人狼物語 三日月国


224 【R18G】海辺のフチラータ2【身内】

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【秘】 花浅葱 エルヴィーノ → Scorri, fiume eterno! ヴィンセンツィオ

「それは警部の自業自得です。
 僕は殴ったりしませんが……説明くらいしてくれたっていいでしょ、う?」

はい、とはなんだろうか。
何故口を開けて、舌を出しているんだろうか。
口が開けば、生っぽい匂いの強さが増す。

「…………何、してるんですか」

脳が理解を拒否している気がする。
自分も男だから、この匂いを理解できないわけじゃなくて。その。

「い、……ったい、ここで何をしてたんです?
 殴られただけじゃ、ない……?」


/*ディスコの指摘を受けて、ありがたくロールの訂正をさせていただきました。
ありがとうございます。
(-382) 2023/09/22(Fri) 16:30:48

【秘】 暗雲の陰に ニーノ → Scorri, fiume eterno! ヴィンセンツィオ

最後までを暖かく見守り聞き終えてくれた貴方が、次に口を開き話してくれるのは己が知らない時代のことだ。
マフィアについて詳しくもなかった男は今と昔の違いをそこでようやくに知る。
けれど一度広まった印象というものはそう簡単にはなくならないもので。
彼等からの被害も決して無くなったわけではないと、これは周囲を見ていても知るところ。

だから、やはり仕方ないのだろうかと。

落ちかけた視線、されど貴方の言は続いていく。
下がる眦が届けてくれる慈愛に満ちた表情。
鼻先を掠める芳香と混じり、かつての記憶が蘇るよう。
──変わらない。

「…………うん」

変わらないものが、ある。
そう感じる度にどうしてこんなにうれしくて。
どうしてこんなに泣きたくもなるのだろう。


「ちゃんと、ひとつの参考にする。
 けど、……よかった」
「ヴィトーさんが、"間違っている"を言ってくれること」

にぃと笑って届ける表情も幼いころと変わらない。
……のは己で自覚しているものではないけれど。
伸ばした指先は、貴方の服の袖をちょんと摘まんでいた。

「自分の心、よく見えなくなってたけれど。
 それを聞いてようやくちょっと……見えた気がするから」
「でも決まっちゃったもの、変えるのって難しい……ですよね。
 何かしてたら、オレでも変えられるものあるかなあ……」
(-422) 2023/09/22(Fri) 20:42:47

【秘】 Scorri, fiume eterno! ヴィンセンツィオ → 花浅葱 エルヴィーノ

「憂さ晴らしに来る人間がたまにいるんだ、って言っただろう。
 別に、なんとも。大したことじゃない」

大したことじゃない、なんてことはない。あってはならないことだ。
けれども男はぼんやりとした目を貴方に向けるだけで、喜色も嫌悪もどちらも抱かない。
大きな川の前で流れが過ぎていくのを待つような、どうでもよさそうな目をするたけだ。

「……ああ君には、不思議に見えるんだろうな。
 彼らは弱くて、今までこの法案のもとで無実であるかもしれない人たちを捕らえて、
 不確かな正義にあやふやなままに従わされて、自分の職分を見失いかけているんだ。
 そこに、確かな罪人が現れた、それも自分という個人を欺く形で」

訥々と語る。他人事のような口ぶりだった。
遠いものをゆったりと喩えを交えて語るような言葉は、いつかデスクの前で話した時とも変わらなかった。
一人一人を慮るかのように語る様子は、肩書きにふさわしく振る舞っていた時と違えも無い。
はだけた肌の上に骨に至るまで打ったような痣を備えていてもだ。

