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【秘】 不知 ミナイ → 夏の雪 ユメカワ『世界はいつだって残酷だ このメッセージも消えてしまうのかも知れないけれど』 『ボクは 止まったキミたちに いつか追いつくよ』 『ごめんね』 共にゆけないで。 寂しさを和らげられなくて。これはボクのわがままだ。 『皆は怖いのかな、それを訪ねるのも楽しそうだ。 だけどボクは違う』 『この命が動いているうちは 誰かのように輝きたい 。価値を持ちたい、変わりたい、このままの自分で死にたくない。 いつか止まるとするならば』 『ボク自身という存在を全て捧げて無くしてしまった時が良い』 キミが欲しいな、キミの物が欲しいな。 誰かが欲しがった価値のある物で染まりたいな。 この真っ白な髪も、肌も、傷も、身体の中まで。 全部自分じゃなくなって、誰かの綺麗で染まれたら。 全部貰って、全部 お返し が出来たら。この命に価値があったと思って、それはもう。 気持ちよく、止まることができるのだろうな。 (-197) 2022/07/13(Wed) 12:32:07 |
【秘】 夏の雪 ユメカワ → 夢の先 ライカふたりきりの教室に、微かな吐息と濡れた音。 そっと舌を重ねて、優しくその輪郭をなぞって、深く深く。 薄い粘膜同士で触れ合って、誰よりもずっと近くで君を感じられる。 どうしようもない多幸感でじわじわと満たされていく。 それでももっと欲しくなる。 「………あは、」 そうしている内に、とん、と胸を叩かれて。 名残を惜しむようにゆっくりと唇を離して、息を吐く。 いつになっても君の息継ぎは少し辿々しくて、 だからいつも音を上げるのは君が先だったな。 「俺、夏彦と同じ事しただけじゃん」 先に不意打ちしたのはそっち。 なんてのは、子どもの言う屁理屈みたいなもの。 君の様子は想定内で、手を引かれながら、目を細めて笑った。 繋いだ手は、今度はきっと、恋人同士のかたち。 今度こそ──同じ夢を見て、その先へ。 (-198) 2022/07/13(Wed) 14:01:54 |
【秘】 夏の雪 ユメカワ → 夢の先 ライカ「ここ出て右の方の突き当たり、」 廊下の隅、目立たない階段。 普段使われる事の少ない場所だろうし、それはそうだよな。 一度見に行って、そんな事を思ったのを覚えている。 「から、屋根裏に上がれて。 屋根に穴が開いてるみたいだから、 適当に何か積めば屋根の上に出られると思うんだけど」 屋根裏に無造作に積み上がった箱や瓦礫は、 猫にとっては階段のようなものだっただろうけど。 人間が登ろうとしたら、少し頑張らないといけないだろうな。 「連れていってくれる?」 とぼけたふりして先導はせず、 さいごのデートは君に手を引いてもらおう。 だってほら、君達に甘えるのは俺の特権だからさ。 (-199) 2022/07/13(Wed) 14:02:22 |
ユメカワは、君に連れていってほしい。 (a73) 2022/07/13(Wed) 14:04:19 |
【秘】 夏の雪 ユメカワ → 不知 ミナイ『俺はさ やっぱり今の明日香ちゃんが好きだよ』 『今の皆が好き』 『きっと皆だって、本当はそう思ってる』 『それでも変わらないものは無いって、諦めてる』 『俺は諦めたくはないよ』 『今を今のままにする為に、今の皆が欲しい』 (-200) 2022/07/13(Wed) 15:17:17 |
ユメカワは、自分勝手だ。 (a74) 2022/07/13(Wed) 15:17:24 |
【秘】 夏の雪 ユメカワ → 不知 ミナイ『ねえ、明日香ちゃん』 『生きていたって、今以上の価値を持てるかなんて』 『今より良い方向に変われるなんて保証は無いんだ』 『どんなに綺麗なものも、時間が経てば徐々に色褪せていく』 『時が動く限り、自分以外の誰かの価値観の変動は止められない』 『君が見た誰かの輝きは、 明日には見向きもされなくなっているかもしれない』 (-201) 2022/07/13(Wed) 15:24:28 |
ユメカワは、未来をあんまり信じていない。 (a75) 2022/07/13(Wed) 15:25:06 |
