【人】 弁当『もりや』 安住 香菜[仕込みから始まる一日が 接客と発注とに忙殺されて 閉店する頃には、頭はパンパン、足は棒。 同級生達が子育てや合コンに追われる中 あたしはひとりクタクタになって家に帰る。 そんな、毎日が続くと思ってた。 きっとこのまま小さい頃の綺麗な思い出を胸に じわじわ、おばさんになっていくだけの。 若い子の流行りに乗り切れなくなって ふとした瞬間、「お姉さん」じゃなくて 「おばちゃん」て呼ばれて それに傷付くより先に、にっこり笑って 「はーい」なんて返しちゃって。] (28) 2021/06/04(Fri) 2:27:49 |
【人】 弁当『もりや』 安住 香菜[眠りの中で、綺麗な思い出が 蘇ってきたりなんかすると 懐かしくて、嬉しいのに 現実との乖離に泣きたくなって、 決まって必ず、涙に浸された枕の上で目覚めるの。 その日も、そんな夢を見た。] (29) 2021/06/04(Fri) 2:28:23 |
【人】 弁当『もりや』 安住 香菜[ふ、と意識を取り戻して目を開くと 目の前にぱっ、と朱が咲く。 全く知識はないから知らないけれど 修学旅行で行った寺社仏閣みたいな朱塗りの柱。 それに支えられた空間を隔てるように 鮮やかな牡丹が描かれた壁が くるりと部屋を囲っている。 びくりと身を跳ね起こすと いつもの煎餅布団の何倍も柔らかい寝具が ふわ、とあたしの手を押し返してきた。 知らない、部屋。 ふと見下ろした自分の体は、 部屋着のグレーのショートパンツと 黒いキャミソール。 下着をつけてないのは元からだけれど この奇妙な状況の中、こんな薄着だけだと 酷く心細くなって、 あたしはたまらず寝台の上で自分を抱きしめた。] (30) 2021/06/04(Fri) 2:28:59 |
【人】 弁当『もりや』 安住 香菜なに、ここ………… [大きな円形のベッドを中央に据えた部屋は、 なんというか、何処と無く淫靡な空気がして。 もしそんな部屋に他の人の気配を察して それが長年の想い人だったなら───── あたしは本当に、いたたまれない顔をするんだ。]* (31) 2021/06/04(Fri) 2:36:15 |
【独】 弁当『もりや』 安住 香菜/* いやああああああチューされちゃった!!!チューされちゃった!!!(ごろんごろん)雌にされりゅうううううううう (-8) 2021/06/04(Fri) 7:54:15 |
【独】 弁当『もりや』 安住 香菜/* 覆面くんものすごい挟まり方してごめんなさい……しかしアレだ、右側不服と申し立てしたりとかしたけど今とても楽しい……片想いこじらせるの楽しいよね (-9) 2021/06/04(Fri) 7:56:23 |
【人】 弁当『もりや』 安住 香菜[だって、ニチアサ9時の番組を見る男の子は おままごとに付き合ってくれないし ご飯を取りに行ってくれたりしないんだ。 すぐに自分の世界に入って 見えない怪獣を戦い始めて ひどい時にはあたしを怪獣にしたりして。 お弁当の利益まで考えてくれたり 少しでも楽になれるように すごい商品のサンプル持ってきてくれたりさ。 そんな優しいあんたが、すきで、 どうしようもなく、すきで……。 でも、それを形にしたら 今の心地よい関係も崩れてしまいやしないか。 それが怖くて、何も言えないの。] (100) 2021/06/05(Sat) 12:11:08 |
【人】 弁当『もりや』 安住 香菜[「ただいま」の挨拶に 笑って「おかえり」って返して それが私にできる限界。] うーん、鮭弁当で御殿建てようってんじゃ ないしなぁ…… [古くから続く弁当屋の味を落とさないよう でも、飽きられないよう。 そのさじ加減に困ってたのは本音だったから 心の中で言葉を選びながら伝えよう。] どっちかっていうと、商売ってより 昔から来てくれる常連さんとの 繋がりを大事にしたい、って感じかな。 他にコンビニもあるし、 新しくて美味しいものは 他にも沢山あるんだし、ね。 [だけど好意はうれしいから ほっけはホッケスティックにして パックで売ってみようかな、なんて。] (101) 2021/06/05(Sat) 12:12:28 |
