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【秘】 座長 トラヴィス → 酔吟 ミズガネ1日目。 いつかの時間帯。 そこは部屋の前か、廊下か。はたまた庭か。 兎に角、どこかで貴方の姿を見つけた男が、「やあ」と気さくに声を掛ける。 「やあ、やあ。君。 初めまして、久しぶり───とでも言おうか? この館で、君の姿を見た事はある筈なんだが、 こうして会話の機会には恵まれ無かったよね。」 与太話でもどうだろうか、と にこやかな笑みで貴方を見据えた。 (-195) 2021/10/17(Sun) 0:49:45 |
【秘】 酔吟 ミズガネ → 座長 トラヴィス男は廊下にいた。誰かと飲み、誰かを送り届けた後なのだろうか。酒精を纏い一人静かに歩いていた。 「……ああ。お前はW座長Wの。確かにな、お前の姿はよく見かけるが話したことはなかったな。 噂には聞いているとも。主人気取りのトラヴィス様」 貴方と何かあった訳ではないし、貴方の知らない水面下で何か起きた訳でもない。単純に、男は自信に満ち溢れているように見える貴方のことが気に食わないのだった。 華やかな笑みを浮かべる貴方とは反対に、男はつっけんどんに言葉を返す。 (-199) 2021/10/17(Sun) 1:03:33 |
【秘】 座長 トラヴィス → 巫女 ユピテル「人に見せるような部屋じゃない、 けれども『自力で君が見つけた』のならば それは仕方のない、不可抗力だよね。」 「…………」 「また……明日」 好きにして、と言外に示した男は 貴方がパーソナルスペースに立ち入る事が、 そしていずれ失う事が、怖いだけだった。 (-211) 2021/10/17(Sun) 1:22:45 |
【秘】 座長 トラヴィス → 酔吟 ミズガネ貴方よりも15cm高い視点から、貴方を見下ろす。 「おや、おや。 気取ってなどいないさ。 彼らが勝手に私をそう評価するだけだよ?」 朗らかに笑む。 この男は、広間から歩いてきた所だ。 男が見事な笑顔の裏で、機嫌が非常に悪いとは貴方に分かる筈もない。 ──鼻腔に、アルコールの匂いがくすぐった。 「……ね、どうだい? 私とも酒を飲み交わそうよ。 折角なのだから、君の事が知りたいな。」 貴方が肯定ととれる態度を少しでも示したならば 男は貴方を自室へと連れて行くだろう。 向かいざまに使用人を呼び止め、あるだけのワインを用意するよう言付けながら。 (-215) 2021/10/17(Sun) 1:43:12 |
【秘】 酔吟 ミズガネ → 座長 トラヴィス「ハッ、そうかよ。お前が気取っていないつもりでも、周りの目からはそう見えるんだよ。嫌なら振る舞いを変える事だな」 見事な仮面を被る貴方とは裏腹に、男は棘を隠そうともしない。貴方の機嫌が悪いことにも気付かないまま。 「はあ?お前と?なんで……」 反射で断りを入れようと思ったが、一瞬間を置いて思考する。 ……気に食わない相手の素性を知るまたとない機会なのでは? 「……分かった。俺もお前のこと知りたかったしな。お勧めの酒と共に教えてもらおうか」 少しだけ棘を潜め、貴方に大人しくついていくだろう。 (-227) 2021/10/17(Sun) 2:17:59 |
【秘】 座長 トラヴィス → 酔吟 ミズガネ「そう、 嫌ではないから、今後私が態度を改める事はないな。」 部屋の扉を開き──一歩下がって貴方を先に通せば──音を立てずに扉を閉めた。 室内は天蓋付きのキングサイズベッド、 それから広い机に、椅子。 机上には既に赤白のワインボトルがいくつも用意されており、 部屋も特に荒れた様子は無くなっている。 椅子を引いて貴方の着席を促して、 自分も向かい側へ腰掛けた。 「………さて、 私のことが知りたいのかい? 光栄だな、何から聞いてくれる?」 手慣れた動作でボトルのキャップを切り、 スクリューをコルクへ押し込む。 ぐっと斜めに力を込めて、後は力任せに引き抜けば、 ふわりと室内へ葡萄の香りが広がった。 グラスへ赤を柔らかく注いで、貴方へ差し出す。 貴方が手に取るならば、そっとガラスを重ねるだろう。 (-230) 2021/10/17(Sun) 2:34:55 |
