人狼物語 三日月国


7 【R18】鈴蘭の村:外伝6〜カフェリコリス〜【RP半再演ペア】

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視点:


古城の吸血鬼 ニクスは、メモを貼った。
(a0) 2019/04/12(Fri) 23:06:09

古城の吸血鬼 ニクスは、メモを貼った。
(a1) 2019/04/12(Fri) 23:06:35

【妖】 古城の吸血鬼 ニクス


[ 出会ってまだ僅かである少年に打ち明ける事は憚られた。

 孤独を癒す為に求められているのだろうか。
 そんな可能性すらも滲んでは消えた ]

  確かめたければ探してみせて。

  ただ、よく似てるよ。
  君の眸と目の色も声も。
  彼女は眠り続けてる。ずっと。
  
[ 知ったところでどうするのだろう。
 彼の言動>>$1に対する理由。
 まだ互いに見えない事が多かった ]
($11) 2019/04/13(Sat) 6:13:55

【妖】 古城の吸血鬼 ニクス


  ……君の最後の居場所?
  君はまだ幼い。
  世界の一部分しか見ていないだろう。
  決めつけるのは早計だと思う、……が。

  私にとってのこの城、か。
  全て灰燼に帰してしまいたい場所だよ。

[ 確認のような問い>>$2にはぐらからし
 ただ、狼を撫でながら問われるものに>>$3 ]
($12) 2019/04/13(Sat) 6:14:10

【妖】 古城の吸血鬼 ニクス


  ……どうして、だと思う?
  どうして、なんだろうな。

  君なら終わらせてくれると思ったから。

[ 曖昧な答えを一つ ]

  君と俺は、ちがうよ。
  おんなじじゃない。違う生き物だ。

  君は人を殺したことがないだろう?
  それくらい、違う。

[ 同じ枠組みで収まり上がるように思え>>$4
 男は呆気なくそれを否定した。
 男の目に映る彼はどうしたって人であり
 彼の賞賛>>$5すらも笑みを浮かべ頭を振る ]
($13) 2019/04/13(Sat) 6:14:31

【妖】 古城の吸血鬼 ニクス


  綺麗ではない。醜い化物だよ。
  人の血を吸い尽くす鬼なのだから。

[ 独りが嫌で生きたいから殺してはくれない少年>>$6
 知ってどうするというのだろう?>>$7
 男は草臥れたまま、乾いた笑みを浮かべた ]

  ……そうだね。

[ 彼に対して勝手な希望を抱いたのは此方だ。

 だとしても切望を叶えぬが彼の願いを叶えよと
 望まれて優しくは出来なかった。
 この男の余裕など、とっくになかった ]
($14) 2019/04/13(Sat) 6:15:37

【妖】 古城の吸血鬼 ニクス


  君が寂しい時に傍らにいて
  君が悲しい時に慰めて
  君が恋しい時に愛を囁く

  そんな、存在になれたらよかったね。

[ 彼の生き死に男が何故関係するのだろう。

 男にとっては分からない事だらけで ]

  君は俺を知ってどうしたいの?

  そんな事しなくとも、
  君だってこんな風に生きられる。
  セレン、君は世界を知らなさ過ぎるよ。

[ それでも彼を窘めるような台詞で
 口許に微笑を浮かべて困った顔を繕った ]
($15) 2019/04/13(Sat) 6:16:02

【妖】 古城の吸血鬼 ニクス


[ その男が僅かに目の色を変えたのは
 続く彼の言葉>>$8だった ]

  君は、律儀だね。
  俺の全てを知った時、
  ……君は俺を殺してくれるんだろうか。

[ 自嘲じみた笑みを浮かべながらも
 孤独に生きた少年にこのような仕草。
 させたのは他ならぬ自分だと自覚する。

 その負い目なのかどうかは分からない ]

  一瞬の夢が生温い程、苦しい毒となるよ。

[ まるで経験をなぞらえるような調べで
 ふたりぼっちの夢>>$9を望む少年に
 男は初めて憐憫の色を浮かべた ]
($16) 2019/04/13(Sat) 6:16:19

【妖】 古城の吸血鬼 ニクス


  セレン。
  君が俺を知る事で何が変わるかは分からない。
  だけれど、君が眠りにつく前、話をしよう。

  巻き込んだ私が唯一君に出来る罪滅ぼしだ。

[ 男の勝手な事情を少年に押し付けた代わりに
 男は彼の願うひとりぼっちじゃない夜を提案する ]

