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【赤】 救いなんていらない マオ躊躇いがちにも正直な欲望を告げるレグナにくす、と笑む。 わざわざ言わせるでもなく、蜂蜜色はもう欲に染まってる。 だけど、マオはあなたの言葉がききたかったのだ。 「レグナは愛いやつじゃ……♡」 あなたの下着に手をかけてするりと脱がせると、指先で直接熱に触れて、生き物でも愛でるかのように指先で弄び始める。 目の前にいるレグナは、こんな行為自体がはじめてだろうな。 これが最後なら── おまえのはじめてをぜんぶ、ぜんぶ奪ってしまいたい。 「きょうは、特別じゃ。マオ様が今まで…… いつものレグナにだってこんなことなど、したことないのじゃぞ……? 」どうじゃ、うれしいか?とでも言いたげだ。 は、と熱い吐息があなたの熱にかかるほど、近づいて。 「……ん……」 ちゅ、と先っぽに口づけた。 ▼ (*1) 2024/04/13(Sat) 2:50:42 |
【赤】 救いなんていらない マオもちろん、それだけじゃ終わらない。ちゅ、ちゅ、とくちづけの音をわざと立てながら、ついばむように何度もくりかえす。 そうしてあなたの反応を見ながら、濡れた舌を這わせはじめた。 レグナはどこを責められるのがすきだろう。 まずは探るように鈴口をちろちろと刺激して、裏筋をつぅとなぞり、汗が混じっているであろう密を舐めとった。 「レグナのまら、おっきくてすきじゃ……♡」 ご褒美でももらったかのように、恍惚と笑みを深める。 そして、いつもよくしゃべり、たくさん食べるそのおっきな口を開けはむ、とレグナの熱を咥えた。 「…… ふ……っ、ん、 ……んんっ……」生温かい口内いっぱいに頬張る。まだ奥までは咥えきれずに先の方を責め始める。唾液と密を絡ませて舌先で転がし、上下させた。 (*2) 2024/04/13(Sat) 2:59:06 |
【赤】 救いなんていらない マオ「……ん、 ふっ……ちゅ…… 」目を丸くするレグナを上目で見つめながら、嬉しそうに目を細める。 面白いくらい脈打つ熱がぴくりとするたび、言葉にならない鼻にかかった甘い声が「ん」と返事をするような、気持ちい?と尋ねているように小さく漏れる。 ふわふわと揺れる髪を、耳にかける仕草をすると。 じゅる、じゅぽ、くちゅ、ちゅぷと淫猥な音を響かせ、マオの口に、レグナの熱が吸い込まれていく。だんだんと大きくなっていく熱が喉の奥をつつくと、少し眉を顰めて苦し気にしながら。歯を立てないように顔を動かし、舌を躍らせたくさん奉仕する。 ぷは、と一度口を離すとぬらりとした密がマオの口に繋がる。 それを拭うのもわすれて、半開きの口から吐息が漏れている。 「はぁ、……は、……どうじゃ…… わし、けっこうじょうずじゃろ……?」 密とマオの唾液が絡んだ密を、さらに手で弄びながら ▼ (*5) 2024/04/13(Sat) 20:30:35 |
【赤】 救いなんていらない マオ「まだ、だしちゃダメなのじゃ……」 マオはそのまま膝を立てて立ち上がると、レグナの熱を自らの秘部にあてがい、ゆっくりと体重をかけ静めていく。 「……ん…… はっ……ぁ ……」あなたの上に跨ったまま両手を伸ばし、指を絡めるようにしてレグナの手を握る。こっちにきて、と、訴えるように、離れていかないように。 半分ほど、熱が体内に入ってきたところで、ずん、と一気に体重をかけて奥まで挿入させた。初めてしたときよりも、ずっと奥に当たる感覚にびくんっとマオの体が跳ねる。 「あっ…… ぅく、…… はぁっ……レグナ……っ」繋がったまま、浅い呼吸を繰り返して、倒れるように、あなたと密着するようにうつ伏せになって胸に顔を埋めた。マオはしがみついてあなたを離さない。 「ほれ、レグナ……マオさまを喜ばせる番じゃ…… いっぱい、いっぱい……愛してくりゃれ……」 濡れた若草色が、物欲しそうにも切なげにも見える視線で、蜂蜜色を見つめた。 よくばりなマオは、きっと何度もあなたを欲しがって。 とっぷりと日が暮れてしまうくらい、時間を置き去ってまぐわいを続けるだろう── (*6) 2024/04/13(Sat) 20:33:12 |
