古城の吸血鬼 ニクスは、メモを貼った。 (a1) 2019/04/12(Fri) 23:06:35 |
【妖】 古城の吸血鬼 ニクス[ 出会ってまだ僅かである少年に打ち明ける事は憚られた。 孤独を癒す為に求められているのだろうか。 そんな可能性すらも滲んでは消えた ] 確かめたければ探してみせて。 ただ、よく似てるよ。 君の眸と目の色も声も。 彼女は眠り続けてる。ずっと。 [ 知ったところでどうするのだろう。 彼の言動>>$1に対する理由。 まだ互いに見えない事が多かった ] ($11) 2019/04/13(Sat) 6:13:55 |
【妖】 古城の吸血鬼 ニクス……君の最後の居場所? 君はまだ幼い。 世界の一部分しか見ていないだろう。 決めつけるのは早計だと思う、……が。 私にとってのこの城、か。 全て灰燼に帰してしまいたい場所だよ。 [ 確認のような問い>>$2にはぐらからし ただ、狼を撫でながら問われるものに>>$3 ] ($12) 2019/04/13(Sat) 6:14:10 |
【妖】 古城の吸血鬼 ニクス……どうして、だと思う? どうして、なんだろうな。 君なら終わらせてくれると思ったから。 [ 曖昧な答えを一つ ] 君と俺は、ちがうよ。 おんなじじゃない。違う生き物だ。 君は人を殺したことがないだろう? それくらい、違う。 [ 同じ枠組みで収まり上がるように思え>>$4 男は呆気なくそれを否定した。 男の目に映る彼はどうしたって人であり 彼の賞賛>>$5すらも笑みを浮かべ頭を振る ] ($13) 2019/04/13(Sat) 6:14:31 |
【妖】 古城の吸血鬼 ニクス綺麗ではない。醜い化物だよ。 人の血を吸い尽くす鬼なのだから。 [ 独りが嫌で生きたいから殺してはくれない少年>>$6 知ってどうするというのだろう?>>$7 男は草臥れたまま、乾いた笑みを浮かべた ] ……そうだね。 [ 彼に対して勝手な希望を抱いたのは此方だ。 だとしても切望を叶えぬが彼の願いを叶えよと 望まれて優しくは出来なかった。 この男の余裕など、とっくになかった ] ($14) 2019/04/13(Sat) 6:15:37 |
【妖】 古城の吸血鬼 ニクス君が寂しい時に傍らにいて 君が悲しい時に慰めて 君が恋しい時に愛を囁く そんな、存在になれたらよかったね。 [ 彼の生き死に男が何故関係するのだろう。 男にとっては分からない事だらけで ] 君は俺を知ってどうしたいの? そんな事しなくとも、 君だってこんな風に生きられる。 セレン、君は世界を知らなさ過ぎるよ。 [ それでも彼を窘めるような台詞で 口許に微笑を浮かべて困った顔を繕った ] ($15) 2019/04/13(Sat) 6:16:02 |
【妖】 古城の吸血鬼 ニクス[ その男が僅かに目の色を変えたのは 続く彼の言葉>>$8だった ] 君は、律儀だね。 俺の全てを知った時、 ……君は俺を殺してくれるんだろうか。 [ 自嘲じみた笑みを浮かべながらも 孤独に生きた少年にこのような仕草。 させたのは他ならぬ自分だと自覚する。 その負い目なのかどうかは分からない ] 一瞬の夢が生温い程、苦しい毒となるよ。 [ まるで経験をなぞらえるような調べで ふたりぼっちの夢>>$9を望む少年に 男は初めて憐憫の色を浮かべた ] ($16) 2019/04/13(Sat) 6:16:19 |
【妖】 古城の吸血鬼 ニクスセレン。 君が俺を知る事で何が変わるかは分からない。 だけれど、君が眠りにつく前、話をしよう。 巻き込んだ私が唯一君に出来る罪滅ぼしだ。 [ 男の勝手な事情を少年に押し付けた代わりに 男は彼の願うひとりぼっちじゃない夜を提案する ] それに私にとっても悪い話じゃない。 先の見えない漠然とした生よりも ほんの僅か光る粒を手にする方が、幸福だから。 [ 彼にとっては何気ない発言であっても 人の子により赦される可能性を男は見出し どうしようもなく賭けてしまっていたから ] ($17) 2019/04/13(Sat) 6:16:52 |
