人狼物語 三日月国


75 【身内】星仰ぎのギムナジウム【R18G】

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視点:


【人】 小さな心 サルガス

「――」

 あれ、だなんて。何もわかってないふりをしてみせるのさえ。
 できないほどに、寂しくて、しずかで、ああ、まだ夢をみているのだろうか?
 食堂に入った入り口で立ち尽くして、いつも座る席を遠くの風景のように見て。

 どん、と背中を押されて、食堂の入り口からよろけた。
 生徒の顔は見てないけれど、昨日もそんなことがあって、ああ。
 だれかが、それを咎めていたのを、それをどうしてと聞こうと思って、今みたいに、
 それどころではなくなってしまって、聞けずじまいでいちにちを過ごして、
 ああ、そのだれかが、ぼくのともだちは、もう、そのようにはしないのだろう。

 どうして、ぼくのともだちは、あそこにいないんですか?
(1) 2021/05/28(Fri) 20:07:48

【人】 小さな心 サルガス

 スピカがいつも座る席を見た。
 いっぱいに陳列棚から持ち出して、まるいちにちぶんみたいな食事を詰め込む姿がない。
 シェルタンがいつも座る席を見た。
 そのまわりにたくさんの子たちが集まって、彼の話を聞きに来る小さな上背はない。
 ルヘナがいつも座る席を見た。
 すぐそばのいっぱいの食事を見ておなかいっぱいになって、ちょっと遠慮がちにする呆れ顔がない。
 イクリールがいつも座る席を見た。
 ひとりひとりを大事に育むみたいに、声をかけて、ようやくそこに座る小さなきみが、いない。

「どうして?」

 考えられない。考えたくない。
 不安を頭の中から取り払うと、頭は空っぽになってしまった。
 まだ、席にさえつかず、ひとりきりで立ち尽くしている。
(2) 2021/05/28(Fri) 20:15:02
小さな心 サルガスは、メモを貼った。
(a1) 2021/05/28(Fri) 20:17:44

サルガスは、涙を流しました。
(a2) 2021/05/28(Fri) 20:21:13

【人】 小さな心 サルガス

>>3 ルヴァ
「ルヴァ……」

 そばで、折れてしまった彼を見た。耐えきれなかったのかもしれない。
 でも、なら、ああ。まだ、自分は大丈夫なのではないか。耐えられるのではないか。
 耐えられるのならば、自分にはすべきことがあるのではないか?

 ぐ、と唇を噛み締めた。その拍子に瞼からはぼろぼろと涙は落ちたけれど。
 だめだ。ルヴァの周りに居たみんなが、シェルタンが、ルヘナが、イクリールが。
 いないのなら、彼を一人にしたくないのなら。

「ルヴァ、ごめん、ごめん、ごめんね。
 泣いていいよ、いいんだ。ねえ、いいんだよ。かなしいよ、くるしいよ。
 いいんだ、ぼくらは、彼らを覚えていて、いいの、それで、いいんだよ」

 そばに膝をついてしゃがみこんで、まだ年の近い彼からしても小さな腕を伸ばす。
(4) 2021/05/28(Fri) 20:25:59
サルガスは、ルヴァを抱きしめようとしました。
(a4) 2021/05/28(Fri) 20:27:21

【秘】 小さな心 サルガス → 壊れかけの ルヴァ

「ごめんね。ぼく、愚かなままではいたくないよ。
 ぼく、ちゃんとおぼえてる。おぼえてるよ。
 ヘイズも、スピカも、シェルタンも、ルヘナも、イクリールも。
 ぼくらは、ぼくらは。
 言っていけないなんてことはない、触れてはいけないなんてことはない。

 ねえ、ぼく、ぼくだけになっても。かれらのことを、さがしているから。
 どうか、ルヴァ。きみだけは。ひとりきりに、ならないで」
(-11) 2021/05/28(Fri) 20:29:09

【人】 小さな心 サルガス

>>3:6 シトゥラ
「――……そう、そうだね、ああ、ぼくら、調子がわるいのかも。
 ……しんらいできるひとのところで、ルヴァ、みてもらおうかな。
 おなかいたいのかもしれないから、ちょっとおやつ、もっていかなきゃ。

 ぼくは、ここに、残るから」

 涙で腫れたまぶたはじっと貴方を見る。
 それから、食堂にメレフがいないことに気づいた。彼も、いや。確かめないと。
 毅然とした表情で立ち上がると、陳列棚に目を向けた。
(7) 2021/05/28(Fri) 20:42:36
サルガスは、ヌガーにりんご、牛乳ポット、とにかくなんでも、ひっつかみました。
(a7) 2021/05/28(Fri) 20:43:30

サルガスは、一目散に食堂を飛び出しました。
(a8) 2021/05/28(Fri) 20:46:53

【秘】 小さな心 サルガス → 懐疑心 メレフ

 扉を叩く、扉を叩く。誰も、彼も。いなくなった皆。
 最後に叩いたのは、貴方の部屋の扉。

「メレフ! メレフ! おねがい、返事をして」

 奇異の目で見られはしても、見ないふりまではされていない。
 少年は、いなかったことにはされていないのだから。
 柔らかい拳が扉を叩く。まとめたケープにいっぱいの食事をまとめて。

「おねがい、ルヴァをかくまって。きみしか、信じられないの。
 ぼくが、みんなをさがしてる間に。きみに、彼をまもってほしいんだ」

 まだ、当人らの言葉は、聞けてさえいないのに。空回りは、まわりつづける。
(-15) 2021/05/28(Fri) 20:49:39

【秘】 懐疑心 メレフ → 小さな心 サルガス

「―――……サルガス?」

掠れた声が、扉の向こうから聞こえてくる。
ぼくしかいないなんてこと、ないだろうにと。
衣擦れの音、少しだけ近付く声。


「……悪い。今、それどころじゃ……シェル……
いや、あいつはだめだ
……ルヘナや、スピカは……いないのか……?」
(-17) 2021/05/28(Fri) 20:54:32

【人】 小さな心 サルガス

>>3:9 ルヴァ
「……よわむしなぼくで、ごめんね。きのう、きっときみと、もっと話していればよかった」

 人に囲まれているということは、満たされているということで。
 人がいなくなるということは、それが欠けてしまうこと。
 いつだってひとりぼっちの自分とは、きっと落ちる崖の高さも違うのだ。

「シトゥラの言うとおり、きっと、ここは、つらいでしょう。
 ぼく、おべんとうみたいに食事をもっていくよ。どこが、いいかな。
 高等部の子のへやがいい? それとも、ぼくのへや、なかにわ、なんでも、いいんだけど……」

 見ないふり、触れないふりを出来るものたちに囲まれて食事をするのはつらいことだろう。
 そして何より、彼を守らないといけない。そのために、何ができて、どこへ。
 自分よりも背の高いきみを、かばうように両腕をのばしたまま立ち上がる。
(10) 2021/05/28(Fri) 20:59:15

【秘】 壊れかけの ルヴァ → 小さな心 サルガス

「サルガス……サルガス……。
 ごめん、何もしてあげられなくて。
 おれさまは団長で、頼れる男で、皆の味方で、
 そんな男だったら、最初からそんな勇気が出せてたら。
 もしかしたら誰も居なくならずに済んだのに。

 サルガスが大事に思ってた人だって、
 今から探しに行く人たちのことだって、
 失わずに済んだかもしれないのに。
 
 サルガス、行かないで。
 きっとかれらは、見つからない。
 サルガスも、居なくなってしまう。
 それを、おれさまは、本当に、悲しいと、思う。
 これは……俺の、本当の気持ちなんだ」
(-19) 2021/05/28(Fri) 21:00:57