【秘】 酔吟 ミズガネ → 座長 トラヴィス「……お気に入りの下女から聞いた。 "座長"と呼ばれるトラヴィスがこの館にやって来たのは数年前。そして、どこかで劇団の座長を務めていた者が突然消息不明になったのも数年前だと。 ……真相はどうなんだ?なあ、座長さん?」 部屋へと案内され、腰を落ち着けてもむすりとした表情だったものの。赤ワインの芳醇な香りが鼻をくすぐればその硬さも自然と解けていった。 ルビーを揺らして貴方のほうへグラスを傾ける。「乾杯」の声に合わせてかちりと控えめにガラスを歌わせ、そっと静かにグラスに口を付ける。 (-231) 2021/10/17(Sun) 2:44:51 |
【秘】 座長 トラヴィス → 酔吟 ミズガネ「はは、無粋だなあ。 その内容がそこまで気になる訳でもなかろうに。 大方、私の弱みでも突きたいだけだろう? であれば、もっとストレートに尋ねたまえよ。」 すらりと伸びる足を組む。 机へ肘を置く。手の甲で頬を支える。 ワイングラスの縁を、人差し指の腹でなぞった。 「私としては、 君の竪琴の弦。それの錆び具合が気になる所だな。 チューニングの仕方を忘れた訳ではあるまい。」 そうしてつらつらと言葉を発しつつ、 貴方へ何度もワインを注ぐ。 グラスが透き通れば、何度も何度も赤で満たす。 酔い潰そうという魂胆すら、貴方に透けて見えるだろうか? (-235) 2021/10/17(Sun) 3:01:42 |
【秘】 酔吟 ミズガネ → 座長 トラヴィス「あっそう。じゃあ聞く。 お前なんでこんなところで劇団を放ったらかして悠々と寛いでるんだよ。嫌になったのか?」 自分とは対照的な相手。その優雅で余裕のある仕草に思わず舌打ちが出そうになるのをぐっと堪える。 「……チッ。随分観察力に優れた座長だな。そんな有能な座長がいなくなったとなればさぞ劇団員も嘆き悲しんだだろうに。当の本人はこんなところで酒を飲んで自堕落に過ごしてるなんて知ったらどう思うんだか。 ……俺の竪琴の事はいいだろう。休業中なんだ、再開するときにでも交換するさ」 結局舌打ちが飛び出した。 その後も不機嫌そうに飲み進めていたが、ワインに罪はない。その味を楽しみながら喉が燃える感覚に身を委ねていたが── 「……おい。随分とペースが遅いじゃないか。 お前のグラスが寂しがっているぞ」 酔っ払って箍が外れる前に気付いた。 アルコールが回り始めた体とは裏腹に、貴方を射抜く瞳は冷え始めている。 (-237) 2021/10/17(Sun) 3:18:45 |
【秘】 座長 トラヴィス → 酔吟 ミズガネ「『何もかもが嫌になった。 自堕落に過ごしていて、 劇団に申し訳ない気持ちでいっぱいだ。 そんな後悔を背負って、 今日も私は泥水と共にワインを煽る』 ─────とでも、言って欲しいか?」 仕方ない、と瞳を伏せ グラスへ唇付け、傾ける。 「望むなら、君とそんな戯曲を踊っても良いさ。 館の箱庭──舞台の主役は君と私。悪くないね。 まずはステップの仕方から教えよう。」 冗談、と笑う。 この男、アルコールには33%ほど強い。 「楽しみだな。 君が再開した暁には、 42弦を必死に張り替える君が見えるのか。」 (-241) 2021/10/17(Sun) 3:42:21 |
【秘】 酔吟 ミズガネ → 座長 トラヴィス「三流とすら呼びたくない程のクソッタレな台本だな。聞いた俺が馬鹿だった」 不機嫌な様子も隠しもせず、更に舌打ちを重ねる。 貴方が戯曲の話として此方を巻き込もうとすれば、苛立ちの炎は更に轟々と燃えあがっていった。 「……ッ煩い。お前なんかと一緒にするな。誰がお前と踊るか。道化は一人で寂しく踊っていろ。それなら俺は仕事でお前のことを高らかに歌い上げてやる」 ちなみに男はおよそ9杯分から箍が外れる酔い方をするが、そうなる前に酔い潰す魂胆は見抜いてしまった。 グラスに残っていた赤を飲み込み、苛立たしげに音を立てながら卓上に置いた。 (-242) 2021/10/17(Sun) 3:53:11 |
