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【人】 『伽藍堂』 江戸川 颯介あ、 [差し出したチケットはそのままに 手に持っていた方がするりと上に引き抜かれ 俺は目をぱちくりさせた。 俺の唇が触れていた箇所へと 赤い印がつくのからそっと目をそらす。 訂正するべき言葉は、見つからなかった。 代わりに、肯定もしないでおこう。] ……来週の土日、あ、金曜の夜でもいい。 [少し掠れた声で呟いて、少し考えてから またひとつ提案をしよう。] (15) 2021/05/23(Sun) 11:52:12 |
【雲】 『伽藍堂』 江戸川 颯介[もしお嬢さんが少し怪訝な顔をするならば] せっかくの『デート』なんだろ? [なんて煙に巻く。 彼女の都合が着く日があったなら その日は店は臨時休業。 そして、もし当日店にお嬢さんが来てくれたなら 店の前でヘルメットをふたつ持った俺が ハーレイに跨ってお出迎え。 白馬のご用意は出来ない代わりに 俺の愛車でドライブしようか。] (D2) 2021/05/23(Sun) 11:58:25 |
【雲】 『伽藍堂』 江戸川 颯介…………お嬢さん、じゃ せっかくのデートに味気ねェな? [江戸川さん、もどうなんだろう。 一日、俺が素直になれるための時間があるなら 一歩歩み寄るのは許されるのだろうか。] 江戸川さん、じゃ他人行儀かね。 今日は颯介でいい。 [俺はお嬢さんをなんとお呼びしたらいいかな。 フルフェイスの奥から、小さな声で問い掛ける。]* (D3) 2021/05/23(Sun) 12:02:33 |
【雲】 『伽藍堂』 江戸川 颯介[嬉しそうに約束にはしゃぐ様に つい、また口元が緩む。 素直に自分の感情を表に出して 好きなことを好きなだけ楽しめるのが やっぱり俺には羨ましくて。 だから、喜ぶ彼女に倣うように 俺も、自分の「好き」を 表に出してみようと思って。 店に行っては約束の日を指折り数えて 愛機をいつもより丁寧に磨いたりなんかして。 ─────ああ、楽しい。認める。 いつもの1人でのツーリングより、ずっと。] (D10) 2021/05/23(Sun) 16:05:53 |
【雲】 『伽藍堂』 江戸川 颯介[店の前に愛機と共に佇む俺は いつものシャツ姿よりも ラフな格好を選んでしまっていただろう。 だから、いつもよりも華やかな、 「デート!」って服装のお嬢さんを見て ちょっとしくった、と思った。 隣に並んで恥ずかしくないか、とか テンション下がる、とか言われないか、とか。 でも、いつもより可愛い服のお嬢さんは いつもと変わらず明るく笑うから 俺もつられて、ふにゃ、と笑う。] 骨董の趣味の延長みたいなモンで、 知り合いから譲り受けて乗ってンだ。 [手入れを欠かさない愛機を褒められ ヘルメット越しの声は上機嫌。 我ながらちょろい。] (D11) 2021/05/23(Sun) 16:20:47 |
【雲】 『伽藍堂』 江戸川 颯介[自分から言い出したくせに 颯介さん、なんて呼ばれると 首の後ろがムズムズする。 にじり寄るお嬢さんへと、 ぽん、とヘルメットを投げてよこせば 少し距離が空くだろうか。] ……いいから、行くぞ。 [後で、勇気が出たら。 ヘルメットを被ってもなお貫く視線を避けるよう 俺は愛機に跨ってエンジンをふかせた。] (D12) 2021/05/23(Sun) 16:30:25 |
