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【人】 帝国新聞 「祝い事でしたら、月の綺麗な日が良いでしょう。」 寡黙な女が唯一零した要望はたったのそれだけ。 叶えない理由が皆無、二つ返事で日取りは決まる。 楽団が賑やかな曲を奏でる中で、 王族や貴族、司祭、彼らに仕える騎士までもが 平民たちから搾り取った税で作られた祝い酒を浴びていた。 今宵は無礼講だと言わんばかりの宴の中でも女は座った儘、 料理も酒も、一口も口にすることも無く一点を見つめていた。 「宴の後、私の部屋へ来るように。」 美酒に酔いしれた王が耳元で告げた言葉は 城内に響くことこそないが、誰もが気づいていただろう。 常日頃から彼女に触れる手つきが粘り気を帯び、 下心が隠せていない有様なのは周知の事実だったのだから。 かの王の目当ては女研究者の身体である、と。 (17) 2020/12/02(Wed) 2:36:15 |
【人】 帝国新聞 「王城 血 に染まる王族貴族含め城内■■■人全てが死体で発見 祝賀会の後の犯行か?」 「件の女研究者 姿見当たらず」 首都機能を失くした帝国は混乱の一途を辿っていた。 その国の名のみを抱えた新聞が少ない情報を知らせている。 いつしか独裁国家でまとめられていた地は細かに分裂し、 小さな田舎町が転々と存在する独立区域へ姿を変えた。 獣化人間による最強の戦争大国は、 あっけなくその幕を下ろしてしまったのである。 (26) 2020/12/02(Wed) 2:39:34 |
【人】 亡国の歴史書 一夜の内に起きた悲惨な大量殺戮事件。 一部の遺体は獣に食い荒らされたようにぼろぼろで 形さえも判別できない有様だったという。 滅びた筈の月光病患者の悪夢を呼び戻したようだと どこかの誰かは例えたのだというが、 何れ人々はこの出来事に名前を付けた。 リヴァイアサン ────── לִויָתָן この国の終焉を知らせる獣の仕業だったのだろう、と。* (27) 2020/12/02(Wed) 2:41:32 |
【人】 平民の日記今日の朝、 いくら待ってもお城の鐘が聞こえなかったわ。 朝になればいつも大きな音が響いてくるのに。 お陰でいつもその時間に 病死した母さんに祈りを捧げる習慣だったのに 少し遅れちゃったの。ごめんね母さん。 ……あ、でも今日、変なものを見たの。 お城から真っ黒で不気味な馬が飛んでいったわ。 そのまんまお空の向こうへ消えて行っちゃったの。 あれ、なんだったのかしら? (95) 2020/12/03(Thu) 19:36:18 |
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