【秘】 小さな心 サルガス → 懐疑心 メレフ

「……そうか、まだ……ごめん、急に押しかけて。
 どう、しようかな……いや、ああ、でも。あそこで知るくらいなら」

 食堂の様子を知っている。見ないふりをされているものたちの姿を知っている。
 それを見たものがどれだけ心を締め付けられるか、よく、思い知っている。

「おちついて、聞いてね。
 シェルタンがいないんだ。ルヘナも、スピカも。それに、イクリールも。
 ルヴァを守ってあげられる人が、だれもいない。
 ――レヴァティとブラキウムと、シトゥラは、いつもどおりなんだ……」

 すりきれそうな喉から絞り出すように。ひとりひとり、大事そうに名前をあげる。
 それなのに、どうしてこうも、差ができてしまうのだろうか。
 たった一日で、どうしようもない壁ができてしまったかのようだ。

「でも、メレフも、つらいよね。いいよ、だいじょうぶ。
 つらくて、くるしいなら、むりには言わないから。
 ぼくのへやでも、どこでも。すこしこわいけど、ルヴァを匿っておくことはできる」
(-20) 2021/05/28(Fri) 21:05:25

【秘】 小さな心 サルガス → 壊れかけの ルヴァ

「……ルヴァは、きのうみんなを率いて、さがしものをしてくれたよね。
 もしかしたらルヴァはべつのことをしようとしてたのかもしれないけれど。
 でも、みんなに機会をあたえてくれていたよね。ぼく、きいてたよ。しってたよ。

 ルヴァは、いつもやさしいね。そばにいるひとを、大事にしてくれるよね。
 いまも、傷ついて、苦しんで。ぼくは、きみがそうあることを、守りたいとおもうよ。
 きみのほんとうのきもち。ぼくに、守らせてほしいんだ」

 それだけ悔やむことがあることを、悔やむ想いがあることを。
 サルガスはしっかりと受け止めて、抱きしめた。大事な、少年のともだち。
 守るために何が出来るか、必死に頭を巡らせて。

「メレフがもし、匿ってくれるなら。せめてちょうしょくだけでも、メレフのへやでいい?
 こわい、信頼していいかわからないなら、べつのところでもいいよ。
 ただ、ぼくが。メレフはきっと、力になってくれるって勝手におもってるだけだから」
(-22) 2021/05/28(Fri) 21:20:00

【秘】 懐疑心 メレフ → 小さな心 サルガス

「そう、か……そんなに……
 早く、早く……裏切者を、見つけないと……」

掠れた喉から、絞り出すように。

「……ぼくの、部屋は……あまり、落ち着けない、だろうから……ひとまず、お前の部屋に 連れていってやれ…」

あとで、行くから。と口にして。

「……悪い、な。色々、あって……今は、動けない。 
 だから……また、後でな」
(-23) 2021/05/28(Fri) 21:27:37

【秘】 小さな心 サルガス → 懐疑心 メレフ

「わかった。また、あとで……動けたら、だけど。おはなし、しようね。
 ぼくは。まだ、みんなをさがすから。
 ぼくだけなら、教員棟も入れるはず。
 こんなにたくさん、いなくなったのだもの。それに、ヘイズみたいに隠されてるわけじゃないかも」

 ぱた、と足音が少し離れたような気配がして。それから、もう一度だけ戻ってくる。
 すこしばかり声をひそめて、扉の向こうの貴方に聞こえるように。

「メレフ。むり、しなくていいんだ。
 きみがおもってるより、きっときみは弱っているし、
 きみがおもってるより、きっとぼくは、強いから」

 まっすぐな声の調子でそれだけ告げて。少年は、廊下を駆けていった。
(-26) 2021/05/28(Fri) 21:32:32
サルガスは、自分の部屋にいっぱいの食料を詰め込みました。
(a12) 2021/05/28(Fri) 21:33:59

サルガスは、食堂に駆け戻ってきました。
(a13) 2021/05/28(Fri) 21:35:19

【人】 小さな心 サルガス

>>3:7 >>3:10 再び、食堂
「ルヴァ、ぼくのへやに、食料いっぱい置いてきたから。
 なんでも、していいからね。ずっと、そこにいなくちゃいけないわけじゃないし。
 ほしいものがあるなら、もっていくから。お話したかったら、こえ、かけてね」

 ケープいっぱいにくるんだ食べ物を自分の部屋に詰め込んで、
 おもいきり振る舞える場所を用意した。
 いちおう、なるべく小声で彼にだけ囁いた。耳の良いものは聞いてしまうかもしれないが。
 小さな体をなんども、あちこち、ぱたぱたと急くように動かして。
 息を切らして、ともだちに寄り添おうとする。
(12) 2021/05/28(Fri) 21:41:21

【人】 小さな心 サルガス

>>3:14 ルヴァ
「いつもどおりに過ごすのって、むずかしいことだよ。
 ありのまま。きみのままでいいんだ。だって、ルヴァは、ルヴァだから。
 ……いつだって。ぼくは、話を訊くから。ひつようなときに、そばにいられるようにするから。
 きみのともだちで、いさせてね」

 柔らかく、包み込むように。そうあれるように、心がけて。
 最後にぎゅうと抱きしめて、少しだけ、弱りを振り払うようにすする声が聞こえたかも。
 まだ満面の笑みにはなれない。それでも、口元に笑みをつくって。
 じっと、瞳はシトゥラとカストルを見た。この場でどんな振る舞いをするのか見るように。

「また、あとでね」
(15) 2021/05/28(Fri) 22:15:39

【人】 小さな心 サルガス

>>3:a6 >>3:8 ブラキウム
 喧騒を終え、激励を終え。貴方の元に来たのは、時間が経ってからだった。
 朝にしては少し汗っぽくて、疲労の色が見えて。そんなことは、見えていないかもしれないが。

「ごめんね、ブラキウム。ばたばたしてて……。
 なにがすきかとか、わからなかったから。いっしょに食べれるものにしたの」

 いつもどおり、同年代の子供に比べるとすこしばかり足りない食事。
 そこに、白いマスカットを添えたトレーを抱えて、席の近くまでやってきた。
 ……返事があるまで、認識してもらえるかわからないから。座るまでは、いかないけれど。
(18) 2021/05/28(Fri) 22:28:19

【秘】 小さな心 サルガス → 壊れかけの ルヴァ

 あなたをこわれものみたいに大事にして、ぎゅうと抱きしめていった小さい体。
 見上げて、見下さなくては目線の合わない体はすこしばかり温かい。
 とくとくと、小動物のように心臓は高鳴り、鼓動は疾く走っている。

 ネズミの心臓は、貴方から離れていきました。
(-36) 2021/05/28(Fri) 22:31:38

【秘】 困憊 メレフ → 小さな心 サルガス

「………ああ、少なくとも シェルタンは見つかるはずだ。…他は、分からない。
 見つかったら…その時は、教えてくれ」

ああ、こいつはどこまでも頑張るんだな。
少し、眩しく思う。

「……知ってるよ。
 ぼくはもう少しだけ休む。見せられる状態には、しておかないといけないからな……これ以上、心配はかけたくない」
(-37) 2021/05/28(Fri) 22:37:25

【人】 小さな心 サルガス

>>3:21 ブラキウム
「……うん。おはよう。いっしょに食べよう」

 咎めは多くなく、覚えられていないわけでもなく。少しだけほっとしたようだった。
 昨日のように隣の席にのぼって、自分の食事を並べた。
 量には多少の差があるけれど、同じもの、それと、"お願い"の対象。
 張り詰めた空気の中で、いっときくらいは緊張を忘れるように。そろそろと、息を吐いた。

「いまはブラキウムといっしょだよ……。
 きのうはちょっと遅くまで起きてたから、おきてくるのもちょっと大変だったの。
 きょうも、じゅぎょうもあるし、医務室にもよらなきゃだから、うとうとしちゃだめなのに」

 まるで日常に帰ってきたような言葉。いいえ、今も、日常のはずではあるのだけど。
 これほどまでに、肌のすぐ近くで表面化しなかっただけ。
 それでもすこし表情には疲れが見え、貴方の顔を見て、落ち着いたようだった。
(22) 2021/05/28(Fri) 23:01:52