【秘】 夏の雪 ユメカワ → 不知 ミナイ『要らない自分なら、俺にくれてもいいでしょ』 夢川は君の願望を肯定している。 「──なりたいようになれるのが一番素敵だよ。」 『先生だって、自分の為の生徒を探してる』 それは君が"君"でなくなったとしても続く価値だ。 「──でも生徒がいなくちゃ、先生はできないだろう?」 『おいでよ、明日香ちゃん』 選ぶも、選ばないも、それは君達の自由。 けれど選ばなかった君達にとっては、きっと失うものは多い。 『俺達はどんな君でも 君に居てほしいんだ』 誰かが欲しがったものを欲しがる、そんな君を欲しがったなら そうしたら君はどうするんだろうな。 君が"君"のままであっても、君が"君"でなくなったとしても 夢川達にとっての価値は、何れにしたって不変のものだ。 (-202) 2022/07/13(Wed) 15:26:33 |
ユメカワは、何一つとして失くしたくはない、ひどく欲張りな子どもだった。 (a76) 2022/07/13(Wed) 15:30:47 |
【秘】 傷弓之鳥 マユミ → 夏の雪 ユメカワ『難しいことを考えているのですね。 拙より深雪のほうが、ずっと大人です』 少女はただ、避けようのない事実から目を逸らして駄々をこねていただけ。 逃れられないと知っていながら、それでも何もせず意識しないよう遊び呆けていただけ。 「……」 入力中。 それは、貴方が故人であると知ってから。 暫く、入力中の三文字が貴方の視界に映るかもしれない。 『死んだ人と会話をしたと、とある子から聞いていましたが』 『深雪がそうなのですね』 『まず、拙達に会いにきてくれたことに、お礼を言いたいです。 ありがとうございます、深雪』 ▽ (-204) 2022/07/13(Wed) 15:51:04 |
【秘】 傷弓之鳥 マユミ → 夏の雪 ユメカワ『そうですね。突然でした』 『突然、拙の"いつも通り"が崩れました。 完全に元に戻ることはありません。 どれほど拙が大丈夫なように振る舞っても、周りが意識するのです。壊れた時の傷跡は、必ず何処かに残っている』 それは不可逆の変化。 知ってしまったら、知らない頃に戻ることなど出来やしない。 『あの日、崩れた時から』 『拙はずっと考えていました。子供のままいられたら、と。大人になるにつれ皆と離れ離れになることが嫌で、叶うならばずっとずっと皆と何も難しいことを考えることなく遊んで楽しく過ごしていたい』 『まさに深雪の考えと同じです』 『けれど生きている以上、歩むことを放棄し時を止めることが出来ない以上、叶えることは無理難題と同義で』 『それこそ死ななければ、深雪のいる場所に行かなければ掴めないことです』 ▽ (-205) 2022/07/13(Wed) 15:51:28 |
【秘】 傷弓之鳥 マユミ → 夏の雪 ユメカワ『でも』 『見て見ぬ振りは長続きしないと言ってくれたように』 『ずっと続く"今"に浸り続けても決して満足しないだろうと言ってくれた人もいます』 『拙にとっては、深雪もその人も大事な友達です。無視できない言葉です』 液晶をなぞる指の動きは緩慢で、けれど着実に。 『拙は考えることを沢山やめてきました』 『辛いのが嫌だからと、痛みを感じたくないからと、何も考えないようにしていました』 『けれど、今ここで何も考えずに答えを出してしまったら。今まで通り、流されるまま流されていたら』 『真摯に拙に言葉をくれた深雪にもその人にも、同じだけ返せたとは言えません。誠実ではありません』 『深雪はきっと、自分側に来てくれるだけで構わないと思うかもしれませんが……拙が納得できないのです。 話をちゃんと聞いて自分で考えて出した答えでなければ、拙はきっと死んでも死にきれない。昔通りの楽しい気持ちで深雪と一緒にいられない』 『それこそ、"楽しかったあの頃そのもの"になれない』 思考は錆びついている。動かすことは容易ではない。けれど、同じものを同じだけ返せないまま流されることも許容できなかった。 『ですからどうか、皆ともう少しだけ待っていてください。 答えを出して、改めて話に来ます』 (-206) 2022/07/13(Wed) 15:53:21 |
