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【秘】 巫女 ユピテル → 酔吟 ミズガネ「私の神は多くを望んでいない。人を自分の子と見ている。 幾重の堕落した姿を見ようと、傷付けられようと。愛している」 何を話し願うか。問われ、僅かに寂し気に目を伏せた後に、 言葉を告げます。語るのは神託でしょうか。 いいえ。それはまるでただの、親から子への願い染みた響き。 W全ての愛し子がW W全ての魂がW W飽くなき創造心と愛を抱きW W高みに至りW W幸福を得られますようにW 「──優しいでしょう?」 「何もする事なんてないのよ。神は見返りを望んでいない。 ……本当に、共に生きる事を喜んでいただけ」 語り終えた声は、言葉とは裏腹にとても寂し気でした。 (-165) 2021/10/18(Mon) 17:00:57 |
【秘】 巫女 ユピテル → 酔吟 ミズガネ「そう。干渉されたくないのね。でも本音を言うとね、 意見を述べなかったのは在り方を肯定したのではなく、 それをどう思うか伝える言葉をまだ持ち合わせていなかったの」 「偶然噛み合って、あなたの気を悪くしなくてよかったわ」 そう冗談めかして苦笑しました。それが理由でも構いません。 ですが視線が合わないのです。 どうしてもユピテルはそれが気にかかります。 だからそれ以上追う事はしませんが、泳ぐ視線を見つめます。 「ねぇ。在り方に口は出さないなら、 よかったらどうしてそう考えるようになったか教えて欲しい。 面倒と思うのは、辛い言葉を掛けられたからでしょう? 私は同じ言葉をミズガネに掛けたくないし、あなたを知りたい」 (-166) 2021/10/18(Mon) 17:03:03 |
ユピテルは、鼻歌を歌いながら会場のお菓子を幾つか見繕っている。 (a38) 2021/10/18(Mon) 20:39:38 |
ユピテルは、一つ、南瓜の灯りを使用人に許可を取って拝借した。 (a39) 2021/10/18(Mon) 20:40:04 |
【秘】 巫女 ユピテル → くるみ割り人形 トラヴィス2日目。 また明日。の約束の、その日。 ハロウィン会場で楽しんだ後、トラヴィスの部屋をノックします。 手には幾つか拝借したお菓子。 それに吊り下げる形の南瓜ランタンを持って、 魔女の仮装のまま、返事がくるまで大人しく待っています。 胸は大きいです。 (-181) 2021/10/18(Mon) 20:53:57 |
【秘】 くるみ割り人形 トラヴィス → 巫女 ユピテル「はい」 貴方のノックのすぐ後。 ゆるりと扉が開かれる。 「ああ」 貴方を頭上から爪先までを珍しげに眺めて それから納得したように声を漏らした。 確かに昨日、拒絶を示したのに。 貴方はそれでも離れないのか。 …………眩しい。 視線を逸らすように、くるりと半回転。 貴方へ手を差し出して、室内へと誘う。 笑みを携えて、たった一歩のエスコート。 「…………仕方のない、不可抗力だね。 部屋へどうぞ、素敵な魔女様。 残念ながら甘い物は用意していないから、 どうぞ仰せのままに?」 (-184) 2021/10/18(Mon) 21:10:12 |
【秘】 酔吟 ミズガネ → 巫女 ユピテル酒精を纏っているにしてはやけに落ち着いた色の瞳で。貴方の、貴方の神の声を聞く。 「優しいな。確かに優しい。ただ、神様はやはり人とは違う視点や考えを持っているんだな。 全てだなんて難しい話だ。 誰もが創造心や愛を持てる訳じゃない。 誰もが高みまで懸命に歩ける訳じゃない。 誰もが幸福を得られる訳じゃない。 ……優しいが、不完全で生まれてくる人間には少し難しい話だ」 苦々しげに言葉を吐いた。 「ただ、なあ。それにしては随分と寂しそうな顔をするじゃないか、ユピテル? 神の声を聞く者として、人に伝える者として、どこかで嫌なものでも見たか?」 ▽ (-186) 2021/10/18(Mon) 21:48:13 |