【妖】 古城の吸血鬼 ニクス紅茶、美味しかったよ。 薔薇に苦い記憶ばかりだったけれど ほんの少し懐かしい気分だった。 今日はもう部屋におかえり。 君も来たばかりで疲れているだろう。 ゆっくり、おやすみ。 [ その言葉を皮切りに大人しかった狼が立ち上がる。 彼の表情は見えなかった>>$10 ただ、静かに全てを察したように狼は彼に連れ添い 男はゆるりと別れ際に嘯いた ] ($18) 2019/04/13(Sat) 6:17:11 |
【妖】 古城の吸血鬼 ニクス……セレン。 君の気持ちは嬉しいよ。 君は優しい人だと、思う。 それでもどうしても、駄目なんだ。 生きたいとは、思えない。 ……忘れられないんだ。 [ 薔薇の香りが立ち込める場所で 自分の顔を覆って、瞼を閉じる。 扉が閉じられるその時まで ]** ($19) 2019/04/13(Sat) 6:17:45 |
【妖】 古城の吸血鬼 ニクス( あまりに可愛らしい名前過ぎるけど ) [ その声に応えるように鳴いてやった。 喋れたら良かったのに>>$26 クーはその言葉に鳴くこともしなかった ] ( そうだな。もし話せていたのなら 早くあんな奴捨てろって言えたな ) [ 主と子供二人に対して思う想いはあれど なんだかんだ主を捨てられないクーにも 名付け親である彼の不幸を願ってはおらず 思わず、そんな呟きを浮かべたのだった ]* ($43) 2019/04/14(Sun) 0:18:15 |
【妖】 古城の吸血鬼 ニクス[ 息をする。 その度に口許からは泡が溢れて 遮られた視界は真っ暗闇のまま そこへ、其処へ、底へと沈んでいく。 陽の光すら曖昧な世界。 切り取られた一部分で息をする。 揺らめく波の中に白く透き通った何かが映った。 人の腕だと気づき、払った。 きらきらと光る金糸雀の髪。 海の中にいようと頭に響く鈴の音 ] ($45) 2019/04/14(Sun) 0:24:26 |
【妖】 古城の吸血鬼 ニクス[ 誰かの声がよく聞こえる。 無性に叫びたくなって息をする。 唇から漏れるのは泡が二つ。 身を捩りたくなる痛みが突き刺す。 目を抉り取ろうとしても力が入らない。 何から覚めろというのだろう。 分からない。解らない。判らない。 答えなど出ないまま、息が詰まる ] ($47) 2019/04/14(Sun) 0:25:02 |
【妖】 古城の吸血鬼 ニクス( ここじゃ、息なんて出来ないから ) [ 首を締めて心臓を貫いて呼吸を止めた。 誰かが悲しむような声が聞こえた ]* ($48) 2019/04/14(Sun) 0:25:39 |
【妖】 古城の吸血鬼 ニクス ―翌日― [ 狼は少年が起きる頃には傍に控えていた>>$33 念入りに隠されてしまった風貌に>>$34 狼は不思議そうに首をかしげる。 彼が服装を変えようと狼の眸には 彼は彼として映っていたからだった。 腹が空くかどうかに対する反応は 同意するように短く吠えただろう。 主がいようといまいと朝だろうと夜だろうと 彼に従い歩く眷属の姿は特に変わりなく映るはずだ ] ($49) 2019/04/14(Sun) 0:36:59 |
【妖】 古城の吸血鬼 ニクス[ 少年が歩く道筋を辿るように狼はついていく。 少年が開けた空き部屋>>$36は沢山ある。 どれもがちぐはぐな部屋だっただろう。 ぬいぐるみが沢山用意されていたり キャンバスに塗りたくられた絵だったり ナイフが引き出しにこっそり忍ばれていたり 性別やその子の性格を表したような室内だった筈だ。 ニクスを模したのだろうか、 幼い子供の落書きだってある。 ニクスは相変わらず変わらぬ笑みを浮かべている。 はたは誰かに向けて綴られた手紙もあった。 羊皮紙に綴られた文字にはこのように書かれていた。 ごめんなさい、やっぱり私には出来ない 差出人は書かれていなかったが、 何か水滴が滲んだ痕跡も残っていただろう ] ($50) 2019/04/14(Sun) 0:37:23 |