  それに私にとっても悪い話じゃない。
  先の見えない漠然とした生よりも
  ほんの僅か光る粒を手にする方が、幸福だから。

[ 彼にとっては何気ない発言であっても
 人の子により赦される可能性を男は見出し
 どうしようもなく賭けてしまっていたから ]
($17) 2019/04/13(Sat) 6:16:52

【妖】 古城の吸血鬼 ニクス


  紅茶、美味しかったよ。
  薔薇に苦い記憶ばかりだったけれど
  ほんの少し懐かしい気分だった。

  今日はもう部屋におかえり。
  君も来たばかりで疲れているだろう。

  ゆっくり、おやすみ。
  
[ その言葉を皮切りに大人しかった狼が立ち上がる。
 彼の表情は見えなかった>>$10
 ただ、静かに全てを察したように狼は彼に連れ添い 
 男はゆるりと別れ際に嘯いた ]
($18) 2019/04/13(Sat) 6:17:11

【妖】 古城の吸血鬼 ニクス


  ……セレン。
  君の気持ちは嬉しいよ。
  君は優しい人だと、思う。

  それでもどうしても、駄目なんだ。
  生きたいとは、思えない。

  ……忘れられないんだ。

[ 薔薇の香りが立ち込める場所で
 自分の顔を覆って、瞼を閉じる。

 扉が閉じられるその時まで ]**
($19) 2019/04/13(Sat) 6:17:45

【妖】 古城の吸血鬼 ニクス

[ 彼の声に応えるように狼>>$21は耳を傾ける。
 アイスブルーの双眸は凪いでいた。
 問いかけに対して狼は語る言葉を持たない>>$22
 ただ、否定するように吠えたりはしなかった。

 狼は彼の問いにくぅんと小さく鳴く>>$23
 主が死んだら眷属はどうなるのか>>$24
 その心配は無用だとばかりに懐くだろう。

 眷属は名を持たない。
 少なくとも全て朽ち果てた時から。
 しかし、与えられた新しい名は>>$25
 眷属に、否やクーにとって存外悪くなく ]
($42) 2019/04/14(Sun) 0:17:59

【妖】 古城の吸血鬼 ニクス


  ( あまりに可愛らしい名前過ぎるけど )

[ その声に応えるように鳴いてやった。

 喋れたら良かったのに>>$26
 クーはその言葉に鳴くこともしなかった ]

  ( そうだな。もし話せていたのなら
    早くあんな奴捨てろって言えたな )

[ 主と子供二人に対して思う想いはあれど
 なんだかんだ主を捨てられないクーにも
 名付け親である彼の不幸を願ってはおらず
 思わず、そんな呟きを浮かべたのだった ]*
($43) 2019/04/14(Sun) 0:18:15

【妖】 古城の吸血鬼 ニクス


[ まるで、海の底に沈むような夢を見ていた ]

($44) 2019/04/14(Sun) 0:24:11

【妖】 古城の吸血鬼 ニクス



[ 息をする。

 その度に口許からは泡が溢れて
 遮られた視界は真っ暗闇のまま
 そこへ、其処へ、底へと沈んでいく。

 陽の光すら曖昧な世界。
 切り取られた一部分で息をする。

 揺らめく波の中に白く透き通った何かが映った。
 人の腕だと気づき、払った。

 きらきらと光る金糸雀の髪。
 海の中にいようと頭に響く鈴の音 ]

($45) 2019/04/14(Sun) 0:24:26

【妖】 古城の吸血鬼 ニクス


[ 目を覚まして ]
($46) 2019/04/14(Sun) 0:24:41

【妖】 古城の吸血鬼 ニクス


[ 誰かの声がよく聞こえる。

 無性に叫びたくなって息をする。
 唇から漏れるのは泡が二つ。
 身を捩りたくなる痛みが突き刺す。
 目を抉り取ろうとしても力が入らない。

 何から覚めろというのだろう。
 分からない。解らない。判らない。
 答えなど出ないまま、息が詰まる ]
($47) 2019/04/14(Sun) 0:25:02

【妖】 古城の吸血鬼 ニクス


  ( ここじゃ、息なんて出来ないから )

[ 首を締めて心臓を貫いて呼吸を止めた。

 誰かが悲しむような声が聞こえた ]*
($48) 2019/04/14(Sun) 0:25:39

【妖】 古城の吸血鬼 ニクス

  ―翌日―

[ 狼は少年が起きる頃には傍に控えていた>>$33
 念入りに隠されてしまった風貌に>>$34
 狼は不思議そうに首をかしげる。

 彼が服装を変えようと狼の眸には
 彼は彼として映っていたからだった。

 腹が空くかどうかに対する反応は
 同意するように短く吠えただろう。
 主がいようといまいと朝だろうと夜だろうと
 彼に従い歩く眷属の姿は特に変わりなく映るはずだ ]
($49) 2019/04/14(Sun) 0:36:59