【赤】 救いなんていらない マオマオは一糸まとわぬ姿で、くたりと横たわり貴方を見つめている。そのくるくるのやわらかな髪をやさしく撫ぜ、薄暗い照明の光に反射して飴色にきらきらと輝くそれを、目に焼き付けるように。 「おまえこそ、はじめてのえっちはきもちよかったか?」 質問に質問で返す。 体を寄せ、脚と脚を絡ませ、手を握り……くっつけるところ全部くっつけて、磁石みたいだ。マオだってくたくたなのは同じ。これ以上する気力はないし、むだな抵抗だってわかっている。 (*10) 2024/04/14(Sun) 4:15:18 |
【赤】 救いなんていらない マオ「なんだって?……声が小さすぎよく聞こえんのじゃぁ マオさまを褒める時は大きな声で言え」 にやにやしながら耳を近づけて澄ます。 レグナ専用磁石がもおっとくっついた。全裸で。 もちろん答えなくていいし、仕返しにいたずらしてもいい。 (*12) 2024/04/14(Sun) 12:56:24 |
【赤】 救いなんていらない マオ「 むにゃあ…… なにするのじゃぁ……」やわらかほっぺがむにぃっとのびた。あまり痛くない。 マオはからかいが成功してまんぞくげだ。 「渡した? どれのことじゃ……? レグナにはたくさんもらったのじゃ」 レグナの手が離れる前にその上から手を重ねる。 すりすりと頬ずりして、あなたを見つめた。 「……いっしょにカードであそんで わしが勝ったご褒美のことかのう……」 そういえば、同じことをしようとしてトランプをみつけたのに結局ゲームはまだやってなかった。 「レグナは、レグナをくれたのじゃ」 説明をかなり省略した。 最終的には、そういうことになったのは確かなのだが。 (*14) 2024/04/14(Sun) 13:55:47 |
【赤】 救いなんていらない マオ「……だって、なにかをくれるという約束じゃ…… あの生活が終っても、俺が遊びに行く……とか、言うから……」 つんと口をとがらせて、視線をあちこち。 珍しく照れているように見える仕草。 「独り占めしたくなった」 「だから、レグナはわしのじゃ」 おまえも「わかった」と言ったとボソボソ言う。言質も完璧。 マオは重ねた手に指を絡めると、しょんぼりした瞳で見つめる。 「……………のう、レグナ………」 「おまえも、遠くに行かなきゃいけないって どこに、……行ってしまうのじゃ? マオ様もいっしょに行けないのか……?」 (*16) 2024/04/14(Sun) 20:30:53 |
【赤】 救いなんていらない マオ「…………レグナ……?」 あなたの言っていることが、やっぱりマオにはわからない。 でも、ふと蘇ったのは "この世界が夢だと考えたことがあるか" そう聞かれた時のことだった。まさか。そんなはずがない。 「……なぜじゃ。なぜ会えないとわかる。 外……? 外とは………?」 「………あの世とか、言わないよな………?」 外の世界と死の話を出されてしまえば、思わずにはいられなかった。 ▽ (*19) 2024/04/15(Mon) 4:57:45 |
【赤】 救いなんていらない マオ「……レグナのことは、信じるのじゃ……。 だから、マオ様にもわかるように教えてくりゃれ」 あなたの瞳を不安げに、だけどまっすぐ見つめる。 「どうして、外じゃなきゃダメなのじゃ? ずっと、ここにいたほうがしあわせじゃろう? マオ様とも、かぞくともいっしょではないか」 むぎゅう、としがみつく。あなたの体温があったかい。 この世界はまさに夢のような、なんでもかなう幸せな世界だ。 なぜ外に行きたいとおもうのか、納得できる理由がほしい。 「わしは、死にたくなどはない…… でも、おまえと一緒にいられないのも、やじゃ」 「死んだら、終わりなだけじゃ。さみしいだけじゃ」 消え入りそうな声がぽつり、落とされた。 おまえに嫌われた世界で生きるなら おまえがいない世界で生きるなら おまえの手で殺されたいなんて、愚かな考えだ。 (*20) 2024/04/15(Mon) 5:00:02 |
【赤】 救いなんていらない マオ「………え………?」 「ここは望み通りずっと幸せに生きれる場所ではないのか? わし、不老不死だし……1000歳じゃし………… それがウソだと、偽りの幸せだと言うのか……?」 「…………ぅ…………」 マオも元はそれを知っていたような、そんな気がして。 でも思い出したくないことがあるような気もする。 頭が痛くなる。ぶんぶんと頭を振って誤魔化した。 都合の悪いことは忘れ、ここが夢だと気づくことができないマオには──今まで仙人として生きてきた記憶のあるマオには疑いようがないこと。信じられないようなことだ。 だけど背中に伝わる震えにこれは本当だと訴えてくる。 「なぜおまえには、それがわかるのじゃ?」 あなたの背中に手を回して、すり、とやさしく撫でる。 (*22) 2024/04/15(Mon) 21:31:30 |
