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【秘】 ■■■■ シトゥラ → 村人 ニア少女の瞳が、残虐な色に染まる。 血の餓えた獣の瞳。 すき この瞳をする瞬間が、一番綺麗だ。 髪を撫でた。戯れのようなキスを一つ。 少女の白い手を掴んで、その指先にひとつひとつを唇で辿る。 それは愛の表現か、それとも捕食する前の“味見”か。 「欲しいなら、求めてください。 アンタが欲しがるんですよ──ニア。 おねだりが上手く出来たのなら、僕を殺していい。 それが出来ないのなら、僕がアンタを殺してしまうから」 くつくつと喉を鳴らした。 出来ないだろう、と青年は挑発をしている。 目の前の青年は、やすやすと獲物になるつもりは無い。 油断したら、簡単に少女の命なんて摘み取ってしまえる。 「どうしますか?」 冷たい夜の気配が、夕焼けを滲ませる。 この部屋はとても静かだ。 ふたりの呼吸さえ、容易く拾えるほどに。 (-59) 2021/04/27(Tue) 1:03:01 |
シトゥラは、ブラキウムの壊れた天秤を見た。 (c33) 2021/04/27(Tue) 2:16:15 |
シトゥラは、それを直すことが出来ない。 (c34) 2021/04/27(Tue) 2:16:25 |
シトゥラは、その天秤に罅を入れた人間を知っている。 (c36) 2021/04/27(Tue) 2:18:03 |
【秘】 ■■■■ シトゥラ → アタシは メサ「ハア……」 青年は溜息を吐いた。 苛々した感情を隠そうともせずに、頭を掻く。 「アンタの自傷行為に付き合わされて最悪ですよ。 満足ですか、これで。 ロール アンタが僕に求めてた役割はこれで正解ですか? 疲れました。どうして僕がこんなくだらないことを」 嘆息、心底呆れた顔をする。 「アンタが幸せだろうと、不幸だろうと。 僕にはもう関係が無いんですよ。 僕はニアに全て捧げた、アンタに与えられるものはない」 (-108) 2021/04/27(Tue) 3:34:47 |
【秘】 アタシは メサ → ■■■■ シトゥラ苛立ちと呆れ。 追い求めた夢の先はここにある。 あなたが愛と呼ばない溢れた欠片を、拾い集めて抱きしめる。 「ニアにはできないことだから。 アンタならきっと、できるって、してくれるって思ったから」 甘えた。ねだった。 しょうがないと言うあなたの優しさを知っている。 アタシに与えられた役割がなんだったとしても、あなたが要らないと言うのならそれが真実で全てだったから。 「気持ち悪いよね。 お姫様に手を出して王子様にお仕置きのおねだりして」 一人きりの灰かぶり。 魔法使いはやってこない。 お似合いの赤い靴を履いて狂ったように踊り続ける。 (-110) 2021/04/27(Tue) 7:40:02 |
【秘】 アタシは メサ → ■■■■ シトゥラ「アタシは一体なんだったんだろ……。 アタシも誰かに望まれて生まれたかった。 望まれて生きたかった。 せめて望まれて……死にたかった。 ここでこのまま死に損ないで居たくなかった」 観客の居ない舞踏会で踊っていれば踊り子にでもなれるかと思ったけれど、そんな事もなかった。 気を引くために振るった悪意も惨めさも悪役になるには未熟だった。 もう、お仕置きも終わりなのだろうか。 残念。 「アタシにはできなかったことはニアがしてくれるんだろうな。 世界を見てまわったり、美味しいものを食べたり、毎日素敵なことがあって…… いいなぁ。羨ましいなぁ。 あんまり泣かせるような事したら駄目だよ。……ま、アタシが言うことじゃないか」 痕に触れる、あんな顔を見てしまったら勝ち目がないじゃないか。 だから素敵なお嫁さんになって欲しいと思った。 「……」 そこで溢れるうわ言は途切れた。 じっとあなたの沙汰を待つ……。 (-111) 2021/04/27(Tue) 7:42:45 |
