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【秘】 日差しにまどろむ ダニエラ → 歌い歌わせ良く見聞きし カンターミネあなたの髪に触れ湿った指先にうすらと熱が灯る。 けれどそれは女から見える蠱惑的な景色を理由としたものではなかったように思う。 ただその言葉がひとつひとつ、じんわりと胸に染み込んでいって、息が詰まる。 「…うん」 「ミネが捕まったら、尋問にこっそり食べ物持ってくしい」 「一緒に捕まったときはあ、夜通し、おしゃべりするんだあ…」 するりと衣の擦れる音がして、あなたの身体に覆い被さる。 その耳元に顔を埋めた。心臓の音が、とくん、とくん。 「約束…するの。忘れないよおに」 「ミネがいつも傍にいるって、…あたしが忘れちゃわないよおに」 やおらになだれ込むように。あなたの身体と一緒に、布団にころぶ。 「…忘れられない夜」 「ご教授、お願いしまあす」 へにゃり、と笑った。 今度は寂しさを隠すための笑顔では、なかった。 (-304) 2023/09/16(Sat) 20:11:06 |
【念】 日差しにまどろむ ダニエラヴィンセンツィオ・ベルティ・デ・マリア。 長駆の上級警部殿。 「…………“怖いおじさん”」 口の中で転がした小さな声は、きっとほとんど聞き取れない。 考えるようないとまのあと、ラザニアの残りをまた口に入れる。 「わかりましたあ。お任せしますねえ。」 「あとで前金と、今回の報酬もお送りしておきますう」 きっと前回と同じように、どちらも手早く振り込まれるはずだ。 やはりいち巡査が躊躇なく支払うには大きな額であるはずだが。 「……」 「心配事、はあ」 言い淀んだ瞳が、傍らの鞄へ向いた。 中には薄紅色のバスボムが、丁寧にラッピングされて入っている。 「…捕まらないで欲しい人がいる、くらいですかねえ。」 静かな声。続いた声は、それに比べると朗らかだった。 「お兄さんは、そういう人、いますかあ?」 (!9) 2023/09/16(Sat) 20:44:58 |
【秘】 日差しにまどろむ ダニエラ → 陽光の元で ニーノ/* こんばんは、おさとうかえでです。 よき余生をお過ごしいただけているでしょうか。 …言っておいて苦しくなりましたので、本題にさっさと移ります。 確認は、襲撃ロールの内容についてです。 先日お伝えしましたように、お手伝い権を用いて罠にはめるような予定です。 内容について運営Mさんと共にうんうん悩ませて頂きましたこととその感謝をここに色濃く残しておきます。 そこでこちらから出ました案は、 ・ダニエラが大量の食べ物を用意してニーノくんに処理の『お手伝い』を頼む ・警察はダニエラが配るからニーノくんは他のお知り合い(村のメンバー上マフィア)に配ることに ・(マフィアに食べ物をお裾分けしたあと)マフィアとの密会の疑いで拘留、逮捕 上記のような形になります。 仲のいいマフィアの方がいらっしゃることが前提になりますので、まずは提案として。 墓落ち後にも墓落ち前時空でお裾分けロールなどできそうですし、どうかな〜と。…どうでしょう? (-328) 2023/09/16(Sat) 22:16:24 |
【秘】 日差しにまどろむ ダニエラ → 歌い歌わせ良く見聞きし カンターミネ重ね絡めた指の先。 控えめに艷めく、マリーゴールドの色をしたエナメル。 「…えー。」 「知ってたよお。」 くすりくすりと、喉を鳴らして。 そう言ってしまえば恥ずかしがってくれるかなとか。 そこまで深くは考えなくとも、自分にしか見せないあなたの姿をつよく望む。 するりと素肌に滑らせたもうひとつの指先もまた同じように。 誰も知らないあなたを求めて。自分を求めるあなたを求めて。 「…うん。約束。」 「あたしも、ずっと」「ミネの傍に、いるよお」 「だから」「ミネも。」 落とす言葉に、吐息を混ぜて。 時折2人の吐息も交ぜて。 「そばに、」 ぱちんと頭の中が白んで震えて。 それでももっと、もっとと、あなたを求む。 (-336) 2023/09/16(Sat) 22:57:33 |