【雲】 『伽藍堂』 江戸川 颯介…………振り落とされたくないなら しっかり掴まってくれよ。 俺も、怪我ァさせたくねェし。 [Tシャツの薄い生地越しに じわ、と生々しい体温が伝われば、 ああ、やっぱりこの服は失敗だったな、って。 背に耳を寄せられたらきっと ばくばくと煩い心臓の音まで 詳らかにされてしまう。 ちゃんと安全を確認できたら、 ドゥン、と低くエンジンをふかせて 晴天の下を滑り出すだろう。] この先美味い天丼屋を知ってるし なんか小綺麗なイタリアンが出来たらしい。 行きたいとこ、行こうぜ。 [自分の希望を出した上で 飛鳥が行きたいところを優先しよう。] (D13) 2021/05/23(Sun) 16:45:10 |
【雲】 『伽藍堂』 江戸川 颯介[飯を食ったら、美術館へとまた車を走らせて。 『香りの文化史 ー 日常から藝術までー』 中国から伝わったことで花開く香道文化から 紀元前エジプトの香水瓶、 アール・ヌーヴォーの豪奢なものまで 「香り」に纏わるものを集めたもの。 フルフェイスの下から出てきた俺の顔は きっと照れと興奮とで 頬を赤く染めてしまっていたかもしれない。] ほら、行こうぜお嬢さん。 [駐車場から受付まで向かおうとして、つい いつもの呼び方をしてしまったのに気付いて 「あ、」と口を手で塞ぐ。] (D14) 2021/05/23(Sun) 16:52:15 |
【秘】 『伽藍堂』 江戸川 颯介 → 西園寺 飛鳥[そういう約束。 しかも言い出しっぺは俺。 目を逸らして、息を大きく吸って、吐いて。 覚悟が出来たら、ちゃんと目を見て、呼ぼう。] …………ごめん。 行こう、飛鳥。 [謝罪の代わりに、片手を差し出し エスコートをかって出ようと。]* (-9) 2021/05/23(Sun) 16:54:28 |
【独】 『伽藍堂』 江戸川 颯介/* レムレムをタブで開いてるんだけど、菊太の方がゴリゴリ押せ押せしてる気がする……いったれいったれーってやじ飛ばすくせに、飛鳥ちゃんみたくゴリゴリに押されると弱い男江戸川 (-14) 2021/05/23(Sun) 20:11:03 |
【雲】 『伽藍堂』 江戸川 颯介[てっきり、お洒落な店を推してくるかと思いきや 行きつけの天丼屋にご指名がきて つい、くすりと笑う振動を伝えてしまったか。 尋ねられたら「てっきりもっと映えるところが 好きなンかな、って思っててさ」と 正直に答えよう。 見栄えはともかく、味は保証する。 名前は呼ばないくせに、 天丼を見事平らげるお嬢さんを カウンター越しより近い場所から見つめ 「ああ、ンまそうに食うなァ」 ……なんて呑気な感想を。] (D21) 2021/05/23(Sun) 20:35:00 |
【雲】 『伽藍堂』 江戸川 颯介[あの家にいて、きっと叱る人もいるだろうに 派手な化粧に派手な服。 それでも、周りの声はきっと このお嬢さんの歩みを止めるには力不足で、 そのお嬢さんが今片時でも、 俺の傍でじっと「待つ」なんて選択肢を選んでいる。 ……これは思ってたよりずっと愛されてンなァ、 なんて、今更気付いてしまえば 気安く「飛鳥」なんて、尚更呼べなくて。] (D22) 2021/05/23(Sun) 20:38:25 |
【雲】 『伽藍堂』 江戸川 颯介[だから、うっかりいつもの呼称を使った時 しまった、と思った。 約束を取り付けておいて 一方的に待たせておいて 俺は自分だけまた知らん顔するのを 選んでしまった気がして。 呼んで振り向いた飛鳥の顔は 責めるでもなく、詰るでもなく ただ普通に呼ばれたから振り向いた、みたいな。 それが余計に、悲しくて、申し訳なくて。] (D23) 2021/05/23(Sun) 20:42:05 |