【秘】 酔吟 ミズガネ → 巫女 ユピテル「お前のその思慮深さと気配りの良さが気に入った。 それを評し、俺を知りたいと望むお前の為に俺の考えを言おう。ただ、その前に先に寂しそうな顔をする理由を聞かせてくれないか? 代わりに、とは言わない。言いたくなかったらそのまま俺の話に移るから」 泳いでいた視線が戻り、エメラルドグリーンが貴方を捉えた。物静かな様子から、本当に話す事を強いている訳ではないということは伝わるだろうか。 (-187) 2021/10/18(Mon) 21:50:19 |
【秘】 巫女 ユピテル → 探偵 キエ「ふふ。それは当然かもしれないわね〜。 W大地そのものWを箱には入れることなど不可能だもの。 最も、私も矮小な器に収まる感情は持ち合わせているけどね?」 心臓部の表層を触れられても気にした様子はありません。 性別が可変は関係なくそれ以上にユピテルは楽しそうでした。 「あら。探偵さんは、随分と簡単な謎しか解く気しかないのね? 幸いにもこの館には素直な子が多いから楽しめるでしょうけど。 "どうして感情を隠さないのか"に、謎を見出さないのね」 キエの微塵も憐憫を滲ませない落胆に、喜びました。 あなたがつまらなさそうにすればする程、 先程、身を乗り出した際に退屈か失望が浮かぶのを わざわざ 確認したユピテルは、何処か、試すように言葉を続けます。 「確かに、キエの言う通り意志が侵食されている場合もある。 それで、 それだけ ?他にも可能性があるのに捨ててしまうなら…… 随分と勿体ない生き方をしているのね。自分から、そうね。 お宝を見つけても価値を知らずに投げ捨てる盗人みたい」 (-188) 2021/10/18(Mon) 21:56:11 |
【秘】 巫女 ユピテル → 酔吟 ミズガネ「──数多の堕落を、暴虐を、失望を常に見て来た。 その上でそう言い続けてくれる存在<神>は、 それこそ、不完全な人間にこそ必要じゃないかって」 笑いながら告げて、そうして小声で付け加えます。 『今のは、神の言葉です』と。 続けて、WユピテルWとしての言葉を語り出しました。 「ええ。難しいでしょうね。人は弱い生命だから。 持てないし、歩けないし、得られない。そんな子もいる。 その事実を、父であり母である大地にさえ肯定されれば。 ……本当に、立ち上がれなくなってしまう。理解している」 巫女でありながら、ミズガネの否定をユピテルは肯定しました。 全てが幸せなんて不可能だと、誰よりも思っているかの様に。 「……。わかっているのに、 本当はもう、人に神の言葉を伝えるのが嫌なの」 寂しそうな顔をする理由を、視線を落としながら語り始めます。 (-211) 2021/10/18(Mon) 22:50:18 |
【秘】 巫女 ユピテル → 酔吟 ミズガネ「神は、全てを赦しています。 立ち上がれずそう在れない子達の存在すら、今も愛しています。 その上でいつか、その日が来る事を願っています。でも、」 「私達は、神の子だとして。それを当然の様に享受している。 けれど、そこまでされる存在?本当にそんな価値はある? ──私は、そんなに想ってくれている神が、日々傷付く方が、」 W既に、間違っているのではないかWと。 巫女は、迷ってはいけません。 神も、それでいいと言っているのです。 「ただW私Wが悲しいと、このままでいいのかと、 独り、迷い続けているのです。……私は、W巫女Wなのに」 そこまで言い終えてから、一度目を閉じで呼吸をして。 ミズガネの青みがかった緑の目を見つめ返します。 W続けて、あなたの事を教えて欲しいWその目で促す様に。 (-212) 2021/10/18(Mon) 22:52:07 |
【秘】 巫女 ユピテル → くるみ割り人形 トラヴィス「あら、私が見つけて勝手に入ったお部屋だもの。 甘い物も歓迎も期待していないわ? だからちゃんと自分で持参してきたの」 やりとりを、掛け合いを楽しむかのように、 昨日の建前の続きの言葉が紡がれます。 「でも私は優しいから、偶然甘い物ひとつないお部屋にいた トラヴィスにもちゃんと分けてあげるのだわ。 ……ふふ。W仕方ないW、ものね?」 それでも、会場内のお菓子であったことは、 長くここに滞在しているトラヴィスには明確でしょうから。 わざわざW持ち帰るW為に、包んで貰っているのが。 それが誰の何の為にそうしたのかは言葉はなくても明白でしょう。 「あ、お邪魔します」 結局敷居を跨ぐ際その言葉が出た時点で、招待されたようなもの。 そう言ううっかりはついやらかすのを含めて、 ユピテルは昨日トラヴィスと話し、別れる前のままでした。 (-215) 2021/10/18(Mon) 23:20:51 |