【人】 弁当『もりや』 安住 香菜[またある日は恋バナなんか。 彼よりラガーマンの方に靡いた女なんて 粉付けて揚げてやりたいけれど 「かなおねえちゃん」はそんな事言わないの。] ……うーん、好きって気持ちは 思うだけじゃなくて言葉にしなきゃ 伝わらないし、その気持ちが大きく見えるほど 嬉しい、って気持ちは分からなくもないかな。 [そう言って揚げたての唐揚げを、 爪楊枝に刺したやつを差し出す。 あたしは、美味いって言ってもらえるのも こんな美味そうな顔して食べて また来てくれるのも、どっちも嬉しいけど。 あんたはほかの店に浮気しないしさ。] けど、そのラガーマンの方があんたより いい男って話じゃないんだ。 どっしり構えてた方がいい。 そのうちもっとまともな子が寄ってくるよ。 [そう、偉そうなことを言う。 あたしは?って聞く勇気もなくて 好き、って言葉も言えないくせに。] (102) 2021/06/05(Sat) 12:13:02 |
【人】 弁当『もりや』 安住 香菜[目覚めたら、そこはラブホテル(?)でした。 行ったことは、無いけど、多分。 訳が分からず呆然としていると 奥の扉がガラリと開いて 男の人の声が聞こえ、あたしは身を固くした。] ……あ、よしやくん…… [けどなんてことはない。 知らない人じゃなくて、想い人。 あたしは恥ずかしい服ではあるけど 女の子に乱暴しない、いいひと。 その視線が心許ない服に向けられ あたしは視線をシーツの波に落として ずり落ちた肩紐を整える。 ふわ、と掛けられたバスローブを羽織り直して もぞもぞも布団の外へと這い出した。] 出口を探す、って……見たとこ あんたが来たのがこの部屋唯一の出口だけど。 [そう言うなり、よしやくんが来た ドアを引っつかみ、開く。 様相が違うだけで、そこも同じく 性のための場所、という感じで あたしは耳まで朱に染めて、ぱたん、と閉じる。] (104) 2021/06/05(Sat) 12:14:14 |
【人】 弁当『もりや』 安住 香菜…………なんだ、ここ…… [乱暴にローブの前を掻き合せて 紐でぐるぐるかた縛り。 混乱の波が引くと、どんどん腹が立ってきた。 何なんだ、何だってこんなことするんだ。 だって、あたしはまだ好きって言ってない。 あの神社の裏の秘密基地みたいに 甘い時間を過ごしたり、デートしたり…… そ、れで、せっ………… じわりと目の端に涙が滲む。 だけれどここでさめざめ泣くのより とっとと首謀者をとっちめてボコボコにしよう。 うん、そうしよう。絶対。] よしやくん!出口探そう! そんで此処にあたしたち閉じ込めたやつ ぼこぼこのけちょんけちょんに してやるんだから! [早速ローブの袖を捲りあげ 部屋の探索へとよしやくんを引っ張り出す。 ベッド脇のサイドテーブルを開ければ 見たことの無い物体がごろん、と まろびでたけれど、何だこれ。] (105) 2021/06/05(Sat) 12:15:07 |
【人】 弁当『もりや』 安住 香菜ぱいぱいぽっぷ☆ぷわぷわぷ〜 ……って、昔無かったっけ?あはは…… [紫の毒々しいステッキ(?)を振っておどけてみせた。 こんな状況だし、笑いが無いと、ね。]* (106) 2021/06/05(Sat) 12:17:07 |
【秘】 小泉義哉 → 弁当『もりや』 安住 香菜こんなふざけた部屋に二人きりで、 バイブ持って男に声かけてさ、 香菜はからかってるつもりでも、 ……抱くよ? [玩具を握りしめた手を上から強く握ると 電源を押したのだろう、 ぶぶ、と低い唸りを上げて震えだした。 ぐ、と更に体を引き寄せれば こちらも気の抜けた部屋着のこと、 密着した腰が、既に昂った欲を伝えただろう。] (-71) 2021/06/05(Sat) 20:42:12 |
