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【秘】 商人 ミロク → 遊惰 ロク「ミロクとしての生き方に、それしか有りませんから」 "ミロク"は"商人としてもらった名前"だ。 「あなたが"目的"と"言い値の金銭"を払ってくれるのならば。 取引は出来ますよ? 私を、納得させられる目的ならば、ですが。 それがあなたに必要なことならば、 私は叶えてあげたいですね。 目的に、倫理を問いはしますが、 取引に信頼と倫理は関係ありませんから」 どうしてそう思ったのか、あなたに訪ねるでしょう。 隠し事をさせず出来る限り納得するまで問うでしょう。 その結果与えるものが凶器でも、罪でも、死でも。 取引として渡せる物ならば、私は、与えるのでしょう。 (-139) 2021/07/10(Sat) 15:23:53 |
【秘】 遊惰 ロク → 商人 ミロク「生き方、生き方ねェ。 それ言うなら、おれァロクでもねェ生き方しか知らねェや」 上着のポケットに手を突っ込む。 体を揺すって、弾みをつけて口を開く。 「一緒に育った子らがいんだけども。 あいつら、死んでたんだ。おれがあそこを出てスグに、 火事でみィんな死んじまったんだと。 ……おれァそのこと知りもせず、他人と手紙で話してた。 二十歳になったら会いに行くって、 ハハ、そんな約束、する相手ももういなかったってのに」 空笑って、ポケットの中、見えぬそこで手を握って。 あと一年もなかったのになァ、と呟いた。▼ (-146) 2021/07/10(Sat) 17:15:54 |
【秘】 遊惰 ロク → 商人 ミロク「たまにあいつらのことは見えてた。 おれのこと見て、心配そうな顔してんだ。 寂しくってマボロシ見てンだなァって思った。 ――あいつらが死んでたの知った日からかなァ、 これまで静かだった癖、口きく様になっちまって」 右の耳介を一度なぞる。 捨てようとした銭の代わりに色取り取りの石を選んだ理由。 “死人に強請られたから”なんて言える筈も無かろう。 「おれの頭がオカシイからだと思ってた。 ……今もちっとはそう思ってるけども」 商人の頬の辺りに伸ばした手が、空を切る。 触れられないのは本当の本当にそこに居ないからで、 全て妄想でしかない可能性だって大いにあるのだけど。▼ (-147) 2021/07/10(Sat) 17:17:16 |
【秘】 遊惰 ロク → 商人 ミロク「でもお前サン、おれの頭ン中から 出てきたにしてはややこしいんだよなァ」 指の先、透けた耳飾りを見てヘラリと笑う。 まさかこんなものをつけて死んでいるとも、 つけた儘出てくるとも思わなかった。 「このとおり、おれには後も先もねェんだけども。 納得してくれるかねェ、お前サン」 (-148) 2021/07/10(Sat) 17:18:11 |
【秘】 諦念 セナハラ → 商人 ミロク「……、…………。………………」 途中から あっ人選間違えたな とは思ったが、最後まで相槌も打たず聞いていた。「……まあ、貴方の生い立ちは理解できるかもしれません。 価値なんて人によって違いますし、 何より恩義や信頼という感情は強い。 金銭で買える品ではありませんからね」 最初の印象通りだと思った。 取引という形に固執していたのは、ただの結論。 経緯を見れば、商人としての生き方しか知らない子供の様だった。 商業を学ぶ前から自分の芸を売っていたのだから、 恐らく、物心つく前から商人だったのだろう。 きっと人との関わり方を、取引以外に知らないまま死に絶えたのだ。 → (-149) 2021/07/10(Sat) 17:48:21 |