【秘】 巫女 ユピテル → 技術指揮 シトゥラ「一息に巫女と言っても、 神の在り方で形は変わるでしょうから。 長い館ではある意味良い思考命題かもしれないわね? あら、褒められちゃった。何かに特化して 勉強し続けた人にそう言われると照れちゃうわね」 少なくともシトゥラの場所とは大きく文明が違うのでしょう。 ですが犯罪心理学なんて言うある種の特殊な学問でも、 別段ユピテルは驚いた顔をしませんでした。 「私はそれを学んだ専門分野ではないけれど。 犯罪を起こす人は、育った環境や性格気質が確かに影響する。 けれどそれ以上にWこの場と言う環境Wが重要ということ? ……そうね。私の大切な神は、大地は、 恐らくWこの場Wを視れていない。声が聞こえないもの。 神の目がなければ、悪を成したり躊躇する事も減るでしょう」 こんな解釈であっているかしら。 はにかみながら回答をする様子は随分と落ち着いた物です。 まるでW学者・研究者Wを齧ったかそれから教わったように。 「あら、遠回しに色々聞いて回られる方がW面倒Wでしょう? だって、 もしシトゥラが殺人者なら答えは一つだもの」 (-225) 2021/10/18(Mon) 23:42:01 |
【秘】 巫女 ユピテル → 技術指揮 シトゥラ「私を殺そうとするならば、」 「或いは私が殺されたくない人を殺そうとするなら、」 「同じ殺人者同士、ただ刃を合わせるだけ」 (-228) 2021/10/18(Mon) 23:47:04 |
【秘】 探偵 キエ → 巫女 ユピテル「………」 キエは珍しく目を丸くしてユピテルを見た。其れは驚きではなく前提が違っていた事に気付いた表情に近い。 数拍置いてキエは笑った。其れは正しく談笑の場に相応しい穏やかな笑顔であったが、会話の流れにはちっとも相応しくない。 キエはいつも主観で決め付けて話す。 「そりゃそうさ。僕ァ常々言っているが探るのは好きでも考えるのは嫌いなんだよ。入れ子人形は好きだが自然の摂理には興味が無い怠け者でねェ…。 普遍的な価値など僕ァどうでも良いし調べる気も無いんだ」 キエの言葉は探偵という自称する肩書きに相応しくない。まるで都合が良いからそう名乗っているだけの様に。キエにとって“謎”とはただの手段であるかの様に。 「清貧とは無縁の生活しかしてこなかったから“勿体ない”という感覚もよくわからない。 なァ大地の君。今君は笑っているがそれは愉しいのかい?」 (-232) 2021/10/18(Mon) 23:56:06 |
【神】 巫女 ユピテル>>【ハロウィン】 「……お話?あらあら〜何かしら?」 会場の少し端っこの辺り。 まだ幼い使用人の少女に呼び止められたユピテルは、 何やらお願いを受けて、耳を澄ませています。 「…………………。」 「うん、うん、」 「…… 胸を触らせてほしい ? でも余り強く握られると痛いから、優しくしてね」 好奇心か興味か。望みがどれでも気にした様子はなく頷いて、 暫くの間。何をしているのか会話が聞き取れれば明白な状況。 そしてぺこぺこと頭を下げ、顔を染めて走っていく少女の姿。 それを「がんばってね〜」とのんびり見送っていました。 (G50) 2021/10/19(Tue) 0:05:21 |
【神】 巫女 ユピテル>>【ハロウィン】 「……もしかして、気付いたんだけど、 お菓子を配ってくれる子の方が少ないのかしら?」 「お姉ちゃんこれ、お菓子を 配る方になるべきだったんじゃ!?」 痛恨のミスとばかりに、バランスに気づいたユピテルは、 勢いよくコートを投げ捨てようとして、 色々影響を考えて使用人に止められたりしつつ、 結局無理やり着せられたままで、お菓子を貰いました。 これで、ねだる側も配る側も準備ばっちりの二刀流になりました。 (G51) 2021/10/19(Tue) 0:12:44 |