【人】 日差しにまどろむ ダニエラ>>66 ロメオ 「あれえ」 「こんにちはあ、お兄さあん」 よく見る顔が、全然見ない場所にいる。 遠巻きにその長身を見つけた女は、軽く手を振って寄ってきた。 …足元に何かいる。 猫とあなたと見比べた後、小首を傾げ。 「…何してるんですかあ??」 (69) 2023/09/16(Sat) 23:17:20 |
【念】 日差しにまどろむ ダニエラ名が出たことには率直に驚いて。大きく瞬いたミントブルー。 けれどその視線を少しずつ低く落としていく。 「覚悟、とかあ。」 「そーゆうの、よくわかりませんけどお…」 フォークを1度置く。 上手く言葉にできないけれど、妙な蟠りだけ溜まっている。 「自己満足とは、違うんです…よねえ?」 「自業自得だから、心配してない〜とか」 「……いやあ、ええとお」 結局、言い表せないままかぶりをふった。 ごめんなさいー、と一言置いたあと。 「母子家庭、だったんですう。」 「だからあんまり、」 「男の人の考えてる事はわからない…って、言いますかあ。」 「でも、そういうもの、なんですねえ…。」 (!11) 2023/09/16(Sat) 23:41:52 |
【秘】 日差しにまどろむ ダニエラ → 陽光の元で ニーノ/* 刻々とその時が近付いており苦しんでいます。 この情報は無料です。 承諾の旨、ありがとうございます! ご質問の件ですが、構いませんよ。ぜひぜひどうぞ! ただ何の食べ物にするかを考えきれておらず…ご希望あったりしますか? なければ、冷凍庫が蟹で埋まっていることですし、傷みやすい何か(果物とか)が無難かなと考えていたりします。 もしそちらがお渡ししたい食べ物があれば、こちらの都合は気にせずご提案ください! よろしくお願いします! (-369) 2023/09/17(Sun) 0:40:37 |
【秘】 日差しにまどろむ ダニエラ → 歌い歌わせ良く見聞きし カンターミネ――そうして。 声も、水音もいづれ聞こえなくなくなって。 微かな雨音と呼気の音だけが残されてから、暫く。 穏やかに眠る女の寝顔があなたのすぐ隣にある。 身じろぎ。擦り寄るように、肌に触れる。 「……んぅ…」 ゆっくりと、目を開けた。 そのミントブルーに映ったのは、あなたの体に残ったいくつかの鬱血痕。 女からあなたへ、あたしのひとと主張するためだけの。 必要とした証。必要とされた証。…約束の証。 満足げに目を細めて、またそっと口を寄せた。 (-386) 2023/09/17(Sun) 1:27:22 |
【秘】 日差しにまどろむ ダニエラ → 陽光の元で ニーノ/* あと20時間…… そうですね!では秋の果物詰め合わせセットをお願いすることにしましょう。 そうと決まれば始めてしまっても構わないのですが、眠いので… 明日の朝こちらから、開始の秘話を送らせて頂きたいと思います。 今後ともよろしくお願いしますm(_ _)m (-389) 2023/09/17(Sun) 1:31:08 |
【秘】 日差しにまどろむ ダニエラ → 陽光の元で ニーノ「ニーノくうん」 間延びした声が、署内でかけられる。 夕方のことだ。定時が近づき、女がいきいきとし出す頃。 「あんねえ。…ちょっとお」 「いーい?」 真面目そうな顔。ちょいちょいと手招き。 お呼び出しだ。 (-408) 2023/09/17(Sun) 6:08:41 |
【念】 日差しにまどろむ ダニエラ「……」 一瞬の沈黙。受け取ったナプキンで口元を拭う。 「お母さんは、亡くなりましたあ。」 「飲酒運転の車に、轢かれて。…でも」 「お母さんが生きてた頃から、支援してくれる人がいてくれたのでえ」 「…親孝行。親じゃ、ないですけどお。」 「その人に、してるつもり…ですう。」 できてるかはわかりませんけど、と。 茶化す素振りなく真面目な口調で言い切って。 「…ごちそおさまでしたあ。」 「ありがとおございます。用意してくれた人にも、お礼、言っといてくださあい。」 (!13) 2023/09/17(Sun) 9:58:18 |