【秘】 諦念 セナハラ → 商人 ミロク貴方が本当に望む物は金銭や価値などではなく、 人との交流において得られる感情そのものではないかと。 心を動かす何かではないかと。 「貴方がどんな人生を歩んで来たかは知りません。 けれども話を聞いて、納得はしました。 もし僕が同じ立場にいたら、同じ事をしたでしょうね」 そう思い至りながらも、口にはしない。 互いに死んだ身だ。 指摘した所で、何の益にもなりやしない。 「その取引をしたの、ロクさんでしょう? 彼は正しく、真っ当な倫理を持っていますから」 これまで自身の付加価値だけを求められ、 応じてきた人間“そのもの”を要求するなど──蜘蛛の糸を垂らす事に等しい。 それをあの青年は、理解できなかったのだろう。 → (-150) 2021/07/10(Sat) 17:49:40 |
【秘】 諦念 セナハラ → 商人 ミロク「さて。貴方に合わせるなら、 僕も何か話した方が良いですかね?」 自身が死んだ時の話を求められていたが、 忘れたふりをする。 この少年のような男に話すには、 あまり気が進まない経緯だからだった。 (-151) 2021/07/10(Sat) 17:50:33 |
【秘】 商人 ミロク → 遊惰 ロク「……触れたいのなら触れますか?」 男は青年の空を切ったあとの手を掴んだ。 体温も何も感じられない。ただの手。 確かに実在し、今だけは強く握り返された。 「気狂いと言われるぐらいの思考をしていますが、 この社会に暮らして問題のない教養はつけました。 だから、信じてくださいね。世迷言ではないと。 私は死んでいて、あなたは生きています。 今までのものが幻覚だとしても、今だけは本物です。 そして、今、 一人分の命の重さ だけで、ここにいます。わかりませんよね。 私も、こうなるまで知りませんでした。 今の私は、 誰か一人を死の世界に誘うために存在しています。 同時に、連れていけばもう、口を利く事はないのでしょう」 「私が差し出せる最後の価値です、もらっていきますか?」 (-153) 2021/07/10(Sat) 17:56:32 |
【秘】 遊惰 ロク → 商人 ミロク 突然掴まれた手に、ビクリと肩を震わせる。 熱を失った、冷たい手。 ジッと見つめて、確かめる様に緩く握り返す。 「……お前サンきっと、 頼んだらこの手で殺してくれんだろな」 そうしてその“最後の価値”とやらを差し出して、 跡形も無く消えてしまうのだろう。 「――もらわねェよ。ちいせェガキじゃねェんだ、 手ェ引いて連れてってもらう必要はねェや」 握られた手から力を抜いて、笑いかける。 いつものカラリとした笑い顔―― ――を作ろうとして、眉の下がってしまった様な顔。 下手くそに笑った顔の儘、質問を一つ投げかける。 「……ひとつ、言ってもらいてェことがあったんだが。 “誘う”ってのに、そいつは数えられちまうのかなァ」 殺してくれと死なせてくれは、似ている様でまるで違う。 ――欲しいのは、望むのは。 少年一人分で欠けて、広がった。理由を埋めてくれる事。 (-156) 2021/07/10(Sat) 19:19:58 |
【秘】 商人 ミロク → 諦念 セナハラ「……、……。 その取引をした方は。 死にたがっているように見えていました。 一人の意志だけで生きるというのは難しいことなんですね」 男は、そう思ったようだった。生きて欲しかったと呟く。 後に学べば一人よりも二人、支え合って生きていくのが人生を豊かにすることもあるという論につながる。 今では到底出てこない意見だったりした。 「はい、なんでも。あなたのことが知りたいです。 聞かせてください。あ、聞けなかったこともあります。 夢や目指してること、困ったことはあったのかなど。 あなたは大人で、何でも自分で解決しようと見えましたから、聞けなかったんです」 男は、ミロクとしてしか生きていられませんでした。 だからこうして相槌をうってもらえるだけで満足なのでしょう。 なんせ、話をするのも聞くのも大好きなだけですから。 いろんな話を省略してくださっても、構いません。 (-157) 2021/07/10(Sat) 19:21:23 |