【人】 小さな心 サルガス

>>3:25 ブラキウム
「にんきものなんかじゃないよ。ぼくが、みんなと……なかよくしたいだけ。
 ほんとは、ちょっと気が引けていたけれど。みんながぼくと同じにされるの、いやだから……」

 誰彼と構わず降りかかる頼み事。からかい、転ばせ、背中の張り紙。
 それらは、けれど、大人など関係ない。根拠のない。いたずら心。
 それは、貴方と話す朝食の時間からは廃絶されたものだから。今は、少し気が楽だった。

「そうなんだ? やっぱり、あまいものいつも食べられると、いろいろ知ってるね。
 ぼくはこっちに来てから食べるものばかりだから……。
 実は、ここに来てはじめて出てきたくだものが、このしろぶどうだったんだよ」

 干してもいない、絞ってもいない。まるのままの新鮮な果物!
 これがどれだけ珍しいものか、もともと育った土壌が違えば感覚も違うかもしれない。

 さりげない心遣いで食べやすくされたマスカットと、いつもの糖蜜パンを見比べて。
 遠慮とか行儀とか、色んなものと葛藤して。
 皿にころりと並んだマスカットを一粒大事そうに掴んで、口の中に入れた。
 皮だけつまんで、透き通った実を噛み潰して。わっと広がる甘みに目を輝かせる。

「おいしい!」
(26) 2021/05/28(Fri) 23:43:17

【置】 小さな心 サルガス

 新学期の空気。秋風。サルガスがここに来たのは、それからもう少し遅れた頃だった。
 サルガスの家は、多くの裕福な生徒達と比べるとずいぶん"ふつう"だった。
 平民の子で、小さな頃から仕事を手伝って。どちらかといえば窮していたかもしれない。
 高名なギムナジウム、そこから排出される医学の見地。それは薬学だけでは追いつけなかった。
 同じくらいの尺度の人々には評判はよかったけれど、高貴な人々の寵愛など、とても。

 小さな頃は、家に居た頃は。何もさせてはもらえなかった。
 動けば、叱られた。手伝おうとすれば、たしなめられた。
 病室のようなベッドから飛び出し、自分のことをしようとすれば、ひどく怒られた。
 家のことはさせてもらえなかった。わがままを言うたびに、嘆かせ、泣かせてしまった。
 父も、母も。弟達も。弱りきった小さな体を、ずっと大事にしてた。
 とくとくと、律動する鼓動。漲る血のままに動けば、体は消耗しすり減ることを。
 医を齧った父も、母も。わかっていたのだ。

 文字より先に数字を覚えて。遅れて読み書きを自分のものにして、本をたくさん読んだ。
 少しでも、父を楽にできますように。少しでも、母を楽にできますように。
 それがやくだつとき、自分が働けるときなど、訪れるかもわからないのに。

 だから。ギムナジウムの誘いは、天啓のように聞こえていたのだ。
 ひそやかにされた真の姿など、中流までは下りてこなかったのだから。
(L1) 2021/05/29(Sat) 0:21:04
公開: 2021/05/29(Sat) 2:00:00
サルガスは、お昼休みは教員棟の構造を調べるらしいです。
(a23) 2021/05/29(Sat) 1:01:32

【人】 小さな心 サルガス

>>3:27 ブラキウム
「うん。……明日も、ブラキウムといっしょに朝ごはん食べられたらいいね。
 くすりになるようなもののことはわかるけど、こういうのって、わからなくて。
 ぼく、すっぱいのより、とろとろ甘いやつのほうがいいなあ」

 マスカットを食べて、時折思い出したように元の食事に手を伸ばして。
 味の違いで新鮮に感じる果物を味わったり、いつもより甘く感じない牛乳にむうと唸ったり。
 こんな朝でなければ、いつもの風景。努めて、いつもどおりであることを確かめるようだ。

 聞こえた声に顔を上げて、けれど、その意図をうまく捉えきれなくて。
 悩みはてながらもちらりと目をうつした、つやつやの青りんごに目がいった。
 マスカットの皿を相手の方に少し返して、二人で手の届く位置に置いてみて。

「ブラキウムも、おいしい?」
(28) 2021/05/29(Sat) 1:21:00

【秘】 小さな心 サルガス → 空回る思い メレフ

*/
お疲れさまです。
前日までの秘話に関しては、以降継続は無しの方向になりますでしょうか?
今後の身の振り方も考えたいので、回答いただければ幸いです。
(-75) 2021/05/29(Sat) 7:12:49

【置】 小さな心 サルガス

 昼刻。
 また、高等部の生徒に嘘の頼まれごとをしたような……ふりをして。
 教員棟の周りをちょろちょろと探し回っている。人目にはなるべくつかないように。
 ヘイズは、特に。ほかの皆も、噂さえ立たないのだからどこにいるのか、探しようもない。
 ひょっとしたら、自分の部屋にいるのかもしれない。けれども、今はまだわからない。
 せめてもいなくなった理由だけでも探そうと、足は隠されたさがしものへと向いた。
(L2) 2021/05/29(Sat) 7:19:21
公開: 2021/05/29(Sat) 7:20:00

【秘】 空回る思い メレフ → 小さな心 サルガス

/* 朝ごはんですわ!遅くなって申し訳ありませんわね、前日の分も締めに向かっておりましたし、返信する予定でしたので少々お待ちくださいませ!
(-76) 2021/05/29(Sat) 7:25:19

【秘】 小さな心 サルガス → 空回る思い メレフ

/*
了解しました。方針などあれば、一言添えていただけるとありがたいです。
ご迷惑をおかけしてしまい、大変申し訳ありませんでした。
(-77) 2021/05/29(Sat) 7:30:53

【秘】 空回る思い メレフ → 小さな心 サルガス

この程度の接触なら、今は大丈夫そうだと分かって 自分でも安心した。
喜んでいるようだと分かると、何だか柄にもない事をしたような気持ちになって照れが出そうになる。

「……ま、世話焼きに慣れてるだろうってのもあるな。
 
 知らない洗濯……?お前、また自分の仕事じゃないことしてたのか?
 っておい、高等部の宿題までやる必要はないだろ。

 そいつのことを思って受けたんだろうことはわかるが、それは誰のためにもならないぞ。
 その宿題どこだ?ぼくが代わりに持っていってやる」

鐘の音にはもうそんな時間か、と。
空になったカップをテーブルに置いて 代わりに宿題を受け取るために手を差し出す。
きっと渡すまで動かないだろう。何せ変なところで頑固なので。
(-78) 2021/05/29(Sat) 7:39:53

【秘】 空回る思い メレフ → 小さな心 サルガス

/* こちらこそお待たせいたしました申し訳ないです!
この後表新規ツリーにてサルガスくんのお部屋に向かおうと思っておりますがよろしいでしょうか?
(-87) 2021/05/29(Sat) 8:34:13

【独】 小さな心 サルガス

 無謀にも教員棟の裏手に回って、ひとけの様子を確かめてみた。
 授業の準備をしているからか、よくみる先生は中にこもってしまっているよう。
 時々、知らない大人と出くわしそうになっては、小さい体をさっと隠した。
 危うげな探索を続けていて、ふと見上げた目線に映るもの。
 鍵もかけず、窓戸を締めてもしまわずに。白いカーテンが揺れている窓。

「ひょっとして入ってしまえる、かな?」

 思い立ったら試してみずにはいられなかった。落ち着いて、考え直せなかった。
 それは幼い浅慮のためではなく、巡る血の急く思いのため。
 毛細血管をはじけさせるような圧を逃がすように、体はいつもじっとしていられない。

 一階の窓……から、姿が見えてしまわないように、その脇を通って。
 雨樋をのぼって、絹をはためかせる二階の窓に向かって、懸命に手を伸ばす。
 腕の力だけでなんとかとりついて、空いた窓の中を見る。