【妖】 古城の吸血鬼 ニクス


[ 少年が歩く道筋を辿るように狼はついていく。
 少年が開けた空き部屋>>$36は沢山ある。
 どれもがちぐはぐな部屋だっただろう。

 ぬいぐるみが沢山用意されていたり
 キャンバスに塗りたくられた絵だったり
 ナイフが引き出しにこっそり忍ばれていたり
 性別やその子の性格を表したような室内だった筈だ。

 ニクスを模したのだろうか、
 幼い子供の落書きだってある。
 ニクスは相変わらず変わらぬ笑みを浮かべている。
 はたは誰かに向けて綴られた手紙もあった。
 羊皮紙に綴られた文字にはこのように書かれていた。

 ごめんなさい、やっぱり私には出来ない

 差出人は書かれていなかったが、
 何か水滴が滲んだ痕跡も残っていただろう ]
($50) 2019/04/14(Sun) 0:37:23

【妖】 古城の吸血鬼 ニクス


[ 書籍が多く置いてある室内では、
 吸血鬼のあり方や、殺し方、特性。
 そんなものの纏めだってあったし、
 聖水なんか用意してある部屋まであった。

 しかしどの子供も結局実行には至らず
 最終的に謝罪の言葉を残していた。

 書籍の中に日記が一つ混じっていたのを
 気づいただろうか。
 書籍の中に記されている事は他愛のない日々。
 背表紙に残っていた名前は、セレスと綴られていた ]*
($51) 2019/04/14(Sun) 0:37:35

【妖】 古城の吸血鬼 ニクス


[ 日が暮れる前の時間ならば、
 男は寝室の中で眠りについている。
 陽の光を許さない暗い部屋の中で瞼を閉じている。

 死んでいるかのようにしかし細く長い息を続けている。

 もし日が落ちて夜が始まれば男は散策をしている。
 庭園にいる少年にも聞こえるような
 ピアノの旋律が彼にあてがった部屋から
 流れているのが耳に届くかもしれない ]*
($52) 2019/04/14(Sun) 0:41:19

【妖】 古城の吸血鬼 ニクス

  ―日記―

[ これからあの城で奉仕しなさいだって。

 シスターはその為に私に様々な事を教えたわ。
 炊事に、洗濯に、読み書きに、歌に、
 それからどうしてか、ナイフの扱いも。

 私が一番優秀だから選ばれたんだって。
 だけど私知ってるわ。
 あのお城には人の血を吸う悪い吸血鬼がいるんだって。

 私が選ばれたのも私が一番かけっこが早いから。
 きっとそうに違いないと思うの。
 だから私があのお城に行って悪い吸血鬼を倒して
 みんなが安心して暮らせるように頑張るわ。

 金貨一枚。
 シスターが私にくれた大きすぎるお小遣い。
 どうしてかは判らないけどお守りとして
 隠すなら誰にも見つからない部屋にしないと。
($53) 2019/04/14(Sun) 0:46:26

【妖】 古城の吸血鬼 ニクス

  ―日記 2頁目―

[ 今日、びっくりしたことがあるの。

 吸血鬼と呼ばれた人にはじめてあったんだけど
 あの人、赤ん坊のリリーよりも何も知らなかったわ。
 私の姿を見ても追い出そうとして
 全然手を出してこなかったから全部話したの。

 そうしたら困った顔をしていたから
 とりあえずお腹が空いた事を伝えたの。
 その後どうなったと思う?
 薔薇の花を私に送ってきたの。

 人は薔薇なんて食べないわって伝えたら
 すっごくすっごくビックリしたみたい。
 仕方がないから薔薇の花で作った紅茶を淹れて
 二人と一匹に用意したら驚いていたわ。
 でも狼って紅茶を飲めないのね。
 その点だけは、反省。
($54) 2019/04/14(Sun) 0:50:42

【妖】 古城の吸血鬼 ニクス

  ―日記 3頁目―

[ 結局泊まっちゃった。
 大きくて広い部屋は私が今まで見たことのないくらい
 立派でお姫様が眠る部屋みたいだった。

 落ち着かなくなってそれからあの人を尋ねたのだけど
 揺すっても頬を叩いても全然起きないの。
 吸血鬼が夜にしか起きられないのは本当みたい。
 仕方がないから夜まで待っていたら眠っていたみたい。