【秘】 商人 ミロク → 遊惰 ロク「……意地悪をしました。 ロクさんがそう言ってくれると思ったので。 死んでほしくなくて。……伝わればいいと思いました」 今までよりも言葉に感情がこもってしまう。 取引に納得ができなくても、男は応じてきた。 だけどもしかしたら、やめてくれるかと思って魂を売った。 結果は……願ったとおりだった。 あなたが悲しそうな顔をしていなければ。 「数えませんよ。 ……私、その力がなくともあなたを殺せますから」 拗ねたように告げる言葉はあまりに物騒で。 きっと本当のことなのだろうと予測できた。 先程よりよっぽどわかりやすくあなたからそっぽを向いて、 聞きたくない言葉が訪れるのを恐れている。 もう隠す必要はない、ほしい言葉はもらってしまった。 一度でも、この問いに断られた事実が何よりも嬉しかった。 だから、彼が望むままに取引ができて、叶えられるのなら。 それはきっと自分にとって尊い想い出になると思った。 (-158) 2021/07/10(Sat) 19:48:51 |
【秘】 遊惰 ロク → 商人 ミロク「……、ハ、」 端の吊りあがった口から、 笑いとも溜め息ともつかぬ吐息が洩れる。 クロスグリの瞳がグシャリと歪む。 「……、自分の分まで生きてくれってさァ、言われんだ。 恨んじゃいねェって、そればっかし、」 胸が塞がって、喉が詰まる心地がする。 らしくも無く訥々と、途切れがちに言葉を紡ぐ。 「――おれはもう、終いにしてェのに。 これ以上、生きてたって。しかたねェってのに」 死人の言葉は呪いだ。それを捻じ伏せるに足る理由も、 生きている人間が一人減る毎、薄まって―― いつの間にやら、消えてしまった。 最早これは、誰かの為の死では無くなってしまった。 ……男が死なずとも、残った子どもは生きていける。▼ (-161) 2021/07/10(Sat) 22:27:38 |
【秘】 遊惰 ロク → 商人 ミロク 昔々に死んだ子どもらも、ここで死んだ少年も。 優しい事ばかりを口にして、 誰一人として言ってくれはしなかった。 「 『死んじまえ』 って、言ってくれ。……頼むから、 おれのせいで死んだクセ、 “死んでほしくない”なんて、 そんな、……ッ、訳のわからねェこと、言わねェで」 たった一言で良いんだ、 楽になれる そうすりゃ全部を振り払って、漸く死ねる。 「……もう、痛いのも、苦しいのも、……いやだ……」 俯いて、左手で目元を覆う様にして。 草臥れ切った大人の様な、怯え切った子どもの様な。 消え入りそうな声で幽かに呟いた。 (-162) 2021/07/10(Sat) 22:28:33 |
【秘】 諦念 セナハラ → 商人 ミロク独りの人間が生きていく難しさは知っている。 つい先程、諦めた立場だった。 「何でも、って。夕飯じゃないんですから」 何か面白い話は無いのかと、 子供に強請られているような心地がした。 苦笑を零し、心中でそっと後悔する。 こんな状況でなければ、彼のことも貴方のことも、 助言くらいはできただろうから。 こうなる前に。 「夢や目標なんて大層なものはありません。 困ったことと言えば、夢見の悪さくらいですかね。 ……僕は大人で、貴方達の善性を守りたかった。 ですから、ええ。聞かれても答えませんでしたよ」 物言いは過去のものだ。 死んで失うものなど無いのだから、今は違う。 (-165) 2021/07/10(Sat) 22:40:16 |
【秘】 諦念 セナハラ → 商人 ミロク「僕の人生はあまり聞いて心地の良いものではありません。 そうですね、……医者を志した理由に関わることだけ。 以前は誤魔化してしまいましたから」 湯を沸かした調理室で問われた事だ。 貴方達が自分よりも年嵩であれば、あの場で話しただろう。 「僕が外地で生まれ育った事は話しましたね。 彩帆という場所です。 海のずっと先にある、淡い緑の海が美しい島でした」 努めて思い出す事ではない。 あの島での思い出は、全てが苦痛に満ちているから。 それは決して誰のせいでもない。時代のせいだ。 地平線に辿り着くよりも早く沈む疎開船を見て。 溺れているであろう母と姉と妹を見て。 父は“ここにいろ”と言った。 「……美しい島でしたが。戦争が始まれば、 そこは内地よりも過激な戦いが繰り広げられました。 内地からの物資も届かなくなってしまってね。 ほら、海も空もアメリカーに取られちゃいましたから」 僅かに訛りが現れた。 自覚しつつも、続けていく。 (-166) 2021/07/10(Sat) 22:42:53 |