【人】 巫女 ユピテルハロウィンの宴が終わったあとの時空。 ユピテルは何かを探すように、今日も駆け回っていました。 「ぜ、全然見つからないわ…… い、一体どこにいったのかしら……」 初日の様にタオルを山程持たなくなったのは、 進歩なのか、勿体無いのかわかりません。 探しものの為、一頻り駆けまわったものの成果はなく、 ぜえぜえと立ち止まって中断し、廊下で休憩を取っています。 (12) 2021/10/19(Tue) 0:36:22 |
【秘】 くるみ割り人形 トラヴィス → 巫女 ユピテルくす、くす。 律儀にも建前を大切にしてくれる貴方へ、『してやられた』とばつが悪そうに苦笑。 「おや、おや。それもそうだね。 随分と優しい魔女様だ。」 貴方の手を引き、招き入れて。 貴方の視界に入るのはまずは天蓋付きのキングサイズのベッド。 全体的に洋風の調度品。それから広い机に椅子。 机上には赤と白──比較的白が多いワインボトル。 そうして、男が住んだ証が散りばめられた自室───パーソナルスペースへの侵入を許した。 「ああ、もう少しハロウィンらしい飾り付けをしておくべきだったかな? 至らなくてすまないね。 私達には関係のないものだと認識していたから、さ。」 貴方の手元。 見覚えのある菓子。 見覚えのない包み方。 ……口をついて出るのは、日頃のように余裕たっぷりとは言い難い、疑問。 「………君は、どうして私に構うんだい。 君に何も望まない、つまらない男だよ。 私なんかと過ごすよりも、よっぽど有意義な時間の使い方があるだろうに。」 男は昨日貴方と会話をして、別れる前のままとは違っていた。 だからこそ出た、後ろ向きな言葉だ。 (-256) 2021/10/19(Tue) 2:36:00 |
【秘】 巫女 ユピテル → くるみ割り人形 トラヴィス手を引かれた事に驚き、一瞬目を瞬かせました。 昨日の拒絶を気にしない訳ではなく、今日、訪れても 拒否される可能性も想像しなかった訳ではありません。 「ここが、トラヴィスの部屋…… 本当に、住んで、生きているのね。ここで」 だから彼が住む証を目に焼き付けながら、本当は不安があった事を伝える様に手の指に力を込めて弱々しく握り返します。 「もう、押し掛けたのに私そんな図々しくないわ。 謝るくらいなら無関係だなんて言わないで。 じゃあ、次が来たら。その時は、 このお部屋に相応しい飾り付けを見せて?」 菓子に視線が向いたのを見て、机に置きます。 トラヴィスの問いかけを聞いて、 その頬に不思議と触れたくなったからです。 『──仕方のない子』 貴方よりも明らかに年下に見えるのに、慈しみの表情と共に そんな表現をして、安堵させる様に頬の手を撫で滑らせます。 「構う理由は、トラヴィス興味があって、好きだから。 望まれないから嫌いになる事もないわ。 ……顔色が優れないのね。キエに何か言われた?」 トラヴィスと名を挙げた彼が会っていた事なんて、ユピテルは一切知りません。 ただ、キエと直接会話をしたのは己も同じ。 だから自然とその名を挙げました。 (-260) 2021/10/19(Tue) 5:54:43 |
【秘】 くるみ割り人形 トラヴィス → 巫女 ユピテル「生きているさ、……………」 死を望むには、まだ勇気が足りないから。 そんな内情を仮面の下に押し込めて、男はやっぱり笑った。 握り返される手のひらの温度に、少しだけ安心しながら。 「はは、事実ではあるからね。 この館に翻弄され、踠く君達のささやかな宴だ。 干渉はするまいよ。」 堕落を受け入れてしまえば楽になれるのにね、と。 ……貴方のぬくもりが頬に触れて、言葉を飲み込んだ。 それに甘えようと頭ごと擦り寄せかけて─────動きを止める。 「………キエ?」 頭だけでなく、体全てが一瞬固まった。 貴方から見ても、男が動揺したことは明らかだ。 「何もないよ。どうしたの。 そう聞くって事は、君と彼の間に何かあったのかな?」 (-261) 2021/10/19(Tue) 8:50:33 |