 起きたら彼がそばにいたわ。
 帰れって言われたからもう一度私の目的を話したの。
 世話役は間に合っていると聞いたけれど
 私は私で代表として訪れているから
 何も出来ずに帰るのは困るって伝えたの。
($55) 2019/04/14(Sun) 0:56:54

【妖】 古城の吸血鬼 ニクス


[ そうしたら彼は鋭い歯を見せてきたの。
 狼よりも細くて固そうな牙だったわ。

 とても恐ろしいものには思えたけれど
 この人自身は相変わらず怖くなかったから
 逃げ出さない私を見て不思議に首をかしげてたわ。

 卿が覚めたなんて失礼な事を言うから
 なんとなく腹が立って長い足を蹴ったけど
 そういえば彼の名前を知らなかったから聞いたの。

 名前なんてないって言うから、考えたわ。
 そうしたらぴったりの名前があったから
 今度から私は彼をそう呼ぶことにした。

 ニクスって。セレス、私の名前とぴったりだもの。
 夜と月って素敵よね ]**
($56) 2019/04/14(Sun) 0:57:42

【妖】 古城の吸血鬼 ニクス


[ ピアノの音色をかき鳴らしながら
 脳裏に思い浮かべるのは数多の人の顔。
 この城で過ごした数十名の子供達。

 その中でも一際目立つのは陽の存在。
 月の名前を持つ子供の姿だった。

 ふと、開きっぱなしだった部屋の中に
 与えた本人の存在>>$62が増えた ]

  おはよう、セレン。よく眠れたかな?

[ 挨拶は極めていつも通りに。
 ピアノの手を休めれば彼に振り返った。

 彼の手にあるのは知恵の実>>$63
 それから棘の目立つ赤い薔薇の花だった。

 彼の言葉>>$64に男は目を伏せる。
 言葉を選びあぐねている様子だった ]
($66) 2019/04/14(Sun) 5:26:17

【妖】 古城の吸血鬼 ニクス


  それは、俺が触れていいものじゃない。
  それに、きっと君が持っていた方が喜ぶ。

[ 差し出された金貨一枚>>$65
 久々に他者から存在を生かされる今に
 男にしては少し苦い顔をしてみせる ]

  部屋がいつもの調子なのは、忘れられないからだ。
  いや、……忘れたくないのかもしれない。

[ ピアノに備え付けられた椅子に腰掛けた。
 男は飾られた赤い薔薇一輪に視線を向ける ]
($67) 2019/04/14(Sun) 5:26:33

【妖】 古城の吸血鬼 ニクス


  忘却は人にのみ存在するものだから。
  それから、俺が触れたくないのもある。

  彼らがここで生きた痕跡を、
  俺如きが穢してしまいたくない。

[ 組んだ指だけが落ち着きなく動いた ]

  ……その思い出が、記憶が、より胸を痛ませても。
  どの子供も悪い子供じゃなかった。

  中には俺の願いを叶えようとする子もいた。
  結局、逃げてしまったけどね。
  他には父のように慕ってくれる子供もいた。

  だが、みんな帰してしまった。
  残酷な望みを君達に架していると分かっているから。

[ 言葉を区切り、それから少年を見遣る ]
($68) 2019/04/14(Sun) 5:26:49

【妖】 古城の吸血鬼 ニクス


  君を特別扱いしたのは……、
  その金貨をお守りと持ち歩いていた子に
  君が少し似ていたからだ。

  どう。少しは、殺す気になれた?

[ よく見ると日に焼けたのだろうか。
 赤い頬>>$58は少し痛々しい。
 冷やしてやるべきだろうと彼を見つめ ]

  なんて。
  ……君に酷い事を願っているのも理解してる。
  君と俺を違うと枠組みを取り替える癖に
  君に同じ所まで堕ちろと
  それと同義の言葉を口にしているのだから。

[ 男自身の矛盾>>$38を形にした。
 困ったような眉はそのままにふと顔を上げ ]
($69) 2019/04/14(Sun) 5:27:13

【妖】 古城の吸血鬼 ニクス


  色々と、知ってくれたんだね。
  出来れば君が全て知った上で、
  承知してくれた上で、欲しいものだから。

  ありがとう。
  でも多くを見て回ったのなら腹が減るだろう。
  何か、用意しようか?

