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【秘】 焦爛 フジノ → 被虐 メイジ「なんでも?……そっか。 楽しみに、なってきた、な」 なにかを楽しもうと思う心が欠落していた。 何を知れるだろう?何を、楽しいと思うだろう。 「……うん。いつか、ね。 また、会えたら。嬉しい」 腹を撫で、『いつか』を夢見た。 そうなったらいいと思ったことは、嘘ではない。 それが難しい事は、よくわかっている。 願いを抱えながら、様々な話をして。 また明日と別れるまで、ゆっくりと時は過ぎていっただろう。 (-173) 2021/07/11(Sun) 2:47:40 |
【秘】 商人 ミロク → 遊惰 ロク「"愛されて"いたんですね」 愛が呪いになる、皮肉で悲しい物語。 「『待っているだけの人達にも何かが起こるかもしれないが、それは努力した人達の残り物だけである。』 あなたがいたから彼らは生きていました」 泣き叫びそうな少年を掬うことは。 新たな呪いをかけることに繋がるだろう。 「『他人のための行いにこそ価値があり、それが人生の重要な秘訣のひとつだ。』 あなたには価値があります。 誰よりも、してきたことはあなたが知っています」 濁った感情と混ざり思考を埋め尽くして。 慰めは沈殿物のように空虚な胸の隙間に流し込まれていく。 ▼ (-174) 2021/07/11(Sun) 11:12:46 |
【秘】 商人 ミロク → 遊惰 ロク「…… しています」 ぽつり。 瞬きをする音が聞こえるような静寂がおとずれた。 「貴方が生きた人生に納得するのなら死んでしまいなさい」 「『よく生きることは、よく死ぬことでもある。』 貴方がよく生きてきたことを私は記録しました。 人間は、愛されているうちに死ぬのが一番だと思います」 『私はあなたを愛しています』 これが導かれた善と、正しさ。 私の倫理でした。 (-175) 2021/07/11(Sun) 11:35:51 |
【秘】 商人 ミロク → 諦念 セナハラセナハラの人生はミロクの人生とはかけ離れたものだった。 しかし選べもしない運命と、 生きるための行動に頭が働かないほど愚かでもなく。 だからこそ、ゆるく、首を傾げ。 納得していないかのような仕草をしたあとに、その顔を見た。 「解決は、しましたか?」 ▼ (-176) 2021/07/11(Sun) 12:17:17 |
【秘】 商人 ミロク → 諦念 セナハラ「とても、辛いことだと思います。 あなたの食べた方は心が狭く、 あなたのことをいつまでも恨み、 生きていることを喜ばないそんな方々だったと、 あなたは思っているのですから。 不仲であったのならば御愁傷様でした。 あなたがそれで得ようとした日常に、 "そんなことを言わないような"方との、 良い縁が結ばれていたのならいいのですが。 いかがでしたか?」 (-177) 2021/07/11(Sun) 12:19:21 |
【赤】 被虐 メイジ「セナさんがいなかったら ……誰がオレを助けてくれるの……?」 そうして呟く背中は、ただの小さな子供のようだった。 「……あはは……もうそんな子供みたいなこと 言ってられないよな……。 もうひとりだ、オレ。家族はみんな死んじゃったり 出ていったり、いなくなっちゃったから」 「自分でやったんだ」 実の父親も、──優しい父親がいたらと夢見た人のことも。 (*12) 2021/07/11(Sun) 13:10:40 |
【赤】 被虐 メイジ「最後、なんて言おうとしたのかな」 ふいに思い出す。考えてもわかるはずもない。 メイジには何も見えない、聞こえない。 だから、ずっと目の前の遺体だけを見つめている。 「死んだら、どこにいくのかな」 「やっぱ地獄かな? 悪いことしたもんね」 「楽になれないかもね」 「オレのこと、実はどっかで見てんのかな ……それはそれで、いやだな」 「オレも死んだらおなじとこ行けるかな 悪いことしたからさ」 思い浮かんだ言葉を脈絡もなくぽつぽつ。 (*13) 2021/07/11(Sun) 13:17:44 |
