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【人】 囚われ セト[ この国の人ではない、とすぐに 分かったらしいが、それが『お客様』に 繋がるあたり彼女は根っからの お嬢様なのだろう。 馬鹿にされているのかと思うには その瞳の色は純粋過ぎて、 闇を知らぬ幼子の如く。 世間知らずで、愛翫の対象。 心底真面目にお客様だと疑わず、 陶磁器のような首を傾げるその姿に、 さらにくつくつと喉が鳴る。 完全に愉しげな笑いではなく、 嘲笑と自嘲が含まれていることは 気付かれないだろうが。 (4) 2021/04/17(Sat) 10:46:16 |
【人】 囚われ セト[ 顔を見せて、と言われる言葉に>>0:165 笑いを止め、ゆっくりと顔を上げた。 舐め上げるような視線で 上目に見上げた彼女は、 ころころと忙しそうにその表情を変える。 眼光鋭い己の視線を気にする様子もなく、 屋敷の散策で迷った、と 恥ずかしそうに答える様子は 可憐で眩しく、 妙に苛立った。 続く言葉にがちん、と頭の中に火花が弾ける。 ああ、彼女はここの娘なのか。 己の、飼い主の。 とても外には出せない淫猥な欲望の吐口と、 光しか見たことがない娘とを、 一つ屋根の下に置いているとは、 やはりなんとも素晴らしいお人柄だ、 あなたの父上は。 (5) 2021/04/17(Sat) 10:48:21 |
【人】 囚われ セト[ 握り込む拳に刃物が無くて良かったと思う。 床を蹴って、人形のように 美しく傾げられた首元に 刃先を向けずに済んだのだから。] ─── お気遣いに感謝致します。 が、お父上にご進言は不用です。 ここで見たことを、 今すぐに忘れることがあなたとお父上、 ひいてはお家の為でしょう。 (6) 2021/04/17(Sat) 10:49:44 |
【人】 囚われ セト[ このまま引き摺り込み人質にしてしまえば ここから出られるかも知れない。 そんな考えが頭を暗幕のように占めていく。 爪の色が白く変わるほどぎりぎりと 握りしめた拳か小さく震えた。 ……否、彼女に罪は無かろう。 瞼を閉じる。 肺の中の空気を全て吐き出して口を開いた。 声音は、僅かに掠れて。 ] おやすみ、薔薇のように美しい人 Bonne nuit, vous allez dormir comme un bébé. ** (7) 2021/04/17(Sat) 10:51:22 |
【雲】 囚われ セト[ 握り込んだ指先、爪が掌の肉を突き破った 感覚があった。 ぷつ、と音がして、小さな痛みが生まれる。 悪意のない純粋な質問が礫のように 突き刺さり、目の奥ががんがんと鳴った。 下卑た行為には折れることを許さない自尊心が、 眩しい輝きに容易くぐらつく。 ] (D2) 2021/04/17(Sat) 18:58:49 |
【雲】 囚われ セト[ きっと、それは、 あまりの純な、汚れの無い 澄んだ湖面のような彼女に映し出された己が、 あまりにも下劣で、醜悪で、穢れているのだと まざまざと見せつけられるからだろう─── ] (D3) 2021/04/17(Sat) 19:00:04 |
【雲】 囚われ セト[ 丁寧に名を名乗る彼女の顔は やはり見られなかった。 父親が己にしていることを知れば、 その美しく整った表情はどんな風に 取り乱すのだろう、と醜く唇の端が歪む。 けれど飼い主にされたことの仕返しを、 この純な少女に擦ることが正しいとは どうしても思えずに。 甘いのだ、己は。 今も、昔も。 馬鹿馬鹿しい。 ] (D4) 2021/04/17(Sat) 19:01:02 |
【雲】 囚われ セト……名乗る名など、ありません。 [ 吐き捨てるように囁いて。 そうして座ったまま凛と背を伸ばし、 身体ごと彼女に向かい合う。 口を笑みの形に動かして。 にやりと微笑んだ。 ] (D5) 2021/04/17(Sat) 19:01:41 |
【雲】 囚われ セトそう、ですね。 ならば、─── le chien. ルシアン、とでも。 [ 地下に飼われた、少々生意気な犬。 彼女がその単語の意を知っているかは わからないけれど。 シャルケ・セト・ドゥ・シュバリエ 由緒正しき己の名は、 もう捨てたと思って尚、 この澱んだ地下で口にすることは躊躇われて。]* (D6) 2021/04/17(Sat) 19:03:21 |
【雲】 囚われ セト[ ルシアン、と繰り返す彼女の声は、 綺麗な鈴を転がしたようにころころと艶やか。 その意味も知らずに。 質の良いドレスを纏い、 穏やかな笑みを浮かべて己に向かい the DOG、と呼んでいることが可笑しくて、 同時に自分で言ったことなのに 何処か苦しくて。 知らないということは、幸せなこと。 ] (D11) 2021/04/18(Sun) 12:02:10 |
【雲】 囚われ セト[ 己のような怪しげな人間にも恐れず 気負わず話しかけてくれる彼女 ───アウドラと言ったか。 良い娘だ、純粋で、素直で。 きっとこの屋敷の中で、見るもの触れるものを 彼女のまわりの人間によって選別され 制限されているのだろう。 そう、無知は、幸せ。 ……そして時には残酷で。 ] (D12) 2021/04/18(Sun) 12:03:07 |
【雲】 囚われ セト[ 邪魔なことなど。 ここへ来てから、飼い主以外の人間と 言葉を交わしたのは初めてだったな、と 思いながら微かに頭を下げた。 きちんとした礼をするには、 体も、心も苦しかった。 ] (D14) 2021/04/18(Sun) 12:04:42 |