[ 彼が選んできた赤い果実を見て、尋ねた ]**
($70) 2019/04/14(Sun) 5:27:29

【妖】 古城の吸血鬼 ニクス

  ―日記 4頁目―

[ 薔薇の花が咲く場所を教えてもらったわ。
 大きな庭園にあるみたいだった。
 でも全然世話をしていないみたい。
 仕方がないから棘の処理をしてあげた。

 掃除も全然していないみたいだからしたの。
 食堂があるなら使うしかないじゃない?
 村には立ち寄れないけど
 お腹が空いた旨を伝えたらお小遣いをくれたの。

 足がないって伝えたら狼を紹介してくれた。
 彼の背に跨って街まで辿り着いて沢山お買い物して、
 荷物沢山に帰ってきた私をみてニクスは目を丸くしたの。

 帰ってくると思わなかったんですって ]
($71) 2019/04/14(Sun) 15:17:59

【妖】 古城の吸血鬼 ニクス


[ 私の家だから当然じゃない。
 言い切ってみたら困ったように眉を下げられたわ。
 本当にここで暮らすつもりか尋ねられたし
 そのつもりよって伝えたの。

 彼は少し悩んでるそぶりを見せたけど
 結局最後には諦めたように頷いたわ。

 だから私も覚悟を決めたの。
 ほんのり漂う血の匂いも仕方ないことだって。

 夕食は二人でとったけれど
 人の食事は彼には必要ないみたい。
 ただこれから生活するのは困りそうだから
 私が色々教えてあげないと ]*
($72) 2019/04/14(Sun) 15:18:17

【妖】 古城の吸血鬼 ニクス

  ―日記 5頁目―

[ 今日は村のみんなに手紙を書いたの。
 私は元気にしているって。
 
 元から飽き性の私でもよく日記が続いたものだと思う。
 でも最近サボっちゃったから、昨日の事でも残すわ。

 ここの生活にも慣れてきて、
 もう一月くらいは経っていると思う。

 あの日から私達はいつも通り変わる事なく生活しているわ。
 ニクスも流石に人は薔薇の花を食べて
 空腹を満たすなんて考えなくなったもの。

 一つ驚くことがあったのなら
 彼、ピアノが弾けたみたい。

 彼の部屋の中にある右隣の部屋を私が覗いた時、
 埃だらけのピアノを見つけたの。
 私が引きたがったから二人して掃除して
 それから私の部屋に運んでもらったのだけど
 調律なんて出来るものだから驚いた ]
($73) 2019/04/14(Sun) 15:18:37

【妖】 古城の吸血鬼 ニクス

[ 昔、少し弾いていた。

 そんな彼に誰かから教わったの?って聞いたの。
 彼は曖昧に笑ってばかりだったわ。

 この人の悪い癖。
 触れられたくないことは誤魔化す人。
 ただ今日は悲しそうだから黙っておいたの。
 二人してピアノを弾けば気分も少し和らぐかしら。
 隣で腰掛けて白鍵を鳴らしたら、
 少し驚いた顔をしたけれど拒まれなかった。

 そのまま二人で一緒に弾いたわ。
 困ったことに楽しかったの。
 化物だなんて村のみんなからは恐れられてる人は、
 私が思うより普通で、同じ人で、だから ]
($74) 2019/04/14(Sun) 15:18:54