【秘】 小泉義哉 → 弁当『もりや』 安住 香菜[彼女の方がいくらか背が低く、 艶々しい髪が甘やかな香りを放つのをまともに吸い込んだ。 幼い日にその髪に口づけたことを思い出せば どうしようもないほどの切なさと罪悪感に 血の味を感じるほど強く唇を噛んだ。] (-72) 2021/06/05(Sat) 20:43:53 |
【人】 弁当『もりや』 安住 香菜[くるり、爪楊枝が彼の手の中で踊る。 向けられた問いに、一瞬あたしは息を飲んで エプロンの裾をこっそり握りしめるの。 こういう時、どう答えるのがいいのかな。 「お姉さん」なら 「あたしみたいな子なんて早々いないよ」 なんて笑って見せればいいのかな。 それとも、「あなたに気のある女の子」として 「そう、目の前にいるあたしみたいな、ね」 って、そっとウィンクのひとつでもすればいいかな。 でも、あたしにはどれひとつ「正しい」とは 思えなくって、そっと胸の痛みを押し殺す。 結局、あたしは話の後ろから割り込んできた 山田のおじさんに救われる形で その話を結んでしまったの。] (130) 2021/06/05(Sat) 23:06:21 |
【人】 弁当『もりや』 安住 香菜[セックスのための部屋から出ようと ドアを開けても、結局セックスのための部屋で よく考えなくても出口があるなら よしやくんはそのまま出て行ったろう。] ………… モチョットハヤクイッテヨ ……[目にじわりと涙を溜めたまま じと、と八つ当たり気味に睨みつけて あたしは後ろ手にドアを閉める。 まだ「シないと出られない部屋」とは知らず この間動画配信サービスで観たばかりの 異常者によって密室に閉じ込められて 殺し合いをさせられる映画を思い出し、 勝手に震えたり、怒りに燃えたり。] (131) 2021/06/05(Sat) 23:06:47 |
【人】 弁当『もりや』 安住 香菜[手分けしようという言葉に頷き返し さて見つけた魔法のステッキは この状況に和やかな笑いをもたらす…… はずだった、のに、ぴしり、と空気が凍る。 きょとん、と目を丸くするあたしの前に 怒ったみたいな顔したよしやくんが来て 今まで見たことも無い顔してるから 思わず、後ろから壁に押し返されるまで すりすりと後退る。 ステッキを持った手と、腰に回された手が 昔より酷く大きくて、熱くて、 あたしは義哉くんの目を見上げて息を飲んだ。 動物園で肉食獣の檻の前に立つより ずっと怖い、捕食者の目。 このままずるりと布団の中に連れ込まれても きっと、圧倒的な力の差を前に 抵抗も叶わないかもしれない、なんて。] (132) 2021/06/05(Sat) 23:07:10 |
【秘】 弁当『もりや』 安住 香菜 → 小泉義哉[そして、熱の篭った声が、あたしをなじる。 言われた言葉がすんなり飲み込めなくて あたしはぽかん、と口を開けて……] …………ッ、! [今自分が魔法のステッキだと思ったものが 淫具の類と気付いて、ぶわ、と総毛立つ。 普通、思わないでしょ、こんな変な形で スイッチを入れれば蛇のように蠕動する、 こんなのを、中に入れるの? でっぱり、二本あるよ? ─────いや、でもそれはともかく。] だ、い…… [だって、どうしようもなくその手は男の人の手で いつの間にかすっかり身長も体格も越され がっしりとした力と、バスローブ越しに伝わる 腰の辺りに押し付けられた熱に あたしは初めて義哉くんに「雄」を見たの。 小さい頃の綺麗な思い出には無かった、 生々しいまでの、欲を。] (-76) 2021/06/05(Sat) 23:09:30 |
【秘】 弁当『もりや』 安住 香菜 → 小泉義哉[あの時みたいに髪に口付けられて は、と唇の隙間から息が漏れる。 漠然と、この熱をあたしの中に招いて とろとろと絡み合うのを想像したら ショートパンツの奥が、じゅん、と熱を持つ。 いいよ、って期待を込めて 伏したまつ毛をゆっくり瞬いた。 まずその血の滲んだ唇を解こうと 唇を寄せて───── なんて、結局頭に描いたけれど あたしの身体は、動かなかった。 ただ、時間をかけた瞬きを、ひとつ。] (-77) 2021/06/05(Sat) 23:10:48 |