【妖】 古城の吸血鬼 ニクス[ 書籍が多く置いてある室内では、 吸血鬼のあり方や、殺し方、特性。 そんなものの纏めだってあったし、 聖水なんか用意してある部屋まであった。 しかしどの子供も結局実行には至らず 最終的に謝罪の言葉を残していた。 書籍の中に日記が一つ混じっていたのを 気づいただろうか。 書籍の中に記されている事は他愛のない日々。 背表紙に残っていた名前は、セレスと綴られていた ]* ($51) 2019/04/14(Sun) 0:37:35 |
【妖】 古城の吸血鬼 ニクス[ 日が暮れる前の時間ならば、 男は寝室の中で眠りについている。 陽の光を許さない暗い部屋の中で瞼を閉じている。 死んでいるかのようにしかし細く長い息を続けている。 もし日が落ちて夜が始まれば男は散策をしている。 庭園にいる少年にも聞こえるような ピアノの旋律が彼にあてがった部屋から 流れているのが耳に届くかもしれない ]* ($52) 2019/04/14(Sun) 0:41:19 |
【妖】 古城の吸血鬼 ニクス ―日記― [ これからあの城で奉仕しなさいだって。 シスターはその為に私に様々な事を教えたわ。 炊事に、洗濯に、読み書きに、歌に、 それからどうしてか、ナイフの扱いも。 私が一番優秀だから選ばれたんだって。 だけど私知ってるわ。 あのお城には人の血を吸う悪い吸血鬼がいるんだって。 私が選ばれたのも私が一番かけっこが早いから。 きっとそうに違いないと思うの。 だから私があのお城に行って悪い吸血鬼を倒して みんなが安心して暮らせるように頑張るわ。 金貨一枚。 シスターが私にくれた大きすぎるお小遣い。 どうしてかは判らないけどお守りとして 隠すなら誰にも見つからない部屋にしないと。 ($53) 2019/04/14(Sun) 0:46:26 |
【妖】 古城の吸血鬼 ニクス ―日記 2頁目― [ 今日、びっくりしたことがあるの。 吸血鬼と呼ばれた人にはじめてあったんだけど あの人、赤ん坊のリリーよりも何も知らなかったわ。 私の姿を見ても追い出そうとして 全然手を出してこなかったから全部話したの。 そうしたら困った顔をしていたから とりあえずお腹が空いた事を伝えたの。 その後どうなったと思う? 薔薇の花を私に送ってきたの。 人は薔薇なんて食べないわって伝えたら すっごくすっごくビックリしたみたい。 仕方がないから薔薇の花で作った紅茶を淹れて 二人と一匹に用意したら驚いていたわ。 でも狼って紅茶を飲めないのね。 その点だけは、反省。 ($54) 2019/04/14(Sun) 0:50:42 |
【妖】 古城の吸血鬼 ニクス ―日記 3頁目― [ 結局泊まっちゃった。 大きくて広い部屋は私が今まで見たことのないくらい 立派でお姫様が眠る部屋みたいだった。 落ち着かなくなってそれからあの人を尋ねたのだけど 揺すっても頬を叩いても全然起きないの。 吸血鬼が夜にしか起きられないのは本当みたい。 仕方がないから夜まで待っていたら眠っていたみたい。 起きたら彼がそばにいたわ。 帰れって言われたからもう一度私の目的を話したの。 世話役は間に合っていると聞いたけれど 私は私で代表として訪れているから 何も出来ずに帰るのは困るって伝えたの。 ($55) 2019/04/14(Sun) 0:56:54 |
