人狼物語 三日月国


224 【R18G】海辺のフチラータ2【身内】

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【秘】 Isp. Sup. s. U.P.S. ヴィンセンツィオ → 黒眼鏡

曖昧な回答に対するのは、ああ、なんて対象も不明な相槌ばかり。
一度外した視線は自由に動きはじめて、外とは隔意の有る空間を眺める。
漠然と眺めるというよりかは、遠い昔の面影を探すようにゆらゆらと表面を動いた。

「客入りがあるのだったら市民の一員らしく歓迎するところだけれど。
 ……自動車工の素振りにしばらくは絞ったらいい。
 どうせそんなに長くは保たないさ。緊縮の似合う島じゃない」

軽々に言って、カップを持ち上げる。大して手間の掛かっていない味わいを口に含む。
黒い手袋を外せば肉の削げた指が垣間見えて、ビニエの表面に食い込んだ。
もったりとしたバニラクリームを引き立てるように、オーソドックスなアーモンドの生地が挟み込む。
見た目の甘ったるさに比べて存外軽い焼き菓子をゆっくり味わう。
この島に、街にありふれた光景だ。

「"港"を封鎖できるほどの力があるわけでもない。
 ……そんなこと出来たらとっくにお前たちのことなんて追い出せているよ」

#Mazzetto
(-106) 2023/09/13(Wed) 6:52:17

【秘】 口に金貨を ルチアーノ → 黒眼鏡

「ドライブは楽しかったかあ? 黒眼鏡の旦那」

それはドライブが終わってしばらく先であったかもしれないし、何度かあったであろう離席後のことだ。

貴方の縄張りにやってきた男は、主のいないそこに居座り適当に手帳を広げている。
しばらくして聞こえてきた音に顔をあげず声を投げかけた。
何度も聞いた足音だ、隠す気が無ければ間違えることもない。

「アポなしで悪いですねえ。
 切羽詰まった内容でもないんだが面倒事をかかえちまってな。
 すこーしばかり頼りに来たんだ。……もしかして、今忙しい仕事でも抱えていたりするか?」
(-110) 2023/09/13(Wed) 7:55:21

【秘】 月桂樹の下で ニコロ → 黒眼鏡

何処ぞでの“OL”としての貴方との逢瀬の後のこと。
程よく時間を置いてからのお話。
貴方の店へと、足を運ぶ男の姿があった。

制服はなく私服で
そして人目を気にするように客が居ない時間を選んで。

ガレージ、にしか見えない彼の城へ
踏み込んでは声を掛けるだろう。

「…ちわーっす。黒眼鏡の旦那、居るかい?」
(-115) 2023/09/13(Wed) 8:56:05

【秘】 黒眼鏡 → 日差しにまどろむ ダニエラ

「そりゃあ頑張らないとな〜」

狭い車内で、慣れた様子で首を巡らせて周囲を確認。
エンジン音を響かせながら、するすると車の流れに乗っていく。
堅実で真面目で、リスクを取らない。
今のアレッサンドロの仕事のような運転。

後部座席にはちらりと目を向けながら、
特に秘めた疑問には気が付いた様子はない。
それよりも、対向車の動きにじっと注意を向けながら。

「じゃあどこかで買って食うか。
 俺もまだだ」

家に帰れば、ホットドッグ…用のパンがある。
そのうち食べようと思っていたが忘れていたので、
まだ食べていない。

「仕事に穴をあけるようなことはしないさ」
「お前もな。
 大変じゃないか、仕事・・

仕事。
こっち・・・の仕事とか、
あっち・・・の仕事とか、
色々な意味だ。

車はすでに、海辺に続く広い道へと合流していた。
(-116) 2023/09/13(Wed) 9:07:35

【秘】 黒眼鏡 → Isp. Sup. s. U.P.S. ヴィンセンツィオ

菓子。電化製品。装飾品。酒。
高価なものから安価なものまで。共通点はない。
あえていうなら、必要とされていない、そのくらいだ。

当時から、飾り気や色気には興味のない男だった。
けれどそれは、先を焦り、目を向ける余裕がないだけだった。今は。

「税金は払えてるさ。…ンまあ、そうだな、長く続くとは思えない。せいぜい、身をかがめてドアをくぐるさ」

額をぶつけないようにな、と身をかがめる仕草。
ばり、と口の周りが汚れるのも気にせずに生地を噛んで、
少し溢れたバニラクリームが唇にしがみつく。
それをぺろりと舌先でなめとりながら、
ほんの3口程で食べ歩きの林檎のようにビニエを平らげてしまった。
味わう、という言葉とは程遠い。