【秘】 村人 ニア → ■■■■ シトゥラ 短く息を吸い込む音が響いて。 いっとき、少女の呼吸音が途絶える。 ――横たわった静寂を割くように、細く息を吐き出す。 じっと息をひそめながら、逃げ道を探って。 ひたと目を見据え、湿らせた唇を慎重に動かす。 「……簡単に言うわね。 あんた、そのお綺麗な手でちゃんと殺せるつもり?」 ……初めから、追いかけているのは青年のほう。 少女が辿っているのは、獲物の足跡などではない。 幼さを残したままの少女は、そんなことにも気づかない。 「死に損なって、苦しい思いをするのなんてご免だわ。 ねえ、シトゥラ。あんたはわたしを上手に殺せるのかしら」 (-122) 2021/04/27(Tue) 11:56:22 |
【秘】 村人 ニア → ■■■■ シトゥラ(→) 辿られた指先で唇をなぞり返しながら並べ立てて。 最後に爪の先で引っ掻いたのは、きっと、挑発のしるし。 /*描写漏れしたので補完です。 (-125) 2021/04/27(Tue) 12:23:54 |
【秘】 村人 ニア → ■■■■ シトゥラ/*補完したぶん、「挑発」→「抵抗」のミスです…!ごめんなさい! (挑発では…殺せと言っていることになってしまうわ…) (-126) 2021/04/27(Tue) 12:28:09 |
シトゥラは、判っていた。 (c87) 2021/04/28(Wed) 0:39:38 |
【秘】 ■■■■ シトゥラ → 村人 ニア青年は少女の抵抗に微笑んだ。 少女の腕を掴んで、強く引いた。 体勢を崩した少女の肩を押して組み敷く。 「そんな細やかな抵抗で、僕をどうにかできると? バカにしてるんですか──ああ、違ったか。 それがアンタなりの懇願ですか?」 声が、嘲るようなものに変わる。 その白い喉を撫でて、爪で辿った。 「本当にアンタは、僕を煽るのが巧い。 今ここで僕がその気になれば、死ぬんですよ。 武器もないアンタの抵抗なんて何の意味もない。 アンタがどんなに餓えた獣でも、 体は非力なただの少女なんですから」 (-243) 2021/04/28(Wed) 1:42:58 |
【秘】 ■■■■ シトゥラ → アタシは メサ「そんなに美しいものじゃない。 僕はニアひとりの為に、全部を裏切ってきた。 背負った期待も、繋いだ手も、約束も振り切って。 それが賢い手段だとは思っていなかった。 間違っていると知っていながらこの道を選んだ。 僕は、裏切り者だ。許して貰えるとは思っていないし、 許されるつもりも、それを乞うつもりも無い」 青年は呆れた顔のまま、メサに手を伸ばす。 期待されたのなら、応えなければならない。 ──“そういう風に出来ている”。 → (-246) 2021/04/28(Wed) 2:03:13 |
【秘】 ■■■■ シトゥラ → アタシは メサ「でも、僕は選んだのなら迷わない。 ニアの手だけは離さない。 ──泣かせる?あれが泣くわけないでしょう。 そんなこと、アンタが一番分かってるはずだ」 青年は笑った。 王子様と云うには、随分と悪どい笑み。 「素敵なこと、たくさんしますとも。 あれが泣いて逃げ出すまで、負けを求めて僕を乞うまで。 あの強情な心、いつか折ってやりますよ!」 アハハ、と高らかに笑った。 (-248) 2021/04/28(Wed) 2:13:06 |
シトゥラは、ルヘナ煩いなと思った。 (c99) 2021/04/28(Wed) 3:11:17 |
【秘】 村人 ニア → ■■■■ シトゥラ 華奢な体は容易く組み敷かれる。 逃れようと仰反る喉。 細く白い急所が晒される。だというのに、 「懇願なんてするわけないって、分からない? 随分とお粗末な感受性なのね。傲慢で、身勝手」 鋭い視線で、減らない口で。 食らうのはこちら側だと主張する。 そうして、枕の下に忍ばせた爪を突き立てる隙を伺っている。 「……ああ、だからかしら。 “非力な少女”を組み敷いて、酷いことばかりを言うのは」 ほころぶような笑みをかたちづくる唇から漏らすのは、 わざとらしく、甘やかな囁き。 「――――乱暴者」 (-267) 2021/04/28(Wed) 12:58:34 |