【人】 弁当『もりや』 安住 香菜あ、 [密着していた身体が離れて 遠のく体温を追うように、 視線をその背に絡ませる。 でも、義哉くんは振り返らない。 二人の手から震える魔法のステッキが滑り落ちて 床の上でのたうち回る。 あたしはローブの前をまたきちんと合わせると] ……ううん、あたしこそ、ごめん。 [知らなかったから、とは言えなかった。 この話を広げるのは、多分まずい。 それくらいは分かるもの。] (133) 2021/06/05(Sat) 23:11:19 |
【人】 弁当『もりや』 安住 香菜[それから手分けして部屋の中を探索したけれど 本当は、一緒にいた方が良かったのかも。 だって、変な器具とかロープとかあっても それがヤラシイものか否かなんて あたしにはちっとも分からなかったし。 ただ、適当にいじったテレビのリモコンが 大音量のえっちなビデオを流した時は 流石にビビったな……チャンネル変えても どの局も全部えっちなやつばっか。 「ニュースとかやってないのかな」って聞いたら 義哉くんは答えてくれたかな。 そしてあたしが元いた部屋から 義哉くんが来た方の部屋に足を伸ばして ……そこで、やっと テーブルの上に置かれた紙を見た。] (134) 2021/06/05(Sat) 23:11:44 |
【人】 弁当『もりや』 安住 香菜しないと、出られない部屋…… [何を?というのはこの最大限に お膳立てされた様子を見れば明白で。 あたしはローブの裾を握ろうとして そこで初めて、自分が震えてるのに気が付いた。] (135) 2021/06/05(Sat) 23:12:05 |
【人】 弁当『もりや』 安住 香菜[せっくす、というのは 男の人のアレを入れること……というのは さすがに知ってる。 けどそこに至るまでの過程はすっぽり あたしの頭の中には抜け落ちていた。 代わりに、今まで夢に見ていた 甘酸っぱい「恋」の過程は 嫌になるほど思い描いていて。 じわり、とまた視界が歪んで、 零れ落ちた一雫は、ラミネートされた紙の上を つるりと滑って床に染みていく。] …………義哉、くん。これ…… [ラミネートされた紙を片手に呼び掛けて あたしは元いた部屋のベッドに腰を下ろした。 ぐし、と鼻を啜りあげながら 手でつまみ上げた施設案内の紙を突き付け] 義哉くんは、これ、読んだの? [この部屋が「シないと出られない」と知っていて それでも外に出ようとしていたのか、って。]* (136) 2021/06/05(Sat) 23:12:57 |
【秘】 弁当『もりや』 安住 香菜 → 小泉義哉[取っかえ引っ変えされる女のひとりにもなれず このままこの部屋で二人。 それでも恋の花のひとつも咲かせられない。 そんな終わり方なんか嫌で、 あたしは震えを殺した声で、問うの。] ねえ、どうして、さっき そのまま……抱い、てくれなかったの…… 出られたかもしれないのに。 [そんなに、嫌なの?って。 それとも、ほかに理由があるの? ベッドの上で緩やかに足を組み合わせて じっと彼の瞳を見つめて待つ。]* (-80) 2021/06/05(Sat) 23:19:21 |
【秘】 小泉義哉 → 弁当『もりや』 安住 香菜[重ねた指のすべすべしい調子や 指のはまるほどくびれた腹や、くるくると回る瞳の揺らぎに 淫らな予兆を嗅ぎ取って、ますます猛りが昂った。 このどこまでも清潔な香菜が 幾枚もの皮にくるんで心の底に隠している欲念を 自分の雄の力で掘り起こしてみたくてたまらなくなった。 それを他の男に任せるのが妬ましくてたまらなくなった。 長い髪に五本の指を挿し入れ、かき乱し、 思いのままに彼女を揺さぶる様を夢見ながら つやつやしく光るその髪に口づけを落とす。 すると熱い息吹で喉元を焙られて ますます彼女の胎の中に自らを捧げたくなる。 喰われるのは自分かもしれないと茫洋とした頭で思った。] (-89) 2021/06/06(Sun) 10:13:56 |
