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【秘】 悪食 キエ → 逃亡者 ポルクス「そうそう、其れで良い。停滞するよりはずっとマシだからねェ? じきに夜が来る。月でも見ながら荷造りでもしていなさい」 キエは嘘吐きであるし気軽に騙るが、不要な嘘は吐かない。此れは間違い無くキエの在り方である。 「君達がね、そうして歩き続ける内は……僕ものんびりできるのさ」 夢の旅路は終演を告げる。すっかり組み替えられてしまった船は崩れ、骨さえ土に還っていく。 そうして理は巡っていく。 ────次に目を開けた時、きっと貴方の見る景色には月が在る。 (-30) 2021/10/24(Sun) 13:52:19 |
【秘】 逃亡者 ポルクス → 悪食 キエ「何もしないでも帰れてしまうのかい? それならしばらく……この桜に背を預けて眠ってしまおうか」 静かに目を閉じる。 次に目を覚ました時は、数日ぶりの夜がくるらしい。 「君には色んな顔があるんだね。 探偵であり、船乗りであり……死神でもあるということ? 一つの呼び方にまとめるとしたら……導き手だろうか。 うん……悪くないね」 その言葉を最後に、意識は落ち。 眠りを迎えた。 桜を通して兄に自分の気配が伝わったかどうかは知らないが。 さよならと。 いつか伝わればいいと思った。 (-31) 2021/10/24(Sun) 14:42:44 |
【人】 逃亡者 ポルクス>>5 チャンドラ 「あぁ、まずはこの神隠し状態の場所から帰らないことには、俺と君の殆ど二人きりで一生を過ごすことにならないかい?」 神隠しにあってなお、見える人も居ることをこのときの自分は知らない。 あなたの考えとは少々違うことを言っていたが、返事を聞いていると合点がいったように頷く。 そういう意味合いとしても、帰ったほうが良いだろうことは当然ではあるが。 「君は帰らないと本来の力が出せないんじゃないの? 力も出せず飢えと戦いながら館に居続けたいというのならそれも悪くはないかもしれない」 それなら、自分も館に居続けるのも悪くないと思う程度には、選択肢として無いとは思ってないようだ。 「……旅をして、あまりに暇で夜とつながりを持つ方法を探すのも悪くないかと思ったけど……君がいないなら探す意味はなさそうだね」 (7) 2021/10/24(Sun) 16:23:42 |
【人】 逃亡者 ポルクス気がついたらそこにはもう桜の木がなく。 館の中庭の隅だった。 高い塀の前には、何もない。 「…………これは、帰ってきたってことかな」 さっきまで一緒に居て、見える人を探しに行ったチャンドラはどこに行っただろうか。 ここか、俺の部屋でとのことだったから、待っていればここに彼女が来るかもしれないが。 「………。帰ってきたなら、俺の役目は終わりかな」 約束を果たす必要すら、ないかもしれない。 結局自分が得たものは、ただの記憶だけだ。 (56) 2021/10/26(Tue) 1:33:59 |
【人】 逃亡者 ポルクス―――夜がきた。 兄は桜とともにどこかへ去ってしまった。 では、自分は一体どうやってこれから生きていこうか。 追われることがないならば、国に帰らなければ。 あまり長くは国を空けていられるような身分ではないのは確かだから。 でも、心に穴を開けたまま傷つくのなら 此処でもない、国でもない何処かへ消えてしまいたい。 そんな風に思う。 この身に温もりはないまま、宛もなく歩いて。 それから、と。 (70) 2021/10/26(Tue) 17:25:52 |
【恋】 逃亡者 ポルクス手には1枚の 桜の花びら 。花びらからの呼びかけには応えない。 応えることがどうしてできようか。 下らない夜の隅っこで、誰かと、誰かと、兄の記憶を辿っている。 (?1) 2021/10/26(Tue) 17:26:45 |
【人】 逃亡者 ポルクスここに残るも外に出るも自由のようだから。 俺は外の世界に戻ろうかとは考えている。 なにもないと考えすぎてしまうから、想いの忘れ方を探し彷徨うしかないだろう。 だけど、その前に。 ひどいことをしてしまった少女に、謝りくらいはしていくべきだろうか。 そんな事を考えながら、少年のように振る舞っていたあの少女を探し館を歩いた。 (71) 2021/10/26(Tue) 17:27:18 |