【妖】 古城の吸血鬼 ニクス


[ ひとりぼっちだって、自分が思わず済んだ 
]*
($75) 2019/04/14(Sun) 15:19:11

【妖】 古城の吸血鬼 ニクス

  ―日記 36頁目―

[ このまま続けばいいのに。

 そう思うくらいにこの日々は楽しい。
 彼は相変わらず朝は眠り続けて
 昼も静かに息だけを繰り返して
 夜になるといつのまにか傍らにいたわ。

 曖昧に笑ってばかりの彼も少しずつ、
 いろんな表情を見せてくれるようになった。
 彼の知らないことを私は教えて
 私の知らないことを彼は教えてくれる。

 人と吸血鬼。
 そんな垣根を超えても私達は変わらない。
 そう思ったから伝えたら彼は悲しい顔をした。

 化物は世界から嫌われているから、
 神様に祝福されている私達とは違うって ]
($76) 2019/04/14(Sun) 15:19:38

【妖】 古城の吸血鬼 ニクス

[ 堪らなくなったから抱きしめた。
 死んだ人みたいに冷たい躰。

 息を吸うより簡単に溢れたわ。
 私はあなたが大好きだって。
 だからそんなあなたが傷つく世界なんて、
 私が壊してあげるって。

 本当に真剣に思ったから伝えたら
 彼は本当に困った顔をしたの。
 それでも抱き返してくれた。

 ありがとう、って ]
($77) 2019/04/14(Sun) 15:19:58

【妖】 古城の吸血鬼 ニクス


[ その日から彼に血の気配が消えた ]
($79) 2019/04/14(Sun) 15:20:15

【独】 古城の吸血鬼 ニクス

/*
日記用意して触れてくれポイント作ってるつもりやけど蛇足だった感あるな。
(-81) 2019/04/14(Sun) 15:50:25

【妖】 古城の吸血鬼 ニクス

  ―日記 55頁目―

[ 最近のニクスは機嫌がいい。

 彼から踊りに誘ったり、ピアノを弾いたり
 夜の庭園を歩いたりしてくれる。

 でも、日に日に顔色が悪くなってる。
 風にでも吹かれたら消えてしまいそう。

 きっと食事をしていないんだと思う。

 彼に伝えたわ。
 でも、大丈夫だって笑うの。
 随分と綺麗に丁寧な笑顔を見せるの。
 薔薇の精気を吸っているから平気だって。

 嘘だと思った。
 だけど否定できなかった。

 君と同じ人になりたいなんて
 そんな事を呟く彼に言えなかった ]*
($85) 2019/04/14(Sun) 16:02:50

【妖】 古城の吸血鬼 ニクス

  ―日記 84頁目―

[ ごめんなさい。全部、私のせい。

 シスターに手紙を書いたの。
 どうすればいいって。

 返事はまだ来ない。
 返事はまた来ない ]
  
($86) 2019/04/14(Sun) 16:03:23

【妖】 古城の吸血鬼 ニクス

  ―日記 101頁目―

[ 血を吸ってもらわなきゃ ]**
($87) 2019/04/14(Sun) 16:04:18

【妖】 古城の吸血鬼 ニクス


  夢、か。
  様子を見るに悪夢じゃなくてよかった。
  どうせ夢を見るなら優しい夢がいいだろう?

[ 夢を見ることすら許されない環境>>$78  
 彼女から聞いていた村と
 彼から少しずつ明らかとされる村の様子では
 大きく異なっているように見えた ]

  君がまるでそうじゃないといった具合だ。

[ 誰かに想われた子供の証>>$80
 彼は違うというのだろうか ]

  君達は知り合いだったのか?
  あの子から聞いていた話と君から知った話、
  随分と違うような気がしてしまうけど……

[ 彼の態度は謙遜ではなく本音だろうか>>$81 ]
($95) 2019/04/15(Mon) 1:30:41

【妖】 古城の吸血鬼 ニクス


  確かに君とあの子は違う存在だと思う。
  君は正しく月のようだよ。

  どちらも優しいことには変わりない。

[ 励ますような言葉を向けたのは何故だろう。
 落ち込んでいるように感じてしまった。
 負い目を得ているようにも思えたからだ。

 中途半端な微温湯を与えてどうするのだろう。
 彼の答え>>$82を耳にして落胆の色は隠せないが ]

  待つことには慣れてるんだ。
  大丈夫だよ。
  俺にはその可能性があるだけで随分……

[ 救われているから。

 人に殺される事で贖罪となるかだなんて
 男にとっても最早分からない。
 唯の自己満足に彼を付き合わせている。
 そんな自覚だってあった ]
($96) 2019/04/15(Mon) 1:31:07

【妖】 古城の吸血鬼 ニクス


  ……そうかい?

  こう見えても慣れているから、
  口にしたいものがあればいつでも願って。

  それから此処にある果物も食物も、
  君の好きに持っていっても構わないよ。

[ 日常を思わせる会話は眩しい程に人らしい対話であった ]
($97) 2019/04/15(Mon) 1:31:35

【妖】 古城の吸血鬼 ニクス


[ そう、人に憧れた化物がかつて望み、興じたやりとりだ ]
($98) 2019/04/15(Mon) 1:32:12

【妖】 古城の吸血鬼 ニクス


[ だが、続く彼の言葉>>$84は、
 化物を化物として突き落とす尤も簡単な台詞だった ]

  ……そうだね。摂らなくてはならない。
  君が来る前に訪れた少女からも
  随分と得ていなかったから。

  俺は薔薇の精気だけで生きられる程
  人のように愛を知った生き物ではないから。

[ 冗談、だったのか、どうか>>$90
 砂の城のように溢れる音色に儚さを感じ
 自然に笑う少年に何とも言えない顔をする。
 泣くのを我慢する子供とよく似た表情だった ]
($99) 2019/04/15(Mon) 1:32:29