 なにか、うごめくようなものがあって。暗くて、中は見えなくて。
 誰で、何が、なんにもわかりはしないけど。頭の中に危険を知らせる鐘の音がなる。
 これは見てはいけないもので、何かどうしようもなく悪辣な何かで。
 ほとんど影しか見えやしないのに、なぜだか背筋を寒気が伝い。

 冷や汗で滑った指先が、雨樋をつるりと取り落し。
 小さい体は、落下して。
(-104) 2021/05/29(Sat) 11:16:13
サルガスは、窓から落ちました。
(a33) 2021/05/29(Sat) 11:16:21

【秘】 小さな心 サルガス → 空回る思い メレフ

*/
はい、大丈夫です。よろしくお願いいたします。
(-105) 2021/05/29(Sat) 11:16:57

【人】 小さな心 サルガス

>>3:29 ブラキウム
「やっぱり、そんな感じに見えちゃうのかな……ぼくね、やりたいこと、むずかしくて。
 ぼく、だれかの役にたてるのが、うれしいんだ。ここは、何にもしちゃだめって、言われないから。
 それ以外ってなると……ううん、なんだろう」

 ひとよりは少しすくない食事、それを少しだけ時間をかけて食べる。
 ゆっくりと食べているようには見えない。スピカのように健啖家らしいのに、一口は小さい。
 自分の姿に、変わらぬものを求められていることなどつゆ知らず。
 小さい頬にゆで卵のクロケッタをいっぱいに詰めて、じっと見つめて。
 そればかりはお行儀よく、ちゃんと飲み込んでからからっぽの口で問いかける。

「ブラキウムは、好きなことややりたいことって、なあに?」
(30) 2021/05/29(Sat) 11:42:09

【人】 小さな心 サルガス

>>3:31 ブラキウム
「……ブラキウムは。やさしいね」

 彼の言葉に宿るもの。ここで、育っていくにあたって、そしてここを卒業してから。
 うまくこのギムナジウムを渡りきって、その先につなぐものを、ずっと考えているのだろう。
 "サルガス"がいなくなってほしくないから、いなくなると思いたくないから。
 その先に、未来があるように見つめてくるのだ。

「そっか。……じゃあ、ぼく、がんばるね。
 同じクラスの、ふたりだもん。ぼくも、ずっといっしょにいたいな。
 思い出たくさんつくれると、いいね。ふふ」

 無垢にも思えるような返答に、自然と頬がほころんだ。同じ気持ちであることが嬉しい。
 少しばかり年は違って、追いつくまでに時間はかかってしまうけれど。
 みんなで、そして三人で。いっしょに過ごせたらと。少しだけ、声に出して笑った。
 
そのためにも、解決のために頑張らないと。
(32) 2021/05/29(Sat) 12:35:23
サルガスは、誰かに運ばれています。
(a36) 2021/05/29(Sat) 13:22:14

【独】 小さな心 サルガス

 痛い。痛い。背中の真芯を打ってしまうのは、体をねじって避けたけど。
 首や脊髄を守ろうとして、半身に重みがかかってしまった。呼吸が苦しく、ひゅうひゅうする。
 大きな怪我になっていなければいい。そう冷静に考えるのも厳しいくらいに、痛い。痛い。
 心臓はいつも以上に高鳴っている。怯えたような鼓動が耳の裏まで響く。

 騒ぎを聞きつけた誰かが、転がっている体をかかえあげた。
 けれども少年の視界はちかちかとして、それが誰であるのかもわからない。
 痛みが視覚にまざりこむように、黒と赤に明滅するのばかりが見えて。
 どこを、どのように通ったのかも、よくわからない。
(-123) 2021/05/29(Sat) 13:34:23

【人】 小さな心 サルガス

>>33 ブラキウム
「ブラキウムは、――ブラキウムは、いつも、上に立つ人らしく、してるよね。
 じぶんはつよくて、こわくて、だれにもばかにされちゃいけないと思ってるよね。
 でも、こころのいちばんしたからぜんぶほんとうにそうだったら。きっと、ぼくに声をかけない」

 それは真ではないかもしれない。少年の善性が、そう思い込んでいるだけかもしれないだろう。
 人の心の何もかもを水鏡のように見透かすことなど出来はしないのだ。
 ましてや、まだ未熟な子供にそんな芸当など。そう思いたいだけなのかもしれない。
 それでも、少年は貴方の中に厳しさも強さも、何もかもが育まれていることを信じている。

「ブラキウム、ぼくのともだちの、ブラキウム。
 ぼくも、きみが心配なの。きみも、きっと知らないところで、危険なことをしてるでしょう。
 でも、だいじょうぶだから。
 ぼくが、きみをだれにも連れて行かせない。ぼくがきみを、守るから」

 ああでも、だからこそ。約束は結ばれない。
(35) 2021/05/29(Sat) 13:41:36

【人】 小さな心 サルガス

>>34 メレフ 昼頃、昼休みは過ぎ去って
「はい!」

 まるで授業中に指されでもしたかのような、大人しいながら元気いっぱいの声。
 けれども扉が開くまでには、少しだけ時間がかかってしまった。
 尋ね人が誰かもわからないのに、重いものでも運ぶように両手で頑張って扉を開けて。
 見上げた顔が貴方であるのを見て。ほっとしたかと思えば、すぐに眉を下げた。

「メレフ! たいちょう、だいじょうぶ? しんどそうだったでしょう。
 どうしようかな、まだ、朝のたべもののこってるんだけど……」

 気遣わしげに部屋の中をちらりと振り返る。
 隙間から見える風景には、ちょろりと残ったクッキーやヌガー、お茶のポットが置きっぱなし。
 朝、人を匿おうとして積み上げた食料をまだ消費しきれていないのだろう。
 少しだけ、青い草と土の匂いがする。
(36) 2021/05/29(Sat) 13:49:32

【人】 小さな心 サルガス

>>3:37 ブラキウム
「ブラキウム……」

 脅迫に近い言葉なのだろう。命令に近い言葉なのだろう。
 それでも、それそのものには恐怖は感じられなかった。
 もっと怖いのは、自分が手を振り払ったことで、彼がなにかになってしまうこと。

「……わかった。ブラキウムに、頼めそうなことがあったら、ぼく、おはなししにいくね。
 まだ、急にいろんなことになっちゃったから……まとまってないんだ。
 わからないことばかりだから。わかったことがあったら、あとで相談しにいっても、いい?」

 確約できてしまわないことは言及を避けておきながらも、ようやく、頷いた。
 きゅうと、指先が貴方の指を包むように一瞬だけ動いて、そうっと離れた。
 食器は、ほとんどカラになっている。
(39) 2021/05/29(Sat) 14:50:37

【秘】 小さな心 サルガス → わるいおとなの ラサルハグ

/*
先生こんにちは!
教員棟の二階の窓から背中から落ちたので、もしお手すきだったら部屋まで運んでくれませんか?
エッチな展開にするつもりはあまりないので、めちゃくちゃ注力して頂く必要はないです。
主に名前がチラ見することで人間がハラハラする事を狙いとしています。

内蔵破裂してるか、打撲で済んでいるかは考え中です!
(-145) 2021/05/29(Sat) 15:00:20

【秘】 わるいおとなの ラサルハグ → 小さな心 サルガス

元気な挨拶ありがとうサルガス。ラサルハグ先生です。

生徒が危ない目に遭うのは先生も悲しいですから、喜んで運びます。notエッチも把握です。ハラハラが目的なんていけない子ですねサルガスは。愉しそうなので先生そういうの大好きです。

このまま秘話進行にしますか?あと、もしかしたら先生もアクションログを使用するかもしれません。もし先生側は何もしないで〜!という感じでしたらアクションは控えるのでお手数ですが連絡くださいね。
(-147) 2021/05/29(Sat) 15:08:00