【秘】 諦念 セナハラ → 商人 ミロク「銃も、手榴弾も、服も、水も、食べ物も、全て。 底をついたんですよ。 畑は燃えてしまったし、空爆で建物は全て、 跡形も無くなっていました。 しかしそれでも腹は減る 。食べ物と言えば、共に逃げる生き物くらいで。 ……父から食べ方を教わりました」 その生き物は二本足で歩き、言葉を扱うことができた。 共に励ましあい、笑い合うことができた。 そんな、生き物だった。 「……、問題は戦争が終わって、平和になってからです。 毎晩夢に出るんですよ、よくも食ってくれたな≠チて。 血肉の色が、味や臭いが、忘れられない。 だからね、それを日常にすることにしました。 鉄錆の臭いも、冷えた人肌も日常にしようと。 上書きしたかったんです、あの日々を」 (-167) 2021/07/10(Sat) 22:43:32 |
【秘】 商人 ミロク → 遊惰 ロク「"愛されて"いたんですね」 愛が呪いになる、皮肉で悲しい物語。 「『待っているだけの人達にも何かが起こるかもしれないが、それは努力した人達の残り物だけである。』 あなたがいたから彼らは生きていました」 泣き叫びそうな少年を掬うことは。 新たな呪いをかけることに繋がるだろう。 「『他人のための行いにこそ価値があり、それが人生の重要な秘訣のひとつだ。』 あなたには価値があります。 誰よりも、してきたことはあなたが知っています」 濁った感情と混ざり思考を埋め尽くして。 慰めは沈殿物のように空虚な胸の隙間に流し込まれていく。 ▼ (-174) 2021/07/11(Sun) 11:12:46 |
【秘】 商人 ミロク → 遊惰 ロク「…… しています」 ぽつり。 瞬きをする音が聞こえるような静寂がおとずれた。 「貴方が生きた人生に納得するのなら死んでしまいなさい」 「『よく生きることは、よく死ぬことでもある。』 貴方がよく生きてきたことを私は記録しました。 人間は、愛されているうちに死ぬのが一番だと思います」 『私はあなたを愛しています』 これが導かれた善と、正しさ。 私の倫理でした。 (-175) 2021/07/11(Sun) 11:35:51 |
【秘】 商人 ミロク → 諦念 セナハラセナハラの人生はミロクの人生とはかけ離れたものだった。 しかし選べもしない運命と、 生きるための行動に頭が働かないほど愚かでもなく。 だからこそ、ゆるく、首を傾げ。 納得していないかのような仕草をしたあとに、その顔を見た。 「解決は、しましたか?」 ▼ (-176) 2021/07/11(Sun) 12:17:17 |
【秘】 商人 ミロク → 諦念 セナハラ「とても、辛いことだと思います。 あなたの食べた方は心が狭く、 あなたのことをいつまでも恨み、 生きていることを喜ばないそんな方々だったと、 あなたは思っているのですから。 不仲であったのならば御愁傷様でした。 あなたがそれで得ようとした日常に、 "そんなことを言わないような"方との、 良い縁が結ばれていたのならいいのですが。 いかがでしたか?」 (-177) 2021/07/11(Sun) 12:19:21 |
【秘】 遊惰 ロク → 商人 ミロク「――――ッ、」 胸の底を温く満たす様な、 柔らに撫ぜる様な慰めの言葉。 『聞きたくない』とばかりに力無く首を横に振る。 ――そんな大層な人間じゃ無い。 どんな行いをしたところで、何にもならなかった。 実を結んだのは、ロクでもない事ばかりで。 『 』 ゆるりと顔を上げる。 揺れる十字架の、金具の擦れる音が響く。 そう錯覚する程の静寂。 幾らか上方の琥珀色を見つめる。 齎されたそれは求めたものと近い癖、少し違っていて。 ――この兄サン、意地悪だなァ。 人生に納得するのなら、だなんて。 虐げられて、騙されて、喪って。 拾い上げる先から取り溢し続ける様な人生だった。 こんなもの、納得なんて出来ようものか。 ……けれども。 ▼ (-178) 2021/07/11(Sun) 14:52:43 |