【雲】 囚われ セト[ 顔色を変えた主から 執拗になにがあったか聞かれたが、 その先は頑として口を割らずにいてやった。 その日からしばらくの間 食事が与えられることはなかったが、 主の動揺が己の心を満たしてくれ、 それは愉快で満足だった。]** (D16) 2021/04/18(Sun) 12:06:38 |
【雲】 囚われ セト[ 食事を数日与えられないくらいのこと、 どうと言うことは無い。 そろそろ折れるかと出された食事にも さらに数日は敢えて手を出さずに いてやったほどだ。 それでもさすがに意識が朦朧とした己に、 焦った主が医者を呼んだのだと聞いた時は ひとり、笑ってしまった。 つくづく愛された犬だと。 ] (D19) 2021/04/18(Sun) 23:37:07 |
【雲】 囚われ セト[ そうして彼女の腕に優しく抱かれた猫を 目にすることがあったのなら、 己はその猫に大変申し訳ない気持ちで、 くつくつと笑ってしまうだろう。 ] ……あなたのその美しい猫の名は、 ルシアン、と言うのですか。 [ 無遠慮にけらけらと笑いながら告げる。] この国の言葉ではありませんから 良いと思いますが、 その方は嫌がりませんかねぇ。 (D22) 2021/04/18(Sun) 23:42:41 |
【雲】 囚われ セト[ すう、と顔に浮かんだ笑みを引いて、 ちらりと猫に目を向けた。 主と同じように美しく、 艶やかな毛皮を纏っている。 口を開けば、冷たい空気が喉に張り付いて。] ……変えてやってもいいかもしれません。 ─── le chien、は、俺の祖国の言葉で 犬 、と言う意味ですから。[ 感情を削ぎ落とした顔で、けらけらと笑った。 乾いた笑いが、この国の乾いた風に靡いて 部屋を漂って、いつしか混じりそして消えた。]** (D23) 2021/04/18(Sun) 23:44:31 |
【独】 le chien セト/* わぁぁぁ…… めっちゃバタついていてご挨拶を忘れていました…… ユキと申します この度は参加させて頂きありがとうございます ペアを組んでくださった杏さんありがとうございます! (-87) 2021/04/19(Mon) 8:42:17 |
【雲】 le chien セト[ ラベンダー色のドレスが 前回とは違う揺れ方で風を纏う。 話をする相手>>D24というには、 自分はあまりにも立場が違うと思うのだが、 彼女はそんなこと意に介さないようで。 ふふと溢れ落ちる笑みは軽やか。 己の話も忠告も何処へやら、 同じように軽やかな足取りで歩き出した彼女は、 幾らもしないうちにまた舞い戻る。] (D27) 2021/04/19(Mon) 16:34:02 |
【雲】 le chien セト迷子はご卒業されたようですが。 [ 迷うこともなく此処に戻られた様子に 皮肉げに笑みを一つ。 鉄格子から躊躇いもなくすい、と腕が伸びて、 布に包まれたものと飲み物の瓶が そっと置かれる。>>D25 いつだって仄暗いこの世界に、 細く白い腕がやけに鮮やかで艶かしく映って、 一瞬、目を奪われた。 ] (D28) 2021/04/19(Mon) 16:34:53 |
【雲】 le chien セト[ にゃぁん、という声に我に返り、 は、と慌てて視線を逸らす。 グレーの被毛、細身の身体はしなやかに伸びて。] ……君が、ルシアンかい? [ くつくつと笑いを噛み殺しながら エメラルドグリーンの瞳を見つめる。 主が口にする疑問>>D25を聴きながら、 呆然、といった表情などどこ吹く風。 その腕の中からすとんと飛び降りて、 いとも簡単に鉄格子をすり抜けた猫は、 足を伸ばして座り込む己の元へ 怯える様子もなく近付いた。 ] (D29) 2021/04/19(Mon) 16:35:51 |
【雲】 le chien セト[ 差し出した指先に頭を押し付けるように、 不運な名前をつけられた美しい猫は ゴロゴロと喉を鳴らす。 ] 良い子だね。 良い飼い主のもと良い子が育つ。 [ ふふ、と口元が綻ぶ。 指に残る生き物の温もりが、 じんわりと心に灯った。 ] (D30) 2021/04/19(Mon) 16:36:33 |
【雲】 le chien セト─── 本当の、名、ね。 [ 親指の腹でくりくりと猫の額を撫でながら。 視線は艶やかな毛皮に落としたまま。 ] 俺は、隣国の生まれです。 両親は死にました。 ……愛してくれていたと思いますよ、 神話に登場する砂漠と異邦の神の名を 俺に授けてくれたのだから。 まぁ、砂漠を行く旅人の守護神とされながら、 嵐と悪意、戦争を司る神でもあるそうですから、 無償の愛とは少し違うのかも知れませんが。 [ 猫に向かって話すように、淡々と口にする。 告げることなどないと思っていたはずの名が、 エメラルドグリーンの瞳に吸い込まれるように 静かに流れて。 ] (D31) 2021/04/19(Mon) 16:38:09 |
【雲】 le chien セト俺の名は、セト。 ここにいる間は、ただの犬だけれど。 ─── 君の名も、変えてもらうと良い。 [ つん、と指先で、猫の湿った鼻先にそっと触れ、 ようやく顔を上げて、彼女の瞳を見つめて。 ]* (D32) 2021/04/19(Mon) 16:39:21 |
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