【秘】 遊惰 ロク → 商人 ミロク「――――ッ、」 胸の底を温く満たす様な、 柔らに撫ぜる様な慰めの言葉。 『聞きたくない』とばかりに力無く首を横に振る。 ――そんな大層な人間じゃ無い。 どんな行いをしたところで、何にもならなかった。 実を結んだのは、ロクでもない事ばかりで。 『 』 ゆるりと顔を上げる。 揺れる十字架の、金具の擦れる音が響く。 そう錯覚する程の静寂。 幾らか上方の琥珀色を見つめる。 齎されたそれは求めたものと近い癖、少し違っていて。 ――この兄サン、意地悪だなァ。 人生に納得するのなら、だなんて。 虐げられて、騙されて、喪って。 拾い上げる先から取り溢し続ける様な人生だった。 こんなもの、納得なんて出来ようものか。 ……けれども。 ▼ (-178) 2021/07/11(Sun) 14:52:43 |
【秘】 遊惰 ロク → 商人 ミロクけれども、恐らくこれ以上は、無い。 今このとき以上の幸いは、やってこない。 それで、終いにするには十分だろうと思った。 目を細めて、酷く満足げに、 これ迄で一等嬉しげに―― 「ありがと、兄サン」 満たされ切った顔して笑う。 それが、青年の出した答えだった。 ――これはきっと“納得”とは違う。 今ここで、生を手放すことを許された。 そんな身勝手で手酷い、 の受け取り方。 ……漸く、空いた穴が満ちた。 (-179) 2021/07/11(Sun) 14:53:11 |
【秘】 商人 ミロク → 遊惰 ロク「そうですか。 それなら、―――あなたが生涯を終えるそのときまで。 一緒におしゃべりする時間はいただいてもいいですか?」 今こうやって話せているのは奇跡なんだろう。 死者と生者が当たり前のように交わる世界を見ていた男にとって、 別れが惜しく感じるのが死んでからだなんて。 「私、みえる方にしかみえないと、やっと学びましたから。 どこにいても、問題ないですよね」 (-180) 2021/07/11(Sun) 15:40:44 |
【秘】 療育 クレイシ → 商人 ミロク「飼い猫じゃない……け、ど」 なんて言った? 「殺、した……?」 呆然としながら言葉を繰り返す様子から頭へまともに話の内容が入ってきていない事が分かるだろう。 脳が理解を拒んでいる。 けれど、時間を費やせば言葉の意味を少しずつ咀嚼してしまえるわけで。 「……っ、お前ッ、こんな時に何勝手なことをしているんだ、厄介者が……ッ!」 腹の底から無理矢理にでも出したかのような低い声。 どいつもこいつも厄介ごとを持ち込んできやがって。こっちは人を探さなければならないと言うのに。 貴方の真実を知らぬまま、男は身勝手な呪詛を連ね続ける。 ▼ (-181) 2021/07/11(Sun) 15:42:38 |
【秘】 療育 クレイシ → 商人 ミロク「誰だって外になんかいたくなんかない!けれど俺は……俺は、俺はァッ!!!」 未練を、忠告を、全てを振り切るように扉の向こう側へと飛び出した。 ほんの数秒で冷たい雨が全身を覆い尽くす。 風が体を掬おうとし、大きくよろめき歩くのを阻む。 暴風雨が決意を瞬く間に攫っていきそうだった。 それでも自分はやらなければならない。 子供を探さねばならない。 『たとえ水底、土の下。 果てまでキッチリ探してやって―― 、、、、、、、、、、、、 、、、、 あの子の手を引かぬうちは、帰らねェことだよ』 そうしなければならないと──蛇に囁かれてしまったから。 (-182) 2021/07/11(Sun) 15:43:27 |
【秘】 療育 クレイシ → 遊惰 ロク「──、」 絶句する。 声さえ聞こえぬこの現状。逃げてくる者が出ている程のこの環境。 手を引くよりも、自らがくたばる可能性の方が大いにある。 「……お前は、俺に、死ねって言ってるのか……?」 地を這う低い声が溢れて進む。 掴んだ藁は、釣針は、それはそれは極めて不安定。 「──もういい。聞こうと思った俺が馬鹿だった」 そう吐き捨てて、今度こそ奇術師に背を向けて去るだろう。ふらふら、ふらふら、まるで逃げ出すかのように。 激流に呑まれ揉まれて溺れて沈む。 脳裏に響く奇術師の声に苛まれ、もう真っ直ぐ歩くのも困難だ。 かき乱された心を押さえつけるように空いた片手で胸を押さえながら男は進む。 とある日のことだった。蛙が流されるまで──あともう少し。 (-183) 2021/07/11(Sun) 15:52:49 |
