情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 エピローグ 終了 / 最新
【人】 奉公人 ユヅル「……右方の舞が選ばれましたか」 宿の片隅に賜った自室。開け放った窓の遠くより、 印が消えたと騒ぎ立てる島民達の声がする。 部屋の中央に座して、喧騒を聞き流す。 暫くの間そうしてから 目の前に横たえた和弓に手を伸ばした。 弦を指先で抓み、弾く。 「ひい、ふう、み、よ、いつ、む、なな」 高くも低くもない声が七つ、数字を数え上げた。 弦の音は時間を置きながら半刻ほど、 宿の周りでひっそり響いていただろう。 (6) 2021/07/24(Sat) 22:19:54 |
ユヅルは、静かに弦を鳴らしている。 (a1) 2021/07/24(Sat) 22:20:37 |
【人】 奉公人 ユヅル「………………。」 奉公人が警策を携えて歩いている。 他の島民に出会っては仕事の捗り具合を聞き、 お疲れ様ですと声を掛けては次に行く。 今のところ軽快な音が響く様子はない。 あの警策はどうしたことか、と事情を知らぬ者達が 遠目に囁きあっているのが見える。 「祭礼の終わりが近づいているからか、 皆々さま一様に仕事に励んでいらっしゃる。 ………良きこと、でしょうか」 宿の遣いがてら運営の様子を見回っているだけなのだが、 当人の真面目顔と手に持った棒のお陰か 歩いているだけで島民の背筋が伸びるというものだ。 (13) 2021/07/26(Mon) 12:05:13 |
【鳴】 奉公人 ユヅル「いよいよ、今宵が大一番となるでしょう」 月がまた昇る。 金の瞳に月を浮かべ、弓を構えた。 「………幸多からんことを、願います」 最後に一度、強く弓弦を引き絞る。 矢をつがえずに鳴らすのは魔除けの作法だ。 弦が空気を震わせ、拡がる。 余韻が溶けて消えゆく中、弓手は静かに佇んでいた。 (=0) 2021/07/27(Tue) 20:19:44 |
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 エピローグ 終了 / 最新