「いつも警察の皆さんには、お世話になってます。ははは、そう、イレネオくん。
 "表"の仕事してるときにまで、港に張り込みに来てたらしいよ。
 国税局に転職したほうがいいんじゃないか、あの真面目さは」

言葉の内容ほどにはあざける様子はなく、むしろ好ましそうな語り口。
頑張っている若者。この男が明確に好意を示す、数少ないものだ。

「……で?」

そこでぱた、と笑顔を止めて。

「忠告は分かったけど。旦那はどうすんだい」

#Mazzetto
(-117) 2023/09/13(Wed) 9:17:10

【秘】 黒眼鏡 → 口に金貨を ルチアーノ

「おう、来るなら来ると連絡しろよ」

自分だって、あんまりアポをとる性質ではない。
黒眼鏡のお気に入り、赤のフィアット500チンクェチェントがガレージに滑り込む。
丸みのあるどこかユーモラスなフォルムは、黒眼鏡が乗るには小さすぎるようにも思える。
窮屈そうに車体から降りて、ばたんと扉を締めて、指先でちゃりちゃりとキーをまわしながらあなたに歩み寄る。

「いいや、仕事はいつも通り。
 つまりは珈琲をいれる時間はあるってことだ。
 お前も飲むだろ? まあ、入れよ」

そのままあなたの前亜を通り過ぎて、店の正面…カウンターの方へと向かう。
そこは自動車修理工と喫茶店を適当に混ぜ合わせたような、妙な内装だ。
壁際のボードに車のキーをかけながら、テキバキと手際よく珈琲の準備を始める。

「面倒ってことは、女だな。
 まったく、女に手を出すのは気を付けな」

サイフォンに火をかけながら、にやにやと笑っている。
(-120) 2023/09/13(Wed) 9:25:27

【秘】 黒眼鏡 → 月桂樹の下で ニコロ

大きなスチール・ガレージに張り付くように建てられた店舗部分――カウンターが拵えられた店の正面側は、自動車修理工と喫茶店を適当に混ぜ合わせたような、妙な内装になっている。
気分で開店中だったり閉店中だったりして、黒眼鏡自身もいたりいなかったり。
けれど古びたガレージの中、年代物から最新のものまで自動車が押し込まれたそこは、文字通り黒眼鏡の城だった。

「おう」

今いじっているのは、彼の愛車である赤のフィアット500チンクェチェント――某怪盗の三世が乗る、レトロな車だ。
肩にタオルをひっかけて、上半身は腕まくりした柄もののシャツ。
下半身だけをツナギに突っ込んだ作業着にしてもラフな姿で、黒眼鏡だけはいつものまま。
頬に油汚れをつけたまま、軍手をつけた手を一度挙げた。

「このとおり、いるが趣味の時間だ。
 珈琲くらいなら出すが、ご注文はなんだね」

車いじりは、仕事ではないらしい。
(-122) 2023/09/13(Wed) 9:34:17

【秘】 月桂樹の下で ニコロ → 黒眼鏡

「おー、作業中だったか。
いや、趣味の時間に押しかけたんだ。
珈琲は気にしないでくれ。」

この場合であれば
邪魔をしたのは自分の方であるから
気遣いはしないで良い、と両手を振るだろう。

「元より、聞きたい事があって来たんだし。
作業しながらで良いから、時間を貰ってもいいかな。」

ロマンやカッコよさの詰まった車を見ては
かっこいいなぁ、と男ならば思うそんなことを考えながら。
店を利用しに来た訳ではない、と伝えるだろう。
(-125) 2023/09/13(Wed) 10:16:15

【秘】 路地の花 フィオレ → 黒眼鏡

「ええ〜?偉くなったから、やんちゃするのやめたってこと?」
「昔はあんなに暴れてくれてたのに……年食って変わっちゃったのかしら」

それこそ、スラムの人間からすれば一種のイベントのようなものでもあったわけで。
納得のいっていないような表情で失礼なことを口にしながら、あなたを見上げて。
首に引っかけた腕であなたごとベッドに倒れ込んでやる。