【秘】 小泉義哉 → 弁当『もりや』 安住 香菜[しかし香菜はやはり清潔で、 淫らな予兆と感じたのは小泉の思い違いでしかなく、 緊張と怯えによってすっかり体が固くなっている。 視線が交錯することはなく、濡れたように輝くまつげが 小さく、時間をかけて、揺れた。] (-90) 2021/06/06(Sun) 10:14:30 |
【秘】 小泉義哉 → 弁当『もりや』 安住 香菜[静寂を打ち消したのは 抑えていてもなお小さく震える言葉だった。 問いかけはあまりにも予想外で 虚を突かれてまともに見返すと 小鹿のような、まつ毛の長い、形のいい目が、 涙に美しく濡れて夕月のようにぽっかりと並んでいた。 この上なく詩的な、霊的な一瞥を与えられれば 己の浅はかな、臆病な胸の奥を丸裸にされてしまう。 自分の拙い言葉でうまく伝えられるとは思えない。 しかしその多恨なまなざしの前では 堪忍して何もかもさらけ出すしかなかった。] (-91) 2021/06/06(Sun) 10:20:10 |
【秘】 小泉義哉 → 弁当『もりや』 安住 香菜覚えてる? 結婚したら、おいしいご飯毎日出してくれるっていう、あれ。 子供の約束だから、香菜は忘れてるかもしれないけど。 あの時のことを思い出して、想像したんだ。 ……きっと素敵な、幸せなお嫁さんになるって。 なのに、その未来を、俺がこんな形で壊しちゃいけないと思った。 [「俺の」お嫁さんと言えるほどの図々しさも無ければ 「誰かの」と譲れるほど鷹揚でもない。 仮に同室していたのが香菜ではなかったら 軽い気持ちで行為に及んだかもしれない。 何しろ出るにはしなければならないという 大義名分があるのだから。 だが、脱出手段として提示されていても 香菜が相手だと、それを理由に抱くのは 間違っている気がした。] (-93) 2021/06/06(Sun) 10:21:28 |
【秘】 小泉義哉 → 弁当『もりや』 安住 香菜出るためだったとしても、抱いたら戻れなくなる気がした。 香菜から身を引くことなんてできる気がしなくて 全部壊してしまいそうだった。 ……香菜にどれだけ大切な相手がいても。 [それが、香菜と誰かの心を 五つにも六つにも引き裂く行為だとしても。 本当に、踏みとどまれるぎりぎりのところだったのだ。 情けない、醜悪な本質を告白しながら いたたまれなさに耐えきれず、「ごめん」と小さくつぶやいた。]** (-94) 2021/06/06(Sun) 10:22:50 |
【秘】 弁当『もりや』 安住 香菜 → 小泉義哉[気付かなかった、って>>160言ってくれたら まだ穏やかにいられたかもしれない。 あたしはその瞬間俯いて、 ローブの腿の辺りにぽたり、と雫を落とす。 じゃあ、どうして?って、 沈黙の中で問いかけると 長い沈黙の後、答えが返ってきた。 意味を呑み込めないまま、もう一度瞬き。 ……そう、神社の奥であたし達は夫婦だった。 偽物のご飯と偽物のベッド、 摘んできた花で飾られた、ままごとの夫婦。 でも、大きくなってみれば 現実はそう上手くいかなくて。 綺麗にお化粧する暇もなく働いて 家に帰ればくたくたで。 だから、義哉くんにも、もっと綺麗で 美人な奥さんが出来るかも、って。 でも彼が失恋報告に来る度に 内心仄暗い喜びを覚えてしまう自分も嫌で。] (-99) 2021/06/06(Sun) 13:42:20 |
【秘】 弁当『もりや』 安住 香菜 → 小泉義哉[話を謝罪で締めくくった義哉くんの手を引いて 腰掛けたベッドの隣のスペースへと招く。 大きくて、雄々しくて、だけども優しい体。 そっと鎖骨から胸板まで手を当てて、滑らせる。 鼓動は指先から伝わるかな。 それとも、あたしの手が震えてるだけかな。] あたしだって、覚えてる。 ……あの時、シロツメクサとタンポポ摘んで 結婚式をしたのも、髪にしてくれたキスも 忘れた日なんか、ないの。 [むしろ、彼も覚えててくれたんだ、って それが少し嬉しくもあって。 そんな「誰か」なんて何処にもいない。 いるとしたらあなたがいい。 そう、言いたい。 けど、あたしはまた言葉を選ぶ。] (-100) 2021/06/06(Sun) 13:42:51 |