【独】 商人 ミロクロクさん。 あなたなら、きっと死を選ぶとわかっていました。 だから、ミロクに、取引をさせました。あなたの幸せを。 だから、倫理に問いました。ミロクの生き方に問いました。 だから、わがままを言い切れませんでした。 ミロクという善と正しさの気質を持った生き方に後悔はしていません。 ですが、一つ惜しい事があるとするならば。 私という個人の生き方は未発達だったことでしょう。 もし成長していたのなら、運命は変わったかもしれません。 本当の私は、あなたの死を許すことなんて出来なかったでしょうから。 我を通して苦しめることが出来たら呪われてくれましたか。 それは祝福になりましたか。死んでから幸せなことなんてあるんですか。 あなたは何があっても、苦しくても、 どんな未来でも手に入れることが出来るというのに。 死者の私が何を言っても、想いは通じないのでしょう。 生きて隣にいれば、何かが変わったかもしれませんね。 ごめんなさい。 あなたを幸せにすることが出来なくて。 生きていて善かったと思わせることが出来なくて。 ごめんなさい、私は、あなたを 。 必要としてくれた人として、守りたかったんだと、思います。 (-184) 2021/07/11(Sun) 16:02:13 |
ロクは、とある日の事。ヒラヒラ手を振り見送った。サヨウナラ、お兄サン。 (a5) 2021/07/11(Sun) 16:03:18 |
【秘】 商人 ミロク → 療育 クレイシ「―――なんだ、おそろいでしたか」 この声は届きません。 「きっと良い取引が、出来たと思います」 この声はいつまでも届きません。 「私も子供たちを生かして死ぬことが、ミロクとして生きることです」 黒い猫の亡骸をやさしくひと撫でして目を伏せる。 まるであなたの心を見透かしたような言葉。 理由は違えど決意は似たような形で明かされるのだろう。 そして、瞬く間に暴風雨に言葉はかき消され、扉は閉じられた。 (-185) 2021/07/11(Sun) 16:18:50 |
タマオは、工具箱を片手に点検をして回っている。修理はもう要らないかもしれない。 (t11) 2021/07/11(Sun) 16:26:16 |
ミロクは、あの日、彼を黒猫を抱え見送った。『無事に帰ってきてくださいね』 (c5) 2021/07/11(Sun) 16:27:02 |
【人】 遊惰 ロク>>30 >>31 【手術室】 「まァ、そうそう信じられるモンでもないわなァ。 おれも正直、自分のアタマは信用ならねェ」 だから気の違えた男の戯言と思ってくれても構わない、 そんな風に前置いて。 「“友達”だってよ。責めないでやってくれ、だと」 少年に向かって語る合間、少女の方をチラリと見る。 知らせぬ儘、聞かせぬ儘でいた方がいいのかもしれない。 けれどもきっと、遅かれ早かれだ。 その時に、只の罪として背負うくらいならば―― 「……病気で先が長くねェこた分かってて、 どうせ死ぬならお前サンらが助かる方がいいってさ。 食ってやらねェ方が恨まれちまう勢いだったなァ」▼ (32) 2021/07/11(Sun) 16:29:13 |
焦爛 フジノは、メモを貼った。 (a6) 2021/07/11(Sun) 16:30:59 |
焦爛 フジノは、メモを貼った。 (a7) 2021/07/11(Sun) 16:31:17 |
フジノは、きっと。肉の正体がわかっていても、口にしていただろう。 (a8) 2021/07/11(Sun) 16:32:25 |
【秘】 遊惰 ロク → 商人 ミロク「……、問題は、まァ、ねェけども」 目を逸らし、歯切れ悪く答える。 好意とやらは肌慣れず、どうにもこうにも据わりが悪い。 「……そンなら暇つぶしの相手、してくれ。 もうちっと――助けがくるまでは生きねェとだろうし。 ……あの子らほっぽり出して死んじまうのは、さすがになァ 」ぼやく様に呟いてから、ヘラリと笑いかける。 肩の荷を下ろした、年相応の緩んだ笑顔。 「――そンじゃ、なにから話すかねェ」 暫くは傍に居るらしい彼と、終わりの時まで。 好きなこと、嫌いなもの、他にも沢山。 互いのこれまでと、限りのあるこれからの事なんかも。 暇さえあれば、どこででも話しているのだろう。 (-186) 2021/07/11(Sun) 17:41:10 |
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