【秘】 夏の雪 ユメカワ → 傷弓之鳥 マユミ『おかしな事言うね』 『結局俺は大人になれないまま終わっちゃったのにさ』 「────大人になったら、」 そんないつかの終わりが来る前に、全ては終わってしまった。 『俺がそうかはわからないけど』 『俺は会いに行こうと思って来たわけじゃないんだ』 『多分、呼ばれただけ』 『皆が居た事は俺がここに来た要因の一つだろうけど』 『誰かにとかじゃなくて』 『この場所そのものが呼んだようなものなのかも』 古くから異界の地、或いは神域とされる山のほど近く。 今や人の営みの痕跡だけが残り、打ち棄てられ寂れた廃校。 行き場のない幾多の想いが吹き溜まり、滞り、蟠る。 人ならざるものの時間である夜半の、そんな場所だから。 そんな場所に、鳥飼が皆を連れて来てしまったから。 だからきっと、こうして確かにここに居て。 死者の声が、死者の手が、君達に届いてしまう。 そこにあるから、諦めきれず手を伸ばしてしまう。 皆にまた会えた事は、あの日をやり直す機会を得られたのは。 確かに嬉しかったけれど、そうあるべきではなかったとも思ってはいた。 今となっては、何もかも全て、ほんとうに今更なのだけど。 (-228) 2022/07/13(Wed) 21:38:05 |
【秘】 夏の雪 ユメカワ → 傷弓之鳥 マユミそうして、ゆっくりと流れていく文字を見る。 君達が自分から来てくれたら、それが一番だとは思っていて。 けれど、そう簡単に頷いてはくれないだろうな、とも思っていた。 自分が君達に向ける好きと、君達の好きが同じとも限らないから。 この時点では、ただそれだけ。 そこにどんな理由が、どんな想いがあろうとも。 人は生と死を天秤に掛ける時、そうすんなりとは決断できないのだと。 それを正しく理解するのは、もう少し後の事だった。 『どっちを選んでも きっと完全には納得できないよ』 『納得できなかったでしょ、今までも』 『俺達はそれを納得できるようにはできてないんだよ』 『どうやったって昔には戻れない 今は今のままだけど』 『それでも 一緒に来てくれたら、俺達は傍に居てあげられる』 『生きてる限り、ずっとは無いけど 俺達ならそれができる』 『今を手放した後に、麻弓ちゃんの傍に居てくれる人は居るの?』 今を引き延ばして繋ぎ留めて、そうして作った世界というものは いつかはきっと澱んで膿んでいく。永い時は死者をも狂わせる。 けれど、そうだとしても、それでも。 寂しがり屋はそんな停滞をどうしようもなく愛してしまったから。 『答えは次の時に聞ければいいからさ』 『待ってるよ』 (-229) 2022/07/13(Wed) 21:41:01 |
ユメカワは、約束をまたひとつ。いつかの事。 (a79) 2022/07/13(Wed) 21:42:19 |
【置】 夏の雪 ユメカワそんないつかのどこかでの、ひとりごと。 「…悩める時間があるっていうのは、いいよな」 「そんなの、俺にはもう無いのに」 楽しい時間は、既に終わりを告げて。 自分達の立つ境のきざはしは今既に、半ば落ちつつある。 引き返す道などとうに無く、 進むも飛び降りるも、決断までの猶予はそう長くはない。 待ってる時間くらいは、あるんだけどさ。 (L4) 2022/07/13(Wed) 21:51:29 公開: 2022/07/13(Wed) 22:00:00 |
【秘】 夢の先 ライカ → 夏の雪 ユメカワ同じではない気がする。いつだって君の方が一枚上手だ。 ……なんて言ったところで、水掛論。 「………もう。」 仕方ないな、と独りごちれば 五指を絡めた手を引いて、君の言葉の通りに空き教室を後にする。 「連れて行くよ。 離さないからさ、安心して。」 ここを出て、右の突き当たり。 廊下の隅の目立たない階段。 屋根裏に上がる──前に、音楽室からパイプ椅子を拝借してやった。 足りなければ、瓦礫でも何でもかき集めてやればいい。 「さっきセンパイと来た時、 階段なんて見逃してたな……。」 情けないけれど 君以外見えていない、証左。 さて。 パイプ椅子を引き摺って屋根裏へと登れば、確かに上へと続く穴がある。 ぎし、とパイプの鉄錆を鳴らして踏み付けて、屋根の上──いちばん高い場所へと辿り着くだろう。 君を先導して、手を引いて。 存分に甘やかすのは、僕の特権。 ▽ (-241) 2022/07/14(Thu) 1:15:18 |