【赤】 救いなんていらない マオ「や!」 突然話を遮るみたいに、大声を出した。 「……ぅ、うぅ……」 「もういい、もうききたくない……」 自分から問いただしたというのに、マオは自らの手で耳を塞いだ。 ▽ (*24) 2024/04/16(Tue) 6:49:24 |
【赤】 救いなんていらない マオ「今まで……今、レグナがマオ様をたくさん愛してくれたのは、」 「幻じゃない?」 絞り出した声が震える。 「わしの都合の良い、夢?」 問いかけは、留まることを知らない。 聞くのが怖くて、耳を塞いだまま。 ちがうって、言って欲しいのに。 ちがうって、言ってくれてもそれも都合のいい夢かも。 「帰ったらぜんぶ夢だったで、おわり?」 もしそうなら、ここで抱いた感情やたいせつなものは偽物か。 マオは顔を覆って、体を丸める。 おなかの中で眠る胎児みたいな姿勢。 どうして今いるここは"しあわせな夢"のはずなのに こんなにくるしい思いをしなければいけないのだろう。 ▽ (*25) 2024/04/16(Tue) 6:52:08 |
【赤】 救いなんていらない マオ「レグナのば〜かぁ〜〜〜……」 「……………」 また大声で泣き出す勢いで声をあげたところで 急にぴたりと止まって、うずくまったままぼそぼそと話す。 「……でも……」 「おまえ以外のしもべと、おまえは違うのじゃ。 ぜんぶぜんぶマオ様の思った通りにはなってないのじゃ。 だって、もしそうなら……」 「レグナは今頃もっとマオ様をかわいがってくれるし。 いっしょに住んで、お世話をしてくれるし おいしいメシやおやつをもっといっぱいくれるし 文句言わずにずっとずっと遊んでくれるはずだし マオ様すきすき愛してるっていっぱい言ってくれるし」 「マオ様を置いて遠くに行くなんて言わない」 顔を上げてあなたをぼんやりと見つめる。覇気のない瞳。 「忘れたって、レグナがいなくなるのは変わらない。 ……ここにいると死ぬと言うが、わしにとっては おまえが向こうに行くのもおまえが死ぬのとそう変わらん」 マオはおもむろに起き上がると、勝手にレグナの上着かシャツを素肌に羽織り、ぺたぺたと足音を立てて隣の倉庫へ消えていった。 ▽ (*28) 2024/04/16(Tue) 13:11:17 |
【赤】 救いなんていらない マオ──かと、思えばすぐにもどってきて ベッドに向かうわけでもなく、ただあなたを前に突っ立っている。 だぼついた袖の奥になにかを隠して。 「なあ、レグナ………わし、気付いたのじゃ」 「こんなに幸せな夢を見せてくれるってことは きっと別の世界のわしたちは今より幸せではないのじゃ」 「目覚めて、生きていたとしてもひとりぼっちかもしれない。 面倒な人間関係というやつに縛られるだけかもしれない。 もう寿命が、残り僅かかもしれない。 そもそももう既に死んでいて、魂になった存在が 終わらない夢を見ているだけかもしれない。 ここから出たら本当に永久の終わりが来るかもしれない」 マオはぽつぽつ、淡々と語り始めた。何かを悟ったみたいに。 「……そもそも、人ですらないかもしれない」 (*29) 2024/04/16(Tue) 13:12:31 |
【赤】 救いなんていらない マオ「…………謝るな!」 必死で縋りつく自分が哀れで、惨めじゃないか。 マオは突然あなたの胸に飛び込んで、ひしと抱き着く。 「人間はなぜ苦労するほうを選ぶのじゃ?」 そういうものが美しいとでも思っているのか。 信念かなにかなのか。マオにはよくわからない。 愚かだとマオは思うが── 今自分がやろうとしていることのほうがよっぽどだろう。 「都合の悪い事、嫌な事、思い出したくない事がある世界に わざわざ戻る必要なんてないのではないか?」 「そんなに、その約束が……だいじなのか?」 すり、と胸元に頬をすりよせる。甘えるように。 手を背に回した、袖の奥でなにかがきらりと銀色に光っている。 ──ナイフだった。 マオは引き剥がしでもしなければあなたには見えないだろう。 (*32) 2024/04/17(Wed) 1:32:13 |