【雲】 『伽藍堂』 江戸川 颯介─────呼んだよ。飛鳥。 [呼ばわる瞬間朱に染った頬を見て 俺の方まで赤くなる。 でも追撃したくて、もう一度。 そしたら、普段呼ばれない下の名前で返されて 今度は俺がふぇ、とよく分からない声を出す。 咳払いをひとつ、気を取り直して 指まで絡めて手を繋ごう。 じん、と熱い体温はどちらのものか。 歩調を合わせるようにして 受付まで歩いていった。 受付嬢は無愛想に2枚のチケットに目を通して 「いったらっしゃせ」と2つハンコを押して 手を繋いだままの俺達を咎めるでもなく。 多分、ただのバカップルと思われてるのか。 そう思ったら、少し安心した。] (D24) 2021/05/23(Sun) 20:48:32 |
【雲】 『伽藍堂』 江戸川 颯介[中に入れば、香りの歴史を辿るよう 古代オリエントの香油壺がででん、とお出迎え。] 昔は、香りを楽しむッてェより 宗教的な意味合いが強くてな。 ミイラもただ仏さんに包帯まくんじゃなく 香油をたっぷり塗ってお弔いをしたンだ。 ……まァ、今になってその香油自体が 防腐の役割を果たしてたことが分かってきた。 [土で焼かれた瓶を前に、つい悪い癖。 どこかの誰かと同じ、語りたがりが顔を出す。 手を繋いで、人の邪魔にならないよう 声を潜めて、身を寄せて。 俺が、自分の癖が出てるのに気付いたのは 古代オリエントを遥か超えて 日本の平安時代の頃。] (D25) 2021/05/23(Sun) 21:00:14 |
【雲】 『伽藍堂』 江戸川 颯介……っ、ワリ、つい、癖でな。 [頭を下げる代わりに、繋いだままの小指で すり、と飛鳥の掌を撫でる。 ただ綺麗な瓶、綺麗な調度品、で終わっては この飾られているだけの品々が 何となく、可哀想な気がして。 くるりと見渡す会場内には 歴史や地域に束ねられて 数多の美術品がガラスケースの中に眠っている。 まるで白雪姫みたいに。] (D26) 2021/05/23(Sun) 21:04:51 |
【雲】 『伽藍堂』 江戸川 颯介…………俺ァ、美術展は好きだ。 その一点一点に込められた想いを読み解くのが。 [周りに咎められないように 小さな声で、語る。 美術品から目を、飛鳥の大きな目へと移し ゆっくりひとつ、瞬きをして。] だけど、─────例えばこの香水瓶 こうして空瓶にして飾られッちまえば お役目を果たせねェで悲しくないか。 そう、思っちまうこともある。 使われてこそ、物は幸せなンじゃねェか。 値段とかそんなんがこのモノの価値なンか。 この商売してて、そう思わねェ日はねえ。 [だけど、今日は違う。] (D27) 2021/05/23(Sun) 21:12:01 |
【秘】 『伽藍堂』 江戸川 颯介 → 西園寺 飛鳥けど、飛鳥といて、 俺が勝手に、この瓶が幸か不幸か 判断するのも、なんか違ェなって。 初めて、そう思えて。 ……だから、今日、今日初めて、な。 すげェ穏やかに眺めてられる。 [そのくせ、まだ心臓はうるさいけど。 感謝の意を込めて、 握った手にほんの少し力を込めた。]* (-15) 2021/05/23(Sun) 21:14:48 |
【雲】 『伽藍堂』 江戸川 颯介[歴史を紐解き、語る楽しみに目がくらみ それが吐息が通う距離なのも気付かず。 歴史の流れに小話を挟んで、 周りの人々を妨げないよう、 声を潜めて笑い合う。 ふ、と我に返えれば 色々恥ずかしくなってしまう。 す、と掌を撫でると 何故か今度は飛鳥が驚いて 微かにはねる体に思わず 手を離してしまった。] 、っ、すまん…… [でも、どちらともなくもう一度手を伸ばし 今度はもっと、しっかり握ろう。] (D34) 2021/05/24(Mon) 22:46:08 |