【妖】 古城の吸血鬼 ニクス


[ その表情>>$91は彼の境遇を知り、
 より深く眉を下げさせる一因となった。

 彼は、要らない子として訪れたのだという。
 淡々と述べられる言葉に男は唇を引き結び>>$92
 事実だとばかりに言い切れた彼の過去に憐憫を感じた。

 だからとても、気にしないなんて、
 この男には出来なかったのだ>>$93

 彼は確かに彼女と違う。
 彼女は運命に翻弄されたが神に愛されていた。
 その彼女の息の根を手折ったのは他ならぬ怪物だ。
 彼女に何の罪もなかったのだ ]
($100) 2019/04/15(Mon) 1:32:47

【妖】 古城の吸血鬼 ニクス


[ しかし彼にも何の罪もない。
 眸の色や髪の色が物珍しい。

 ただそれだけで過酷な日々を送ってきたのだろう。
 それこそ男が目を背けたくなる事も
 彼が息をする為には必要だったのかもしれない。

 だが、それだから良いと言い切れないのは何故か ]

  そんなもの、答えでも何でもない。
  この世に生まれて不要な命など、ない。

  ……俺、は。

[ 答えられない。
 顔を背けて目を閉じて口を噤もうとした。

 しかし、それよりも早く彼が問うた>>$94 ]
($101) 2019/04/15(Mon) 1:33:03

【妖】 古城の吸血鬼 ニクス


  大切、大切な、もの?
  セレン。
  そんなもの、怪物には……。

[ ないんだろうか。

 今も尚たった一人の少女の死を引き摺り
 彼女と同じ名を持つ少年に運命を押し付け
 彼の境遇を知って尚、死にたい想いに囚われている。

 そんな身勝手な男にとっての大切なもの。

 男は、何故、人の真似事をしたのだろう。
 考えて、考えて、考えて、
 それから困ったように笑ってしまった。

 自身のどうしようもなさに胸が焦げ焼けてしまいそうだった。
 いいや、灼かれてしまえばよかったのだ ]
($102) 2019/04/15(Mon) 1:33:23

【妖】 古城の吸血鬼 ニクス


  同じに、なりたかったんだよ。

[ ぽつりと、独白めいた呟き。
 まるで懺悔室で囁くように男は指同士を絡めた ]

  君達と同じように、人のように。
  
[ 視線は落ちる。水の底に沈むように ]
($103) 2019/04/15(Mon) 1:33:48

【妖】 古城の吸血鬼 ニクス


  …………生きたかった、のだろうね。

  私は私の中の化物を殺して、それから
  ……きっと、同じになって死んで、
  そばに、いたかったんだ。

[ 自嘲気味に笑う男は彼にどう映るのだろう。
 どうしようもない顔をしている。
 だから男は自分の表情を隠すように
 また一つ、一つ、笑みを浮かべた ]**
($104) 2019/04/15(Mon) 1:34:07

【独】 古城の吸血鬼 ニクス

/*
>>$107が自分と同一視しないでって聞こえて大変良き。
(-119) 2019/04/15(Mon) 2:29:50

【妖】 古城の吸血鬼 ニクス


[ 悪夢への問い>>$105に対しては
 忘れたよと嘘ばかりを重ねる。
 少年の諦観>>$106に男はいよいよ同情したが、
 それをどうしてやればいいか分からず ]

  これまでとこれからは違うだろう。

[ 彼にとって慰めとなるのかならぬのか
 分からない台詞を口にした。

 先程から彼は彼女と比較するような物言いばかり>>$107 ]

  誰だって自分勝手だ。
  だから君が選んだ答えが未来を閉ざすものではない限り、
  俺に君を責める権利はないよ。

  気にかけてくれるのは嬉しいけどね。

[ 彼の言葉>>$108を知らぬふりする。
 しかし隣に腰掛ける彼の白い首筋に>>$110
 こくりと喉奥が嚥下させてしまった ]
($116) 2019/04/15(Mon) 12:27:00

【妖】 古城の吸血鬼 ニクス


  君の言う通りだよ。
  あの子にだって言われたんだ。
  何であっても構わないって。
 
  だからこれは俺のエゴなんだろう。

[ 人であり続けたいなんて、
 別に誰にもそうであれと願われた訳でもない。

 ただ、木漏れ日の元に生きることを許された人間に
 この男が情景を抱いてしまっていただけだ ]
($117) 2019/04/15(Mon) 12:27:25

【妖】 古城の吸血鬼 ニクス


  セレン。
  俺は君を生贄にしたくない。

[ 頑張ると告げた彼に対して>>$112
 この言葉はどのように響くのだろう。

 彼の胸中>>$113を知れたのなら
 何か変わったのだろうか、どうだろうか。
 献身的な少年の指>>$115に双眸を眇めた ]