【秘】 日差しにまどろむ ダニエラ → 歌い歌わせ良く見聞きし カンターミネ薬指へと、長めの口付け。その隣で煌めくエナメル。 女はとても幸せそうに、へにゃりと笑った。 「――あたしもお」 「…ミネ。だあいすき」 甘えた声で言ってまた肌を寄せる。 あたしの王子様。ずっと昔に、ひとりぼっちの“寂しい”から救ってくれたひと。 いつもと違う姿。頬に刺す朱はもちろん、交じり汚れたその肢体すら愛おしい。 満足するまで、なんてしてると朝が来てしまう。 だからほどほどに切り上げて体を離した。 「…ミネ。あの、ねえ。」 シャワールームへの道のさなか。 ゆっくり、女は切り出した。 「お風呂、終わったらあ。」 「マニキュア。…塗って欲しいんだあ。」 えへへぇ、と少し気恥ずかしそうに。 気付けば、左手の小指のエナメルが欠けている。 (-439) 2023/09/17(Sun) 10:36:55 |
【秘】 日差しにまどろむ ダニエラ → 陽光の元で ニーノ「んー…それが、ねえ。」 部屋の片隅で、変わらぬ真面目顔。 同じくして日頃に比べれば硬質な声音で迷うように口にして。 ミントブルーがあなたをじいと映した後。 「…なあんて。」 「ふふー。驚きましたあ?」 「実はあ、お願いが、あってえ。」 「“お手伝い”…して欲しいことが、あるんですよお。」 へらり、と笑った。 誰にもバレないように、笑顔を作るのは、得意だ。 (-443) 2023/09/17(Sun) 10:46:29 |
【秘】 日差しにまどろむ ダニエラ → 歌い歌わせ良く見聞きし カンターミネ「あはー。うん、どろどろお」 頷いて笑いながら、扉の奥へ。 暫くすると、浴室の外に、さぁと雨のようなシャワーの音が微かに響く。 また髪を濡らしてそこを出た。今度は、ふたり一緒に。 ドロドロがなくなっても、赤いしるしは消えていない。 昨日のまま置かれていた眼鏡をかける。視界は良好。 着衣を整えると、鞄から15mlの小瓶が幾つか入ったポーチを取り出した。 ベースコート、ポリッシュ、トップコート。 除光液と脱脂綿、あとは保湿のオイルも。ネイルセットだ。 「じゃあー、お願いしまあす。」 欠けたエナメルを拭い、オイルを塗布。 椅子に座るとその左手を差し出した。 ゆら、ゆらと足がふうわり揺れている。 (-452) 2023/09/17(Sun) 11:16:38 |
【秘】 日差しにまどろむ ダニエラ → 陽光の元で ニーノへらへら顔で、頷く。 怒らないよお、疲れるもん〜とは当人談。 そうやって、人々の油断を狙ってきた。 「えへへ〜、お待たせしちゃったねえ。」 「今あ、ちょっと困ってることお…あってえ」 笑顔には少し気後れする様子だ。 緩んだ口元を、一度閉める。 「……ちなみになんだけどお、ニーノくんってえ」 「警察の外にも、お友達とか、多い方〜?」 これには、少なからず「YES」に近い返答が返る。 女はそう察しつけている。 (-455) 2023/09/17(Sun) 11:36:14 |
【秘】 日差しにまどろむ ダニエラ → 歌い歌わせ良く見聞きし カンターミネ「いいよお、ちょっとくらい、歪んでもお。」 「それはそれでえ。」 けたけた、それでいて控えめな笑い声。 あんまり笑うと揺れてしまうから、すぐにそうっと落ち着いた。 「…うん。」 「………うん。」 「…………………、うん…」 毎日。どこでも。いろんな場所で。 お互いを守るために決めた、月に2度の逢瀬。 自分の立場を思えば、絶対に捕まってはならないことに変わりはないけれど。 少しだけ、怯えは減った。王子様が傍にいてくれる。傍にいたい。 左手小指に咲いた太陽の花。 艷めくそれを見つめては、目を細める。 …これで、もう、忘れない。 大切なものを、間違えない。 (1/2) (-474) 2023/09/17(Sun) 13:33:52 |