【秘】 ■■■■ シトゥラ → 村人 ニア「それを、受け入れたのはアンタです。 拒まずにそれを善しとした。 僕の手を振り払えずに、こんなところまで来てしまった。 打算という言葉に惑わされて、優しさを受け入れてしまった。 かわいい ──滑稽ですね、ニア」 微かに声を立てて、笑った。 白い喉に、手を掛ける。 ……………。 もし、あの時拒絶していてくれたなら。 こんなことは、しなくて済んだ? 窓の外、陰る空が雨を落とす音がする。 窓を叩く微かな音が部屋に響いた。 「でも、その乱暴な僕が好きなんでしょう。 連れて行って、欲しいと願ったんでしょ」 僕はアンタに生きて欲しかった。 ただ、傍に居る他愛ない時間が訪れたなら。僕とアンタが、同じ側だったなら。 少女の瞳は、強い意志を持っている。 ──けして、手折られるだけの花ではない、と。 少女の唇を塞ぐ。 これで、終わりだ。 これ以上、何かを言わせない。抵抗なんてさせない。 「……ニア、口を開けてください」 青年は一度唇を離して囁いた。 (-293) 2021/04/28(Wed) 19:48:39 |
【墓】 ■■■■ シトゥラ>>@9 レグルス 【system】 情報検索中......success!この人物はNPCです。 インベントリにバグが発見されました。 摘出を開始します.............. 「生きた人間……そうでしょうか。 参加者としての権利をお持ちでないようですが。 だから、こうしてアンタはひとりきりなんじゃないですか? アンタに声を掛ける者はいない、ただ、喚いているだけ。 寂しいですねえ──僕が話相手にでも、おや?」 青年は首を傾げる。 目の前で、何かが地面に落ちた。 少年の持ち物の中から、転がり落ちた箱。 手を伸ばして、それを拾い上げようとするも。 それに気付いた少年の手と奪い合いになり、 【system】 バグを発見しました、回収をしてくだs 蝗槫庶縺励※縺上□縺輔>........error! ──その箱が、開く。 それはルヴァの売る、“気分”の箱と似ていた。 (+132) 2021/04/28(Wed) 20:54:47 |
シトゥラは、ハマルをむぎゅー。 (c122) 2021/04/28(Wed) 21:39:49 |
シトゥラは、キューの言葉を思い出した。 (c123) 2021/04/28(Wed) 21:46:39 |
シトゥラは、キューが助けて欲しいと言ったのを覚えている。 (c124) 2021/04/28(Wed) 21:47:02 |
シトゥラは、キューに言葉を届ける手段がない。 (c125) 2021/04/28(Wed) 21:52:41 |
【秘】 アタシは メサ → ■■■■ シトゥラ「シトゥラが選んだならそれは間違いじゃない、と思う、けど」 嗤うあなたにぽそりと呟く。 ――欲しいと思ったものの為に他の全てを投げ捨てるか、と魔術師に問われた事を思い出した。 あの時はそんなことはあり得ないと、最低だと啖呵を切ったが今になってみれば結局自分も天秤が壊れた人間だった。 傾ける事ができない天秤。 もし同じく壊れた天秤ならば。 何もかもを天秤に乗せようとして取りこぼすくらいならきっと片側だけを支える方が賢い。 ↓ (-311) 2021/04/28(Wed) 22:53:55 |