【妖】 古城の吸血鬼 ニクス[ そうしたら彼は鋭い歯を見せてきたの。 狼よりも細くて固そうな牙だったわ。 とても恐ろしいものには思えたけれど この人自身は相変わらず怖くなかったから 逃げ出さない私を見て不思議に首をかしげてたわ。 卿が覚めたなんて失礼な事を言うから なんとなく腹が立って長い足を蹴ったけど そういえば彼の名前を知らなかったから聞いたの。 名前なんてないって言うから、考えたわ。 そうしたらぴったりの名前があったから 今度から私は彼をそう呼ぶことにした。 ニクスって。セレス、私の名前とぴったりだもの。 夜と月って素敵よね ]** ($56) 2019/04/14(Sun) 0:57:42 |
【妖】 古城の吸血鬼 ニクス[ ピアノの音色をかき鳴らしながら 脳裏に思い浮かべるのは数多の人の顔。 この城で過ごした数十名の子供達。 その中でも一際目立つのは陽の存在。 月の名前を持つ子供の姿だった。 ふと、開きっぱなしだった部屋の中に 与えた本人の存在>>$62が増えた ] おはよう、セレン。よく眠れたかな? [ 挨拶は極めていつも通りに。 ピアノの手を休めれば彼に振り返った。 彼の手にあるのは知恵の実>>$63 それから棘の目立つ赤い薔薇の花だった。 彼の言葉>>$64に男は目を伏せる。 言葉を選びあぐねている様子だった ] ($66) 2019/04/14(Sun) 5:26:17 |
【妖】 古城の吸血鬼 ニクスそれは、俺が触れていいものじゃない。 それに、きっと君が持っていた方が喜ぶ。 [ 差し出された金貨一枚>>$65 久々に他者から存在を生かされる今に 男にしては少し苦い顔をしてみせる ] 部屋がいつもの調子なのは、忘れられないからだ。 いや、……忘れたくないのかもしれない。 [ ピアノに備え付けられた椅子に腰掛けた。 男は飾られた赤い薔薇一輪に視線を向ける ] ($67) 2019/04/14(Sun) 5:26:33 |
【妖】 古城の吸血鬼 ニクス忘却は人にのみ存在するものだから。 それから、俺が触れたくないのもある。 彼らがここで生きた痕跡を、 俺如きが穢してしまいたくない。 [ 組んだ指だけが落ち着きなく動いた ] ……その思い出が、記憶が、より胸を痛ませても。 どの子供も悪い子供じゃなかった。 中には俺の願いを叶えようとする子もいた。 結局、逃げてしまったけどね。 他には父のように慕ってくれる子供もいた。 だが、みんな帰してしまった。 残酷な望みを君達に架していると分かっているから。 [ 言葉を区切り、それから少年を見遣る ] ($68) 2019/04/14(Sun) 5:26:49 |
【妖】 古城の吸血鬼 ニクス君を特別扱いしたのは……、 その金貨をお守りと持ち歩いていた子に 君が少し似ていたからだ。 どう。少しは、殺す気になれた? [ よく見ると日に焼けたのだろうか。 赤い頬>>$58は少し痛々しい。 冷やしてやるべきだろうと彼を見つめ ] なんて。 ……君に酷い事を願っているのも理解してる。 君と俺を違うと枠組みを取り替える癖に 君に同じ所まで堕ちろと それと同義の言葉を口にしているのだから。 [ 男自身の矛盾>>$38を形にした。 困ったような眉はそのままにふと顔を上げ ] ($69) 2019/04/14(Sun) 5:27:13 |
【妖】 古城の吸血鬼 ニクス色々と、知ってくれたんだね。 出来れば君が全て知った上で、 承知してくれた上で、欲しいものだから。 ありがとう。 でも多くを見て回ったのなら腹が減るだろう。 何か、用意しようか? [ 彼が選んできた赤い果実を見て、尋ねた ]** ($70) 2019/04/14(Sun) 5:27:29 |
【妖】 古城の吸血鬼 ニクス ―日記 4頁目― [ 薔薇の花が咲く場所を教えてもらったわ。 大きな庭園にあるみたいだった。 でも全然世話をしていないみたい。 仕方がないから棘の処理をしてあげた。 掃除も全然していないみたいだからしたの。 食堂があるなら使うしかないじゃない? 村には立ち寄れないけど お腹が空いた旨を伝えたらお小遣いをくれたの。 足がないって伝えたら狼を紹介してくれた。 彼の背に跨って街まで辿り着いて沢山お買い物して、 荷物沢山に帰ってきた私をみてニクスは目を丸くしたの。 帰ってくると思わなかったんですって ] ($71) 2019/04/14(Sun) 15:17:59 |