【秘】 夢の先 ライカ → 夏の雪 ユメカワ───屋根上。 星空にいちばん近い場所。 落ちてしまわないように、確と足腰へ力を込めて ゆるりと屋根へ腰を下ろす。勿論、君を隣へ誘って。 「……カメラじゃ、 上手く撮れないんだよね、星って。」 電気の灯りが少ない町では 夜空に星々が力一杯煌めいていて、 そうして、大きな月が、僕たちをいっとう優しく照らす。 まるで二人の選んだ夢を、 見守ってくれるみたいだ。 「……綺麗。」 星空、それから君が。 僅かに残る死への恐怖を、全部飲み込んでしまいそう。 「夜景は、見に行った事無かったよね。 夜は……いつも、家で……、だったし…………。」 ……もう少し。 もう少しだけ、デートを楽しませて欲しい。 これから踏み出す一歩は、あまりにも大き過ぎるから。 (-243) 2022/07/14(Thu) 1:17:23 |
【秘】 夏の雪 ユメカワ → 夢の先 ライカ仕方ないな。 隣から聞こえた言葉は期待していた通りで、嬉しくて。 また一つ笑みを零して廊下を行く。一緒だから、大丈夫。 途中踏み台代わりに椅子を拝借して、そうして── 一歩、そして一歩、そしてまた一歩。 ふたり階段を上るたび、少しずつ最後の一瞬へと近付いていく。 屋根裏に辿り着けば、軋んだ音を立てて、また一つ上る。 椅子を踏んで、君が引く手に行き先を委ねて、屋根の上へ。 終わりの先へ辿り着く為に。 (-244) 2022/07/14(Thu) 3:45:30 |
ユメカワは、君に手を引かれるままに。 (a83) 2022/07/14(Thu) 3:45:42 |
ユメカワは、ぎ、と踏み台を踏んだ。 (a84) 2022/07/14(Thu) 3:45:48 |
【置】 夏の雪 ユメカワ夢川が空き教室から姿を消した後、 グループメッセージの既読の数はまたひとつ減った。 ──三階の、階段を上がってすぐの教室。 置き去りにされたスマートフォンが、時折虚しく通知音を鳴らす。 その液晶は罅割れて、ところどころが血で汚れていた。 持ち主の手の中にある間は、確かに綺麗だったはずなのに。 (L5) 2022/07/14(Thu) 3:47:33 公開: 2022/07/14(Thu) 4:00:00 |
【秘】 夏の雪 ユメカワ → 夢の先 ライカそうして校舎の外へと出てしまえば、 静かな夏の夜の空気は先ほどまでよりずっと澄んだものに感じて 月明かりだって差し込むだけのものよりもっと明るくて。 屋根の上に居る特別感も合わさって、違う世界に来たみたいだ。 「ん……撮るのも忘れちゃいそうなくらい、」 傾きつつある月は、手を伸ばせば届きそうなくらい近くに見えて。 その後ろでは大小さまざまの星がまだ暗い空を飾っていて、 高層建築も少ない土地だから、そんな空が遠くまでよく見える。 君の隣で見るこの景色が、この時間が、ずっと続けばいいのにね。 「きれいだね」 それだけを言って、隣に座る君にそっと肩を寄せた。 ずっとは続かない。この先に行かない限り、それは叶わない。 けれど、けれど、せめて。 記憶の中に切り取る今が、少しでも多くなればいい。 「………あは、いちゃいちゃするのに忙しかったね? 俺は夏彦の事を構う方が好きだし、何より二人きりの時は 普段よりもっと可愛いから。別にいいんだけどね…」 声を潜めて囁くように、ちょっと意地の悪い言い方をする。 レンズ越しじゃない君の月白色の瞳が、 自分だけを見ているのは、事実とっても気分が良かった。 これからもそうなるのだと思えば、 やっぱり諦められそうにはない。まだ少し、時間はあるけれど。 (-245) 2022/07/14(Thu) 3:49:29 |
【置】 夏の雪 ユメカワ皆と居る日々が好きだった。なんでもない日々がよかった。 それさえあればよかったんだ。 夏彦が隣に居て、ふと目が合って、なんだか嬉しくなって。 栗栖が面白そうな事を持ってきて、稔がひょっこり顔出して 麻弓ちゃんが元気にやって来て、牧夫兄が苦笑しながらそこに加わって。 明日香ちゃんが怪我したらおいでって声掛けて、 不意に鹿乃姉がぴゃって声上げて、つられて裏道がびっくりして。 そんな二人を梢ちゃんが上手く宥めて、皆を纏めてくれて。 そんな日々が、 (L6) 2022/07/14(Thu) 4:50:45 公開: 2022/07/14(Thu) 5:00:00 |