【秘】 巫女 ユピテル → くるみ割り人形 トラヴィス「……でも、」 「随分──そうに見えたから」 本当に心からこの永遠の宴を享受するのには、 あなた達は少々、秩序立ち過ぎている。 「心から堕落し切ると、もう少し見るに絶えなくなる。 そう言う人間を沢山見てきた。だから気になったの」 「まだ、堕ちきる事に抗っている。 壊れ切る寸前で立ち止まっている。そう見えたから。 それは、──W苦しくない?Wって」 トラヴィスが、W楽になれるのにW。 そう考えているのと真逆の言葉を紡ぎました。 それでもユピテルには、そう感じたのです。 「──あったのね」 大抵の誤魔化しには、ユピテルは乗ります。 それはそれ程話せないくらいに嫌な事だから。 けれど、一部それにも例外もありました。 明確に動揺が見えて、確信を持てたのも一因です。▼ (-264) 2021/10/19(Tue) 10:25:36 |
【秘】 巫女 ユピテル → くるみ割り人形 トラヴィス「随分と、行儀の無い言い方をされたから。 私からするとその行動理念は、崇高さもなかった。 キエの言葉が全てそうとは言わないけれど、 あの子は人を傷付けすぎるように見えた」 ねえトラヴィス。あなたは素直で真摯だから。 嘘と誤魔化しが下手ね。特に、目が。 「あの刃は私にだけ向けたようには到底見えなかったわ。 そして、その人が誰にも言い辛い部分を抉る。 だからここはね、黙っている訳には行かないの。 それほど鋭く、ここは自然治癒する程の変化がない場所」 「わたし踏み込むわ、トラヴィス」 すり寄せかけていたのを、今度はこちらから引き寄せ、一度頭を撫でて。本当はこれ以上してあげたかったけれど、その前に、ちゃんとW貴方の言葉でW聞かなければいけないから。 「教えて。本当に何も──いいえ。 何を言われて、傷付けられたの。そしてもう一度聞かせて」 ゆっくりと体を離して、両手を握り締めて。 その瞳が己を見据えるまで、冷たくても確かな熱を離さない。 「────ほんとうに、W苦しくないW?」 (-265) 2021/10/19(Tue) 10:32:04 |
【秘】 酔吟 ミズガネ → 巫女 ユピテル「……」 閉口したままだった。 神の言葉も、巫女の心情も、そして人の立場も。全てに共感する事はできなくても、理解は少しくらいなら出来る。 全てを愛する神と個を想う巫女。 神のエゴと人のエゴ。 「お前はもう少し、自分の為に生きてもいいと思うがな。他者のために心を砕きすぎているんじゃないか……」 消え入るような声で独り言をこぼす。巫女であるが故の苦悩を持つ女に、男は声を掛けることができなかった。 自分もまた、神の赦しの元怠惰と堕落を貪り続けている人に過ぎないのだから。 「……聞かせてくれた事、感謝する。 約束通り次は俺の話だが……お前とは違って、どこにでもありふれた、歌にもならない凡人の話だよ」 (-266) 2021/10/19(Tue) 10:52:00 |
【秘】 酔吟 ミズガネ → 巫女 ユピテル「どこから話したものか。俺が吟遊詩人になったところから始めるか。 娯楽の少ないのどかな町に、昔吟遊詩人がやって来たんだ。それに憧れた。語る話、弾く曲、周りの賑やかな空気、何もかもが夢のようで魔法使いにも見える詩人がかっこよかったんだ。 俺は家督を継ぐ必要が無かったから吟遊詩人になる為に町を出て旅を始めた。 でも俺はあらゆるものが足りなかった。才能も、努力も、根気も、閃きも。何もかも。 一向に腕前は上がらず、小さな酒場一つも賑やかすことが出来やしない。その日食う分を稼ぐことすらままならない、誰にも見向きされない詩人もどきでしかなかった。 俺の分の才能は、きっと一つ下の弟に行ってしまったんだろうな。俺と同じように憧れを抱いて家を飛び出した弟は、瞬く間に他国でも称賛されるほどの詩人になっていた。 弟の噂を聞いて、更に自堕落に生きるようになったさ。金を借りて、女の元に転がり込んで、酒で喉を潰して、そんな毎日。 そんなある日うろついていたら、この洋館に来ていたと言うわけさ。 ここまで説明したら、俺がこの館にいたがる気持ちも分かるだろう?」 ▽ (-267) 2021/10/19(Tue) 10:53:35 |