【秘】 アタシは メサ → ■■■■ シトゥラ「もうすっかりご執心なことで。 はぁ……アンタがそうやって全部振りきれたのなら、それでよかったのかも。 アタシにはアンタたちがキラキラ輝いて見える。 それがたとえ歪んでたとしてもその行く末を祝いたかったんだ」 否定したくない。肯定したい。 あなたが笑いかける事はなくとも、自分は笑っていたい。 ただ、それができるような聖人ではなかったし既に害を為してしまった。 あの瞬間から自分がどうしようもなく行き場を失ってしまったともう分かってしまったから。 見届けられないのは悲しいし、悔しいけれど、 あとはお邪魔虫が消え去れば物語はきっとハッピーエンド。 「お願い――シトゥラ」 ボロボロの心と体を投げ出して瞳を閉じた。 アタシができることはもうこれしかないんだ。 (-313) 2021/04/28(Wed) 22:54:21 |
シトゥラは、ブラキウムをむぎゅー。 (c130) 2021/04/28(Wed) 23:26:37 |
【秘】 ■■■■ シトゥラ → 車輪銀河 メレフ「あーあ。 僕、アンタみたいな奴嫌いなんですよねェ。 一番答えて欲しくない答えを選ぶヤツ」 青年は困ったなあ、と呟く。 その実微塵も困っていない。 「黒だって言ってくれたら楽だったのになァ。 灰色ならいいか。ついでに伝言をお願いします」 青年は彼を見た。 その視線は前髪に遮られ、感情を窺うことが出来ない。 「『アンタたちの選択に、期待します。 迷うな、躊躇うな。 間違っていることを認めるな、胸を張れ』。 そうやら僕はこのあたりで退場みたいですから。 泣いてる子、迷ってる子を見かけたらこんな感じのいい言葉を掛けて激励しておいてくださいよォ。 あーあ、ヤダヤダ。 こんなことほんとは伝言するのも厭なんですけど。 忘れたなら別に言わなくてもいい。僕らしくないですから」 (-323) 2021/04/29(Thu) 1:44:24 |
【秘】 ■■■■ シトゥラ → アタシは メサ「輝いているモンかよ。 あーあ。もっと選ぶなら可愛い子を選ぶんだったなァ。 素直で、優しくて、ちゃんと笑ってくれるような」 青年は呆れたような息を吐く。 腕を組んだ。 「──困ってるんですよ、僕も。 散々悪口ばかり言う癖に、本当に嫌じゃないことは受け入れる。 僕が手を伸ばしたら、憎まれ口を叩いて握る。 それが可愛いと思ってしまうんですよねェ。 本当にバカになってしまったのかもしれませんね」 メサの腕を掴んで引っ張り上げる。 ひどく、優しく笑った。 → (-327) 2021/04/29(Thu) 2:09:54 |
【秘】 ■■■■ シトゥラ → アタシは メサ引っ張り上げた掌に、戯れのように口付けを一つ。 青年は手を離した。 彼はけして、王子ではない。 メサの手を取ることはしなかった。 けれど、最後に彼女にこうして温もりを残す。 彼は優しくない、だからこうしてひどいことをする。 「罪も罰の時間も終わりです。 アンタはこれから、償っていくんだ。 後悔を、与えた傷を想って生きていくことになる。 それが一番痛いでしょう、頑張りな」 ひら、と手を振る。 死という簡単な終わりを突きつけない。 殺害という明確な終わりを示さない。 それが彼の思う、一番残酷な結末だった。 「じゃあな、メサ。今までありがとうございました」 彼の足音が遠くなる。 青年は、振り返ることは無い。 (-328) 2021/04/29(Thu) 2:17:44 |
【秘】 村人 ニア → ■■■■ シトゥラ 青年の笑い声に心臓が跳ねる。 それはきっと恐怖ばかりではなく。 微かな雨音の中、彼の口が動くのを見ていた。 ――本当によく回る口ね。 でもあんた、わたしに嘘はつかなかったと思うわ。 唇が重なって、声を封じられて。 口づけに高鳴る胸が憎らしい。 言葉になる前の想いが飲み下されていく。 ――好きかなんてこたえてあげない。あんたが塞いだのよ。 言いもしないくせ、そんな言い訳をする。 喉に掛ける手からは、少女の脈が伝わるはずだ。 その胸はずっと、早鐘のように鳴り続けている。 ――死ぬのは、こわい。でも、仕方ないじゃない。生かし方なんて知らないんだもの。 どうやったらあんたが死なずに済むのか、答えを出せなかったんだもの。 離される唇。なおも抵抗を口にしようとしたか、 それとも青年の言葉に従ったのか。 薄く――ほんの、わずかだけ。 唇をひらいた。 嘘つきで、肝心なことには噤んでばかりの小さな口を。 (-330) 2021/04/29(Thu) 2:22:56 |