【妖】 古城の吸血鬼 ニクス[ 私の家だから当然じゃない。 言い切ってみたら困ったように眉を下げられたわ。 本当にここで暮らすつもりか尋ねられたし そのつもりよって伝えたの。 彼は少し悩んでるそぶりを見せたけど 結局最後には諦めたように頷いたわ。 だから私も覚悟を決めたの。 ほんのり漂う血の匂いも仕方ないことだって。 夕食は二人でとったけれど 人の食事は彼には必要ないみたい。 ただこれから生活するのは困りそうだから 私が色々教えてあげないと ]* ($72) 2019/04/14(Sun) 15:18:17 |
【妖】 古城の吸血鬼 ニクス ―日記 5頁目― [ 今日は村のみんなに手紙を書いたの。 私は元気にしているって。 元から飽き性の私でもよく日記が続いたものだと思う。 でも最近サボっちゃったから、昨日の事でも残すわ。 ここの生活にも慣れてきて、 もう一月くらいは経っていると思う。 あの日から私達はいつも通り変わる事なく生活しているわ。 ニクスも流石に人は薔薇の花を食べて 空腹を満たすなんて考えなくなったもの。 一つ驚くことがあったのなら 彼、ピアノが弾けたみたい。 彼の部屋の中にある右隣の部屋を私が覗いた時、 埃だらけのピアノを見つけたの。 私が引きたがったから二人して掃除して それから私の部屋に運んでもらったのだけど 調律なんて出来るものだから驚いた ] ($73) 2019/04/14(Sun) 15:18:37 |
【妖】 古城の吸血鬼 ニクス[ 昔、少し弾いていた。 そんな彼に誰かから教わったの?って聞いたの。 彼は曖昧に笑ってばかりだったわ。 この人の悪い癖。 触れられたくないことは誤魔化す人。 ただ今日は悲しそうだから黙っておいたの。 二人してピアノを弾けば気分も少し和らぐかしら。 隣で腰掛けて白鍵を鳴らしたら、 少し驚いた顔をしたけれど拒まれなかった。 そのまま二人で一緒に弾いたわ。 困ったことに楽しかったの。 化物だなんて村のみんなからは恐れられてる人は、 私が思うより普通で、同じ人で、だから ] ($74) 2019/04/14(Sun) 15:18:54 |
【妖】 古城の吸血鬼 ニクス ―日記 36頁目― [ このまま続けばいいのに。 そう思うくらいにこの日々は楽しい。 彼は相変わらず朝は眠り続けて 昼も静かに息だけを繰り返して 夜になるといつのまにか傍らにいたわ。 曖昧に笑ってばかりの彼も少しずつ、 いろんな表情を見せてくれるようになった。 彼の知らないことを私は教えて 私の知らないことを彼は教えてくれる。 人と吸血鬼。 そんな垣根を超えても私達は変わらない。 そう思ったから伝えたら彼は悲しい顔をした。 化物は世界から嫌われているから、 神様に祝福されている私達とは違うって ] ($76) 2019/04/14(Sun) 15:19:38 |
【妖】 古城の吸血鬼 ニクス[ 堪らなくなったから抱きしめた。 死んだ人みたいに冷たい躰。 息を吸うより簡単に溢れたわ。 私はあなたが大好きだって。 だからそんなあなたが傷つく世界なんて、 私が壊してあげるって。 本当に真剣に思ったから伝えたら 彼は本当に困った顔をしたの。 それでも抱き返してくれた。 ありがとう、って ] ($77) 2019/04/14(Sun) 15:19:58 |
【妖】 古城の吸血鬼 ニクス ―日記 55頁目― [ 最近のニクスは機嫌がいい。 彼から踊りに誘ったり、ピアノを弾いたり 夜の庭園を歩いたりしてくれる。 でも、日に日に顔色が悪くなってる。 風にでも吹かれたら消えてしまいそう。 きっと食事をしていないんだと思う。 彼に伝えたわ。 でも、大丈夫だって笑うの。 随分と綺麗に丁寧な笑顔を見せるの。 薔薇の精気を吸っているから平気だって。 嘘だと思った。 だけど否定できなかった。 君と同じ人になりたいなんて そんな事を呟く彼に言えなかった ]* ($85) 2019/04/14(Sun) 16:02:50 |
