【人】 坊っちゃん バラニ――祝祭一日目―― [ふああぁ…とベッドに寝転がったまま大きく伸びをする。 ひさしぶりの朝寝坊。 こんな時間まで寝ていられたのは彼是数か月ぶりか。 今日明日は使用人たちの殆どが暇を貰っていることもあって 屋敷の中はいつもよりずっと静かだ。 ……と、いうことにしておこう。 使用人たちが使っている棟のほうから なんだか得体の知れない香が漂ってきたり、 艶のある声が男女ともにしているなんていうのは そっと目を瞑るのが、大人というものだ] ――さて、と。 [自分で身形を整えてから食堂で珈琲を一杯。 それで朝食をすませたことにして、屋敷を出て街へと繰り出すとしようか]* (96) 2021/12/10(Fri) 23:38:00 |
【人】 坊っちゃん バラニ――ある御伽噺―― [子供たちに物語を聞かせるとき、 特に饒舌になるのは、結婚式のときの話だ。 魔王を倒した勇者と、彼に救われた王国のお姫様が 生き残った仲間たちと国民に祝福される幸福な結末。 実をいうとそのときの僕は、もうこの世にはいない。 だからそのときの光景をさも見てきたように語るのは 僕のほら吹きとしての本領発揮というかなんというか。 きっと、素敵だったのだろうなと 目一杯脳裏に夢を描きながらその光景を語り聞かせる。 誰もが純粋に、恋人たちを祝福する世界。 恋に破れた王子なんていない、そんな美しい世界 子供たちのお気に入りの物語の後は、 いつもほんの少しだけ、胸に穴があいたような気持ちになる]* (99) 2021/12/11(Sat) 0:04:15 |
【秘】 坊っちゃん バラニ → 行商人見習い ポルクス……ばかだなぁ。 僕が王子様でいられるのは、君の前だけだよ。 [僕の言葉を信じてくれる、 そんな君の前でだけ、僕は僕でいられる。 商人の息子でもなく、街一番のほら吹きでもなく ましてや、恋に破れた物語の脇役でもない。 それが、僕のなりたい僕。] (-86) 2021/12/11(Sat) 1:00:56 |
【秘】 坊っちゃん バラニ → 行商人見習い ポルクス―――。 [唐突な提案に、どうにも話題を逸らされた感じがする。 (いや、実際にそうなんだろうが) 確かに、お土産を持ってきてもらえるのは嬉しいけど。 笑顔でマフラーを差し出そうとする君に、 ほんの少しだけ、む、とした表情をするものの。 手渡されたそれをふぁさ、と君の肩に掛けて] (-87) 2021/12/11(Sat) 1:02:18 |
【秘】 坊っちゃん バラニ → 行商人見習い ポルクス[笑顔と共に首筋へ唇を寄せて、強く吸いつく。 逃すまいと背に回した腕に力が籠るのは、 どうか大目に見てほしい] もし、君が魔法使いだというのなら 僕の願いを叶えてほしい。 [唇を離せば、先程まで唇を寄せていた場所に 隠すようにマフラーをかける。 そのままこて、と額を合わせるように その紫の瞳を見つめながら] ……どうか、愛してほしい。 そして愛させてほしいんだ。 その対価は、勿論支払うとも。 [愛を得るために、 対価を支払うことを決意したのはこれが二回目]* (-88) 2021/12/11(Sat) 1:13:07 |
坊っちゃん バラニは、メモを貼った。 (a34) 2021/12/11(Sat) 1:29:56 |
【秘】 坊っちゃん バラニ → 行商人見習い ポルクス[王子様になるというより、 なれると言うほうが正しい気がする。 なんて思うのはやっぱり自分が捻くれているからか。 少なくとも昔の、君と出会う前の自分は もっと素直に自分を信じていた。 愛することを躊躇わなかったし、 自分の力で大切なものを守れると信じて疑わなかった …とそこまで考えたところでゆるく首を横に振って、浮かんだ考えを消し去った。 今、大切にしたいものは自分が覆せない過去ではなくて。 こうして目の前にいる、君のこと] (-108) 2021/12/11(Sat) 12:12:19 |
【秘】 坊っちゃん バラニ → 行商人見習い ポルクスじゃあ、君は僕のお姫様だ。 ……それとも、お嫁さんになってくれる? [少し意地悪く、冗談めかして囁けば。 返答を待つより早く身体を抱き寄せてその唇を塞いだ] (-109) 2021/12/11(Sat) 12:13:01 |
【秘】 坊っちゃん バラニ → 行商人見習い ポルクスん……。 [君について知らないこと、 どうやら他にもいろいろあったらしい。 たとえば君の吐息がかかるたび、 胸の奥が擽ったく、温かくなること。 抱きしめたその身体が、 思っていたよりも華奢で柔らかいこと。 そしてその唇が柔らかくて] ……綺麗だなぁ。 [名残惜しく唇を離したところで、 こうして間近に見る紫の潤んだ瞳がとても美しいことも。 全部、僕が知らなかったこと。] (-110) 2021/12/11(Sat) 12:15:34 |
【秘】 坊っちゃん バラニ → 行商人見習い ポルクス[ところで、忘れかけていたけれど ここは天下の往来だ] ……続きは、もう少し暗くなってからにしようか? [口の橋にかかった銀の橋を拭いながら場所を移そうと、言外に囁く。 そうして比較的人気のない路地を目線で示した] (-111) 2021/12/11(Sat) 12:16:36 |