【秘】 遊惰 ロク → 商人 ミロクけれども、恐らくこれ以上は、無い。 今このとき以上の幸いは、やってこない。 それで、終いにするには十分だろうと思った。 目を細めて、酷く満足げに、 これ迄で一等嬉しげに―― 「ありがと、兄サン」 満たされ切った顔して笑う。 それが、青年の出した答えだった。 ――これはきっと“納得”とは違う。 今ここで、生を手放すことを許された。 そんな身勝手で手酷い、 の受け取り方。 ……漸く、空いた穴が満ちた。 (-179) 2021/07/11(Sun) 14:53:11 |
【秘】 商人 ミロク → 遊惰 ロク「そうですか。 それなら、―――あなたが生涯を終えるそのときまで。 一緒におしゃべりする時間はいただいてもいいですか?」 今こうやって話せているのは奇跡なんだろう。 死者と生者が当たり前のように交わる世界を見ていた男にとって、 別れが惜しく感じるのが死んでからだなんて。 「私、みえる方にしかみえないと、やっと学びましたから。 どこにいても、問題ないですよね」 (-180) 2021/07/11(Sun) 15:40:44 |
【秘】 療育 クレイシ → 商人 ミロク「飼い猫じゃない……け、ど」 なんて言った? 「殺、した……?」 呆然としながら言葉を繰り返す様子から頭へまともに話の内容が入ってきていない事が分かるだろう。 脳が理解を拒んでいる。 けれど、時間を費やせば言葉の意味を少しずつ咀嚼してしまえるわけで。 「……っ、お前ッ、こんな時に何勝手なことをしているんだ、厄介者が……ッ!」 腹の底から無理矢理にでも出したかのような低い声。 どいつもこいつも厄介ごとを持ち込んできやがって。こっちは人を探さなければならないと言うのに。 貴方の真実を知らぬまま、男は身勝手な呪詛を連ね続ける。 ▼ (-181) 2021/07/11(Sun) 15:42:38 |
【秘】 療育 クレイシ → 商人 ミロク「誰だって外になんかいたくなんかない!けれど俺は……俺は、俺はァッ!!!」 未練を、忠告を、全てを振り切るように扉の向こう側へと飛び出した。 ほんの数秒で冷たい雨が全身を覆い尽くす。 風が体を掬おうとし、大きくよろめき歩くのを阻む。 暴風雨が決意を瞬く間に攫っていきそうだった。 それでも自分はやらなければならない。 子供を探さねばならない。 『たとえ水底、土の下。 果てまでキッチリ探してやって―― 、、、、、、、、、、、、 、、、、 あの子の手を引かぬうちは、帰らねェことだよ』 そうしなければならないと──蛇に囁かれてしまったから。 (-182) 2021/07/11(Sun) 15:43:27 |
【独】 商人 ミロクロクさん。 あなたなら、きっと死を選ぶとわかっていました。 だから、ミロクに、取引をさせました。あなたの幸せを。 だから、倫理に問いました。ミロクの生き方に問いました。 だから、わがままを言い切れませんでした。 ミロクという善と正しさの気質を持った生き方に後悔はしていません。 ですが、一つ惜しい事があるとするならば。 私という個人の生き方は未発達だったことでしょう。 もし成長していたのなら、運命は変わったかもしれません。 本当の私は、あなたの死を許すことなんて出来なかったでしょうから。 我を通して苦しめることが出来たら呪われてくれましたか。 それは祝福になりましたか。死んでから幸せなことなんてあるんですか。 あなたは何があっても、苦しくても、 どんな未来でも手に入れることが出来るというのに。 死者の私が何を言っても、想いは通じないのでしょう。 生きて隣にいれば、何かが変わったかもしれませんね。 ごめんなさい。 あなたを幸せにすることが出来なくて。 生きていて善かったと思わせることが出来なくて。 ごめんなさい、私は、あなたを 。 必要としてくれた人として、守りたかったんだと、思います。 (-184) 2021/07/11(Sun) 16:02:13 |