【秘】 日差しにまどろむ ダニエラ → 歌い歌わせ良く見聞きし カンターミネ「…えへへ〜。」 「ミネ、じょおずう。」 ――果報者だ。 大切なものが、ふたつもある。 ひとつはもちろん、あなた。 もうひとつは、…父親代わりの、papà gambalunga 。 そのどちらも守りたい。これからはこの小指を見る度に、そのことを思い出す。 手の甲に記した、メモみたいに。 「ありがとお、…ミネ。」 静かに、万感込めて女は言った。 そうしてまた幸福そうに、へにゃり、と笑う。 (2/2) (-475) 2023/09/17(Sun) 13:35:57 |
【秘】 日差しにまどろむ ダニエラ → 陽光の元で ニーノ「そっかあ。なら、よかったあ。」 「あんねえ、実はあ、家に大量に果物が届いてえ。」 「…冷凍庫、まだ蟹で埋まってるからあ。どおしよおって」 用意していた言葉を吐く。 間延びした声。そこでえ、と続く。 「減らすの、手伝って欲しいんだあ。」 「あの、警察のみんなには、あたしが配るからあー。」 ここまで言えば、質問の意図も伝わるだろうか。 へらりとまた気恥ずかしそうに頬をかく。 「こんな手伝いでも、いいかなあー?」 そうして小首を、こてん。 頷いちゃ、だめだよ、 それは、ただ心に浮かんで蓋をされるだけの、口にはできない言葉。 (-477) 2023/09/17(Sun) 13:55:10 |
【秘】 日差しにまどろむ ダニエラ → 歌い歌わせ良く見聞きし カンターミネ「ふふー。だいじょおぶう。」 「だあれも気にしないよお。」 母が亡くなってから、家はひとり暮らしだし。 そうして頬に触れた指先に面映ゆさを感じはにかんだ。 「…じゃあ。ミネ。」 ――大切な、あたしの王子様。 「いってきまあす。」 ひらりと手を振り、立ち去る指先に。 塗ったばかりのマリーゴールドが、煌めいていた。 あたしが、まもるよ。 …絶対に。 (-497) 2023/09/17(Sun) 15:29:16 |
【秘】 日差しにまどろむ ダニエラ → 陽光の元で ニーノ女は。 「そっかあー。頼りになるう。」 笑顔のあなたに。その首肯に。 さも嬉しそうに、へらりと笑った。 誰にもバレないように、笑顔を作るのは、得意だ。 「もちろん、ニーノくんの分も、いいよお。」 「じゃあ、今日仕事が終わったら、家に呼ぶねえ。」 「ほんとたくさんだからあ、覚悟しててえ。」 暢気そうな声でそう言って、この場は一先ず解散。 定時の後、「それじゃあ行こっかあ」と女はあなたに声をかけただろう。 (-501) 2023/09/17(Sun) 15:35:54 |
【影】 日差しにまどろむ ダニエラ子どもの頃から、あまり思いを顔に出さない方だった。 だけど、笑おうと思えば笑うことだってできる子どもでもあった。 行ってらっしゃい、とか。 大丈夫だよ、とか。 そういう特技がこの日常に活きているんだと思う。 活きていたんだと、思う。 気付くとこの笑顔が本当なのか嘘なのか自分でもわからなくなっていて。 そのことに気付いたその日から、少しずつ、狂っていっていたんだろう。 (&0) 2023/09/17(Sun) 15:36:22 |
【秘】 日差しにまどろむ ダニエラ → 陽光の元で ニーノ「あー。うーん、取締法〜?」 目的地は、そう大きくもないアパルトメント。 街中を少し歩いて、そう遠くない距離にある。 「パオロさんも、逮捕されちゃったんだっけえ?」 「…あんまり話したことなかったけどお、本当にマフィアと繋がり、あったのかなあ。」 そんなことない、パオロはただの真面目な巡査。 今頃何をしているかなんて、考えない方が絶対にいい。 「…とか言ってたらあ、あたしたちも捕まっちゃう?」 「繋がりがあったって、信じるしかないよねえ。」 「どんなに強引でも、それが決められたことなら」 「あたしたちは守らないと、だしい。」 「…やっぱり、あんまり考えすぎると、苦労するよお。ニーノくん。」 ね、と顔を覗くようにして笑いかける。 誤魔化す意図も込めて。だって、歯が浮くような台詞だ。 先日、あなたと同じ話をした時にも感じたこと。 その法を、女は悪用しようとしている。 (-509) 2023/09/17(Sun) 16:27:40 |