【秘】 弁当『もりや』 安住 香菜 → 小泉義哉あたし、義哉くんになら、いいの。 [期待を込めた指先で、胸元から 臍をなぞって、止める。 ここまでして、もし彼の腕が あたしを押し倒しても あたしは決して「犯された」なんて思わない。] ……あたしはあんたしかいなくても 義哉くんには、もっと良い奥さんが 出来るかもしれないでしょ。 あたしも、その芽を摘んじゃうのが、怖くて。 [腿と腿が触れ合う。 なんて固くて逞しい身体。 誰にも渡したくない、って気持ちは まだ口には出せないけど。] (-101) 2021/06/06(Sun) 13:46:43 |
【秘】 弁当『もりや』 安住 香菜 → 小泉義哉[男の身体は、引けば女の力でも 後ろに倒せたりするだろうか。 倒れてくれても、くれなくても、 あたしはその身体を跨ぐ。 バスローブの裾から素肌が覗くけど それをいちいち直すのももどかしい。] ……あげる。全部。 [あたしの気持ちも、身体も、将来も。 安心させるように微笑んで そっと顎の輪郭を指でなぞったら 初めて、男の人と唇を重ねたい。 嫌なら、妥協を顎にひとつ。 重力に従ってたゆん、と揺れる胸元を寄せて 神社で見せたような、照れた笑いを見せようか。]* (-102) 2021/06/06(Sun) 13:53:44 |
【秘】 小泉義哉 → 弁当『もりや』 安住 香菜[一歩も動けぬままにうなだれていると 不意に手が引かれた。 導かれるまま隣に腰かければ しなやかな、器用な指先が鎖骨に触れ 硬い骨と筋肉に守られた心臓が どっくん、どっくん、強く跳ねる。 そうして、彼女は言葉にした。 五月雨が洗いすました青空が、 木漏れ日の切れ目に輝いていたあの日を。 初夏のさわやかな風を頬に受け、 むせかえるような若葉の匂いを嗅ぎながら ささやかな式を挙げた、眩いばかりの思い出を。 軽蔑を恐れる心が、指先一つではらわれていく。 あの時から体はずいぶんと成長して 背も、腕力も追い越したが 彼女の心の成熟には、いつまでたっても追いつけないだろう。] (-108) 2021/06/06(Sun) 16:21:54 |
【秘】 小泉義哉 → 弁当『もりや』 安住 香菜……ぅ、 [水に触れ慣れた、少し乾燥した、 赤剥けた、美しい働き者の手が 服の上を滑るように伝い、 この世に産み落とされた痕に触れる。 それだけで背筋が泡立った。 またあの暴力的な欲望に支配されるのを恐れたが 彼女の言葉を聞けば、期待を断ち切れず 結局、引くことも押すこともできぬまま硬直した。 無防備に触れされた部位の少し下には、 苦しいほどに彼女を求める昂ぶりが戦慄いている。 触れ合う面積が、少しずつ広がっていく。 同じ種族として命を受けながら 全く異質な形の、ふわふわした躰が ゆっくりと重ね合わされる。 後ろに倒そうとする腕は優しく 強制する程の強さは何一つ持たなかったが 抗うことを思いつかせもしない、 例えば磁力のような力を持っていた。 きっとこれを蠱惑力と呼ぶのだろう。] (-109) 2021/06/06(Sun) 16:23:14 |
【秘】 小泉義哉 → 弁当『もりや』 安住 香菜香、菜…… [男とは対照的に柔らかな躰がのしかかり 腿を挟み込むようにして跨られれば 自分が従順な馬にでも成ったかのような栄光に陶酔した。 胸前のあわいが乱れ、ほんのりと色づいた肌が露になる。 シーツに落とした手のすぐそばに、すべらかな腿が在る。 裾をひらめかせてまたがったせいでむき出しの素肌だ。 彼女が体制を崩さぬように、とっさに腿と腰を支えれば 肉の弾力が柔らかく五指を押し返した。] (-110) 2021/06/06(Sun) 16:24:27 |