【妖】 古城の吸血鬼 ニクス ―日記 84頁目― [ ごめんなさい。全部、私のせい。 シスターに手紙を書いたの。 どうすればいいって。 返事はまだ来ない。 返事はまた来ない ] ($86) 2019/04/14(Sun) 16:03:23 |
【妖】 古城の吸血鬼 ニクス夢、か。 様子を見るに悪夢じゃなくてよかった。 どうせ夢を見るなら優しい夢がいいだろう? [ 夢を見ることすら許されない環境>>$78 彼女から聞いていた村と 彼から少しずつ明らかとされる村の様子では 大きく異なっているように見えた ] 君がまるでそうじゃないといった具合だ。 [ 誰かに想われた子供の証>>$80 彼は違うというのだろうか ] 君達は知り合いだったのか? あの子から聞いていた話と君から知った話、 随分と違うような気がしてしまうけど…… [ 彼の態度は謙遜ではなく本音だろうか>>$81 ] ($95) 2019/04/15(Mon) 1:30:41 |
【妖】 古城の吸血鬼 ニクス確かに君とあの子は違う存在だと思う。 君は正しく月のようだよ。 どちらも優しいことには変わりない。 [ 励ますような言葉を向けたのは何故だろう。 落ち込んでいるように感じてしまった。 負い目を得ているようにも思えたからだ。 中途半端な微温湯を与えてどうするのだろう。 彼の答え>>$82を耳にして落胆の色は隠せないが ] 待つことには慣れてるんだ。 大丈夫だよ。 俺にはその可能性があるだけで随分…… [ 救われているから。 人に殺される事で贖罪となるかだなんて 男にとっても最早分からない。 唯の自己満足に彼を付き合わせている。 そんな自覚だってあった ] ($96) 2019/04/15(Mon) 1:31:07 |
【妖】 古城の吸血鬼 ニクス……そうかい? こう見えても慣れているから、 口にしたいものがあればいつでも願って。 それから此処にある果物も食物も、 君の好きに持っていっても構わないよ。 [ 日常を思わせる会話は眩しい程に人らしい対話であった ] ($97) 2019/04/15(Mon) 1:31:35 |
【妖】 古城の吸血鬼 ニクス[ だが、続く彼の言葉>>$84は、 化物を化物として突き落とす尤も簡単な台詞だった ] ……そうだね。摂らなくてはならない。 君が来る前に訪れた少女からも 随分と得ていなかったから。 俺は薔薇の精気だけで生きられる程 人のように愛を知った生き物ではないから。 [ 冗談、だったのか、どうか>>$90 砂の城のように溢れる音色に儚さを感じ 自然に笑う少年に何とも言えない顔をする。 泣くのを我慢する子供とよく似た表情だった ] ($99) 2019/04/15(Mon) 1:32:29 |
【妖】 古城の吸血鬼 ニクス[ その表情>>$91は彼の境遇を知り、 より深く眉を下げさせる一因となった。 彼は、要らない子として訪れたのだという。 淡々と述べられる言葉に男は唇を引き結び>>$92 事実だとばかりに言い切れた彼の過去に憐憫を感じた。 だからとても、気にしないなんて、 この男には出来なかったのだ>>$93 彼は確かに彼女と違う。 彼女は運命に翻弄されたが神に愛されていた。 その彼女の息の根を手折ったのは他ならぬ怪物だ。 彼女に何の罪もなかったのだ ] ($100) 2019/04/15(Mon) 1:32:47 |
