夢見る乙女 シャルロッテは、メモを貼った。 (a20) 2022/05/04(Wed) 12:32:55 |
夢見る乙女 シャルロッテは、メモを貼った。 (a21) 2022/05/04(Wed) 12:33:39 |
夢見る乙女 シャルロッテは、メモを貼った。 (a22) 2022/05/04(Wed) 12:34:26 |
【秘】 高等部 ラピス → 夢見る乙女 シャルロッテ風に攫われそうな声を、聞き逃さないように拾い上げる。 抱えたものに押し潰されそうな苦しげな声。 どうにか和らげてあげたくて、小さな子にするようにその背を撫でた。 胸につかえた想いが零れる間も、拾い上げた言葉を吟味する。 身体的性別が男性であることは、知っている生徒は少なくなかったと思う。 自分もそのうちの一人。 教師にお父さん、という呼称を使うことも周知であったろうか。 ただ、その後の言葉はわからなかった。『お母さん』。 何も全貌をわからないまま、不用意な言葉を掛けられない。 書けない。 だからもっとその心の中を垣間見るように、でも傷を広げすぎてしまわぬように。 一緒に悩めるように。 『バラニくんが、"女の子"の"シャルロッテちゃん"が好きだと言ったのですか?』 『先生方をお父さんと呼ぶのには、何か、あなたを縛る理由がありますか』 (-201) 2022/05/04(Wed) 14:22:02 |
【秘】 夢見る乙女 シャルロッテ → 充溢 バレンタイン「あはは、レンは結構マイペースだからね。 でも終わらなかったらそのときは、そのとき」 「うん、うん。 それもあるよね、何かに集中すれば、嫌なことをちょっとだけ忘れていられる」 だめなものはだめだけれど、不調を押してまでするものでもないのだし。 終わらせることそのものよりも、なにか、少しでも楽になればいいと思った。 二人は寮の部屋へと向かい、筆記用具などを用意するだろう。 室内のあらぬところに置かれた本を見つけては、少女は「またこんなところに置いてある」なんて笑った。 (-205) 2022/05/04(Wed) 17:58:00 |
【秘】 夢見る乙女 シャルロッテ → 高等部 ラピス背を撫でてくれる手のぬくもりに促されるように、一粒。 赤い瞳から、色のない雫がこぼれる。 白い頬を伝い、落ちてゆく。 「……バラニはロッテが本当は男の子だって知らないの」 「知られたらきっと、嫌われちゃう」 女の子ならよかったのに。 そうすればきっと、みんなが幸せで。 ここにいる間だけでも、あの子のそばにいられたのに。 ぱち、ぱち。濡れた睫毛から雫を払うように、少■は瞬いた。 それは、あなたが不思議な言葉を続けたからでもある。 「――先生は、先生だよ、?」 (-206) 2022/05/04(Wed) 17:58:58 |
シャルロッテは、バレンタインとエルナトにのんびり手を振った。 (a32) 2022/05/04(Wed) 18:41:47 |
【秘】 高等部 ラピス → 夢見る乙女 シャルロッテ背を撫でる。言葉が全て吐き出されるように。 流れる涙には、ハンカチを差し出したりして。 『バラニくんは』 『性別ひとつで誰かを嫌う人間だと シャルロッテちゃんは思いますか』 打ち明けてみろとは言えないし言わない。 それこそ無責任だから。 結果はこの場の誰にも断言できないから。 ただ、彼がそういう人間であると思わないのなら、考えてみる価値くらいはあるのだろう。 今のままを、続ける自由だってあるのだろう。 それはあなたが、■■■■が選択すべき決断だった。 「………」 お父さん、という呼称は実親を指して使う、或いは子どものいる母親が配偶者を指して使うものだと認識していた。 けれどシャルロッテは、全ての教師をそう呼んでいる。 バラニを愛してはいけない理由に、『お父さん』を挙げる。 どうしても結びつけがたい何かが浮かびかけている。 それらを全部押し込んで、敢えて何でもないようにチョークを走らせた。 『変なことを聞いてしまいましたか』 『お父さんというのは、一人だと思っていたので』 (-209) 2022/05/04(Wed) 18:45:08 |