【秘】 小さな心 サルガス → わるいおとなの ラサルハグ

/*
ボンカレーです。
特に運営的に問題はなさそうなご様子だったので、アクション使用していただいて大丈夫かと。
秘話進行で、時々誤解を招くアクションが漏れる感じでいこうと思います。よろしくお願いします。
(-155) 2021/05/29(Sat) 15:40:09

【秘】 わるいおとなの ラサルハグ → 小さな心 サルガス

匿名外野席です。進め方についても把握しました!
怪我の具合もそちらに全てお任せしますので、ゆっくり考えていただければと思います。それではどうぞよろしくお願い致します。

(-160) 2021/05/29(Sat) 15:54:21

【秘】 わるいおとなの ラサルハグ → 小さな心 サルガス

教員棟某所。
何やら遠くがざわついているのに気がつくと、この大人もまた顔を上げて他の大人たちの声がする方へ視線を投げるだろう。

「…………」

逡巡し、少しだけ歩幅を広げて他の大人たち数名と何かが起きた付近へと移動する。

窓から落ちた貴方の様子はどうなっているだろうか。
(-161) 2021/05/29(Sat) 15:54:47

【人】 小さな心 サルガス

>>3:40 ブラキウム
「ありがとう。ブラキウムも、むりしないでね。
 あしたは、ルヴァと、ブラキウムと、ぼくで、ごはん食べようね。
 ルヴァ、最近カストルと仲がいいから。つれておいでっていったら、くるかな……」

 他愛ない話をしながら、ゆっくりとした時間を終えて。
 机を離れるとき、あなたの食器をあなたが自分で片付けていることにあれ、と声をあげた。
 けれどそれ以上に言及はなく、先にも行かず、見守って。
 並んで歩いて返却場所まで行って、ささやき、笑い合っていたことだろう。
(43) 2021/05/29(Sat) 16:19:08

【秘】 小さな心 サルガス → わるいおとなの ラサルハグ

 昼休み。遊び、駆け回る子供の声が残響となってあるからか、
 案外その場に人はそれほど集まっていなかった。或いは、興味もないのかもしれない。
 子供は浅く呼吸をし、真っ青な顔で草の上に横たわっていた。
 全くの更地ではなかったからわずかに下生えはクッションになっていたものの、
 衝撃を受け止めきるほどではなかった。

「ぁぁぁ、ぁぁぁ ぁぁぁ、ぁぁぁ」


 大人は。あんがい、焦っているようだった。
 隠蔽し難い怪我だったからだ。病気、怪我。虐めの痕ならばまだしも、死は隠しえない。
 ましてや手術でもなく、広範囲の打撲。それに、事故じゃ"金にも愉悦にもならない"。

「ぁぁぁ、ぁぁぁ ぁぁぁ、ぁぁぁ」


 低い笛の音のような異常な音が、喉から漏れている。痛いのだ。
 既に対処にあたっている大人の調べでは、幸い脊髄の損傷には至ってなさそうだということだ。
 様子を見るにしても何にしても、砂地の上では何も出来ない。

「ぁぁぁ、ぁぁぁ ぁぁぁ、ぁぁぁ」
(-172) 2021/05/29(Sat) 16:27:03

【秘】 わるいおとなの ラサルハグ → 小さな心 サルガス

「……」

痛ましい音にカウンセラーの大人は顔をくしゃりと歪めた。まるで自分もまた痛みを受けているかのように。
大人たちの玩具として使われず、自分も愛を注ぐことができず。勝手に壊れられても困りものだ。

「……サルガス、サルガス。私たちの愛しい子。聞こえるかな」

砂地にコートが汚れることも一切躊躇わずに跪き、手短に言葉をかける。

「手を尽くそう。気をしっかり持って。早く手当てをしようね」

(-179) 2021/05/29(Sat) 16:45:55

【秘】 わるいおとなの ラサルハグ → 小さな心 サルガス

「私も手伝います」

対処に当たっている大人たちに混じり、サルガスを然るべき場所へと運ぶだろう。
カウンセラーは結局カウンセラーでしかなく、医学に関する知識量は本業の者と比べて当然劣る。
どこに運ぶか、その後の対応はどうするかなど、全て自分より詳しい者へ判断を任せるようだ。
(-180) 2021/05/29(Sat) 16:47:07
サルガスは、痛みに呻いています。
(a41) 2021/05/29(Sat) 16:49:22

サルガスは、嘔吐しました。
(a42) 2021/05/29(Sat) 16:55:36

【秘】 小さな心 サルガス → わるいおとなの ラサルハグ

 まだ丸みを帯びた面は紙のように白くなっていた。
 薄く開くばかりがやっとの瞼の内側は、目玉が白目を向きかけている。
 苦しみに耐えかね、昼餉混じりの吐瀉が地面に垂れ流される。勢いもない嘔吐だった。
 気胸の危険性がないようにと、大人の一人がガーゼを充てがう。危険な状態だった。

 それでも。人の声を聞くと、まだ顔合わせも子供たちとしきれていない貴方の声を聞くと。
 ほっと肩からを抜いて、真っ白い唇に、大丈夫だとでも言うように薄く笑みを乗せた。

 その後、経過を見てひとまず肺や心臓、内臓の破裂はないことが判明した。
 それでも未だ神経の損傷の可能性は疑われている。落ち方が落ち方だからだ。
 最悪麻痺や呼吸障害の可能性もあるが、まだ様子を見る必要がある、と結論は出された。
 肋骨や打った内臓をしっかりと固定し、包帯やガーゼで正しい位置に合わせる。
 しばらくすれば、少年は自室へと帰されるだろう。

 少年の処遇がどうなるのかは、明日の犠牲者の数が示している。
(-185) 2021/05/29(Sat) 16:59:59
サルガスは、自室に返却されました。
(a43) 2021/05/29(Sat) 17:07:46

【独】 小さな心 サルガス

 痛い。痛い。それでも、しばらく固定すれば多少は楽にはなった。
 あばらにひびは入っているかも、ということだけど、手術の必要はないらしい。
 正しく安静にしていれば問題はない……らしいけれど。安静にすることこそが至難というもの。
 やらなければいけないことがあるのに。ままならない気持ちだけが膨らみ続ける。

 レヴァティは、どうしてああもけろりとしていられるのだろう。
 ブラキウム、ぼくの優しい友達。普段のようにいられないゆらぎを、守ってあげたい。
 メレフ、見た目よりもずっと脆く、情深い貴方。彼の為に何をしてあげられるだろう。
 ルヴァ、ほんとうはそばを離れてしまいたくない。危うげな、小さいきみ。
 カストルは。ああ、本当は、彼が何を見ているのか、全くわからない。恐ろしいのだ。
 シトゥラ。どうして、イクリールがいないのに。本当は、想っていると信じたい。

 たった一日で、こんなにも誰かを疑っている己が恐ろしい。それ以上考えたくないのだ。
 どうして、こんなにも急いてだれかを探しているのか、理由は自分でわかっている。
 見つけたなら、話をしたなら。もう、"居る人間"を疑わなくて済む。
 ごめん。ぼくは、犯人探しなどしたくない。
 誰とも知らぬ人間ばかりが関わっているのならばいい。
 ぼくは。本当は、いい人間でなくなってしまうことを、恐れているのだろう。

 痛みに耐え、痛みに耐え。
 幸い怪我のせいで、午後の授業への出席は免れた。
 今のうちに、誰かを、居なくなった彼らを、探さなくては。
 彼らを、僕らを。ぼく自身を、守ってやるために。
(-234) 2021/05/29(Sat) 20:51:26