【置】 夏の雪 ユメカワもう戻らないなら、どうしたらいい? 全部全部がいっぺんに叶う方法なんて、もうこれしかないじゃん。 他にどうしたらいいんだ、教えてくれよ。わかんないよ。 俺は楽しければそれでいいからって、今まで全然頑張ってこなかった。 甘えてばっかのやらなきゃできないだめな子なんだよ。 吁、だからか。 (L7) 2022/07/14(Thu) 4:51:17 公開: 2022/07/14(Thu) 5:00:00 |
ユメカワは、鏡の前で呟いた。「俺が悪いの?」 (a85) 2022/07/14(Thu) 4:51:30 |
ユメカワは、鏡の中で笑っていた。ただただくらく笑っていた。 (a86) 2022/07/14(Thu) 4:52:35 |
ユメカワは、そんな、いつかのどこかでのお話。 (a87) 2022/07/14(Thu) 4:52:42 |
【秘】 不知 ミナイ → 夏の雪 ユメカワ『保証はないね』 自己満足だ。 『言うとおりだ、誰かの視線なんてすぐにかわって』 健康になったと思ったら、すぐに。 『いつになっても置いていかれる』 躓いて、皆の差が縮まらない。 だから、人のものが、 (-274) 2022/07/14(Thu) 18:56:21 |
【秘】 不知 ミナイ → 夏の雪 ユメカワ『欲張りさんめ』 失う物が何もない、皮肉すぎるよそんなもの。 『それならキミをくれないと』 キミはこうして誘ってくれたね、 でも、彼は二人っきりがよかったのかもよ? 『ボクだってキミ達が欲しかったんだから』 それでももう少し押せばその間に挟まれたのかなとか。 でもあいにく、それはボクの性癖に沿ってないんだ。 『なんで』 なんで死んでしまったんだよ もっと、共に話しておきたかった、 仲良しな姿を見ていたかったよ ちょっと拗ねた姿も見たかった (-275) 2022/07/14(Thu) 18:58:35 |
【秘】 不知 ミナイ → 夏の雪 ユメカワ『ボクはキミ達に生きて欲しかったよ』 『生きて居るキミ達が良かったよ』 『この事だけは 嘘を吐けない』 『死んでいても良かったなんて』 『言わないんだって』 『だから お別れ』 『止めないから 惜しまないから』 『ずっと手に入らないキミ達を欲しがり続ける』 喪って悼んで、いつか。追いつくから。 『ばいばいだ』 (-276) 2022/07/14(Thu) 19:00:30 |
【秘】 夢の先 ライカ → 夏の雪 ユメカワ君と当たり前みたいに隣り合って、 綺麗なものを綺麗だと、好きなものを好きだと言って まるで普段と変わらないW日常Wを、味わって。 レンズを通さずに見上げた空は、いつもよりも綺麗に見えた。 嗚呼、これから死ぬんだ、なんて。実感は未だ湧かない。 「か、わいいって……僕が………?」 そうして、君のストレートな言葉には、むっと眉を顰める。 可愛がられるのも嬉しいけれど、 他の誰でもない君には、もっと─── 「格好良いとか、頼り甲斐があるとか そういう方が嬉しいんだけど……?」 ……そっとその横顔に、頬に唇を触れさせて 意地悪には、不意打ちで仕返してやった。 ▽ (-278) 2022/07/14(Thu) 20:04:32 |
【秘】 夏の雪 ユメカワ → 不知 ミナイ『そんなの、知ってたでしょ』 俺が欲張りで、自分本位で、寂しがり屋な事なんて。 それでもしょうがないなって許してくれる君達に甘えてた。 『言ってくれなきゃわかんないよ』 寂しいからって、甘えたふりをして。 図々しく君達の傍に、心に踏み込むのは、確かに俺の特権だったよ。 それでもそれは、それを許してくれる君達の優しさに ただ甘えていただけなんだから。 『なんでだろうね』 理由なんて無い。意味も無い。 俺だって、あの時、あんな形で死にたくなんかなかったよ。 いつも通りの、けれどかけがえのない日々の中で。 皆ともっとずっと一緒に居たかった。もっと話していたかった。 離れ離れになったって、連絡が取れなくなるわけじゃない。 だからきっと、あの先にもまだ道はあったはずなのに。 (-279) 2022/07/14(Thu) 20:04:32 |