【秘】 夢見る乙女 シャルロッテ → 高等部 ラピスハンカチを受け取り、きゅっと握る。 縋るものを見つけたみたいに。 あの子は優しいから、友達にならなってくれるかも。 少■が口を噤んでいれば、話ぐらいはできるだろうか。 「………………わ、から、ない、」 それは、告げてみるまで誰にもわからないことだった。 だからあなたも、簡単に『大丈夫』だとは言わないのだろう。 だから少■も、勇気を出せずにいる。 そして、わからないことがもうひとつ。 「……『お父さん』は、ひとり……」 「ひとりなのに……?」 「……ここに先生がいて……でも、家族のところに帰らなきゃ……」 ——おかしいな。 『お父さん』がここにいるなら、一体どこへ帰るんだろう。 或いは、『お父さん』のところへ帰るなら、ここにいるのは誰なんだろう。 (-214) 2022/05/04(Wed) 19:31:17 |
夢見る乙女 シャルロッテは、メモを貼った。 (a33) 2022/05/04(Wed) 19:34:03 |
【秘】 中等部 バラニ → 夢見る乙女 シャルロッテ「っ、ま、待って、シャル────」 それ以上、声が出なかった。 手を伸ばすことができなかった。 背を向けて駆けていく君を追いかける一歩も、踏み出すことができなかった。 この手に僅かに残ったぬくもりが、空気に融けて消えていく。 伝えるべきではなかったのだろうか……この想いも、不確かな情報も。 そこに残ったものは、君との関係が修復不可能になるかもしれない不安と、とても大きな後悔の念。 「おとう、さん……」 「ひとりで舞い上がり、先走って……私は……」 溢れて零れ落ちそうになる涙を必死に堪えながら、絞り出すように独り言ちる。 あなたの背がとっくに見えなくなっても、バラニはその場に立ち尽くしていた。 歩き出せるようになったのは、それからしばらく経ってからのことだった。 (-225) 2022/05/04(Wed) 20:08:31 |
【秘】 高等部 ラピス → 夢見る乙女 シャルロッテ『そうですね』 『わからないことです』 『誰にも』 ただ一人、バラニ以外には。 まだ、考える時間が必要なのだと思った。 縋るように握られるハンカチを一瞥して、また黒板に視線を移す。 「……」 シャルロッテの言葉の端々から、錯乱のようなものが伝わってくる。 お父さんと呼ぶ人が複数人いるということは、その混乱の原因に深くその存在が関わっていることの証左ではないだろうか。 少しずつ少しずつ、問い掛けを重ねることで何かが姿を現してくる。 『お父さんは、バラニくんと仲良くするのを許してくれないでしょうか』 (-229) 2022/05/04(Wed) 20:26:48 |
【秘】 夢見る乙女 シャルロッテ → 高等部 ラピス「………………」 何もかもがわからなくなり始めていた。 当たり前が壊れてゆく。 見ないふりをした呪縛が、足首を掴んで離さない。 ただ、あなたがこちらを案じて、慎重に言葉を投げかけてくれていることだけが。 そのやさしさだけが、今、理解できていることだった。 「…………だめ」 だめだ、それは。 問いかけに咄嗟に首を振る。 「『シャルロッテ』は『お母さん』」 「『お父さん』と『お母さん』はひとりずつ」 「だから、……だめ」 『シャルロッテ』は『お母さん』にならなければならない。 『お母さん』は『お父さん』の『お嫁さん』だ。 だから、だめ。 (-233) 2022/05/04(Wed) 20:48:54 |
シャルロッテは、一人で宿題に取り組んでいる。いつも通りだ。 (a41) 2022/05/04(Wed) 20:49:28 |
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