【秘】 ■■■■ シトゥラ → 村人 ニア少女の鼓動を感じる。 これを、今から止めるのだと思う。 少女の温もりを感じる。 これを、今から失うのだと思う。 喉に掛けていた手を離す。 「ニア、」 開いた唇を舌で辿る。そのまま、少女の舌を求めた。 深く貪るような口付けを繰り返す。 泣き出しそうな気持ちになる。僕は、泣いたことなんて無いのに、 愛しさと、湧き上がる欲に頭がくらくらする。 違う、これは悲しんでいるわけじゃない。 抱きしめて、その柔らかさに──香りに。 今から失うものの大きさを知った。 「………は」 雨の音がする。 この雨が止んだら、この雨が止むころには。 きっと、全てが終わっている。 「ねえ、ニア。 ──アンタが一緒に居てくれるのは、まだ生きてる間だけですか。また、もし、出会えたら。そんな、約束は厭ですか?」 青年らしくない言葉だと知っている。 けれどこんな終わり方のまま、彼女と離れたくは無かった。 (-340) 2021/04/29(Thu) 3:18:39 |
【秘】 アタシは メサ → ■■■■ シトゥラ「フン。なんでアタシが惚気を聞かされてるのよまったく」 楽しそうに、嬉しそうに……優しそうに笑う声。 目を閉じていてもわかるあなたの表情。 倒れたまま努めて心を閉ざそうとした次の瞬間。 「――――――え」 ぐわん、と身体が揺れる。 思わず目を開くとあなたの悪戯が目に入った。 時が止まったかのように呆然と立ち尽くす。 ↓ (-355) 2021/04/29(Thu) 13:50:07 |
【秘】 アタシは メサ → ■■■■ シトゥラ「……ひどい人ね」 罪?罰?終わり? 相変わらずシトゥラは望まれた以上の答えを返してくる。何でも出来過ぎなのよ。 去っていくあなたに声をかけることもできずに、 漸く口が動いた時にはあなたはもう背しか見えない。 温かさをもらった所から痛みや苦しみが消えていく。 まるで魔法のように。 あなたの事を忘れたくて、嫌いになって欲しくてこんな事をしたのに最後まであなたには敵わなかった。 「ありがとうって何よ……ホント、最悪。バカみたい」 手で顔を覆ってぽろぽろと涙を流す。 どうしてこんなにも温かい。 たったひとつ、遊びのような口づけ一つだけなのに。 惨めで哀れな女は死ねなかった。 物語は終わらない。 ここにいる。 死ぬことは できなくなってしまった 。あなたがそれを望んだから。 ――そして、アタシもそれを望むから。 誰も価値を認めなくてもアタシはこの宝石の欠片を大切にしよう。 "アタシ"にはそれで十分幸せだよ。 ↓ (-356) 2021/04/29(Thu) 13:51:14 |
【秘】 アタシは メサ → ■■■■ シトゥラ「さよなら、シトゥラ。 アタシの初恋の人。意地悪で優しい王子様。 ぐす……あーーーーーーーーーーーーーー! はぁ……………恋って、いいなぁ」 後には、嗚咽まじりの声で泣く彼女と、やわらかい声がぽつんと残されていた。 (-357) 2021/04/29(Thu) 13:51:37 |
【秘】 村人 ニア → ■■■■ シトゥラ 深く、貪るような口づけに耽溺する。 いつまでもこうしていたい。 鼻にかかった、甘えたような声が漏れる。 まだやめないで。 青年の背に、たどたどしく腕を回す。 もっと触れあいたい。 その手にナイフは握られないまま。 もうすこしだけ、先がいい。 そうやって、与えられるものを味わって。 遠い雨音を耳にする。 青年の声だけが、くっきりと浮かび上がっている。 ――――また、もし、出会えたら。 それは、心からの言葉? 甘く、夢見るような言葉に瞳が揺れる。 そうだとするのなら―― (→) (-360) 2021/04/29(Thu) 14:04:02 |