「君は壊れてはいけないよ、エル」

以前と何も変わらないのなら、いつから壊れているのだろう?
(-433) 2023/09/22(Fri) 21:21:59

【秘】 花浅葱 エルヴィーノ → Scorri, fiume eterno! ヴィンセンツィオ

「警部は……壊れてると、思うんですか。――彼らが……いや、自分が」
「大したことですよ、これは。囚人に手を出す、なんて」

どこから壊れてしまったんだろう。
黒眼鏡の牢に行った時もまた、彼の顔はぼこぼこだった。
あれは確実に、牢の中に入ってからも傷が増やされていたに違いない。

自分とて、ラーラを傷つけた犯人が目の前に居たなら、我慢せずに殺してしまうつもりでいたけれど。
これを見ればなんだか無性に虚しくなった。気がする。

「罪人、だからって。そんな事に、従わないでください」
「あなたは生きて罪を償うべきであって……こんな、ただの暴力を受ける必要なんて、……どこにもないんですよ」

ずっと、あなたのことを認めて、
それなりに尊敬していたからこそ。
そんな姿は、―――見たくない。
(-439) 2023/09/22(Fri) 21:38:29

【秘】 口に金貨を ルチアーノ → Scorri, fiume eterno! ヴィンセンツィオ

落とされた問の答えはすぐには出せなかった、しかしたっぷりの時間と苦し紛れの空白を開けて返される。

「どうして、俺が殺さないといけない」

罰したいと思えない、苦しんでほしいと思えない。
貴方を信頼してもなければ、嫌ってもいない。
そんな他人事に囚われていても、この胸の中には甘ったれの信条がある。

「……あんたは俺が裁くんじゃない、少なくとも黒眼鏡やボスの指示を仰ぐ。
 ノッテファミリーの一員として、私刑は起こさない」

絞り出したものはとんだ弱虫の逃げだったか。
貴方にかかる火の粉を想像すれば全てを振り払うことなど一人では出来ないだろう。
だから裁かれるその日まで誰かの手を借りることを選んだ。

「何も言わないまま楽になんてなるな!
 俺は必ずお前のことを調べきってやる。
 どんなに地獄みたいなところにその欠片があったとして、必ず真実を見つけにいく」

これも自分が満足したいから言う言葉だ。
貴方のその空っぽの中身に何があったのか。
いつの日にか暴いて、自分の答えを出してやりたい。

「精々それまで、早くしょっ引かれて待っていろ」

ここに来て貴方の顔を何度まともに見られただろう。

生死を委ねるようなその仕草を否定することも無碍にすることも出来ない、眼の前の男を見捨てたくはないのだ。
たとえ民衆全てが指を指して貴方が断頭台に連れて行かれようと、自分は貴方を、罪を抱えた伽藍堂の一片を見てしまったのだから。
(-458) 2023/09/22(Fri) 22:50:03

【秘】 情報屋 エリカ → Scorri, fiume eterno! ヴィンセンツィオ

/*
御機嫌よう! 情報屋ロッシです、引き続きのお知らせ。
五日目時空の黒眼鏡様のパンツは「紺のトランクス」です。
警察から借りたんだってさ。お納めくださいませ〜〜!
(-476) 2023/09/23(Sat) 0:09:31

【秘】 黒眼鏡 → Scorri, fiume eterno! ヴィンセンツィオ

/*
実際エンディング道中で他の人がどう突っ込んでくるかどうか次第なんですが、もしフリーな死を得た場合は一緒に死にます!
(あんまり助かるつもりはないけど他の人のロール的干渉を無にはしたくない手つき)

アレッサンドロも今ちゃくちゃくと脱出の手筈を整えていますので、素で釈放はされないかもだけどちょっと遅れてでてくることになると思います。
そのあたりはおまかせ!!!!します!!!
ので、何卒よろしくお願いします。
ほか、なにか相談必要なことあったりしたら引き続いてお願いいたしますね。

パンツ定期便は何?(今は警察から貸し出されたものを履いています)
(-562) 2023/09/23(Sat) 9:30:23

【秘】 Scorri, fiume eterno! ヴィンセンツィオ → 暗雲の陰に ニーノ

貴方が頷いて、安心を得てからにようやく男はデニッシュにかぶりついた。
複雑でしかしすっきりとした甘さが舌の上に沁みる。
五十年前、マフィアの勢いの強かったいつかと比べれば街の様子は変わった。
どちらが豊かであるかを示すものではない。ただ、変わった。
その片鱗の一つが、法案の形としていま表れているだけ、なのかもしれない。

「正直な話、私も彼らは好きではない。非合法の手段を取っているのには変わりない。
 いずれ衰退して街の産業や活気の中へ落ち延びていってほしいものだ。
 ……人としてそこにある人々を排斥して済まそうとは思わない。
 正しく、歩み寄れる隣人となれるように、徐々に解体されてほしいところだ」