【秘】 小泉義哉 → 弁当『もりや』 安住 香菜[微笑む瞳の中に、熱く燃える焔をみた。 同じ灯が、自分の瞳の中に燈っていた。] ……言ったね? [誘われるままに顎を上げながら、最初で最後の確認を一つ。 ゆるんだ首元から豊かな谷間がのぞき 今にも色づく先端が見えそうな様にもそそられたが それはまた後でじっくり見せてもらおう。 腰を支えていた手を上に滑らせ、 背中を引き寄せて鼓動を合わせた。 乳房の重みを感じながら、照れ笑いが消えるのも待たず 濡れた唇を重ね合わせた。]* (-111) 2021/06/06(Sun) 16:25:41 |
【独】 弁当『もりや』 安住 香菜/* ラの神様、ラの神様…… このまま恐る恐るおふぇらってみようと思うのですが @舐める A歯を立てる (2)1d2 (-116) 2021/06/06(Sun) 16:41:14 |
【秘】 小泉義哉 → 弁当『もりや』 安住 香菜[唇に言葉はなかなか出なかった。 ただ水の流れのような 吐息ともつかぬ声ともつかぬ熱を絡めていれば 時折湿った音と、夢見るように名を呼ぶ音が 唇の合わせから漏れた。] ハ、 ふ ……香菜、 [こく、と喉を鳴らしては、息継ぎの間も惜しんで 小さな唇を何度も奪う。 どく、どく、と幾度も脈打つ欲を タオル地越しの甘やかな胎に押し付けていたが 今は交わるより、女の肌の隅々までを丹念に味わいたかった。] (-121) 2021/06/06(Sun) 17:24:45 |
【秘】 小泉義哉 → 弁当『もりや』 安住 香菜[口づけたまま、腿を支えていた手を緩め すりすりとむき出しの太ももをさする。 時にはくすぐるように、時には柔らかく摘まみ、 そうしてしばらくじゃれ付きながら 逃げだすような気色が無いのを確認できれば 厚いタオル地の下に手を挿し入れた。 二つの尻の隆起、その片方をむぎゅ、とつかんでから 部屋着ごしにその肉をたぷたぷと揺らす。 二枚の薄皮の感触を感じながら ぷるんとした双丘の間に指を、布を沈めこんでは 指を挟む弾力にうっとりと目尻を溶かした。 つと指をさらに下に滑らせると 指先が意外な感触をとらえ、不思議そうに眉をひそめた。] (-122) 2021/06/06(Sun) 17:25:16 |
【秘】 小泉義哉 → 弁当『もりや』 安住 香菜[正体を確かめたくなった。 ちゅ、と音を立て、一抹の名残惜しさとともに唇を離すと 銀色が糸を引いて、切れた。] ……香菜……もっと、見たい…… [うわごとのようにつぶやくと、胸に抱きかかえたまま ころりと二人の体を転がした。] (-123) 2021/06/06(Sun) 17:25:57 |
【秘】 小泉義哉 → 弁当『もりや』 安住 香菜[今度は男が組み敷く番だ。 体重をかけないよう気を付けながら 両ひざで彼女の腿を挟み込み 熱に浮かされた瞳で、すっかり乱れたローブの紐を引く。 紐解けば、ただ羽織られていただけのローブは 衣擦れの音だけを残して、左右へと開かれた。 露になった素肌に、ほぅと感嘆の溜息が漏れた。 それはまだ性器と呼ぶ場所を全て覆ってはいたが 想像の余地を残しながら その下の曲線を強烈に想い焦がさせた。 布の上から尻たぶを弄んだせいで ホットパンツが割れ目に食い込んでいて それがまた香菜の清潔な印象と合わさると妙に艶めかしく くらくらとめまいさえした。 その躰の全てに、不思議な異物を感じた。 それは全く見知らぬ躰だった。 彼女がゆだねた体は未発見の神秘でも含んでいるようで これまで当たり前に包丁を握ったり、米を炊いたり、 お弁当を差し出したりしてきた躰と 同じものだとはどうしても信じられなかった。] (-124) 2021/06/06(Sun) 17:29:37 |
【秘】 小泉義哉 → 弁当『もりや』 安住 香菜綺麗だ、香菜…… [凡庸な男は、ありふれた言葉に万感の思いを乗せると、] ……だけど、パジャマ短すぎない? 簡単に脱がせちゃいそう [と揶揄うように笑って、ホットパンツの裾をなぞった。]** (-126) 2021/06/06(Sun) 17:30:11 |