【秘】 座長 トラヴィス → 酔吟 ミズガネ「…………私に脚本の才能は、無かったからね。」 ぽつり、水面に落とされた雫のように呟いた。 それからぐっとグラスの赤を煽る。 96ぐらいのアルコールが回った。 → (-243) 2021/10/17(Sun) 4:01:08 |
【秘】 座長 トラヴィス → 酔吟 ミズガネ嗚呼、嗚呼。 思い出したくない過去を、思い出してしまった。 逃げるようにグラスの底から赤を奪えば、 喉を焼くような発酵葡萄の渋み。 眉間を惜しみなく寄せて、瞳を伏せる。 そもそもワインは、一気飲みするものではない。 「………こんな季節のことだった、あれは、 いやに思い出してしまう、いけないな……。」 がたん。乱暴に立ち上がり、貴方へ詰め寄れば 胸ぐらを掴んで、近くのベッドへ引き摺るように投げる。 貴方が苛立ちに気を取られず、これに抵抗をするならば 更に乱暴に、ベッドではなく床に組み敷こうとするだろう。 理性が外れ、溺れる為の欲を求める男の力は、 鍛えた経験があるのかそれなりに強い。 酔っ払いが貴方に、八つ当たりをしようとしている。 「歌に自信があるのなら……私の下で存分に歌わせてやる。」 (-244) 2021/10/17(Sun) 4:18:35 |
【秘】 酔吟 ミズガネ → 座長 トラヴィス「……はあ?おい、お前、いきなり何を」 様子がおかしい。気付いたときには視界が揺れて。急に体が浮き上がる。 「なッ、おい!機嫌を損ねたからって暴力を振るうってのか!?馬鹿、やめろッ、クソッ、おい離せ!」 胸ぐらを掴む手を両手で押さえ、咄嗟に足で向こう脛を蹴飛ばそうと体を揺らす。 それでも相手はびくともしない上に、更には。 「……がァっ!ぐ、ぅ……っ!」 中途半端に浮き上がっていた体が唐突に地面に叩きつけられる。背中越しに伝わる衝撃に顔を歪め、いよいよもって逃げられないことを全身で理解する。 「……おま、え……ッ、最ッ低だな……! 仮面の下はとんだケダモノだったなんてな、ああクソッ、力が強いんだよ馬鹿!俺は男だぞ!?離せ、お前に抱かれる趣味なんてない!」 (-247) 2021/10/17(Sun) 4:37:23 |
【秘】 座長 トラヴィス → 酔吟 ミズガネ「うん、君に無くて、それが? 私に関係あるかな。」 床を跳ねる腕を重ねて掴む。地に押し付ける。体重を掛ければ、片手で苦労はない。 貴方の膝下へ腰を下ろせば、脚をバタつかせる事すら容易くはなくなるだろう。 どうやら、筋力の差も此方に味方しているらしい。 空いた手で貴方の衣服を剥ぐ。 ボタンがあれば、無理やり引っ張って脱がせた。 そうして自らのベルトを引き摺り外せば、貴方の手首の自由を奪う。 実に手際よく貴方を追い込んでいく様は、どこか手慣れていた。 きっとこれが初犯ではない。今はここに居ない者たちが、貴方と同じように男の毒牙に掛かった日があったらしい。 「男は皆ケダモノ──とは、よく言ったものだよね。 ただ、 君は違ったらしいけど? 」くす、くす。 獣のように舌を舐めずり、獲物を見下す。 機嫌の悪さも相まって、酔いの回った頭では、己の欲を満たす事しか考えられない。 自分本意で、身勝手に、欲望の捌け口だとしか貴方を認識していない。 それでも自分の腕の中に居る限りは、 貴方へ下心を持って、この時だけは恋をする。 ……そっと顔を近付けた。 「キスはダメかい、君。」 (-249) 2021/10/17(Sun) 5:03:37 |
【秘】 酔吟 ミズガネ → 座長 トラヴィス「やめっ、おい、お前」 腕を縫い留められる。足を封じられる。 詩人の勢いはみるみるうちに失われていき、代わりに怯えが顔を覗かせる。 体が動かない。理不尽な暴力が体を押さえつける。あれだけ普段よく回る舌が、怯えに合わせてもつれ始める。 ベルトで手首をまとめて縛り上げられてしまえば、信じがたいと言わんばかりの視線と共により一層震えた声が貴方に飛んでくるだろう。 「ふざ、けるなっ……い、嫌だ、ぼ、俺は初めてなのに、どうしてこんな……」 それでも、顔が近づけられれば僅かに反抗的な態度が息を吹き返す。顔をふいと背けるように横に逸らして、棘のあるエメラルドグリーンで睨みつけた。 「……ッ、ケダモノとするキスなんて御免だ。唇重ねてきたら二度と虚言を吐けないようにしてやる……っ!」 (-250) 2021/10/17(Sun) 5:23:51 |