【妖】 古城の吸血鬼 ニクス[ しかし彼にも何の罪もない。 眸の色や髪の色が物珍しい。 ただそれだけで過酷な日々を送ってきたのだろう。 それこそ男が目を背けたくなる事も 彼が息をする為には必要だったのかもしれない。 だが、それだから良いと言い切れないのは何故か ] そんなもの、答えでも何でもない。 この世に生まれて不要な命など、ない。 ……俺、は。 [ 答えられない。 顔を背けて目を閉じて口を噤もうとした。 しかし、それよりも早く彼が問うた>>$94 ] ($101) 2019/04/15(Mon) 1:33:03 |
【妖】 古城の吸血鬼 ニクス大切、大切な、もの? セレン。 そんなもの、怪物には……。 [ ないんだろうか。 今も尚たった一人の少女の死を引き摺り 彼女と同じ名を持つ少年に運命を押し付け 彼の境遇を知って尚、死にたい想いに囚われている。 そんな身勝手な男にとっての大切なもの。 男は、何故、人の真似事をしたのだろう。 考えて、考えて、考えて、 それから困ったように笑ってしまった。 自身のどうしようもなさに胸が焦げ焼けてしまいそうだった。 いいや、灼かれてしまえばよかったのだ ] ($102) 2019/04/15(Mon) 1:33:23 |
【妖】 古城の吸血鬼 ニクス同じに、なりたかったんだよ。 [ ぽつりと、独白めいた呟き。 まるで懺悔室で囁くように男は指同士を絡めた ] 君達と同じように、人のように。 [ 視線は落ちる。水の底に沈むように ] ($103) 2019/04/15(Mon) 1:33:48 |
【妖】 古城の吸血鬼 ニクス…………生きたかった、のだろうね。 私は私の中の化物を殺して、それから ……きっと、同じになって死んで、 そばに、いたかったんだ。 [ 自嘲気味に笑う男は彼にどう映るのだろう。 どうしようもない顔をしている。 だから男は自分の表情を隠すように また一つ、一つ、笑みを浮かべた ]** ($104) 2019/04/15(Mon) 1:34:07 |
【妖】 古城の吸血鬼 ニクス[ 悪夢への問い>>$105に対しては 忘れたよと嘘ばかりを重ねる。 少年の諦観>>$106に男はいよいよ同情したが、 それをどうしてやればいいか分からず ] これまでとこれからは違うだろう。 [ 彼にとって慰めとなるのかならぬのか 分からない台詞を口にした。 先程から彼は彼女と比較するような物言いばかり>>$107 ] 誰だって自分勝手だ。 だから君が選んだ答えが未来を閉ざすものではない限り、 俺に君を責める権利はないよ。 気にかけてくれるのは嬉しいけどね。 [ 彼の言葉>>$108を知らぬふりする。 しかし隣に腰掛ける彼の白い首筋に>>$110 こくりと喉奥が嚥下させてしまった ] ($116) 2019/04/15(Mon) 12:27:00 |
【妖】 古城の吸血鬼 ニクス君の言う通りだよ。 あの子にだって言われたんだ。 何であっても構わないって。 だからこれは俺のエゴなんだろう。 [ 人であり続けたいなんて、 別に誰にもそうであれと願われた訳でもない。 ただ、木漏れ日の元に生きることを許された人間に この男が情景を抱いてしまっていただけだ ] ($117) 2019/04/15(Mon) 12:27:25 |
【妖】 古城の吸血鬼 ニクスセレン。 俺は君を生贄にしたくない。 [ 頑張ると告げた彼に対して>>$112 この言葉はどのように響くのだろう。 彼の胸中>>$113を知れたのなら 何か変わったのだろうか、どうだろうか。 献身的な少年の指>>$115に双眸を眇めた ] 君の前でも人でありたいの望むのは、 強欲なんだろうか、傲慢なんだろうか。 それとも怠惰なんだろうか。 愚かである事に変わりはないんだろう。 今までだって、二度過ちは繰り返さないと 食事をする事だってあったのだから 今更なんだ。そんな事は、分かっている。 自分が飢えてしまえばどうなるかも、痛い程。 [ 淡々と落ちる声は小さく、 困ったように笑みは消えないまま ] ($118) 2019/04/15(Mon) 12:27:45 |