【秘】 空回る思い メレフ → 小さな心 サルガス

>>36 サルガス

「ん。……もう大丈…いや、少しまだしんどいはしんどいか。
 動けるくらいにはなった…食欲はないから、食べはしないけど 置いてある分には気にしない」

扉からのぞいた顔に手を挙げて。
少年の顔を見て、メレフも少し気が落ち着いたように表情が穏やかになる。

「ルヴァは大丈夫だったか?あの時は、すぐ通せなくて悪かった」

部屋の方は気にした様子もなく。
入れるなら入るぞ、という顔をしている。
(-241) 2021/05/29(Sat) 21:48:30

【秘】 空回る思い メレフ → 小さな心 サルガス

/* 間違えて秘話を送ってしまいましたわ………………………………………………通常発言に発言し直しましたので、そちらで続けて頂けたらと思います………………………………………………!
(-244) 2021/05/29(Sat) 21:55:09

【人】 小さな心 サルガス

>>3:52 昼過ぎ メレフ
「前、たべものの匂いも、やだったから……でも、だいじょうぶなら、よかった。
 ルヴァは、とりあえず立ち直ったみたいだったよ。まだそれからは会えてないけれど」

 少し動くのが億劫そうなのは眠気のせいだろうか。緩慢な動作で、扉を開く。
 いま寝坊して置き出したみたいに、ベッドシーツがもこもことトンネルを作っている。
 隣を過ぎる時に少し香るのは、普段の匂いに加えて少しの土の匂い、消毒液の匂い。

「なにか、あったっけ。見つけたものとか、あった?
 のみもの飲むの、たいへんじゃなかったら、昨日とおんなじの淹れるけど……」

 見上げる視線は貴方のことばかりを気遣って、鶏と雛のようにそばをちょろちょろとしている。
 いつものケープは土と青草で少し汚れて、ベッドのそばにかけられていた。
(60) 2021/05/30(Sun) 0:57:40
サルガスは、中庭に顔を出した。
(a75) 2021/05/30(Sun) 1:02:56

【人】 小さな心 サルガス

>>3:a75 中庭
「……」

 いなくなった人々を探して、のろい足を動かして。
 青い鳥のように、中庭に集まる人たちを探してぱあっと顔を輝かせた。
 小さな少年は、たしかにそこにいるみんなを認識している。
 ああ、と声をかけて駆け寄ろうとしたけれど、どうにもみな、大事な話をしているようだから。
 ぎゅっと耳をふさぎながら、それでも見えるところに姿を現した。

「き、きいてよくなったらおしえてね」
(61) 2021/05/30(Sun) 1:06:29

【人】 小さな心 サルガス

>>3:62 中庭 ブラキウム
「……ああ、うん。本当に……」

 自分が見ている風景と、貴方は見ている風景は。同じなのだ。
 それはただ単純に己が間違っていないことの証明でもあるし、
 貴方が前を見ていることを証明することでもあるし、
 なにより、ここは、食堂のような場所ではなく。多くが受け入れられる場所だと。
 ホッとした途端に喉がぐっと狭まって、鼻がつんと痛くなって。

「みんな。スピカも、シェルタンも、ルヘナも、イクリールも。
 ああ、いるって、言っていいんだ。言って、いいんだ……」
(63) 2021/05/30(Sun) 1:17:14

【人】 小さな心 サルガス

>> 中庭 ルヘナ
「るへな、」

 しゃくりあげてしまいそうな声が、ようやく喉から音を押し出した。
 少しのろい足取りがそちらに歩んでいって。なんて、声をかければいいだろう?
 遅くまで一緒にいて、離れてからはそう時間など経ってはいないのだ。
 なのに、とても長い時間離れていたような、そんな気さえする。

「、……き、のうは。ありがとう、ね……」

 いっぱいの感情で占められた頭の中から、いちばん確かな言葉を選び取る。
(64) 2021/05/30(Sun) 1:20:38

【秘】 空回る思い メレフ → 小さな心 サルガス

>>60 サルガス
「今は大分とな…また、ダメな時は言うようにする。安心しろ。

 そうか、ルヴァも団長と言うだけあって 抱え込みがちだろうからな。
 なにかあった時はちゃんと見てやれよ。中等部は、お前の方が目が届くだろ」


サルガスの様子を見て、怪訝そうな顔をした後 椅子ではなくベッドの方へ向かう。
傍をちょろちょろしている様子の少年の肩をとん、と指先で押して。
ベッドに倒れこませる。ぽふん。

「…全く、人のこと心配する前に自分のことを……何だってお前達は同じことを言わせるんだか。

 それ、どうしたんだ?転びでもしたのか」

消毒液の匂いと、顎で指したケープの汚れから 何となく想像をしてみて。
(-290) 2021/05/30(Sun) 1:21:33

【人】 小さな心 サルガス

>> 中庭 シェルタン
「うん。……うん。また、いっしょに、たくさんいろんなこと。
 いろんな、音楽のこと……話したいなって、おもて、」

 ひとり、ふたり。話しかけられた頃には、もう涙声になって、鼻が湿っていた。
 あまり小綺麗ではない音を起てて鼻をすすって、こくこくと頷いている。
(65) 2021/05/30(Sun) 1:22:37
サルガスは、ブラキウムに対して力強く頷き、ぎゅっと手を握り返した。
(a77) 2021/05/30(Sun) 1:26:26

【人】 小さな心 サルガス

>>3:67 昼過ぎ メレフ
「ぼく、探し回ってばかりだものね。ブラキウムにも、ひとりでうごくなって言われちゃった。
 ブラキウムもルヴァのことしんぱいしてたから、きっと、うまくやってけるんじゃないかな……」

 互いに人のことばかり、自分のことを発信しないのはお互い様だろうか。
 思うところを理解しているから余計には追及せず。
 それから昨日のように椅子を用意して、保存食で散らかっている机の上をちょっと避けて。
 飲み物を用意しようとしたところで、軽い体はころんとシーツの上に簡単に転がされた。
(68) 2021/05/30(Sun) 1:31:29

【人】 小さな心 サルガス

>>3:67 >>3:68 昼過ぎ
「い゛、」


 苦悶の声だった。マットレスが跳ね返した体は引き伸ばされたようにぴんと背を張り、
 首は引き抜けそうなほどに後ろに添って後ろ髪をシーツにこすりつけた。
 ひゅうひゅうと細い呼吸をして、隠すように口に手を当てて。
 どうみたって不自然な様子であるのに、なかったことにするようによろよろと身を起こそうとする。

「きょ、うは……どう、した、の?」
(69) 2021/05/30(Sun) 1:34:20

【人】 小さな心 サルガス

>> 中庭 ルヘナ
「そんなこと、ないよ。まだ、できるよ、ううん、ぼく、まだ、なにもできてやしないけど……。
 でも、でも。ねえ、ルヘナ。まだ、ぼくはきみに、きみたちに。
 なにかできると、おもってもいいだろうか」

 涙声だと言うには、もう震えてかたちもなしていない。聞こえはひどく悪い声だ。
 それは貴方にとっては手遅れのことであり、手抜かりの末のことであるかもしれない。
 それでも、まだ。少年は諦めていなかった。
 そしてあなた達を見つけたいま、目的は人探しから、変わりつつある。
(71) 2021/05/30(Sun) 1:40:28
小さな心 サルガスは、メモを貼った。
(a80) 2021/05/30(Sun) 1:45:14

【人】 小さな心 サルガス

>>70 昼過ぎ メレフ
「だいじょうぶ、だいじょうぶだ。ああでも午後、おやすみ、もらったんだ。
 だからね、へいき。うごけるよ。みんなのこと、それに、解決のほうほう、さがさなきゃ」

 声は濁り、喉の裏側をえぐるように低く鳴らす。普段のようにアルトは通らない。
 横倒しになった顔は痛みのせいかみるみる紙のように白く青ざめる。
 襟首を広げてみるならば、よくよく見れば白い包帯が覗いていた。

「メレフ、むりに、触らなくていいよ……ころんだ、だけだもの。へいきだよ。
 ねえ、メレフ、あれから、なにかあったんでしょう。きみのほうが、ずっと心配だ」

 それでも。案じ、思い起こすのは朝方の貴方のひどく弱った様子のほうで。
 ななふしのように細い腕に力をかけて、体を起こそうとする。
 なにか、話したいことが、或いはこれからについて、相談したいことがあるのだろうと、
 そればかり気にしているのだ。
(72) 2021/05/30(Sun) 1:54:20