【秘】 残雪 ユメカワ → 不知 ミナイ「………あは、」 画面越しに告げられた別れに、いつも通り笑った。 もう手に入らないものを欲しがり続ける。 好きだけど、好きだから、諦めきれないし、譲れない。 我儘はお互い様。なら、しょうがないな。 『残念』 『君が止めないなら、俺も止めないよ でも』 『生きてる俺も 俺のこれからも もうあげられないけど』 『これまでの俺と、今の俺はあげられる だから』 『夢川深雪を君の中に連れていって』 『髪を切って、染めて、寂しがって』 『君の中で価値が無くなるまで。』 『君の時が止まるまで、俺の代わりに生き続けて』 ばいばいも、さようならも、君には言わない。 いっぱいいっぱいの君の手の中に、重さをもうひとつ。 この程度の重みを耐え難く思うなら、今、全部下ろしてしまいなよ。 きっとこれから先、もっとたくさんのものを抱えていくんだから。 (-280) 2022/07/14(Thu) 20:05:33 |
ユメカワは、いつも通り笑って。 (a92) 2022/07/14(Thu) 20:05:57 |
ユメカワは、君にお別れをしない。 (a93) 2022/07/14(Thu) 20:06:04 |
【秘】 夢の先 ライカ → 夏の雪 ユメカワそんなふうに君と笑い合って、戯れて。 どれだけの時間が経っただろう。 軽口から、意地悪、愛の言葉まで。 伝え合って、何となく互いに言葉が止まる頃。 「………、」 そろそろかな、なんて 誘うように両腕を広げて、君をまっすぐに見据える。 「好きだよ、深雪。 ずっと……一緒に居よう。」 太陽が目を覚ます前に。 行かなくちゃ。僕たちの夢の先へ。 君をこの腕に抱いて、その後はどうしよう。 何もかもに逆らって、空でも飛んでやろうか。 (-281) 2022/07/14(Thu) 20:06:12 |
【置】 夏の雪 ユメカワひらひら はらはら 夏の雪が降る ぱらぱら、ぱらぱら、降るのはちいさな写真。 まっくらでなにも写っていない、さみしい写真が10枚ほど。 インスタントカメラが写したはずの、写せなかった光景。 楽しくなかったから撮れなかったのかな。 そうじゃなくても、どのみちもう撮れなかったのかな。 今となってはわからないけど、もういいんだ。 もう 大切な今は、写真に切り取らなくたっていいから。 記憶の中に切り取って、そのままのかたちで、ずっとこの手の中に。 だからこのさみしい一瞬は、すべてここに置いていこう。 壊れたものだって大切だから、壊れたまま共に在ろう。 終わりの先で、永遠を共にしよう。 ひらひら はらはら 夏の雪が降る (L9) 2022/07/14(Thu) 20:51:55 公開: 2022/07/14(Thu) 20:55:00 |
【秘】 夏の雪 ユメカワ → 夢の先 ライカふたりきりの世界で、今は他愛無い戯れを。 肩を寄せ合って、言葉を交わして、愛を謳って。 かけがえのない時間の中、広がる沈黙は心地良い。 そうして、ふと。 まっくらな、なにも写っていない写真を取り出して。 屋根の端の向こうへ少し腕を伸ばして手放せば、 ひらひら はらはら 風に舞って屋根の下へと落ちていく。 それを暫し眺めた後に、君がゆっくりと腕を広げて。 まっすぐな君の眼を見て、一歩。 「うん。…大好きだよ、夏彦。」 ああ、幸せだ。そっと笑って、誘われるまま君の腕の中へ。 片手を繋いで、そっと身体を寄せて、 「これからも一緒に居よう、ずっと、ずっと……」 「──そのリボンで小指と小指繋いでみたらどうだろう、」 小指、だけじゃ、嫌だな。 そう思って、胸元のリボンを解いて、繋いだ手に結んで。 そうしたらあとの片手は君の背に回して、 「ずっと、離さないから」 ぎゅっと抱き合って、宙を舞う写真達の後を追う。 そのまま、同じ夢の底へ落ちていく。 (-285) 2022/07/14(Thu) 20:53:45 |
ユメカワは、校舎の屋根の上。 (a94) 2022/07/14(Thu) 20:54:53 |
ユメカワは、君と手を繋いで、君と抱き合ったまま、 (a95) 2022/07/14(Thu) 20:54:58 |
ユメカワは、屋根の端、その向こうへ、身を投げだした。 (a96) 2022/07/14(Thu) 20:55:09 |
ユメカワは、君と同じ夢の底へ落ちていく。 (a97) 2022/07/14(Thu) 20:55:14 |
ユメカワは、そして──現実から覚めて、夢に起きる。 (a98) 2022/07/14(Thu) 20:55:18 |
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