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【人】 ]Y『 塔 』 プロセラ[ あれ?これぼくが泣かせたんだろうか。 ふたりを見比べるようにして、視線で意見を求めてみる。 ひとが泣いている姿なんて、 駆け回って転んだアリスくらいしか見た事が無いから そのアリスに教わった慰め方しか知らなくて。 空いてる手で抱き寄せて、 寝てるぼくに時々きみがするみたいに ぐちゃぐちゃの呼吸に震える背中を ぽんぽん、と不器用な手が優しく叩いた。 困ったな、返事を聞かせて欲しかったのに。 これじゃ暫く喋れそうにないことは何となくわかった。 まぁいいか、もうちょっとくらいのんびりしても。 世界はきっとまだ混乱の真っ只中で これ以上何も起きないと知らずに 怯えながら次に備えている最中だろう。 ぼくらを滅びの象徴と呼ぶであろうその他大勢は きっと今頃大忙しで、 まだぼくらに構う余裕はない筈だから。 ] (504) 2022/12/25(Sun) 22:48:56 |
【人】 ]Y『 塔 』 プロセラ[ はなしたいことはたくさんあったけれど 普段よりも随分と喋り過ぎたぼくの咽喉はもう限界だし 沢山泣いたヒナギクの顔はぐしゃぐしゃだったから 顔を洗って来ると良いよって、つもりで見送った。 言葉にしてないからつうじてたかはわからないけど。 またあとでね、って普段は口にしない約束を 紡ごうとした声は上手く音にならなくて 激しく噎せただけだった。 ほんとは手を離したくなかった。 傍に置いておきたかった。 ここに来てぼくにべったりだった彼女が すこしずつ離れて行ったときにも感じた気持ちを 今改めて感じて、漸く理解して、 いま漸く受け入れられた気がした。 ] (505) 2022/12/25(Sun) 22:51:14 |
【人】 ]Y『 塔 』 プロセラ[ けれど最初にきみを引き留めなかったから きみの世界はここだけじゃなくて 今話したい相手もぼくだけではないだろう。 それを寂しく思う。 けれど それでよかったと思う。 ぼくひとりじゃ涙の拭い方すらわからないから きみのまわりに、きみを大切におもうひとが いてくれることこそが 役立たずのぼくよりずっと きみを守ってくれる気がしたから。 ] (506) 2022/12/25(Sun) 22:51:48 |
【人】 ]Y『 塔 』 プロセラ[ 普段よりもずっと『騒がしい』あたりを見渡してみる。 けれどぼくが必要な場面なんかきっとどこにもないから。 不要なら自由にしていようと 今日は外へと促す付添いの職員もいないけれど ふらりとひとり、外へ出た。 いつもどおりの、いつもの場所へと向かって。 ] (507) 2022/12/25(Sun) 22:52:27 |
【教】 ]Y『 塔 』 プロセラきっと、 誰より早く 誰より正しく 始まりの兆候を理解していた。 突然起こった変化は避けようがなく けれど悪い事ばかりでも無い。 破壊は新たな創造に必要なもの。 一刻の混乱の後に、また新しく始まる。 ただそれだけのことだった。 (/34) 2022/12/25(Sun) 22:53:38 |
【人】 ]Y『 塔 』 プロセラ[ いつもの場所からぼんやり見上げる空の色。 いつもと然程変わらない風の匂い。 こうしているとなんにも変らない様に思えるけど きっとこれから忙しくなるだろう。 望みを見つけ、悩みも出来た。 けれど、なにもかもいまのぼくには叶えられず なにをするにも無力だった。 ただ息をしてきた日々を悔いる。 今日の為に積み重ねられたはずの時間を。 ここは平和で、ぼくは無知のままでよくて けれど、そうじゃなくなったから。 今からでも抗えるだろうか やりたい事は幾らでも思い付いて 忙しくなりそうな日々を目の前に きのうまでとすこしだけちがうぼくが居た。* ] (508) 2022/12/25(Sun) 22:55:15 |
【独】 ]Y『 塔 』 プロセラ/* 次回、にんげんいちねんせい入学式編 というのは冗談で。 あわてなくて良いよう取敢えず〆っぽいのを。 っぽい。 (-1098) 2022/12/25(Sun) 22:56:55 |
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