「冷凍ならいつでも食べられるし、暫く外に出なくてもよくなるし……
 まあこれは良いことなのかわかんないけど」
「最近……?」

もしかして太った……?とでも言いたげな、焦りの滲んだ顔。
肌が思ったよりもちもちしてるんだろうか。
気を許していると察しが悪めなのもずっと変わっていない。

「私たちにとってはずっとお兄さんみたいなものよ、これからもずっとね」


「ん……もう、自分にはないみたいに言う」
「もっと一緒に年重ねていってくれなきゃ嫌なんだから」

触ってもいいよ、と体温を分け合うように腕に身体を押し付けて。
鼻の頭に口付ける。じゃれ合い、そして好きにしていいよの合図だ。
どのような形であれ、満足出来るまで共に夜を過ごすことにはなるのだろうけれど。
(-126) 2023/09/13(Wed) 10:22:19

【秘】 黒眼鏡 → 月桂樹の下で ニコロ

「いや、珈琲もまた趣味だ。
 今淹れるから、カウンターの方に来なさい」

わはは、なんて笑いながら軍手を外して、タオルをガレージの隅の作業机に放る。
気遣いなんていらない、という押し付けがましい振る舞いは、
この男の性分でもあり――つまりは直らない。
隙があればものを押し付けてくる、ノッテファミリーの聖・黒眼鏡だ。

「車もサイフォンも、いじりながら話を聞けるという点では平等だ。
 それで?」

君の言葉も聞かずに狭いカウンターに入り、珈琲の準備をはじめながら話を促す。
(-129) 2023/09/13(Wed) 10:56:07

【秘】 黒眼鏡 → 路地の花 フィオレ

「女ってのはそうして、男の生き方を要約する天才だと思うよ」

降参だ、なんていって笑う。

「勘弁してくれ、この年で若者と殴り合ってられるか……っと」

見上げてくる瞳と、自分の瞳を繋いだまま、ベッドにどさり、と倒れ込む。
シーツのしわがふたりのからだの形に伸ばされて、
ブラインドの隙間から差し込む外の灯りが体のラインにをぼんやりと、まばらに照らし出した。

「技術の進歩とは、いいもんだなあ」
「んー」

なんでもないよ、といいたげに。
男のそれに比べれば豊かな、腰回りの肉を掌で包むように揉んで。

「スラムのガキはそういうところ、律儀だよなあ」

自分だって、スラムのガキな癖に。
賢しらに大人ぶった口調は、わかっていておどけているのだろう。


「いやあ、それがな、最近どうにも生え際が気になる」
「禿げ上がったらショックだよ、シブい白髪じゃないと嫌だね…」

言葉にまで及ばない合図が、肌と肌の間にこもる。
服の上から触れていた指がするりとその下にもぐりこみ、
脇腹から背中をするすると撫でていって。

(1/2)
(-130) 2023/09/13(Wed) 11:11:30

【秘】 黒眼鏡 → 路地の花 フィオレ

「ん」


そうして、会話の途中、言葉の途中、その息ごと抱きしめるよう。
促すような吐息と同時に、唇を重ねる。

熱で湿った音が交じり合うほどに近づきながら、
自分から押し付けるのではなく、
最後の1cmだけはあなたに唇を寄せさせて・・・

(2/2)
(-131) 2023/09/13(Wed) 11:12:38

【秘】 月桂樹の下で ニコロ → 黒眼鏡

「なるほど、趣味か。
だったらお言葉に甘えさせて貰おうかな。」

城の主がそういうのなら
更に断るのも無粋というものだろう。
振っていた両手を降ろしては肩を軽くすくめてから
カウンターへと足を進めた。

「そりゃ確かに違いない。
いや、アンタは一応、マフィアなんだろう?
何で警察のやる事に融資なんかしたのかなってさ。」

「マフィアにとって仲間ってのは
家族に等しいって聞いたことがある。
裏切ることになるんだぞ。」

愚問、なのかもしれない。
けれど守るべきものを守るために手を上げた立場として
貴方の選択がどうにも腑に落ちなかったのだった。
(-133) 2023/09/13(Wed) 11:36:36

