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【教】 聖女 リッカ静かに聖女は笑んでいる。 細めた瞳にはやっぱりあなたをまっすぐと映して。 「 ――― 知ってるわ 、ファリエ 」 りん、と。澄んだ声。 祭りを回りたいと口にしたあの時と同じように、 口許には含むようないろ。 「 ファリエだけじゃない。 みんな 、みんな、そう。 帰りたいって 、そう言うの 」 聖女はぜんぶ、知っている。 だからこそ、笑っていることができる。 澄み切った冬の空の下。同じ色の、瞳で。 (/2) 2024/02/03(Sat) 16:33:21 |
【教】 聖女 リッカ「 ねえ ファリエ 」 「 なのに、どうして そんなことを聞くの? 」 だけど。 知っていることと、 わかる ことは別の話。「 帰らないでって そう言ったら 帰らないでいてくれるの? 」 訊ねているようで、その実何一つ訊ねていない。 "そんなはずない"って、聖女は思っているのだから。 (/3) 2024/02/03(Sat) 16:34:09 |
【教】 聖女 リッカ「 ――― なら ね 、いいんだよ 」 そう笑う口許に浮かんだ"含み"は "あきらめ"によく似ている。 「 でも 最後におまつりだけ 一緒に まわりましょう? 」 ――― 聖女はそう、無邪気に笑った。 それが自然で、当たり前のことだから。 いままでだって、みんなそうだったんだから。 (/5) 2024/02/03(Sat) 16:37:36 |
【教】 聖女 リッカ…… どうして ファリエが謝るの? そのことだって わからない から、聖女は首をことりと傾いで。けれど結局口にはせずに、いつものようにまた微笑んだ。 だって、それは普通のことなんでしょう? この世界が嫌いだからとかじゃ、ないかもしれないけど。 転生者のほんとうの居場所はここじゃないから。 そして、ほんとうの居場所から連れ出したのは、他でもない聖女なのだから。 ―――全部、胸に伏せた。 口にしない方がいいことが、往々にしてこの世にはあるはずだから。 (/8) 2024/02/04(Sun) 17:35:58 |
【教】 聖女 リッカ「 わたし 優しいかしら? ふふっ 、そうかしら! 」 すとんと地面に足をつけ。 上機嫌にステップ踏んで、くるくる回る。 その足元に矢張り影はないけれど、はしゃぐ姿は子どものそれで。 「 面白い出し物? 知らないわ! どんなものかしら 気になるわ わたし! 」 けれどその姿すら、見えるのはあなたにだけ。 ――― ううん。今この時に限っては、他の人達には、あなたと同じ色の髪をした小さな子どもに見えている。 そんな話を、街中へ向かうさなかあなたに告げた。 「 姉妹みたいに みえるかしら 」なんて無邪気に笑っているけれど、あなたの目に映る姿はいつもと変わらぬ聖女のリッカのままだ。 (/9) 2024/02/04(Sun) 17:36:54 |
【秘】 番犬 グノウ → 聖女 リッカ「待ち合わせを一日の早い時間にしていいか聞くマーサちゃんと 予定がまだ未決定であることを強調するカリナちゃんやります。 マーサ『まぁ朝?』 カリナ『仮な』」 (-83) 2024/02/04(Sun) 23:34:58 |
【教】 聖女 リッカ「 たからもの …… 」 反芻ののち、またくすりと笑う。 聖女本人も知らない、聖女の宝物。 ううん、それだけじゃなくって。 「 ――― まあ。 わたし 王冠に祝福したことなんて ないわ、 にせもの にせものよ これ !」 ……正確には、聖女を祀る神殿が祝福を施した可能性はあるのだけれど。 そんなことまで思い至らないものだから、だまされちゃだめよ、なんてお姉さんきどり。 それでも。 「 …… お姉ちゃん …。 …… ふふっ、ええ !今日は たくさん遊びましょうね! ファリエお姉ちゃん! 」今日の妹は、こちらの方。 ぱたぱたとはしゃいで、それでもあなたの傍を離れないまま。 ふたりで祭りの喧騒をあちら、こちら。 (/12) 2024/02/05(Mon) 10:08:34 |
【教】 聖女 リッカ…… たからもの。 そんなものがもしあるのだとしたら。 聖女にはひとつだけ、浮かんだものがあったけれど。 やっぱり口にしないまま、ただただ無邪気に笑いかけていた。 だってそのたからものは、この手を離れてゆくかもしれない。 その方がしあわせなのかもしれない。 ―――そう思えばこそ、口になんてできるはずもなかった。 (/13) 2024/02/05(Mon) 10:09:15 |
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