【人】 日差しにまどろむ ダニエラ「あー。ありますよねえ、そういうことお。」 「ついつい美味しそうで、買いすぎちゃってえ。」 なんの騒ぎだろう、と寄ってきた女。 どうやら見ただけで全てを察したらしい。 したり顔でうんうん、頷いている。 #警察署 (80) 2023/09/17(Sun) 17:23:17 |
【秘】 日差しにまどろむ ダニエラ → 陽光の元で ニーノ「…んー。そっかあ。」 そういうところも含めて、「苦労する」って、思う。 それと同時に好感を抱く。 そんな不要なものは、見ないふり。 「えらいねえ。ニーノくんはあ。」 「…あたしは、んーー。」 軽く、眉を寄せる。口尖らせて、その間、革靴が床をたたく、たたく。 「やっぱり、我が身がかわいいかなあ。」 それは、混じり気のない本心。 あの法案に捕まる訳には、絶対にいかないから。 「…幻滅、したあ?」 角を曲がる。往来を1本、離れていく。 (-526) 2023/09/17(Sun) 18:25:14 |
【人】 日差しにまどろむ ダニエラ (90) 2023/09/17(Sun) 18:39:14 |
【人】 日差しにまどろむ ダニエラ>>89 ロメオ 「はあい。せーかいですう。子供舌のお。」 へらりと笑う。 そうしてもう少し近寄――ろうとして、足を止め。 「あー。」 「あたしはあ、お仕事中でえ…。」 「……お困りなんですねえ。」 何となく、時勢柄職業を口に出しにくい。 誤魔化すつもりで話を戻して、うーん、と唸る。 「あー。そうだあ。」 「ちょっと、待っててくださあい。」 にこりと笑うと、その場を離れた。 暫くすると、ビニール袋を2つほど揺らして、戻ってくるだろう。 そのうち1つの中身は猫缶だ。取り出してみる。 (91) 2023/09/17(Sun) 18:55:06 |
【秘】 日差しにまどろむ ダニエラ → 陽光の元で ニーノ陽だまりのような笑みに、言葉に。 眼鏡の向こう、ミントブルーが2、3度瞬く。 「…お母さんは」 「どおだろおねえ。」 在りし日の母を思い返せば、きっとそれでいいと言ってくれる。 今の自分を、肯定してくれる。 だから悩むように思い浮かべたのは別の姿だった。 リスクを嫌う人だった。それでも、と女は自分の意思でここまで来たけれど。 「わかんないなあ。」 「今度お墓参りのとき、聞いてみよお。」 笑いかけると、考えたことを横に置く。 遠くにアパルトメントが見えてきた。あそこだよお、と指さして、てくてく。 鍵を挿して捻る。解錠の音がした。 「ちょっと待っててえ」 振り返り、半分開いた扉の向こう。 たくさんのダンボールが積まれた部屋が、ちらりと見えた。 (-543) 2023/09/17(Sun) 19:42:51 |
【影】 日差しにまどろむ ダニエラ――躊躇。 しては、いけない。 ここまできたら。もう。 ううん。ここに来る前から。 あの人との関係に気付かれたかもしれない時点で 。(……ごめんね) それは、音にしてはならない言葉。 後ろ手に閉めた扉の奥で、ひとり、口を引き結ぶ。 (&1) 2023/09/17(Sun) 19:43:02 |
【人】 日差しにまどろむ ダニエラ>>93 ロメオ 「おー。作戦せいこーう、ですねえ。」 がさがさ。袋の音を立ててしゃがみ込む。 開けた缶を地面に置いた。 ゆっくりと離れて、あなたの掛けるベンチの傍へ。 「…改めましてえ。」 「ご無事で何より、ですー。」 大袈裟だ。 あなたは猫にまとわりつかれていただけのはずである。 楽しそうにへらりとした顔で言って、もうひとつの袋の中身を取り出した。 カップのコーヒー。 蓋を開けると、ミルクと砂糖はとっくに溶かされているらしい。 つまり、おまけだ。 (96) 2023/09/17(Sun) 20:54:39 |
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