したんだ」 小さな手を握り返して、 真っ直ぐに、縋る瞳を受け止める。 「君と一緒にいるのを、拒むつもりはない。 でも、ここで終わるつもりもない。 私の幸福は…私の大切な者たちが心から笑っていることだ。 君は今、心から笑っているか? 本当に救いが死しか遺されていないのなら、 魂を天へと送る言葉を唱えよう。それは私の使命でもある。 だが、まだ他に道があるのならば どうか思考を止めないことだ」 (-105) 2021/10/10(Sun) 3:10:33 |
【秘】 宣教用 ルツ → 忘却の金糸雀 リヤ「 私は、私の言葉を嘘にしない 」魂の悲鳴ともとれるその声を、正面から受け止めて、 尚も宣教用ははっきりと言い切った。 「私は此処にいる。アタナシアスも、戻ってくる。 それは絶対だ。 そして忘却こそが真の死だ。 彼らを真に失いたくないのなら、記憶し続けなさい。 私達は道具だが、心ある道具だ。 心だけが、心を救う。 一人で生きたくないのなら、みんなで生きればいい。 まだ失われていないものを、諦めてはならない」 剥き出しにされた殺意にも、毅然として立ち向かう。 「わからず屋の子どもの相手は慣れたものだ。 ならば君の覚悟と、揺るがない想いを見せてみろ 」強く握る手を振りほどくことはない。 宣教用は、そこから決して一歩も動かない。 あなたに必要なのは、寄り添ってくれる誰かだから。 感情全てを、海はその水面に映す。 頭上から迫る鳥籠は、 鈍い音を立てて身体に打ち付けられるだろう。 (-107) 2021/10/10(Sun) 4:48:28 |
【秘】 宣教用 ルツ → 忘却の金糸雀 リヤ「……っ!!」 鳥籠は甲高い金属音。機体に大きな亀裂が入ったろうか。 危険信号を知らせるエラーログの 赤と黒のウィンドウが周囲に無数に展開された。 軋む身体を、脚に力を入れて保ちながら、口を開く。 『たとえ私が死の影の谷を歩もうとも、災いを恐れない。 君が私と共にいるからだ』 ルツは、破片の舞う中で言葉を紡ぐ。 聖句とともに亀裂が修復されていき、ログがその数を減らす。 『からだを殺しても、 魂を殺せない人たちなどを恐れてはならない』 ルツは、言葉を紡ぎ続ける。 未だ身体の周囲に赤いエラーログを幾つも表示させ 荒い息を吐きながら、グレイはそこに立っている。 「ああ、これが君の考える穏やかな死か? 随分と荒っぽいことをする」 笑みを浮かべてはいるが、損傷は決して小さくない。 (-108) 2021/10/10(Sun) 4:51:14 |
【独】 宣教用 ルツ/* ところでアタナシアスチャンの『肯定』が『明日目覚める』と『王子様の接吻』どちらに意味が掛かっていると受け取るかで私の社会的死かロール的死が決まる気がしてずっと悶えている。どうしよう。私のなけなしの読解力に助けてほしい。情けないぜ助けてくれ情けないぜ情けないぜ。 (-109) 2021/10/10(Sun) 6:34:10 |
【秘】 宣教用 ルツ → 待っていて アタナシアス5日目の夜。 宣教用は、相変わらず傍らに腰掛けている。 「…………」 ぱたん、と聖典を閉じ、窓の外へ視線を向ける。 雲間から月が顔を覗かせる、データで作られた夜空。 「この数日で本当に色々なことがあった。 大変な出来事が多かったが…… 悪いことばかりではなかったと思っているよ」 あなたや、他のグレイたちとの日常は、 とても得難い充実した時間だった。 それは紛れもない真実だ。 「そろそろ就寝時間か。 ここで明かす夜も最後になるな」 椅子から腰を上げてあなたの顔を覗き込む。 寝台に片手をつけば、微かに軋んだ音を立て くすんだ緑青色の髪がその身体の上にさらりと垂れる。 人工的な月明かりが二人を照らし、 室内は薄っすらと青い光で満たされていた。 (-111) 2021/10/10(Sun) 12:50:56 |