【秘】 商人 ミロク → 療育 クレイシ「―――なんだ、おそろいでしたか」 この声は届きません。 「きっと良い取引が、出来たと思います」 この声はいつまでも届きません。 「私も子供たちを生かして死ぬことが、ミロクとして生きることです」 黒い猫の亡骸をやさしくひと撫でして目を伏せる。 まるであなたの心を見透かしたような言葉。 理由は違えど決意は似たような形で明かされるのだろう。 そして、瞬く間に暴風雨に言葉はかき消され、扉は閉じられた。 (-185) 2021/07/11(Sun) 16:18:50 |
ミロクは、あの日、彼を黒猫を抱え見送った。『無事に帰ってきてくださいね』 (c5) 2021/07/11(Sun) 16:27:02 |
【秘】 遊惰 ロク → 商人 ミロク「……、問題は、まァ、ねェけども」 目を逸らし、歯切れ悪く答える。 好意とやらは肌慣れず、どうにもこうにも据わりが悪い。 「……そンなら暇つぶしの相手、してくれ。 もうちっと――助けがくるまでは生きねェとだろうし。 ……あの子らほっぽり出して死んじまうのは、さすがになァ 」ぼやく様に呟いてから、ヘラリと笑いかける。 肩の荷を下ろした、年相応の緩んだ笑顔。 「――そンじゃ、なにから話すかねェ」 暫くは傍に居るらしい彼と、終わりの時まで。 好きなこと、嫌いなもの、他にも沢山。 互いのこれまでと、限りのあるこれからの事なんかも。 暇さえあれば、どこででも話しているのだろう。 (-186) 2021/07/11(Sun) 17:41:10 |
ミロクは、ロクと話をしている。結構、かなり、ながく、ずっと。 (c6) 2021/07/11(Sun) 19:12:43 |
【秘】 諦念 セナハラ → 商人 ミロク「当人達がどう思ってるか、なんて決まってるでしょ。 飢えてりゃ皆心が狭くなります。 親だって子供が煩わしくなる。 自分さえ助かりゃ良くなるんですよ。 それに。 遺族にとっては、終わった話じゃあない」 眉を顰めた後。 決め付けるような物言いと、 吐き捨てるような抑揚で言うのだった。 その時その場所における真実が、今もそうであるかのように話す。 男の刻は止まったまま、死に絶えたのだ。 「解決は、……しないまま終わりましたね。 縁もあったらこんな事にはなってないですよ」 人を信じない男は、 自身を求める少年の言葉も未だ嘘だと思っている。 それは戦争の後遺症であるが、気付けぬまま。 (-193) 2021/07/11(Sun) 19:49:38 |
【秘】 商人 ミロク → 諦念 セナハラ「そうですか、それは。 とても、残念です」 取引を持ちかけたら、何を求めたのだろう。 すぐには思いつかなかった。 「私、もう少しだけここにいられるようです。 誰かを死の世界に誘える能力があるみたいで。 この力と人の魂の重さを考えながら過ごしていくと思います。 だから、少しでも、です。 あなたの人生を許した人間がここにいることを、 覚えていてもらえたらと思います。 お話、楽しかったです、また聞きたいです。 たとえ……もし、成仏をして会えなくなったとしても。 あなたが生まれたことを空に祝うことぐらいはできます。 どんな季節に、あなたは生まれましたか?」 男はこの病院で誕生日を祝うことを覚えました。 それは、とても尊く、心が暖かくなることだと思いました。 死んでもなお、想われることは嬉しいのだと、そう感じたのです。 それを、あなたにも感じてほしいと思いました。 (-196) 2021/07/11(Sun) 20:32:45 |
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