【秘】 弁当『もりや』 安住 香菜 → 小泉義哉[彼の体をまたぐと、そっと腰へ支えが回る。 ほら、ね。優しいんだ。 下着の支えのない膨らみは 抱き寄せられた身体の隙間でふに、と形を変える。 股に感じる彼の茎が、熱い。 そこだけじんと膿んだように熱を持つのが 閉じた雌花の襞に感じる。] 言った。 ……全部、あげる。 [でも、この温かな幸せは、あたしだけのもの。 よしやくんも同じ気持ちだとしても。 重ねた唇はほんの少しかさついていて ぬめる舌は蛞蝓のように滑らかなくせに、熱い。] (-139) 2021/06/06(Sun) 20:17:11 |
【秘】 弁当『もりや』 安住 香菜 → 小泉義哉[息継ぎの間に何度も名前を呼ばれる。 でも、初めてのキスに 返事のタイミングが見いだせなくて 指先で義哉くんの耳殻の輪郭をなぞった。 顬の辺りに差し込んだ指に、 あの日より硬い髪が当たる。 あの日の彼と全く違う、男の人。 なのに、どうしようもなく、欲しい。 舌先を絡める術を知らないまま 伸ばした舌先で唇を舐め返しながら もじもじと未知の感覚の訪れる股を擦る。 何度も腿へ手が這う度、 下腹がずんと重くなる。] あ、 [その手が直にローブの下に潜り込んだ瞬間 思わず声が漏れた。] (-140) 2021/06/06(Sun) 20:17:37 |
【秘】 弁当『もりや』 安住 香菜 → 小泉義哉[そんなところ、誰かに触らせたことなんかない。 日に晒されない柔らかな皮膚の感触を 薄布一枚隔てて伝えてしまう。 はくはくと身を震わせながら 甘やかな感触に悶えて、あたしは義哉くんの 胸へと火照った頬を預けた。 けれど、それも束の間のこと。 二人でシーツの海へと身を投げ出して とさり、あたしの背がベッドに預けられる。 見上げた瞳に宿る欲望の熾火に あたしはこくりと頷いて ほんの僅か、腰を浮かした。 ローブを解く手を受け入れている間 あたしは天井に描かれた牡丹の花を眺めていた。 何だか、神様への供物になった気分だ。 男を知らないこの身は全て、彼への捧げ物。 そう思えば何も不安も恐怖もない。 そんなあたしを見て「神様」が漏らした感想に あたしはくすりと笑って、その頬に手を伸ばすの。] (-141) 2021/06/06(Sun) 20:18:04 |
【秘】 弁当『もりや』 安住 香菜 → 小泉義哉だって、あんたのためのだもん。 [……とはいえ、そういうことがある、なんて 一切前もって準備しておかなかったから キャミソールはてろんてろんだし ハーフパンツも…… え、いつ買った? ] (-142) 2021/06/06(Sun) 20:18:26 |
【秘】 弁当『もりや』 安住 香菜 → 小泉義哉……仕方ないでしょ、暑かったんだもん。 [露出度の高い服装をからかわれたなら むっと唇を尖らせて、仕返しとばかりに そのルームウェアへと手をかける。 矜恃とともに解けてしまえ、と。 あたしと似たり寄ったりの薄い布の下へ 手を潜らせると、腹の起伏が指を押し返す。 もう少し上に手を滑らせれば 男の人にもある小さな突起があるだろうか。 戯れに、そこを指先でそっと摘み上げてみた。 固くて、小さい、へびいちごみたい。 指の隙間で硬さを増すのが楽しくて つい意地悪を繰り返してしまう。 もし義哉くんに咎められたら 悪戯っぽい笑みを浮かべながら聞いちゃう。] (-144) 2021/06/06(Sun) 20:18:51 |
【秘】 弁当『もりや』 安住 香菜 → 小泉義哉……ほら、暑くなってくると 脱ぎたくなってくるでしょ? [だから、あたしのも全部、脱がしていい。 下着が受け止めきれなくなった愛露が グレーのショートパンツに 小さな染みを作っているのも あたしにはまだ知らないこと。 腿に力を込めて、ぎゅっと身体を抱き締めると 次の刺激を強請ろうと。]* (-145) 2021/06/06(Sun) 20:21:28 |
[1] [2] [3] [メモ 匿名メモ/メモ履歴] / 発言欄へ
情報 プロローグ 1日目 2日目 エピローグ 終了 / 最新