【秘】 黒眼鏡 → 月桂樹の下で ニコロ

「素直なやつは出世するぞ〜」

しゅんしゅんと湯が沸く音に、能天気な声が交じり合う。
カウンターに片手を突き、もたれかかつようにしながら
珈琲の準備を続ける。
どこかけだるげながら、手際は良い。

「そりゃあ、裏切るために決まっているだろう。
 だから警察より、マフィアを摘発することを重視してほしいのさ。
 法案自体の維持のため、警察を摘発するのも必要だとは思うがね。
 俺にとっては自分の目的の方が大事だから、
 ああして直接接触もした」

湯気とコーヒーの香りがふわりと広がる。
真っ黒な液体が、カップに注がれていく。

「そうとも、マフィアにとって仲間というのは家族で、血だ。
 生きる存在そのものだ。
 若いうちにファミリーに入ったものにとって、
 それは人生に等しいものだ」

かちゃりと音がして、皿に乗せられたカップがカウンターの上にトン、と置かれて。


「――つまり、俺は人生を殺そうとしてるわけだな」

どうぞ? と。笑って、珈琲を促した。
(-136) 2023/09/13(Wed) 11:55:51

【秘】 月桂樹の下で ニコロ → 黒眼鏡

「出世は勘弁だな〜。」

ケラケラと笑いながら
その手際を眺めながら、言葉に耳を傾ける。

「裏切るって、そんな簡単に。
報復だってあるだろうし
アンタも検挙される可能性だってあるだろう。
嫌になったのか?マフィアが…今の人生が。」

明らかな答えを聞いてもやっぱり
腑に落ちない。

何が貴方をそうまで駆り立てるのだろうか。
珈琲を一口、冷ましながら啜って貴方を伺う。
(-137) 2023/09/13(Wed) 12:03:18

【秘】 黒眼鏡 → 月桂樹の下で ニコロ

「してみればそんな悪いものじゃないさ。
 ……いやどうかな…」

思わず首をひねりながら、自分の分の珈琲を注ぐ。
カップに指を引っ掛けるようにして持ち上げながら、

「マフィアってやつが嫌いなのさ。
 何も救えない、何も残せない。

 だって犯罪者だぞ?
 そんなに不思議なものかね」

なにかおかしいか? とばかりに肩をすくめる。
おかしくはない。彼が言うのでなければ。

「悪党と悪党が潰し合うなんて、警察からしたら渡りに船だと思うがね」
(-138) 2023/09/13(Wed) 12:10:41

【秘】 月桂樹の下で ニコロ → 黒眼鏡

「ますます、不思議だな。
そうまでマフィアを嫌う奴がマフィアだなんて。」

疑問は解消されるどころか増すばかり。

「仲違いなんざマフィアに限らなくたってどこでもある。
警察だってそうだ。だからそこは不思議じゃない。
潰し合うのも上にとっちゃ渡りに船だろうな。」

「ただ、俺が不思議に思うのはさ。
所属して短くはなかった筈のアンタが
今になって裏切ろうとしてること。
嫌いだってのはびっくりしたけどよ。
仲良かった奴だって居たんじゃないのか?」

珈琲をもう一口。
今まさに家族たちを裏切ろうとしている自分が
貴方に対して言えたことじゃないのは百も承知だけれど。

「リヴィオも大概読めねえけど
あんたも読めねえ。何がアンタを駆り立ててるんだ。」
(-139) 2023/09/13(Wed) 12:49:00

【秘】 陽光の元で ニーノ → 黒眼鏡

「ね〜〜〜にいさん〜〜〜いる〜〜〜?」

『Mazzetto』の扉をばーんと開けるのは休日を過ごしていた男。
普通の店ではこんな開け方はしないけれど、そうお客さんもいないだろうと見越して家に帰ってきたときみたいな行動を取った。
ちなみに他にお客さんがいた場合は慌てて謝罪しているのがいつもです。