マフィアなんていなくなってしまえばいい、端的にはそういう話だ。
けれどもそれは、彼らの死や破滅を望むのとは違う形だった。

「フレッドが自分の道や、自分の目の前にあるものを見ることができたならいい。
 君が目を塞いでしまわざるをえないことが、私は一番悲しいよ」

服の袖に掛かる僅かな重みを払い除けたりはしなかった。
そこにあるものを、そこにあるように。
されるがままの腕が、貴方へと預けられた。

「革新的に変えるのは難しい話だ、私でもそうだ。
 けれども其れ以外のことをしてはいけないわけではないし、そうだな。
 街の見回りでもして、店の人達やおじいさんおばあさんたちとたくさん話をしなさい。
 彼らにとって、安心できるお巡りさんであるようにね」
(-630) 2023/09/23(Sat) 14:35:27

【秘】 Scorri, fiume eterno! ヴィンセンツィオ → 花浅葱 エルヴィーノ

「いいや。壊れないために、やっていることなんだろう。
 でなければ明日、罪もない人を捕らえるのは自分かもしれない、なんて。
 そんな状況には耐えられもしないさ」

法案を嘆くのは他人事だ。けれど、手を尽くすのは現場の彼らだ。
彼らは己の声も届かない高みからの命を受けて、曖昧な罪を裁きに己の足を運ぶのだ。
とても正気ではいられない。
哀れむように、スカイブルーは長い睫毛を伏せた。

「生きて罪を償うべきを望むなら――……それこそ此処がちょうどいいということになる。
 調書には目を通したかな。なら、わかるだろう。
 私が口の利ける状態で生きていることを望まない連中は大勢いる。
 島内のマフィアの根絶は目指せても、島外よりの者となると不可能な話だ。
 生きて、を望むならばそれこそ、此処から一歩とて出ることはできないんだよ」

貴方の目の前にいるのは上級警部ではなく罪人だ。
故に、一度咎を受けたならば二度と元のようにはならない。
貴方の目の前にあるのが現実であり、真実だ。
(-638) 2023/09/23(Sat) 15:38:28

【秘】 Scorri, fiume eterno! ヴィンセンツィオ → 口に金貨を ルチアーノ

「なんだ」

拍子抜けしたような声がソファに落ちた。
僅かばかりの期待があったのかもしれない。わかりやすい終りのある事への。
組んだ手が腹の上に置かれ、虚脱したようにソファの背もたれに体を預ける。
とても貴方の期待に値する価値のあるような人間とは思えない。
貴方が男の顔を視たならば、貴方を見上げるスカイブルーには薄く冬の雲が掛かっている。
今、ではない。会ったときから。おそらくはずっと何年もそうなのだろう。

「お前にできることなど何もないさ。
 失われたものを探し出すのは途方もない時間が掛かる。
 ようやく見つけたところで、そこには手遅れって名前の裏切りが横たわっているだけだ」

淡々と物語を口にするように、切り捨てる言葉が向けられる。
貴方の"光"に照らし出されるものなどない。無いものは照らせない。
そしてその結果を告げる意図は、今しがたの会話による影響さえもない。
貴方のことをどう思っているか、どういう期待や勘定を向けているか、
それとは無関係にただそこには閉じられた扉があるだけだった。
扉は、壁は、ふと。流れた風で木の葉が動いたのをみるような気まぐれに口を開く。

「憂さ晴らしがしたいのなら手を貸してやろうか。
 頼み事があるんだ、ルチアーノ」
(-642) 2023/09/23(Sat) 16:07:12

【秘】 口に金貨を ルチアーノ → Scorri, fiume eterno! ヴィンセンツィオ

「手遅れかどうか決めるのはこっちだ。
 直接被害を被ってるのは他人だからな……!」

やけっぱちだった。
偽善の面もマフィアの面も保つのが難しくなってきてしまって。
貴方の前で見せられるのは、大人の真似ができてしまう少年だ。
口調や態度がもう崩れかけているのを自覚しつつ、自らを落ち着けるように深呼吸を繰り返す。

貴方への畏怖や敬意の念が薄れたわけではない、ただ近くで見続けた慣れ親しんだものに近く見えてしまったのだ。
どうしょうもなく救えない、救わせてくれようともしない敬愛しているあの背中に。
もしかして本当に貴方達は似た者同士で、遠い昔に全てを置いてきねしまっているような人間なのではないか。

結局は他人、ただでさえ初対面。それでもこれは。
貴方と昔から縁があればあるほど今この瞬間動けなかっただろう。
段々と現実が身に沁みてくるように冷たくなる身体に新しく吸った息を取り込んでまだ真っ直ぐ見続けている。