【秘】 探偵 キエ → 座長 トラヴィス観客席の何処か。 箱庭の何処か。 台本の何処か。 「……希望を持ってくるのはいつだって絶望だというのに。人という生き物は永遠に懲りないねェ」 其れら全ての何処かに、キエはいた。 其れら全ての何処かから、キエは眺めていた。 「太陽を見れば目が焼ける。 月を目指せば墜ちていく。 しかし星々は互いに手を取り合う事などできやしない。 流れ星が優しい筈が無いだろう。彼らは自らを砕き、大地を抉る事しかできないのだから」 まだだ。 此れはオードブルに過ぎない。 メインディッシュは此れではない。 幸福な日々を横目に、喉が鳴った。 「だが、しかし、けれど──── 身を焦すからこそ、人は追いかけてしまうのだろうね?」 この先に待つ結末を薄らと描きながら、キエは只微笑んでいた。 (-255) 2021/10/17(Sun) 8:12:58 |
【秘】 座長 トラヴィス → 探偵 キエ 言葉を吐けば、行動に移すまでに、時間は掛からなかった。 稽古の合間にアルバイトを詰め込んだ。 少しでも多く働いて、目標の為の資金とした。 互いに朝は起こし合い、夜は泥のように眠る日々だった。 大きな夢を抱いた私達にとって、何も苦痛にはならなかった。 数年の時を移して、夢は現実となった。 私と君の名前を少しずつ取り合って、それを劇団の名前とした。 座長は二人。演出家を兼ねた私と、脚本家を兼ねた君。 これらは何度も何度も、君と語り合って決めた。 君の紡ぐ物語をいちばん魅せる演出を考えられるのは私だし 私の演出を最大限に引き出せるのは、君の脚本だった。 すぐに役者も裏方も集まって、旗揚げ公演を表明した。 私と君が作る箱庭の、大きな一歩となる物語。 主演は君で、準主演は私。 人生の全てを、惜しみなく注ぎ込んだ。 この公演が必ず成功すると信じていた。 私達の未来は明るいものだと、疑っていなかった。 そうして迎えた、公演の初日。 ……結論から言うと、君は現れなかった。 (-266) 2021/10/17(Sun) 12:27:47 |
【秘】 座長 トラヴィス → 酔吟 ミズガネ「へえ、初めてなんだ。 じゃあ、痛いだろうね。」 他人事。瞳を細めて貴方を見る。 せめて酒が抜けていれば、もう少しくらいは貴方を気遣えたのかもしれない。 「がんばって」 まるで狩られる兎の如く怯える姿に加虐欲が満たされていく。 心底嫌そうだ───可愛らしい。 もっともっと、その緑を見せて欲しい。 絶望に染まるそれに、酷く安心する。 首筋へ、喉へ唇を落として、震える声帯にまた笑う。 貴方のシャツを解き、ズボンを下着ごとずり下げて、快楽を拾いやすいとされている胸元、性器、それから後孔……いちいち貴方の反応を伺いながら指で、唇で触れていく。 貴方にとっては、その限りでは無いだろうが。 最低限、男を受け入れる為の準備を済ませて、後は貴方に心身共にほとんど苦痛───被虐される才能でも芽生えれば、少しは快感を与えるだろう。 独りよがりの性行為。 貴方を労ることは、ほとんど無かった。 ……男が満足する頃には、貴方の意識は何処にあるだろう。 (-269) 2021/10/17(Sun) 13:12:54 |
【秘】 酔吟 ミズガネ → 座長 トラヴィス「ッ嫌だ!嫌だ嫌だ嫌だ! やめろッ、やめろよ、どうして僕がこんな目にっ! 抜け、今すぐ抜け!ひッ、ぅあ、やだ、いやだッ、いやだぁッ! 今すぐ僕の上からどけよォッ!!! 泣いて、泣いて、泣きじゃくって。 商売道具である筈の喉を潰さんばかりに悲鳴を上げて。濡羽色の髪を散らし、白い肢体が絶えず跳ね上がる。 女を貪ることしかしてこなかった男は被虐の破滅的な快楽に目覚めてなどいない。誰かから教え込まれれば話は変わってくるかもしれないが。 ただひたすらに、苦痛に踊らされ続けた。 そうして、貴方の下でひたすらに絶望の歌を奏で続けたことだろう。 …… 快楽に潰されなかったせいか、かろうじて意識は残っている。 それでも満身創痍といった具合で体を投げ出して、必死に酸素を求めて肩を上下に揺らし荒い呼吸を繰り返していた。 (-271) 2021/10/17(Sun) 13:48:54 |