「にい……」

「……ちょっとドライブ……営業中じゃないのか……?」


きょろと見回しても気配を感じなかったところで見つけたカウンターに置いてあるボード。
せめて扉の前に立てかけるべきでは?ニーノは訝しんだ。
戻ってくるかな、どうだろう、わかんないけれど勝手にカウンターに腰掛けていた。
しばらく待っている、三十分ぐらい、戻ってこなかったらすごすごと帰ることだろう。
(-140) 2023/09/13(Wed) 12:51:36

【秘】 黒眼鏡 → 月桂樹の下で ニコロ

今になって・・・・・?」


ふ、と。

息が漏れて。

「おいおい」

(1/2)
(-141) 2023/09/13(Wed) 13:05:39

【秘】 黒眼鏡 → 月桂樹の下で ニコロ




「─俺がカポになったのが、
 何年前だと思ってる?・・・・・・・・・・




─アレッサンドロがカポ・レジームになったのは、
当時の上司が死んだ十年前だ。

(2/2)
(-142) 2023/09/13(Wed) 13:08:55

【秘】 黒眼鏡 → 陽光の元で ニーノ

「なんだお前、来てたのか」

がたん。
突然カウンターの奥の扉が開いたと思えば、
この店の主──アレッサンドロがいた。
短パンにサンダル、柄シャツと、外出していたとは思えないような恰好だ。
手元ではちゃりちゃりと車のキーを回している。
きっと彼の愛車である、赤のフィアット500──日本では某"怪盗"の三世の愛車として有名な──のキーだろう。
いつの間に帰ってきたのだろうか。

「待たせて悪かったな。
 珈琲飲むか?」

答えもきかずに、ちゃかちゃかと準備を始める。
どうせ、お茶菓子的なものも出てくるだろう。
(-143) 2023/09/13(Wed) 13:16:06

【秘】 月桂樹の下で ニコロ → 黒眼鏡

「…つまりはもうその時から、って事かい。
機を狙って、そしてその時が来たから動いた、と。」

話には聞いた事があった。
当時の自分はまだまだ新米だったから
深くは関わったことが無かったけれど。

「当時のカポが死んだから?
もしくは、殺したのはアンタ自身か。」

推測など、並べ立てるのは容易い事だ。
貴方がカポになったのは先代が亡くなったからだけれど
そこに含まれる意味合いは幾らでも考えられるから。

「何があったんだ、10年前に。」

今は聞くものは己しかない。
じい、と見つめる瞳は逃さない、と言わんばかり。
(-144) 2023/09/13(Wed) 13:17:08

【秘】 黒眼鏡 → 月桂樹の下で ニコロ

「須らくどんな仕事にもプライベートは保ってしかるべき、というのは俺のモットーのようなものだが」

珈琲の湯気が揺れて、黒眼鏡の向こうの視線がけぶる。
見つめる瞳から目を逸らすことはない姿は、
恥じ入ることも臆するところもなにもないといわんばかりだ。

「今回の仕事は信頼が大事だ。
 だったら話しておいた方がリスクが少ないか」

かちゃり。
この店は海に面した、ひらけた道路の傍にある。
だから潮の音や車の音がときたま響き、
古びた空調もこぽこぽと沸くサイフォンの音も、
どれも賑々しく響くのに。

カップが皿を叩く音が、妙に大きく高鳴った。

「──と、言っても、単純な話だ。
 当時の上司…レオ・ルッカといったが。
 そういうカポ・レジームがいて、今でいう"港"を取り仕切っていた」

港。
それはひとつの施設を示すのではなく──施設が海運・港湾関係に多いのは確かだが──
ファミリーの物流関係、一連の業務の総称だ。
今ではアレッサンドロが取り仕切り、なんとも危なげない調子で運営している。

「あいつはあまり素行がよくなくてな。
 俺はあいつから、損害・・を被った」

(2/2)
(-146) 2023/09/13(Wed) 13:38:29

【秘】 黒眼鏡 → 月桂樹の下で ニコロ


──アレッサンドロは当時のレオの右腕だった。
ソルジャーでありながら、メイドマンをさしおいてさまざまな業務に関わっていたらしい。

「だからやりかえした・・・・・・
 ついでに、そんなことになった理由──つまりはマフィアを恨んだ」

ぱちん、と。
胸の前で手を打って。

「以上だ。シンプルだろう。
 疑問があるか?」

(2/2)
(-147) 2023/09/13(Wed) 13:39:39

【秘】 陽光の元で ニーノ → 黒眼鏡

「わ゛ッ」


がたん。
カウンターで勝手にうつらうつらしかけていたので、突然の音にびっくりして椅子から転げ落ちそうになった。
はっとそちらへと顔を向ければ相変わらずの貴方の姿がそこにある。
回されているキーからやっぱりドライブに行っていたんだなと納得。