【秘】 村人 ニア → ■■■■ シトゥラ ゆっくりとした瞬きを、ひとつして。 瞼の下から現れるのは、どうしようもなく餓えた瞳。 「口約束は、いやよ」 少女のかたちをした獣は、そう告げる。 甘い言葉ひとつでは、足りやしない。満たされない。 ……お腹が空いて、空いて仕方がないから。 それで満足できるような、可愛らしい女の子にはなれない。 青年の左手を掴む。両手でしっかりと握って、 爪の先に、手の甲に、指の付け根に幾度も口をつける。 どうしたって、この手から――その口から与えられるものを、次から次へと求めてばかり。 「……破ったら、承知しないわ」 見せつけるように口を大きく開いて―― 心臓にいちばん近い指。 忘れないで、覚えていて。 永遠を誓うそこに、歯を立てる。きつく、つよく。 死んだらそこでおしまい、そのはずなのに。同じ夢を見ることまでも、求めてしまう。 (-361) 2021/04/29(Thu) 14:05:12 |
【秘】 ■■■■ シトゥラ → 村人 ニア彼女の声と、雨の音。 時が止まったような感覚に罅を入れたのは痛み。 餓えた獣の瞳を見る。それは、ひどく美しい煌めきをしている。 「ニア?」 その場所に歯を立てる意味を、そこに痕をつける理由を。 青年が理解しない訳は──無い。 永遠を、誓って欲しい。素直な言葉を口に出来ない少女の精一杯の表現。 彼女の手を取って、同じ場所に口付けた。 それが、終わりの合図。蕩けるような恋人の時間の終わり。 「──ええ、僕がアンタに嘘を吐いたことがありましたか? きとんと、お迎えに上がりますとも」 少女を見下ろす。首に手を伸ばすのを、想像する。 → (-367) 2021/04/29(Thu) 15:00:16 |
【秘】 ■■■■ シトゥラ → 村人 ニア 僕と一緒に逝きましょう 「だから、安心して死んでください」 少女の首に手を伸ばす。 辿って、指を絡ませ、締め上げる。 ここで、時間が止まれば。 躊躇いはしない、力は抜かない。 彼女の唇が、空気を求めてはくはくと開閉をするのが見える。 アンタを殺さずに、済むのかな。 少女は、不可視の水に溺れている。 浮かび上がろうとする彼女の手を何度も引きずり降ろす。 微かに血の滲む薬指が目に映る度、どうしようもない気持ちに襲われる。 永遠にも感じるような時間が流れた。 雨の音が、ひどく遠い。 彼女の苦し気な吐息と、自分の荒い吐息。 ──ニア、アンタを守れなくて、ごめんなさい。こんな形でしか、愛せなかった。 少女の首を絞めながら、少年は嗤った。 笑ったような、顔をする。それは、いつかのメサの前にした顔だ。 その歪さを指摘してくれる人間は、もういない。 (-370) 2021/04/29(Thu) 15:13:58 |
【秘】 村人 ニア → ■■■■ シトゥラ 言葉を返す暇もなかった。 幾度も頭を撫ぜたその手で、透明に浸される。 ――ごめんなさい。ナイフを握れなかった少女は思う。 見えない水で、肺が満たされていく。 くるしい、 もう空気を吸えないことは分かっているのに、 それでも体は生きようとするのが滑稽だった。 たすけて、 手足の先が痺れて、震えて。冷たくなっていく。 こわい、 シーツにしがみつく。皺を増やす。 しにたくない、 だけど――せめてもう、邪魔だけはしたくない。 雨の音はもう聞こえない。 耳に届くのは、弱まっていく自身の心音。 ひたひたと迫った、死の音だけ。 酸素を無くした脳が鈍っていく。 これまでのことが、ひどく遠くにある。 嗤う青年の顔が、滲んでいく。 ――変な顔ね。 (→) (-381) 2021/04/29(Thu) 17:45:59 |