【赤】 救いなんていらない マオ「そうか、レグナがそこまで言うなんて思わなかった。 本気なのじゃな。おまえのことだからきっと やさしい願いを抱えているのじゃろう……」 「レグナはえらくて、いい子じゃ」 そっと、鼓動を確かめるように背中を撫ぜる。 慈しみにも、最後を惜しむようにも似たやさしい手つきで。 そう言いながら笑む表情は、あなたの胸にうずまり見えない。 「わしは、おまえのそういうところもすきじゃ」 あなたに幸せになってほしいと願ったのは遠い昔。 今やあなたに依存しきってしまったマオにはもう及ばない考え。 自分よりも大事なものがあることに妬ましさすら覚えた。 マオは顔を上げて、 若草色の瞳 であなたを見つめる。狂おしいほどの愛欲と 憧憬 の炎をその奥に宿して。「わかったのじゃ。譲れないというのなら仕方ない」 ひどく穏やかな声で囁いた。 諦めにも、悟りにも聞こえるような声色で。 マオは逆手で持ったナイフをぎゅ、と強く握りしめた。そして── すぐに死んでしまわぬよう、急所からはややずらして 抱きしめるように、あなたの背中に突き立てた。 ▽ (*34) 2024/04/17(Wed) 15:18:27 |
【赤】 救いなんていらない マオ「それなら、奪うまでじゃ」 あの頃のレグナが悪役だとするのなら。 今のマオはあなたにとって悪魔の使者に違いない。 (*35) 2024/04/17(Wed) 15:26:24 |
【赤】 不吉な黒猫 マオマオはナイフを引き抜く。 溢れてきた温かい液体が真っ赤に手を汚した。 すぐには殺さない。あなたがどこにもいかないように。 痛みで縛りつける。放っておけばいずれは出血多量で死んでしまうだろうが。 「レグナ、」 マオは、あなたの瞳をじっと見つめたまま愛おし気に微笑む。 あなたはまだ動けるだろうか?逃げようとするだろうか。 動く様子がないようならそのままベッドに押し倒し 動こうとするのならもう一度、逃げる気が起きなくなるまで 赤く、銀色に光るナイフが腹へ向けて突き立てられる。 (*38) 2024/04/17(Wed) 21:59:17 |
【赤】 不吉な黒猫 マオ「えらくて、いい子のレグナはずっとわしのじゃ どこにも行かせないのじゃ……」 そのままあなたの上に跨るようにして乗っかり、うつ伏せになる。 ぎし、とふたりの重さでベッドが軋んだ。 血まみれの手であなたの髪や頬をそっと撫でてやる。 マオが夜中に勝手にあなたの布団に潜り込んだ時のような光景。 ──血みどろなところ以外は。 「レグナ……震えているな。 大丈夫じゃ……痛くて苦しいのは今だけ」 震えるその手に指を絡めてぎゅっとにぎる。 ナイフを持ったままの片手を、自分の首元に宛てがう。 「……おまえとさいごまでいっしょなら さみしくないから良いのじゃ……」 ああ、でも。 夢の中で死んだら……どうなるのだろう。ぼんやりそう思ったときにはマオは既に自身を斬りつけた後だった。 ▽ (*40) 2024/04/18(Thu) 17:14:53 |
【赤】 不吉な黒猫 マオ「……っぐ………」 鮮血が、あなたの服を、マオを染める。 ナイフが傍らに落ちて。マオはあなたの上に倒れた。 「…………どうせ……わしがおまえといっしょに…… かえっても………… 長く、ないし………… 」だって、年老いた猫なんだから。 「……がっ……げ、ほ……っ……」 年老いた猫を夢と同じように愛してくれる ニンゲンなんていないだろう? (*41) 2024/04/18(Thu) 17:15:40 |
【赤】 不吉な黒猫 マオ「……っ……ぐ、な……」 もはや、声よりも血の出る量が多い。 もうどくどくと溢れる血は止まらない。 それでも、マオはあなたの名前を呼んで、さいごの力を振り絞って顔をあげ、あなたにへたくそなくちづけをする。 もう、血のにおいしかしなかった。 「……、…………」 あなたの声はまだちゃんと聴こえた。 こんなことをしても、ゆるしてくれるのだろうか。 涙が溢れてくる。 あなたと同じように口元を笑みのかたちに歪める。 やがて、血の気が引いて、意識が朦朧として 握った手に力が入らなくなってゆく。 自らの意思で死を選べる生物は人だけと言われている。 だからマオにはこの行為は夢の中でしかできない。 最初で、最期のレグナへの愛情表現。 ▽ (*44) 2024/04/18(Thu) 20:53:16 |
マオは、最期にそう言って、眠った。 (a1) 2024/04/18(Thu) 20:56:35 |
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