【人】 小さな心 サルガス

>> 中庭 ルヘナ
「……うん。きっと、できるよね。ぼく、がんばるよ。がんばらせてほしい。
 そのために、ここへ来たんだもの」

 貴方の方へも、歩み寄って手を伸ばして。握り返してくるものがあると信じている。
 少しだけ笑顔を作ったけれど、それはすぐに真剣な表情に置き換えられた。

「ルヘナ。ぼくも、きみも。ここにいるよ。きみの傍に、ぼくはいるよ」
(74) 2021/05/30(Sun) 2:21:14

【人】 小さな心 サルガス

>>73 昼過ぎ メレフ
「……がんこ、なんだもんな。ぼくも、そうみえるのかもしれないけれど。
 ぼく、あんまりだれかに話すの、とくいじゃないんだ。……お兄ちゃんだもの」

 いつでも、一人きりで頑張ろうとしていたのは、それが自分が立っていられる理由だから。
 口にしてしまえばそこから瓦解してしまいそうで。
 話し始めるまではさらに随分時間が掛かった。どうしても、誤魔化してしまいたいように。
 黙りこくっていれば背中に隠していられるのではないかと、状況は拮抗していた。
 それがずいぶんと続いて、埒が明かなくなってしまってから、ようやく口を開いた。

「……教員棟を、さがしてみてたんだ。
 こんなにたくさんいなくなったから、一人くらいは見つかるかもしれないと思って。
 森の中にひとをかくすのは、たいへんだから、そっちじゃないかなってかんがえたんだ」
(75) 2021/05/30(Sun) 2:33:35

【人】 小さな心 サルガス

>> 中庭 ルヘナ
 握り返された手を取る。少し体温の高い指が、柔らかく力を込めた。

「ああ、……なんだろう。ゆるしてくれるんだなって、思ったかもしれない。
 これからのことが。いまここにいる君がどこにもいってしまわないよう。
 がんばるよ、ぼく。もうだれも、なんかいも、だれかをとられてしまったりしないよ」

 触れ合うことができるのか、不安に思っていたのは少年も同じだった。
 何も出来ず、連れて行かれるのを是としてしまった有象無象の一人に過ぎない自分を。
 また手をとってくれたことを、とてもとても大事なものだとして。
 手繰った手は、そこにある形を確かめるようにきゅうと握った。
(76) 2021/05/30(Sun) 3:03:08

【人】 小さな心 サルガス

>>3:77 昼頃 メレフ
「そんなことは、ないよ。メレフだって、みっつしか違わないもの。
 このなかで、きみたちは忘れがちかもしれないけれど……ここにいる子は、みんなこどもなんだ」

 年長者が年少のこどもの面倒をみるような環境では、それが一つの社会になる。
 けれどもここの子供たちがどれほど功を成しても、外で一人前と見做されるのは難しい。
 店は持てないだろう。剣は勝てないだろう。屋号を受け継ぐなら家の事から始めなければ。
 ここがとても特殊な空間だということを、市井のこどもは知っている。

「うん、それで。あいている窓があったから、雨樋をのぼってのぞいてみたんだ。
 中はまっくらでよく見えなかったけど、ひとかなにかがいるみたいにみえた。
 こんなひるまに、暗くしてるのに。

 ……そしたら指をすべらせて、落ちちゃったんだ。なんとか、なったけど」

 シャツのボタンを少し動きの滞る指で外す。本当は普段の動きをするのも大変だ。
 横倒しのまま肩をはだけると、肩から胸にかけて巻かれた包帯が見えた。
 右肩から背中にかけては、薄皮一枚剝いたかのように赤と、青との入り交じる痣ができている。
 疲労骨折や気胸を危惧して、強く固定しているのだろう。
 それから、それとは関係なく。鎖骨から胸の下部までかけて、定着しきった傷が一本。
 けれどもそれ以外に目立った傷はない。転ばされ、けつまずいたものはあるかもしれないけれど。
(78) 2021/05/30(Sun) 9:28:44
サルガスは、知らない生徒に声をかけられました。
(a87) 2021/05/30(Sun) 14:44:53

【独】 小さな心 サルガス

 いなくなった彼らが何をされたのかは、わからない。
 けれども噂だけは漏れ伝ってきた。少年は、よく益体もない話を聞かされていたから。
 とっ捕まえて、脅しのような言葉を浴びせられながら、見ないふりの生徒の噂をされる。
 見ないふり、触れないふりをされてはいるけれど。
 それらの噂が広まるということは、口さがない人々の舌先にのぼるということ。

「そこで、みたの? うん、いいよ。しゅくだい、もっていってあげるね」

 自分を便利に使う者は多い。だからそれを逆手に取るのも、容易いことだ。
 両手いっぱいの紙束は、知らない誰かの者。その中に何があっても、みなわからない。
 だれかが彼らを罰するならば、だれかが彼らを傷つけるならば。
 自分が、自分だけが。彼らを、弟たちの如き子供たちを守らなくてはならない。
(-371) 2021/05/30(Sun) 14:52:14
サルガスは、ひなたを抜け、日の落ちかける教員棟へと入っていきました。
(a88) 2021/05/30(Sun) 14:52:42

小さな心 サルガスは、メモを貼った。
(a91) 2021/05/30(Sun) 15:30:33

【独】 小さな心 サルガス

 夕刻のうちに入り込んで、そのまま空いた部屋の中にこっそりと忍び込んで。
 夜になるまで、じっとちぢこまって、待っていた。月がすっかり上がるのを。
 明かりがついて、それが消えるまで。人が寝静まってしまうまで。
 部屋に運び込んだ食べ物をいっぱい食べて、お腹がすかないようにした。
 今度は、今日は、夜まで動けるようにした。

 友達を守るため、彼らの力になるため。
 もう、一人では動かない、彼らと手をつなぐために。
その矛盾には気づいていない。

 自分が、彼らを守ろう。また、みんなで食卓を囲む明日の朝を見るために。
(-387) 2021/05/30(Sun) 16:36:17
サルガスは、深夜の教員棟を走り出しました。
(a92) 2021/05/30(Sun) 16:36:39

【独】 小さな心 サルガス

 暗闇の中の教員棟は、けれどもまだ明るかったり、監視の目があった。
 だから、見つからないように動くのはひどく大変で。シーツを被ってわからなくはしていたが。
 それが、一切を防ぎきれるかはわからない。泳がされているだけかもしれない。
 それでも、小さな影は探している。

「(これだけ多くの人に手を下すことができるなら、痕跡は残っているはずだ。
  それがなにかまではわからなくとも、うごめいている兆候ならば、或いは)」

 細い望みを託しながらも廊下を下って、音のない部屋を覗き込んで。
 奇妙なものを見つけはした。医療器具のようで、そうではない、いびつなもの。
 けれど。どんなに聡い子供であれど、医に長けてはあれど。
 ビルゼンの子供はその違和感をはっきりとわかってやることができない。
 それを、確かめようとしたところで。

『お前、何をしている!』

「――!」
(-405) 2021/05/30(Sun) 18:01:09
サルガスは、深夜の教員棟で知らない大人に見つかりました。
(a97) 2021/05/30(Sun) 18:01:59

サルガスは、走り回って逃げています。
(a98) 2021/05/30(Sun) 18:02:15

【独】 小さな心 サルガス

 駆ける。駆ける。捕まってしまわないように。
 逃げる。逃げる。告げられてしまわないように。
 子供の足は大人には勝てないけれど、小回りは利くし、体力もある。
 それに、とくとくと高鳴る小さな心臓は、いっぱいの血を全身に送る。
 運動は、苦手ではなかった。やらせてもらえないだけだ。
 それは家でもここでも、変わらなかった。
 貴重な検体の一つであることに変わりはなかったかもしれないが、丁重には扱われた。
 それも、だれそれに比べて特別にだなんて、しっかりとした基準ではなかったけれど。