【秘】 餓狼 ニア → ■■■■ シトゥラ――少女は刹那、夢を見た。 ベッドの上、ここが今日の舞台だと言わんばかりに佇んで。 小さく一つ、会釈する。 そうして口を開いて、 たったいちどの、大切なお願いをした。 >>3:*35……仲良くなりたかった子が、いたのだ。 この場所で、仲間になりたかった人たちがいた。 空かせた腹の底にあったそれを捨てて、餓えた獣はここで死ぬ。 もう、殺すことは必要ではなくなったから。 そのとき、上着のポケットの中。 星 が光って、色を変えて 。どこかへ消えた。――それから、もうひとつ。 彼のために願う。 >>3:*36彼の死んでしまう、今日という日くらいは。 すべてを捨てて、共に死んでくれる今日くらいは、 昨日までの――彼らと過ごした彼が報われたって、良いと思うのだ。 それだって、嘘じゃなかったんだろうから。 それを嘘にしてしまったのは、ニアなのだから。 (→) (-382) 2021/04/29(Thu) 17:48:52 |
【秘】 ニア → ■■■■ シトゥラ 少女は一筋、涙を零す。 わずかに動いたようにも見える口から、音は出なかった。 『 よ、シトゥラ』 ――約束、守ってちょうだいね。きっとよ。 ――ふ、と。シーツの皺が、緩む。 (-383) 2021/04/29(Thu) 17:50:36 |
【秘】 ■■■■ シトゥラ → ニア少女の唇が、泡を吐く幻を視た。 彼女の喉を締め上げる指。 ニアの噛んだ傷から、血が、ゆるりと垂れて。 「ニア?」 小さな手から、その指先から、力が失われて。 シーツの皺が、解けた。 呼吸の音が、止まる。 手が、震えた。 ――約束、守ってちょうだいね。きっとよ。 少女の、声を聴いた気がした。 彼女の瞳から一筋、涙が零れる。 「ニア、ニア……」 置いて行かないでくださいよ。また、いつもみたいに笑って。 それを、奪ったのは僕なのに? その瞳を開いて、嘘だって、言って欲しいと願った。 手から力を抜いた、震える手を、握った。 ──雨の音が、戻ってくる。 取り残された部屋の中。 ふたりっきりだった部屋はひとりを失って。 残ったのは、ひとりきり。→ (-393) 2021/04/29(Thu) 20:03:12 |
【秘】 ■■■■ シトゥラ → ニア「ニア」 少女の濡れた頬から、涙の雫を掬い上げた。 さいご、残った温もりはやがて、この少女の輪郭を失う。 その前に、伝えたいことがあった。 「ねえ、ニア。僕はね、アンタに一目惚れしたんですよ。 最初に会った時のことを覚えていますか? 随分、かわいい子だと思った。 僕が描いてた、理想の“可愛い女の子”が想像から抜け出してきたみたいで、驚いたんですよ。 話してみたら、はは、馬鹿みたいにつれなくて」 青年は笑った。その頬を涙が、伝う。 「絶対揶揄って、面白がってやろうって。 それだけだったんですよ。 別に、アンタが僕を好きになんてならなくてもいいって。 ただ少しだけでも、その心に居座ってやろうって」→ (-394) 2021/04/29(Thu) 20:11:29 |
【秘】 ■■■■ シトゥラ → ニア「なのにさ、アンタは笑うから。 ちょっとした言葉で、言葉を詰まらせて。 触れた手を、伸ばした手を──拒みもしない。」 最初、戯れで手を伸ばした。 次に触れたとき、微かに胸が疼いた。 青年は、今しがた少女を殺した自身の手を見た。 握って、開いて。喪失を実感する。 最後に触れたとき、胸がひどく痛んだ。 「しかも、僕が本当に哀しい時。 アンタが一番に傍に来てくれた。傍にいてくれた。 下手くそな言葉でさ、慰めてくれた。 その時、アンタの傍に居たいって、心から思った。 それまで、ぼんやりしてた感情が、はっきり形になった。 守りたい、傍に居たいって、思いました。なのに。 アンタは犯人側で、僕は犯人を追う側だった。 だから僕は全員を裏切ろうと思った。 最後まで、アンタの手を握って居ようって。 でも、ニア、情けないことにですね、」→ (-398) 2021/04/29(Thu) 20:23:08 |