貴方は本当に一体どれほどの月日をその空っぽの心で過ごしていたのだろう。
事件以外、出生にも関わることだろうか。気になり始めたら何もかも知りたくなってしまう。
それ程にルチアーノの知識欲というものは強く、時にその頭脳と本質はその身を滅ぼしていた。
血は争えない、知るだけで毒である情報もなんでも読み込んで欲してしまう。
それでも、どんな現実がそこにあろうとも、真実を知って後悔をしたことなど一度もない。

(-681) 2023/09/23(Sat) 20:20:23

【秘】 口に金貨を ルチアーノ → Scorri, fiume eterno! ヴィンセンツィオ

時に、たったこれだけの逢瀬でも分かってしまったこともある。
貴方を純粋に好いた人間が、必ず、確かに居たことだ。
そして彼らが今何を思っているかも痛いほど理解ができる。

「……気前が良いなあ、まだ仕込が残ってるのか。
 聞かせてくれ……言ってくれよヴィンセンツィオ」

だから今貴方の言の葉に酷く引き寄せられた。
それがどんな内容でも、地獄のような場所にでも足は踏み入れると決めていたから。
(-683) 2023/09/23(Sat) 20:23:14

【秘】 花浅葱 エルヴィーノ → Scorri, fiume eterno! ヴィンセンツィオ

「法に則った刑じゃないです、こんなの……」

正しく嫌悪感を抱く事が、難しい。
だってこれまで、ずっとこの人の下で働いてきたんだから。
最悪の上司だったならともかく、あなたは少なくとも、自分にとってはいい上司の部類だった。
でなければ、自分の身の上の話など、頼まれたってしない。

「あなたは確かに、法案が撤回されたとしてもここから出ることは出来ません。
 それくらいの証拠が出ています……でも、まだ」

僕は困惑しています、と小さく呟く。
そう簡単に、イメージを変えることは、自分には出来なくて。

「どうして、警察でありながらそんな事を……していたんですか?」

教えてはくれませんかと、問う。
ぶつける怒りはない。
鬱憤も、欲もない。
ただ熱の乏しい花浅葱の双眸が、あなたをじっと見つめている。
(-685) 2023/09/23(Sat) 20:31:36

【秘】 暗雲の陰に ニーノ → Scorri, fiume eterno! ヴィンセンツィオ

貴方がデニッシュにかぶりつくのを見て、こちらも真似るようにパンドーロを一口。
クリスマスシーズンによく出回るものの年中置いてあるパン屋も多い。
ふんわりとした柔らかさに上品な甘さ、粉砂糖から香る微かなバニラの芳香に目を細めた。
そうしながらも話に耳を傾けていれば、貴方自身マフィアを良く思っているわけではない、が伝わってきて視線を上げる。

「……ヴィトーさんらしい、です」

いなくなればいい、そこまでの感情は同じだとして。
末に望むのが"隣人"であるということが、己が好む貴方の暖かさを示してくれているようだったから。
袖を掴んだ指先はそのまま、払い除けられないと知っていたように。
落とされた言葉はまるで祈りのようにも思えて、それが自身に向けられている事実を噛み締めてはたしかな喜びを抱く。

「へへ、悲しいにはなってほしくないなあ。
 オレ、だからちゃんと前を見ていたいです。
 迷っても、悩んでも……ほら、止まない雨はないっていうし。
 ヴィトーさんもきっと、そうやって歩いてきたんですよね」

小さなころから男が見てきた貴方は、もう随分と大人で。
今でもまだ、あの頃の貴方と同じ齢を重ねることさえできていない。
だから今の自分のような姿は想像ができないけれど、なんとなく、そうなのかなと思ったから。

「……そっか。
 それだけでも、いいんだ。
 すぐに何かするのが難しくても……誰かの安心にはなれる」

「あはは、だめだな〜。
 なんだか急いちゃってそういう、大事なこと抜けてました。
 ヴィトーさんと話してるとオレ、まだまだ視野が狭いんだっていつも思います。
 年の功?もあるんだろうけれどヴィトーさんぐらいになったとき、ちゃんとそういうこと言えるかまだ全然想像つかないや」
(-688) 2023/09/23(Sat) 20:39:03

【独】 Scorri, fiume eterno! ヴィンセンツィオ

/*
このロールは個人的な演出の為のものであり、NPCの傾向を決定づけるものではありません。
全てのネームド、及びNPCに対する印象操作のためのものではなく、
極々一部の個人だけを指すものであるということをご理解ください。