【妖】 古城の吸血鬼 ニクスセレン。 どうすれば正解なのだろうね。 ……困った事に、いつだって、渇いてる。 喉が張り付く程に。 それでもそれよりも心が痛いんだ。 [ 心などないはずの化物だと自負しながら囁いて。 白い柔肌から視線を逸らすように白鍵を見つめた ]** ($119) 2019/04/15(Mon) 12:28:03 |
【妖】 古城の吸血鬼 ニクス[ 引導を渡せと強請る癖、 彼に人並みの幸福をと願う矛盾>>$120を自覚する。 化物ならば殺めても罪悪感など抱かないと 男は頭の先から足の爪先まで思っていた ] 責めたりなどしない。 残念には、思うけれどね。 [ 彼が結果としてその首を撥ねたり 心臓を打つ事が出来なくとも>>$121 男はきっとこれまで通り日々を殺す ] 君にとっての初めてか。 セレン。 君は君や世界が思うよりおかしくないのにね。 [ 人とは異なる感覚を持つのは化物らしさ故か。 彼の境遇>>$121にますます不憫に思えて ] ($128) 2019/04/15(Mon) 22:50:53 |
【妖】 古城の吸血鬼 ニクスセレン。 そんな時は無理に笑わなくていいんだよ。 君にだって泣きたい夜くらいあるだろう? [ 気休めにも似た台詞を口にした ] ($129) 2019/04/15(Mon) 22:51:27 |
【妖】 古城の吸血鬼 ニクス人間と同じだろうか。 人の血を糧に生きるしかない俺なんて。 世界に憎まれているとしか。 だが、どうして君が悲しいんだろう。 [ 生贄としての価値>>$123 それが男にとってどれ程のものか判らず また霞み行き消える問いかけに対しても 男は疑問にすら思えなかった ] ($130) 2019/04/15(Mon) 22:52:26 |
【妖】 古城の吸血鬼 ニクス[ 正解なんて分からなかった>>$124 相変わらず笑ってばかりの男の背に手が伸ばされた。 男の眸は見開かれ、彼の言葉>>$125に時が止まる。 一瞬だけ。ほんの一瞬だけ。 男は薔薇の棘に刺されたような痛みを得て 血色の双眸を揺らめかせた ] ……ありがとう。 それなら、安心だ。 君なら……任せられる。 でも、あまり優しくしないで。 ……そんな価値なんてないんだ。 [ 男がたった一言返せた台詞だ。 我慢出来る時>>$126など考えたくもない。 だが、その時こそが決別の日なのだと考えた ] ($131) 2019/04/15(Mon) 22:54:18 |
【妖】 古城の吸血鬼 ニクス[ 知りたいこと>>$127 彼に問われて初めて男は彼について 知らなさすぎていることに気付いた。 初めて出会った時、彼は様々な芸当を磨いていたという。 しかしこれまでの話から不当な扱いを 受けていたように思えた ] 君に尋ねたいこと、は色々ある。 思えば俺は君がいくつかも知らないし、 好きな食べ物や、嫌いな食べ物も耳にしていない。 俺の事を知れと言うくせに 君の事を知らないのは不平等だし 俺自身も君の事を知りたいとは思う。 [ 言葉を区切ってそれから視線を戻した ] ($132) 2019/04/15(Mon) 22:54:33 |
【妖】 古城の吸血鬼 ニクスそれから、君にとって言いにくい事かもしれない。 でも、君は君が過ごしてきた村の事を どのように思っているんだ? ……君はいつも諦めたように笑うから。 だから、気になっている。 君がこれまでどのような生きてきたのか それを俺は知りたいと思う。 [ 男は同じように彼の背に手を伸ばして 結局その手は彼の長い前髪にそっと触れる ] 君の見てきた世界を聴いてみたい。 どんな言葉であってもいいから。 [ 真っ直ぐに彼の眸を見つめれば首を傾げて 促すように口許は弧を描いた ]* ($133) 2019/04/15(Mon) 22:55:59 |
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