  君の前でも人でありたいの望むのは、
  強欲なんだろうか、傲慢なんだろうか。
  それとも怠惰なんだろうか。

  愚かである事に変わりはないんだろう。

  今までだって、二度過ちは繰り返さないと
  食事をする事だってあったのだから
  今更なんだ。そんな事は、分かっている。
  自分が飢えてしまえばどうなるかも、痛い程。

[ 淡々と落ちる声は小さく、
 困ったように笑みは消えないまま ]
($118) 2019/04/15(Mon) 12:27:45

【妖】 古城の吸血鬼 ニクス


  セレン。
  どうすれば正解なのだろうね。

  ……困った事に、いつだって、渇いてる。
  喉が張り付く程に。

  それでもそれよりも心が痛いんだ。

[ 心などないはずの化物だと自負しながら囁いて。
 白い柔肌から視線を逸らすように白鍵を見つめた ]**
($119) 2019/04/15(Mon) 12:28:03

【妖】 古城の吸血鬼 ニクス


[ 引導を渡せと強請る癖、
 彼に人並みの幸福をと願う矛盾>>$120を自覚する。
 化物ならば殺めても罪悪感など抱かないと
 男は頭の先から足の爪先まで思っていた ]

  責めたりなどしない。
  残念には、思うけれどね。

[ 彼が結果としてその首を撥ねたり
 心臓を打つ事が出来なくとも>>$121
 男はきっとこれまで通り日々を殺す ]

  君にとっての初めてか。
  セレン。
  君は君や世界が思うよりおかしくないのにね。

[ 人とは異なる感覚を持つのは化物らしさ故か。
 彼の境遇>>$121にますます不憫に思えて ]
($128) 2019/04/15(Mon) 22:50:53

【妖】 古城の吸血鬼 ニクス


  セレン。
  そんな時は無理に笑わなくていいんだよ。

  君にだって泣きたい夜くらいあるだろう?

[ 気休めにも似た台詞を口にした ]
($129) 2019/04/15(Mon) 22:51:27

【妖】 古城の吸血鬼 ニクス


  人間と同じだろうか。
  人の血を糧に生きるしかない俺なんて。
  世界に憎まれているとしか。

  だが、どうして君が悲しいんだろう。

[ 生贄としての価値>>$123
 それが男にとってどれ程のものか判らず

 また霞み行き消える問いかけに対しても
 男は疑問にすら思えなかった ]
($130) 2019/04/15(Mon) 22:52:26

【妖】 古城の吸血鬼 ニクス


[ 正解なんて分からなかった>>$124
 相変わらず笑ってばかりの男の背に手が伸ばされた。
 男の眸は見開かれ、彼の言葉>>$125に時が止まる。

 一瞬だけ。ほんの一瞬だけ。
 男は薔薇の棘に刺されたような痛みを得て
 血色の双眸を揺らめかせた ]

  ……ありがとう。
  それなら、安心だ。

  君なら……任せられる。

  でも、あまり優しくしないで。
  ……そんな価値なんてないんだ。

[ 男がたった一言返せた台詞だ。
 我慢出来る時>>$126など考えたくもない。
 だが、その時こそが決別の日なのだと考えた ]
($131) 2019/04/15(Mon) 22:54:18

【妖】 古城の吸血鬼 ニクス


[ 知りたいこと>>$127
 彼に問われて初めて男は彼について
 知らなさすぎていることに気付いた。

 初めて出会った時、彼は様々な芸当を磨いていたという。
 しかしこれまでの話から不当な扱いを
 受けていたように思えた ]

  君に尋ねたいこと、は色々ある。
  思えば俺は君がいくつかも知らないし、
  好きな食べ物や、嫌いな食べ物も耳にしていない。

  俺の事を知れと言うくせに
  君の事を知らないのは不平等だし
  俺自身も君の事を知りたいとは思う。

[ 言葉を区切ってそれから視線を戻した ]
($132) 2019/04/15(Mon) 22:54:33

【妖】 古城の吸血鬼 ニクス


  それから、君にとって言いにくい事かもしれない。
  でも、君は君が過ごしてきた村の事を
  どのように思っているんだ?

  ……君はいつも諦めたように笑うから。
  だから、気になっている。
  君がこれまでどのような生きてきたのか

  それを俺は知りたいと思う。

[ 男は同じように彼の背に手を伸ばして
 結局その手は彼の長い前髪にそっと触れる  ]

  君の見てきた世界を聴いてみたい。
  どんな言葉であってもいいから。

[ 真っ直ぐに彼の眸を見つめれば首を傾げて
 促すように口許は弧を描いた ]*
($133) 2019/04/15(Mon) 22:55:59