夜は誰の気も知らぬように更けていく。
秋めいてきた空気を吸った冷たい壁は、留置所に少しの冷え込みを落としていた。
こうした施設は留置する人間を苦しめるためにあるわけではなく、福祉の面は配慮される。
とはいえ申し分ないほどにとはいかず、暖を取るには寝具にしがみつくほかなかった。
鍵の開く音でヴィトーは目を覚ます。誰かが入ってきたようだった。
気づいて目を覚まさぬほど男は場数を踏んでいないわけでもなかったが、敢えて知らぬふりをする。
聞けば、入ってきたのは数人ほどのようだった。
慎重に足音を消そうとしているにも関わらず、各々の号令を待つように囁き声が聞こえる。
真っ直ぐに足音は寝台の横に並んだ。こんな場所に盗みに入るはずもない。
根の愚直さが為なのだろうか。そのうちの一人がヴィトーの背に手を当てて揺り動かした。
起きてください、という声を聞けばさすがに寝た振りもできない。
今しがた起きたかのように振る舞って見上げると、すぐに一人が手を、一人が足をと取り押さえた。
業務では普段一切使うことのないだろう縄の類いが手首に掛けられる。
「何のつもりだ」ヴィトーは言った。見上げた先の顔が怯んだ気がした。
明かりもなく互いの人相もほとんどわからないのに、ヴィトーは声で相手が何者かに気づいた。
いくらか声を交わし、多少仕事も共にしただろう遠い立場の部下たちだった。
彼らの形相は怒りと悲哀が混じり、こうしたことに及んでまで未だ混乱を湛えていた。
腕を頭の後ろまで抑えこんで、一人が覆い被さる。何が行われるかは明白だった。
よくて暴力、過ぎれば暴行。ともすればここで誤って殺されることもないとはいえない。
そうした状況にありながらも、ヴィトーは普段のように少しの動揺もなく見上げていた。
仮にも昨日までは己の頭上にあった声を聞いて侵入者たちは僅かな怯みを覚えたようだったが、
同時にかつての面影をにじませることが、余計に苦しかったらしかった。一人の涙が、腹の上に落ちた。
どうしてあんなことをしたんですか。自分たちを騙していたんですか。そう声が言う。
(-694) 2023/09/23(Sat) 20:58:15

【独】 Scorri, fiume eterno! ヴィンセンツィオ

今にも殴りかかりそうな雰囲気でありながら、彼は敬語を崩すことが出来なかったらしい。
「そうだ」逡巡も無く男は言葉を向ける。途端に、頬に鉄拳での一撃が飛んだ。
口の中に歯の刺さるような厭な感触を覚えながら、ヴィトーはゆっくり顔を戻した。
効いていないのだとわかると、更にもう一撃が飛んだ。それを予期していながら避けなかった。
どうして、と問い詰める人間が欲しいのは相手に訴えが伝わることだ。伝えたいのだ。
だから、取り付く島もないとわかれば苦しみが募る。仕方のないことだった。
拳の主は震える手で首根っこを掴み、ヴィトーに何度もいつかの栄華と失墜を聞かせた。
言葉にしてしまえば楽になる、などということばかりではない。
己の言葉に表してしまった声は耳から入り、彼ら自身を苛んだ。
理不尽に壊れそうな心を鎮める手段は、時間が無いほどに手段もなくなる。
侵入者はヴィトーの服に手を掛けて、薄い着衣を一気に剥いだ。その下には幾つか痣があった。
無抵抗の人間を殴りつけたのだろう痕を見て、侵入者は気が大きくなったらしかった。
自分たちばかりが指さしているのではないという、見えない誰かへの連帯感だ。
肩から足元まで肌が露わにされ、荒れた掌を這わされる。弾力のある生きた感覚に僅かに息を漏らした。
艶を帯びた吐息に、指の主が息を呑む。勢いがつえば止まらないように、胸板に手を乗せる。
「ん、」鼻を抜ける息が冷たい空気に混じった。鍛えた体は色めいたものとは異なっている。
過去の捜査で負ったのだろう傷もあれば、年を取って水気は失われつつあった。
働き者といったほうが近い体の上を幾つかの手が這い回る度に、肩に僅かに赤みがさす。
丁度明り取りから月光が差して、ヴィトーの体を照らした。引き締まった体に皮膚が張る体だ。
行き場のない感情をより集めたような高揚の息が、覆い被さる者から吹きかけられた。
着衣を緩め、両足を広げた間に入り込む。固くなり始めた幹を擦り、裸の膚に押し付けた。
体液の匂いと温度を、上昇する体温とは裏腹に無感動な目が睨めつける。
今起こっていることに対して、なんとも心の動きを持っていないかのようだった。
女に同じようにするにしたって乏しい体液が侵入者の掌に集められ、ぬるりと幹を支える。
(-695) 2023/09/23(Sat) 20:58:42