「お、おかえり〜……びっくりした……。
 いらないって言ってもくれるんだろ。
 もちろん貰うけどさ……」

思い浮かべるのはそのキーで動く愛車だ。
車のことは詳しくないけれど、かっこよくて目立つ奴だというのは知ってる。
貴方が厭うタイプでなければ、乗せてもらったこともあるかもしれない。

「な〜営業中にドライブ行くの……百歩譲っていいとして。
 このボード、扉に置いておくべきじゃない?
 入って誰も居なかったらお客さんびっくりするだろ」

そして準備してくれる姿を眺めながらカウンターにあるボードをつんと指差し、先程感じたことをそのまま伝えた。
(-148) 2023/09/13(Wed) 14:12:51

【秘】 黒眼鏡 → 陽光の元で ニーノ

「よくわかってるじゃないか」

言っている間にもカップには黒い液体が注がれて、
湯気と珈琲の香りが賑々しくも立ち込める。
古くレトロで、せまくるしい車内。
あまりものに執着しないアレッサンドロにしては珍しく長く乗っていて、あなたもその座席に何度も座ったことがあるだろう。

「俺がいないときに来る客だろ?
 俺の珈琲が飲めないということだ。
 じゃあべつに、びっくりしても問題ないな」

店主としては問題発言だ。

「で? 今日はどうしたんだ、お前」

今更そう訪ねながら、
すぐに珈琲のなみなみと注がれたカップが置かれて、
頼んでもいないメレンゲ菓子アマレッティも並んで出てくる。
さくさくとしたアーモンド生地が、ころりと皿の上で転がった。
(-149) 2023/09/13(Wed) 14:26:05

【秘】 口に金貨を ルチアーノ → 黒眼鏡

「……おーおー。
 仮に浮いた話だったとして俺の心配するのはあんただけだ」

懐かしいと感じるにはまだ新しい記憶の赤に目を細めつつ珈琲を求めてカウンターへと。
いつもの場所など可愛らしい言い方ではないが、貴方と来店してくる客の顔が直ぐに確認ができる一角が気に入りの場所だ。
この場所を確立する前、死角から声をかけられる事が苦手なルチアーノが幼少期に何度驚かされたことか。

「子猫ちゃんでも、マジモンの方だ。
 ……今怪我猫の里親探しててなあ、あと残りは黒と白2匹だけ。
 俺がアジトに居られない時黒い方を預かってくれる人を探してる。
 宣伝してるから数日で引取先は見つかると思うが、対応できるかわからんのだ。ああ、部下は一人猫アレルギーだ」

呑気な口調であなたが気づくことがあるのなら、
5年前もルチアーノは発作のように慈善活動に目覚め、怪我猫を探して適切な治療を施した後20匹ほど里親に提供していた。
流石に目立ちすぎて貴方や数人に頼っていたし一時期の夜歩きの起因もそこにある。

しかしルチアーノ自身は、猫と慈善活動が特別好きなわけでもない。
正しく発作なのだ、何かを思い出して、誰かを真似した。

そして今、それすら出来ない状況に至る可能性があることを真面目な男は正直に貴方に話している。
(-150) 2023/09/13(Wed) 14:29:06

【秘】 黒眼鏡 → 口に金貨を ルチアーノ

「心配されて喜んでるのはな、老けた証拠だぞ〜」

軽口にほぼ等しい返答。
話している間にも手際よく作業は進み、
珈琲がカップに注がれていつもの席にことんと置かれる。
ついでとばかり、更に乱雑に広げられたビスコッティがいくつか。
狭いカウンターの中で、長い手足を器用に動かして珈琲を淹れるアレッサンドロの姿は、
確かに当時より手際がよくなったといえるだろう。