【秘】 座長 トラヴィス → 酔吟 ミズガネ「……君が悪いんだよ?」 貴方の体内へ無遠慮に欲を吐き出して、 荒く息を吐き、額の汗を拭う。囁いた。 「どれか一つでも君の言動が違っていれば、 こうはならなかっただろうに。」 責任転嫁。 最初から貴方に乱暴するつもりで誘った癖に。 「いつかこんなひとときの事も詩曲にして、歌い歩いておくれよ。 今みたいに、その美しい鳴き声を晒してさ。吟遊詩人さん?」 それから初物を散らされた小娘のように転がる貴方へ──強ち間違いではないが──また喉へ唇を落とした。 そこへの口付けは、支配欲の象徴。 「シャワーを浴びて行くと良い。 君、酷い顔をしているよ?」 有無を言わさず抱き上げようとして、辞めた。 トラヴィスが占領するこの客室には、シャワールームがある。 代わりにそれをちらりと視線で促して、 貴方が立てないようなら優しく介助するつもりだろう。 貴方の傷と引き換えに、男の機嫌はかなり良くなった。 (-275) 2021/10/17(Sun) 14:24:29 |
【秘】 探偵 キエ → 座長 トラヴィス「良いねェ、こうした下積みが無くては。まるで夫婦の様な二人じゃあないか」 賑やかな公演初日、まだ客のいない客席の上を歩く。身軽な動作は夢の中だからだ。 誰に対するでもなく、キエは独白を口にする。 「しかし此れは僕が常日頃思う事なんだが……。 何故 悲劇と喜劇の導入は同じ なのだろうね。カレーとシチューみたいにさ、途中までは何方に成るか判らないのは良くないと思うなァ。心構えというのは君達に必要だろう?」観客席が徐々に埋まり始めると、キエは舞台裏へ現れた。天井近くに吊るされたスポットライトに腰掛け、トラヴィスを見下ろしている。 「ほら、こうやって。 ……期待してしまうじゃないか」 (-276) 2021/10/17(Sun) 14:43:30 |
【秘】 座長 トラヴィス → 探偵 キエ誰よりも早起きして、劇場へ足を運んだ朝から カーテンコールが終わっても、舞台の照明が全て消えても、 君の姿は一度もここには無かった。 心血注いだ物語は、───まあ、何とかはなった。 所々おかしい部分は隠し切れなかったが、 どうにか千秋楽まで駆け抜ける事は出来た。 初めてそこに立った0番のテープは、酷くくすんで見えた。 君を探しながら、私は一人で座長と呼ばれ続けた。 君が残した脚本は役者から観客、全ての───否、私以外の人を夢中にさせた。 私は閉じた瞼の裏に、 中心で煌めく君を想像しては掻き消すように目を開いて、 君の居ない箱庭を見据え続けた。 もがくように、これまで以上に全てを演劇へ注いだ。 有名な賞を貰った。誰からも祝福された。 そうして演劇の何もかもが、苦痛になった。 知らなければ良かったとさえ思う、 飢えて渇き、注げば注ぐほど満たされない日々。 ───また、ある時。 なるべくして、限界が訪れた。 → (-277) 2021/10/17(Sun) 14:57:48 |
【秘】 座長 トラヴィス → 探偵 キエW数年前──とある劇団から座長が消えた。W ぱったりと姿を消し、行方不明。 その真相は誰も知る術がない。 他人の悪夢を覗く、無神経な者でもなければ。 W劇団は暫く低迷の後、現在は軌道に乗り直してきたらしい。W 誰かが残した、大量の台本。演出プログラム。 暫くはそれらを頼りに踏ん張って立て直したそうだ。 ───そうして、微睡みから醒めていく。 薄く瞼を開いて貴方を見た。 未だその意識は、 夢 と夢 の狭間にある。そばにいて 「 、」 貴方の胸の中で、言葉にならない声をぼやいた。 (-278) 2021/10/17(Sun) 15:01:56 |