【人】 坊っちゃん バラニ……。 [囁いた言葉に、彼の反応はどうだったろう。 にこ、と浮かべた笑みは先程の意趣返し。 に、なっているかはともかくとして] ほら、行こう? [彼に手を差し出して促してみせる]* (132) 2021/12/11(Sat) 12:17:50 |
【秘】 坊っちゃん バラニ → 行商人見習い ポルクス[歩く人混みのなか、 そっと人目から隠すようにしてその手を取れば。 恭しくその指先に口づけよう。 お姫様に、乞うように。 細かな理由なんて思い浮かばないくらい ]*今の僕は、ただ君に触れていたい (-112) 2021/12/11(Sat) 12:21:05 |
坊っちゃん バラニは、メモを貼った。 (a45) 2021/12/11(Sat) 12:23:12 |
【秘】 坊っちゃん バラニ → 行商人見習い ポルクス[君の返事を聞く前に、その唇を塞いだのは。 意地悪をしたいなんて気持ちもなくはないけれど。 でもそれよりも。 ……君がどちらを選んだとしても、 その片方だけなんて嫌だなって思ってしまったから。 僕にとっての昔の記憶は、確かにそう。 とても大事なもの。 憧れも、友情も愛も嫉妬も、涙も栄光も。 物心ついたときから傍にあった、誇らしく輝くものであり、 ――そしてそれと同じくらい、今の自分に負い目を齎すもの] (-180) 2021/12/11(Sat) 23:39:40 |
【秘】 坊っちゃん バラニ → 行商人見習い ポルクス[ねぇ、ポル。 僕は君や街の子供たちに 沢山の勇者との思い出を語ってきたけれど。 ――君にも話さなかったことがないわけじゃないんだ。 『もしも』を考えたことがなかったわけじゃない。 もし、僕に勇者たちの記憶がなかったら。 ……ううん、それよりも。 あの日の自分の願いを、なかったことにできたら。 そんな『もしも』を、想い描いたことがないわけではない] (-182) 2021/12/11(Sat) 23:42:40 |
【人】 坊っちゃん バラニ[それでも、ふと横目に見たその顔に] ……。 [あ、やばい] ……その顔は、ずるい。 [なんて、耳の先を林檎の色に染めて呟くくらいには こくんと頷くその表情が、堪らなく愛おしくて 僕が知らない君の表情に、ときめいてしまうんだ] (228) 2021/12/11(Sat) 23:50:45 |
【赤】 坊っちゃん バラニ[物陰へ入り込んで数歩先へと進んでいけば。 人目がないのを確認すると同時に、 幼馴染の唇を奪った。 おかしいな、ほんのついさっきまでは 君にただ触れているだけで割と満足だったのに。 背に手を回して、指先に唇を寄せて。 それだけでたまらなく、 幸せが溢れるような心地だったのだけど。 唇に触れる度、それを重ね合わせるたびに 鼻先を擽る吐息を感じるたびに 胸のうちに堪らなく幸福感が溜まっていく。 そうして、漸く満足して唇を離した頃には、 軽く息が上がっていたかもしれない] (*246) 2021/12/11(Sat) 23:58:32 |
【赤】 坊っちゃん バラニ……ごめん。 [幼馴染の前髪を拭うようにしながら、 指先を髪の先から頬へと滑らせる。 自分だけ、勝手に気持ちよくなっていたかもなんて、 思い至るのが本当に遅い。 ――なんというか、 こういうとき経験がないのがつくづく悔しい。 目の前の幼馴染に言われるまでもなく、 父や祖父に娼館へ行くこと勧められたり それとなく宛がわれたりもしたけれど、 そういうことはずっと避けてきた。 ――そういうことは大事な人と一緒にしたい、なんて 親に面と向かっていった日には物凄い顔で呆れられたが (いや、泣かれてたのかも。割と本気で)] (*247) 2021/12/11(Sat) 23:59:29 |
【赤】 坊っちゃん バラニ[そうやって今までゆるゆると拒んできた癖に、 いざ経験の無さを恨むのいうのもおかしな話。 だけど、腕の中に抱きしめた君の温もりを感じれば。 痛いくらい、下腹部に熱を感じる。 …どんなに心を過去に縛られていたとしても、 結局のところ、今を生きるこの身は 正直なんだと思い知らされる。 誰かを愛おしいと、 その身の全てを欲しいと思う気持ちは 恐れも戸惑いも吹き飛ばすほどに強いのだと、 ……そこまで考えてつい微笑ってしまう] (*248) 2021/12/12(Sun) 0:03:19 |
【赤】 坊っちゃん バラニ最初に言っておくけど、 気持ちよくできるかわからない。 […我ながら、すごく情けないな。この台詞] でも、君に気持ちよくなってほしいと思ってる。 ポルが男でも女でも、その何方であっても。 さっき僕が言った言葉に偽りはないから。 [大事にしたいんだと、耳朶に唇を寄せてから 背中から腰へ、それから下腹部へと指を這わせていく]* (*249) 2021/12/12(Sun) 0:06:33 |
【秘】 坊っちゃん バラニ → 行商人見習い ポルクス[ああ――そうだ。 僕の願いは。 今を生きている僕の、本当の願いは。 ……"自由になりたい" 誰に恥じることのない、 君を臆せず愛せる、そんな自分でありたい]* (-192) 2021/12/12(Sun) 0:11:19 |
(a70) 2021/12/12(Sun) 0:13:49 |
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