「ハァ、またかよ。
 まぁいいがね。
 そんなに今忙しいのか。
 例の法案の関係か?」

自分の分の珈琲を注いで、カウンターに肘をつく。
だらしない恰好で身を乗り出して、首を傾げた。
(-152) 2023/09/13(Wed) 14:49:56

【秘】 日差しにまどろむ ダニエラ → 黒眼鏡

流れる景色を眺めつつ、時たまちらりと運転席の後頭部に視線を向ける。
今のあなたしか知らない女は、母の言っていた昔の姿を想像もできやしない。
時折それに寂寥を抱くことがある。それもまた、いつまでも口にしないことのひとつ。

仰せのままにSignorsì 。」

前述通りの女であるから、寄る先がどこでも何を買うでも文句は出ない。
短い返事で食事については切り上げて、濁った胸の中身を押し出すように吐息を落とした。

「んー。まあ大変は大変ですよお。」
「まだまだ下っ端ですからあ、大した仕事はありませんけどお、その分別の仕事もありますしい?」
「…
そっち
については、今のところ、ニーノ・サヴィアがあんまり善く思っていないことしか、調べもついていませんけどお。」

進捗は芳しくないらしい。
無意識に口を尖らせると、そんな自分の顔が窓ガラスに映り込む。
(-153) 2023/09/13(Wed) 15:32:32

【秘】 口に金貨を ルチアーノ → 黒眼鏡

「白い方はロメオが拾ってくれそうなんでなあ? 似合ってんだろ」

今年もまた一人、猫の犠牲者は増えていたらしい。

「ああ、元から調べるつもりだったが関わっちまった。
 ただの噂話じゃなくて本気でマフィア全体に喧嘩を仕掛けてきてやがる、おっと"面倒な女"はここかあ」

くつくつと笑いを零せば香りをかぎながら機嫌良く一口啜る。
本当に貴方はよく当ててくれる、すべてを知っていると思わないが既に知られていてもいいと思うほどには面白がっている。

「そいつは俺たちに迷惑をかけそうにないんで、つい、な。
 法案の賛成者を探していれば金が貰えるんだ、手伝うしかないだろう。美人だったし」

言い訳がましくなっているのはあまりの規模の大きさと見えない勢力に手に負えない可能性があることのせいだ。
無茶をしているつもりもないが、事が起こる前特有の嫌な予感を感じている為こうして恥を忍んで貴方のもとにまで訪れている。

「だから、一番嫌なところに馬鹿正直に聞いてしまおうかと思ったんだ。
 
……どうせこっちが調べ始めたらすぐ気づくだろうし。

 知りたいことは『法案の摘発チーム協力者』であるかだけ」

あなたの性格とこれまでのことを考えれば法案に関わっている確率は限りなく0に等しいと思っている、だからこれは。

「………それに俺とはいえ余計なこと詮索されたくないだろ。

 なぁ、黒眼鏡の旦那。
 本当に、忙しくならんのか」
(-155) 2023/09/13(Wed) 15:40:49
 


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生存者 (4)

フィオレ
9回 残 たくさん

うそつき

エルヴィーノ
3回 残 たくさん

何処にも行けない

ペネロペ
7回 残 たくさん

何度でも見付けて

ロメオ
8回 残 たくさん

ひとのかたちは

犠牲者 (12)

ガイオ(2d)
0回 残 たくさん

 

エリカ(3d)
0回 残 たくさん

コバルト色を手に

黒眼鏡(3d)
47回 残 たくさん

Kovacs.

ニーノ(3d)
18回 残 たくさん

大丈夫だ

イレネオ(3d)
6回 残 たくさん

薄藍を想った

ニコロ(4d)
0回 残 たくさん

これからも一緒に

カンターミネ(4d)
1回 残 たくさん

いつでも傍に居る

ヴィンセンツィオ(4d)
20回 残 たくさん

白鳥は唄えない

アリーチェ(5d)
0回 残 たくさん

そうだ、わたしは

ルチアーノ(5d)
11回 残 たくさん

もう楽にしてくれ

リヴィオ(6d)
0回 残 たくさん

もうすこしだけ

ダニエラ(6d)
4回 残 たくさん

ほんとは、まだ

処刑者 (4)

ヴィットーレ(3d)
1回 残 たくさん

 

テオドロ(4d)
3回 残 たくさん

枯れない心を

ネロ(5d)
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