【神】 逃亡者 ポルクス>>G11 チャンドラ 「戻ってこれて、夜が来て良かったね。 君の嬉しそうな顔が見れて俺も嬉しい」 俺はなんの力もないただの人間だ。 だから同じように浮かんだり、特別な力を使ったり、ましてや死者に干渉する力なんてありはしない。 自分にあるのは、ただ、王に愛された子であるという肩書だけだ。 弱っていた姿は何も恥ずかしい姿ではないだろう。 それは仕方のない部分なのだから。 けれど、今の姿は弱っているときよりも美しいということだけは確かな話だ。 「今はもう皆が君の姿が見える。 一度落ち合う約束はこれで果たしただろ、皆のところへ行っておいで?」 (G12) 2021/10/27(Wed) 21:43:35 |
ポルクスは、チャンドラの手を取った。 (a7) 2021/10/28(Thu) 2:17:30 |
【人】 逃亡者 ポルクス>>132 ゾズマ 「……。同じ魂を分けた双子はね、どちらかが強い力を持って生まれることが多いんだ。 俺の場合は、兄のほうがそうだった。 それなのに、兄の力を忌み嫌った両親は兄を認めず、俺を嫡男とした。 兄は塔に閉じ込められて……称賛も、親の愛も、教養も、全部俺が独り占め。 本当は全て兄の物であったのにね」 その後はあなたも軽く知ってる通りだ。 深い愛憎の末、追い追われる者となった兄弟の末路は、他人が聞くにはあまりにも滑稽だ。 兄は本当にほしかった愛を手に入れ、俺は必要がなくなった。 身体に空いた大きな心の穴は、きっと生涯癒えることはないだろう。 「今はもう求めないことにした。 でも……多分そういう事になったら、拗れきった俺は酷く喜ぶと思うよ。 そう簡単に人間は変われるような生き物でもないでしょ」 「だから俺には近寄らないで」 もう交わるべきではないと思うから。 (133) 2021/10/28(Thu) 18:23:58 |
【人】 逃亡者 ポルクス>>134 >>135 >>a19 >>136 >>137 ゾズマ 「……!?」 近寄るなと言ったのに。 手を伸ばされ、距離を詰められ、胸ぐらを掴まれたと思ったら顔が近づいてきて。 何をするかと思えば少しの間の後、勢いの良い頭突きが痛烈な痛みを運んできた。 「いっ……何する」 の、と言いかけた口は言葉を紡がない。 ぎこちない笑みが、俺を見送ろうとしてくれてるのだけ伝えてくれたから。 「……うん。 さよなら、ザラ。どうか元気で」 やわらかな笑みを一つ落とせば、俺はあなたに背を向けた。 もう、振り返ることはない。 男はそうして、 希望 というぬくもり を手に館を立ち去ったのだった。 (138) 2021/10/28(Thu) 19:42:29 |
【置】 逃亡者 ポルクス――親愛なるカストル兄さんへ 不思議な館のパーティに招待されました。 夜の来ない大きな館で、思い思いに楽しむパーティ。 だけどどうしたことか、1日、1日と過ぎていけば、ふっと人が少しずつ消えていく。 俺も、とある船頭でも探偵でもある男に手を引かれて行きました。 生きてる誰もが自分の姿も声も認識してくれない、そんな世界線で。 俺は、大きな桜の木に出会いました。 降り注ぐ花びらが、兄さんのことを教えてくれました。 兄さんも、あの館に居たことを。 大事な人が出来たことを。 兄さんは今、何処で何をしていますか。 大事な人と一緒に居ますか。 兄さんは今、幸せですか。 俺も見つけました、夜に照らしてくれる月の花を。 俺は今、とても幸せです。 あなたの半身、ポルクスより。 (L2) 2021/10/28(Thu) 19:44:33 公開: 2021/10/28(Thu) 19:50:00 |
【恋】 旅する者 ポルクス真実9割、嘘1割。 そんな相手に届くはずもない手紙を書いて今、 俺は白い浜辺にいる。 夜だから真っ白には見えないが、振り仰いだ夜空には、冴え渡る星々がちりばめられていた。 気の遠くなるほどの彼方から渡ってきた、青ざめた高貴な輝きだ。 誰かが通った軌跡を辿っているわけではないが、なんとなく。 兄がここに居たことがある気がして、そこを直ぐには動けない。 「兄さんに手紙をとどけてくれないかい?」 見えない夜の精が、いいよと笑った気がする。 手紙を風に乗せてやると、 直ぐに水面に落ちて波にさらわれてしまった。 その手紙が、何処に向かったかは…… とうの俺すらわからない。 (?3) 2021/10/28(Thu) 19:46:15 |
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