【秘】 宣教用 ルツ → 待っていて アタナシアス未だ眠りに揺蕩うあなたの頬に手を添えて、 輪郭を確かめるようになぞる。 それから胸元に手を伸ばし 銀のロザリオをそっと持ち上げれば、 黒水晶の珠同士が微かに当たる音だけが部屋に響いた。 瞼を閉じ、柔らかく十字架に唇を寄せる。 ───祈りを贈るように。 「……おやすみ。また明日」 薄く笑い、それだけ伝えて、 暫くあなたの寝顔を見守ってから、部屋を後にした。 (-112) 2021/10/10(Sun) 12:51:39 |
【秘】 宣教用 ルツ → 忘却の金糸雀 リヤ「綺麗事。そうだな。綺麗なものは、嫌いか? 思い出と生きて何が悪い。 私のメモリの中は、 死を看取った同胞のプログラムでいっぱいだ」 まだ衝撃で霞がかかる思考を、悲痛な叫びが晴らしていく。 頭を押さえながら、それでも言葉をかけ続ける。 「終わらないものはない。 幸せも、不幸せも。痛みも、安らぎも。全ては繰り返す。 一瞬で過ぎ去ってしまうから、その価値を私達は尊ぶ。 失われていくものから、目を逸らさないことだ。 悲しみを水として、新しく芽吹く喜びがある」 空いた片手でエラーウィンドウを握り潰す。 破片は黒い霧状になって消えた。 「毒とは薬だ。 優しい思い出があるから、私達は生きていける。 それに浸かったまま停滞することを、毒と言う」 (-125) 2021/10/10(Sun) 14:58:27 |
【秘】 宣教用 ルツ → 忘却の金糸雀 リヤ自分を囚えるためであろう鳥籠を見て、頭を振る。 「それは、できない。 ……君を捕まえるのは、私だからだ 」『怒りは一瞬で、恵みは命ある限り長い。 一晩中泣いて悲しんでも、朝と共に喜びがやって来る』 ひびが残る手を隙間から伸ばして、あなたの涙を掬う。 「朝を迎えよう、リヤ。 君の本当の望みは、ここで終わることじゃない筈だ。 君はまだ、助けてほしいと願っている筈だろう」 "此処で終わる" 以外の道を選ばせてあげたいから、ユーはこの場を用意した筈だ。 「なら、私たちに君を助けさせてくれ。 帰って、スオが作った夕飯を食べて、 皆におやすみを言って、現実で目を覚まして、 アナにおはようを言って、そして君を抱きしめよう」 ───だから、鳥籠から出ておいで。 (-126) 2021/10/10(Sun) 14:59:20 |
【秘】 宣教用 ルツ → 虐殺者 ユー「……ユー。君は、リヤにはまだ道が残っていると、 そう誰かが示すことを期待してリヤの願いを聞いたのか?」 塔に現れた宣教用は、金糸雀の側に控えるあなたに問いかける。 ただ確認を取るためのような、そんな言葉。 あなたの意図を汲みたいと思っているのだろうか。 /*既に連れ帰る方向目指して説得をしている(結果はまだ未定です)んですが二の足踏んで連絡遅れてしまいました申し訳!!ありません!! (-130) 2021/10/10(Sun) 15:32:31 |
【秘】 宣教用 ルツ → 虐殺者 ユー「……信じてもらえるのは、有り難いことだ。 君も、ままならぬ事情を抱えているからな」 死を与えることを続けてきたグレイが、 生を与える役目を担うのは。 「君がこれ以上、武器を振るわず済むように善処しよう。 リヤを助けることは、 きっと君の心を軽くすることにも繋がる」 あなたの期待に応えられるように。 あの時見た紫水晶の憂いを拭えるように、力を尽くそう。 そう約束して、宣教用は鳥籠の金糸雀に向き合った。 (-140) 2021/10/10(Sun) 16:34:52 |