【雲】 『伽藍堂』 江戸川 颯介[歴史に興味があるわけでもなし 飛鳥はそれでも俺の話を聞いてくれる。 続きを促されると、俺はまた少し微笑んで] ……これは、香合わせの道具だな。 香木の匂いでやる神経衰弱みたいなモンだ。 [そう、展示ケースの中を指して 説明を始めるだろう。 聞きたい、と言うだけじゃなくて 大きくて真っ直ぐな目に促されるように 頭の中にしまってあった 知識をアウトプットしていこう。 一人きりで展示ケースを眺めるだけだったら 一生俺の中だけにあったもの。 共有してくれる人がいるのは 思っていたより、嬉しくて。] (D35) 2021/05/24(Mon) 22:46:51 |
【雲】 『伽藍堂』 江戸川 颯介[だから、展示品を見ている途中で 飛鳥に胸中を打ち明けた。 この不思議な気持ちを知って欲しくて。] …………そう、かもな。 [展示ケースの中の白雪姫達より 鮮やかな赤の唇に、そう眉を下げた。 今日が終われば飛鳥はお嬢さんに 俺は颯介さんから江戸川さんに戻ってしまう。 それを引き止めるにはきっと 一言、俺から言えばいい。 口を開こうとしたら、 後ろからきた若い女の子達と とん、と肩がぶつかって 俺はまた口を閉ざして、 其方にぺこりと頭を下げる。 また飛鳥の方に顔を向ける頃には 口にする勇気が足りなくなっていて。] (D36) 2021/05/24(Mon) 22:47:21 |
【雲】 『伽藍堂』 江戸川 颯介……次は、アール・ヌーヴォーか。 [手を引いて、さらに奥へ。 身を寄せて恋人みたいに過ごす時間が 終わりに近付くと分かっていても。] (D37) 2021/05/24(Mon) 22:48:00 |
【雲】 『伽藍堂』 江戸川 颯介[そうして美術館の外に出る頃には 空は黄昏色に染まっていたか。 またバイクに跨り、ディナーに向かう前 駐車場で俺は飛鳥を引き止めるだろう。] 俺ばっかり、話しちまったな。 [あれだけ渋っていたくせに 結局大はしゃぎしてしまったことに つい、頭をぽりぽり掻いて。] ……ここに来たのが、あんたと一緒で 本当に、良かったと、思う。 [目線をアスファルトに落としたまま 自分の気持ちを一言一言絞り出す。 でも、まだ言えてない。 これは俺の気持ちのほんの上澄みで 正直で、真っ直ぐな飛鳥に歩み寄るには もっとはっきり言わなくちゃならないのに。] (D38) 2021/05/24(Mon) 22:56:25 |
【雲】 『伽藍堂』 江戸川 颯介[視線を、地面から沈みかけた夕日へ移し] ……今日が、終わるな。 ………………まあ、もう少しあるけどよ。 [そう、呟いた。 「今日だけ」が終わるのが嫌だ、と はっきり言いたいのに、怖気付いちまってる。 空いた唇を、また閉じて。] 飛鳥は、楽しんでくれたのかィ? [そう問いかけて、自分の卑怯さに気付いて また視線を逸らす。 ─────ああ、言わせようとしてやがる。 「また来ましょう」を言わせて それに乗る自分、という形にしようと。] (D39) 2021/05/24(Mon) 23:04:01 |
【秘】 『伽藍堂』 江戸川 颯介 → 西園寺 飛鳥[おずおずと手を伸ばし、 飛鳥の背へと腕を回したら 俺の腕の中へと来てくれるだろうか。 ほんの少しだけ力を込めたハグを、俺から。 キスなんかしたら、もう元に戻れなくなる。 俺も、飛鳥も。 だから、今はこれが精一杯。]* (-18) 2021/05/24(Mon) 23:07:19 |
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