【秘】 酔吟 ミズガネ → 座長 トラヴィス 内側に欲を吐き出される時、貴方が耳元で囁く時。男の体は過剰なまでに震えて貴方に応えてみせた。 「……ひ、ぅ……っ。 …………ふざ、けるな。畜生……ッ」 人の急所、震える喉元に口付けが降ってくる。その刺激に小さく鳴きこそしたが、次に口から飛び出してきたのは貴方への恨み言だった。 労うことのない、座長の独りよがりの慰めに翻弄された体は慣れない痛みに振り回されたまま。 どうにか体を起こしたものの、一人で立って歩いて出口どころかシャワー室にも行けやしない。 「……チッ。おい、色狂いのケダモノ座長。 誰のせいでこんな顔になったと思ってる。下手に優しくするんだったら肩貸せ、クソッ……」 減らず口は相変わらずだった。散々啼かされて掠れた声で呪詛を紡ぐ男の機嫌は、貴方とは反対にかなり悪くなった。 (-280) 2021/10/17(Sun) 15:25:58 |
【秘】 座長 トラヴィス → 酔吟 ミズガネ「色狂いのケダモノだなんて酷いな。 違うよ、狂いたくても狂えないだけさ。」 アルコールに浸った脳が、力加減を誤らせる。 まあいいかと独りごちて。 貴方を乱暴に引き上げて腰を抱き、シャワールームの方へ誘う。 そのエスコートは、優雅さの欠片もないものだ。 「愛しい君よ。 汚したのが私なのだから、 清めてやるのも私であるべきだろうか?」 磨りガラスの扉を開ける。 あまり広くはなく、簡素なシャワーや最低限の洗髪剤、液体石鹸。 ………大きな男が二人で入るには、少しばかり狭そうだ。 「いや、うん、面倒くさいな。 君、好きに過ごすと良いよ。」 掌をくるり。 貴方をそこへ放り込めば、自分はさっさと真白のベッドへ横になりに戻るだろう。 貴方が干渉するならば、勿論その限りではない。 (-282) 2021/10/17(Sun) 16:04:55 |
【秘】 酔吟 ミズガネ → 座長 トラヴィス「……狂えないから人を襲って溺れているのか。迷惑甚だしいな」 優雅さの欠片もないエスコートに時折呻きながら移動し、雑多にシャワールームへの放り込まれる。 「……っ、優しくされても嬉しくないが、むしろ願い下げだが!お前のその乱暴っぷりには反吐が出るな! 普段被ってる紳士めいた仮面を見て頬を緩ませている淑女達にこの悪辣な一面を見せてやりたいところだ!クソが!」 喚き散らかしながら貴方を見送り、暫くしてシャワーの湯が床を叩き続ける音が響くだろう。その合間からは男の恨めしげな声がぽつぽつと溢れては落ちていく。 「畜生、あの野郎中に出しやがって……っ、ぅ、最悪だ、……っクソッ……」 それなりに長い時間が過ぎた後、タオルを巻きたいへんにご機嫌斜めな顔をして浴室から出てきた。 おぼつかない足取りのまま、ベッドに転がる貴方を睨んでから脱ぎ散らかされた服の元へと歩み寄る。 (-302) 2021/10/17(Sun) 17:31:59 |
【秘】 座長 トラヴィス → 酔吟 ミズガネ「人の想いは──天秤は、乗せた重さに応じて傾くんだ。 私は君と同じものを乗せて、均等にしただけだよ。」 からからと笑って、貴方の声と水音を聴きながら瞳を閉じた。 貴方がシャワールームを出る頃には、 穏やかに寝息を立てているだろう。 散らかした貴方の服はそのまま床に散らばっているし、 何もかもが先程のまま放置されている。 今この時、貴方がこの部屋で何をしても 男は後手に回らざるを得ない。 仕返しを企てるも、部屋を立ち去るのも、 貴方の意のままに行えるだろう。 (-303) 2021/10/17(Sun) 17:47:52 |
【秘】 巫女 ユピテル → 座長 トラヴィス「私、こう見えて不器用なの。 でもその分他の誰よりも行動力はある自信はあるわ」 「ええ、 例えあなたが開けていた扉だとしても、 そこの部屋に訪れて、そこの部屋に入るのは私」 “この約束”が、“この言葉”が、 いかに儚く消えて散ってしまうものか、 ユピテルは嫌という程、見て、知って、行ってきました。 「 また明日 。トラヴィス」それでも笑顔を作り、貴方にその 明日の約束 を返すのです。 (-309) 2021/10/17(Sun) 19:47:54 |
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