【独】 Scorri, fiume eterno! ヴィンセンツィオ

同じ性別同士だから持ち得る性器同士をすり合わせて体を必死に動かすのを見上げて、
「それで気が済むのか」と嘆息するようにヴィトーが呟いたのを聞けば、空気が変わる。
侮蔑めいた態度を向けられたことは、漂う狂気に拍車をかけた。
もう一発、腹に拳が振り下ろされる。げうと息を吐いてのたうち回った。
やっとそれらしい動きのあることに安堵めいた声を侵入者は挙げた。彼は男を責める。
貴方は罪人で、肩書にふさわしくない人で、ずっと不満を持っていたのだと。
きっと彼らは自分のこれまでの恩を塗り替えてしまわないと耐えられないくらい、
ありふれた普通の、正義を信じる人間だったのだ。
その手が赤黒く腫れた肉の塊を包んで、ヴィトーの足の間に充てがわれる。
みちりと、膚の引き切れてしまいそうな音を立てて暴行が始められた。
初めはその手なりを全く知らないような杜撰な有様で、徐々に暴力に慣れはじめて。
数人分の精が体の中へ、外へと吐き出されて、それの何倍もの数の痣が膚に刻まれた。
何度も打たれた皮膚はところどころ擦り切れてしまって血の匂いを漂わせる。
殴られて腫れた頬の内側にできた傷を抉るように性器をねじ込まれて咳き込んで、
悲鳴どころが健康な呼吸の一つも出ないほどに腹を蹴り抉られ、内側から膨らすように犯された。
短くも長い強姦の最中、ただのひとつも、ヴィトーは彼らを責めなかった。
哀れんでさえいるような視線が投げかけられて、なすがままにされていた。
抵抗のないことが彼らの無力感を刺激し、弱い人間の心を苛むたびに暴行はエスカレートした。
それでも、誰ぞに露見するよりも前に彼らはやっと己の心の内の鬱憤を吐き出して、
どうにかこうにか留置所を後にすることが出来た。

足音が遠ざかってしまってからやっと、ヴィトーは体を起こして。
この部屋では何事もなかったのだというように、汚れた着衣を正した。
唯のそれだけのことでしかなかった。
(-696) 2023/09/23(Sat) 20:59:09
ヴィンセンツィオは、揺さぶられながらも己を責める声をただじっと聞いていた。
(c31) 2023/09/23(Sat) 20:59:53

 




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生存者 (4)

フィオレ
9回 残 たくさん

うそつき

エルヴィーノ
3回 残 たくさん

何処にも行けない

ペネロペ
7回 残 たくさん

何度でも見付けて

ロメオ
8回 残 たくさん

ひとのかたちは

犠牲者 (12)

ガイオ(2d)
0回 残 たくさん

 

エリカ(3d)
0回 残 たくさん

コバルト色を手に

黒眼鏡(3d)
47回 残 たくさん

Kovacs.

ニーノ(3d)
18回 残 たくさん

大丈夫だ

イレネオ(3d)
6回 残 たくさん

薄藍を想った

ニコロ(4d)
0回 残 たくさん

これからも一緒に

カンターミネ(4d)
1回 残 たくさん

いつでも傍に居る

ヴィンセンツィオ(4d)
20回 残 たくさん

白鳥は唄えない

アリーチェ(5d)
0回 残 たくさん

そうだ、わたしは

ルチアーノ(5d)
11回 残 たくさん

もう楽にしてくれ

リヴィオ(6d)
0回 残 たくさん

もうすこしだけ

ダニエラ(6d)
4回 残 たくさん

ほんとは、まだ

処刑者 (4)

ヴィットーレ(3d)
1回 残 たくさん

 

テオドロ(4d)
3回 残 たくさん

枯れない心を

ネロ(5d)
0回 残 たくさん

 

ダヴィード(6d)
4回 残 たくさん

また会いましょう

突然死者 (0)

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