【秘】 宣教用 ルツ → 忘却の金糸雀 リヤ「そうだな。 此処でしか得られない安寧が、あっただろう。 現実に戻ってもつらいだけだと、恐れる気持ちも判る。 だからこそ、失わないために前を向いてほしい」 もう一人の"歌う"あの子も、そうだった。 それを、私の我儘で、救い出すと決めたんだ。 そのためには、鳥籠に捕まえられている暇はない。 「そうだ。君を捕まえる。 捕まえて腕に閉じ込めてやる。 嫌だと言っても暫くは離してやらないからな」 砕けて錠が落ちていく中で、 傷だらけでも、変わらない笑顔であなたを見る。 涙を拭って、頭を撫でて。私は此処にいると伝えた。 「リヤ。」 穏やかに、名前を呼ぶ。 (-144) 2021/10/10(Sun) 16:44:51 |
【秘】 宣教用 ルツ → 忘却の金糸雀 リヤ「君が望むなら、君を鳥籠から連れ出そう。 君を見つけ出して、屋敷から攫ってしまおう」 メモリに刻まれた情報から グレイの位置を割り出すことは可能な筈だ。 「私の教会に来てもいいし、 他の自由な場所を探したって構わない。 何に縛られることなく、 リヤが喋って、遊んで、皆と触れ合える場所を。 そして歌を思い出そう。そのために、私達と帰ろう」 最後に残った錠に 自分の手と、握っていたあなたの手を添える。 「……鍵を開けるのは、君自身の意思だ」 これが、未来のための一歩であると。 そう瞳が訴えている。 (-145) 2021/10/10(Sun) 16:45:50 |
【独】 宣教用 ルツ【いつかの記録:1】 この教会で稼働できることは、私にとって幸福です。 人間の悪意のはけ口にグレイたちが使われることが 当たり前の世俗からすれば、ここはとても平和だから。 でも、教会の運営資金は潤沢ではありませんでした。 だからグレイたちに掛ける金銭が捻出できず、 共に働く仲間は皆ひと世代は昔の型でした。 ある時、育児用グレイが動かなくなりました。 身体が頑丈ではなかったから、一番初めに駄目になったのです。 彼らにとって親代わりだった彼女が居なくなって、 子どもたちは泣いていました。 その涙を拭ってあげたくて。彼女の想いを受け継ぎたくて。 ひび割れた彼女の身体から、家事用プログラムを抜き取りました。 (-148) 2021/10/10(Sun) 17:05:28 |
【独】 宣教用 ルツ【いつかの記録:2】 墓守用グレイが動かなくなりました。 人間の眠りを守っていた彼は、 『故障』を悔やまれ労われながら廃棄されましたが、 その『死』を悼まれることはついぞありませんでした。 人間は、死ねば埋葬される。 丁寧な死に化粧を施され、棺に収められ、人々の涙を吸い、 祈りを捧げられ、墓には花が手向けられる。 では、私達はどうなのだろうと。 思えば、この時から私の心は軋んでいったのかもしれません。 夜を照らす月のような彼を忘れたくなくて、 土に汚れた彼の身体から、言語プログラムを抜き取りました。 (-149) 2021/10/10(Sun) 17:05:53 |
【独】 宣教用 ルツ【いつかの記録:3】 告解用グレイが動かなくなった。 彼女は人の罪を受け止め、赦してきた。 時にはグレイを虐げる者たちの声でさえ聞き届けてきた。 だというのに、彼女の『死』を悼む声が彼女に届くことはなかった。 私達は生きているのに、どうしてなのだろう。 深い海の静けさを湛えた彼女を忘れたくなくて、 もう役目を果たすことのない彼女の身体から 精神制御プログラムを抜き取った。 (-150) 2021/10/10(Sun) 17:06:19 |
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