【秘】 車輪銀河 メレフ → ■■■■ シトゥラ「そりゃどうも。俺もお前みたいなタイプに 好きって直球で言われると疑っちまうからな。 相性がいいんじゃねェのか?」 貴方の言葉を流し聞きするような言葉を吐きつつ、 それでも脳裏に一字一句刻んでおいた。 自分は『犯人側』だ。きっとだれかを泣かせ、迷わせる。 その時に、自分の言葉よりあなたの言葉が助けになる。 そんな子がいるかもしれないから。 「イヤと言いつつ、頼んでるあたり 人の心はあるようで何よりだ。 覚えておく。 それで励ませそうなヤツがいれば伝えよう。」 (-400) 2021/04/29(Thu) 20:33:35 |
【秘】 ■■■■ シトゥラ → ニア「裏切ろうと思うと、あいつらの顔が浮かんでくる。 あいつらとした、約束が浮かんでくる。 最高に、身勝手だ。最低の人間だ。 バカみたいですよね。全部捨てたって言っておいて。 結局、苦しいからって、アンタまで殺して」 青年は、肩を震わせた。シーツに雨が降る。 ──彼女が最後まで握っていたそれが。 いつかの夜も、彼女が握った。 今はなぜか、酷くにじんで見える。 「アンタが、欲しくて。 あいつらにも、苦しんで欲しくなくて。 そんな身勝手が、この結果を生んだんです」 メサを殺して、ニアを殺して。アンタレスを殺して。 仲間皆の期待を殺して、残った自分は。 もしかしたら、誰よりも空腹な獣だったのかもしれない。 「死ぬなら、殺されるなら。 黙って死ねばよかった、アンタを殺す必要なんて、」 「──シトゥラ。」 「──なかったのになと思うのに。 アンタが此処に居ることが、嬉しい。 苦しい。 アンタを殺したのが、僕で良かったなと思う。 アンタが、欲しかったんだ。心も、体も、命も。」→ (-401) 2021/04/29(Thu) 20:35:42 |
【秘】 ■■■■ シトゥラ → ニア「アンタは全部くれた。」 立ち上がって、ベッドの下に落ちていたナイフを拾い上げる。 彼女がきっと、僕を殺すために持っていたもの。 それはおそらく、メサを手に掛けたナイフと同じ。 「だから、ニア。」 青年は鮮やかに笑った。 ナイフを、掲げて、自身の心臓に向ける。 ──雨の音がする。 誰かが雨の話をしていたのを思い出した。 雨は、人を引き留める。愛しい人が、何処にも行かないように。 そんな雨も、あるのだと。 ──曰く、“遣らずの雨”。 アンタはそっけないから、逝ってしまったけれど。 「──僕も全部、アンタにあげます。 そんなのいらないって、笑うかもしれない。 でも、アンタが僕をこんなところまで連れてきたんですから」 ……責任、取ってくださいよ。 ナイフが、胸を貫いて。 唇の端から赤い血が垂れた。 血が零れる度、命が欠けていくような感覚がする。 ナイフを抜かないまま、少女の傍に戻る。 少女の肌は、冷たい。 冷たいまま時を止めた、氷の彫像。→ (-403) 2021/04/29(Thu) 20:49:58 |
【秘】 ■■■■ シトゥラ → ニア少女の肌に、髪に、赤い雫が落ちる。 ──赤い雨が降る。 それは、手で拭っても、拭っても。 「──ニア。」 青年の手が、少女の手を求めた。 指を絡めて、握って。体が平衡感覚を失う。 雨の音は、聞こえない。 視界は、ぼんやりと滲んでいる。 夜の訪れた部屋は、ひどく昏くて。 ──まるで、海の底みたいだと思った。 青年は、ひとつ息を吐いて。 「僕は、きちんと、守りますから」 瞳を、閉じる。 彼女の冷たい指の感触だけが、この世界のすべてだ。 やがて、静かな部屋は音を失って。 そこにいた、人の気配を喪った。 残されたのはただ、静かな雨の音と。 ふたりの、亡骸だけ。 「また、会いましょう。」 【雨に沈む梔子の部屋で】END (-406) 2021/04/29(Thu) 21:05:27 |
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