【秘】 酔吟 ミズガネ → 巫女 ユピテル「早い話が駄目人間。話題のネタにもならない面白みのない凡人。怠惰を貪り自堕落に生きる……ああ、そうだ。 飽くなき創造心も愛もない。 高みに至ることさえしない。 幸福に手を伸ばす事もない。 ユピテル。お前の目の前にいる俺は、どこにでもいるみっともない大人で、神の愛を受ける資格など持ち合わせていない価値無き人間だよ。 だから……俺は迷い傷つくお前に掛けられる言葉だって持っていないんだ。俺もまた神の想いを無碍にしながら生きる者の一人だから」 そこまで言い切って、逃げるようにワインのボトルへ手を伸ばした。グラスに注いで、自棄になったようにアルコールを飲み干していく。 (-268) 2021/10/19(Tue) 10:55:09 |
【秘】 くるみ割り人形 トラヴィス → 巫女 ユピテル「──違うよ」 瞳を伏せて、かぶりを振る。 けれど貴方の手を叩き落としてまでは拒絶し切れない。 「私は停滞を望むよ。 流れる事のない日々、 揺さぶられる事のない感情、 『何もない』があるんだ、ここには。 それWがW良いんだよ、ユピテル。」 暖かな日差しに身を焼かれるくらいなら 宵闇にある、微睡むような悪夢が良い。 貴方にそれは理解されないだろうか。 ……分からない。 けれど、そう簡単に意志を曲げるつもりもない。 「……何か勘違いさせてしまったんだね、傷付けられていないよ。 その逆さ。 彼は私を傷付ける事は無くて、 居心地の良いものをくれたんだ。 君が想像しているような事は何もない。 これは間違いなく 悪魔にだって誓える よ。」苦しいか、否か。 その問いには、ついぞ答えなかった。 → (-271) 2021/10/19(Tue) 12:44:31 |
【秘】 くるみ割り人形 トラヴィス → 巫女 ユピテル優しく優しく、その手を解いて──それでも離れなければ、力を込めて解く。 くるり、また身を半回転。 貴方を椅子へ促して、ティーカップの用意をしようとする。 「さ、頂こうか。紅茶で良いかな? 砂糖ならあるけど、レモンは無いな。 必要なら使用人を呼ぶけれど、どうしようか。」 (-272) 2021/10/19(Tue) 12:45:25 |
【秘】 巫女 ユピテル → 酔吟 ミズガネ「あら、私はありふれていない歌をねだってないわ。 さっき言ったように、どんな内容でも私は、 吟遊詩人のミズガネの話が聞きたかったの」 「……………?」 そう伝え終えた際、己の言葉に不思議な違和感を覚えたのか。 暫く固まって、深く何かを思案していました。 けれど一度首を振ってそれを掻き消してから、続けます。 「……ねぇミズガネ。あなたは今、 私の神の教えの全てを持ってないと否定したけれど、 持っていると思う。創造心も、高みも。 あなたが吟遊詩人になりたいと思った時に」 怒らないでね。そう眉尻を下げて笑うも、 そうされてもおかしくないとは思っています。 その意図はなくとも、『彼の思う己』の 否定と捉えられるかもしれませんから。 でも、ユピテルの神の価値観ではそうなのです。 → (-280) 2021/10/19(Tue) 15:10:38 |
【秘】 巫女 ユピテル → 酔吟 ミズガネ「一つ誤解があるようだから解いておくと、 最初から最後まで持ち続けられる人なんて、 本当の一握りで、それこそ神よ。 その気持ちを持てたか否か、だから。資格は十分持ってる」 本当に、ミズガネがダメ人間かはさておき、 多種多様なあり方の一つだと、特別不満を抱いていない。 これは教えからではなく本心からの言葉に聞こえます。 ……裏を返せば。 ユピテルの故郷には、それ以上の存在が多くいた。 それをみてきたからあの言葉が出たと察せるかもしれません。 「なにより、」 「愛がない人は、私相手に、 『自分の為に生きてもいいと思う』なんて、出てこないよ」 本当に小さく呟かれていた独り言でしたが、目の前です。 何よりミズガネを見ていましたから、確かにそれは聞こえ、 それができないとしても、掛けられて嬉しい言葉でした。 「みっともない大人を自称する、他でもないミズガネ。 あなたが一番、本当はそれを気にしているように聞こえた」 (-284) 2021/10/19(Tue) 15:16:02 |
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