 走って、走って。袋小路に行ってしまわないよう、撒ける場所を必死で探して。
 とうとう、逃げのびきれずに棟の外までも飛び出してしまった。
 裏手の道を走って、ひとけのない広場まで出て。
 真ん中まで走ってきたところで、しかしとうとう、大人の手は届いてしまった。
(-408) 2021/05/30(Sun) 19:01:30
サルガスは、大人に追いつかれてしまいました。
(a99) 2021/05/30(Sun) 19:01:58

【秘】 小さな心 サルガス → 空回る思い メレフ

>>3:78
/*
ボンカレーです。お忙しいところすみません!
こちらの会話について、いかがいたしましょうか?
秘匿で継続するか、それともこちらで中断かけて終わらせた方がよろしいでしょうか?
一応方針についてだけでも、せめてお教えいただけるとありがたいです……!
(-409) 2021/05/30(Sun) 19:03:49

【秘】 空回る思い メレフ → 小さな心 サルガス

/* 個人会話時間使うマンなので帰宅してパソコン前に座ったら返そうと思うておりました…!
返す順序はちゃめちゃになっており申し訳ないです!(このまま表で継続でも大丈夫ですかね…!?秘匿行った方がいいですか!?
(-412) 2021/05/30(Sun) 19:08:46

【秘】 小さな心 サルガス → 空回る思い メレフ

/*
了解です! こちらも確認入れずにほっときぱなしだったので送らせていただいた次第です!
表で20時切断ということでしょうか、こちらはそれでも大丈夫です。
了解です、よろしくおねがいします!
(-413) 2021/05/30(Sun) 19:17:19

【独】 小さな心 サルガス

「いや……いやだ、いやです、やめてください!」

 大人の力には敵わない。掴まれた腕を、うまく振りほどくことも出来ない。
 必死になって振り払おうとするにも、シーツをしっかりと掴まれてどうともできない。
 そうこうしているうちに引き剥がされた白の下から、丸みのある面が顕になった。

『……お前は、中等部の……! 不審な動きがあったと聞いていたが……。
 こちらへ来なさい、先生達の元へ連れて行ってやる。
 大人に逆らい、探りを入れること。それが何を招くのかを、教えてやる!』

 獣面を表し、歪んだ優越感が手を伸べる。それから逃れるように身を捩った。
 暴れて、手をつねって、絶え絶えの息で必死に抵抗する。
 ここで捕まったら何もかもが終わってしまうということを、よくよくわかってしまっている。
 そうしたら、誰が彼らを守れるというのだろう?
 自分だけではない。多くが、信じてくれているのに。それを落胆させてしまいたくない。
 自分は、兄なのだ。このギムナジウムにおいて誰の兄でもなくても。
 見上げ、助けを求めるものがいるのに。そこでくじけてしまうことなど、許されない。
(-415) 2021/05/30(Sun) 19:24:38

【人】 小さな心 サルガス

>>93 昼過ぎ メレフ
「……けれど、いちにち、いちにちと状況が変わっていくのだもの。耐えられないよ。
 メレフだって、ぼくの立場だったなら、そうするのじゃないかな。
 ぼくは……メレフになにがあったのか、知らない。話したいとおもうまで、聞かないよ。
 けれど、ぼくだったなら。やはりきみと同じように、多くに働きかけようとするだろう」

 見えないもの、聞いていないこと。互いに、秘匿していること。
 それを程度問題で比較することなどできやしないが、それでも、漠然とわかるのは。
 自身がくじけそうになっても、手折られても、自分たちは止まらないだろうということ。

「これは、ぼくの病気のほう。ほら、ここにきた子たちは、なにかしら抱えているでしょう。
 ぼくは、これ。生まれつき、心臓が人よりもずっと小さいんだって。
 だからそれを治すために、なんどか手術をしているんだ。ほかにも、投薬や検査とか。
 ……そのおかげで、むかしに言われていたよりもたくさん生きれてるのも、ほんとうなんだ」

 ギムナジウムへの不信を抱えきれてしまえない理由。
 それは、確かな成果だった。小さな体に、確かに真の意味での恩恵は果たされている。
 逆に言えば、それがなかったらもっとたやすく、不信を武器に敵意を抱えられていただろうか?
(97) 2021/05/30(Sun) 19:32:28
サルガスは、ネズミのような心臓をとくとくと鳴らしている。
(a104) 2021/05/30(Sun) 19:35:03

【置】 小さな心 サルガス

"明日、また明日、また明日と、
時は小きざみな足どりで一日一日を歩み、ついには歴史の最後の一瞬にたどりつく、
昨日という日はすべて愚かな人間が塵と化す死への道を照らしてきた。"

「いやだ――いやだ!」

 手を振り払う。叩き落とす。無我夢中になって、必死の力で振り払った。
 ここで捕まるわけにはいかない。いかないのだ。かれらに何もしてやれていないのに。
 連れて行かれることに怯るかれら、連れて行かれ傷ついたかれら。
 その手、その腕に、託すものひとつなしに、終わってしまいわけにはいかない。
 暴れた腕は、足は。夢中になって、大人の体を打ち払い。とうとうバランスを崩させた。
(L19) 2021/05/30(Sun) 19:37:57
公開: 2021/05/30(Sun) 19:50:00

【置】 小さな心 サルガス

「、」

『あ、』

"その祈りは上天に達し、
慈悲のお耳にあらしとなって吹き荒れて、
すべての罪のお許しを。
皆みな様がよろず罪からの許しを願われるように、
ご寛容のほど願います。"
(L20) 2021/05/30(Sun) 19:40:15
公開: 2021/05/30(Sun) 19:55:00

【人】 小さな心 サルガス

>>100 昼過ぎ メレフ
「……シェルタンに? ……それは、ぼくは……聞いていいこと?
 きみが、だれかに知られたくないとおもうのなら。それは、むりしなくていいんだよ。
 きみからみたらぼくはきっとちいさい年少者だろうけれど……ときどき、わがままを言っていいんだ」

 絞り出すような言い様に、単純にわかったと返すことはできなかった。
 いいかな、と一言だけ確認をとって、横顔に手を伸ばす。
 相手がそうしたように、ほとんど触れるかどうかもわからない手が、ぽんと叩いた。

「ぼくがびょうきのこどもでなければ、もっと激情のままにうごけたかもしれない。
 でも、だからって、ぼくは苦しんでいるこどもたちに、がまんしろなんて、言わないよ。
 だいじょうぶ。きみが戦うなら、ううん、きみが立ち止まっても。
 そのさきで、ぼくはまだだれかを守るために、たたかっているだろうから。

 だから、いいんだ。きみは、きみの思うように、やるべきだ。
 立ち止まってもいい。振り返ってもいい。それでも、きみは、きみだから」

 薫風は窓から薄っすらとそそぎこみ、曇天を透かした陽光が差し込む。
 転げたままの体は、言葉ほどには強かではなく、たよりないと笑ってしまえるかもしれないが。
 それでも。少年の瞳は、折れた様子ではなかった。
 触れた皮膚から、静脈から。とくとくと小動物のような鼓動が、血の流れを伝えている。

 それはまだ、多くが起こる前。昼の陽光の下の、はなしだった。
(102) 2021/05/30(Sun) 19:54:08
サルガスは、知らない大人を教員用の井戸に突き落としました。
(a107) 2021/05/30(Sun) 19:55:25

サルガスは、浮かび上がってくることのない体を、見えなくなるまで見つめていました。
(a108) 2021/05/30(Sun) 19:55:48

サルガスは、          。
(a109) 2021/05/30(Sun) 19:56:07

小さな心 サルガスは、メモを貼った。
(a111) 2021/05/30(Sun) 19:59:20

 




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